JP6461668B2 - 濾過材料、濾過フィルター、濾過材料の製造方法及び濾過方法 - Google Patents
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Description
一般的にこれらのプロセスでは、先ずレジスト組成物をシリコンウェハ等の基材に塗布してレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、所定のパターンが形成されたマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。
近年、半導体基板の製造においては、さらなる超微細パターンの加工が必要とされるようになってきている。
かかる用途においては、レジスト組成物には特に優れたリソグラフィー特性が要求される。
この問題の一因は、レジスト組成物の金属イオン汚染であることが判明している。レジスト組成物に100ppb(十億分率)未満の金属イオンが存在するだけで、リソグラフィー特性に悪影響を及ぼすことが確認されている。
例えば特許文献1〜2では、官能化シリカゲルを用いたフィルターシート等によりレジスト組成物を濾過する方法が記載されている。
特許文献3には、特定の繊維径、及び特定の密度を有するポリオレフィン系の不織布を濾過部材に用いた不純物濾過装置を用いた不純物除去方法が記載されている。特許文献4〜6には、所定の濾材を用いた金属除去方法が記載されている。特許文献7には、吸着剤を用いた不純金属成分の除去方法が記載されている。
本発明の第四の態様は、前記第三の態様の濾過フィルターにレジスト組成物又は有機溶剤を通液し、該レジスト組成物又は有機溶剤中の不純物質を除去することを特徴とする、濾過方法である。
本発明の第六の態様は、前記本発明の第五の態様により得られた濾過材料に、レジスト組成物又は有機溶剤を通液し、該レジスト組成物又は有機溶剤中の不純物質を除去することを特徴とする、濾過方法である。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH2=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基(Rα)は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
「ヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの、等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
「ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位」とは、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子を有機基で置換したもの、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のベンゼン環に、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基が結合したもの、等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「スチレン誘導体」とは、スチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたものも含む概念とする。
「スチレンから誘導される構成単位」、「スチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、スチレン又はスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
上記α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、炭素数1〜5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
「置換基を有していてもよい」と記載する場合、水素原子(−H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(−CH2−)を2価の基で置換する場合の両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「有機基」とは、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
本発明の第一の態様の濾過材料は、一般式(a0−1)で表される基を有するシリカ基材を用いたことを特徴とする。
中でも、本発明の濾過材料はレジスト組成物又は有機溶剤を濾過するために用いることが好ましい。
例えば本発明の濾過材料を充填したフィルターカートリッジやカラムに、レジスト組成物又は有機溶剤を通液して濾過する用途がある。
また、本発明の濾過材料をレジスト組成物又は有機溶剤に添加して、撹拌・混合して(例えばボトル内で振盪若しくは回転運動させることによって混合)もよい。この場合には、撹拌・混合した後、濾過材料と、レジスト組成物又は有機溶剤との混合液を適当なフィルターに通して濾過すればよい。
(シリカ)
本発明においてシリカ(以下、「シリカ基材」ということがある。)とは、二酸化ケイ素(SiO2)又は二酸化ケイ素により構成される物質であるが、少なくとも表面にシロキサン結合部分又はシラノール基を有するケイ素化合物である。
シリカの主成分は、二酸化ケイ素であるが、少量成分として、アルミナ、アルミン酸ナトリウム等を含んでいてもよく、さらに安定剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等の無機塩基、テトラメチルアンモニウムのような有機塩基等が含まれていてもよい。
本発明においてシリカとしては、石英ガラス、硼珪酸ガラス等のガラス製品より形成されるシリカ繊維やシリカ粒子であってもよいが、多孔性シリカ基材又はシリカゲルを用いることが好ましい。
本発明において多孔性シリカとしては、例えば、空孔率が30〜95%、最大孔径が200nm以下のものが挙げられる。
シリカゲルは表面に弱酸性のOH基を所有し、アミノ基で修飾することができる。
本発明において、シリカゲルの粒子径は特に限定されず、粒子径0.1μm〜10mmのものまで幅広く用いることができる。
粒子径が数μmのシリカゲルは表面積が大きいため、不純物の吸着・除去の観点から好適に用いられる。この場合、1〜100μmであることが好ましく、1.5〜70μmであることがより好ましく、2〜50μmであることが特に好ましい。
また、粒子径が数mmのシリカゲルは不純物の吸着・除去後のフィルタリングが容易であるため、好適に用いることができる。この場合、1〜10mmであることが好ましく、2〜7mmであることがより好ましい。
Ya01の2価の連結基としては特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
2価の連結基としての炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
[脂肪族炭化水素基]
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
Ya01における2価の炭化水素基としての前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状のもの又は構造中に環を含むもの等が挙げられる。
前記脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、飽和であることが好ましい。
またYa01としては上記2価の炭化水素基がエーテル結合、ウレタン結合、スルフィド結合、又はアミド結合を介して結合したものも挙げられる。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH2−]、エチレン基[−(CH2)2−]、トリメチレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(CH2)4−]、ペンタメチレン基[−(CH2)5−]等が挙げられ、メチレン基[−CH2−]、エチレン基[−(CH2)2−]又はトリメチレン基[−(CH2)3−]であることが好ましい。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−C(CH2CH3)2−CH2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基としては、具体的には、上記で例示した基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、上記で例示した基が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
前記Ya01における2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基);等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子およびハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
前記へテロ原子を含む2価の連結基が−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21 −、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」と同様のものが挙げられる。
Y21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Y22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CH2)a’−C(=O)−O−(CH2)b’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
Ra01における炭化水素基としては、前述のYa01の2価の連結基の説明において例示した、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基に1つの水素原子を付加した1価の基が挙げられる。
Ra01における炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基であることが好ましい。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−が好ましい。
上記のなかでも、Ra01が有していてもよい置換基としては、水酸基が好ましい。
Ra02の炭素数1〜6の炭化水素基は置換基を有していることが好ましく、置換基としては、前記Ra01が有していてもよい置換基として記載した基と同様の基が挙げられる。
Ya01は2価の連結基、
Ra001は置換基を有していてもよい直鎖状の炭化水素基、
Ra002は置換基を有していてもよい分岐鎖状の炭化水素基、
Ra003は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、
Ra004は置換基を有していてもよい環状の脂肪族炭化水素基、
Ra02は水酸基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、n01は0〜5の整数である。*はシリカ基材との結合手を示す。]
Ra001は置換基を有していてもよい直鎖状の炭化水素基であり、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、該脂肪族炭化水素基の炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基であることが好ましい。
Ra002は置換基を有していてもよい分岐鎖状の炭化水素基であり、分岐鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
Ra003は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。Ra003の芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環が挙げられ、なかでもベンゼンが好ましい。
Ra004は、置換基を有していてもよい環状の脂肪族炭化水素基であり、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂肪族炭化水素基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンが挙げられ、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
上記一般式(a0−1)で表される基を有する多孔質基材としては、例えば、特開2000−281739号公報において、機能性濾材に使用される濾材の例として記載されている通常の濾材を材料に、上記一般式(a0−1)で表される基を導入したものを採用してもよい。
一般式(p−1)中、R4及びR5は置換基を有していてもよい炭化水素基である。
R4及びR5の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。これらのなかでも、R4及びR5はメチル基であることが好ましい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、フェニル、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
R4及びR5の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
また、R4及びR5の一方はアルコキシシラン共重合体中の他のケイ素原子と結合して、架橋構造を形成していてもよい。
式(p−3)中、Ya01及びYb01の2価の連結基としては特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。式(p−3)中のYa01及びYb01の2価の連結基についての説明は、前記一般式(a0−1)中のYa01における2価の連結基についての説明と同様である。
一般式(p−3)中のRa01についての説明は、前記一般式(a0−1)中のRa01についての説明と同様である。
一般式(p−3)中、Ra02は水酸基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基である。
一般式(p−3)中のRa02についての説明は、前記一般式(a0−1)中のRa02についての説明と同様である。
一般式(p−1)及び(p−3)で表される部分構造は、ランダムに結合していてもよく、ブロック状に結合していてもよい。
Ra001は置換基を有していてもよい直鎖状の炭化水素基であり、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、該脂肪族炭化水素基の炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基であることが好ましい。
Ra002は置換基を有していてもよい分岐鎖状の炭化水素基であり、分岐鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
Ra001又はRa002が有していてもよい置換基としては、前記Ra01が有していてもよい置換基として記載した基と同様の基が挙げられる。
このため、例えば、本発明において共重合体1を濾過材料として用いる場合に、カラム等への充填操作が容易となる。また、高い気孔率であることから高い比表面積であり溶媒吸収性にも優れたものとすることができる。
本発明において、前記共重合体1は、前記一般式(p−1)で表される二官能のアルコキシシランと、前記一般式(p−3)で表される三官能のアルコキシシランの両方を含む出発組成から、金属フリーの工程を経て簡便に得ることができる。このため、金属粒子や、金属イオン等の金属不純物を除去するための濾過材料に好適に用いることができる。
本発明においては、共重合体中の一般式(p−1)で表される部分構造の配合比が、10〜90%であることが好ましく、20〜80%であることがより好ましく、30〜50%であることが特に好ましい。
本発明においては、共重合体中の一般式(p−3)で表される部分構造の配合比が、10〜90%であることが好ましく、20〜80%であることがより好ましく、50〜70%であることが特に好ましい。
共重合体中の一般式(p−1)及び(p−3)で表される部分構造の配合比の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
本発明の共重合体において、一般式(p−1)及び(p−3)で表される部分構造の配合比は、所望の特性により適宜調整すればよい。例えば、一般式(p−1)で表される部分構造の配合比を調整することにより、共重合体の柔軟性を制御でき、一般式(p−3)で表される部分構造の配合比を調整することにより、共重合体の空孔率を制御することができる。
また、共重合体の細孔径をより微細にする観点から、三官能のアルコキシシランの配合量が二官能のアルコキシシランの配合量よりも多い方が好ましい。
このため、例えば、本発明の共重合体2を濾過材料として用いる場合に、カラム等への充填操作が容易となる。また、高い気孔率であることから高い比表面積であり溶媒吸収性にも優れたものとすることができる。
本発明において、前記共重合体2は、前記一般式(p−1)で表される二官能のアルコキシシランと、前記一般式(p−5)で表される三官能のアルコキシシランの両方を含む出発組成から、金属フリーの工程を経て簡便に得ることができる。このため、金属粒子や、金属イオン等の金属不純物を除去するための濾過材料に好適に用いることができる。
本発明においては、共重合体中の一般式(p−1)であらわされる部分構造の配合比が、10〜90%であることが好ましく、20〜80%であることがより好ましく、30〜50%であることが特に好ましい。
本発明においては、共重合体中の一般式(p−5)であらわされる部分構造の配合比が、10〜90%であることが好ましく、20〜80%であることがより好ましく、50〜70%であることが特に好ましい。
共重合体中の一般式(p−1)及び(p−5)で表される部分構造の配合比の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
本発明の共重合体において、一般式(p−1)及び(p−5)で表される部分構造の配合比は、所望の特性により適宜調整すればよい。例えば、一般式(p−1)で表される部分構造の配合比を調整することにより、共重合体の柔軟性を制御でき、一般式(p−5)で表される部分構造の配合比を調整することにより、共重合体の空孔率を制御することができる。
また、共重合体の細孔径をより微細にする観点から、三官能のアルコキシシランの配合量が二官能のアルコキシシランの配合量よりも多い方が好ましい。
共重合体1は、下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを反応させて、下記一般式(p−1)及び(p−2)で表される部分構造を有する共重合体(A)を得る工程Aと、前記工程Aで得られた共重合体(A)を修飾し、下記一般式(p―B−1)で表される部分構造を有する共重合体(B)を得る工程Bと、前記工程Bで得られた共重合体(B)を修飾し、下記一般式(p−3)及び(p−1)で表される部分構造を有する共重合体(C)を得る工程Cと、を有することにより製造できる。
R1〜R3、R6〜R7はそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、該炭素数1〜5のアルキル基としては、前記R4及びR5における炭素数1〜5のアルキル基の説明と同様である。
工程Aは、上記一般式(1)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物とを反応させて、上記一般式(p−1)及び(p−2)で表される部分構造を有する共重合体(A)を得る工程である。
工程Aにおいて、一般式(2)で表される二官能のアルコキシシランと、一般式(1)で表される三官能のアルコキシシランを、界面活性剤と加水分解性化合物を含む酸性溶液に添加し、ゾル−ゲル反応により共重合体(A)を得ることが好ましい。
以下、工程Aの好ましい形態について説明する。
先ず、酸性溶液を用いて、一般式(1)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物を加水分解してシリコン化合物をゾル化する。酸性溶液の酸としては、カルボン酸類が挙げられ、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸が好ましく、酢酸がより好ましい。酸性溶液の濃度としては、0.0001〜0.2Mが好ましく、0.002〜0.1Mがより好ましい。
酸性溶液が含有する界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤が挙げられ、イオン性界面活性剤が好ましく、カチオン性界面活性剤がより好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドが挙げられ、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリドが好ましい。
上記界面活性剤は、上記一般式(1)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物とが加水分解・縮重合反応により、一般式(2)におけるR4やR5といった非加水分解性官能基を維持したままシロキサン網目を形成していく際、反応系中の溶媒と共重合体(A)との化学的親和性の差異を小さくする。この差異を小さくすることにより、共重合体中の細孔はより細かいものとなる。
酸性溶液が含有する加水分解性化合物は、生成されたゾルのゲル化を促進させるためのものである。該加水分解性化合物としては、尿素、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチレンテトラミンが挙げられ、尿素が好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物とを加水分解させるための加熱温度としては、50〜200℃が好ましく、60℃〜100℃がより好ましい。
次いで、ゾル−ゲル反応により得られたゲル中に残存する水分、酸性溶液、界面活性剤、加水分解性化合物、未反応のシリコン化合物材料等を除去するため、有機系の極性溶媒を用いて溶媒交換を行うことが好ましい。
工程Aにおいて、Si−O結合のネットワーク化により柔軟なゲルのネットワークを構築することができる。
尚、工程Aにおいて、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(2)で表される化合物以外に、3官能化合物、4官能化合物、4官能以上の化合物等を加えてもよい。
工程Bは、前記工程Aで得られた共重合体(A)を修飾し、上記一般式(p―B−1)で表される部分構造を有する共重合体(B)を得る工程である。
工程Bは、前記工程Aで得られた共重合体(A)をアミノ基で修飾する。アミノ基で修飾する方法は特に限定されないが、例えば、下記一般式(b1)で表される化合物を用いたチオール・エン反応を採用することができる。
工程Cは、前記工程Bで得られた共重合体(B)を修飾し、上記一般式(p−3)及び(p−1)で表される部分構造を有する共重合体(C)を得る工程である。
工程Cは、例えば、非特許文献(A.Goswami et al,Anal.Chimi.Acta 2002 454,229−240)に記載の方法に従い、アミノ基で修飾した共重合体(B)に、下記一般式(a0)で表される化合物を反応させることにより得ることができる。
共重合体2は、下記一般式(3)で表される化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを反応させて、下記一般式(p−1)及び(p−4)で表される部分構造を有する共重合体(X)を得る工程Xと、前記工程Xで得られた共重合体(X)を修飾し、下記一般式(p―Y−1)で表される部分構造を有する共重合体(Y)を得る工程Yと、前記工程Yで得られた共重合体(Y)を修飾し、下記一般式(p−5)及び(p−1)で表される部分構造を有する共重合体(Z)を得る工程Zと、を有することにより製造できる。
R1〜R3、R6〜R7はそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、該炭素数1〜5のアルキル基としては、前記R4及びR5における炭素数1〜5のアルキル基の説明と同様である。
工程Xは、上記一般式(3)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物とを反応させて、上記一般式(p−1)及び(p−4)で表される部分構造を有する共重合体(X)を得る工程である。
工程Xにおいて、一般式(2)で表される二官能のアルコキシシランと、一般式(3)で表される三官能のアルコキシシランを、界面活性剤と加水分解性化合物を含む酸性溶液に添加し、ゾル−ゲル反応により共重合体(X)を得ることが好ましい。
以下、工程Xの好ましい形態について説明する。
先ず、酸性溶液を用いて、一般式(3)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物を加水分解してシリコン化合物をゾル化する。酸性溶液の酸としては、カルボン酸類が挙げられ、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸が好ましく、酢酸がより好ましい。酸性溶液の濃度としては、0.0001〜0.2Mが好ましく、0.002〜0.1Mがより好ましい。
酸性溶液が含有する界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤が挙げられ、イオン性界面活性剤が好ましく、カチオン性界面活性剤がより好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドが挙げられ、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリドが好ましい。
上記界面活性剤は、上記一般式(3)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物とが加水分解・縮重合反応により、一般式(2)におけるR4やR5といった非加水分解性官能基を維持したままシロキサン網目を形成していく際、反応系中の溶媒と共重合体(X)との化学的親和性の差異を小さくする。この差異を小さくすることにより、共重合体中の細孔はより細かいものとなる。
酸性溶液が含有する加水分解性化合物は、生成されたゾルのゲル化を促進させるためのものである。該加水分解性化合物としては、尿素、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチレンテトラミンが挙げられ、尿素が好ましい。
上記一般式(3)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物とを加水分解させるための加熱温度としては、50〜200℃が好ましく、60℃〜100℃がより好ましい。
次いで、ゾル−ゲル反応により得られたゲル中に残存する水分、酸性溶液、界面活性剤、加水分解性化合物、未反応のシリコン化合物材料等を除去するため、有機系の極性溶媒を用いて溶媒交換を行うことが好ましい。
工程Xにおいて、Si−O結合のネットワーク化により柔軟なゲルのネットワークを構築することができる。
尚、工程Xにおいて、上記一般式(3)で表される化合物、上記一般式(2)で表される化合物以外に、3官能化合物、4官能化合物、4官能以上の化合物等を加えてもよい。
工程Yは、前記工程Xで得られた共重合体(X)を修飾し、上記一般式(p―Y−1)で表される部分構造を有する共重合体(Y)を得る工程である。
工程Yは、前記工程Xで得られた共重合体(X)をアミノ基で修飾する。アミノ基で修飾する方法は特に限定されないが、例えば、下記一般式(b2)で表されるアミンアルコールを用いたウィリアムソン・エーテル反応を採用することができる。
工程Zは、前記工程Yで得られた共重合体(Y)を修飾し、上記一般式(p−5)及び(p−1)で表される部分構造を有する共重合体(Z)を得る工程である。
工程Zは、例えば、非特許文献(A.Goswami et al,Anal.Chimi.Acta 2002 454,229−240)に記載の方法に従い、アミノ基で修飾した共重合体(Y)に、下記一般式(a0)で表される化合物を反応させることにより得ることができる。
本発明の濾過材料を用いることにより、高い除去効率で不純物質が除去され得る有機溶剤について説明する。
有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)としては、レジスト組成物に用いられるレジスト溶剤として公知のものが挙げられる。
たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン(2−ヘプタノン)、メチルイソペンチルケトン、などのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好適なものとして挙げられる。];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル等のニトリル系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独の状態で被濾過液としてもよく、2種以上の混合溶剤として被濾過液としてもよい。
なかでも、シクロヘキサノン又はシクロヘキサノンとの混合溶剤が好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましいものとして挙げられる。
本発明の濾過材料を用いることにより、高い除去効率で不純物質が除去され得るレジスト組成物について説明する。
レジスト組成物としては、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下、「(A)成分」という。)、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、「(B)成分」という。)、前記(B)成分等から露光により発生する酸をトラップするクエンチャー(酸拡散制御剤)(以下、「(D)成分」という。)、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という。)、フッ素添加剤(以下「(F)成分」という。)等を前記有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)に溶解させたものである。
本発明において、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、加えて、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
基材成分として用いられる有機化合物は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。以下、「樹脂」という場合は、分子量が1000以上の重合体を示す。
重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量を用いるものとする。
(A)成分としては、樹脂を用いてもよく、低分子化合物を用いてもよく、これらを併用してもよい。
(A)成分は、酸の作用により現像液に対する溶解性が増大するものであってもよく、酸の作用により現像液に対する溶解性が減少するものであってもよい。
また、本発明において(A)成分は、露光により酸を発生するものであってもよい。
構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、たとえば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、たとえばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SO3H)等が挙げられる。これらのなかでも、構造中に−OHを含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある。)が好ましく、カルボキシ基または水酸基が好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基が酸解離性基で保護された基(たとえばOH含有極性基の水素原子を、酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
ここで「酸解離性基」とは、(i)酸の作用により、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基、又は、(ii)酸の作用により一部の結合が開裂した後、さらに脱炭酸反応が生じることにより、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る基、の双方をいう。
酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液が有機系現像液の場合には溶解性が減少する。
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基である。
構成単位(a2)のラクトン含有環式基は、(A)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めるうえで有効なものである。
(A)成分が構成単位(a2)を有する場合、構成単位(a2)の割合は、当該(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜80モル%であることが好ましく、5〜70モル%であることがより好ましく、10〜65モル%であることがさらに好ましく、10〜60モル%が特に好ましい。
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(ただし、上述した構成単位(a1)、(a2)に該当するものを除く)である。
(A)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、解像性の向上に寄与すると考えられる。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基であることが好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
(A)成分中、構成単位(a3)の割合は、当該(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
構成単位(a4)は、酸非解離性環式基を含む構成単位である。(A)成分が構成単位(a4)を有することにより、形成されるレジストパターンのドライエッチング耐性が向上する。
構成単位(a4)における「酸非解離性環式基」は、露光により(B)成分から酸が発生した際に、該酸が作用しても解離することなくそのまま当該構成単位中に残る環式基である。
構成単位(a4)を(A)成分に含有させる際、構成単位(a4)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜30モル%であることが好ましく、10〜20モル%であることがより好ましい。
(A)成分が構成単位(a5)を有する場合、構成単位(a5)の割合は、当該(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜80モル%であることが好ましく、5〜70モル%であることがより好ましく、10〜65モル%であることがさらに好ましく、10〜60モル%が特に好ましい。
本発明のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
(B)成分は、露光により酸を発生する酸発生剤成分である。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが挙げられる。なかでも、オニウム塩系酸発生剤を用いるのが好ましい。
(D)成分は酸拡散制御剤成分である。
(D)成分は、前記(B)成分等から露光により発生する酸をトラップするクエンチャー(酸拡散制御剤)として作用するものである。
(D)成分は、含窒素有機化合物成分(以下、(D2)成分という。)を含有していてもよい。
(D2)成分としては、酸拡散制御剤として作用するものであり、公知のものから任意に用いればよい。なかでも、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
(D2)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
本発明のレジスト組成物が(D)成分を含有する場合、(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜15質量部であることが好ましく、0.3〜12質量部であることがより好ましく、0.5〜12質量部であることがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、レジスト組成物とした際、LWR等のリソグラフィー特性がより向上する。また、より良好なレジストパターン形状が得られる。前記範囲の上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
[(E)成分]
感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という。)を含有させることができる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
レジスト膜に撥水性を付与するため、フッ素添加剤(以下「(F)成分」という。)を含有していてもよい。
(F)成分としては、例えば、特開2010−002870号公報、特開2010−032994号公報、特開2010−277043号公報、特開2011−13569号公報、特開2011−128226号公報、に記載の含フッ素高分子化合物を用いることができる。
これらの金属成分は、薬液中に元々含まれていることもあるが、配管、継ぎ手などの薬液移送経路からの汚染により混入することもある。
本発明の濾過材料によれば、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ストロンチウム、モリブデン、銀、カドミウム、スズ、アンチモン、バリウム、鉛等種々の金属成分を除去することができる。
本発明の濾過材料は、上記の金属成分が2種以上混在していても、除去可能である。
上記の中でも、イオン化傾向の高い金属成分や、製造工程中で汚染により混入しやすい亜鉛を効果的に除去することができる。
本発明の濾過材料によれば、上記の微量金属を金属イオン、金属微粒子等の存在形態に関わらず除去することが可能である。
本発明は、前記濾過材料を用いた濾過フィルターである。本発明の濾過フィルターとしては、例えば、前記濾過材料を液入口と液出口を有する円筒状の容器に充填したものが挙げられる。
フィルター形状や充填する濾過材料の量は、適宜調整可能であり、濾過するレジスト組成物用又は有機溶剤等によって適宜選択すればよい。
本発明の濾過フィルターの形状は、平坦形状、ロール状、コーン状、プリーツ(ひだ)状、螺旋型、積層型又はこれらの組み合わせであってもよく、平坦形状又はロール状が好ましい。
また、本発明の濾過フィルターは、カートリッジ式としてもよい。カートリッジ式のフィルターとして、例えば、1つ以上の層として形成され、且つ、ひだが付けられ、又は、螺旋状に巻き上げられたカートリッジデバイスとすることが好ましい。また、平坦形状のシート状のカートリッジデバイスとすることがより好ましい。
本発明は、レジスト組成物用又は有機溶剤用濾過フィルターにレジスト組成物又は有機溶剤を通液し、該レジスト組成物又は有機溶剤中の不純物質を除去することを特徴とする、濾過方法である。
本発明の濾過方法は(1)前記濾過材料をカラムに充填し、このカラムにレジスト組成物または有機溶剤を通液して精製する方法(カラム法)、(2)レジスト組成物または有機溶剤中に前記濾過材料を入れ、所定時間、混合、撹拌することによって除去する方法(バッジ法)等の方法で行うことができる。バッチ法の場合は、所定時間撹拌した後、レジスト組成物または有機溶剤と濾過材料とを分離する必要がある。分離方法はフィルターによる濾過や遠心分離等の手法が一般的に行われる。
カラム法あるいはバッチ法に用いられるレジスト組成物は約1〜50重量%の濃度範囲の溶液が好ましい。
濾材に通液させるときのレジスト組成物又は有機溶剤の通液速度は、金属の分離効率にほとんど影響はなく、通常0.0001〜1000kg/(m2・min)の範囲でよい。濾過材料を充填したフィルター等に通液させるときの温度は、高すぎると濾材の溶出、劣化、溶媒の分解などが起こる恐れがある。また、温度が低すぎると、溶液中の樹脂の粘度が高くなって通液が非常に困難になる。そのため、温度範囲は、0〜50℃の範囲が適当である。
本発明の濾過方法によれば、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ストロンチウム、モリブデン、銀、カドミウム、スズ、アンチモン、バリウム、鉛等種々の金属成分を除去することができる。
本発明の濾過方法によれば、上記の金属成分が2種以上混在していても、除去可能である。
上記の中でも、イオン化傾向の高い金属成分や、製造工程中で汚染により混入しやすい亜鉛を効果的に除去することができる。
本発明の濾過方法によれば、上記の微量金属を金属イオン、金属微粒子等の存在形態に関わらず除去することが可能である。
本発明の第2の態様は、下記一般式(a0−1)で表される基を有する多孔性基材を用いたことを特徴とする濾過材料である。
Ya01は2価の連結基、
Ra01は置換基を有していてもよい炭化水素基、
Ra02は水酸基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、
n01は0〜5の整数である。*は多孔性基材との結合手を示す。]
本発明の第2の態様における、修飾型多孔質基材について説明する。
修飾型多孔質基材は、具体的には、下記(BM)−1に示すような多孔質材料が挙げられる。
式(BM)−1中、Base Materialは、公知の多孔質基材を意味し、具体的には、樹脂材料を用いたフィルターが好適な材料として挙げられる。
樹脂材料を用いたフィルターとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィンのホモポリマー、ポリオレフィンのコポリマー、またはポリオレフィンのターポリマーなどの同様なポリオレフィンを含むポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PTFE樹脂、PFAおよび他のフッ化樹脂、過フルオロ熱可塑性樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)のホモポリマーおよびコポリマー、プラスチック、例えば、再生セルロースまたはニトロセルロースのようなセルロース誘導体材料、ナイロン、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリアリールスルフォン、およびポリフェニールスルフォンのような修飾されたポリスルフォン、ポリイミド、ポリカーボネート、PETおよびそれに類似したもののようなポリエステル、およびそれらの混合物のような、熱可塑性樹脂材料が挙げられる。
なかでも、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド、ナイロン等が好ましく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が特に好ましい。
より具体的には、例えば、樹脂や金属の繊維を絡ませた不織布フィルタや、樹脂や金属の繊維を編んだメッシュフィルタなどを用いることができる。
また、平坦形状のフィルターは、例えば20mm〜300mm直径のカット円盤として用いてもよい。
また、本発明の濾過フィルターは、カートリッジ式としてもよい。カートリッジ式のフィルターとして、例えば、1つ以上の層として形成され、且つ、ひだが付けられ、又は、螺旋状に巻き上げられたカートリッジデバイスとすることが好ましい。また、平坦形状のシート状のカートリッジデバイスとすることがより好ましい。
本発明における、重合型多孔質基材について説明する。重合型多孔質基材は、例えば下記一般式(BM)−2で表される構成単位を有する高分子化合物(以下、「高分子化合物(BM)」と記載することがある。)を用いることができる。
Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、
Ya01は2価の連結基、
Ra01は置換基を有していてもよい炭化水素基、
Ra02は水酸基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、
n01は0〜5の整数である。]
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
なかでも、一般式(BM)−2のYa01における2価の連結基としては、上記一般式(a0−1)中のYa01における2価の連結基のうち、ヘテロ原子を含む2価の連結基であることが好ましく、より具体的には、−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21 −、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−、または−Y21−O−C(=O)−Y22−、一般式−Y21−C(=O)−NH−Y22−、−Y21−NH−、−Y21−C(=O)−NH−、−C(=O)−NH−Y21 −、−[Y21−C(=O)−NH−]m’−Y22 −で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m’は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
前記へテロ原子を含む2価の連結基が−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
Y21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Y22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−、−[Y21−C(=O)−NH−]m’−Y22 −で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CH2)a’−C(=O)−O−(CH2)b’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
一般式(BM)−2で表される構成単位は単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
また、高分子化合物(BM)は、本発明の効果を損なわない範囲において、一般式(BM)−2で表される構成単位以外の構成単位を含有していてもよい。
その他の構成単位としては、アクリル酸のようなアクリレート又はアクリルアミドモノマーから誘導される構成単位、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルフォン酸から誘導される構成単位、スルフィルプロピルアクリレート又はN,N−ジメチルアクリルアミドから誘導される構成単位、メタクリレート又はメタクリル酸のようなメタクリルアミドモノマーから誘導される構成単位等が挙げられる。
また、高分子化合物(BM)を重合する際には、架橋剤を用いてもよい。該架橋剤としては、エチレン性不飽和基を含む化合物を用いることができ、これらの化合物は単独あるいは組み合わせて用いることができる。エチレン性不飽和基を含む化合物の好ましい例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールのポリアクリレート類;ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類;ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を好ましい化合物として挙げることができる。
また、平坦形状のフィルターは、例えば20mm〜300mm直径のカット円盤として用いてもよい。
また、本発明の濾過フィルターは、カートリッジ式としてもよい。カートリッジ式のフィルターとして、例えば、1つ以上の層として形成され、且つ、ひだが付けられ、又は、螺旋状に巻き上げられたカートリッジデバイスとすることが好ましい。また、平坦形状のシート状のカートリッジデバイスとすることがより好ましい。
本発明は、末端アミノ基を有する多孔質基材に、下記一般式(a0−1)で表される基を導入する工程を有する、濾過材料の製造方法を提供する。
Ya01は2価の連結基、
Ra01は置換基を有していてもよい炭化水素基、
Ra02は水酸基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、
n01は0〜5の整数である。*は末端アミノ基を有する多孔質基材との結合手を示す。]
本発明において、濾過材料が前記修飾型多孔質基材である場合には、例えば、公知の多孔質基材にアミノ基を修飾し、末端アミノ基を有する多孔質基材を作製する第1工程と、前記第1工程で得られた末端アミノ基を有する多孔質基材に、一般式(a0−1)で表される基を導入する第2工程と、を有することが好ましい。
該第1工程と、第2工程を説明する反応式を以下に示す。
また、アミノ基により表面が修飾された市販の多孔質基材を購入することにより、第1工程としてもよい。
公知の多孔質基材として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いた例をあげると、前記[第1工程]において、PTFE膜表面をアミノ基で修飾し、該アミノ基修飾PTFEを、一般式(a0−1)で表される基を有する化合物を溶解させた溶液に浸漬することにより、PTFE膜に一般式(a0−1)で表される基を導入できる。
本発明において、濾過材料が前記重合型多孔質基材である場合には、上記高分子化合物(BM)を重合し、該高分子化合物(BM)で公知の多孔質基材を架橋剤等を用いて修飾したり、高分子化合物(BM)で公知の多孔質基材を単純にコーティングすることにより製造することができる。
レジスト組成物又は有機溶剤に関する説明は前記同様である。
また、平坦形状のフィルターは、例えば20mm〜300mm直径のカット円盤として用いてもよい。
また、本発明の濾過フィルターは、カートリッジ式としてもよい。カートリッジ式のフィルターとして、例えば、1つ以上の層として形成され、且つ、ひだが付けられ、又は、螺旋状に巻き上げられたカートリッジデバイスとすることが好ましい。また、平坦形状のシート状のカートリッジデバイスとすることがより好ましい。
本発明は、前記濾過材料の製造方法により製造された濾過材料に、レジスト組成物又は有機溶剤を通液し、該レジスト組成物又は有機溶剤中の不純物質を除去する濾過方法を提供する。
例えば、本発明の濾過材料の製造方法により製造された濾過フィルターを、半導体素子製造プロセスの各種薬液供給ラインにおいて、薬液タンクを循環する経路の途中に設置し、レジスト組成物または有機溶剤を通液して濾過することができる。また、薬液供給ライン中のP O U(point of use) に設置することにより、各種薬液中の金属不純物及び微粒子状不純物を効率的に除去することができる。
濾過フィルターに通液させるときのレジスト組成物又は有機溶剤の通液速度は、金属の分離効率にほとんど影響はなく、通常0.0001〜1000kg/(m2・min)の範囲でよい。濾過材料を充填したフィルター等に通液させるときの温度は、高すぎると濾材の溶出、劣化、溶媒の分解などが起こる恐れがある。また、温度が低すぎると、溶液中の樹脂の粘度が高くなって通液が非常に困難になる。そのため、温度範囲は、0〜50℃の範囲が適当である。
文献(A.Goswami et al,Anal.Chimi.Acta 2002 454,229−240)を参考に合成を行った。
アミノ基を修飾したシリカゲル(粒径50μm、100g)および40gの2,4−ジヒドロキシアセトフェノン(以下、「レスアセトフェノン」と記載することがある。)を溶解させた無水エタノール(200g)を薬液製品用の遮光ガラス瓶に加え、18時間撹拌した。
その後、濾過によりシリカを回収し、無水エタノールで洗浄し、さらに無水ジエチルエーテルで洗浄した。得られたシリカ粉末を80℃/12時間で真空乾燥し、黄色のシリカを得た。シリカが黄色になる理由は、レスアセトフェノンのケトン部位とシリカのアミノ基とが脱水縮合により得られたフェニルイミン基の発色のためである。
さらに、FT−IRよりキレート部位修飾後に1493cm−1、1612cm−1のベンゼン環に帰属するピークの上昇が著しく確認された。以上のことから、簡便にキレート能を有するシリカゲル金属成分除去材料(以下、「キレートシリカゲル」と記載することがある。)の合成に成功した。合成スキームを以下に示す。
<金属水溶液からの金属イオン除去>
塩化鉄、硫酸銅、塩化ニッケルをそれぞれ3000ppmになるように純水に溶かし、それぞれの水溶液を調製した。各水溶液をバイアル瓶に5mL加え、そこへ実施例1で得たキレートシリカゲル2gを投入した後、5分間撹拌し、濾過した。
表1に、各金属水溶液の濾過前、金属吸着キレートシリカ、濾液の色を肉眼で観察した結果を示す。
表1に示すように、それぞれの金属イオンにより着色した水溶液は、キレートシリカゲルと金属イオンとがキレートを形成して金属イオンが吸着し、シリカの色の変化が観察された。特に鉄においては瞬時にシリカが赤色に変化した。これはシリカの配位子と鉄イオンがキレート形成したことを示す。得られた濾液は透明であることから、金属イオンを完全に吸着することに成功した。
<金属溶液からの金属イオン除去>
同様に、塩化鉄3000ppmを溶解したシクロヘキサノン/アセトニトリル溶液でも同様の実験を試行した。シリカが赤色に呈色され回収された濾液は無色になった。このことから、このキレートシリカゲルは有機溶剤へも適用できることがわかった。
金属残渣の原因の一つとして金属ナノ粒子が想定される。そこで、キレートシリカカラムを通じることによる金属ナノ粒子の除去評価を検討した。
<キレートシリカカラムの作製>
0.45μmフィルタを装着した5mL用PTFEシリンジに実施例1で得られたキレートシリカゲルを詰めてカラムを作製した。
<金属ナノ粒子の除去>
酸化スズナノ粒子(20nm)を300ppmになるようにシクロヘキサノンに分散させたナノ粒子分散液を調製し、白濁した分散液を得た。
この分散液(3ml)を前記カラムに通じ、通液を回収した。白濁した分散液をカラムに通じると、通液は無色になった。このことから酸化スズナノ粒子を物理吸着によりキレートシリカゲルに吸着することによりナノ粒子の除去に成功した。
<試験例1:フィルター起因の金属コンタミネーション試験>
使用する器材等から微量に溶出する金属によるコンタミネーション(以下、「コンタミ」と記載することがある。)を評価するための試験を行った。
0.45μmフィルター起因のコンタミの影響を比べるために、蒸留前及び蒸留後のシクロヘキサノンをそれぞれ0.45μmフィルター(以下、「空フィルタ−」と記載することがある。)に通液し、ICP−MSより金属成分の分析を行った。その結果を表2〜5に示す。表2〜5中、数値単位はpptである。
その結果、例えば表3中のFeを例に挙げると、蒸留後のシクロヘキサノンであっても、フィルターを用いて濾過する前は7pptであったが、フィルターを用いて濾過した後には22pptとなった。
このことから、フィルター起因の金属コンタミが確認された。
シクロヘキサノン(蒸留前)50mLに実施例1のキレートシリカゲル1gを添加し30分撹拌しスラリーを調製した。次に0.45μmPTFEフィルタを装着した10mLシリンジにキレートシリカを5mL充填した。
そこへシクロヘキサノン(蒸留前)で6mL洗浄し、洗浄後、シクロヘキサノン(蒸留前)を10mL通液し初流を廃棄した。その後、残りを通液し、濾過したシクロヘキサノン(蒸留前)20mLを回収した。
回収した通液について、ICP−MSにより金属成分の分析を行った。その結果を表2〜5に示す。
Fe、Crは空フィルターに通したものとほぼ同じだった。前記試験例1においても示したとおり、空フィルターに通した蒸留後のシクロヘキサノンもFeの場合は金属成分が増加している。このことから、キレートシリカを用いてでシクロヘキサノン固有のFeは捕集に成功したが、フィルター起因のコンタミのため、金属成分が増加したと示唆される。
従って、実施例1のキレートシリカゲルを充填したフィルターにより濾過したシクロヘキサノンは、蒸留後のシクロヘキサノンと金属成分量が同等量かそれ以下の量であることがわかった。
Niにおいては空フィルタに通してない蒸留後シクロヘキサノンと同等であった。
以上のことからキレートシリカゲルの金属捕集効果は蒸留後と同等かそれ以上であった。さらに、Li、Na、K、Znなどは全てのサンプルより著しく金属成分の除去に効果があることがわかった。
粒径が5mmのシリカを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、粒径の大きなキレートシリカゲルを合成した。粒径が5mmのキレートシリカゲルを得られたことが確認された。
レスアセトフェノンと類似の骨格を有する化合物を用いてキレートシリカゲルの合成を行った。
<実施例6>
キレート前駆体材料に下記の化合物1を用い、アミノシリカゲル3gに対する添加量を6.0gとしたこと以外は実施例1と同様の方法により、キレートシリカゲルの合成を行った。
<実施例7>
キレート前駆体材料に下記の化合物2を用い、アミノシリカゲル3gに対する添加量を7.0gとしたこと以外は実施例1と同様の方法により、キレートシリカゲルの合成を行った。
<実施例8>
キレート前駆体材料に下記の化合物3を用い、アミノシリカゲル3gに対する添加量を4.0gとしたこと以外は実施例1と同様の方法により、キレートシリカゲルの合成を行った。
実施例6〜8のキレートシリカゲル材料を用いて、金属捕集試験を検討した。
実施例6〜8のキレートシリカゲルをそれぞれ1gに対し、FeCl3エタノール溶液4mlを滴下し、5分撹拌後、濾過によりシリカを取り除いた。実施例6〜8のキレートシリカゲルをそれぞれ用いたいずれのサンプルも実施例1のキレートシリカ材料と同様に、取り除いたシリカは赤色を帯び、濾液は無色になった。このことから、実施例6〜8のキレートシリカゲルを用いて鉄を捕集することができた。
レジスト組成物は、90重量%以上を有機溶剤が占めるため、有機溶剤において高効率に金属成分を除去できたという上記の結果から、本発明の濾過材料を用いてレジスト組成物中の金属成分も高効率で除去可能であると考えられる。
<シリカキセロゲルの合成>
文献(G.Hayase,et.al,Angew.Chem.Int.Ed.,2013,52,10788−10791.、G.Hayase,et.al,Angew.Chem.Int.Ed.,2013,52,1986−1989.及びG.Hayase,et.al,J.Mater.Chem.,2011,21,17077−17079.)を参考に合成を行った。
尿素(10g)、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)(0.8g)を0.05mol/Lの酢酸水溶液(15ml)に溶解し、2官能シランカップリング剤: ジメチルジメトキシシラン(DMDMS)(5ml)と3官能シランカップリング剤:ビニルトリメトキシシラン(VTMS)(5ml)を加え1時間攪拌しゾル反応を行った。反応終了後に溶液を80℃のオーブンに静置し1昼夜、ゲル反応を行った。得られたゲルを水で3回洗浄し、その後に水−イソプロパノール(IPA)(1:1)溶液に置き換え、ゲルの洗浄を行った。洗浄したゲルをIPAに8時間2回浸漬させた。その後にn−ヘキサンで3回洗浄し40℃で1昼夜乾燥しキセロゲルを得た。
得られたゲルはマシュマロに似た外観であり柔軟性があり、溶媒へ浸漬させると瞬時に吸収することが確認された。以上のことからシリカキセロゲルの合成に成功した。以下に、シリカキセロゲルの合成スキームを示す。
シリカキセロゲルのアミノ基修飾においてチオール・エン反応を採用した。2−アミノエタンチオール10wt%イソプロパノール(IPA)溶液(10ml)を調製しそこへラジカル開始剤:V−601(0.2g)を溶解させた。その溶液へシリカキセロゲル(2g)を浸漬し6時間(65℃)でシリカキセロゲル末端のビニル基からスルフィドへ変換した。反応後、シリカキセロゲルをIPAで十分洗浄後にジエチルエーテルでさらに洗浄後に乾燥した。
X線光電子分光法(XPS)により反応後にS2pが検出されたことから、シリカキセロゲルにアミノエタンスルフィドの修飾することに成功し、アミノシリカキセロゲルを得た。以下に、シリカキセロゲルへのアミノエタンスルフィドの修飾スキームを示す。
アミノシリカキセロゲルへのキレート部位の選択・修飾はアミノシリカキセロゲル(2g)をレスアセトフェノン10wt%エタノール溶液(20ml)へ1日浸漬させた、浸漬後にゲルを取り出し、エタノールで十分洗浄後にジエチルエーテルで洗浄し60℃で1昼夜乾燥した。得られたキセロゲルはこれまで合成したビーズ型シリカゲルと同様にアミノ部位へカルボニル基が脱水縮合されてフェニルアセトイミノ基が形成され黄色へ着色された。2,4−ジヒドロキシメバロアセトフェノンにおいても同様の手法によりビーズ型シリカゲルと同じ燈茶色に着色されたキレートシリカキセロゲルが得られた。以上のことから、これまでにないキレートシリカキセロゲルの合成に成功した。以下にキレートシリカキセロゲルの合成スキームを示す。
キレートシリカキセロゲルの金属成分捕集定性評価を行った。FeCl3シクロヘキサノンアセトニトリル50ppm(1:1)溶液を調製し、そこへキレートシリカキセロゲルを投入し2分程浸漬した後、鉄イオンとキレート部位とのキレート形成によりキセロゲルは黄色から血赤色に変化した。キセロゲルを除去するため0.20μmPTFEフィルタでろ過をした。得られたろ液は黄色から無色になった。このことからキレートシリカキセロゲルにおいても金属成分捕集に成功した。
<クロリドシリカキセロゲルの合成>
2官能シランカップリング剤:ジメチルジメトキシシランおよび3官能シランカップリング剤:クロリドプロピルトリメトキシシシランを用いて重合比率が1:1になるように上述で述べた手法により、新規シリカキセロゲルの合成をした。クロリドはビニルメチルシリカキセロゲルにくらべ得られるゲルの収量が若干減少されていると思われる。これは末端官能基による反応阻害の影響と示唆される。しかしながら得られたそれぞれのシリカキセロゲルはXPS測定によりクロリドシリカキセロゲルにおいてはCl2pのピークが確認されたことから新規のクロリドシリカキセロゲルの合成に成功した。
クロリドシリカキセロゲルを用いるアミノ基修飾は、アミンアルコールを用いるウィリアムソン・エーテル合成による反応により検討した。容器内へクロリドシリカキセロゲル(1g)を加え、シリカキセロゲルに対してモノエタノールアミン(5g)、求核試薬としてトリエチルアミン(5g)をそれぞれ投入し65℃で6時間加熱した。加熱後に超純水を加え洗浄と同時に加水分解を行い、その後エタノールで十分に洗浄した。洗浄後にジエチルエーテルに通して60℃で乾燥した。得られたシリカゲルはレスアセトフェノンおよび2,4−ジヒドロキシメバロアセトフェノンの2wt%エタノール溶液へそれぞれ浸漬させた後、洗浄後にキセロゲルの色が着色されたことからクロリドからエーテル化しアミノ基修飾が成功したことを示す。同時にこのアミノ基修飾シリカキセロゲルがキレート修飾されたことを示す。以上のことからキレートシリカキセロゲルの新規合成経路の開発に成功した。
バイアルに、1.2gのN−(3−アミノプロピル)メタクリルアミドヒドロクロリドと、0.5gの架橋剤(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)及び0.05gのラジカル開始剤(V−601)を入れ、10mLの2−プロパノールに溶解し、3時間70℃でオイルバス下で撹拌した。反応後、得られた架橋体を2−プロパノールで十分洗浄後、ジエチルエーテルで洗浄し、1日真空乾燥し、白色のアミノ基塩酸塩修飾アクリルアミド架橋体を得た。合成に用いた各材料の化学構造を以下に記載する。
0.450gの4−ヒドロキシベンゾフェノンと、3.05gのトリエチルアミンを、10mLの2−プロパノールに溶かし、バイアル内でキレート基修飾反応溶液を調製した。その反応溶液に、0.5gのアミノ基塩酸塩修飾アクリルアミド架橋体を加えて、60℃のオーブン内に一昼夜静置した。反応終了後に白色の粉末は黄色に変化したことが確認できた。その粉末をエタノールと続けてアセトンにより洗浄し、一昼夜真空乾燥した。得られた粉末と、アミノ基塩酸塩修飾アクリルアミド架橋体とをFT−IRにより測定した。その結果、反応後の黄色粉末には、キレート基修飾前のアミノ基塩酸塩修飾アクリルアミド架橋体には見られなかったOH基に帰属するピークが、確認された。
さらに、アミノ基塩酸塩修飾アクリルアミドホモポリマーを用いて同方法によりキレート反応させた粉末においても、反応後にH−NMRスペクトルから芳香環に帰属するピークが確認されたことから、キレート基が修飾されたアクリルアミド架橋体の合成に成功した。キレート基修飾アクリルアミド架橋体の合成スキームを以下に示す。
上記で得たキレート基修飾アクリルアミド架橋体を、5μMの塩化鉄アセトニトリル溶液に加え、撹拌後に静置し、そのスラリー溶液を濾過し、架橋体粉末を取り除いた。
得られたろ液は、黄色から透明になり、また粉末は黄色から橙色に変化し、キレート部位と塩化鉄との錯体形成が確認された。このことから、本キレート粉末を用いた溶液から金属イオンの除去に成功した。
N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミドヒドロクロリドを架橋により表面修飾したPTFE膜を上述で述べた手法に基づきキレート修飾を検討した。得られたキレート基修飾PTFE膜のXPSから、キレート修飾後にN−(3−アミノプロピル)メタクリルアミドヒドロクロリドに帰属するCl2sのピークの消失が確認されたことから、膜への完全なキレート基修飾が観察された。以上のことから、キレート基修飾PTFE膜の調製に成功した。
Claims (16)
- 前記シリカ基材が、多孔質の柔軟性シリカ繊維である請求項1に記載の濾過材料。
- シリカゲルに前記一般式(a0−1)で表される基を導入したものを用いた請求項1に記載の濾過材料。
- 前記シリカゲルの粒径が、2〜50μmである請求項3に記載の濾過材料。
- 前記シリカ基材が、2官能基以上のアルコキシシランの共重合体であって、下記一般式(p−1)及び(p−3)で表される部分構造を有することを特徴とする共重合体である、請求項1又は2に記載の濾過材料。
- 前記シリカ基材が、2官能基以上のアルコキシシランの共重合体であって、下記一般式(p−1)及び(p−5)で表される部分構造を有することを特徴とする共重合体である、請求項1又は2に記載の濾過材料。
- 前記濾過材料が、レジスト組成物又は有機溶剤を濾過するために用いられる請求項1〜7のいずれか1項に記載の濾過材料。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の濾過材料を用いたことを特徴とする濾過フィルター。
- 請求項9に記載の濾過フィルターにレジスト組成物又は有機溶剤を通液し、該レジスト組成物又は有機溶剤中の不純物質を除去することを特徴とする、濾過方法。
- 前記不純物質が金属成分である請求項10に記載の濾過方法。
- 前記濾過材料が、レジスト組成物又は有機溶剤を濾過するために用いられる請求項12に記載の濾過材料の製造方法。
- 前記濾過材料が、濾過フィルターである請求項12又は13に記載の濾過材料の製造方法。
- 請求項12に記載の濾過材料の製造方法によって得られた濾過材料に、レジスト組成物又は有機溶剤を通液し、該レジスト組成物又は有機溶剤中の不純物質を除去することを特徴とする、濾過方法。
- 前記不純物質が金属成分である請求項15に記載の濾過方法。
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