JP4747399B2 - 脂環族系重合体中の金属除去方法 - Google Patents
脂環族系重合体中の金属除去方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂環族系重合体、あるいはそれらの改質体ないし誘導体などに含有されている、例えば、ナトリウム、鉄などの金属を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
脂環族系重合体はフォトレジストの素材として非常に有用な物質であって、エレクトロニクス分野に多くの用途がある。これらのエレクトロニクス分野のデバイスにおいてはその構造が近年益々微細化し、電気特性の高性能化のために使用される素材中の金属不純物の含有量を著しく低く抑制することが求められる。従って、脂環族系重合体をエレクトロニクス分野の素材として使用する場合にも金属不純物が極く少量に抑制されていることが重要である。
【0003】
従来知られている脂環族系重合体に含まれる金属不純物を除去、低減する方法として、イオン交換樹脂に金属イオンを吸着させる方法がある。しかし、この方法には、イオン交換樹脂が、粒状のものが多いために扱いにくいこと、また、金属イオンを吸着させた後、アルカリ性(または酸性)の溶液による逆再生処理、水洗および、酸性(またはアルカリ性)の溶液による再生処理と、多くのプロセスが必要であることなどの問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、エネルギー効率が高くかつ金属を高効率で低減することができる除去方法を提供することである。
【0005】
【発明が解決するための手段】
本発明者らは上記のような従来の技術の問題点を解決すべく研究を行った結果、脂環族系重合体の原料モノマーまたは溶媒に溶解した状態の脂環族系重合体を、特定の濾材を通液させることによって、上記の目的を達成することができ、本発明を完成させた。
即ち、本発明は第一に、ゼータ電位が作用する濾材(以下、「機能性濾材」という)にモノマー(以下、「特定モノマー」ともいう)を通液させた後、当該モノマーを用いて脂環族系重合体を合成することを特徴とする。
本発明は第二に、金属除去方法として、ゼータ電位が作用する濾材に脂環族系重合体の有機溶媒溶液を通液させることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0007】
[特定モノマー]
本発明の方法により処理される特定モノマーは、フォトレジストの素材として有用に用いられる脂環族系重合体の原料である。ここで言う脂環族系重合体は、脂環式骨格を有する重合体であれば、特に限定されない。特に、フォトレジストの素材として有用であり、本発明の処理方法に好適に用いられる重合体としては、脂環式骨格を有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の酸解離性基含有樹脂であって、該酸解離性基が解離したときアルカリ可溶性となる樹脂(以下、「特定樹脂」ともいう)が挙げられる。当該樹脂としては、例えばカルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有するアルカリ可溶性樹脂中の該酸性官能基の一部または全部を酸解離性基に変換した、アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の脂環族系樹脂を挙げることができる。
特定樹脂の出発物質として用いられる特定モノマーとしては、例えば、下記式(1)で表されるノルボルネン系化合物(以下、「ノルボルネン系化合物(α)」ともいう)および/または下記式(2)で表されるアクリル系化合物(以下、「アクリル系化合物(β)」ともいう)が挙げられる。
【0008】
【化1】
【0009】
〔式(1)において、AおよびBは相互に独立に水素原子または酸の存在化で解離して酸性官能基を生じる炭素数20以下の1価の酸解離性基を示し、かつAとBの少なくとも1つは該酸解離性基であるか、あるいはAおよびBが式(1)の脂環式骨格を構成する2個の炭素原子と結合して下記式(a)で表される複素環構造の酸解離性基を形成しており、XおよびYは相互に独立に水素原子または炭素数1〜4の1価の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示し、nは0〜2の整数である。〕
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】
〔式(2)において、R1 は水素原子またはメチル基を示し、R2 は水素原子、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または酸の存在下で解離して酸性官能基を生じる炭素数20以下の1価の基(但し、炭素数3〜4の1−分岐アルキル基を除く。)を示す。〕
【0013】
ノルボルネン系化合物(α)
上記式(1)において、AおよびBの炭素数20以下の1価の酸解離性基(以下、「酸解離性基(i)」という。)としては、例えば、下記式(3)で表される基等を挙げることができる。
【0014】
−(CH2 )x COOR3 (3)
【0015】
〔式(3)において、R3 は炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のハロゲン化炭化水素基、アルコキシカルボニルメチル基(但し、アルコキシル基の炭素数は1〜10である。)、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、カルボブトキシメチル基、カルボブトキシエチル基、カルボブトキシプロピル基もしくはトリアルキリルシリル基(但し、アルキル基の炭素数は1〜4である。)を示し、xは0〜4の整数である。〕
【0016】
酸解離性基(i)のうち、上記式(3)で表される基としては、例えば、
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、4−t−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘプチルオキシカルボニル基、シクロオクチルオキシカルボニル基等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシカルボニル基;
フェノキシカルボニル基、4−t−ブチルフェノキシカルボニル基、1−ナフチルカルボニル基等のアリーロキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル基、4−t−ブチルベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基;
【0017】
メトキシカルボニルメトキシカルボニル基、エトキシカルボニルメトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニルメトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニルメトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニルメトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニルメトキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニルメトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメトキシカルボニル基等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシカルボニルメトキシカルボニル基;
メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、i−プロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基、2−メチルプロポキシカルボニルメチル基、1−メチルプロポキシカルボニルメチル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、シクロヘキシルオキシカルボニルメチル基、4−t−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニルメチル基等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシカルボニルメチル基;
【0018】
フェノキシカルボニルメチル基、1−ナフチルオキシカルボニルメチル基等のアリーロキシカルボニルメチル基;
ベンジルオキシカルボニルメチル基、4−t−ブチルベンジルオキシカルボニルメチル基等のアラルキルオキシカルボニルメチル基;
2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−n−プロポキシカルボニルエチル基、2−i−プロポキシカルボニルエチル基、2−n−ブトキシカルボニルエチル基、2−(2−メチルプロポキシ)カルボニルエチル基、2−(1−メチルプロポキシ)カルボニルエチル基、2−t−ブトキシカルボニルエチル基、2−シクロヘキシルオキシカルボニルエチル基、2−(4−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニル)エチル基等の直鎖状、分岐状もしくは環状の2−アルコキシカルボニルエチル基;
2−フェノキシカルボニルエチル基、2−(1−ナフチルオキシカルボニル)エチル基等の2−アリーロキシカルボニルエチル基;
2−ベンジルオキシカルボニルエチル基、2−(4−t−ブチルベンジルオキシカルボニル)エチル基等の2−アラルキルオキシカルボニルエチル基や、
テトラヒドロフラニルオキシカルボニル基、テトラヒドロピラニルオキシカルボニル基
等を挙げることができる。
【0019】
これらの酸解離性基(i)のうち、式(3)のxが0である基が好ましく、さらに好ましくは、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメトキシカルボニル基等である。
【0020】
また、上記式(1)において、XおよびYの炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等を挙げることができ、特に、水素原子およびメチル基が好ましい。
さらに、式(1)において、nとしては、0または1が好ましい。
【0021】
ノルボルネン系単量体(α)のうち、式(1)のnが0である化合物の具体例としては、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n−プロポキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−i−プロポキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−メチルプロポキシ)カルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1’−メチルプロポキシ)カルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−t−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(4’−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)カルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−t−ブトキシカルボニルメトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
【0022】
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−n−プロポキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−i−プロポキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−n−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−(2’−メチルプロポキシ)カルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−(1’−メチルプロポキシ)カルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−t−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−(4’−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)カルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−t−ブトキシカルボニルメトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
【0023】
5,6−ジ(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(エトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(n−プロポキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(i−プロポキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(n−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(t−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(フェノキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(テトラヒドロフラニルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシアンハイドライドビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等を挙げることができる。
【0024】
また、ノルボルネン系単量体(α)のうち、式(1)のnが1である化合物の具体例としては、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−i−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−(2’−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−(1’−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシルオキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−(4’−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−t−ブトキシカルボニルメトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、
8−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
【0025】
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−i−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−(2’−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−(1’−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−シクロヘキシルオキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−(4’−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−t−ブトキシカルボニルメトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
【0026】
8,9−ジ(メトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8,9−ジ(エトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8,9−ジ(n−プロポキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8,9−ジ(i−プロポキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8,9−ジ(n−ブトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8,9−ジ(t−ブトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8,9−ジ(シクロヘキシルオキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8,9−ジ(フェノキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8,9−ジ(テトラヒドロフラニルオキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジ(テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジカルボキシアンハイドライドテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン等を挙げることができる。
【0027】
これらのノルボルネン系単量体(α)のうち、特に、5−t−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−t−ブトキシカルボニルメトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−t−ブトキシカルボニルメトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン等が好ましい。
【0028】
アクリル系化合物(β)
次に、上記式(2)において、R2 の炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
【0029】
また、R2 の酸の存在下で解離して酸性官能基を生じる炭素数20以下の1価の基としては、例えば、下記する置換メチル基、1−置換エチル基、1−分岐アルキル基、シリル基、ゲルミル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、環式酸解離性基等を挙げることができる。
前記置換メチル基としては、例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、ブロモフェナシル基、メトキシフェナシル基、メチルチオフェナシル基、α−メチルフェナシル基、シクロプロピルメチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、ブロモベンジル基、ニトロベンジル基、メトキシベンジル基、メチルチオベンジル基、エトキシベンジル基、エチルチオベンジル基、ピペロニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、i−プロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基、t−ブトキシカルボニルメチル基等を挙げることができる。
【0030】
また、前記1−置換エチル基としては、例えば、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基、1−フェノキシエチル基、1−フェニルチオエチル基、1,1−ジフェノキシエチル基、1−ベンジルオキシエチル基、1−ベンジルチオエチル基、1−シクロプロピルエチル基、1−フェニルエチル基、1,1−ジフェニルエチル基、1−メトキシカルボニルエチル基、1−エトキシカルボニルエチル基、1−n−プロポキシカルボニルエチル基、1−i−プロポキシカルボニルエチル基、1−n−ブトキシカルボニルエチル基、1−t−ブトキシカルボニルエチル基等を挙げることができる。
また、前記1−分岐アルキル基としては、例えば、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基等を挙げることができる。
【0031】
また、前記シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、i−プロピルジメチルシリル基、メチルジ−i−プロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メチルジ−t−ブチルシリル基、トリ−t−ブチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。
また、前記ゲルミル基としては、例えば、トリメチルゲルミル基、エチルジメチルゲルミル基、メチルジエチルゲルミル基、トリエチルゲルミル基、i−プロピルジメチルゲルミル基、メチルジ−i−プロピルゲルミル基、トリ−i−プロピルゲルミル基、t−ブチルジメチルゲルミル基、メチルジ−t−ブチルゲルミル基、トリ−t−ブチルゲルミル基、フェニルジメチルゲルミル基、メチルジフェニルゲルミル基、トリフェニルゲルミル基等を挙げることができる。
また、前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0032】
また、前記アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、p−トルエンスルホニル基、メシル基等を挙げることができる。
【0033】
さらに、前記環式酸解離性基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、4−メトキシシクロヘキシル基、3−ノルボルニル基、2−イソボルニル基、3−トリシクロデカニル基、8−トリシクロデカニル基、2−テトラシクロデカニル基、1−アダマンチル基、
1−(3−ヒドロキシアダマンチル)基、3−カルボキシトリシクロデカニル基、8−カルボキシテトラシクロデカニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、3−ブロモテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基、3−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド基、下記式(2−1)〜(2−45)で表される基や、これらの基の置換誘導体等を挙げることができる。
環式酸解離性基における前記置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、ヒドロキシル基、シアノ基等を挙げることができる。
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】
上記式(2)におけるR2 としては、水素原子、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、t−ブトキシカルボニル基、1−アダマンチル基、1−(3−ヒドロキシアダマンチル)基、テトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、4−メトキシテトラヒドロフラニル基や、上記式(2−1)、式(2−5)、式(2−6)、式(2−10)、式(2−19)、式(2−20)で表される基が好ましく、特に、水素原子、t−ブチル基、1−(3−ヒドロキシアダマンチル)基、上記式(2−1)、式(2−5)、式(2−6)、式(2−10)、式(2−19)、式(2−20)で表される基等が好ましい。
【0037】
上記式(2)のR2 がi−プロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基あるいは酸の存在下で解離して酸性官能基を生じる炭素数20以下の1価の基である場合、該単位中のカルボニルオキシ基にR2 が結合した−COOR2 は、酸の存在下で解離する酸解離性基をなすものである。以下では、これらの場合の−COOR2 を、「酸解離性基(ii)」という。
【0038】
アクリル系化合物(β)は、(メタ)アクリル酸、あるいは(メタ)アクリル酸中のカルボキシル基の水素原子をR2 (但し、水素原子を除く)で置換した化合物からなる。
【0039】
他の特定モノマー
特定樹脂の出発物質として好適に用いられる他の特定モノマーとしては、ノルボルネン系化合物(α)および/またはアクリル系化合物(β)と共重合して用いられる他のモノマーが挙げられる。特に、ノルボルネン系化合物(α)の共重合成分として好適なものとしては、無水マレイン酸および無水イタコン酸が挙げられる。特に、無水マレイン酸は、ノルボルネン系化合物との共重合性が良好であり、無水マレイン酸を共重合することにより、特定樹脂の分子量を所望の値にまで大きくすることができる。
【0040】
さらに、他の特定モノマーのうち、酸解離性基を有するものとしては、例えば、
5−ヒドロキシ−6−t−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−6−t−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−t−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−ヒドロキシ−9−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシメチル−9−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−カルボキシ−9−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン
等のノルボルネン系化合物;
(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、クロトンニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル、メサコンニトリル、シトラコンニトリル、イタコンニトリル等の不飽和ニトリル化合物;
マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等の不飽和イミド化合物等を挙げることができる。
【0041】
酸解離性基を有しない他のノルボルネン系化合物としては、例えば、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
【0042】
テトラシクロ [4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−メチルテトラシクロ [4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ [4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、
【0043】
8−ヒドロキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8,9−ジカルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、
【0044】
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロイソプロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、
【0045】
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−(2,2,2−トリフルオロカルボキシエチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロカルボキシエチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン等が挙げられる。
【0046】
酸解離性基を有しない他の特定モノマーとしては、例えば、
シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン、5−エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、トリシクロ[ 5.2.1.02,6 ] デカ−8−エン、トリシクロ[ 5.2.1.02,6 ] デカ−3−エン、トリシクロ[4.4.0.12,5 ] ウンデカ−3−エン、トリシクロ[ 6.2.1.01,8 ] ウンデカ−9−エン、トリシクロ[ 6.2.1.01,8 ] ウンデカ−4−エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10.01,6 ] ドデカ−3−エン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10.01,6 ] ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,12 ]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10.01,6 ] ドデカ−3−エン、ペンタシクロ[ 6.5.1.13,6 .02,7 .09,13 ]ペンタデカ−4−エン、ペンタシクロ[ 7.4.0.12,5 .19,12.08,13 ]ペンタデカ−3−エン等の脂環式骨格を有する化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル等の(メタ)アクリル酸の直鎖状アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸n−プロピル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸n−ブチル等のα−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の脂肪族不飽和カルボン酸類;(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸2−カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−カルボキシブチル等の脂肪族不飽和カルボン酸の遊離カルボキシル基含有エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニスエステル類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド、メサコンアミド、シトラコンアミド、イタコンアミド等の不飽和アミド化合物;N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の他の含窒素ビニル化合物;エチレン等を挙げることができる。
【0047】
さらに、他の特定モノマーのうち、多官能性モノマーとしては、例えば、メチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンジ(メタ)アクリレート、1,3−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンジ(メタ)アクリレート、1,2−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルジメチロールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0048】
これらの他の特定モノマーのうち、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−6−t−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−t−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ [4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシ−9−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−カルボキシ−9−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン等が好ましい。
【0049】
[脂環族系樹脂]
本発明の方法により処理される脂環族系樹脂としては、上述した特定樹脂が好ましく、厚さ0.4μmのフィルムとして100〜300nmの波長範囲内の放射線に対する透過率が60%/μm以上、好ましくは65%以上、特に好ましくは70%以上である樹脂が望ましい。
本発明において、好ましい特定樹脂としては、例えば、下記式(1’)に示す繰返し単位(I)および/または下記式(2’)に示す繰返し単位(II)を有する共重合体(以下、「共重合体(A1)」という。)を挙げることができる。
【0050】
【化6】
【0051】
〔式(1’)において、A、B、X、Yおよびnは、上記式(1)におけるそれぞれA、B、X、Yおよびnと同義である。〕
【0052】
【化7】
【0053】
〔式(2’)において、R1 およびR2 は、上記式(2)におけるそれぞれR1 およびR2 と同義である。〕
【0054】
繰返し単位(I)は、上述したノルボルネン系化合物(α)に由来した繰返し単位であり、繰返し単位(II)は、上述したアクリル系化合物(β)に由来した繰返し単位である。
また、共重合体(A1)が繰返し単位(I)をもたず、かつ繰返し単位(II)が酸解離性基(ii)をもたない場合、共重合体(A1)は、上述した酸解離性基を有する他の特定モノマーに由来した繰返し単位を有することが必要である。
【0055】
本発明において、好ましい樹脂(A1)としては、例えば、▲1▼繰返し単位(I)と無水マレイン酸に由来した繰返し単位とを有する樹脂、▲2▼繰返し単位(I)、無水マレイン酸に由来した繰返し単位および繰返し単位(II)を有する樹脂、▲3▼繰返し単位(I)以外のノルボルネン系化合物に由来した繰返し単位、無水マレイン酸に由来した繰返し単位および繰返し単位(II)を有する樹脂、等を挙げることができる。
【0056】
特定樹脂は、例えば、下記(イ)〜(ホ)の方法等により製造することができる。
(イ)ノルボルネン系化合物(α)を、好ましくは無水マレイン酸と共に、必要に応じて他の単量体の存在下で、ラジカル重合する方法。
(ロ)ノルボルネン系化合物(α)を場合により、開環共重合可能な他の不飽和脂環式化合物と共に開環(共)重合する方法
(ハ)アクリル系化合物(β)を、必要に応じて他の単量体の存在下で、ラジカル重合する方法。
(ニ)ノルボルネン系化合物(α)とアクリル系化合物(β)とを、好ましくは無水マレイン酸と共に、必要に応じて他の単量体の存在下で、ラジカル重合する方法。
(ホ)前記(イ)〜(ニ)の方法により得られた樹脂中の酸解離性基を、常法により部分的に加水分解および/または加溶媒分解して、カルボキシル基を導入する方法。
【0057】
特定樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう)は、通常、
3,000〜300,000、好ましくは、3,000〜200,000である。また、特定樹脂におけるMwとGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」ともいう)との比(Mw/Mn)は、通常、1〜10、好ましくは1〜5である。
【0058】
[有機溶媒]
本発明の方法では、脂環族系重合体は有機溶媒溶液の状態で機能性濾材を通過させられる。また、モノマーを機能性濾材に通液する場合は、そのまま用いてもよいし、有機溶媒で希釈して用いてもよい。
該溶液の調製に使用される有機溶媒としては、当該脂環族系重合体を溶解できるものであれば特に制限はないが、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、アミルナフタレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;
【0059】
メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾールなどのモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール系溶媒;
【0060】
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フエンチヨンなどのケトン系溶媒;
エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、モノプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;
【0061】
ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−ペンチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−ペンチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどのエステル系溶媒;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドンなどの窒素化合物系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトンなどの硫黄化合物系溶媒;2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、N−メチルホルムアニリド、安息香酸エチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0062】
有機溶媒溶液中の脂環族系重合体は、通常、70重量%以下の濃度に調整され、好ましくは20〜50重量%である。濃度が低すぎて粘度が高くなると通液させるのに非常に高い圧力を必要とするため適当でない。
【0063】
[機能性濾材]
本発明の方法に使用される濾材としては、濾過される有機溶媒溶液にゼータ電位を作用するものが選ばれる。このような機能性濾材としては、通常の濾材、例えば木綿、パルプ、セルロース、ポリエステル、ケイソウ土、パーライト、活性炭、ゼオライトにカチオン電荷調節剤が添加されたものが挙げられる。これらの中で好ましいものは、木綿、セルロース、ポリエステル、活性炭、ゼオライトである。
【0064】
上記カチオン電荷調節剤により濾剤にカチオン電荷が付与され、濾過過程で該濾材を通過する前記有機溶媒溶液の荷電している物質、即ち金属成分、との間でゼータ電位が生じる。
カチオン電荷調節剤としては、米国特許第2802820号公報に記載されているジシアンジアミド、モノエタノールアミンおよびホルムアルデヒドの反応物、米国特許第2839506号公報に記載されているアミノトリアジン樹脂、米国特許第4007113号公報に記載されているメラミン−ホルムアルデヒドカチオン樹脂、特公昭36−20045号公報に記載されているN、N´−ジエタノールピペラジン、メラミン、ホルマリンおよびグリセリンフタル酸エステルを反応させた樹脂、特公昭63−17486号公報に記載されているポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンカチオン樹脂などが挙げられ、中でもポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンカチオン樹脂が安定したカチオン電荷を与えるので好ましい。
【0065】
上記の特公昭63−17486号公報には、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンカ チオン樹脂をカチオン電荷調節剤として用い、セルロース、ケイソウ土、パーライトを機能性濾材化した濾材からなるフィルターの製造方法が記載されている。
上記の機能性濾材の厚さは、好ましくは10cm以下、特に好ましくは0.1〜5cmである。この機能性濾材の厚さは、市販品の機能性濾材を重ねることによって、得られるものであってもよい。
【0066】
本発明で使用される機能性濾材の好ましい一形態として、イオン交換体および/またはキレート形成体とともに用いられるものが挙げられる。ここで、イオン交換体および/またはキレート形成体は、重合体、例えば、スチレン系重合体、アクリル系重合体、メタクリル系重合体、ビニルアルコール系重合体、ポリエステル、セルロースなどの重合体に、イオン交換機能ないしキレート形成機能を持つ官能基が導入されたものである。これらのイオン交換体またはキレート形成体の形態は特に限定されず、粒状、繊維状あるいは多孔性のフィルム状ないし多孔性の膜状などいかなる形状でも良い。尚、以下の説明においては、これらの多孔性のフィルム状、多孔性の膜状を単にフィルム状、膜状と略記する。通常イオン交換樹脂およびキレート樹脂は粒状で使用される。
【0067】
より具体的には、イオン交換体としては、強酸性カチオン交換体、弱酸性カチオン交換体、強塩基性アニオン交換体、あるいは弱塩基性アニオン交換体からなる粒状、繊維状あるいはフィルム状ないし膜状の物が用いられる。ここで、強酸性カチオン交換体としては、例えばジビニルベンゼンで架橋したスチレン重合体をスルホン化したものやメタクリル系重合体をカルボン化したものが挙げられ、弱酸性カチオン交換体としては、例えばジビニルベンゼンで架橋したアクリル酸、メタクリル酸の共重合体が例示される。また、強塩基性アニオン交換体としては、例えばジビニルベンゼンで架橋したスチレン重合体をアミノメチル化した後、4級化したものが挙げられ、弱塩基性アニオン交換体としては、例えばジビニルベンゼンで架橋したスチレン重合体をアミノメチル化したもの、あるいはジビニルベンゼンで架橋したアミノメチル基を有するアクリルアミド重合体などが示される。
【0068】
キレート形成体としては、例えばジビニルベンゼンで架橋したスチレン重合体にイミノジ酢酸型構造を有する基が導入された樹脂、あるいはジビニルベンゼンで架橋したスチレン重合体にポリアミン構造を有する基が導入された樹脂などの粒状、繊維状あるいはフィルム状ないし膜状の物が挙げられる。これら種々のイオン交換体あるいはキレート形成体は1種類だけでなく、2種類以上が同一フィルターに含まれていても良い。
【0069】
上記のイオン交換体および/またはキレート形成体は一緒にフィルターを形成するが、そのとき前記の機能性濾材と一様に混合した状態でもよいし、イオン交換体および/またはキレート形成体の層と機能性濾材層とが隣接した形で配置ないしは接合されていてもよいし、さらにはこのように配置もしくは接合された二層がその境界において部分的に混合した状態であってもよい。
【0070】
上記の機能性濾材の、あるいは機能性濾材により形成される孔径は、通常、0.05〜10.0μmであり、好ましくは0.1〜1.0μmである。機能性濾材では、通液したときに発生する電位差によって液中に存在している荷電した粒子が機能性濾材に吸着されるので、機能性濾材の孔径に比べて小さい金属不純物も機能性濾材に捕捉される。微量金属のある部分は、ミクロゲルなどの微粒子の状態で存在しているので、ゼータ電位を生じるフィルターによって捕捉される。一方、イオン交換体やキレート形成体は主として液中の遊離のイオンを捕集する。その結果、本発明の方法によって存在形態の異なる種々の金属を幅広く除去することができる。したがって、イオン交換体および/またはキレート形成体を併用することによって脂環族系重合体中に含まれる金属分をより効率よく低減することができる。
【0071】
本発明方法に用いられる機能性フィルターとしては、市販されているものを広く用いることができ、例えばイオン交換樹脂あるいはキレート樹脂を含み、かつゼータ電位を生じるフィルターとしては、キュノ株式会社のゼータプラスSHシリーズ(商品名)、またイオン交換樹脂あるいはキレート樹脂を含まず、ゼータ電位を生じるフィルターとしては、同社のゼータプラス、GNシリーズ、LAシリーズが好ましく用いられる。
【0072】
濾材に通液させるときの脂環属系重合体溶液の通液速度は、金属の分離効率にほとんど影響はなく、0.0001〜1000kg/(m2 ・min)の範囲でよい。
【0073】
フィルタに通液させるときの温度は、高すぎるとフィルタ濾材の溶出、劣化、溶媒の分解などが起こる恐れがある。また、温度が低すぎると、溶液中の樹脂の粘度が高くなって、通液が非常に困難になる。そのため、温度範囲は、0〜80℃、好ましくは10〜50℃が範囲として適当である。
【0074】
【実施例】
本発明をさらに詳細に説明するために、以下に実施例と比較例を示すが、本発明はこれら実施例と比較例によって特に限定されるものではない。
【0075】
実施例1
脂環族系重合体として、下記式(i−1)、(i−2)および(i−3)で表される各繰返し単位をそれぞれ30モル%、30モル%、40モル%の割合で有する共重合体を、テトラヒドロフランに溶解して得た濃度10重量%の樹脂溶液を処理した。濾材として、ゼータ電位が作用するがイオン交換体および/またはキレート形成体を含まない、キュノ社製ゼータプラスGNフィルター(材質;セルロース、ケイソウ土、パーライト、カチオン電荷調節剤;ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、直径47mm、厚さ3mmの円形状)を、直径85mm、長さ30mmのステンレス製カラムに装填したものを使用した。前記樹脂溶液500mlを室温で該濾材に9.63×10-3m/sの流速で通液させた。処理後の溶液と処理前の溶液の金属濃度を原子吸光分析計で測定したところ、処理前ではナトリウムが140ppb、鉄が71ppbであったものが、処理後は、ナトリウムが40ppb、鉄が45ppbであり、レジストとしての使用に適したレベルまで金属が除去されていた。
【0076】
【化8】
【0077】
実施例2
実施例1で使用した機能性濾材(直径47mm、厚さ3mmの円形状)を2枚直列に重ね、実施例1で使用したものと同じカラム内に装填して使用した以外は、実施例1と同様の条件で処理した。処理後の金属濃度は、ナトリウムが20ppb、鉄が25ppbであった。
【0078】
実施例3
ゼータ電位が作用する濾材としてカチオン電荷調節剤中にイオン交換体および/またはキレート形成体として粉末状の強酸性カチオン交換樹脂を含む機能性濾材、キュノ社製ゼータプラスSHフィルター(材質;セルロース、ケイソウ土、パーライト、カチオン電荷調節剤;ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、カチオン交換樹脂;ジビニルベンゼンで架橋したポリスチレンのスルホン化物からなり、直径47mm、厚さ3mmの円形状)直径47mm、厚さ3mmの円形状)を使用した以外は実施例1と同様にして脂環族系重合体のメチルイソアミルケトン溶液を処理した。処理後の金属濃度は、ナトリウムが11ppb、鉄が23ppbであった。
【0079】
実施例4
実施例3で使用した機能性濾材を2枚直列に重ねて使用した以外は実施例1と同様にして脂環族系重合体のメチルイソアミルケトン溶液を処理した。処理後の金属濃度は、ナトリウムが8ppb、鉄が11ppbであった。
【0080】
実施例5
脂環族系重合体の代わりにノルボルネン系化合物として8−ヒドロキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン62.1g、アクリル系化合物としてメチルアダマンチルアクリレート103.4gおよびその他のモノマーとして無水マレイン酸34.5gをテトラヒドロフラン200gに溶解して用いた以外は実施例1と同様にして、モノマーの混合溶液を処理した。処理後のモノマーを用い、2,2’−ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)を重合開始剤として実施例1で用いたものと同じ組成の脂環族系重合体を合成し、金属濃度を測定したところ、ナトリウムが15ppb、鉄が20ppbであった。
【0081】
比較例1
市販の強酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ製アンバーリスト15:スチレンスルホン酸-ジビニルベンゼンコポリマー、形状;粒状)を5ml含んだ100ml用のプラスチック製のビンに、実施例1で処理したものと同じ脂環属系重合体のメチルイソアミルケトン溶液を10g入れ、そのビンを1時間震盪させた。震盪後の溶液中の金属濃度は、ナトリウムが80ppb、鉄が60ppbであった。
【0082】
比較例2
比較例1において強酸性陽イオン交換樹脂の量を10mlに変更した以外は比較例1と同様にしてノルボルネン系重合体を処理した。処理後の溶液中の金属濃度は、ナトリウムが60ppb、鉄が55ppbであった。
【0083】
比較例3
実施例5で用いたモノマーの混合物を用いた以外は比較例1と同様にして、金属除去処理を行い、当該モノマーを用いて実施例5と同様にして、脂環族系重合体の重合を行った。得られた脂環族系重合体の金属濃度を測定したところ、ナトリウムが45ppb、鉄が50ppbであった。
【0084】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、脂環族系重合体および当該重合体の合成に用いられるモノマーから、濾過という簡便な操作で、アルカリ金属、重金属などの金属を高効率に除去することができる。
特に、ゼータ電位が作用する機能性濾材にイオン交換体および/またはキレート形成体を併用する形態では、濾材の金属除去寿命が長く、より効率的に経済的な使用が有効である。
このように本発明の方法で処理したノルボルネン系重合体は金属含有量が極めて少ないので半導体デバイスなどのエレクトロニクスの分野にフォトレジストとして使用される感放射性樹脂組成物の原料として好適である。
Claims (3)
- ゼータ電位が作用する濾材に脂環族系重合体の有機溶媒溶液を通液させることを特徴とし、該重合体が下記式(1’)に示す繰返し単位(I)および/または下記式(2’)に示す繰返し単位(II)を有する共重合体である、脂環族系重合体中の金属除去方法。
- 前記重合体が、繰り返し単位(II)を有し、式(2’)におけるR 2 が環式酸解離性基である、請求項1に記載の金属除去方法。
- 前記のゼータ電位が作用する濾材が、イオン交換体および/またはキレート形成体とともに用いられることを特徴とする、請求項1または2記載の金属除去方法。
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