JP3616173B2 - ハロゲン化銀写真感光材料および画像形成方法 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料および画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、支持体、少なくとも一層のハロゲン化銀乳剤層および少なくとも一層の非感光性親水性コロイド層を有し、700乃至1100nmの赤外領域に吸収極大波長を有する色素を含むハロゲン化銀写真感光材料およびそれを用いる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、ハロゲン化銀写真感光材料の現像は、現像機を用いて自動的に処理する場合が普通である。通常の自動現像機には、ハロゲン化銀写真感光材料の挿入を検知して、現像処理を開始する機構が設けられている。写真感光材料の画像露光装置にも、同様の検知機構が設けられている場合がある。検知する機構としては、光源と受光素子からなる光学的センサーが用いられる。光源と受光素子との間に、ハロゲン化銀写真感光材料が侵入すると光が遮られて、挿入を検知することができる。検知のためには、感光材料中のハロゲン化銀が感光しない領域、一般に700乃至1100nmの赤外領域の波長を有する光が用いられる。このような検知機構は、ハロゲン化銀写真感光材料が上記領域に一定値以上の光吸収があることを前提に設計されている。従来の一般的なハロゲン化銀写真感光材料は、検知のために充分な値の光吸収を有している。
【0003】
ところで、最近のハロゲン化銀写真感光材料の現像では、迅速な処理が要求される。上記の自動現像機の使用も、迅速処理の要求に対応するものである。さらに、処理液の補充量の低減も要求されている。迅速処理と補充量の低減についての要求は、医療診断用のX線白黒写真感光材料において、特に顕著である。迅速処理と補充量の低減を達成するためには、写真感光材料に含まれるハロゲン化銀の量を減少させることが最も有効である。このため、低ハロゲン化銀量でも充分な感度を得るために、ハロゲン化銀の感度を上昇させるなど、写真感光材料に様々な改良が加えられている。その結果として、最近のハロゲン化銀写真感光材料、特にX線白黒写真感光材料としては、ハロゲン化銀の量が著しく少ない(塗布銀量で4g/m 未満の)ものが市販されるようになった。
【0004】
写真感光材料中のハロゲン化銀の塗布銀量が、4g/m 未満になると、前記の検知のための光吸収が不充分になる。その結果、最近のハロゲン化銀量の少ない写真感光材料は、自動現像機や画像露光装置に設けられている機構で検知することが非常に難しくなった。
以上の問題を解決するため、ハロゲン化銀写真感光材料に赤外領域に吸収を有する色素を添加することが提案されている。ただし、赤外領域に吸収を有する色素は、一般に可視領域(主に赤色領域)にも吸収を有している。このような色素が画像形成後の写真感光材料中に残存すると、得られる画像が不鮮明になる。このため、従来の技術では、ハロゲン化銀写真感光材料の処理液により、色素を写真感光材料から除去していた。
【0005】
特開昭62−299959号公報は、塗布銀量が4g/m 未満の放射線写真感光材料において、乳剤層の反対側の面の少なくとも一つの層に赤外線吸収成分を添加することを提案している。赤外線吸収成分の添加方法としては、水溶性染料をそのまま層の塗布液に添加する方法、高沸点有機溶媒を用いて層中に分散する方法(周知のカプラーの分散方法と同様の方法)、ハロゲン化銀粒子のような金属塩微粒子に吸着させて層中に分散する方法およびラテックスに添加して層中に分散する方法が開示されている(同公報3頁右下欄〜4頁左上欄記載)。赤外線吸収成分としては、現像処理時に脱色あるいは脱着し、実質的に無色となるものが良いとされている(同公報3頁左上欄記載)。同公報の実施例1では、赤外線吸収色素(同公報8頁右上欄記載)をハロゲン化銀粒子に吸着させて使用している。この赤外線吸収色素は、可視領域にもかなり強い吸収を有する。このような色素を用いると、現像処理時に粒子から色素を脱着し、処理液により色素を写真感光材料から除去する必要がある。
【0006】
特開平1−266536号公報には、特定の赤外線吸収色素を非感光性層に含有する赤外感光性ハロゲン化銀感光材料が開示されている。同公報には、赤外線吸収色素は、処理液中に溶出する無機塩に吸着させて非感光性層に添加することが好ましいと記載されている(同公報8頁右上欄〜左下欄)。また、赤外線吸収色素の添加量も、色素を写真感光材料から処理液中へ除去することを前提に説明されている(同公報8頁左下欄〜右下欄)。同公報記載の各実施例では、写真感光材料中の赤外線吸収色素は、いずれも処理液中に溶出することにより除去されている。
特開平3−138640号公報には、溶液状態における光吸収極大波長が700nm乃至1700nmである色素を固体微粒子状で親水性コロイド層中に含有するハロゲン化銀写真感光材料が開示されている。同公報には、色素として、画像形成処理中に処理液中へ流出したり、あるいは化学反応によって脱色する性質の化合物が好ましいと記載されている(同公報3頁左上欄)。同公報記載の各実施例でも、写真感光材料中の赤外線吸収色素は、処理液中に溶出することにより除去されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記の従来技術に従い、赤外線吸収色素をハロゲン化銀写真感光材料に添加し、その色素を処理液により除去することによって、赤外線によるハロゲン化銀写真感光材料の検知に関する問題を解決することができる。しかし、本発明者の研究によると、従来技術には別の問題が生じている。
前述したように、赤外線による写真感光材料の検知における問題は、処理液の補充量の低減により生じていたものである。処理液を用いて色素を除去すると、処理液の機能的な負担が大きくなる。実用上色素を充分に除去するためには、処理液の補充量を低減することが困難になる。従って、ハロゲン化銀写真感光材料から色素を除去するためには、ある一定量以上の処理液を補充する必要がある。
本発明の目的は、処理液の補充量を増加することなく、赤外線によるハロゲン化銀写真感光材料の検知に関する問題を解決することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、下記のハロゲン化銀写真感光材料(1)および画像形成方法(2)〜(9)により達成された。
(1)支持体、少なくとも一層のハロゲン化銀乳剤層および少なくとも一層の非感光性親水性コロイド層を有するハロゲン化銀写真感光材料であって、該ハロゲン化銀乳剤層または該親水性コロイド層が、以下の1)〜3)のいずれの条件をも満足する固体微粒子状態の色素を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
1)該色素が、吸収極大波長を700乃至1100nmの赤外領域に有する。
2)該色素が、後述する式( II )で表わされるレーキシアニン染料である。
3)該色素が、ハロゲン化銀写真感光材料を35℃でpH10.0の Briton-Robinson 緩衝液に45秒間浸漬した後、上記吸収極大波長における吸収値の残存率が90%以上である。
【0009】
(2)支持体、少なくとも一層のハロゲン化銀乳剤層および少なくとも一層の非感光性親水性コロイド層を有し、該ハロゲン化銀乳剤層または該親水性コロイド層が700乃至1100nmの赤外領域に吸収極大波長を有する色素を含み、該色素が固体微粒子の状態で該ハロゲン化銀乳剤層または該親水性コロイド層中に分散しているハロゲン化銀写真感光材料を像様露光する工程;
像様露光したハロゲン化銀写真感光材料を自動現像機の挿入口に入れると同時に、ハロゲン化銀写真感光材料の挿入を赤外線検知器により検知する工程;そして
赤外線検知器からの検知信号により自動現像機を作動させ、それにより挿入されたハロゲン化銀写真感光材料に処理液を用いた現像処理を実施する工程を順次実施する画像形成方法であって、
上記現像処理の処理液により、上記色素がハロゲン化銀写真感光材料から実質的に除去されず、これにより上記吸収極大波長における吸収値の残存率が90%以上であることを特徴とする画像形成方法。
【0010】
(3)上記色素が、後述する式(I)で表わされるシアニン染料である(2)に記載の画像形成方法。
【0011】
(4)上記色素が、後述する式( II )で表わされるレーキシアニン染料である(2)に記載の画像形成方法。
【0012】
(5)上記色素が、後述する式(Ic)で表わされるシアニン染料である(2)に記載の画像形成方法。
【0013】
(6)後述する式(Ic)において、R 16 がアルキル基またはアリール基であり、R 17 がアリール基である(5)に記載の画像形成方法。
【0014】
(7)後述する式(Ic)において、R 16 がアルキル基またはフェニル基であり、R 17 がフェニル基である(5)に記載の画像形成方法。
【0015】
(8)上記色素が、800乃至1000nmに吸収極大波長を有する(2)乃至(7)のいずれか一つに記載の画像形成方法。
(9)上記色素が、850乃至950nmに吸収極大波長を有する(2)乃至(7)のいずれか一つに記載の画像形成方法。
【0016】
【発明の効果】
本発明者が700乃至1100nmの赤外領域に吸収極大波長を有する色素(以下、赤外線吸収色素と略する場合がある)について研究を進めたところ、赤外線吸収色素を固体微粒子の状態で層中に分散すると、色素の吸収極大波長が、溶液状態における測定値よりも大幅に長波長側に移行することが判明した。層中に分散した赤外線吸収色素の固体微粒子の吸収極大波長は、溶液中で測定した吸収極大波長よりも、50nm以上大きな値になる。吸収極大波長が長波長側に移行することに伴い、色素の可視領域における吸収も大幅に減少する。
このため、赤外線吸収色素を固体微粒子の状態でハロゲン化銀写真感光材料の層中に分散すれば、色素を処理液により除去する必要がなくなる。従って、赤外線吸収色素を、ハロゲン化銀写真感光材料の処理液により実質的に除去されない固体微粒子の状態で、写真感光材料に添加することが可能である。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に含まれる赤外線吸収色素は、処理液により除去する必要もなく、かつ実際に処理液により除去されることもない。処理液による色素の除去が不要であるため、処理液の補充量を減少させることが可能である。従って、本発明の写真感光材料は、処理液の補充量を増加することなく、赤外線によるハロゲン化銀写真感光材料の検知に関する問題を解決することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、赤外線吸収色素が、ハロゲン化銀写真感光材料の処理液により実質的に除去されない固体微粒子の状態でハロゲン化銀乳剤層または親水性コロイド層中に分散していることを特徴とする。
赤外線吸収色素は、700乃至1100nmの赤外領域に、吸収極大波長を有する。吸収極大波長は、800乃至1000nmであることが好ましく、850乃至950nmであることがさらに好ましい。なお、吸収極大波長の値は、色素の溶液状態における測定値ではなく、色素を含むハロゲン化銀写真感光材料について分光光度計を用いて測定した値を意味する。
【0018】
ハロゲン化銀写真感光材料の赤外線吸収色素は、写真感光材料の処理液により実質的に除去されない固体微粒子の状態にある。本発明のハロゲン化銀写真感光材料において、「実質的に除去されない」とは、写真感光材料を35℃でpH10.0のBR(Briton−Robinson )緩衝液に45秒間浸漬した後、上記吸収極大波長における吸収値の残存率が90%以上であることを意味する。また、本発明の画像形成方法において、「実質的に除去されない」とは、画像形成処理後の上記吸収極大波長における吸収値の残存率が90%以上であることを意味する。上記残存率は、93%以上であることが好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、97%以上であることが最も好ましい。残存率を上げるためには、後述する赤外線吸収色素として処理液、特に現像液に実質的に不溶性の化合物を選択して用いればよい。赤外線吸収色素が不溶性か否かは、上記BR緩衝液を用いて簡単に試験してもよい。
本発明において、赤外線吸収色素としては、以上の定義を有する染料または顔料が利用可能である。一般に染料に分類される色素の方が、好ましく用いられる。なお、処理液に溶出しやすい水溶性の赤外線吸収染料であっても、処理液に溶出しないための処理(例えば、レーキ化処理)を行なえば、本発明に利用することができる。
【0019】
固体微粒子の平均粒子径は、0.005乃至10μmであることが好ましく、0.01乃至1μmであることがより好ましく、0.01乃至0.5μmであることがさらに好ましく、0.01乃至0.l1μmであることが最も好ましい。
固体微粒子中には、色素が80重量%以上含まれていることが好ましく、90重量%以上含まれていることがさらに好ましく、100重量%含まれていることが最も好ましい。
色素の固体微粒子は、0.001乃至1g/m の範囲の塗布量で用いることが好ましく、0.005乃至0.5g/m の範囲の塗布量で用いることがさらに好ましい。
【0020】
本発明に好ましく用いられる赤外線吸収色素は、下記式(I)で表わされるシアニン染料である。
【0021】
【化7】
Figure 0003616173
【0022】
式(I)において、Z およびZ は、それぞれ縮環してもよい5員または6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群である。含窒素複素環およびその縮環の例には、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、キノリン環、ピリジン環、ピロロピリジン環、フロピロール環、インドリジン環、イミダゾキノキサリン環およびキノキサリン環が含まれる。含窒素複素環は、6員環よりも5員環の方が好ましい。5員の含窒素複素環にベンゼン環またはナフタレン環が縮合しているものがさらに好ましい。インドレニン環およびベンゾインドレニン環が最も好ましい。
【0023】
含窒素複素環およびそれに縮合している環は、置換基を有してもよい。置換基の例には、炭素原子数が10以下、好ましくは6以下のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル)、炭素原子数が10以下、好ましくは6以下のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)、炭素原子数が20以下、好ましくは12以下のアリールオキシ基(例、フェノキシ、p−クロロフェノキシ)、ハロゲン原子(Cl、Br、F)、炭素原子数が10以下、好ましくは6以下のアルコキシカルボニル基(例、エトキシカルボニル)、シアノ、ニトロおよびカルボキシルが含まれる。カルボキシルはカチオンと塩を形成してもよい。また、カルボキシルが、N と分子内塩を形成してもよい。好ましい置換基は、塩素原子(Cl)、メトキシ、メチルおよびカルボキシルである。なお、含窒素複素環がカルボキシルにより置換されると、固体微粒子状に分散する場合、最大吸収波長の長波長側への移行が顕著である。ただし、カルボキシル置換化合物は親水性であり、処理液に溶出しやすくなる。カルボキシル置換化合物が処理液により除去されることを防止するためには、後述するレーキ化処理が有効である。また、式(I)のR 、R またはLに、炭素原子数が3以上のアルキル基またはフェニル基を導入することも、処理液への溶出防止に有効である。
一方、カルボキシルのない化合物は、最大吸収波長の長波長側への移行を促進するため、固体微粒子の調製における分散時間を長くすることが好ましい。また、カルボキシルのない化合物としては、後述する式(Ic)で表わされる化合物が特に好ましい。
【0024】
式(I)において、R およびR は、それぞれアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基である。アルキル基が好ましく、無置換のアルキル基がさらに好ましい。
アルキル基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましく、1乃至6であることがさらに好ましい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルおよびヘキシルが含まれる。アルキル基は置換基を有してもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(Cl、Br、F)、炭素原子数が10以下、好ましくは6以下のアルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)およびヒドロキシルが含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましく、2乃至6であることがさらに好ましい。アルケニル基の例には、2−ペンテニル、ビニル、アリル、2−ブテニルおよび1−プロペニルが含まれる。アルケニル基は置換基を有してもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(Cl、Br、F)、炭素原子数が10以下、好ましくは6以下のアルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)およびヒドロキシルが含まれる。
アラルキル基の炭素原子数は、7乃至12であることが好ましい。アラルキル基の例には、ベンジルおよびフェネチルが含まれる。アラルキル基は置換基を有してもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(Cl、Br、F)、炭素原子数が10以下、好ましくは6以下のアルキル基(例、メチル)および炭素原子数が10以下、好ましくは6以下のアルコキシ基(例、メトキシ)が含まれる。
【0025】
式(I)において、Lは5、7または9個のメチン基が二重結合が共役するように結合している連結基である。メチン基の数は、7個(ヘプタメチン化合物)または9個(ノナメチン化合物)であることが好ましく、7個であることがさらに好ましい。
メチン基は置換基を有してもよい。ただし、置換基を有するメチン基は、中央の(メソ位の)メチン基であることが好ましい。メチン基の置換基については、下記式L5(ペンタメチン)、L7(ヘプタメチン)およびL9(ノナメチン)を引用して説明する。
【0026】
【化8】
Figure 0003616173
【0027】
式中、R は、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アリール基、−NR1415(R14はアルキル基またはアリール基であり、R15は水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはアシル基であるか、R14とR15とが結合して5員または6員の含窒素複素環を形成する)、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基またはアリールオキシ基であり;R10およびR11は、水素原子であるか、互いに結合して5員または6員環を形成する;そしてR12およびR13は、それぞれ水素原子またはアルキル基である。
は、−NR1415であることが好ましい。R14とR15の少なくとも一方ががフェニルであることが特に好ましい。
10とR11とが互いに結合して5員または6員環を形成することが好ましい。R が水素原子である場合は、環を形成することが特に好ましい。R10とR11とが形成する環の例としては、シクロペンテン環およびシクロヘキセン環を挙げることができる。R10とR11とが形成する環は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。
【0028】
上記アルキル基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましく、1乃至6であることがさらに好ましい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルおよびヘキシルが含まれる。アルキル基は置換基を有してもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(Cl、Br、F)、炭素原子数が10以下、好ましくは6以下のアルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)およびヒドロキシルが含まれる。
上記ハロゲン原子の例には、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が含まれる。
上記アリール基の炭素原子数は、6乃至12であることが好ましい。アリール基の例には、フェニルおよびナフチルが含まれる。アリール基は置換基を有してもよい。置換基の例には、炭素原子数が10以下、好ましくは6以下のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル)、炭素原子数が10以下、好ましくは6以下のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)、炭素原子数が20以下、好ましくは12以下のアリールオキシ基(例、フェノキシ、p−クロロフェノキシ)、ハロゲン原子(Cl、Br、F)、炭素原子数が10以下、好ましくは6以下のアルコキシカルボニル基(例、エトキシカルボニル)、シアノ、ニトロおよびカルボキシルが含まれる。
【0029】
上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は1乃至10であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メシルおよびエタンスルホニルが含まれる。
上記アリールスルホニル基の炭素原子数は6乃至10であることが好ましい。アリールスルホニル基の例には、トシルおよびベンゼンスルホニルが含まれる。
上記アシル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アシル基の例には、アセチル、プロピオニルおよびベンゾイルが含まれる。
14とR15とが結合して形成する含窒素複素環の例には、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環が含まれる。含窒素複素環は、置換基を有してもよい。置換基の例には、アルキル基(例、メチル)、アリール基(例、フェニル)およびアルコキシカルボニル基(例、エトキシカルボニル)が含まれる。
【0030】
式(I)において、a、bおよびcは、それぞれ0または1である。aおよびbは、0である方が好ましい。cは一般に1である。ただし、カルボキシルのようなアニオン性置換基がN と分子内塩を形成する場合は、cは0になる。
式(I)において、Xはアニオンである。アニオンの例としては、ハライドイオン(Cl 、Br 、I )、p−トルエンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、PF 、BF およびClO を挙げることができる。
さらに好ましいヘプタメチンシアニン染料を下記式(Ib)で表す。
【0031】
【化9】
Figure 0003616173
【0032】
式中、Z およびZ のベンゼン環には、さらに別のベンゼン環が縮合してもよい;R およびR は、それぞれアルキル基、アラルキル基またはアルケニル基であり;R 、R 、R およびR は、それぞれアルキル基であるか、あるいはR とR またはR とR とが互いに結合して環を形成する;R は、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アリール基、−NR1415(R14はアルキル基またはアリール基であり、R15は水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはアシル基であるか、R14とR15とが結合して5員または6員の含窒素複素環を形成する)、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基またはアリールオキシ基であり;R10およびR11は、水素原子であるか、互いに結合して5員または6員環を形成する;Xはアニオンであり;そして、cは0または1である。
【0033】
およびZ のベンゼン環およびそれに縮合している他のベンゼン環は置換基を有してもよい。置換基の例は、Z およびZ の置換基と同様である。
およびR は、式(I)のR およびR と同様の定義を有する。
、R 、R およびR のアルキル基は、式(I)のR およびR におけるアルキル基と同様である。R とR またはR とR とが互いに結合して形成する環の例としては、シクロヘキサン環を挙げることができる。
、R10およびR11は、式(L7)のR 、R10およびR11と同様の定義を有する。
Xおよびcは、式(I)のXおよびcと同様の定義を有する。
最も好ましいヘプタメチンシアニン染料を下記式(Ic)で表す。
【0034】
【化10】
Figure 0003616173
【0035】
式中、Z およびZ のベンゼン環には、さらに別のベンゼン環が縮合してもよい;R およびR は、それぞれアルキル基、アラルキル基またはアルケニル基であり;R 、R 、R およびR は、それぞれアルキル基であるか、あるいはR とR またはR とR とが互いに結合して環を形成する;R16およびR17は、それぞれアルキル基またはアリール基であり;Xはアニオンであり;そして、cは0または1である。
およびZ のベンゼン環およびそれに縮合している他のベンゼン環は置換基を有してもよい。置換基の例は、Z およびZ の置換基と同様である。
およびR は、式(I)のR およびR と同様の定義を有する。
、R 、R およびR のアルキル基は、式(I)のR およびR におけるアルキル基と同様である。R とR またはR とR とが互いに結合して形成する環の例としては、シクロヘキサン環を挙げることができる。
16およびR17のアルキル基は、式(I)のR およびR におけるアルキル基と同様である。R16およびR17のアリール基は、式(L5)〜(L9)におけるアリール基と同様である。
Xおよびcは、式(I)のXおよびcと同様の定義を有する。
以下、本発明に好ましく用いられるシアニン染料の例を示す。
【0036】
【化11】
Figure 0003616173
【0037】
【化12】
Figure 0003616173
【0038】
【化13】
Figure 0003616173
【0039】
【化14】
Figure 0003616173
【0040】
【化15】
Figure 0003616173
【0041】
【化16】
Figure 0003616173
【0042】
【化17】
Figure 0003616173
【0043】
【化18】
Figure 0003616173
【0044】
【化19】
Figure 0003616173
【0045】
【化20】
Figure 0003616173
【0046】
【化21】
Figure 0003616173
【0047】
【化22】
Figure 0003616173
【0048】
【化23】
Figure 0003616173
【0049】
【化24】
Figure 0003616173
【0050】
【化25】
Figure 0003616173
【0051】
【化26】
Figure 0003616173
【0052】
【化27】
Figure 0003616173
【0053】
【化28】
Figure 0003616173
【0054】
【化29】
Figure 0003616173
【0055】
【化30】
Figure 0003616173
【0056】
【化31】
Figure 0003616173
【0057】
【化32】
Figure 0003616173
【0058】
【化33】
Figure 0003616173
【0059】
【化34】
Figure 0003616173
【0060】
【化35】
Figure 0003616173
【0061】
【化36】
Figure 0003616173
【0062】
【化37】
Figure 0003616173
【0063】
【化38】
Figure 0003616173
【0064】
【化39】
Figure 0003616173
【0065】
【化40】
Figure 0003616173
【0066】
【化41】
Figure 0003616173
【0067】
【化42】
Figure 0003616173
【0068】
【化43】
Figure 0003616173
【0069】
以上のシアニン染料は、下記合成例を参考に合成することができる。なお、類似の合成方法は、米国特許2095854号、同3671648号各明細書、特開昭62−123252号、特開平6−43583号各公報にも記載がある。
[合成例1]
化合物(1)の合成
1,2,3,3−テトラメチル−5−カルボキシインドレニウム・p−トルエンスルフォネート9.8g、1−[2,5−ビス(アニリノメチレン)シクロペンチリデン]−ジフェニルアニリニウム・テトラフルオロボレート6g、エチルアルコール100ミリリットル、無水酢酸5ミリリットルおよびトリエチルアミン10ミリリットルを、外温100℃で1時間攪拌し、析出した結晶を濾別した。メチルアルコール100ミリリットルで再結晶を行ない、化合物(1)7.3gを得た。
融点: 270℃以上
λmax:809.1nm
ε: 1.57×10 (ジメチルスルホキシド)
【0070】
[合成例2]
化合物(43)の合成
1,2,3,3−テトラメチル−5−カルボキシインドレニウム・p−トルエンスルフォネート2gおよびメチルアルコール10ミリリットルの混合物に、トリエチルアミン1.8ミリリットル、N−フェニル[7−フェニルアミノ−3,5−(β,β−ジメチルトリメチレン)ヘプタトリエン−2,4,6−イリデン−1]アンモニウムクロライド0.95gを加え、さらに無水酢酸2ミリリットルを添加した。室温で3時間攪拌した後、水2ミリリットルを添加し、析出した結晶を濾別し、化合物(43)1.1gを得た。
融点: 270℃以上
λmax:855.0nm
ε: 1.69×10 (メタノール)
【0071】
[合成例3]
化合物(63)の合成
1,2,3,3−テトラメチル−5−クロロインドレニウム・p−トルエンスルフォネート11.4g、N−(2,5−ジアニリノメチレンシクロペンチリデン)−ジフェニルアミニウム・テトラフルオロボレート7.2g、エチルアルコール100ミリリットル、無水酢酸6ミリリットルおよびトリエチルアミン12ミリリットルを、外温100℃で1時間攪拌し、析出した結晶を濾別した。メチルアルコール100ミリリットルで再結晶を行ない、化合物(63)7.3gを得た。
融点: 250℃以上
λmax:800.8nm
ε: 2.14×10 (クロロホルム)
【0072】
以上のシアニン染料をレーキ化し、レーキシアニン染料として用いてもよい。好ましいレーキシアニン染料を下記式(II)で表わす。
【0073】
【化44】
Figure 0003616173
【0074】
式(II)において、Dは下記式(Ia)で表わされるシアニン染料の骨格である。
【0075】
【化45】
Figure 0003616173
【0076】
式(Ia)において、Z およびZ は、それぞれ縮環してもよい5員または6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群であり、R およびR は、それぞれアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基であり、Lは5、7または9個のメチン基が二重結合が共役するように結合している連結基であり、そして、aおよびbは、それぞれ0または1である。
以上のZ 、Z 、R 、R 、L、aおよびbは、式(I)におけるZ 、Z 、R 、R 、L、aおよびbと同様の定義を有する。
【0077】
式(II)において、AはDに置換基として結合しているアニオン性解離基である。アニオン性解離性基の例としては、カルボキシル、スルホ、フェノール性ヒドロキシル、スルホンアミド基、スルファモイル、ホスホノを挙げることができる。カルボキシル、スルホおよびスルホンアミド基が好ましい。カルボキシルが特に好ましい。
式(II)において、Yはシアニン染料をレーキ化するカチオンである。無機のカチオンの例には、アルカリ土類金属イオン(例、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Sr2+)、遷移金属イオン(例、Ag 、Zn2+)やその他の金属イオン(例、Al3+)が含まれる。有機のカチオンの例には、アンモニウムイオン、アミジニウムイオンおよびグアニジウムイオンが含まれる。有機のカチオンは、4以上の炭素原子数を有することが好ましい。二価または三価のカチオンが好ましい。
式(II)において、mは2から5の整数である。mは2、3または4であることが好ましい。
式(II)において、nは電荷バランスに必要な1から5の整数である。nは一般に1、2または3である。
レーキシアニン染料は、複塩の状態であってもよい。
好ましいレーキシアニン染料の例を以下に示す。
【0078】
【化46】
Figure 0003616173
【0079】
【化47】
Figure 0003616173
【0080】
【化48】
Figure 0003616173
【0081】
【化49】
Figure 0003616173
【0082】
【化50】
Figure 0003616173
【0083】
【化51】
Figure 0003616173
【0084】
【化52】
Figure 0003616173
【0085】
【化53】
Figure 0003616173
【0086】
【化54】
Figure 0003616173
【0087】
【化55】
Figure 0003616173
【0088】
【化56】
Figure 0003616173
【0089】
【化57】
Figure 0003616173
【0090】
【化58】
Figure 0003616173
【0091】
【化59】
Figure 0003616173
【0092】
【化60】
Figure 0003616173
【0093】
【化61】
Figure 0003616173
【0094】
【化62】
Figure 0003616173
【0095】
【化63】
Figure 0003616173
【0096】
【化64】
Figure 0003616173
【0097】
【化65】
Figure 0003616173
【0098】
【化66】
Figure 0003616173
【0099】
【化67】
Figure 0003616173
【0100】
【化68】
Figure 0003616173
【0101】
【化69】
Figure 0003616173
【0102】
【化70】
Figure 0003616173
【0103】
【化71】
Figure 0003616173
【0104】
【化72】
Figure 0003616173
【0105】
以上のレーキシアニン染料は、下記合成例を参考に合成することができる。
[合成例4]
化合物(131)の合成
合成例1で合成した化合物(1)の結晶4g、水50ミリリットルおよびトリエチルアミン2.6ミリリットルの溶液に、塩化カルシウム2gの水溶液20ミリリットルを加えて1時間攪拌した。析出した沈澱を濾別し、化合物(131)のウエットケーキ11.5gを得た。乾燥重量は3.4gであった。
【0106】
[合成例5]
化合物(132)の合成
塩化カルシウムの代わりに塩化バリウムを用いた以外は、合成例4と同様に処理し、化合物(132)のウエットケーキ10.6gを得た。乾燥重量は3.4gであった。
[合成例6]
化合物(141)の合成
塩化カルシウムの代わりにAl13 (OH)24(H O)12Cl (アルミニウムハイドロクロライド−P、ヘキスト社製)を用いた以外は、合成例4と同様に処理し、化合物(141)のウエットケーキ12.0gを得た。乾燥重量は1.7gであった。
【0107】
[合成例7]
化合物(138)の合成
合成例1で合成した化合物(1)の結晶4g、メタノール30ミリリットルおよびトリエチルアミン1.7ミリリットルの溶液に、下記のグアニジン化合物3.3gをメタノール20ミリリットルに溶かした溶液を加えた。室温にて3時間攪拌した後、析出した沈澱を濾別し、化合物(138)のウエットケーキ3.9gを得た。乾燥重量は2.1gであった。
【0108】
【化73】
Figure 0003616173
【0109】
本発明では、赤外線吸収色素を固体微粒子の状態で用いる。
固体微粒子の状態とするためには、公知の分散機を用いることができる。分散機の例には、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミルおよびローラーミルが含まれる。分散機については、特開昭52−92716号公報および国際特許公開88/074794号明細書に記載がある。縦型または横型の媒体分散機が好ましい。
分散は、適当な媒体(例、水、アルコール)の存在下で実施してもよい。分散用界面活性剤を用いることが好ましい。分散用界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤(特開昭52−92716号公報および国際特許公開88/074794号明細書記載)が好ましく用いられる。必要に応じて、アニオン性ポリマー、ノニオン性界面活性剤あるいはカチオン性界面活性剤を用いてもよい。
【0110】
赤外線吸収色素を適当な溶媒中に溶解した後、その貧溶媒を添加して、微粒子状の粉末を得てもよい。この場合も上記の分散用界面活性剤を用いてもよい。あるいはpHを調整することにより溶解し、次にpHを変化させて色素の微結晶を得てもよい。
レーキ染料を用いる場合は、適当なpH値で前記式(II)の(D)−A に相当するような染料を溶解し、次に前記式(II)のYに相当するようなカチオンの水溶性塩を加えて、レーキ染料の微結晶を析出させてもよい。
【0111】
赤外線吸収色素は、ハロゲン化銀写真感光材料のハロゲン化銀乳剤層または非感光性親水性コロイド層に添加する。非感光性親水性コロイド層には、バック層、保護層および(支持体の)下塗り層が含まれる。バック層または保護層に添加することが好ましく、保護層に添加することがさらに好ましい。
赤外線吸収色素を、他の色素と併用してもよい。他の色素については、特開平2−103536号公報の17頁に記載がある。
ハロゲン化銀乳剤層や親水性コロイド層に用いられる親水性コロイドとしては、ゼラチンが最も好ましい。石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチン、ゼラチン誘導体や変性ゼラチンが用いられる。石灰処理ゼラチンおよび酸処理ゼラチンが好ましい。その他の利用可能な親水性コロイドについては、特開平6−67338号公報の18頁に記載がある。
【0112】
ハロゲン化銀写真感光材料の支持体、ハロゲン化銀乳剤、各種添加剤および現像処理方法については特に制限はない。これらについては、例えば特開平6−67338号公報の18〜19頁に記載がある。なお、ハロゲン化銀は、700乃至1100nmの赤外領域に実質的な感度を有していないものを使用する。
ハロゲン化銀は、臭化銀、塩臭化銀および沃塩臭化銀のいずれも利用できる。塩臭化銀が特に好ましい。塩臭化銀の塩化銀含量は、20乃至100モル%であることが好ましい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、印刷用感光材料、マイクロフイルム用感光材料、医療用X線感光材料、工業用X線感光材料、一般ネガ感光材料あるいは一般リバーサル感光材料として用いることができる。感光材料は、黒白でもカラーでもよい。医療用X線感光材料において、特に本発明は有効である。X線感光材料は、一般に少なくとも二以上のハロゲン化銀乳剤層を有し、一つの乳剤層が支持体の一方の面に設けられ、他の一つの乳剤層が支持体の他方の面に設けられる。
【0113】
写真感光材料中の塗布銀量が少ないと、本発明は特に有効になる。塗布銀量は、1乃至4g/m であることが好ましく、1.5乃至3.0g/m であることがさらに好ましい。なお、X線感光材料のように両面にハロゲン化銀乳剤層を有する場合、上記の塗布量は、両面の合計を意味する。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、赤外線による検知機構を設けた自動現像機で用いる場合に効果がある。赤外性による検知機構は、700nmの波長に光を発する発光ダイオードや半導体レーザーを光源とし、さらに900nm付近に受光感度ピークを有し、700乃至1200nmに感度域を有する受光素子を組み合わせたものである。発光ダイオードは、GL−514(シャープ(株)製)やTLN108(東芝(株)製)が市販されている。受光素子はPT501(シャープ(株)製)やTPS601A(東芝(株)製)が市販されている。また、これらの検知機構を設けた自動現像機も、各社から販売されている。
検知機構を設けた自動現像機は、一般に写真感光材料が挿入口に搬入されてきたことを受光素子により検知し、それに対応して、搬入ローラーや現像液補充機構が作動するように設計されている。
【0114】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、迅速処理および低補充量の処理に適している。現像処理時間は、30乃至240秒であることが好ましく、30乃至120秒であることがさらに好ましい。処理液の補充量は、20乃至300ml/m であることが好ましく、50乃至130ml/m であることがさらに好ましい。
その他の現像処理条件については特に制限はない。自動現像機を用いる現像処理については、特開平3−13937号公報の20〜21、25、30〜31、40、45〜46及び52〜53頁、特開平3−171136号公報の18〜19頁および特開平6−43583号公報の27頁に記載がある。
【0115】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、検知機構を設けた露光装置(撮影用装置)にも有効である。赤外線による検知機構が設けられている露光装置も既に各社(千代田メディカル(株)、コニカ(株)、キャノン(株)、東芝(株)、島津製作所(株))から市販されている。
【0116】
【実施例】
[参考例1]
(染料の固体微粒子分散物の調製)
第1表に示す染料は、できる限り乾燥させないでウェットケーキとして取り扱い、乾燥固形分2.5gに対し、5%のカルボキシメチルセルロース水溶液15gを加えて、全量を63.3gとしてよく混合しスラリーとした。直径0.8〜1.2mmのガラスビーズ100ccとスラリーを分散機(1/16G、サンドグラインダーミル、アイメックス(株)製)に入れて12時間分散した後、染料濃度が2%になるように水を加えて染料分散物を得た。
【0117】
(塗布試料の作成)
下塗りを施したポリエチレンテレフタレートフイルムに、下記の塗布液を塗布し、塗布試料を作成した。
【0118】
Figure 0003616173
【0119】
【化74】
Figure 0003616173
【0120】
(塗布試料の評価)
得られた塗布試料を分光光度計(U−2000、日立(株)製)を用いて、分光吸収を測定し、最大吸収波長(λmax)の値を得た。また、可視部の吸収を評価するために、450nmにおける吸光度/λmaxにおける吸光度の比の値を求めた。この比の値が小さな染料は、450nmでの吸光度が小さく有害な着色(イエロー部の残色)が残らない。
さらに、染料を第1表に示す溶媒に溶解して溶液を得た。その溶液中での分光吸収を測定して、最大吸収波長(λmax)の値を得た。その結果、いずれの染料も、溶液中のλmaxよりも塗布試料のλmaxの方が50nm以上長波長であった。
以上の結果を第1表に示す。
【0121】
【表1】
Figure 0003616173
【0122】
【化75】
Figure 0003616173
【0123】
【化76】
Figure 0003616173
【0124】
【化77】
Figure 0003616173
【0125】
【化78】
Figure 0003616173
【0126】
[参考例2]
第2表に示す染料を用いた以外は、参考例1と同様にして、塗布試料を作成した。染料の固体微粒子分散物の添加量は、いずれも25mg/m である。
塗布試料は、参考例1と同様に最大吸収波長(λmax)の値を測定した。次に塗布試料を自動現像機(FPM9000、富士写真フイルム(株)製)で処理し、処理前のλmaxにおける吸収と処理後のλmaxにおける吸収の比から色素の残存率を求めた。別に、塗布試料を、35℃でpH10.0のBR(Briton−Robinson )緩衝液に45秒間浸漬し、浸漬前のλmaxにおける吸収と浸漬後のλmaxにおける吸収の比から色素の残存率を求めた。
以上の結果を第2表に示す。
【0127】
【表2】
Figure 0003616173
【0128】
【化79】
Figure 0003616173
【0129】
【化80】
Figure 0003616173
【0130】
[実施例1]
(ハロゲン化銀乳剤層の塗布液の調製)
水820cc中に、塩化ナトリウム3g、平均分子量2万のゼラチンおよび4−アミノピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(東京化成工業(株)製)0.04gを添加し、55℃に保った溶液中へ、攪拌しながら硝酸銀10.0gを含む水溶液と、臭化カリウム5.61gおよび塩化カリウム0.72gを含む水溶液とをダブルジェット法により30秒間で添加した。ついで、ゼラチン(過酸化水素処理したアルカリ処理ゼラチン)20gおよび塩化カリウム6gを含む水溶液を添加した。そのままの状態で、25分間保持した。次に、硝酸銀155gを含む水溶液と、臭化カリウム87.3gおよび塩化カリウム21.9gを含む水溶液をダブルジェット法で58分間で添加した。このときの流量は、添加終了時の流量が添加開始時の流量の3倍になるように加速した。
【0131】
さらに、硝酸銀5gを含む水溶液と、臭化カリウム2.7g、塩化ナトリウム0.6gおよびK FE(CN) 0.013gを含む水溶液をダブルジェット法で3分間かけて添加した。この後、温度を35℃に下げ、沈降法により可溶性塩類を除去した後、40℃に昇温して、ゼラチン28gと硝酸亜鉛0.4g、ベンゾイソチアゾロン0.051gを添加し、水酸化ナトリウムによりpH6.0に調整した。得られたハロゲン化銀粒子は、全粒子の投影面積の80%以上がアスペクト比3以上の粒子からなる。投影面積直径の平均値が0.85μm、厚みの平均値が0.151μm、塩化銀含量が20モル%であった。
【0132】
温度を56℃に昇温した後、攪拌しながら沃化銀微粒子(平均粒子径:0.05μm)を銀量に換算して0.002モル添加した。次いで、エチルチオスルフィン酸ナトリウム4.8mg、下記の増感色素520mg、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン112mgを添加した。さらに塩化金酸1.8mg、チオシアン酸カリウム100mg、チオ硫酸ナトリウム5水和物1.8mgと下記のセレン化合物2.15mgを添加した。50分間化学熟成を行ない、急冷してハロゲン化銀乳剤を得た。
【0133】
【化81】
Figure 0003616173
【0134】
【化82】
Figure 0003616173
【0135】
ハロゲン化銀乳剤に以下の添加剤を、ハロゲン化銀1モル当り下記の量で添加してハロゲン化銀乳剤層の塗布液を調製した。
【0136】
Figure 0003616173
【0137】
【化83】
Figure 0003616173
【0138】
【化84】
Figure 0003616173
【0139】
(写真感光材料の作成)
両面に下塗りを施したポリエチレンテレフタレートフイルムの両面に、下記の塗布液を塗布し、ハロゲン化銀写真感光材料を作成した。
【0140】
Figure 0003616173
【0141】
Figure 0003616173
【0142】
【化85】
Figure 0003616173
【0143】
【化86】
Figure 0003616173
【0144】
【化87】
Figure 0003616173
【0145】
【化88】
Figure 0003616173
【0146】
【化89】
Figure 0003616173
【0147】
【化90】
Figure 0003616173
【0148】
【化91】
Figure 0003616173
【0149】
以上の層の塗布において、第3表に示す染料の固体微粒子分散物を、ハロゲン化銀乳剤層または表面保護層に添加した。添加量は、いずれも25mg/m である。固体微粒子分散物は、参考例1と同様に調製した。
【0150】
(写真感光材料の評価)
作成した写真感光材料を分光光度計(U−2000、日立(株)製)を用いて、分光吸収を測定し、最大吸収波長(λmax)の値を得た。
各試料10枚を、それぞれ自動現像機(FPM−9000を改造、富士写真フイルム(株)製)のフイルム挿入口より挿入し、検出された枚数を評価した。この自動現像機には、フイルム挿入口に一対の赤外線発光素子(GL−514、シャープ(株)製)と受光素子(PT501、シャープ(株)製)を有し、赤外線が試料の挿入に伴って遮断されると、搬送ローラーが始動して自動的に試料フイルムを現像槽へと移動する機構が設けられている。
試料を上記自動現像機で処理し、処理前のλmaxにおける吸収と処理後のλmaxにおける吸収の比から色素の残存率を求めた。別に、試料を35℃でpH10.0のBR(Briton−Robinson )緩衝液に45秒間浸漬し、浸漬前のλmaxにおける吸収と浸漬後のλmaxにおける吸収の比からも色素の残存率を求めた。
さらに、試料をスクリーン(HR−4、富士写真フイルム(株)製)を介して、X線露光し、その感度を求めた。X線露光は、二枚のスクリーンの間に試料を挟み、水ファントーム10cmを通して行なった。次いで、上記自動現像機で処理し画像を形成した。相対感度は、(ベース濃度を含む)カブリ値+1.0を基準点とし、試料101の感度を100とする相対値として求めた。
以上の結果を第3表に示す。
【0151】
【表3】
Figure 0003616173
【0152】
使用した自動現像機(FPM−9000を改造、富士写真フイルム(株)製)についてさらに説明する。この現像機の一日平均処理量は、四ツ切サイズ換算で約200枚である。処理工程は以下の通りである。
【0153】
Figure 0003616173
現像槽の容積に対する液面の面積は、25cm /リットルである。水洗には、水道水を用いた。乾燥時の温風は、100℃のヒートローラー二対で発生させた。
各処理液の組成は、以下の通りである。
【0154】
Figure 0003616173
【0155】
Figure 0003616173
【0156】
Figure 0003616173
【0157】
Figure 0003616173
【0158】
以上の現像液のパーツ剤を、それぞれ別の容器に充填した。パーツ剤A、BおよびCの容器は一つに連結されている。
また、定着液(濃縮液)も同様の容器に充填した。
最初に現像槽内に、スターターとして酢酸54gと臭化カリウム55.5gを含む水溶液300ミリリットルを入れた。
上記の容器を逆さにして、自動現像機の側面に装着されている処理液ストックタンクの穿孔刃に差し込んで、キャップの封止膜を破り、容器内の処理液をストックタンクに充填した。
【0159】
自動現像機に設置されているポンプを作動して、各処理液を下記の割合で現像槽および定着槽に充填した。
また、写真感光材料を四つ切りサイズ換算で8枚処理される毎に、下記の割合で各槽に補充した。
【0160】
Figure 0003616173
【0161】
Figure 0003616173
【0162】
[実施例2]
第4表に示す染料を用いた以外は、実施例1と同様にして写真感光材料を作成した。染料は、いずれも保護層に40mg/m の量で添加した。各試料は、実施例1と同様に、自動現像機の検出枚数、色素残存率および相対感度(ただし試料401の値を100とする)を求めた。
さらに、感光材料を相対湿度70%、50℃で3日間放置した後、反射スペクトルを測定し、各染料の吸収極大波長における光吸収率の変化(放置後の吸収率/放置前の吸収率)を、保存安定性の値として求めた。
以上の結果を第4表に示す。
【0163】
【表4】
Figure 0003616173
【0164】
【化92】
Figure 0003616173
【0165】
【化93】
Figure 0003616173
【0166】
【化94】
Figure 0003616173
【0167】
【化95】
Figure 0003616173
【0168】
[実施例3]
ハロゲン化銀乳剤層と表面保護層の間に下記の中間層を設けた以外は、実施例1と同様にして写真感光材料を作成した。
【0169】
Figure 0003616173
【0170】
【化96】
Figure 0003616173
【0171】
【化97】
Figure 0003616173
【0172】
【化98】
Figure 0003616173
【0173】
各試料は、実施例1と同様に、自動現像機の検出枚数、色素残存率および相対感度(ただし試料501の値を100とする)を求めた。ただし、自動現像処理後の色素残存率と相対感度の評価においては、富士写真フイルム(株)製のFPM−9000に代えて、同社製のFPM−800(駆動系と開口率を改造)を用いた。
さらに、感光材料を相対湿度70%、40℃で3日間放置した後、自動現像機の検出枚数を求めた。
以上の結果を第5表に示す。
【0174】
【表5】
Figure 0003616173
【0175】
【化99】
Figure 0003616173
【0176】
自動現像処理後の色素残存率と相対感度の評価に用いた自動現像機(FPM−800、富士写真フイルム(株)製)について説明する。
自動現像機は、開口率を0.02に改良して用いた。処理工程は以下の通りである。
【0177】
Figure 0003616173
【0178】
各処理液の組成は以下の通りである。
【0179】
Figure 0003616173
【0180】
Figure 0003616173
【0181】
Figure 0003616173
【0182】
現像母液は、濃縮現像液2リットルを水で希釈し4リットルとし、希釈した現像液1リットル当りスターター液を60mlを添加し、pHを9.6に調整したものを用いた。
現像補充液は、濃縮現像液を2倍に希釈したものを用いた。
定着母液は、濃縮定着液2リットルを水で希釈し4リットルとし、pHを5.4に調整したものを用いた。
定着補充液は、濃縮定着液を2倍に希釈したものを用いた。
【0183】
[実施例4]
(ハロゲン化銀乳剤層の塗布液の調製)
水850mlにゼラチン34gを溶解した水溶液を容器に入れて、65℃に加温した。さらに、容器に塩化ナトリウム1.7g、臭化カリウム0.1gおよびHO−CHCH−S−CHCH−S−CHCH−OH70mgを入れた。170gの硝酸銀を含む水溶液500mlと、ヘキサクロロイリジウム(III) 酸カリウム(調製後のイリジウムのハロゲン化銀に対するモル比が5×10−7になる量)、塩化ナトリウム12gおよび臭化カリウム98gを含む水溶液500mlとをダブルジェット法により添加して、平均粒子サイズ0.4μmの立方体単分散塩臭化銀粒子を調製した。
乳剤を脱塩処理後、ゼラチン50gを加え、pH6.5、pAg8.1に調整した。チオ硫酸ナトリウム2.5mgと塩化金酸5mgを加えて、65℃で化学増感を施した。次に、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.2gを加え、急冷固化した。これを乳剤Aとした。
上記ゼラチン水溶液を入れた容器の温度を40℃に変更した以外は、同様にして平均粒子サイズが0.3μmの立方体単分散塩臭化銀乳剤を調製した。脱塩処理を、ゼラチン50gを加え、pH6.5、pAg8.1に調整した。チオ硫酸ナトリウム2.5mgと塩化金酸5mgを加えて、65℃で化学増感を施した。次に、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.2gを加え、急冷固化した。これを乳剤Bとした。
乳剤AとBを1:1の重量比混合し、下記の添加剤をハロゲン化銀1モル当り下記の量で添加し、ハロゲン化銀乳剤層の塗布液を調製した。
【0184】
Figure 0003616173
【0185】
【化100】
Figure 0003616173
【0186】
【化101】
Figure 0003616173
【0187】
【化102】
Figure 0003616173
【0188】
【化103】
Figure 0003616173
【0189】
(写真感光材料の作成)
支持体上に上記の乳剤塗布液と下記の表面保護層塗布液とを塗布し、写真感光材料を作成した。塗布量は、銀の総塗布量が2.0g/m 、乳剤層のゼラチン塗布量が1.2g/m 、表面保護層のゼラチン塗布量が1.0g/m になるように調整した。
表面保護層の塗布液は、40℃に加温した容器に下記の添加剤を加えて調製した。
【0190】
Figure 0003616173
【0191】
【化104】
Figure 0003616173
【0192】
(写真感光材料の評価)
各試料は、実施例1と同様に、自動現像機の検出枚数、色素残存率および相対感度(ただし試料601の値を100とする)を求めた。ただし、自動現像処理後の色素残存率と相対感度の評価においては、富士写真フイルム(株)製のFPM−9000に代えて、同社製のFCR−7000を用いた。また、相対感度の測定は、作成した写真感光材料を25℃かつ相対湿度60%の条件で7日間放置し、室温で780nmの半導体レーザー(レーザー・イメージ・プリンターCR−LP414、富士写真フイルム(株)製)を用いてスキャンニング露光を行なってから実施した。
以上の結果を第6表に示す。
【0193】
【表6】
Figure 0003616173
【0194】
自動現像処理後の色素残存率と相対感度の評価に用いた自動現像機(FCR−7000、富士写真フイルム(株)製)について説明する。
現像温度は35℃、処理時間(Dry to Dry)は67秒である。また、搬送スピートは1400mm/分である。
自動現像機は、開口率を0.02に改良して用いた。使用した処理液は、以下の通りである。
【0195】
Figure 0003616173
【0196】
Figure 0003616173
【0197】
[実施例5]
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
水1リットル中に臭化カリウム6gとゼラチン7gとを添加したものを容器に入れ、55℃に保った。これを攪拌しながら、硝酸銀4.00gを含む水溶液37ccと臭化カリウム5.9gを含む水溶液38ccをダブルジェット法により37秒間で添加した。次に、ゼラチン18.6gを添加した後、70℃に昇温して硝酸銀9.8gを含む水溶液89ccを22分間かけて添加した。さらに25%のアンモニア水溶液7ccを添加し、そのままの温度で10分間物理熟成したのち、100%酢酸を6.5cc添加した。引き続いて硝酸銀153gの水溶液と臭化カリウムの水溶液とをpAg8.5に保ちながらコントロールダブルジェット法で35分間かけて添加した。次に2Nのチオシアン酸カリウム水溶液15ccを添加した。5分間そのままの温度で物理熟成した後、35℃に温度を下げた。これにより、平均投影面積直径が1.10μm、厚みが0.165μm、直径の変動係数が18.0%の単分散純臭化銀平板状粒子を得た。
【0198】
この後、沈降法により可溶性塩類を除去した。再び40℃に昇温してゼラチン30gとフェノキシエタノール2.30gおよびポリスチレンスルホン酸ナトリウム(増粘剤)0.9gを添加し、水酸化ナトリウムと硝酸銀水溶液でpH5.90、pAg8.25に調整した。
この乳剤を攪拌しながら56℃に保ち、以下の化学増感を施した。
二酸化チオ尿素0.040mgを添加し、22分間そのまま保持して還元増感を施した。次に、4−ヒドロキシ5−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン20mgと実施例4で用いた増感色素380mgを添加した。さらに塩化カルシウム0.83gを添加した。引き続きチオ硫酸ナトリウム1.3mgと下記のセレン化合物3.0mgと塩化金酸2.5mgおよびチオシアン酸カリウム90mgを添加し、40分後に35℃に冷却した。このようにして、平板状ハロゲン化銀乳剤を調製した。
【0199】
【化105】
Figure 0003616173
【0200】
(ハロゲン化銀乳剤層の塗布液の調製)
ハロゲン化銀乳剤に以下の添加剤(下記の量はハロゲン化銀1モル当り)を加え、塗布液を調製した。
【0201】
Figure 0003616173
【0202】
【化106】
Figure 0003616173
【0203】
【化107】
Figure 0003616173
【0204】
(表面保護層の塗布液の調製)
下記の成分を含む塗布液を調製した。
【0205】
Figure 0003616173
【0206】
(第一下塗り層の塗布液の調製)
下記の組成の塗布液を調製した。
【0207】
Figure 0003616173
【0208】
【化108】
Figure 0003616173
【0209】
(第二下塗り層の塗布液の調製)
実施例3で用いた染料の固体微粒子分散物を、ポリプロピレン製の不織布フィルターで濾過することにより、0.9μm以上の粒子を除去した。これを用いて下記の組成の塗布液を調製した。
【0210】
Figure 0003616173
【0211】
【化109】
Figure 0003616173
【0212】
【化110】
Figure 0003616173
【0213】
(写真感光材料の作成)
下記の染料を0.04重量%含むポリエチレンテレフタレートフイルムを二軸延伸して、コロナ放電処理を行ない厚さ183μmの支持体を作成した。
【0214】
【化111】
Figure 0003616173
【0215】
第一下塗り層の塗布液を、塗布量が5.1cc/m になるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布し、175℃にて1分間乾燥した。次に反対側の面にも同様にして第一下塗り層を設けた。
第一下塗り層の上に、第二下塗り層の塗布液を片面づつ両面にワイヤーバーコーターを用いて150℃にて塗布、乾燥した。
さらに、乳剤層と表面保護層とを同時押し出し方により塗布し、写真感光材料を作成した。片面の塗布銀量は、1.2g/m とした。
【0216】
(写真感光材料の評価)
各試料は、実施例1と同様に、自動現像機の検出枚数、色素残存率および相対感度(ただし試料701の値を100とする)を求めた。
以上の結果を第7表に示す。
【0217】
【表7】
Figure 0003616173
【0218】
[実施例6]
第8表に示す染料を用いた以外は、実施例3と同様にして写真感光材料を作成し、評価した。結果を第8表に示す。
【0219】
【表8】
Figure 0003616173
【0220】
[実施例7]
第9表に示す染料を用いた以外は、実施例4と同様にして写真感光材料を作成し、評価した。結果を第9表に示す。
【0221】
【表9】
Figure 0003616173
【0222】
[実施例8]
第10表に示す染料を用いた以外は、実施例4と同様にして写真感光材料を作成し、評価した。結果を第10表に示す。
【0223】
【表10】
Figure 0003616173

Claims (9)

  1. 支持体、少なくとも一層のハロゲン化銀乳剤層および少なくとも一層の非感光性親水性コロイド層を有するハロゲン化銀写真感光材料であって、該ハロゲン化銀乳剤層または該親水性コロイド層が、以下の1)〜3)のいずれの条件をも満足する固体微粒子状態の色素を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
    1)該色素が、吸収極大波長を700乃至1100nmの赤外領域に有する。
    2)該色素が、下記式( II )で表わされるレーキシアニン染料である。
    3)該色素が、ハロゲン化銀写真感光材料を35℃でpH10.0の Briton-Robinson 緩衝液に45秒間浸漬した後、上記吸収極大波長における吸収値の残存率が90%以上である。
    Figure 0003616173
    式中、Dは下記式(Ia)で表わされるシアニン染料の骨格であり;AはDに置換基として結合しているアニオン性解離基であり;Yはカチオンであり;mは2から5の整数であり;そして、nは電荷バランスに必要な1から5の整数である。
    Figure 0003616173
    式中、Z およびZ は、それぞれ縮環してもよい5員または6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群であり;R およびR は、それぞれアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基であり;Lは5、7または9個のメチン基が二重結合が共役するように結合している連結基であり;そして、aおよびbは、それぞれ0または1である。
  2. 支持体、少なくとも一層のハロゲン化銀乳剤層および少なくとも一層の非感光性親水性コロイド層を有し、該ハロゲン化銀乳剤層または該親水性コロイド層が700乃至1100nmの赤外領域に吸収極大波長を有する色素を含み、該色素が固体微粒子の状態で該ハロゲン化銀乳剤層または該親水性コロイド層中に分散しているハロゲン化銀写真感光材料を像様露光する工程;
    像様露光したハロゲン化銀写真感光材料を自動現像機の挿入口に入れると同時に、ハロゲン化銀写真感光材料の挿入を赤外線検知器により検知する工程;そして
    赤外線検知器からの検知信号により自動現像機を作動させ、それにより挿入されたハロゲン化銀写真感光材料に処理液を用いた現像処理を実施する工程を順次実施する画像形成方法であって、
    上記現像処理の処理液により、上記色素がハロゲン化銀写真感光材料から実質的に除去されず、これにより上記吸収極大波長における吸収値の残存率が90%以上であることを特徴とする画像形成方法。
  3. 上記色素が、下記式(I)で表わされるシアニン染料である請求項2に記載の画像形成方法。
    Figure 0003616173
    式中、Z およびZ は、それぞれ縮環してもよい5員または6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群であり;R およびR は、それぞれアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基であり;Lは5、7または9個のメチン基が二重結合が共役するように結合している連結基であり;a、bおよびcは、それぞれ0または1であり;そして、Xはアニオンである。
  4. 上記色素が、下記式( II )で表わされるレーキシアニン染料である請求項2に記載の画像形成方法。
    Figure 0003616173
    式中、Dは下記式(Ia)で表わされるシアニン染料の骨格であり;AはDに置換基として結合しているアニオン性解離基であり;Yはカチオンであり;mは2から5の整数であり;そして、nは電荷バランスに必要な1から5の整数である。
    Figure 0003616173
    式中、Z およびZ は、それぞれ縮環してもよい5員または6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群であり;R およびR は、それぞれアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基であり;Lは5、7または9個のメチン基が二重結合が共役するように結合している連結基であり;そして、aおよびbは、それぞれ0または1である。
  5. 上記色素が、下記式(Ic)で表わされるシアニン染料である請求項2に記載の画像形成方法。
    Figure 0003616173
    式中、Z およびZ のベンゼン環には、さらに別のベンゼン環が縮合してもよい; およびR は、それぞれアルキル基、アラルキル基またはアルケニル基であり;R 、R 、R およびR は、それぞれアルキル基であるか、あるいはR とR またはR とR とが互いに結合して環を形成する;R 16 およびR 17 は、それぞれアルキル基またはアリール基であり;Xはアニオンであり;そして、cは0または1である。Z およびZ のベンゼン環およびそれに縮合している他のベンゼン環は置換基を有してもよい。
  6. 上記式(Ic)において、R 16 がアルキル基またはアリール基であり、R 17 がアリール基である請求項5に記載の画像形成方法。
  7. 上記式(Ic)において、R 16 がアルキル基またはフェニル基であり、R 17 がフェニル基である請求項5に記載の画像形成方法。
  8. 上記色素が、800乃至1000nmに吸収極大波長を有する請求項2乃至7のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  9. 上記色素が、850乃至950nmに吸収極大波長を有する請求項2乃至7のいずれか一項に記載の画像形成方法。
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