JP2819124B2 - 多用途に使用するための新規染料 - Google Patents

多用途に使用するための新規染料

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JP2819124B2 JP8357499A JP35749996A JP2819124B2 JP 2819124 B2 JP2819124 B2 JP 2819124B2 JP 8357499 A JP8357499 A JP 8357499A JP 35749996 A JP35749996 A JP 35749996A JP 2819124 B2 JP2819124 B2 JP 2819124B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は染料の新規な群及びそれらの用途に関する。
【0002】発明の背景 染料は、幾つかの非常に異なる材料、例えば天然及び合
成繊維、編織布、プラスチック及び皮革の染料のために
使用できる。更に染料は、酸−塩基指示薬として、生物
学的細胞株として、フィルター染料、ハレイション防止
染料、又は写真用途においてより鮮鋭な像を与えるた
め、情報記録、印刷インク、カモフラージュ用染料とし
て、食品の着色のための集光材料として、分析試薬とし
て、染料転写写真材料中の転写染料として、及び多くの
他の用途における染料として使用できる。
【0003】一般にハロゲン化銀写真材料に混入する吸
光染料は、フィルター染料、アキュータンス染料又はハ
レイション防止染料としてのそれらの用途を含む種々の
目的を達成できる。
【0004】写真においては、染料が、写真材料中で使
用する感光性ハロゲン化銀結晶の表面で吸着されるか又
はしないかを示す、スペクトル及び非スペクトル増感染
料に分けることができる。
【0005】非スペクトル増感染料は、例えばスクリー
ニング染料として感光性ハロゲン化銀乳剤層中、感光性
層に隣接する下塗被覆中、及び/又は反射又は散乱光を
吸収するため写真層に対して反対の支持体側の裏塗層中
で広く使用されている。ハレイション防止染料として又
は望ましからぬ露光に対し特定の感光性層を遮蔽するた
めの上塗被覆又は中間層中でその機能(従ってフィルタ
ー又は吸収剤染料と称される)は、高度にその真価が認
められている。製造指示書に要求される如き写真材料の
感度の調整は、別の用途である。
【0006】非感光性最上層又は中間層中に存在すると
き、それらは、露光源の光スペクトルの望ましからぬ部
分を除去するフィルター染料として典型的に作用する。
良く知られている例は、緑感性及び赤感性層に達するこ
とから青光を防止するため、カラー写真材料中に通常存
在させる黄フィルター染料がある。他の例には、カラー
現像によって形成された像染料の光化学的劣化を防ぐ、
通常は最上保護層中に存在する、UV吸収化合物によっ
て形成される。有用なUV吸収剤の例には、US−P3
723154のシアノメチルスルホン誘導メロシアニ
ン、US−P2739888, 3253921, 325
0617及び2739971のチアゾリドン、ベンゾト
リアゾール及びチアゾロチアゾール、US−P3004
896のトリアゾール及びUS−P3125597のヘ
ミオキサゾールを含む。
【0007】他方で、乳剤層中に存在するとき光吸収染
料は、乳剤粒子による光の横方向散乱を減少することに
よって像鮮鋭性を改良するいわゆる“アキュータンス染
料”又は“スクリーニング染料”として作用できる。
【0008】第3の用途において、光吸収染料は、乳剤
層中への支持体による上方への反射を減少させることに
よって像鮮鋭性を改良する“ハレイション防止染料”と
して作用する。このため、染料は、乳剤層と支持体の間
の非感光性層である下塗被覆中に混入できる、又は染料
は基体自体中に混入できる、又はそれは好ましくは写真
材料の一つ以上の裏塗層中に存在させることができる。
例えば像鮮鋭度を改良するため、吸収剤染料は、X線記
録材料の透明フィルム支持体の反対側で被覆されるハロ
ゲン化銀乳剤層間の一つ以上のフィルター層中に存在さ
せることができる。前記記録材料の像に従った露光は、
それぞれが隣接ハロゲン化銀乳剤層と接触して保持され
る一対のX線増感スクリーン間でカセット中で行う。前
記配置によって、支持体を横切り、それによって或る程
度散乱されるようになる像形成光は、かなり減衰され、
反対側のハロゲン化銀乳剤層中で不鮮鋭な像を生ぜしめ
ることはできない。
【0009】スペクトル的に、染料吸収スペクトルは、
鮮鋭像が再現されなければならない層中の相当するハロ
ゲン化銀乳剤の感度スペクトルに大体等しくあるべきで
ある。
【0010】一方では、フィルター染料は、それらが混
入されている層中で残っていること、即ちそれらが非移
行性であることが非常に重要である、特にこの層が、ハ
ロゲン化銀への減感作用を防止するため、ハロゲン化銀
乳剤層と直接接触しているとき非常に重要である。他方
でフィルター染料は、像処理後、写真材料を汚染しては
ならない。
【0011】従って、処理サイクル中に写真材料から除
去できるか又は脱色するフィルター染料が好ましい。こ
の要件は現在、迅速処理時間に関心が益々増大している
ので、益々厳密な要件になって来ている。
【0012】US−P3560214に記載されている
如く、ジアルキルアミノフェニル基にメチン基を介して
結合したカルボキシル及びフェニル置換ピラゾロン核を
含有する染料が、比較的容易にアルカリ性水性溶液中で
除去されることができる、しかし、親水性コロイド層中
での拡散に対する充分な堅牢度に欠ける。
【0013】ジアルキルアミノ基に結合したメチン基又
はメチン鎖を含み、カルボキシフェニル基で置換された
2−ピラゾリン−5−オン核の存在を特徴とする他のフ
ィルター染料はUS−P4857446に記載されてい
る。
【0014】最近、EP−A0586748, 0587
229, 0587230, 及び0656401に、新規
な染料の合成及び用途が記載されており、これらの場合
において、フィルター染料は、モノ又はトリメチン鎖で
置換基として、エステル、アミド、ニトリル官能基又は
それらからの誘導体を有し、前記染料はピロロ[2,3
−c]ピラゾロン環の存在を示している。前記新規染料
を写真材料の親水性コロイド層中に非移行性状態で混入
したとき、それらは、前記材料の処理中に使用するアル
カリ性水性液中の亜硫酸イオンの影響下に急速に脱色さ
れた後、急速に除去することができる。
【0015】良く知られているように、モノメチン染料
は、最大が可視スペクトルの短い波長範囲にある吸収ス
ペクトルを有する、従って通常緑光をブロックするか又
は吸収する第二の染料を必要とし、そしてより長い波長
の放射線、例えば赤又は赤外帯域での放射線を吸収する
第三のフィルター染料を必要としている。アルカリ性処
理溶液中の亜硫酸イオンの影響下での脱色に関する別の
観点は、モノメチン染料からトリメチン染料へと進むに
従って、亜硫酸イオンとの減少する反応速度に関係す
る。
【0016】一度フィルター染料を選択したなら、問題
は、前述した全ての要件に合致するよう、そのフィルタ
ー染料を被覆層中にどのようにもって行くかである。
【0017】一つの可能性は、EP−A038463
3, 0323729, 0274723, 0276566
及び0351593;及びUS−P4900653, 4
904565, 4949654, 4940654, 49
48717, 4988611及び4803150に記載
されている如く水不溶性染料の固体粒子分散物の使用を
することである。
【0018】別の可能性は、Research Disclosure19
551(1980年7月)に提供されており、これには
ラテックス重合体粒子と疎水性化合物を会合させる解決
策が記載されている。
【0019】EP−A0401709には、水に実質的
に不溶性である油小滴中に疎水性染料を溶解すること、
及び相当するオイルフォーマー又は添加重合体ラテック
ス分散液の製造が記載されている。
【0020】染料迷走を防止するため、染料は、層中で
染料を結合するための媒染剤でしばしば被覆され、これ
は、例えばUS−P2527583に示されている如く
被覆される。染料媒染剤として、重合体がしばしば使用
される。
【0021】別の可能性は、非常に微細な感光性ハロゲ
ン化銀結晶の表面での染料の吸着によって提供され、こ
れは多くのハロゲン化銀結晶の被覆の予期しうる欠点及
び定着可能困難性を伴う。
【0022】写真的に有用な化合物の分散物を作るより
最近の方法は、例えば1995年7月24日出願のEP
出願第95202034号に与えられている。迅速処理
用に好適であるハロゲン化銀写真材料を製造する方法
は、1995年7月4日出願のEP出願第952018
22号に記載されている。
【0023】非常に数少ない染料が、特に迅速処理が関
係するとき上記要件を満足させる。更に染料が合致しな
ければならぬ迅速処理による迅速脱色または除去の及び
非拡散性の要件とは別に、それらは、被覆する前に乳剤
層中に存在する成分の影響下のみならず、特に例えば高
湿度及び高温の周囲条件下でパックした材料の厳しい貯
蔵条件下に写真材料中で高安定性を有しなければならな
い。従って新しい染料を合成すること及び写真材料中に
分散した形でそれらを得ることの研究が依然としてあ
る。
【0024】発明の目的及び概要 本発明の目的は、多用途に好適な新規染料を提供するこ
とにある。特に、本発明の目的は、写真材料の親水性コ
ロイド層中に非移行性状態で混入でき、そこからそれら
が、前記材料の処理中に使用されるアルカリ性水性液中
で急速に除去できる非スペクトル増感染料を提供するこ
とにある。
【0025】更に別の本発明の目的は、要求されるスペ
クトル帯域で高濃度を提供し、これによって写真材料に
おける入射光の散乱を減ずる新規染料を提供することに
ある。
【0026】本発明によれば、下記一般式(I)に相当
する染料を提供する:
【化3】
【0027】式中nは0又は1に等しい;Qは一般式
(II)
【化4】 (式中XはNR又はORを表し、R,R
びRの各々は独立に水素又は置換もしくは非置換アル
キル基を表す)によって表され;Qは五員環を閉環す
るのに必要な原子として酸素又は窒素を表し、この窒素
は更に置換されているか又は置換されていない;六員環
を閉環するためにはQは−NH−(C=O)−又は−
NH−(SO)−を表し、N−N結合が前記六員環に
存在しない;又はQは−NH−フェニル−を表し、か
くして形成される七員環の−C=N−結合の窒素がフェ
ニル環上で−NH−に対してオルト位にあり;Rは水素
又は置換もしくは非置換アルキル基を表す。
【0028】本発明によれば、支持体及び少なくとも一
つの感光性ハロゲン化銀乳剤層を含む写真材料を提供
し、前記材料が、親水性水透過性コロイド結合剤、例え
ばゼラチン中に分散した、前記一般式(I)による少な
くとも1種の染料を含有する。
【0029】更に本発明によれば、支持体及び少なくと
も一つの感光性ハロゲン化銀乳剤層を含有する写真材料
を提供し、前記材料が、固体粒子状態で前記一般式
(I)による少なくとも1種の染料を含有する。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】発明の詳細な記載 本発明による染料は、置換ピリジン−ジオン環の存在を
示す。この基の存在が、吸収を長波長に変えるスペクト
ル挙動に明らかに影響を与える。特に写真材料におい
て、本発明による染料は、迅速処理条件で要求される如
く、充分に速く脱色される。特に38秒処理サイクルに
対して、一つ以上のイオン化性基を含有する本発明によ
る染料が有利に使用される。前記イオン化性基は、染料
を、水性及び/又は水性アルカリ性媒体中で可溶性にな
るようにする。水性可溶性基の代表例には−SOHが
あるが、特徴ある水性アルカリ可溶性基には−COO
H、フェノール性−OH、スルホンアミド、イミド、ス
ルファモイル、アシルスルファモイル、スルホニルカル
バモイル、スルホンイミド、カルバモイル−スルファモ
イル等がある、但しこれらに限定されない。
【0034】この新規な群の染料には下記のものがあ
る。
【0035】
【化5】
【0036】
【化6】
【0037】
【化7】
【0038】
【化8】
【0039】
【化9】
【0040】
【化10】
【0041】
【化11】
【0042】化合物(I.1)、(I.2)及び(I.
5)、ピリジノ[3,4−c]イソオキサゾロン染料の
合成を以下に示す。
【0043】
【化12】
【0044】化合物Bは、J. Org. Chem. 24、2
65(1959年)の J. Wright、E. Gutsell によ
って発表された一般法により製造した。11.8gの化
合物B及び11.6gの市場で入手できる化合物Aを、
4時間トルエン250ml中で還流加熱した。次いで反
応混合物を室温に冷却し、その後メチル−t−ブチルエ
ーテルを加えた。濾過後11gの純粋な化合物Cが得ら
れた。
【0045】14gの染料化合物Cを、2mlのトリエ
チルアミンと共に150mlのイソプロパノール中に溶
解し、1時間還流加熱した。室温に冷却後、8gの染料
化合物(I.1)が結晶化した、これを濾別し、2回イ
ソプロパノールで洗った。化合物(I.1)はピリジノ
[3,4−c]−ピラゾロン構造を有する。
【0046】
【化13】
【0047】化合物Dは、1955年6月6日出願のE
P出願第95201479号に記載された方法によって
製造した。75gの化合物D及び105gの化合物Aを
1200mlの酢酸に溶解し、3日間60℃に加熱し
た。室温に冷却後、反応混合物を1lの飽和水性塩化ナ
トリウム溶液で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。一
緒にした抽出液を蒸発させ、残渣をクロマトグラフィで
精製し、114.6gの純粋な化合物Eを得た。
【0048】42.6gの化合物E及び12.8mlの
トリエチルアミンを500mlのイソプロパノール中に
溶解し、混合物を1時間還流加熱した。冷却後、沈殿を
濾過し、2回イソプロパノールで洗った。24.7gの
化合物I.2が得られた。化合物I.2はピリジノ
[3,4−c]−ピラゾロン構造を有する。
【0049】化合物I.2から固体粒子分散物を作り、
親水性層中の前記分散物をポリエステル支持体上に被覆
した後、前記層がアルカリ性現像液中で非常に良く脱色
されることが示された。
【0050】
【化14】
【0051】化合物Bは、重炭酸水素ナトリウムを用
い、水中で化合物Aとヒドロキシルアミンの反応によっ
て合成した。MTBEで抽出し、その溶剤を蒸発した
後、油状物質(60%)が得られた。酢酸媒体中での化
合物Cと化合物Bの反応が化合物Dに導いた。前記化合
物Dは水/MTBEで抽出し、次いで有機層を蒸発させ
て分離した。結晶化し(トリエチルアミンを含有する酢
酸ブチル中で)、ヘキサンで沈殿させた後、化合物I.
5を得た(収率:精製後20%)。
【0052】化合物D及び化合物I.1、I.2及び
I.5に対するスペクトルデータを表1に示す。
【0053】
【0054】化合物(I.1)、(I.2)及び(I.
5)の製造法における共通点は、下記式(III) による化
合物の塩基性試薬としての使用にある。
【0055】 Q−CO−CO−Y (III) 式中Qは式(I)におけるのと同意義を有し、−Yは
−N(R)(R)を表し、R及びRはそれぞれ
独立に、水素、置換もしくは非置換アルキル基又は置換
もしくは非置換アリール基を示す。
【0056】置換基の選択は、必要ならば、例えばアル
コキシ基によるジメチルアミノ基の置換によって、吸収
スペクトルのより大きい浅色シフトを生ぜしめることが
できる。
【0057】先行技術から、染料中での一つ以上のアニ
オン性、弱酸性基の存在が、4〜8の範囲での被覆pH
値で充分な非移行特性を提供するために重要であること
が知られている、これは写真材料の被覆のために特に好
ましい。
【0058】酸pH範囲で、本発明によるフィルター染
料は、例えばゼラチン中の、コロイド分散物を作るた
め、市販の混合装置を用いて、分散した形で水性被覆組
成物中に混入できる。
【0059】得られる染料粒子のサイズは、被覆を容易
にし、染料迅速脱色を容易にするために選択する。染料
が初め、使用のために所望されるよりも大きな粒子の形
で結晶化される場合、ボールミリング、ローラーミリン
グ、サンドミリング等の如き、小さい粒子サイズを達成
するための従来の技術を使用できる。固体粒子分散液
は、コロイド媒体としてゼラチンの存在下に製造できる
ばかりでなく、例えばコロイドシリカ中でも作ることが
できる。写真ハロゲン化銀材料の層の一つ中に混入する
ため、本発明による染料の水性固体粒子分散液を製造す
る方法は、下記工程を含むことができる:
【0060】(a) もし必要ならば有機水溶性溶剤の助け
を用い、水性アルカリ性溶液中に非水性であるがアルカ
リ可溶性の染料を溶解する、(b) 溶液のpHを下げるこ
とによって、例えば水性酸性溶液で中和することによっ
て、コロイドシリカゾルの存在下、好ましくは更に分散
剤の存在下に前記溶液から前記染料を沈殿させる、(c)
沈殿によって形成した水溶性塩及び使用した有機溶媒を
除去する、(d) 沈殿中又は沈殿後透析又は限外濾過によ
り、又は沈殿後凝集及び傾瀉により、続いて洗浄及び更
なる傾瀉によって分散液を濃縮する。
【0061】コロイドシリカゾルの存在下における前記
沈殿は好ましくは、更に例えば2−N,N,N−トリア
ルキルアミノ酢酸の如き分散剤の存在下に生ぜしめ、ア
ルカリ可溶性化合物及び水性酸性溶液を含有する水性ア
ルカリ性溶液を、好ましくは6.0未満の値でのpHを
一定に保ちながら、分散剤及びコロイドシリカの全量又
は部分量を含む撹拌溶液に同時に添加することによって
行うことができる、もし存在するなら前記量の残余は前
記溶液の少なくとも一つに加える。
【0062】固体シリカ分散液の製造中使用する好まし
い分散剤は、1種以上の部分的にイオン化できる重合体
または1種以上の界面活性剤又はそれらの組合せであ
る。
【0063】超微細染料分散液を得るための別の可能性
は、被覆組成物の製造中又はそれを支持層上に被覆する
直前に“その場”で、僅かにアルカリ性の被覆組成物を
酸性にすることにある。この投与法の適用は、被覆層中
に均質に分割された非常に微細な固体粒子の形で染料を
得ることを可能にする、従って固体は顕微鏡技術によっ
てさえも殆ど観察できない。
【0064】前述した合成法で作られ、そして固体粒子
として写真材料の親水性層に加えられる非拡散性染料
は、10μm未満、好ましくは1μm未満、更に好まし
くは0.1μm未満の平均直径を有する。
【0065】少なくとも10のpHで、分散したフィル
ター染料は容易に可溶化される、従ってそれらは普通の
アルカリ性水性液処理で、写真ハロゲン化銀乳剤材料の
親水性水透過性コロイド層から殆ど完全に除去され、殆
ど残存汚染を残さない。処理溶液中の亜硫酸イオンの存
在は、フィルター染料の更に迅速な変色に寄与する。
【0066】一つ以上の親水性層中で本発明による染料
を用いた写真材料は、ラジオグラフィにおいて用いられ
る如き、現像、定着、洗浄及び乾燥工程を含む38秒処
理サイクルで非常に急速に変色される。
【0067】本発明により染料を混入した親水性コロイ
ド層は、裏塗層、ハレイション防止下塗被覆層、ハロゲ
ン化銀乳剤層、中間層及び保護最外層であることができ
る。前述した親水性コロイド層中に存在する染料の好ま
しい量は、0.01〜1.0mmol/m2 の範囲であ
る。
【0068】本発明により使用する乳剤層は、少なくと
も0.1μmの直径を有する感光性ハロゲン化銀結晶を
含有できる。中間層を含む層配置において、リップマン
乳剤として知られている10〜100nmの直径を有す
る非常に微細な非感光性ハロゲン化銀粒子を、酸化され
た現像剤生成物が隣接層中に移行することを防止するた
め、スカベンジャーとして作用させるために混入でき
る。
【0069】フィルター又はハレイション防止染料を含
む好適な層として前述した層は、例えばX線材料、グラ
フィックアート材料、拡散転写材料、黒白もしくはカラ
ー映画用材料等中に組入れることができる。
【0070】好ましい実施態様によれば、染料は、単一
被覆材料のためのハレイション防止裏塗被覆層中に、又
は特に例えばX線写真材料の如き二重被覆材料のための
ハレイション防止下塗被覆層中に混入する。
【0071】最外層又は乳剤層中で、本発明による1種
以上の染料は、製造仕様書によって求められている如き
写真材料の感度を調整するために使用できる。従って、
関係する親水性層を被覆する直前に計量供給装置を用い
ること、及びこの方法で写真材料の製造を制御すること
ができ、染料は、ゼラチン質分散液の形で又は固体粒子
状態で存在する。
【0072】緑スペクトル範囲で吸収する本発明による
染料は、緑光放出X線変換リン光体スクリーンを使用す
るためX線記録に用いられる両側被覆(デュープリタイ
ズド)写真フィルム材料のハロゲン化銀乳剤層間に有利
に使用できる。前記配置によって、支持体を横切り、或
る程度これによって散乱されるようになる緑光は、著し
く減衰され、反対側のハロゲン化銀乳剤層中に不鮮鋭な
像を生ぜしめることができない。
【0073】緑光放出リン光体スクリーン及びそれらの
両側被覆(デュープリタイズド)フィルムの緑感性ハロ
ゲン化銀乳剤層と組合せた使用は、例えばUS−P41
30428に記載されている、その中には、クロスオー
バー光を減ずるための幾つかの測度、例えばフィルター
染料の使用も記載されている。かかる材料の製造方法
は、例えば1995年7月4日出願のEP出願第952
01822号に記載されている。
【0074】本発明の特定の実施態様において、染料
は、ハロゲン化銀乳剤層及びその上に被覆した保護層と
しての応力防止層を支持体の両側に設けたラジオグラフ
材料中に混入する。ラジオグラフ材料は、好ましくはフ
ィルム支持体の両側上にハロゲン化銀乳剤被覆を有し、
その被覆は、一つが高速乳剤層であり、他が低速乳剤層
である異なる平均粒度のハロゲン化銀結晶を有する二つ
の独特な乳剤層に分けられる;そして高速乳剤層は、低
速乳剤層より支持体から大きな距離で位置させる。この
方法でセンシトメトリー曲線はきれいに曲がることがで
き、特別の用途のために完全なプロフィルを与える。層
配置は、より高いコントラストを得るため、前述した順
序とは反対にすることもできる。更に別のクロスオーバ
ー防止層を用いなくてさえも、この層配置は、特に臨界
的な低濃度領域でクロスオーバーを減少する。本発明に
よる染料を含有するクロスオーバー防止、ハレイション
防止下塗被覆層の存在は、処理したとき、特に60秒未
満で迅速処理したとき、好ましくは高処理量での材料の
参考処理時間としての38秒での迅速処理したとき、カ
ラー汚染を残すことなくクロスオーバー減少が改良され
る。
【0075】要求される特別の要件によって、増感スク
リーンの対称又は非対称セットと組合せた形で、デュー
プリタイズしてあろうとなかろうと、非対称乳剤層を有
する二重塗布フィルムの組合せ、又は増感スクリーンの
対称又は非対称セットと対称的に二重塗布フィルムの組
合せの全てを使用できる。
【0076】別の実施態様によれば、緑光吸収染料は、
支持体の方向に乳剤層を透過する露出光を吸収すること
によって像鮮鋭性を改良するため、写真ハロゲン化銀乳
剤材料のハレイション防止層中で使用できる。ハレイシ
ョン防止層中での前記主として緑光を吸収する染料の使
用は、緑光放出レーザー、例えば主出力が488及び5
14nmで放出されるアルゴンイオンレーザーを用いて
露光を行い、緑光に対してスペクトル感光性にされてい
るハロゲン化銀乳剤において特に有利である。
【0077】本発明による染料は、フィルター染料、ハ
レイション防止染料又は写真用途においてより鮮鋭な像
を与える染料として使用できるばかりでなく、情報記
録、印刷インク、カモフラージュ、食品の着色のための
集光材料、分析試薬、染料転写(写真)材料における転
写染料として、及び多くの他の用途においても使用でき
る。
【0078】本発明による染料は更に、例えば天然及び
合成繊維、編織材料、プラスチック、及び皮の如き非常
に異なる材料の染色のために使用できる、又酸−塩基指
示薬、生物学的染色等にも使用できる。
【0079】本発明は又、熱染料転写法、特に熱染料拡
散及び熱染料昇華転写に好適な染料供与体材料中でのこ
れらの染料の使用にも関係する。本発明による新規な複
素環式染料は、熱的に転写でき、高い分子吸光係数を有
する、そして実質的な副吸収と組合せた形で、前記複素
環式染料は、スペクトルの可視部分で広い吸収を示す。
【0080】熱染料転写法に好適である染料供与体材料
で使用するための染料は、一般式(I)による複素環式
染料を含むが、それぞれN−R及びQ2 に対しα−位で
のC=O二重結合の代わりに、C=S結合を二つの位置
の少なくとも一つで生ぜしめうる。熱染料転写法による
像形成は、例えばEP−A0670225に記載されて
いる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ポール・カラン ベルギー国モートゼール、セプテストラ ート 27 アグファ・ゲヴェルト・ナー ムロゼ・ベンノートチャップ内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09B 57/00 CA(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I): 【化1】 (式中nは0又は1に等しく; Qは一般式(II) 【化2】 (式中XはNR又はORを表し、 R,R及びRの各々は独立に水素又は置換もしく
    は非置換アルキル基を表す)によって表され; Qは五員環を閉環するのに必要な原子として酸素又は
    窒素を表し、この窒素は更に置換されているか又は置換
    されていない; 六員環を閉環するためにはQは−NH−(C=O)−
    又は−NH−(SO)−を表し、N−N結合が前記六
    員環に存在しない; 又はQは−NH−フェニル−を表し、かくして形成さ
    れる七員環の−C=N−結合の窒素がフェニル環上で−
    NH−に対してオルト位にあり; Rは水素又は置換もしくは非置換アルキル基を表す)に
    相当することを特徴とする染料。
  2. 【請求項2】 Rがイオン化性基としてスルホン酸、カ
    ルボキシル酸、又はそれらの塩を含有することを特徴と
    する請求項1の染料。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の染料の少なくとも1種
    を、親水性コロイド層中に含有することを特徴とする少
    なくとも一つの感光性ハロゲン化銀乳剤層及び支持体を
    含有する写真材料。
  4. 【請求項4】 塩基性試薬として、下記式(III): Q−CO−CO−Y (III) (式中Qは式(I)におけるのと同意義を有し、−Y
    は−N(R)(R)を表し、R及びRはそれぞ
    れ独立に、水素、置換もしくは非置換アルキル基又は置
    換もしくは非置換アリール基を表す)による化合物を使
    用することを特徴とする請求項1又は2の染料の製造
    法。
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