JP2819312B2 - N―アセチルラクトサミンの製造法 - Google Patents

N―アセチルラクトサミンの製造法

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文雄 南条
亮介 勝見
和男 坂井
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、人乳オリゴ糖や複合糖質の糖鎖中に含まれ
るN−アセチルラクトサミンの製造法に関するものであ
る。
〈従来の技術〉 N−アセチルラクトサミンは、血液型糖蛋白質の分解
物から最初に単離されたガラクトースとN−アセチルグ
ルコサミンがβ−1,4結合したアミノ2糖で、人乳オリ
ゴ糖や、リポ多糖、各種の糖蛋白質及び糖脂質の糖鎖中
に存在する生化学的に非常に重要なオリゴ糖である。ま
た、腸内細菌の一つビフィズス菌の発育因子としても知
られ、機能性食品素材としても有用な物質である。
従来、N−アセチルラクトサミンの製造は、化学合成
もしくは高エネルギー化合物UDP−ガラクトースとN−
アセチルグルコサミンを基質として、ラクトース合成酵
素により合成されることが知られているが、これらの方
法は、工程が複雑でしかも高価となり工業的にはまだ難
点の多い製造法である。一方、簡便な方法として、ラク
トースとN−アセチルラクトサミンを基質として、ラク
トバシラスビフィダス(Lactobacillus bifidus)やス
ポロボロミセス シングラリス(Sporobolomyces sing
ularis)の生菌体を値いた報告[J.Biol.Chem.,217,79
(1955),Can.J.Chem.,42,2307(1964)]や、ラクトバ
シラス ビフィダスの生産するβ−ガラクトシダーゼを
作用させた報告[J.Biol.Chem.,208,299(1954)]など
がある。又、最近ではガラクトースとN−アセチルグル
コサミンを基質としてエシェリシア コリ(Escherichi
a coli)の生産するβ−ガラクトシダーゼを作用さ
せ、脱水縮合反応によるN−アセチルラクトサミン生産
の報告[第10回糖質シンポジウム講演要旨集,p107(198
7)]も示されている。
〈発明が解決しようとする問題点〉 しかしながら、前記の微生物菌体やβ−ガラクトシダ
ーゼを用いる方法は、いずれもN−アセチルラクトサミ
ンの生成量が少ないこと及び目的とするN−アセチルラ
クトサミンの生成量に比べ、β−1,6結合異性体のN−
アセチルラクトサミンの生成比率が非常に高いことなど
の欠点があった。本発明者らは、前述の欠点を解消すべ
くN−アセチルラクトサミンを簡便でしかも安価に工業
生産できる方法を種々検討した結果、バラシス サーキ
ュランスの生産するβ−ガラクトシダーゼが、ラクトー
スとN−アセチルラクトサミンを基質としてN−アセチ
ルラクトサミンを効率よく生産することを見い出し、本
発明をが完成するに至った。
〈問題を解決するための手段〉 本発明は、ラクトースとN−アセチルラクトサミンを
含有する基質に、バラシス サーキュランスの生産する
β−ガラクトシダーゼを作用させ、ガラクトース転移反
応によりN−アセチルラクトサミンを効率よく製造する
方法を提供することを目的とする。
本発明のβ−ガラクトシダーゼは、バシラス サーキ
ュランスの生産する酵素であれば、微生物を培養し、そ
の培養液から硫安沈殿等により調製した粗酵素や市販酵
素、いずれでも用いることができる。
反応に用いるラクトースとN−アセチルラクトサミン
の量は、モル比で1:1〜1:5とし、全基質濃度として20〜
70%とするのが好ましい。また、本発明に用いるバシラ
ス サーキュランスの生産するβ−ガラクトシダーゼ
は、反応系において0.5U/ml〜5U/mlとなるように添加
し、pH4〜9、温度5℃〜50℃に保持し、2時間〜50時
間作用させるのが好ましい。
上記のようにして得られた反応液は、加熱により反応
を停止させ、生成したN−アセチルラクトサミンを必要
に応じて活性炭カラムクロマトグラフィー、ゲル濾過、
高速液体クロマトグラフィー等の手段を組み合わせて精
製することができる。
〈実施例〉 以下に、本発明の実施例について、さらに具体的に説
明するが、かかる説明によって本発明が何ら限定されな
いことは勿論である。
(1)ラクトース0.9gとN−アセチルグルコサミン1.1g
(モル比1:2)を0.1Mを0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶
解し、5ml溶液とした。この溶液に、バシラス サーキ
ュランス起源の市販β−ガラクトシダーゼ(大和化成:
ビオラクタ)を12U添加し、25℃で28時間反応させ、5
分間の煮沸により反応を停止した。次に、得られた反応
液のN−アセチルラクトサミンの生成量を高速液体クロ
マトグラフィーにより測定した。本反応により295mgの
N−アセチルラクトサミンが製造された (2)ラクトース0.45gとN−アセチルグルコサミン1.1
g(モル比1:4)を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解
し、5ml溶液とした。この溶液に、バシラス サーキュ
ランス起源の市販β−ガラクトシダーゼ(大和化成:ビ
オラクタ)を14U添加し、25℃で10時間反応させ、5分
間の煮沸により反応を停止した。次に、得られた反応液
のN−アセチルラクトサミンの生産量を高速液体クロマ
トグラフィーにより測定した。本反応により、200mgの
N−アセチルラクトサミンが製造された。
β−ガラクトシダーゼの酵素活性の測定 10mMのONP−Gal(オルトーニトロフェニルガラクトシ
ド)溶液0.2mlと0.1Mリン酸緩衝液(pH7)0.7mlを混合
し、適当濃度に希釈した酵素液0.1mlを加え、30℃で反
応を行った。1MNa2CO22mlを加え、反応停止後、オルト
ーニトロフェノールの吸収である420nmの吸光度を測定
した。酵素活性1Uは、1分間に1μmoleのオルトーニト
ロフェノールを遊離する酵素量と定義した。
N−アセチルラクトサミンの分析 実施例で得られた反応液は、次の高速液体クロマトグ
ラフィーの条件で測定した。
カラム:YMC−Pack PA−03(4.6×250mm) 移動層:アセトニトリル:水=80:20 流 速:0.8ml/min. 温 度:25℃ 検 出:UV215nm 資 料:10μl
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 19/26 CA(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ラクトースとN−アセチルグルコサミンを
    含有する基質にバシラス サーキュランス(Bacillus c
    irculans)の生産するβ−ガラクトシダーゼを作用さ
    せ、ガラクトース転移反応を行わせることを特徴とする
    N−アセチルラクトサミンの製造法。
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