JPH06168738A - 充放電可能な電池 - Google Patents

充放電可能な電池

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JPH06168738A
JPH06168738A JP4265493A JP26549392A JPH06168738A JP H06168738 A JPH06168738 A JP H06168738A JP 4265493 A JP4265493 A JP 4265493A JP 26549392 A JP26549392 A JP 26549392A JP H06168738 A JPH06168738 A JP H06168738A
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輝一郎 松村
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遵 塚本
Shin Kashiwabara
伸 柏原
Satoru Saito
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Abstract

(57)【要約】 【構成】(1) Liイオンをドープして得られ炭素繊維
を負極活物質とし、電解液に該Liイオンを含ませてな
充放電可能な電池であって、該炭素繊維が高導電性炭
素繊維であり、かつ該電池のクーロン効率が90%以上
であることを特徴とする、充放電可能な電池。(2) Liイオンをドープして得られた炭素繊維を負極活
物質とし、電解液に該陽イオンを含ませてなる充放電可
能な電池であって、該炭素繊維が炭素繊維の束であり、
かつ該電池のクーロン効率が90%以上であ ることを特
徴とする、充放電可能な電池。 【効果】本発明により、充放電特性がすぐれ、自己放電
が小さくかつ高出力の、充電可能な電池を得ることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電性高重合体を電池
の活物質に使用した充放電可能な電池に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】共役二重結合を備えた有機高重合体と、
ヨウ素や五フッ化炭素などの分子やClO4 - ,PF6
- ,Li+ ,(Bu2 N)+ などのイオンの結合体を作
ることによって高い導電性を示す物質が得られることが
明らかになって以来、この分野で多くの研究がすすめら
れてきた。一般に高重合体に他の分子やイオンを入れる
ことをドープと呼び、逆に一旦ドープされた高重合体か
ら分子やイオンがぬけ出ることをアンドープと呼んでい
る。
【0003】これらの中でポリアセチレンなどの高重合
体にイオンをドープして得られる導電性高重合体は、こ
のドープ、アンドープが可逆的におこなわれることが見
出され、これらの導電性高重合体を充放電可能な電池の
活物質に使用することが1979年にアメリカのペンシ
ルバニア大学マックダイアーミド教授らによって提案さ
れた。現在、多種類の導電性高重合体について、電池へ
の使用可能性についての検討がすすめられているところ
である。
【0004】ところが、ポリアセチレンのような導電性
高重合体を電池の活物質に使用する場合、いくつかの問
題が存在する。第1に、これらの電池は最初、正極にド
ープした導電性高重合体、負極にリチウム、電解液に有
機電解液を使用した系として提案されたが、両極がこの
組合せの電池の場合、電池の充電状態(正極はドープさ
れた状態)の開路電圧が4V以上となり、充電電圧はさ
らに高い値となる。そのため電池の反応以外に電解液の
分解反応などが生じ、これがクーロン効率(充電電気量
に対する放電電気量の比率)が100%とならなかった
り、また、自己放電の原因のひとつとなっていた。ま
た、充放電の際、リチウム電極には樹枝状結晶(デンド
ライト)が生じるなどの欠点があった。
【0005】これを克服するために、電池の負極には陽
イオンをドープした導電性高重合体を使用した、正・負
両極共が導電性高重合体からなる電池が提案されたが、
陽イオンをドープした導電性高重合体は極めて不安定で
あり、クーロン効率も非常に小さい値しか得られないと
いう欠点があった。
【0006】一方、グラファイトなどに陰イオンをドー
プした層間化合物を電池の正極活物質に使用することも
提案されているが、この電池の場合も負極にリチウムを
使用した場合、開路電圧が4V以上となって、電解液の
分解などの問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は炭素繊維に陽
イオンをドープして電池の負極とした場合、クーロン効
率などの特性がすばらしいを発見したことにもとづくも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は正極
に陰イオンをドープして得られる導電性高重合体、負極
には陽イオンをドープして得られる炭素繊維、電解液に
は上記陰イオンおよび陽イオンを含む溶液を使用するこ
とによって、従来の正極、負極共に導電性高重合体を使
用した電池の欠点を取り除き、充放電性がすぐれ、自己
放電が小さく、両極活物質に金属を使用しない、軽量か
つ高出力の充放電可能な電池を得るものである。
【0009】本発明の電池の正極は、ポリアセチレンや
ポリパラフェニレンなどの導電性高重合体からなる。ポ
リアセチレンやポリパラフェニレンなどの高重合体は、
そのままの状態では高電導性を示さないので、電気化学
的ドーピングによって高重合体に陰イオンをドープして
電導性を持たせる必要がある。使用する陰イオンは、C
lO4 - ,PF6 - ,AsF6 - ,BF4 - などの多く
の種類の使用が可能であるが、使用する高重合体にドー
プした際の電導度や安定性を考慮して選択しなければな
らない。また、陰イオンのドープ量は使用する高重合体
によって異なることはいうまでもない。
【0010】本発明電池に用いる事の出来るポリアセチ
レンは、一般にチタン、バナジウム等の遷移金属化合物
と周期率表第1〜3族の金属の有機金属化合物から成る
チーグラー型配位アニオン重合触媒により重合される。
例えば、チタン化合物Ti(OR)4 R=アルキル基
と、有機アルミニウム化合物AIR´3 R´=アルキル
基、とくにチタニウムテトラブトオキサイド−トリエチ
ルアルミニウムとの組合せが有効である。
【0011】重合はこれらの触媒を含む炭化水素溶液に
アセチレンを導入して行う事が出来る。このように重合
して得たポリアセチレンフィルムに、さらに触媒を塗布
し、重ねて重合する事により得た高密度のポリアセチレ
ンフィルムが特に好ましく、本発明電池に用いられる。
【0012】一旦陰イオンをドープされた高重合体は、
高電導性を示す。そして、通電方向をかえることによっ
て、陰イオンがドープ(充電)されたり、アンドープ
(放電)されたりする。すなわち電池として充放電が可
能となる。この場合、使用する高重合体は、充放電をい
くら繰り返しても特性が変化せず、かつ充放電の際のク
ーロン効率がすぐれたものを選択する必要がある。
【0013】本発明の負極には炭素繊維を使用する。炭
素繊維はそれ自体が高電導性であるので電極材料として
は極めて有利である。また、空気中においても全く変化
せず、極めて取扱いが便利であり、繊維を束にして布状
に織ることができるので、どのような形状の電極をも作
ることができる、という利点がある。そのうえ表面積が
大きいので、大電流をとり出すことができるという利点
がある。しかも炭素繊維に陽イオンを電気化学的にドー
プあるいはアンドープすることが可能で、ドープした炭
素繊維は極めて安定であり、更にいくらドープとアンド
ープを繰り返しても(充放電)特性の変化はなく、しか
も充放電のクーロン効率はほぼ100パーセントを示
す。
【0014】このように炭素繊維は電池の負極の活物質
として極めてすぐれた特性を示すものである。
【0015】なお、炭素繊維にドープ可能な陽イオンと
しては、Li+ 、Na+ ,(Bu4N)+ などをはじ
め、多くの種類が可能となる。また陽イオンのドープ量
は炭素繊維の種類によって決ってくるが、炭素繊維1g
当り44mAh程度がドープされる。負極として好まし
い炭素繊維は黒鉛化度の高い高密度な繊維である。
【0016】本発明電池に用いる事の出来る炭素繊維
は、ポリアクリロニトリル、セルロースあるいはピッツ
等を焼成して合成する事が出来る。炭素繊維はこれら原
料を一般に2000℃前後で焼成して合成出来るが、更
に高温で焼成しグラファイト化率を向上させた炭素繊維
が好適に本発明電池には用いられ、例えば、“トレカ”
M−40,T−300(東レ(株)製)等が好適に用い
られる。炭素繊維は長繊維でも短繊維でも良い。
【0017】本発明の電解液としては、正極にドープす
る陰イオンと、負極にドープする陽イオンを含み、これ
らイオンを溶解した場合に適当な電導度をもち、分解電
圧がある程度高く、電池の充電時の最適電圧においても
分解しない、安定した溶液を使用する。例えば正極には
ClO4 - をドープしたポリアセチレン、負極にはLi
+ をドープした炭素繊維を使用した場合を例にとると、
充電電圧は約2.5V〜約3.5V、放電電圧は約3.
0V〜約1.5Vとなるので、少くとも3.5Vでは分
解しない電解液を選択しなければならない。このような
電解液としては、水溶液は使用できず、プロピレンカー
ボネート、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、
1,2−ジメトキシエタンなどの有機溶媒を使用した溶
液が適している。
【0018】なお本発明の構成によって二次電池のみな
らず、容量の大きなキャパシターとして利用することも
可能である。
【0019】
【実施例】次に本発明の実施例について述べる。 実施例1 試作電池の断面を図1に示す。図1において、1はポリ
アセチレン正極活物質、2は正極集電体(材質は白
金)、3は炭素繊維を織った布からなる負極活物質、4
は負極集電体(材質は白金)、5はセパレータとしての
多孔性ガラス板、6は電解液、7はスペーサーとしての
ガラス棒、8は正極端子、9は負極端子、10はガラス
容器である。
【0020】正極活物質であるポリアセチレンは、大き
さ10mm×20mm、厚み0.1mm、重量8.5m
gであった。負極の炭素繊維の布は、大きさ10mm×
20mm、重量30mgであった。電解液は1.0mo
l/l LiClO4 のプロピレンカーボネート溶液を
使用した。この電池は組立て直後は充電状態にあり、開
路電圧は3.3Vを示した。そのあと電池を定電流で放
電と充電を繰り返した。
【0021】図2は上記試作電池の充放電特性を示した
ものである。充放電は室温で、充電、放電とも1.0m
A/cellの定電流で行なった。図2において、曲線
A−Bは充電曲線であり、この時には正極のポリアセチ
レンにはClO4-イオンがドープされ、同時に負極の炭
素繊維にはLi+ イオンがドープされる。また図におい
て曲線B−Cは放電曲線であり、この時には正極のポリ
アセチレンではClO4 - イオンがアンドープされ、同
時に負極の炭素繊維ではLi+ イオンがアンドープされ
る。放電電圧は2.5V付近で平坦に近い電圧を示す
が、2.0V付近から急に低下しはじめる。
【0022】なお、この電池の充放電特性は図2と同じ
条件で充放電サイクルを繰り返した場合、ほとんど変化
しなかった。また、充電を1.0mA/cellで60
分間充電した場合も、充電電圧は3.5V以下であり、
1.0mA/cellでの放電時間も55〜58分の間
となった。試作電池は充電電気量が60mA・分までの
範囲ではポリアセチレンへのClO4 - のドープ量が6
%以下であるので、クーロン効率は90〜100%の極
めてすぐれた値を示した。また充電して一定時間開路状
態で放置した後放電した場合、放電容量は充電直後に放
電した場合の容量とほとんど差はなく、自己放電による
容量減少は極めて小さかった。
【0023】次に、従来の電池と比較するために、正・
負両極ともポリアセチレンからなる電池を試作し、実施
例1に示した本発明になる電池との特性を比較した。
【0024】電池構成は、正負両極とも大きさ10mm
×20mm、厚み0.1mm、重量8.5mgのポリア
セチレンとし、片面に集電体としてはたらく白金板を貼
り付けた。電解液は1.0mol/l LiClO4
プロピレンカーボネート溶液を使用し、構造は図1に示
したものとほぼ同じとした。この電池の開路電圧は充電
状態で2.6Vを示した。
【0025】図3は上記従来電池の充放電特性を示した
ものであり、充放電は室温で、充電、放電とも0.5m
Aの定電流で行なった。図3において、曲線D−Eは充
電曲線であり、この時には正極のポリアセチレンにはC
lO4 - イオンがドープされ、負極のポリアセチレンに
はLi+ イオンがドープされる。また、図3において曲
線E−Fは放電曲線であり、この時には正極のポリアセ
チレンではClO4 -イオンがアンドープされ、同時に
負極のポリアセチレンではLi+ イオンがアンドープさ
れる。放電電圧は平坦とはならず、放電終止電圧を1.
5Vとした場合のクーロン効率は約50%であった。
【0026】なお、クーロン効率は充放電電流が大きく
なった場合や、充電電気量が大きくなった場合には50
%より小さくなった。
【0027】以上のように、正、負両極ともポリアセチ
レンからなる従来の電池の特性は実施例1に示した本発
明になる電池の特性より劣っていることは明らかとなっ
た。 実施例2 電解液に1.0mol/l LiBF4 のプロピレンカ
ーボネート溶液を使用し、その他の構成は実施例1と同
じ電池を試作した。この電池の充放電特性は図2に示し
た実施例1の場合とほとんど同じであった。 実施例3 電解液に1.0mol/l LiClO4 のテトラヒド
ラフラン溶液を使用し、その他の構成は実施例1と同じ
電池を試作した。この電池の充放電特性は第2に示した
実施例1の場合とほとんど同じであった。
【0028】上記実施例においては導電性高重合体とし
てポリアセチレンの場合を示したが、本発明になる電池
の正極はポリアセチレンに限定されるものではなく、ポ
リパラフェニレンなど実施例以外の多くの導電性重合体
が使用可能であるということはいうまでもない。
【0029】以上の例に示した如く、本発明になる電池
は、正極に導電性高重合体、負極に炭素繊維を使用した
が、共にドープ状態では極めて安定であり、しかも充放
電に際しての形状変化がなく、充放電のクーロン効率が
すぐれているため、いくら充放電を繰り返しても特性に
変化が生じることがない。また、電圧は充電時の最大値
が約3.5Vであるため、使用する有機電解液の分解等
は全く生じないので、副反応はなく、自己放電も極めて
わずかに抑えられるものである。
【0030】
【発明の効果】本発明により、充放電特性がすぐれ、自
己放電が小さく、両極活物質に金属を使用しない、軽量
かつ高出力の、充電可能な電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電池の断面図である。
【図2】本発明の電池の充放電曲線の例を示した図面で
ある。
【図3】本発明の電池の充放電特性を示した図面であ
る。
【符号の説明】
1:正極 3:負極 5:セパレータ 6:電解液
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年10月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】充放電可能な電池
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電性高重合体を電池
の活物質に使用した充放電可能な電池に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】共役二重結合を備えた有機高重合体と、
ヨウ素や五フッ化炭素などの分子やClO4 - ,PF6
- ,Li+ ,(Bu2 N)+ などのイオンの結合体を作
ることによって高い導電性を示す物質が得られることが
明らかになって以来、この分野で多くの研究がすすめら
れてきた。一般に高重合体に他の分子やイオンを入れる
ことをドープと呼び、逆に一旦ドープされた高重合体か
ら分子やイオンがぬけ出ることをアンドープと呼んでい
る。
【0003】これらの中でポリアセチレンなどの高重合
体にイオンをドープして得られる導電性高重合体は、こ
のドープ、アンドープが可逆的におこなわれることが見
出され、これらの導電性高重合体を充放電可能な電池の
活物質に使用することが1979年にアメリカのペンシ
ルバニア大学マックダイアーミド教授らによって提案さ
れた。現在、多種類の導電性高重合体について、電池へ
の使用可能性についての検討がすすめられているところ
である。
【0004】ところが、ポリアセチレンのような導電性
高重合体を電池の活物質に使用する場合、いくつかの問
題が存在する。第1に、これらの電池は最初、正極にド
ープした導電性高重合体、負極にリチウム、電解液に有
機電解液を使用した系として提案されたが、両極がこの
組合せの電池の場合、電池の充電状態(正極はドープさ
れた状態)の開路電圧が4V以上となり、充電電圧はさ
らに高い値となる。そのため電池の反応以外に電解液の
分解反応などが生じ、これがクーロン効率(充電電気量
に対する放電電気量の比率)が100%とならなかった
り、また、自己放電の原因のひとつとなっていた。ま
た、充放電の際、リチウム電極には樹枝状結晶(デンド
ライト)が生じるなどの欠点があった。
【0005】これを克服するために、電池の負極には陽
イオンをドープした導電性高重合体を使用した、正・負
両極共が導電性高重合体からなる電池が提案されたが、
陽イオンをドープした導電性高重合体は極めて不安定で
あり、クーロン効率も非常に小さい値しか得られないと
いう欠点があった。
【0006】一方、グラファイトなどに陰イオンをドー
プした層間化合物を電池の正極活物質に使用することも
提案されているが、この電池の場合も負極にリチウムを
使用した場合、開路電圧が4V以上となって、電解液の
分解などの問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は炭素繊維に
イオンをドープして電池の負極とした場合、クーロン
効率などの特性がすばらしいことを発見したことにもと
づくものであり、充放電特性がすぐれ、自己放電が小さ
い、高出力の充電可能な電池を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(1) Liイオンをドープして得られた炭素繊維を負極活
物質とし、電解液に該陽イオンを含ませてなる充放電可
能な電池であって、該炭素繊維が高導電性炭素繊維であ
り、かつ該電池のクーロン効率が90%以上であること
を特徴とする、充放電可能な電池、 (2) Liイオンをド
ープして得られた炭素繊維を負極活物質とし、電解液に
該陽イオンを含ませてなる充放電可能な電池であって、
該炭素繊維が炭素繊維の束であり、かつ該電池のクーロ
ン効率が90%以上であることを特徴とする、充放電可
能な電池、に関する。
【0009】本発明の負極には炭素繊維を使用する。炭
素繊維はそれ自体が高電導性であるので電極材料として
は極めて有利である。また、空気中においても全く変化
せず、極めて取扱いが便利であり、繊維を束にして布状
に織ることができるので、どのような形状の電極をも作
ることができる、という利点がある。そのうえ表面積が
大きいので、大電流をとり出すことができるという利点
がある。しかも炭素繊維にLiイオンを電気化学的にド
ープあるいはアンドープすることが可能で、ドープした
炭素繊維は極めて安定であり、更にいくらドープとアン
ドープを繰り返しても(充放電)特性の変化はなく、し
かも充放電のクーロン効率はほぼ100パーセントを示
す。
【0010】このように炭素繊維は電池の負極の活物質
として極めてすぐれた特性を示すものである。
【0011】本発明においては、炭素繊維にドープ可能
な陽イオンとしてLi+ が用いられる。またLiイオ
ンのドープ量は炭素繊維の種類によって決ってくるが、
炭素繊維1g当り44mAh程度がドープされる。負極
として好ましい炭素繊維は黒鉛化度の高い高密度な繊維
である。
【0012】本発明電池に用いる事の出来る炭素繊維
は、ポリアクリロニトリル、セルロースあるいはピッツ
等を焼成して合成する事が出来る。炭素繊維はこれら原
料を一般に2000℃前後で焼成して合成出来るが、更
に高温で焼成しグラファイト化率を向上させた炭素繊維
が好適に本発明電池には用いられ、例えば、“トレカ”
M−40,T−300(東レ(株)製)等が好適に用い
られる。炭素繊維は長繊維でも短繊維でも良い。
【0013】本発明の電解液としては負極にドープす
るLiイオンを含み、また、場合によっては、正極にド
ープする陰イオンを含み、これらイオンを溶解した場合
に適当な電導度をもち、分解電圧がある程度高く、電池
の充電時の最適電圧においても分解しない、安定した溶
液を使用する。例えば正極にはClO4 - をドープした
ポリアセチレン、負極にはLi+ をドープした炭素繊維
を使用した場合を例にとると、充電電圧は約2.5V〜
約3.5V、放電電圧は約3.0V〜約1.5Vとなる
ので、少くとも3.5Vでは分解しない電解液を選択し
なければならない。このような電解液としては、水溶液
は使用できず、プロピレンカーボネート、テトラヒドロ
フラン、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタ
ンなどの有機溶媒を使用した溶液が適している。
【0014】なお本発明の構成によって二次電池のみな
らず、容量の大きなキャパシターとして利用することも
可能である。
【0015】
【実施例】次に本発明の実施例について述べる。
【0016】実施例1 試作電池の断面を図1に示す。図1において、1はポリ
アセチレン正極活物質、2は正極集電体(材質は白
金)、3は炭素繊維を織った布からなる負極活物質、4
は負極集電体(材質は白金)、5はセパレータとしての
多孔性ガラス板、6は電解液、7はスペーサーとしての
ガラス棒、8は正極端子、9は負極端子、10はガラス
容器である。
【0017】正極活物質であるポリアセチレンは、大き
さ10mm×20mm、厚み0.1mm、重量8.5m
gであった。負極の炭素繊維の布は、大きさ10mm×
20mm、重量30mgであった。電解液は1.0mo
l/l LiClO4 のプロピレンカーボネート溶液を
使用した。この電池は組立て直後は充電状態にあり、開
路電圧は3.3Vを示した。そのあと電池を定電流で放
電と充電を繰り返した。
【0018】図2は上記試作電池の充放電特性を示した
ものである。充放電は室温で、充電、放電とも1.0m
A/cellの定電流で行なった。図2において、曲線
A−Bは充電曲線であり、この時には正極のポリアセチ
レンにはClO4-イオンがドープされ、同時に負極の炭
素繊維にはLi+ イオンがドープされる。また図におい
て曲線B−Cは放電曲線であり、この時には正極のポリ
アセチレンではClO4 - イオンがアンドープされ、同
時に負極の炭素繊維ではLi+ イオンがアンドープされ
る。放電電圧は2.5V付近で平坦に近い電圧を示す
が、2.0V付近から急に低下しはじめる。
【0019】なお、この電池の充放電特性は図2と同じ
条件で充放電サイクルを繰り返した場合、ほとんど変化
しなかった。また、充電を1.0mA/cellで60
分間充電した場合も、充電電圧は3.5V以下であり、
1.0mA/cellでの放電時間も55〜58分の間
となった。試作電池は充電電気量が60mA・分までの
範囲ではポリアセチレンへのClO4 - のドープ量が6
%以下であるので、クーロン効率は90〜100%の極
めてすぐれた値を示した。また充電して一定時間開路状
態で放置した後放電した場合、放電容量は充電直後に放
電した場合の容量とほとんど差はなく、自己放電による
容量減少は極めて小さかった。
【0020】次に、従来の電池と比較するために、正・
負両極ともポリアセチレンからなる電池を試作し、実施
例1に示した本発明になる電池との特性を比較した。
【0021】電池構成は、正負両極とも大きさ10mm
×20mm、厚み0.1mm、重量8.5mgのポリア
セチレンとし、片面に集電体としてはたらく白金板を貼
り付けた。電解液は1.0mol/l LiClO4
プロピレンカーボネート溶液を使用し、構造は図1に示
したものとほぼ同じとした。この電池の開路電圧は充電
状態で2.6Vを示した。
【0022】図3は上記従来電池の充放電特性を示した
ものであり、充放電は室温で、充電、放電とも0.5m
Aの定電流で行なった。図3において、曲線D−Eは充
電曲線であり、この時には正極のポリアセチレンにはC
lO4 - イオンがドープされ、負極のポリアセチレンに
はLi+ イオンがドープされる。また、図3において曲
線E−Fは放電曲線であり、この時には正極のポリアセ
チレンではClO4 -イオンがアンドープされ、同時に
負極のポリアセチレンではLi+ イオンがアンドープさ
れる。放電電圧は平坦とはならず、放電終止電圧を1.
5Vとした場合のクーロン効率は約50%であった。
【0023】なお、クーロン効率は充放電電流が大きく
なった場合や、充電電気量が大きくなった場合には50
%より小さくなった。
【0024】以上のように、正、負両極ともポリアセチ
レンからなる従来の電池の特性は実施例1に示した本発
明になる電池の特性より劣っていることは明らかとなっ
た。 実施例2 電解液に1.0mol/l LiBF4 のプロピレンカ
ーボネート溶液を使用し、その他の構成は実施例1と同
じ電池を試作した。この電池の充放電特性は図2に示し
た実施例1の場合とほとんど同じであった。
【0025】実施例3 電解液に1.0mol/l LiClO4 のテトラヒド
ラフラン溶液を使用し、その他の構成は実施例1と同じ
電池を試作した。この電池の充放電特性は第2に示した
実施例1の場合とほとんど同じであった。
【0026】上記実施例においては導電性高重合体とし
てポリアセチレンの場合を示したが、本発明になる電池
の正極はポリアセチレンに限定されるものではなく、ポ
リパラフェニレンなど実施例以外の多くの導電性重合体
が使用可能であるということはいうまでもない。
【0027】以上の例に示した如く、本発明になる電池
は、正極に導電性高重合体、負極に炭素繊維を使用した
が、共にドープ状態では極めて安定であり、しかも充放
電に際しての形状変化がなく、充放電のクーロン効率が
すぐれているため、いくら充放電を繰り返しても特性に
変化が生じることがない。また、電圧は充電時の最大値
が約3.5Vであるため、使用する有機電解液の分解等
は全く生じないので、副反応はなく、自己放電も極めて
わずかに抑えられるものである。
【0028】
【発明の効果】本発明により、充放電特性がすぐれ、自
己放電が小さい、高出力の充電可能な電池を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電池の断面図である。
【図2】本発明の電池の充放電曲線の例を示した面図で
ある。
【図3】本発明の電池の充放電特性を示した面図であ
る。
【符号の説明】 1:正極 2:負極 3:セパレータ 4:電解液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01M 4/60 (72)発明者 柏原 伸 京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町1番地 日本電池株式会社内 (72)発明者 斎藤 哲 京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町1番地 日本電池株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陰イオンをドープして得られる導電性高重
    合体を正極活物質、陽イオンをドープして得られる炭素
    繊維を負極活物質とし、更に電解液に上記陰イオンおよ
    び陽イオンを含ませてなることを特徴とする、充放電可
    能な電池。
  2. 【請求項2】導電性高重合体が陰イオンをドープして得
    られるポリアセチレンである請求項1記載の充放電可能
    な電池。
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CN111477468A (zh) * 2020-04-24 2020-07-31 无锡中基电机制造有限公司 一种双励磁绕组节能直流电机

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