JP2817299B2 - 複合酸化物超電導薄膜の作製方法 - Google Patents
複合酸化物超電導薄膜の作製方法Info
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Description
る。より詳細には、本発明は、レーザ蒸着による複合酸
化物超電導薄膜の作製方法に関する。
間、液体ヘリウムによる冷却を必要とする極低温下にお
いてのみ観測される現象であるとされていた。しかしな
がら、1986年にベドノーツ、ミューラー等によって、30
Kで超電導状態を示す(La,Ba)2CuO4が発見され、更
に、1987年は、チュー等によって、90K台の超電導臨界
温度Tcを有するYBa2CU3Oyが発見され、続いて、1988年
には前田等によって100K以上の臨界温度を示す所謂Bi系
の複合酸化物系超電導材料が発見された。これらの複合
酸化物系超電導材料は、廉価な液体窒素による冷却でも
超電導現象を実現することができるので、超電導技術の
実用的な応用の可能性が取り沙太されるようになった。
材料は、当初粉末冶金法により焼結体として得られてい
たが、焼結体材料では特に臨界電流密度等の特性につい
て好ましい特性が得られず、最近では薄膜として作製す
る方法が広く研究されるようになっている。通常、複合
酸化物系超電導薄膜は、SrTiO3単結晶基板、MgO単結晶
基板等の上に、真空蒸着法、スパッタリング法等の各種
蒸着法によって成膜される。
た複合酸化物薄膜は一般にはそのままでは十分な超電導
特性を示さず、有用な超電導薄膜を得るためには形成さ
れた複合酸化物薄膜に対してポストアニール処理を行う
必要がある。
定比性を示すことが知られており、また、一般に非化学
量論性が低い程高い超電導特性を発揮することが知られ
ている。従来法による超電導薄膜の作製においては、こ
の酸素不定比性による酸素の不足を補う目的でポストア
ニール処理を実施していたものである。
理を実施すると、処理時の高熱下で基板材料が薄膜中に
拡散するために、基板近傍の領域では薄膜の品質が大幅
に低下することが知られている。従って、このような処
理を受けた薄膜は、その表面付近を実験的に使用するこ
とはできても、これを加工して各種デバイスを作製する
等の実用的な用途には使用することができない。
のなかったレーザ蒸着法が俄に注目されている。
照射して蒸発させこれを基板上に堆積させる方法である
が、ターゲットの加熱と基板の加熱とを各々独立して制
御することができ、また、蒸着雰囲気を必ずしも高真空
にする必要がなく、適正な条件を選択することによっ
て、成膜速度を速くすることができる。更に、化合物タ
ーゲットを使用した場合に、ターゲットの組成と薄膜の
組成との組成ずれが少ないことが知られており、複合酸
化物超電導材料の薄膜化に適した成膜技術であると考え
られる。
ストアニール処理なしに有効な超電導特性を発揮する薄
膜を作製することができるものと期待されている。
してレーザビームを照射すると、ターゲットからはブル
ームと呼ばれる炎の如きものが発生する。これは、レー
ザビームの照射によってターゲットの表面から発生した
活性物質の集合体であり、これが基板上に堆積されるこ
とによって薄膜が形成される。
トからの飛来物質に分布があるので、レーザ蒸着法によ
って作製した薄膜は、基板上の領域によって特性のばら
つきが大きいという問題がある。
レーザ蒸発法により、成膜面全体に特性の均一な薄膜を
形成することができる新規な複合酸化物超電導薄膜の作
製方法を提供することをその目的としている。
ターゲットと基板とを配置し、該ターゲットにレーザビ
ームを照射することによって、ターゲットの組成に対応
した組成の薄膜を基板上に作製する方法において、レー
ザビームをターゲット照射した際に発生するブルームの
内部に、該ブルームの伸長方向に対して基板が直角にな
らないように配置しながら蒸着処理を行うことを特徴と
する複合酸化物超電導薄膜の作製方法が提供される。
で作製するにあたって、特に基板の配置を工夫すること
によって、成膜面全体をブルームの内部に位置させなが
ら成膜処理を行うことを特徴としている。
は、基板は、ブルームの伸長方向に直角に配置され、ブ
ルームの中心が成膜面の中心に合致するように配置され
ることが一般的である。
板をブルームの伸長方向に対して傾斜して配置すること
によって、ターゲットからの飛来物質が分布を極力生じ
ないような状態で成膜処理を行う。
間の距離が、成膜面上の部位によって変化してしまう。
従って、基板を回転しながら成膜処理を行うことが好ま
しい。
により、成膜後にポストアニール処理を行うことなく有
効な特性を発揮する酸化物超電導薄膜を作製することが
できる。
は、SrTiO3単結晶、MgO単結晶等の基板上に形成する、L
a−Ba−Cu系あるいはY−Ba−Cu系の他、Bi系やTl系を
含む酸化物超電導材料が挙げられる。
るが、以下の開示は本発明の一実施例に過ぎず、本発明
の技術的範囲を何ら限定するものではない。
蒸着装置のレイアウトを示す図である。
備えた成膜室1と、成膜室1内に配置されたターゲット
ホルダ4と、やはり成膜室1内に配置され、後述する回
転装置6に支持された基板ホルダ3とを備えている。ま
た、成膜室1の外部には、レーザ光入射窓9を介してタ
ーゲットホルダ4上のターゲット5にレーザ光を照射で
きるように、レーザ装置8が配置されている。
ホルダ3に保持された基板2を、その成膜面と直角な軸
を中心に回転できるように構成されている。
YBa2Cu3Oyなる組成を有する複合酸化物超電導薄膜を作
製した。
組成を有する焼結体を粉砕した粉末ターゲットを使用し
た。レーザは、パルスレートは1ppsでエキシマレーザを
使用し、成膜室内はO2(ガス)で満たした。その他の成
膜条件は、下記の第1表に示す通りである。尚、試料
は、基板2を固定したまま成膜を行って得た試料と、
成膜中に12回/分の割合で回転装置6を駆動して、基板
を回転しながら成膜して得た試料とを作製した。
板ホルダ3aに保持した基板2aに対しても、同じ成膜条件
で成膜を行い、試料を得た。
述のようにして得た試料、試料および試料を上方
から観察した様子を示す図である。
ところ、試料は、第2図(a)に示すように、両側部
に膜厚の薄い領域があるが、試料では、第2図(b)
に示すように、基板の全面が漆黒の超電導薄膜となって
いる。また、試料では、第2図(c)に示すように、
基板の中央部のみが有効な超電導薄膜となっていた。
たA−A′間、およびB−B′間での超電導特性を測定
した。代表的な超電導特性として、臨界温度Tc並びに臨
界電流密度Jcを第2表に示す。尚、臨界電流密度Jcは、
77Kにおける測定値である。
によって、基板上に均質な酸化物超電導薄膜を広い面積
で形成することが可能になる。
作製プロセスにおいて、ポストアニール処理を省略する
ことができ、下地基板材料の超電導材料層への拡散が少
ないので超電導現象を利用した各種素子の作製基材とし
て好ましい。従って、一連の薄膜素子や超電導量子干渉
計(SQUID)等の作製に利用することができる。
ることができる成膜装置のレイアウトを示す図であり、 第2図(a)、(b)および(c)は、レーザ蒸着法に
よって得られた試料を観察した様子を示す図である。 〔主な参照番号〕 1……成膜室、2……基板、 3……基板ホルダ、4……ターゲットホルダ、 5……ターゲット、8……レーザ装置、 9……レーザ光入射窓
Claims (2)
- 【請求項1】気密に画成された成膜室内にターゲットと
基板とを配置し、該ターゲットにレーザビームを照射す
ることによって、ターゲットの組成に対応した組成の薄
膜を基板上に作製する方法において、 レーザビームをターゲット照射した際に発生するブルー
ムの内部に、該ブルームの伸長方向に対して基板が直角
にならないように配置しながら蒸着処理を行うことを特
徴とする複合酸化物超電導薄膜の作製方法。 - 【請求項2】請求項1に記載の方法であって、前記基板
を、該基板の成膜面と直角な軸を中心に回転しながら前
記成膜操作を実施することを特徴とする複合酸化物超電
導薄膜の作製方法。
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-
1989
- 1989-12-22 JP JP1334031A patent/JP2817299B2/ja not_active Expired - Lifetime
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