JP2819250B2 - ビニルフェノール系重合体の金属除去法 - Google Patents

ビニルフェノール系重合体の金属除去法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はビニルフェノール系重合
体、すなわちビニルフェノールの単独重合体、ビニルフ
ェノールと他のコモノマーとの共重合体、あるいはそれ
らの改質体ないし誘導体等を溶液状態でフィルターを通
過させることにより、含有されている例えばナトリウ
ム、鉄、カルシウム等の金属を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビニルフェノールの製造法としては、ア
セトキシフェニルメチルカルビノールを脱水する方法、
ヒドロキシ桂皮酸を脱炭酸分解する方法、エチルフェノ
ールを脱水素する方法などが知られている。これらの方
法で得られたビニルフェノールモノマーをカチオンある
いはラジカル重合開始剤の存在下で単独重合あるいは他
のコモノマーと共重合させることによってビニルフェノ
ール系重合体を得ることも知られている。さらに、これ
らビニルフェノール系重合体を水素処理する光透過性に
優れた改質体の製造法(特開平1−103604号)あ
るいはビニルフェノール系重合体の水酸基の反応による
各種エステルおよびエーテル誘導体の製造法、ならびに
ビニルフェノール系重合体の各種核置換誘導体の製造法
なども知られている。これらのビニルフェノール系重合
体の製造においては、一般に出発原料あるいは副資材に
例えばナトリウム、鉄、カルシウムなどの金属が含まれ
ている。また、その製造操作中にも製造装置材質あるい
は該製造装置または環境の汚れに由来する金属の混入も
避けることは極めて困難である。従ってこれらの方法で
製造されたビニルフェノール系重合体中にはナトリウ
ム、鉄、カルシウムなどの金属不純物の存在は避けがた
いものである。
【0003】 一方、ビニルフェノール系重合体はフォ
トレジスト、IC封止材、プリント配線基板などの素材
として非常に有用な物質であって、これらエレクトロニ
クス分野に多くの用途がある。ところでこれらのエレク
トロニクス分野のデバイスにおいては、近年益々精密化
し、高性能の電気特性を発揮するために使用される素材
中の金属不純物の含有量を非常に少量に止める必要が生
じている。従って、ビニルフェノール系重合体をエレク
トロニクス分野の素材として使用するためには、上記の
ような方法で製造されたものから金属不純物を除去し、
その含有量を非常に少量に低減させることが必要となっ
た。
【0004】そこで、従来からビニルフェノール系重合
体から金属不純物を除去する方法として、(イ)ビニル
フェノール系重合体を溶媒に溶解して溶液状態にて強酸
性カチオン交換樹脂と接触させる金属除去方法(特開平
5−148308号)、(ロ)ビニルフェノール系重合
体を溶媒に溶解して溶液状態にて特定の水素化工程と強
酸性カチオン交換樹脂と接触させる金属除去工程に付
す、遠紫外線透過率が高く、かつ金属含有量の低減され
たビニルフェノール系重合体を得る方法(特開平5−1
48309号)、および(ハ)ビニルフェノール系重合
体を溶媒に溶解して溶液状態にて酸性化合物を含む水溶
液と接触させ、その後さらにイオン交換水と接触させる
金属除去方法(特開平6−192318号)が提案され
ている。
【0005】しかし、上記(イ)あるいは(ロ)のよう
な強酸性カチオン交換樹脂と接触させる方法では、金属
除去の程度を高くするためにはビニルフェノール系重合
体の溶液の通過速度をあまり早くすることができず生産
性が良好でないこと、溶媒の種類によっては、溶媒が一
部分解して酸を生じ、それが混入して得られるビニルフ
ェノール系重合体がフォトレジスト材としては好ましく
ないものとなること、および強酸性カチオン交換樹脂の
市販品を金属除去に好適な状態にするためのいわゆるコ
ンディショニングに多量の洗浄水および溶剤が必要であ
ること等の問題がある。また、上記(ハ)のような酸性
化合物を含む水溶液と接触させる方法ではビニルフェノ
ール系重合体溶液と水溶液がエマルジョンを形成して分
離が困難になる場合があること、酸性化合物による溶媒
の分解を生じる場合があること、および水洗後に溶液か
ら水を除くために減圧蒸留をする必要があり、工程が複
雑になるなどの問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記の
ような従来のビニルフェノール系重合体の金属除去法の
問題点を解決し、簡単な装置と操作によって効率的かつ
経済的にビニルフェノール系重合体から金属不純物を除
去し、その含有量を非常に少量に低減し得る方法を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成すべく研究した結果、ビニルフェノール系重合体を
溶媒に溶解して、カチオン電荷調節剤によってゼータ電
位を生じるフィルターに通過させることによって上記目
的を容易に達成し得ることを見いだして本発明を完成さ
せた。
【0008】したがって、本発明の要旨は、カチオン電
荷調節剤によってゼータ電位を生じるフィルターにビニ
ルフェノール系重合体を溶媒に溶解して溶液状態にて通
過させることを特徴とするビニルフェノール系重合体の
金属除去法に存する。
【0009】本発明方法を適用するビニルフェノール系
重合体としては次のものが挙げられる。 (a) p−ビニルフェノールあるいはm−ビニルフェノー
ル等のビニルフェノール類の単独重合体。必要に応じて
p体あるいはm体等の異性体が混在していても差し支え
ない。 (b) ビニルフェノール類と他のコモノマー、例えばスチ
レン、アクリル酸あるいはそのエステル類、メタクリル
酸あるいはそのエステル類、無水マレイン酸、マレイン
酸あるいはそのエステル類、さらにはマレイミド類等と
の共重合体であって、コモノマーの割合が70モル%以
下、好ましくは50モル%以下のもの。 (c) 上記(a)あるいは(b)の重合体のフェノール性水酸基
の酢酸、安息香酸等のエステル類、あるいは該重合体の
フェノール性水酸基のメチルエーテル、第3ブチルエー
テル、トリメチルシリルエーテル等のエーテル類。 (d) 上記(a)あるいは(b)の重合体の芳香核のアルキル化
体、ハロゲン化体、メチロール化体等の核置換体。 (e) 上記(a)あるいは(b)の重合体の単独あるいはノボラ
ック型フェノール樹脂との加熱溶融改質体。 (f) 上記(a)あるいは(b)の重合体の水素処理改質体。
【0010】本発明方法においては、上記のような各種
ビニルフェノール系重合体を溶媒に溶解して溶液状態で
カチオン電荷調節剤によってゼータ電位を生じるフィル
ターに通過させる。ビニルフェノール系重合体を溶解す
る溶媒としては、ビニルフェノール系重合体を溶解し得
る溶媒であれば良い。その例を示せば、ビニルフェノー
ル系重合体の種類および処理条件にもよるが、一般的に
メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコ
ール類;酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類;テト
ラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;アセ
トン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリ
コールエチルエーテル、エチレングリコールエチルエー
テルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアルキ
レングリコールエーテルないしエステル類等が挙げられ
る。
【0011】本発明方法で用いるカチオン電荷調節剤に
よってゼータ電位を生じるフィルターとは、カチオン電
荷調節剤によってカチオン電荷が与えられており、通過
する液体中の荷電物質との間でゼータ電位を生じるフィ
ルターの意である(以下「ゼータ電位を生じるフィルタ
ー」と称する)。ゼータ電位を生じるフィルターは、一
般に、濾材にカチオン電荷調節剤を加えて製造されたも
のである。濾剤は、一般に、粒子成分と繊維成分等から
なり、その粒子成分としては、ケイソウ土、パーライ
ト、活性炭、ゼオライト等が一般に用いられ、その繊維
成分としては、木綿、パルプ、酢酸セルロース、ポリエ
ステル繊維等が一般に用いられる。また、カチオン電荷
調節剤としては、特公昭63−17486号に記載され
ているようなポリアミド−アミンエピクロロヒドリンカ
チオン樹脂、特公昭36−20045号に記載されてい
るようなN、N´−ジエタノールピペラジン、メラミ
ン、ホルマリンおよびグリセリンフタル酸エステルを反
応させた樹脂、米国特許第4007113号に記載され
ているようなメラミン−ホルムアルデヒドカチオン樹
脂、米国特許第2802820号に記載されているよう
なジシアンジアミド、モノエタノールアミンおよびホル
ムアルデヒドの反応物、米国特許第2839506号に
記載されているようなアミノトリアジン樹脂等が一般に
用いられ、中でも特にポリアミド−アミンエピクロロヒ
ドリンカチオン樹脂が安定したカチオン電荷をフィルタ
ーに与え、好ましく用いられる。フィルターの濾過精度
は、特に限定する必要はないが、0.1〜1.0μm程
度が適当である。本発明方法では、ゼータ電位を生じる
フィルターであれば、市販されているものを広く用いる
ことができるが、例えばキュノ(株)製のゼータプラス
は好ましく用いられる。
【0012】ビニルフェノール系重合体の溶液をゼータ
電位を生じるフィルターに通過させるに当たっては、フ
ィルターからの溶出物の混入を防ぐために、あらかじめ
純水あるいはメタノール、アセトン等の溶媒でフィルタ
ーを洗浄しておくことが望ましい。また、フィルターを
通過させる際のビニルフェノール系重合体溶液のビニル
フェノール系重合体の濃度は、特に限定する必要はない
が、あまりに高濃度では、溶液の粘度が高くなってフィ
ルターを通過させるに高い圧力を要するので好ましくな
い。一方、あまりに低濃度では、低い圧力で操作できる
利点はあるものの、ビニルフェノール系重合体の処理量
が減るので好ましくない。通常10〜40重量%の範囲
の濃度が適当である。フィルターへの通過速度は、高い
方が生産性の観点からは好ましいが、あまりに高流速で
はフィルターを通過させるに高い圧力が必要となり、ま
たゼータ電位による金属の吸着効率が低下する。通常
0.1〜10l /m2 ・minの範囲が適当である。
【0013】ビニルフェノール系重合体溶液をフィルタ
ーを通過させる温度は、通常は室温であるが、温度を高
くすれば溶液の粘度が低下し通過速度が上昇すると共に
吸着速度が早くなる利点がある。しかし、あまりに高温
ではフィルターの劣化、溶媒の分解およびビニルフェノ
ール系重合体の変質の恐れがあり、好ましくない。一般
に、室温〜50℃の範囲が適当である。
【0014】本発明方法に従ってビニルフェノール系重
合体溶液をゼータ電位を生じるフィルターに通過させる
に当たり、あらかじめゼータ電位を生じない通常のフィ
ルターで前処理を行えば、この通常のフィルターで不純
物小粒子が補足されるから、ゼータ電位を生じるフィル
ターの目詰まりによるビニルフェノール系重合体溶液の
フィルター通過に要する圧力の経時上昇を低減し、同時
にゼータ電位による金属の吸着補集能力の劣化を抑え
て、ゼータ電位を生じるフィルターの寿命を延長するこ
とができる。この前処理のための通常のフィルターとし
ては、濾面濾過型および濾材濾過型のいずれでも良く、
またその材質が例えばセルロース、コットン、ポリプロ
ピレン、ポリテトラフロロエチレン等のもので、金属な
ど不純物の溶出が無いものが適当である。また、この前
処理のための通常のフィルターの濾過精度は、ゼータ電
位を生じるフィルターと同程度の0.1〜1.0μm程
度が適当であるが、特にこれに限定はされない。
【0015】また、本発明方法を、前記各種のビニルフ
ェノール系重合体の内、(f)の水素処理改質体に適用
すれば、次世代高集積度の半導体メモリーを製造するた
めのフォトレジスト材として適したビニルフェノール系
重合体が得られる。すなわち、次世代高集積度の半導体
メモリーを製造するためのフォトレジスト材は、遠紫外
光、中でも248nmの波長を有するKrFエキシマレ
ーザー光の透過率が高く、かつ不純金属含有量が少ない
ことが求められているが、当該水素処理改質体は、24
8nmの波長を有するKrFエキシマレーザー光の透過
率が高いものであるから、これに本発明方法を適用して
金属を除去すれば、得られるビニルフェノール系重合体
は、遠紫外光の透過率に優れ、かつ金属含有量が低減さ
れたものとなり、次世代高集積度の半導体メモリーを製
造するためのフォトレジスト材として適したものとな
る。また、当該水素処理改質体は、一般に、前記特開平
1−103604号に示されているように、ビニルフェ
ノール系重合体を溶媒に溶解して溶液とし、それを第VI
II族金属触媒の存在下で水素処理を施すことにより得ら
れるが、これに対する本発明方法の適用法に関し、本発
明者らは、次のことを知見している。すなわち、ビニル
フェノール系重合体の水素処理を行ったのち、その水素
処理液からビニルフェノール系重合体の水素処理改質体
を単離することなく、水素処理液をそのまま、あるいは
必要に応じて該水素処理改質体の濃度を調整したのち、
ゼータ電位を生じるフィルターに通過させることによ
り、容易に効率的かつ経済的に、遠紫外光の透過性に優
れかつ不純金属が低減された重合体を得ることができる
ことを知見している。水素処理液をゼータ電位を生じる
フィルターに通過させるに先立ち、必要に応じて、あら
かじめゼータ電位を生じない通常のフィルターで前処理
して差し支えないことは無論である。
【0016】上記ビニルフェノール系重合体の水素処理
液に本発明方法を適用する方法についてさらに詳細に説
明すれば、まず、ビニルフェノール系重合体の水素処理
は、上記のとおり、一般に、特開平1−103604号
に示されているような、ビニルフェノール系重合体を溶
媒に溶解して溶液とし、それを第VIII族金属触媒の存在
下に水素と接触させる方法で行えば良い。この水素処理
の溶媒としては、ビニルフェノール系重合体を溶解し得
て、かつビニルフェノール系重合体の水素処理時に安定
であり、また本発明のゼータ電位を生じるフィルターで
の金属除去処理にも共通して用い得る溶媒が用いられ
る。その例としては、前記したゼータ電位を生じるフィ
ルターでの金属除去処理に当たって用い得る溶媒例とし
て挙げたと同様の各種溶媒が挙げられる。これらの溶媒
の水素処理における使用量は、通常溶液中の重合体の濃
度が10〜50重量%となる範囲の量が適当であるが、
特にこの範囲に限定する必要はない。触媒の第VIII族金
属触媒としては、ニッケル、コバルト、パラジウム、白
金、ロジウムが適当である。その形態としては、金属単
体、金属酸化物担体担持のいずれでも良い。ニッケルお
よびコバルトはいわゆるラネー型としても使用される。
これら金属触媒存在下でのp−ビニルフェノール系重合
体溶液と水素の接触はオートクレーブを用いる回分式あ
るいは固定床流通式等の連続式のいずれかを適宜選択し
て実施される。水素化処理の温度は50〜300℃が適
当であり、好ましくは150〜250℃である。水素圧
は10〜200kg/cm2 が適当であり、好ましくは
50〜100kg/cm2 である。また、触媒の使用量
は、回分式の場合は重合体に対して金属として0.01
〜10重量%程度、流通式の場合は触媒に対する重合体
の流速が0.1〜10kg/kg・hr程度が適当であ
る。処理時間は、用いる触媒種とその量、処理温度等の
処理条件さらには処理する重合体の特性等に応じて任意
に選択すれば良い。
【0017】上記の水素処理で得られた水素処理液は、
次いで、触媒が含まれている場合には触媒を除去したの
ち、本発明のゼータ電位を生じるフィルターでの金属除
去処理に供される。この際、水素処理液をそのまま金属
除去処理に供しても良いし、必要に応じて水素処理液に
溶媒を加えたり、あるいは水素処理液から溶媒の一部を
蒸発などにより除去したりして、水素処理液の重合体濃
度を調整してから金属除去処理に供しても良い。水素処
理液に加える溶媒としては、水素化処理で用いたと同一
の溶媒が適当であるが、例えば水素化工程で2種の混合
溶媒が用いられているとき、いずれか一つの溶媒のみで
あっても差支えない。
【0018】以上説明したような本発明方法によって金
属を除去したビニルフェノール系重合体は、溶液状態の
まま必要に応じて溶媒量を調整して各種用途に供しても
良いし、あるいは溶液を純水に投入して重合体を沈殿さ
せ、ついで濾過・乾燥する方法、もしくは溶液を減圧加
熱処理して溶媒を除いて乾燥する方法によって精製品と
しても良い。
【0019】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。また、以下の実施例および比較例
において割合および百分率は特記しない限り重量基準で
ある。
【0020】実施例1 ポリp−ビニルフェノール(重量平均分子量5000)
をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
に溶解し、25%溶液とした。ゼータ電位を生じるフィ
ルターであるキュノ(株)製ゼータプラス90LA(径
90mm、厚さ3mm、濾過精度約0.1μmのディス
ク状フィルター;パーライト/ケイソウ土/セルロース
の濾材とカチオン電荷調節材樹脂で構成されたもの)を
純水200ml、メタノール200mlおよびプロピレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート200ml
で逐次洗浄したのち、上記ポリp−ビニルフェノールの
溶液を19g/minの速度で通過させた。この通過速
度を上記フィルターに対するSVに換算すれば、SVは
60g/ml・hrとなる。溶液中の金属分をフレーム
レス原子吸光分析計で測定したところ、処理前の溶液中
の金属量はナトリウムが262ppb、鉄が63pp
b、カルシウムが34ppbであり、処理後の溶液中の
金属量はナトリウムが4ppb以下、鉄が4ppb、カ
ルシウムが5ppbであった。また、溶液中の酸量を
0.02Nの水酸化カリウムで電位差滴定したところ、
処理前の溶液では0.001meq/g、処理後の溶液
では0.002meq/gであり、処理前後の溶液の酸
量はほぼ同等であって、用いた溶媒の分解は実質的に認
められない。
【0021】比較例1 ポリp−ビニルフェノール(重量平均分子量5000)
をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
に溶解し、25%溶液とした。強酸性カチオン交換樹脂
である三菱化成(株)製ダイヤイオンRCP−160H
(スチレン/ジビニルベンゼン架橋重合体のスルホン化
物でハイポーラス型のもの)60mlを内径20mmの
ガラス管に充填し、3%塩酸1l で処理し続いて純水1
l 、メタノール500ml、プロピレングリコールモノ
メチルエーテルアセテート500mlで逐次洗浄した。
このカラムに上記ポリp−ビニルフェノールの溶液を
1.5g/minの速度で通過させた。この通過速度を
強酸性カチオン交換樹脂に対するSVに換算すれば、S
Vは1.5g/ml・hrとなる。処理前の溶液中の金
属量は実施例1に示したとおりであり、処理後の溶液中
の金属量はナトリウムが4ppb以下、鉄が3ppb、
カルシウムが4ppbであった。また、処理後の溶液中
の酸量は0.025meq/gであった。この処理後の
溶液中の酸量は、実施例1における処理後の溶液中の酸
量の0.002meq/gと比べて一桁大きく、処理中
に用いた溶媒の分解が実質的に起こっていることが認め
られる。
【0022】実施例2 ポリp−ビニルフェノール(重量平均分子量6000)
750gをイソプロパノール2025gおよびメタノー
ル225gに溶解し、25%溶液とした。この溶液をオ
ートクレーブを用いてニッケルを触媒として温度200
℃、圧力70kg/cm2 で3時間水素処理を行った。
処理後の溶液を1μmフィルターに通過させてニッケル
触媒を濾別した。ついで、実施例1と同様のキュノ
(株)製ゼータプラス90LAに10g/minの速度
で通した。水素処理前のポリp−ビニルフェノール中の
金属量はナトリウムが1160ppb、鉄が210pp
b、カルシウムが124ppbであり、1.0×10-4
g/ml濃度のエタノール溶液の248nmにおける光
透過率は59.1%であった。水素処理を行い、触媒を
濾別後、減圧加熱によって溶液から溶媒を除いた乾燥樹
脂の金属量はナトリウムが950ppb、鉄が150p
pb、カルシウムが105ppbであり、248nmに
おける光透過率は78.5%であった。触媒を濾別した
溶液をキュノ(株)製ゼータプラス90LAに通過させ
たのち、減圧加熱によって溶媒を除いた乾燥樹脂中の金
属量はナトリウムが4ppb以下、鉄が12ppb、カ
ルシウムが26ppbであり、248nmにおける光透
過率は78.3%であった。
【0023】実施例3 ポリm−ビニルフェノール(重量平均分子量8500)
をイソプロピルアルコールに溶解し、25%溶液とし
た。この溶液中の金属量はナトリウムが92ppb、鉄
が120ppb、カルシウムが25ppbであった。こ
の溶液をキュノ(株)製ゼータプラス60LA(濾過精
度が約0.5μmである以外は、実施例1で用いたゼー
タプラス90LAと同様のもの)に12g/minの速
度で通過させた。通し始めて30分後の濾過圧力は0.
8kg/cm2 であり、濾過液中の金属量はナトリウム
が3ppb、鉄が6ppb、カルシウムが7ppbであ
った。通し始めて13時間後の濾過圧力は2.5kg/
cm2 であり、濾過液中の金属量はナトリウムが5pp
b、鉄が7ppb、カルシウムが10ppbであった。
【0024】実施例4 実施例3と同様のポリm−ビニルフェノールの溶液を、
あらかじめポリテトラフロロエチレン製の0.1μmフ
ィルターで前処理濾過を行い、その後実施例3と同様の
キュノ(株)製ゼータプラス60LAに12g/min
の速度で通過させた。通し始めて30分後の濾過圧力は
0.8kg/cm2 であり、濾過液中の金属量はナトリ
ウムが3ppb、鉄が5ppb、カルシウムが8ppb
であった。通し初めて13時間後の濾過圧力は1.2k
g/cm2 であり、濾過液中の金属量はナトリウムが4
ppb、鉄が5ppb、カルシウムが10ppbであっ
た。この実施例ではあらかじめポリテトラフロロエチレ
ン製フィルターで前処理濾過を行ったので、13時間後
の濾過圧力が実施例3の場合の約半分であった。
【0025】実施例5 p−ビニルフェノール/メタクリル酸メチル(55:4
5モル比)の共重合体(重量平均分子量8100)を乳
酸エチルに溶解し、25%溶液とした。この溶液を実施
例1と同様のキュノ(株)製ゼータプラス90LAに1
0g/minの速度で通過させた。通過前の溶液中の金
属量はナトリウムが135ppb、鉄が90ppb、カ
ルシウムが65ppbであり、濾過液中の金属量はナト
リウムが3ppb、鉄が20ppb、カルシウムが5p
pbであった。
【0026】実施例6 臭素化ポリp−ビニルフェノール(臭素置換度1.5/
核、重量平均分子量6500)をジエチレングリコール
ジメチルエーテルに溶解し、25%溶液とした。この溶
液を実施例1と同様のキュノ(株)製ゼータプラス90
LAに10g/minの速度で通過させた。通過前の溶
液中の金属量はナトリウムが87ppb、鉄が96pp
b、カルシウムが65ppbであり、濾過液中の金属量
はナトリウムが5ppb、鉄が3ppb、カルシウムが
5ppbであった。
【0027】
【発明の効果】本発明方法によれば、各種ビニルフェノ
ール系重合体からナトリウム、鉄、カルシウム等のアル
カリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等幅広い範囲の
金属不純物を、溶液状でゼータ電位を生じるフィルター
に通過させるという簡単な操作と装置によって、効率的
かつ経済的に除去することができる。また、本発明方法
により金属不純物が除去されたビニルフェノール系重合
体は金属不純物の含有量が非常に低減されており、エレ
クトロニクス分野の素材として好適に用いることができ
る。特に、ビニルフェノール系重合体を溶液状で水素処
理した水素処理液に本発明方法を適用すれば、容易に効
率的かつ経済的に、遠紫外光の透過性に優れかつ金属不
純物の含有量が低減されたフォトレジスト材として極め
て好ましいものが得られる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カチオン電荷調節剤によってゼータ電位
    を生じるフィルターにビニルフェノール系重合体を溶媒
    に溶解して溶液状態にて通過させることを特徴とするビ
    ニルフェノール系重合体の金属除去法。
  2. 【請求項2】 カチオン電荷調節剤によってゼータ電位
    を生じるフィルターに通過させるに先立ち、ビニルフェ
    ノール系重合体を溶媒に溶解した溶液をあらかじめゼー
    タ電位を生じないフィルターに通過させる請求項1記載
    のビニルフェノール系重合体の金属除去法。
  3. 【請求項3】 電荷調節剤によってゼータ電位を生じる
    フィルターに通過させるビニルフェノール系重合体を溶
    媒に溶解した溶液が、ビニルフェノール系重合体を溶媒
    に溶解して溶液状態にて第VIII族金属触媒の存在下に水
    素と接触させた水素処理液である請求項1または2記載
    のビニルフェノール系重合体の金属除去法。
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