JP2811389B2 - 充放電可能な電池 - Google Patents
充放電可能な電池Info
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- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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- Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
- Secondary Cells (AREA)
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電性高重合体を電池
の活物質に使用した充放電可能な電池に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】共役二重結合を備えた有機高重合体と、
ヨウ素や五フッ化炭素などの分子やClO4 - ,PF6
- ,Li+ ,(Bu2 N)+ などのイオンの結合体を作
ることによって高い導電性を示す物質が得られることが
明らかになって以来、この分野で多くの研究がすすめら
れてきた。一般に高重合体に他の分子やイオンを入れる
ことをドープと呼び、逆に一旦ドープされた高重合体か
ら分子やイオンがぬけ出ることをアンドープと呼んでい
る。 【0003】これらの中でポリアセチレンなどの高重合
体にイオンをドープして得られる導電性高重合体は、こ
のドープ、アンドープが可逆的におこなわれることが見
出され、これらの導電性高重合体を充放電可能な電池の
活物質に使用することが1979年にアメリカのペンシ
ルバニア大学マックダイアーミド教授らによって提案さ
れた。現在、多種類の導電性高重合体について、電池へ
の使用可能性についての検討がすすめられているところ
である。 【0004】ところが、ポリアセチレンのような導電性
高重合体を電池の活物質に使用する場合、いくつかの問
題が存在する。第1に、これらの電池は最初、正極にド
ープした導電性高重合体、負極にリチウム、電解液に有
機電解液を使用した系として提案されたが、両極がこの
組合せの電池の場合、電池の充電状態(正極はドープさ
れた状態)の開路電圧が4V以上となり、充電電圧はさ
らに高い値となる。そのため電池の反応以外に電解液の
分解反応などが生じ、これがクーロン効率(充電電気量
に対する放電電気量の比率)が100%とならなかった
り、また、自己放電の原因のひとつとなっていた。ま
た、充放電の際、リチウム電極には樹枝状結晶(デンド
ライト)が生じるなどの欠点があった。 【0005】これを克服するために、電池の負極には陽
イオンをドープした導電性高重合体を使用した、正・負
両極共が導電性高重合体からなる電池が提案されたが、
陽イオンをドープした導電性高重合体は極めて不安定で
あり、クーロン効率も非常に小さい値しか得られないと
いう欠点があった。 【0006】一方、グラファイトなどに陰イオンをドー
プした層間化合物を電池の正極活物質に使用することも
提案されているが、この電池の場合も負極にリチウムを
使用した場合、開路電圧が4V以上となって、電解液の
分解などの問題があった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は炭素繊維にL
iイオンをドープして電池の負極とした場合、クーロン
効率などの特性がすばらしいことを発見したことにもと
づくものであり、充放電特性がすぐれ、自己放電が小さ
い、高出力の充電可能な電池を得ることを目的とする。 【0008】すなわち、本発明は、 (1) Liイオンをドープして得られた炭素繊維を負極活
物質とし、電解液に該Liイオンを含ませてなる充放電
可能な電池であって、該炭素繊維が高導電性で、黒鉛化
度の高い高密度の炭素繊維であり、かつ該電池のクーロ
ン効率が90%以上であり、さらに該電池の充電状態の
開路電圧が3.3V以上であることを特徴とする、充放
電可能な電池、 (2)Liイオンをドープして得られた炭素繊維を負極活
物質とし、電解液に該陽イオンを含ませてなる充放電可
能な電池であって、該炭素繊維が高導電性で、黒鉛化度
の高い高密度の炭素繊維の束であり、かつ該電池のクー
ロン効率が90%以上であり、さらに該電池の充電状態
の開路電圧が3.3V以上であることを特徴とする、充
放電可能な電池、に関する。 【0009】本発明の負極には炭素繊維を使用する。炭
素繊維はそれ自体が高電導性であるので電極材料として
は極めて有利である。また、空気中においても全く変化
せず、極めて取扱いが便利であり、繊維を束にして布状
に織ることができるので、どのような形状の電極をも作
ることができる、という利点がある。そのうえ表面積が
大きいので、大電流をとり出すことができるという利点
がある。しかも炭素繊維にLiイオンを電気化学的にド
ープあるいはアンドープすることが可能で、ドープした
炭素繊維は極めて安定であり、更にいくらドープとアン
ドープを繰り返しても(充放電)特性の変化はなく、し
かも充放電のクーロン効率はほぼ100パーセントを示
す。 【0010】このように炭素繊維は電池の負極の活物質
として極めてすぐれた特性を示すものである。 【0011】本発明においては、炭素繊維にドープ可能
な陽イオンとして、Li+ が用いられる。またLiイオ
ンのドープ量は炭素繊維の種類によって決ってくるが、
炭素繊維1g当り44mAh程度がドープされる。負極
として好ましい炭素繊維は黒鉛化度の高い高密度な繊維
である。 【0012】本発明電池に用いる事の出来る炭素繊維
は、ポリアクリロニトリル、セルロースあるいはピッツ
等を焼成して合成する事が出来る。炭素繊維はこれら原
料を一般に2000℃前後で焼成して合成出来るが、更
に高温で焼成しグラファイト化率を向上させた炭素繊維
が好適に本発明電池には用いられ、例えば、“トレカ”
M−40,T−300(東レ(株)製)等が好適に用い
られる。炭素繊維は長繊維でも短繊維でも良い。 【0013】本発明の電解液としては、負極にドープす
るLiイオンを含み、また、場合によっては、正極にド
ープする陰イオンを含み、これらイオンを溶解した場合
に適当な電導度をもち、分解電圧がある程度高く、電池
の充電時の最適電圧においても分解しない、安定した溶
液を使用する。例えば正極にはClO4 - をドープした
ポリアセチレン、負極にはLi+ をドープした炭素繊維
を使用した場合を例にとると、充電電圧は約2.5V〜
約3.5V、放電電圧は約3.0V〜約1.5Vとなる
ので、少くとも3.5Vでは分解しない電解液を選択し
なければならない。このような電解液としては、水溶液
は使用できず、プロピレンカーボネート、テトラヒドロ
フラン、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタ
ンなどの有機溶媒を使用した溶液が適している。 【0014】なお本発明の構成によって二次電池のみな
らず、容量の大きなキャパシターとして利用することも
可能である。 【0015】 【実施例】次に本発明の実施例について述べる。 【0016】実施例1 試作電池の断面を図1に示す。図1において、1はポリ
アセチレン正極活物質、2は正極集電体(材質は白
金)、3は炭素繊維を織った布からなる負極活物質、4
は負極集電体(材質は白金)、5はセパレータとしての
多孔性ガラス板、6は電解液、7はスペーサーとしての
ガラス棒、8は正極端子、9は負極端子、10はガラス
容器である。 【0017】正極活物質であるポリアセチレンは、大き
さ10mm×20mm、厚み0.1mm、重量8.5m
gであった。負極の炭素繊維の布は、大きさ10mm×
20mm、重量30mgであった。電解液は1.0mo
l/l LiClO4 のプロピレンカーボネート溶液を
使用した。この電池は組立て直後は充電状態にあり、開
路電圧は3.3Vを示した。そのあと電池を定電流で放
電と充電を繰り返した。 【0018】図2は上記試作電池の充放電特性を示した
ものである。充放電は室温で、充電、放電とも1.0m
A/cellの定電流で行なった。図2において、曲線
A−Bは充電曲線であり、この時には正極のポリアセチ
レンにはClO4-イオンがドープされ、同時に負極の炭
素繊維にはLi+ イオンがドープされる。また図におい
て曲線B−Cは放電曲線であり、この時には正極のポリ
アセチレンではClO4 - イオンがアンドープされ、同
時に負極の炭素繊維ではLi+ イオンがアンドープされ
る。放電電圧は2.5V付近で平坦に近い電圧を示す
が、2.0V付近から急に低下しはじめる。 【0019】なお、この電池の充放電特性は図2と同じ
条件で充放電サイクルを繰り返した場合、ほとんど変化
しなかった。また、充電を1.0mA/cellで60
分間充電した場合も、充電電圧は3.5V以下であり、
1.0mA/cellでの放電時間も55〜58分の間
となった。試作電池は充電電気量が60mA・分までの
範囲ではポリアセチレンへのClO4 - のドープ量が6
%以下であるので、クーロン効率は90〜100%の極
めてすぐれた値を示した。また充電して一定時間開路状
態で放置した後放電した場合、放電容量は充電直後に放
電した場合の容量とほとんど差はなく、自己放電による
容量減少は極めて小さかった。 【0020】次に、従来の電池と比較するために、正・
負両極ともポリアセチレンからなる電池を試作し、実施
例1に示した本発明になる電池との特性を比較した。 【0021】電池構成は、正負両極とも大きさ10mm
×20mm、厚み0.1mm、重量8.5mgのポリア
セチレンとし、片面に集電体としてはたらく白金板を貼
り付けた。電解液は1.0mol/l LiClO4 の
プロピレンカーボネート溶液を使用し、構造は図1に示
したものとほぼ同じとした。この電池の開路電圧は充電
状態で2.6Vを示した。 【0022】図3は上記従来電池の充放電特性を示した
ものであり、充放電は室温で、充電、放電とも0.5m
Aの定電流で行なった。図3において、曲線D−Eは充
電曲線であり、この時には正極のポリアセチレンにはC
lO4 - イオンがドープされ、負極のポリアセチレンに
はLi+ イオンがドープされる。また、図3において曲
線E−Fは放電曲線であり、この時には正極のポリアセ
チレンではClO4 -イオンがアンドープされ、同時に
負極のポリアセチレンではLi+ イオンがアンドープさ
れる。放電電圧は平坦とはならず、放電終止電圧を1.
5Vとした場合のクーロン効率は約50%であった。 【0023】なお、クーロン効率は充放電電流が大きく
なった場合や、充電電気量が大きくなった場合には50
%より小さくなった。 【0024】以上のように、正、負両極ともポリアセチ
レンからなる従来の電池の特性は実施例1に示した本発
明になる電池の特性より劣っていることは明らかとなっ
た。 実施例2 電解液に1.0mol/l LiBF4 のプロピレンカ
ーボネート溶液を使用し、その他の構成は実施例1と同
じ電池を試作した。この電池の充放電特性は図2に示し
た実施例1の場合とほとんど同じであった。 【0025】実施例3 電解液に1.0mol/l LiClO4 のテトラヒド
ラフラン溶液を使用し、その他の構成は実施例1と同じ
電池を試作した。この電池の充放電特性は第2に示した
実施例1の場合とほとんど同じであった。 【0026】上記実施例においては導電性高重合体とし
てポリアセチレンの場合を示したが、本発明になる電池
の正極はポリアセチレンに限定されるものではなく、ポ
リパラフェニレンなど実施例以外の多くの導電性重合体
が使用可能であるということはいうまでもない。 【0027】以上の例に示した如く、本発明になる電池
は、正極に導電性高重合体、負極に炭素繊維を使用した
が、共にドープ状態では極めて安定であり、しかも充放
電に際しての形状変化がなく、充放電のクーロン効率が
すぐれているため、いくら充放電を繰り返しても特性に
変化が生じることがない。また、電圧は充電時の最大値
が約3.5Vであるため、使用する有機電解液の分解等
は全く生じないので、副反応はなく、自己放電も極めて
わずかに抑えられるものである。 【0028】 【発明の効果】本発明により、充放電特性がすぐれ、自
己放電が小さい、高出力の充電可能な電池を得ることが
できる。
の活物質に使用した充放電可能な電池に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】共役二重結合を備えた有機高重合体と、
ヨウ素や五フッ化炭素などの分子やClO4 - ,PF6
- ,Li+ ,(Bu2 N)+ などのイオンの結合体を作
ることによって高い導電性を示す物質が得られることが
明らかになって以来、この分野で多くの研究がすすめら
れてきた。一般に高重合体に他の分子やイオンを入れる
ことをドープと呼び、逆に一旦ドープされた高重合体か
ら分子やイオンがぬけ出ることをアンドープと呼んでい
る。 【0003】これらの中でポリアセチレンなどの高重合
体にイオンをドープして得られる導電性高重合体は、こ
のドープ、アンドープが可逆的におこなわれることが見
出され、これらの導電性高重合体を充放電可能な電池の
活物質に使用することが1979年にアメリカのペンシ
ルバニア大学マックダイアーミド教授らによって提案さ
れた。現在、多種類の導電性高重合体について、電池へ
の使用可能性についての検討がすすめられているところ
である。 【0004】ところが、ポリアセチレンのような導電性
高重合体を電池の活物質に使用する場合、いくつかの問
題が存在する。第1に、これらの電池は最初、正極にド
ープした導電性高重合体、負極にリチウム、電解液に有
機電解液を使用した系として提案されたが、両極がこの
組合せの電池の場合、電池の充電状態(正極はドープさ
れた状態)の開路電圧が4V以上となり、充電電圧はさ
らに高い値となる。そのため電池の反応以外に電解液の
分解反応などが生じ、これがクーロン効率(充電電気量
に対する放電電気量の比率)が100%とならなかった
り、また、自己放電の原因のひとつとなっていた。ま
た、充放電の際、リチウム電極には樹枝状結晶(デンド
ライト)が生じるなどの欠点があった。 【0005】これを克服するために、電池の負極には陽
イオンをドープした導電性高重合体を使用した、正・負
両極共が導電性高重合体からなる電池が提案されたが、
陽イオンをドープした導電性高重合体は極めて不安定で
あり、クーロン効率も非常に小さい値しか得られないと
いう欠点があった。 【0006】一方、グラファイトなどに陰イオンをドー
プした層間化合物を電池の正極活物質に使用することも
提案されているが、この電池の場合も負極にリチウムを
使用した場合、開路電圧が4V以上となって、電解液の
分解などの問題があった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は炭素繊維にL
iイオンをドープして電池の負極とした場合、クーロン
効率などの特性がすばらしいことを発見したことにもと
づくものであり、充放電特性がすぐれ、自己放電が小さ
い、高出力の充電可能な電池を得ることを目的とする。 【0008】すなわち、本発明は、 (1) Liイオンをドープして得られた炭素繊維を負極活
物質とし、電解液に該Liイオンを含ませてなる充放電
可能な電池であって、該炭素繊維が高導電性で、黒鉛化
度の高い高密度の炭素繊維であり、かつ該電池のクーロ
ン効率が90%以上であり、さらに該電池の充電状態の
開路電圧が3.3V以上であることを特徴とする、充放
電可能な電池、 (2)Liイオンをドープして得られた炭素繊維を負極活
物質とし、電解液に該陽イオンを含ませてなる充放電可
能な電池であって、該炭素繊維が高導電性で、黒鉛化度
の高い高密度の炭素繊維の束であり、かつ該電池のクー
ロン効率が90%以上であり、さらに該電池の充電状態
の開路電圧が3.3V以上であることを特徴とする、充
放電可能な電池、に関する。 【0009】本発明の負極には炭素繊維を使用する。炭
素繊維はそれ自体が高電導性であるので電極材料として
は極めて有利である。また、空気中においても全く変化
せず、極めて取扱いが便利であり、繊維を束にして布状
に織ることができるので、どのような形状の電極をも作
ることができる、という利点がある。そのうえ表面積が
大きいので、大電流をとり出すことができるという利点
がある。しかも炭素繊維にLiイオンを電気化学的にド
ープあるいはアンドープすることが可能で、ドープした
炭素繊維は極めて安定であり、更にいくらドープとアン
ドープを繰り返しても(充放電)特性の変化はなく、し
かも充放電のクーロン効率はほぼ100パーセントを示
す。 【0010】このように炭素繊維は電池の負極の活物質
として極めてすぐれた特性を示すものである。 【0011】本発明においては、炭素繊維にドープ可能
な陽イオンとして、Li+ が用いられる。またLiイオ
ンのドープ量は炭素繊維の種類によって決ってくるが、
炭素繊維1g当り44mAh程度がドープされる。負極
として好ましい炭素繊維は黒鉛化度の高い高密度な繊維
である。 【0012】本発明電池に用いる事の出来る炭素繊維
は、ポリアクリロニトリル、セルロースあるいはピッツ
等を焼成して合成する事が出来る。炭素繊維はこれら原
料を一般に2000℃前後で焼成して合成出来るが、更
に高温で焼成しグラファイト化率を向上させた炭素繊維
が好適に本発明電池には用いられ、例えば、“トレカ”
M−40,T−300(東レ(株)製)等が好適に用い
られる。炭素繊維は長繊維でも短繊維でも良い。 【0013】本発明の電解液としては、負極にドープす
るLiイオンを含み、また、場合によっては、正極にド
ープする陰イオンを含み、これらイオンを溶解した場合
に適当な電導度をもち、分解電圧がある程度高く、電池
の充電時の最適電圧においても分解しない、安定した溶
液を使用する。例えば正極にはClO4 - をドープした
ポリアセチレン、負極にはLi+ をドープした炭素繊維
を使用した場合を例にとると、充電電圧は約2.5V〜
約3.5V、放電電圧は約3.0V〜約1.5Vとなる
ので、少くとも3.5Vでは分解しない電解液を選択し
なければならない。このような電解液としては、水溶液
は使用できず、プロピレンカーボネート、テトラヒドロ
フラン、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタ
ンなどの有機溶媒を使用した溶液が適している。 【0014】なお本発明の構成によって二次電池のみな
らず、容量の大きなキャパシターとして利用することも
可能である。 【0015】 【実施例】次に本発明の実施例について述べる。 【0016】実施例1 試作電池の断面を図1に示す。図1において、1はポリ
アセチレン正極活物質、2は正極集電体(材質は白
金)、3は炭素繊維を織った布からなる負極活物質、4
は負極集電体(材質は白金)、5はセパレータとしての
多孔性ガラス板、6は電解液、7はスペーサーとしての
ガラス棒、8は正極端子、9は負極端子、10はガラス
容器である。 【0017】正極活物質であるポリアセチレンは、大き
さ10mm×20mm、厚み0.1mm、重量8.5m
gであった。負極の炭素繊維の布は、大きさ10mm×
20mm、重量30mgであった。電解液は1.0mo
l/l LiClO4 のプロピレンカーボネート溶液を
使用した。この電池は組立て直後は充電状態にあり、開
路電圧は3.3Vを示した。そのあと電池を定電流で放
電と充電を繰り返した。 【0018】図2は上記試作電池の充放電特性を示した
ものである。充放電は室温で、充電、放電とも1.0m
A/cellの定電流で行なった。図2において、曲線
A−Bは充電曲線であり、この時には正極のポリアセチ
レンにはClO4-イオンがドープされ、同時に負極の炭
素繊維にはLi+ イオンがドープされる。また図におい
て曲線B−Cは放電曲線であり、この時には正極のポリ
アセチレンではClO4 - イオンがアンドープされ、同
時に負極の炭素繊維ではLi+ イオンがアンドープされ
る。放電電圧は2.5V付近で平坦に近い電圧を示す
が、2.0V付近から急に低下しはじめる。 【0019】なお、この電池の充放電特性は図2と同じ
条件で充放電サイクルを繰り返した場合、ほとんど変化
しなかった。また、充電を1.0mA/cellで60
分間充電した場合も、充電電圧は3.5V以下であり、
1.0mA/cellでの放電時間も55〜58分の間
となった。試作電池は充電電気量が60mA・分までの
範囲ではポリアセチレンへのClO4 - のドープ量が6
%以下であるので、クーロン効率は90〜100%の極
めてすぐれた値を示した。また充電して一定時間開路状
態で放置した後放電した場合、放電容量は充電直後に放
電した場合の容量とほとんど差はなく、自己放電による
容量減少は極めて小さかった。 【0020】次に、従来の電池と比較するために、正・
負両極ともポリアセチレンからなる電池を試作し、実施
例1に示した本発明になる電池との特性を比較した。 【0021】電池構成は、正負両極とも大きさ10mm
×20mm、厚み0.1mm、重量8.5mgのポリア
セチレンとし、片面に集電体としてはたらく白金板を貼
り付けた。電解液は1.0mol/l LiClO4 の
プロピレンカーボネート溶液を使用し、構造は図1に示
したものとほぼ同じとした。この電池の開路電圧は充電
状態で2.6Vを示した。 【0022】図3は上記従来電池の充放電特性を示した
ものであり、充放電は室温で、充電、放電とも0.5m
Aの定電流で行なった。図3において、曲線D−Eは充
電曲線であり、この時には正極のポリアセチレンにはC
lO4 - イオンがドープされ、負極のポリアセチレンに
はLi+ イオンがドープされる。また、図3において曲
線E−Fは放電曲線であり、この時には正極のポリアセ
チレンではClO4 -イオンがアンドープされ、同時に
負極のポリアセチレンではLi+ イオンがアンドープさ
れる。放電電圧は平坦とはならず、放電終止電圧を1.
5Vとした場合のクーロン効率は約50%であった。 【0023】なお、クーロン効率は充放電電流が大きく
なった場合や、充電電気量が大きくなった場合には50
%より小さくなった。 【0024】以上のように、正、負両極ともポリアセチ
レンからなる従来の電池の特性は実施例1に示した本発
明になる電池の特性より劣っていることは明らかとなっ
た。 実施例2 電解液に1.0mol/l LiBF4 のプロピレンカ
ーボネート溶液を使用し、その他の構成は実施例1と同
じ電池を試作した。この電池の充放電特性は図2に示し
た実施例1の場合とほとんど同じであった。 【0025】実施例3 電解液に1.0mol/l LiClO4 のテトラヒド
ラフラン溶液を使用し、その他の構成は実施例1と同じ
電池を試作した。この電池の充放電特性は第2に示した
実施例1の場合とほとんど同じであった。 【0026】上記実施例においては導電性高重合体とし
てポリアセチレンの場合を示したが、本発明になる電池
の正極はポリアセチレンに限定されるものではなく、ポ
リパラフェニレンなど実施例以外の多くの導電性重合体
が使用可能であるということはいうまでもない。 【0027】以上の例に示した如く、本発明になる電池
は、正極に導電性高重合体、負極に炭素繊維を使用した
が、共にドープ状態では極めて安定であり、しかも充放
電に際しての形状変化がなく、充放電のクーロン効率が
すぐれているため、いくら充放電を繰り返しても特性に
変化が生じることがない。また、電圧は充電時の最大値
が約3.5Vであるため、使用する有機電解液の分解等
は全く生じないので、副反応はなく、自己放電も極めて
わずかに抑えられるものである。 【0028】 【発明の効果】本発明により、充放電特性がすぐれ、自
己放電が小さい、高出力の充電可能な電池を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電池の断面図である。
【図2】本発明の電池の充放電曲線の例を示した面図で
ある。 【図3】本発明の電池の充放電特性を示した面図であ
る。 【符号の説明】 1:正極 2:負極 3:セパレータ 4:電解液
ある。 【図3】本発明の電池の充放電特性を示した面図であ
る。 【符号の説明】 1:正極 2:負極 3:セパレータ 4:電解液
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 塚本 遵
滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ
株式会社滋賀事業場内
(72)発明者 柏原 伸
京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町1番
地 日本電池株式会社内
(72)発明者 斎藤 哲
京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町1番
地 日本電池株式会社内
(56)参考文献 特開 平2−16802(JP,A)
特開 昭60−114004(JP,A)
特開 昭63−268297(JP,A)
特開 平3−254201(JP,A)
実開 昭63−181002(JP,U)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1. Liイオンをドープして得られた炭素繊維を負極
活物質とし、電解液に該Liイオンを含ませてなる充放
電可能な電池であって、該炭素繊維が高導電性で、黒鉛
化度の高い高密度の炭素繊維であり、かつ該電池のクー
ロン効率が90%以上であり、さらに該電池の充電状態
の開路電圧が3.3V以上であることを特徴とする、充
放電可能な電池。 2.Liイオンをドープして得られた炭素繊維を負極活
物質とし、電解液に該陽イオンを含ませてなる充放電可
能な電池であって、該炭素繊維が高導電性で、黒鉛化度
の高い高密度の炭素繊維の束であり、かつ該電池のクー
ロン効率が90%以上であり、さらに該電池の充電状態
の開路電圧が3.3V以上であることを特徴とする、充
放電可能な電池。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP4265493A JP2811389B2 (ja) | 1983-09-02 | 1992-09-07 | 充放電可能な電池 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP58162331A JPS6054181A (ja) | 1983-09-02 | 1983-09-02 | 充放電可能な電池 |
JP4265493A JP2811389B2 (ja) | 1983-09-02 | 1992-09-07 | 充放電可能な電池 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP58162331A Division JPS6054181A (ja) | 1983-09-02 | 1983-09-02 | 充放電可能な電池 |
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ID=26488158
Family Applications (1)
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JP4265493A Expired - Fee Related JP2811389B2 (ja) | 1983-09-02 | 1992-09-07 | 充放電可能な電池 |
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CN111477468B (zh) * | 2020-04-24 | 2020-12-29 | 无锡中基电机制造有限公司 | 一种双励磁绕组直流电机 |
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JPS59143280A (ja) * | 1983-02-04 | 1984-08-16 | Hitachi Ltd | ポリマを用いた2次電池 |
-
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