JP2819313B2 - N―アセチルラクトサミンの製造方法 - Google Patents
N―アセチルラクトサミンの製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、人乳オリゴ糖や複合糖質の糖鎖中に含まれ
るN−アセチルラクトサミンの製造法に関するものであ
る。
るN−アセチルラクトサミンの製造法に関するものであ
る。
〈従来の技術〉 N−アセチルラクトサミンは、血液型糖蛋白質の分解
物から最初に単離されたガラクトースとN−アセチルグ
ルコサミンがβ−1,4結合したアミノ2糖で、人乳オリ
ゴ糖や、リポ多糖、各種の糖蛋白質及び糖脂質の糖鎖中
に存在する生化学的に非常に重要なオリゴ糖である。ま
た、腸内細菌の一つビフィズス菌の発育因子としても知
られ、機能性食品素材としても有用な物質である。
物から最初に単離されたガラクトースとN−アセチルグ
ルコサミンがβ−1,4結合したアミノ2糖で、人乳オリ
ゴ糖や、リポ多糖、各種の糖蛋白質及び糖脂質の糖鎖中
に存在する生化学的に非常に重要なオリゴ糖である。ま
た、腸内細菌の一つビフィズス菌の発育因子としても知
られ、機能性食品素材としても有用な物質である。
従来、N−アセチルラクトサミンの製造は、化学合成
もしくは高エネルギー化合物UDPガラクトースとN−ア
セチルグルコサミンを基質として、ラクトース合成酵素
により合成されることが知られているが、これらの方法
は、工程が複雑でしかも高価となり工業的にはまだ難点
の多い製造法である。一方、簡便な方法として、ラクト
ースとN−アセチルグルコサミンを基質として、ラクト
バシラスィフィダス(Lactobacillus bifidus)やスポ
ロボロミセス シングラリス(Sporobolomyces singul
aris)の生菌体を用いた報告[J.Biol.Chem.,217,79(1
955),Can.J.Chem.,42,2307(1964)]や、ラクトバシ
ラス ビフィダスの生産するβ−ガラクトシダーゼを作
用させた報告[J.Biol.Chem.,208,299(1954)]などが
ある。又、最近ではガラクトースとN−アセチルグルコ
サミンを基質としてエシェリシア コリ(Escherichia
coli)の生産するβ−ガラクトシダーゼを作用させ、
脱水縮合反応によるN−アセチルラクトサミン生産の報
告[第10回糖質シンポジウム講演要旨集,p107(198
7)]も示されている。
もしくは高エネルギー化合物UDPガラクトースとN−ア
セチルグルコサミンを基質として、ラクトース合成酵素
により合成されることが知られているが、これらの方法
は、工程が複雑でしかも高価となり工業的にはまだ難点
の多い製造法である。一方、簡便な方法として、ラクト
ースとN−アセチルグルコサミンを基質として、ラクト
バシラスィフィダス(Lactobacillus bifidus)やスポ
ロボロミセス シングラリス(Sporobolomyces singul
aris)の生菌体を用いた報告[J.Biol.Chem.,217,79(1
955),Can.J.Chem.,42,2307(1964)]や、ラクトバシ
ラス ビフィダスの生産するβ−ガラクトシダーゼを作
用させた報告[J.Biol.Chem.,208,299(1954)]などが
ある。又、最近ではガラクトースとN−アセチルグルコ
サミンを基質としてエシェリシア コリ(Escherichia
coli)の生産するβ−ガラクトシダーゼを作用させ、
脱水縮合反応によるN−アセチルラクトサミン生産の報
告[第10回糖質シンポジウム講演要旨集,p107(198
7)]も示されている。
〈発明が解決しようとする課題〉 しかしながら、いずれの製造法もN−アセチルラクト
サミンの生成量が非常に少ない欠点がある。そこで本発
明者らは、前述の欠点を解決すべく種々検討した結果、
ラクトースとN−アセチルグルコサミンを基質とし、β
−ガラクトシダーゼを塩析剤存在下で作用させることに
より、N−アセチルラクトサミンの生成量が増加するこ
とを見い出し、本発明を完成するに至った。
サミンの生成量が非常に少ない欠点がある。そこで本発
明者らは、前述の欠点を解決すべく種々検討した結果、
ラクトースとN−アセチルグルコサミンを基質とし、β
−ガラクトシダーゼを塩析剤存在下で作用させることに
より、N−アセチルラクトサミンの生成量が増加するこ
とを見い出し、本発明を完成するに至った。
〈問題を解決するための手段〉 本発明は、ラクトースとN−アセチルグルコサミンを
基質とし、β−ガラクトシダーゼを塩析剤存在下で作用
させ、ガラクトース転移反応により、N−アセチルラク
トサミンを効率よく製造する方法を提供することを目的
とする。
基質とし、β−ガラクトシダーゼを塩析剤存在下で作用
させ、ガラクトース転移反応により、N−アセチルラク
トサミンを効率よく製造する方法を提供することを目的
とする。
本発明に用いるβ−ガラクトシダーゼとしては、Kluy
veromyces fragilis、Kluyveromyces lactis、Escheric
hia coli、Asperillus niger、Lactobacillus bulgaric
us、Strepto coccus thermophilus、Aspergillus oryza
e、Bacillus circulansを起源とするものが例示でき、
これら市販されている酵素を使用することができる。
veromyces fragilis、Kluyveromyces lactis、Escheric
hia coli、Asperillus niger、Lactobacillus bulgaric
us、Strepto coccus thermophilus、Aspergillus oryza
e、Bacillus circulansを起源とするものが例示でき、
これら市販されている酵素を使用することができる。
本発明の塩析剤としては、硫酸アンモニウム、硫酸ナ
トリウム、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、クエン
酸ナトリウム、塩化ナトリウムが挙げられ、これらのう
ち1種または2種以上を用いることができ、濃度として
は、5〜30%が好ましい。反応に用いるラクトースとN
−アセチルグルコサミンの量は、モル比で1:1〜1:5と
し、全基質濃度として20〜70%とするのが好ましい。ま
た、本発明に用いるβ−ガラクトシダーゼは、反応系に
おいて0.5U/ml〜5U/mlとなるように添加し、pH4〜9、
温度5℃〜50℃に保持し、2時間〜50時間作用させるの
が好ましい。
トリウム、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、クエン
酸ナトリウム、塩化ナトリウムが挙げられ、これらのう
ち1種または2種以上を用いることができ、濃度として
は、5〜30%が好ましい。反応に用いるラクトースとN
−アセチルグルコサミンの量は、モル比で1:1〜1:5と
し、全基質濃度として20〜70%とするのが好ましい。ま
た、本発明に用いるβ−ガラクトシダーゼは、反応系に
おいて0.5U/ml〜5U/mlとなるように添加し、pH4〜9、
温度5℃〜50℃に保持し、2時間〜50時間作用させるの
が好ましい。
上記のようにして得られた反応液は、加熱により反応
を停止させ、生成したN−アセチルラクトサミンを必要
に応じて活性炭カラムクロマトグラフィー、ゲル濾過、
高速液体クロマトグラフィー等の手段を組み合わせて精
製することができる。
を停止させ、生成したN−アセチルラクトサミンを必要
に応じて活性炭カラムクロマトグラフィー、ゲル濾過、
高速液体クロマトグラフィー等の手段を組み合わせて精
製することができる。
〈実施例〉 以下に、本発明の実施例について、さらに具体的に説
明するが、かかる説明によって本発明が何ら限定されな
いことが勿論である。
明するが、かかる説明によって本発明が何ら限定されな
いことが勿論である。
20%硫酸アンモニウムを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
0)にラクトース0.9gとN−アセチルラクトサミン1.1g
(モル比1:2)を溶解した5mlの溶液に、市販β−ガラク
トシダーゼ(ケイアイ化成(株):ラクターゼS)を12
U添加し、30℃で36時間反応させた。次に反応液は、5
分間の煮沸により反応を停止させ、N−アセチルラクト
サミンの生成量を高速液体クロマトグラフィーにより測
定した。本反応により、100mgのN−アセチルラクトサ
ミンが製造された。
0)にラクトース0.9gとN−アセチルラクトサミン1.1g
(モル比1:2)を溶解した5mlの溶液に、市販β−ガラク
トシダーゼ(ケイアイ化成(株):ラクターゼS)を12
U添加し、30℃で36時間反応させた。次に反応液は、5
分間の煮沸により反応を停止させ、N−アセチルラクト
サミンの生成量を高速液体クロマトグラフィーにより測
定した。本反応により、100mgのN−アセチルラクトサ
ミンが製造された。
〈比較例〉 本発明による実施例と同様の反応を硫酸アンモニウム
を含まない系で行い、N−アセチルラクトサミンの生成
量の変化を高速液体クロマトグラフィーにより測定し比
較した。その測定結果は図に示したとおりで、N−アセ
チルラクトサミンの生成量が、約1.5倍になっているこ
とがわかる。
を含まない系で行い、N−アセチルラクトサミンの生成
量の変化を高速液体クロマトグラフィーにより測定し比
較した。その測定結果は図に示したとおりで、N−アセ
チルラクトサミンの生成量が、約1.5倍になっているこ
とがわかる。
β−ガラクトシダーゼの酵素活性の測定 10mMのONP−Gal(オルトーニトロフェニルガラクトシ
ド)溶液0.2mlと0.1Mリン酸緩衝液(pH7)0.7mlを混合
し、適当濃度に希釈した酵素液0.1mlを加え、30℃で反
応を行った。1MNaCO32mlを加え、反応停止後、オルトー
ニトロフェノールの吸収である420nmの吸光度を測定し
た。酵素活性1Uは、1分間に1μmoleのオルトーニトロ
フェノールを遊離する酵素量と定義した。
ド)溶液0.2mlと0.1Mリン酸緩衝液(pH7)0.7mlを混合
し、適当濃度に希釈した酵素液0.1mlを加え、30℃で反
応を行った。1MNaCO32mlを加え、反応停止後、オルトー
ニトロフェノールの吸収である420nmの吸光度を測定し
た。酵素活性1Uは、1分間に1μmoleのオルトーニトロ
フェノールを遊離する酵素量と定義した。
N−アセチルラクトサミンの分析 実施例で得られた反応液は、次の高速液体クロマトグ
ラフィーの条件で測定した。
ラフィーの条件で測定した。
カラム:YMC−Pack PA−03(4.6×250mm) 移動層:アセトニトリル:水=80:20 流 速:0.8ml/min. 温 度:25℃ 検 出:UV215nm 試 料:10μl
図面は本発明による塩析剤の添加効果を示したものであ
る。
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 19/26 CA(STN)
Claims (3)
- 【請求項1】ラクトースとN−アセチルグルコサミンを
基質とし、β−ガラクトシダーゼを塩析剤存在下で作用
させることを特徴とするN−アセチルラクトサミンの製
造方法。 - 【請求項2】塩析剤が硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウ
ム、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、クエン酸ナト
リウム、塩化ナトリウムのうち、1種又は2種以上を用
いる、請求項1記載のN−アセチルラクトサミンの製造
方法。 - 【請求項3】塩析剤の濃度が、5〜30%である請求項1
記載のN−アセチルラクトサミンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18491989A JP2819313B2 (ja) | 1989-07-18 | 1989-07-18 | N―アセチルラクトサミンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18491989A JP2819313B2 (ja) | 1989-07-18 | 1989-07-18 | N―アセチルラクトサミンの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0349693A JPH0349693A (ja) | 1991-03-04 |
JP2819313B2 true JP2819313B2 (ja) | 1998-10-30 |
Family
ID=16161629
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18491989A Expired - Fee Related JP2819313B2 (ja) | 1989-07-18 | 1989-07-18 | N―アセチルラクトサミンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2819313B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001292791A (ja) * | 2000-04-13 | 2001-10-23 | Seikagaku Kogyo Co Ltd | N−アセチルラクトサミンの製造方法 |
CA2520043C (en) | 2003-06-30 | 2009-09-01 | Clasado Inc. | Novel galactooligosaccharide composition and the preparation thereof |
JP2006223268A (ja) * | 2005-02-21 | 2006-08-31 | Yakult Honsha Co Ltd | ガラクトシル2糖類の製造法 |
GB0525857D0 (en) | 2005-12-20 | 2006-02-01 | Product and process | |
GB0601901D0 (en) | 2006-01-31 | 2006-03-08 | Product and Process | |
GB0606112D0 (en) | 2006-03-28 | 2006-05-03 | Product and process |
-
1989
- 1989-07-18 JP JP18491989A patent/JP2819313B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH0349693A (ja) | 1991-03-04 |
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