JP2007297475A - ポリエーテル、ポリウレタン、イソシアネート基末端プレポリマーおよびポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】触媒成分を含む粗製ポリエーテルを、プラスのゼータ電位を生じるフィルターに通過させるポリエーテルの製造方法;該製造方法により得られたポリエーテルとポリイソシアネートとを反応させる、ポリウレタン、イソシアネート基末端プレポリマーおよびポリウレタンフォームの製造方法。
【選択図】なし
Description
(1)触媒成分を、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、マグネシアシリケート、アルミノシリケート等の固体吸着剤に吸着させて除去する方法(特許文献1)。
(2)細孔径のメンブランフィルターを用いて触媒成分を除去する方法(特許文献2)。
(3)ポリエーテルを有機溶剤に溶解した溶液に水を加えて、水相に触媒成分を抽出し、水相とポリエーテル相とを分離した後、ポリエーテル相をフィルターでろ過する方法(特許文献3)。
(2)の方法では、高分子量のポリエーテルを処理した場合、ポリエーテルの粘度が高いため、細孔径のメンブランフィルターではろ過に時間がかかり、生産性に問題がある。
(3)の方法では、触媒成分の除去率はよいものの、抽出とろ過という2段階の工程を経るため、コストがかかり、また作業が煩雑である。
よって、粘度の高い粗製ポリエーテルから触媒成分を高い除去率で、生産性よく、低コストで、かつ簡便に除去する方法が求められている。
フィルターの絶対ろ過精度は、0.1〜5μmであることが好ましい。
フィルターは、グラスファイバー、コットン、ポリプロピレンおよびセルロースからなる群から選ばれる1種以上のろ材に樹脂バインダーをコーティングしたものであることが好ましい。
粗製ポリエーテルの温度は、60〜135℃であることが好ましい。
粗製ポリエーテルのpHは、3〜14であることが好ましい。
重合触媒は、複合金属シアン化物錯体触媒、ルイス酸触媒、P=N結合を有する化合物触媒、アルカリ金属触媒およびアルカリ土類金属触媒からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明のイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法は、本発明のポリエーテルの製造方法により得られたポリエーテルとポリイソシアネートとを反応させることを特徴とする。
本発明のポリウレタンの製造方法によれば、ポリウレタンを安定して製造できる。
本発明のイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法によれば、イソシアネート基末端プレポリマーの貯蔵安定性に優れるという特徴を付与できる。
ポリエーテルは、(a)粗製ポリエーテルを製造し、(b)該粗製ポリエーテルを精製することによって製造される。
粗製ポリエーテルとは、触媒成分を含む未精製のポリエーテルを意味する。
ポリエーテルとは、主鎖に複数のエーテル結合を有し、かつ1分子あたり1個以上の水酸基を有する化合物、すなわち、ポリエーテルモノオールおよびポリエーテルポリオール、ならびに、その誘導体をいう。誘導体とは、ポリエーテルモノオールおよびポリエーテルポリオールの末端水酸基をアルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルカルボニル基などに変換したものをいう。
触媒成分とは、粗製ポリエーテルの製造後に粗製ポリエーテルに残存する、触媒構造が保たれた重合触媒の残渣、および触媒構造が壊れた重合触媒の分解物を意味する。
開始剤としては、1分子あたり1個以上の活性水素原子を有する化合物が挙げられる。
目的とするポリエーテルが、ポリエーテルモノオールの場合、開始剤としては、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール等の1価のアルコール;フェノール、アルキル置換フェノール等の1価のフェノール類;ジアルキルアミン等の2級アミン;これらにヘテロ環状化合物を開環重合させて得られる、目的とするポリエーテルモノオールよりも低分子量のポリエーテルモノオール等が挙げられる。
開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
開始剤は、それ単独で、または、ヘテロ環状化合物とともに、開環重合の途中で反応系に追加供給してもよい。
ヘテロ環状化合物としては、炭素数2以上のヘテロ環状化合物が好ましい。ヘテロ環状化合物としては、たとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン、エピクロロヒドリン、グリシジルエーテル、グリシジルエステル等の環状エーテル;エチレンサルファイド等の環状チオエーテル類;エチレンイミン等のイミン類;エチレンカーボネート等の環状カーボネート類;エチレンチオカーボネート等の環状チオカーボネート類;エチレンジチオカーボネート等の環状ジチオカーボネート類;ε−カプロラクトン等の環状ラクトン類;ε−カプロラクタム等の環状ラクタム類等が挙げられる。ヘテロ環状化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合触媒としては、たとえば、複合金属シアン化物錯体;水酸化カリウム、水酸化セシウム、セシウムメトキシド等の、アルカリ金属化合物触媒またはアルカリ土類金属化合物触媒;ホスファゼニウムカチオンの水酸化物塩等の、P=N結合を有する化合物触媒;金属ポルフィリン錯体触媒;トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム等のルイス酸触媒等が挙げられる。
複合金属シアン化物錯体触媒は、公知の方法で製造できる。製造方法としては、たとえば、水溶液中でハロゲン化金属塩とアルカリ金属シアノメタレートとを反応させて得られる反応生成物に、有機配位子を配位させ、ついで、固体成分を分離し、該固体成分を有機配位子水溶液で洗浄する方法;有機配位子水溶液中でハロゲン化金属塩とアルカリ金属シアノメタレートとを反応させ、得られる反応生成物(固体成分)を分離し、該固体成分を有機配位子水溶液で洗浄する方法等が挙げられる。
有機配位子としては、たとえば、tert−ブタノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ペンチルアルコール、iso−ペンチルアルコール、N,N−ジメチルアセトアミド、グライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、iso−プロピルアルコール、ジオキサン等が挙げられる。ジオキサンとしては、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサンが挙げられ、1,4−ジオキサンが好ましい。
有機配位子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
複合金属シアン化物錯体触媒としては、亜鉛ヘキサシアノコバルテートに有機配位子が配位した複合金属シアン化物錯体触媒が好ましい。
ルイス酸触媒としては、特開2000−344881号公報、特開2000−344891号公報に記載された化合物が挙げられる。
ルイス酸触媒としては、たとえば、トリフェニルボラン、ジフェニル−tert−ブチルボラン、トリ(tert−ブチル)ボラン、トリフェニルアルミニウム、ジフェニル−tert−ブチルアルミニウム、トリ(tert−ブチル)アルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、ビス(ペンタフルオロフェニル)−tert−ブチルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、ビス(ペンタフルオロフェニル)−tert−ブチルアルミニウム、ビス(ペンタフルオロフェニル)フッ化ボラン、ジ(tert−ブチル)フッ化ボラン、(ペンタフルオロフェニル)2フッ化ボラン、(tert−ブチル)2フッ化ボラン、ビス(ペンタフルオロフェニル)フッ化アルミニウム、ジ(tert−ブチル)フッ化アルミニウム、(ペンタフルオロフェニル)2フッ化アルミニウム、(tert−ブチル)2フッ化アルミニウム等が挙げられ、トリフェニルボラン、トリフェニルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムが好ましく、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムがより好ましい。
ルイス酸触媒の使用量は、得られるポリエーテル100質量部に対して0.0001〜10質量部が好ましく、0.001〜1質量部がより好ましい。
P=N結合を有する化合物触媒としては、ホスファゼニウム化合物触媒、ホスファゼン化合物触媒、ホスフィンオキシド化合物触媒等が挙げられる。
ホスファゼニウム化合物触媒としては、特開平11−106500号公報に記載された化合物が挙げられ、たとえば、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムメトキシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムエトキシド、テトラキス[トリ(ピロリジン−1−イル)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウム−tert−ブトキシド等が挙げられる。
P=N結合を有する化合物触媒としては、入手の容易さ等から、ホスファゼニウム化合物触媒またはホスフィンオキシド化合物触媒が好ましい。
アルカリ金属化合物触媒およびアルカリ土類金属化合物触媒としては、たとえば、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、セシウムメトキシド等が挙げられ、入手の容易性等から、水酸化カリウムおよび/または水酸化セシウムが好ましい。
アルカリ金属化合物触媒およびアルカリ土類金属化合物触媒の使用量は、得られるポリエーテルアルコール100質量部に対して0.05〜1.5質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましい。
複合金属シアン化物錯体触媒を用いて製造された粗製ポリエーテルは、複合金属シアン化物錯体触媒に由来する触媒成分を含む。該触媒成分を含む粗製ポリエーテルとポリイソシアネートとを反応させた場合、アロファネート結合が多くなり、好ましくない結果となることが知られている(たとえば、米国特許第4355188号明細書、特公昭59−15336号公報)。
そして、本発明のポリエーテルの製造方法は、触媒成分を含む粗製ポリエーテルを、プラスのゼータ電位を生じるフィルターに通過させることによって、触媒成分が充分に除去されたポリエーテルを得ることを特徴とする方法である。
フィルターとして、0mVを超えて+30mV以下のゼータ電位を生じるフィルターが好ましく、0mVを超えて+15mV以下のゼータ電位を生じるフィルターがより好ましい。
フィルターから1×5cmのサンプルを切り取り、該サンプルをさらにハサミで細かく切断した後、得られた破片を0.01Mの塩化カリウム溶液に一晩浸漬する。破片を塩化カリウム溶液に浸漬した状態で、30分間真空引きし、破片に含まれる空気を除去する。破片を浸漬した溶液について、CAD社製の流動電位方式ゼータ電位測定装置(Zeta CAD)を用いてゼータ電位を測定する。測定用セルとしては、内径15×5cmのガラス製円筒セルにろ紙を詰めたものを用いる。ゼータ電位の測定は2回行い、2回の平均値を求める。
フィルターの絶対ろ過精度は、ろ過精度が99.9%以上となる粒子径であり、0.5〜40μmのシリカ系コンタミナント等を用い、シングルパスF−2試験法等により測定する。
サーフェイスタイプのフィルターは、被ろ過物が通過する際のメディアの厚さ方向の距離が短いフィルターであり、フィルター表面の目開きで除去できる粒子の大きさが決まるフィルターである。
デプスタイプは、深層ろ過タイプまたは体積ろ過タイプとも呼ばれ、デプスタイプのフィルターは、フィルターのメディアに厚さをある程度持たせたフィルターである。デプスタイプのフィルターは、サーフェイスタイプのフィルターに比べて、フィルター部分において凝集物同士が接触する可能性が低く、触媒成分を効率よく除去することができる。
フィルターとしては、凝集物同士の接触が少ないデプスタイプのフィルターが好ましい。
メンブランタイプのフィルターは、ろ材にある一定の大きさおよび分布の孔があいているフィルターである。同じ大きさおよび分布の孔があいている複数枚のろ材を重ねると、サーフェイスタイプのフィルターとなり、孔があいた複数枚のろ材を、フィルターの外側から内側に向かってろ材の孔の大きさが徐々に小さくなるように、かつある程度の厚みになるように重ねると、デプスタイプのフィルターとなる。
糸巻きタイプのフィルターは、ろ材に一定の空隙を持った長繊維を撚糸せずに用い、コアに一定の密度で巻きつけたフィルターである。コアから密度勾配を持たせずに巻きつけると、サーフェイスタイプのフィルターとなり、ろ材の空隙を変化させたり、密度勾配を持たせたりして、コア方向に向かって徐々にろ過精度を細かくすると、デプスタイプのフィルターとなる。
フィルターとしては、ろ過面積が広く、ポリエーテルの生産性が高いプリーツタイプのフィルターが好ましい。
フィルターのコアの材質としては、ポリプロピレン、ステンレススチール等が挙げられ、高温でのろ過に耐えられる点で、ステンレススチールが好ましい。
プラスのゼータ電位を生ずる、カートリッジタイプのフィルターとしては、日本ポール社製のウルチポアGFプラスシリーズ、ロキテクノ社製のゼータワインドシリーズ、ゼータワインドIIシリーズ、キュノ社製のゼータプラスシリーズ等が挙げられる。
ポンプとしては、ギヤポンプ、スクリューポンプ、カムポンプ等の回転ポンプ;プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ等の往復動ポンプ等が挙げられる。
粗製ポリエーテルをフィルターに通過させる際の通過速度は、差圧0〜0.55MPaにおいて、3〜50kg/(m2 ・分)が好ましく、5〜30kg/(m2 ・分)がより好ましい。
粗製ポリエーテルの粘度は、100〜85000mPa・s/25℃が好ましく、200〜70000mPa・s/25℃がより好ましい。粘度は、JIS K 1557で規定された方法に従い測定される。
フィルターの数は、粗製ポリエーテルに含まれる触媒成分の量および性状に応じて適宜設定すればよい。複数のフィルターを設ける場合、生ずるプラスのゼータ電位が異なるフィルターを組み合わせてもよく、プラスのゼータ電位を生じるフィルターと、プラスのゼータ電位を生じないフィルターとを組み合わせてもよい。
粗製ポリエーテルをフィルターに通過させる回数は、生産性および除去率の点で、1〜5回が好ましい。
複合金属シアン化物錯体触媒、ルイス酸触媒、アルカリ金属化合物触媒およびアルカリ土類金属化合物触媒等、金属を含む重合触媒を用いた場合、フィルター通過前後のポリエーテル中に含まれる金属量をJIS K 0121に示された原子吸光分析に準拠して測定し、触媒成分の除去率を算出する。
P=N結合を有する化合物触媒等、金属を含まない重合触媒を用いた場合、JIS K 1557に示されたポリエーテルポリオールのCPR分析法に準拠して、フィルター通過前後のCPR値を測定し、触媒成分の除去率を算出する。
ポリエーテルの分子量は、フィルターに通過させる条件で液体となるような分子量が好ましく、500〜100000がより好ましい。
ポリエーテルの官能基数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましい。官能基数が8を超えると、該ポリエーテルを用いたポリウレタン、作動油等の物性が悪化するおそれがある。
水酸基価=56100×官能基数/ポリエーテルの分子量。
プラスのゼータ電位を生じるフィルターとは、上述したように、水中に浸漬した際に水素イオン(H+ )を吸着し、プラスに荷電されるフィルターである。該フィルターを、水中に浸漬させることなく、粗製ポリエーテルに浸漬させた場合、水素イオン(H+ )の代わりに、粗製ポリエーテルに含まれるプラスに荷電された成分を吸着する。たとえば、複合金属シアン化物錯体触媒、ルイス酸触媒、アルカリ金属化合物触媒およびアルカリ土類金属化合物触媒等、金属を含む重合触媒を用いた場合、触媒成分中の金属成分を吸着する。このように、プラスのゼータ電位を生ずるフィルターを用いることにより、静電的な吸着効果を用いた触媒成分の捕捉ができ、フィルター孔径を大きくしても、フィルター孔径よりも小さな触媒成分まで除去できる。一方、プラスのゼータ電位を生じないフィルターは、孔径サイズによって物理的に触媒成分を除去するため、細かい触媒成分を捕捉しようとした場合、差圧が高くなり、生産性が低下する。
本発明のポリウレタンの製造方法は、本発明のポリエーテルの製造方法により得られたポリエーテルとポリイソシアネートとを反応させることを特徴とする。
ポリエーテルとしては、ポリエーテルポリオールが用いられる。
本発明のイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法は、本発明のポリエーテルの製造方法により得られたポリエーテルとポリイソシアネートとを反応させることを特徴とする。
イソシアネート基末端プレポリマーは、ポリエーテルに対し、化学量論的過剰量のポリイソシアネートを反応させることにより製造できる。ポリエーテルとポリイソシアネートを、乾燥窒素気流下、溶媒の存在下または非存在下で、任意にウレタン化触媒の存在下に、60〜100℃で1〜30時間加熱反応することによって製造できる。
ポリイソシアネートとしては、上述のポリイソシアネートが挙げられる。
必要に応じてウレタン化触媒を用いてもよい。ウレタン化触媒としては、上述のウレタン化触媒が挙げられる。
本発明のポリウレタンフォームの製造方法は、本発明のポリエーテルの製造方法により得られたポリエーテルとポリイソシアネートとを、発泡剤、ウレタン化触媒、整泡剤の存在下に反応させることを特徴とする。
ポリイソシアネートとしては、上述のポリイソシアネートが挙げられる。
ウレタン化触媒としては、上述のウレタン化触媒が挙げられる。
発泡剤としては、水、不活性ガス等が挙げられる。
整泡剤としては、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤等が挙げられる。
(pH)
ポリエーテルポリオールのpHは、JIS K 1557に従い測定した。
(粘度)
ポリエーテルポリオールの粘度は、JIS K 1557に従い測定した。
(水酸基価)
ポリエーテルポリオールの水酸基価は、JIS K 1557に従い測定した。
(分子量)
ポリエーテルポリオールの水酸基価と分子量には下記関係式が成立する。
ポリエーテルポリオールの分子量=56100×官能基数/水酸基価。
上記関係式から分子量を算出できる。
ポリエーテルポリオールに含まれる金属量は、以下のようにして測定した。
ポリエーテルポリオール20gを白金皿に秤量し、ガスバーナーを用いて燃焼、灰化された後、さらに600℃の電気炉にて完全に灰化させ、灰化残渣を6N塩酸2mlに溶解させ、蒸留水にて100mlに定容した。灰化残渣の金属量は、原子吸光光度計(島津製作所社製、AA−6200)を用いて測定した。金属量の定量は、金属標準液で作成した検量線から求めた。
ポリエーテルポリオールのCPR値は、JIS K 1557に準拠して測定した。
複合金属シアン化物錯体触媒、ルイス酸触媒、アルカリ金属化合物触媒およびアルカリ土類金属化合物触媒等、金属を含む重合触媒を用いた場合、フィルター通過前後のポリエーテル中に含まれる金属量をJIS K 0121に示された原子吸光分析に準拠して測定し、下式にて触媒成分の除去率を算出した。
触媒成分の除去率=((C−D)/C)×100。
ただし、Cは粗製ポリエーテルポリオール中の金属量であり、Dは精製ポリエーテルポリオール中の金属量である。
触媒成分の除去率=((E−F)/E)×100。
ただし、Eは粗製ポリエーテルポリオール中のCPR値であり、Fは精製ポリエーテルポリオール中のCPR値である。
透過速度は、下式から求めた。
透過速度[kg/(m2 ・分)]=(フィルターを透過した精製ポリエーテルポリオール量[g]×60)/(フィルターのろ過面積[m2 ]×透過に要した時間[秒]×1000)。
フィルターから1×5cmのサンプルを切り取り、該サンプルをさらにハサミで細かく切断した後、得られた破片を0.01Mの塩化カリウム溶液に一晩浸漬した。破片を塩化カリウム溶液に浸漬した状態で、30分間真空引きし、破片に含まれる空気を除去した。破片を浸漬した溶液のpHを測定した。破片を浸漬した溶液について、CAD社製の流動電位方式ゼータ電位測定装置(Zeta CAD)を用いてゼータ電位を測定した。測定用セルとしては、内径15×5cmのガラス製円筒セルにろ紙を詰めたものを用いた。ゼータ電位の測定は2回行い、2回の平均値を求めた。
複合金属シアン化物錯体触媒として、tert−ブタノールを配位子として含む亜鉛ヘキサシアノコバルテートを用い、開始剤として2官能のポリエーテルポリオール(分子量700)を用いて、プロピレンオキシドを開環重合することによって、分子量2000(水酸基価として56.1mgKOH/g)の粗製ポリエーテルポリオール(p1)を得た。該粗製ポリエーテルポリオール(p1)には、亜鉛(Zn)8.8ppm、コバルト(Co)2.6ppm、ZnとCoの合計11.4ppmが含まれていた。該粗製ポリエーテルポリオール(p1)のpHは7.3であり、粘度は330mPa・s/25℃であった。
複合金属シアン化物錯体触媒として、tert−ブタノールを配位子として含む亜鉛ヘキサシアノコバルテートを用い、開始剤として3官能のポリエーテルポリオール(分子量1000)を用いて、プロピレンオキシドを開環重合することによって、分子量10000(水酸基価として16.8mgKOH/g)の粗製ポリエーテルポリオール(p2)を得た。該粗製ポリエーテルポリオール(p2)には、亜鉛(Zn)9.2ppm、コバルト(Co)2.2ppm、ZnとCoの合計11.4ppmが含まれていた。該粗製ポリエーテルポリオール(p2)のpHは7.2であり、粘度は4500mPa・s/25℃であった。
アルカリ金属触媒として水酸化セシウム(キャボット社製、50%水溶液品)を用い、開始剤として2官能のポリエーテルポリオール(分子量700)を用いて、プロピレンオキシドを開環重合することによって、分子量2000(水酸基価として56.1mgKOH/g)の粗製ポリエーテルポリオール(p3)を得た。該粗製ポリエーテルポリオール(p3)には、セシウム(Cs)7100ppmが含まれていた。該粗製ポリエーテルポリオール(p3)のpHは13.8であり、粘度は330mPa・s/25℃であった。
ルイス酸触媒に由来する触媒成分を含む粗製ポリエーテルポリオールは、特開2000−344881号公報に記載された方法に従って製造した。
ルイス酸触媒としてトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを用い、開始剤として3官能のポリエーテルポリオール(分子量1000)を用いて、プロピレンオキシドを開環重合することによって、分子量3000(水酸基価として56.1mgKOH/g)の粗製ポリエーテルポリオール(p4)を得た。該粗製ポリエーテルポリオール(p4)には、ホウ素(B)120ppmが含まれていた。該粗製ポリエーテルポリオール(p4)のpHは3.5であり、粘度は490mPa・s/25℃であった。
P=N結合を有する化合物触媒に由来する触媒成分を含むポリエーテルポリオールは、特開平11−106500号公報に記載された方法に従って製造した。
P=N結合を有する化合物触媒として、Fluka社製のテトラキス(トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ)ホスホニウムクロライドをイオン交換樹脂により、テトラキス(トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ)ホスホニウムヒドロキシドにイオン交換したものを用いた。開始剤としてグリセリンを用い、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドをランダムに開環重合することにより、オキシエチレン基含有量13.6質量%、分子量7000(水酸基価として24.0mgKOH/g)の粗製ポリエーテルポリオール(p5)を得た。該粗製ポリエーテルポリオール(p5)のCPR値は、51.3であった。該粗製ポリエーテルポリオール(p5)のpHは13.2であり、粘度は1400mPa・s/25℃であった。
粗製ポリエーテルポリオール(p1)の5500gを反応槽に仕込み、反応槽内を窒素にて置換した。粗製ポリエーテルポリオール(p1)を80℃に加温した後、反応槽を0.3MPaに加圧した。バルブ構造を有する、反応槽の製品抜き出し口とフィルターハウジング(Advantec社製、1本用ステンレスハウジング、1TSタイプ)の入り口とをフレキシブルホースを用いて接続した。フィルターハウジング出口にもフレキシブルホースを接続し、このフレキシブルホースから精製ポリエーテルポリオールを石油缶へ抜き出せるようにした。粗製ポリエーテルポリオール(p1)のフィルター通過時には、石油缶へ不活性ガスを吹き込み、水分の上昇を避けるようにした。
フィルターハウジングに、プラスのゼータ電位を生ずるカートリッジフィルター(2)(日本ポール社製、ウルチポアGFプラスU2−20Z、フィルターサイズ:長さ249mm×外径70mm、ろ過面積0.65m2 )を1本装着した後、実施例1と同様にして、粗製ポリエーテルポリオール(p1)をワンパスろ過し、精製ポリエーテルポリオール4640gを得た。透過に要した時間は60秒であった。
粗製ポリエーテルポリオール(p2)を用い、実施例1と同様にして、ワンパスろ過し、精製ポリエーテルポリオール4510gを得た。透過に要した時間は70秒であった。
粗製ポリエーテルポリオール(p3)を用い、実施例1と同様にして、ワンパスろ過し、精製ポリエーテルポリオール4600gを得た。透過に要した時間は89秒であった。
粗製ポリエーテルポリオール(p4)を用い、実施例1と同様にして、ワンパスろ過し、精製ポリエーテルポリオール4700gを得た。透過に要した時間は71秒であった。
粗製ポリエーテルポリオール(p5)を用い、実施例1と同様にして、ワンパスろ過し、精製ポリエーテルポリオール4680gを得た。透過に要した時間は73秒であった。
フィルターハウジングに、プラスのゼータ電位を生じないカートリッジフィルター(3)(ロキテクノ社製、スロープピュアフィルターカートリッジSLPタイプ250−SLP−005、フィルターサイズ:長さ250mm×外径70mm、ろ過面積0.24m2 )を1本装着した後、実施例1と同様にして、粗製ポリエーテルポリオール(p1)をワンパスろ過し、精製ポリエーテルポリオール4530gを得た。透過に要した時間は168秒であった。
フィルターハウジングに、プラスのゼータ電位を生じないカートリッジフィルター(4)(ロキテクノ社製 スロープピュアフィルターカートリッジSLPタイプ250−SLP−010、フィルターサイズ:長さ250mm×外径70mm、ろ過面積0.24m2 )を1本装着した後、比較例1と同様にして、粗製ポリエーテルポリオール(p1)をワンパスろ過し、精製ポリエーテルポリオール4490gを得た。透過に要した時間は134秒であった。
粗製ポリエーテルポリオール(p2)を用い、比較例1と同様にして、ワンパスろ過し、精製ポリエーテルポリオール4570gを得た。透過に要した時間は446秒であった。
粗製ポリエーテルポリオール(p3)を用い、比較例1と同様にして、ワンパスろ過し、精製ポリエーテルポリオール4480gを得た。透過に要した時間は225秒であった。
粗製ポリエーテルポリオール(p4)を用い、比較例1と同様にして、ワンパスろ過し、精製ポリエーテルポリオール4570gを得た。透過に要した時間は217秒であった。
粗製ポリエーテルポリオール(p5)を用い、比較例1と同様にして、ワンパスろ過し、精製ポリエーテルポリオール4510gを得た。透過に要した時間は279秒であった。
実施例1〜6および比較例1〜6の結果を表2および表3に示す。
Claims (12)
- 触媒成分を含む粗製ポリエーテルを、プラスのゼータ電位を生じるフィルターに通過させる、ポリエーテルの製造方法。
- フィルターが、0mVを超えて+30mV以下のゼータ電位を生じるフィルターである、請求項1に記載の製造方法。
- フィルターの絶対ろ過精度が、0.1〜5μmである、請求項1または2に記載の製造方法。
- フィルターが、グラスファイバー、コットン、ポリプロピレンおよびセルロースからなる群から選ばれる1種以上のろ材に樹脂バインダーをコーティングしたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 粗製ポリエーテルをフィルターに通過させる際の差圧が、0〜0.55MPaであり、通過速度が、3〜50kg/(m2 ・分)である、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 粗製ポリエーテルの温度が、60〜135℃である、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 粗製ポリエーテルのpHが、3〜14である、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
- 粗製ポリエーテルが、重合触媒および開始剤の存在下、ヘテロ環状化合物を開環重合させて得られたものである、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
- 重合触媒が、複合金属シアン化物錯体触媒、ルイス酸触媒、P=N結合を有する化合物触媒、アルカリ金属化合物触媒およびアルカリ土類金属化合物触媒からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法により得られたポリエーテルとポリイソシアネートとを反応させる、ポリウレタンの製造方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法により得られたポリエーテルとポリイソシアネートとを反応させる、イソシアネート基末端プレポリマーの製造方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法により得られたポリエーテルとポリイソシアネートとを、発泡剤、ウレタン化触媒、整泡剤の存在下に反応させる、ポリウレタンフォームの製造方法。
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