JP2823131B2 - 眠り穴かがりミシンにおける針振り装置 - Google Patents

眠り穴かがりミシンにおける針振り装置

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顯光 平岡
一明 石井
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Description

【発明の詳細な説明】 イ.発明の目的 〔産業上の利用分野〕 この発明は、ワイシャツのボタン穴等に見られる眠り
穴と称する鳩目のない両止めボタン穴を、本縫いのサイ
クル縫いミシンによってかがるための、センターメスを
有するミシンにおける針振り装置に関するものである。
〔従来の技術〕
従来の眠り穴かがりミシンとしては、第1図に示す針
振り変換機構と上軸回転に連動する布送り機構とによっ
て、第2図に示す、左基線から一定巾でかがられる左側
平行部、第1閂止め、右基線から一定巾でかがられる右
側平行部及び第2閂止めからなる眠り穴を縫製するもの
が知られている。
第1図に示す針振り変換機構は、詳しくは、この発明
の実施例欄でも説明するが、概ね、次のようなものであ
る。
それは、図示していない上軸の回転により、三角カム
27が回転して針棒揺動ロッド21が変位し、針棒揺動腕2
4、針棒揺動軸23、針棒揺動台1を介して針2が左右に
振られるものである。
針棒揺動ロッド21には、いくつかの部材を介して基線
調節腕12が連結されており、この基線調節腕12には、右
基線調節ネジ12a及び左基線調節ネジ12bが突設されてい
る。左基線調節ネジ12bの先端を図示していない機枠部
に当接することによって、基線調節腕12は一定の位置に
保たれ、針棒揺動ロッド21ないし針2の左基線位置が決
まる。また、主カム3上にある基線変換カム5により変
位する基線変換腕8に右基線調節ネジ12aを当接移動す
ることによって、基線調節腕12は、針棒揺動ロッド21な
いし針2の基線を変更した後、一定の位置に保たれ、右
基線位置が決まる。
主カム3上にある振り巾変換カム6と閂止めカム7a、
7b及び振り巾変換腕9と閂止め変換腕10を介し、振り巾
調節腕14の位置を変化させることによって、左側平行
部、右側平行部、第1、第2閂止め、止め縫いの各針振
り巾を制御する。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の眠り穴かがりミシンにおける針振り装置にあっ
ては、第1図における主カム3上に固定されている図示
していない停止カムにより、ミシン停止のタイミングを
とってはいるが、一縫い形成を要する針数が多くなる
と、上軸一回転に対する主カム3の回転角が小さくなる
ことと、上軸からギア及びワンウエイクラッチを介して
主カム3に回転を伝達しているため、針振りの停止位置
(遮断位置)が、針振り巾の左側になるか右側になるか
定まらない。従って、縫い始め針落ち位置の左基線上に
位置する確率が50%となる。
ところで、縫製が終了すると、下糸は、第3図に示す
ように、針落ち位置の右側で保持され、次の縫製を待っ
ている。下糸がこのように保持されているため、縫い始
め針落ち位置が左基線上に位置すると、次の第2針目以
降の縫い目が左基線の左側に振られるため、下糸は眠り
穴かがり縫い目内に縫い込まれず、外れてしまうことに
なる。このような下糸は手挟みによって切らねばならな
いものである。
この発明は、眠り穴かがりの縫い始め部分に、下糸の
縫い始め端部を縫い込むことのできる眠り穴かがりミシ
ンにおける針振り装置を提供することを目的としてい
る。
ロ.発明の構成 〔課題を解決するための手段〕 この発明の眠り穴かがりミシンにおける針振り装置
は、一定幅でかがられる左右の平行部とその両端部に形
成される閂止め部とからなる眠り穴かがり縫い目を形成
し、縫製終了後に下糸をこの眠り穴かがり縫い目の後に
形成される一方の平行部の側方で保持する眠り穴かがり
ミシンにおいて、先に形成されるもう一方の平行部の縫
い始の数針の基線を前記一定幅以内で針振り中心方向へ
ずらし、この位置での針の振り巾を平行部における前記
一定幅より小さくなるように縫い目を形成し、その後に
基線及び針の振り幅を変更し前記一定幅でかがって前記
もう一方の平行部を形成することにより、前記下糸の縫
い始め端部をこのもう一方の平行部内に縫い込むことを
特徴とするものである。
〔作 用〕
上記のように構成された眠り穴かがりミシンは、縫い
始めの針落ち位置が左右にばらついても、第7図に示す
ように、常に左側平行部針振り巾の中心付近より縫い始
められ、下糸端糸は左側平行部の縫い目により縫い込ま
れる。
〔実施例〕
第4図及び第5図を参照して説明する。第5図は左側
平行部を縫製中に針が左基線に位置している状態を示す
ものである。
1は上端部がミシン機枠に揺動可能に支持された針棒
揺動台であり、この針棒揺動台1には、ミシン主軸に連
動して昇降し、先端に針2を有する針棒が保持されてい
る。3はミシン主軸に連動して回転する回転軸4に中心
部を固定した円板状の主カムであり、この主カム3はボ
タン穴かがり縫いの1縫製サイクルに対して1回転する
ようになっている。5は主カム3の上面に突設された環
状の基線変換カムである。6は同じく主カム3の上面に
突設された環状の振巾変換カムであり、基線変換カム5
の外方に位置している。7a、7bは主カム3の上面に突設
された閂止めカムである。8は基線変換腕、9は振巾変
換腕、10は閂止め作動腕であり、これらの腕8、9、10
は、軸11により中間部を回動自在に支持されているとと
もに、各先端部には倣いローラが設けられている。これ
らの倣いローラはそれぞれ基線変換カム5、振巾変換カ
ム6、閂止めカム7a、7bの各カム面上に、当接するよう
になっている。12はミシン機枠に支持された軸13に中間
部を回動自在に取り付けた基線調節腕であり、その下端
に突設した右基線調節ネジ12aが基線変換腕8の上端部
に対向している。14はミシン機枠に支持された軸15に中
間部を回動自在に取り付けた振巾調節腕であり、その下
端には、振巾変換腕9の上端部と閂止め作動腕10の上端
部とに対向させて、2本の調節ネジ14a、14bのいづれか
が常に振巾変換腕9又は閂止め作動腕10に当接するよう
にバネBで付勢されている。16は下端部を振巾調節腕14
の上端部に回動自在に連結したリンクであり、その上端
部は軸17によってコ字状の枠体18の一側面に回動自在に
連結されている。また、この枠体18の一側面には、基線
調節腕12の上端部も軸19によって回動自在に取り付けら
れている。20は枠体18内に軸17によって一端部を回動自
在に取り付けた二股リンクであり、21は二股リンク20に
一端部を軸22によって回動自在に連結した針棒揺動ロッ
ドであり、その端部は、一端部を針棒揺動軸23に固定し
てなる針棒揺動腕24の他端部に軸25より回動可能に連結
されている。この針棒揺動ロッド21は二股形状をしてお
り、その二股部には、ミシン主軸に連動して回転する回
転軸26に固着された三角カム27が嵌合している。また、
針棒揺動軸23はミシン機枠に回動自在に保持されてお
り、その他端部は、連結部材28を介して針棒揺動台1に
連結されている。
ここまでの構成は、従来のものと同様であるが、この
考案においては、更に、主カム3の基線変換カム5の内
側に左基線変換カム29を設けるとともに、基線変換腕
8、振巾変換腕9、閂止め作動腕10の中間部を回動自在
に支持してる軸11に、先端部に倣いローラを有する左基
線変換腕30を設けている。その倣いローラは左基線変換
カム29の上面に当接するようにする。そして、基線調節
腕12の下端に突設してある左基線変換調節ネジ12bを左
基線変換腕30にバネAの付勢により当接するようにす
る。
いま、ミシン主軸が回転を開始したとすると、針が昇
降し、布の搬送が開始され、これに連動して主カム3及
び三角カム27が回転し、針がボタン穴の左基線に沿って
揺動し、千鳥縫いが開始される。このとき、針の揺動は
次のようにして行われる。即ち、三角カム27が回転する
と、針棒揺動ロッド21が上下に押圧され、二叉リンク20
が軸17を中心に回転揺動して針棒揺動ロッド21を揺動さ
せるため、針棒揺動腕24を介して針棒揺動軸23が回転揺
動し、針棒揺動台1が布搬送方向に直交する方向へ揺動
する。従って、針棒は針棒揺動台1中を昇降しつつ揺動
し、千鳥縫いが行われる。
第8図はこの発明の眠り穴かがり縫いにおける主カム
上の各カム展開図であり、眠り穴かがりの全行程の縫製
は、その各カムの指令を受けて、各腕8、9、10、30及
び基線調節腕12、振り巾調節腕14等を介して行われる。
この各カムの展開図によると、左基線変換カム29のAの
形状により、左基線変換腕30が第5図において右方移動
し、これによって基線調節腕12が軸13を中心に反時計方
向に回動し、第6図に示すように、従来固定であった左
基線を縫い始め数針分左側へ、即ち、左側平行部振り巾
中心方向へずらす基線変換軌跡を作るようになる。そし
て、左基線変換カム29のA部に対応する振り巾変換カム
6の部分も低くなっているので、振巾変換腕9も第5図
において右方移動し、これによって振巾調節腕14は軸15
を中心に反時計方向に回動することにより、その部分で
の針振り巾は小さくなる。従って、A部の針落ち位置は
左側平行部及び第2閂止めより外に出ることはない。ま
た、右側平行部では、基線変換カム5が基線変換腕8を
介して基線調節腕12を時計方向に作用して基線が右基線
に移動するのに加えて、縫い終わり手前では、閂止めカ
ム7bが閂止め作動腕10を介して振り巾調節腕14を時計方
向に作用し、振り巾の大きな閂止めがなされ、それが終
了して後、基線は右基線より左基線へ移り、針振り巾が
止め縫い用の振り巾となって縫い終わる。
従って、この機構により縫い始めの針落ちは、第7図
に示すように左側平行部の中心付近に位置するため、下
糸の糸端は、左側平行部のかがり縫い目の中に縫い込ま
れる。
なおこの他に、針振り巾の変更及び基線変換をパルス
モータの駆動によって行うようにしても差し支えない。
ハ.発明の効果 この発明は、以上説明したように構成されているの
で、以下に記載するような効果を奏する。
即ち、眠り穴かがりを開始する最初の部分の基線が通
常の左基線より左側にあるので、縫い始めの針落ち位置
が左右にばらついても、第7図に示すように、常に左側
平行部針振り巾の中心付近より縫い始められ、下糸端糸
は左側平行部の縫い目に縫い込まれる。従って、下糸端
糸の手挟みによる切断作業をしなくてすむ。
また、眠り穴かがりを開始する最初の部分の針振り巾
が小さいので、その部分の縫製が、平行部及び閂止めよ
り外に出てなされることはない。
更に、縫い始めの結節点が平行部の中心になることに
より、縫い始めの山立ちが良好となり、商品価値が高く
なる。
【図面の簡単な説明】
第1図は従来の眠り穴かがりミシンにおける針振り変換
機構の斜視図、第2図は従来の眠り穴かがり形状を示す
図、第3図は従来の眠り穴かがり縫いにおいて針落ちが
針振り巾の右側からスタートした状態を示す図、第4図
はこの発明の眠り穴かがりミシンにおける針振り変換機
構の斜視図、第5図はこの発明の眠り穴かがりミシンに
おける針振り変換機構の線図、第6図はこの発明の眠り
穴かがり縫いにおける基線の図、第7図はこの発明の眠
り穴かがりにおける縫い始め状態を示す図、第8図はこ
の発明の眠り穴かがり縫いにおける主カム上の各カムの
展開図である。 1……針棒揺動台、5……基線変換カム、6……振り巾
変換カム、7a、7b……閂止めカム、8……基線変換腕、
9……振り巾変換腕、10……閂止め作動腕、12……基線
調節腕、12a……右基線調節ネジ、12b……左基線調節ネ
ジ、14……振り巾調節腕、14a、14b……調節ネジ、21…
…針棒揺動ロッド、24……針棒揺動腕、27……三角カ
ム、29……左基線変換カム、30……左基線変換腕

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一定幅でかがられる左右の平行部とその両
    端部に形成される閂止め部とからなる眠り穴かがり縫い
    目を形成し、縫製終了後に下糸をこの眠り穴かがり縫い
    目の後に形成される一方の平行部の側方で保持する眠り
    穴かがりミシンにおいて、先に形成されるもう一方の平
    行部の縫い始の数針の基線を前記一定幅以内で針振り中
    心方向へずらし、この位置での針の振り巾を平行部にお
    ける前記一定幅より小さくなるように縫い目を形成し、
    その後に基線及び針の振り幅を変更し前記一定幅でかが
    って前記もう一方の平行部を形成することにより、前記
    下糸の縫い始め端部をこのもう一方の平行部内に縫い込
    むことを特徴とする眠り穴かがりミシンにおける針振り
    装置。
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