JPH0636802A - リチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池

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JPH0636802A
JPH0636802A JP4209475A JP20947592A JPH0636802A JP H0636802 A JPH0636802 A JP H0636802A JP 4209475 A JP4209475 A JP 4209475A JP 20947592 A JP20947592 A JP 20947592A JP H0636802 A JPH0636802 A JP H0636802A
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lithium
carbonate
carbon fiber
secondary battery
pitch
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JP4209475A
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Takashi Iijima
孝 飯島
Kimihito Suzuki
公仁 鈴木
Maki Sato
真樹 佐藤
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、充放電効率が高く、放電容量が大
きく、しかも、充放電の繰り返しに対してサイクル安定
性の高いリチウム二次電池を提供する。 【構成】 X線回折による炭素面間隔が0.338nm
以下であって、結晶子のc軸方向の大きさが20nm以
上であるピッチ系炭素繊維からなる負極と、非水溶媒に
リチウム塩を溶解した電解液と、正極材料とから構成さ
れ、前記電解液を構成する非水溶媒がエチレンカーボネ
ートと、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネー
ト、γ−ブチロラクトン、スルホラン、3−メチルスル
ホラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロ
フラン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキ
シエタン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、4−
メチルジオキソラン及びジエチルカーボネートの中から
選ばれた1種又は2種以上の溶媒とを含む混合溶媒から
なるリチウム二次電池である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リチウムのドープ、脱
ドープ反応を利用するリチウム二次電池に係り、特に負
極として炭素材料を用いたリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の電気機器の小型化、軽量化に伴
い、二次電池に対する高エネルギー密度化の要求がます
ます強くなっている。この要求を満たす高エネルギー密
度二次電池としては、リチウム二次電池が注目され、そ
の開発が急がれている。このリチウム二次電池の開発に
おける最大の問題は、負極に用いるリチウム金属の充放
電の繰り返しに伴うサイクル劣化である。これは、充電
時に負極上に析出するリチウム金属の析出形態等に起因
するもので、例えば、樹枝状結晶であるデンドライト
は、負極板からの剥離、あるいは、対極との短絡等を引
き起こすことになる。これらの問題を解決するために、
種々のリチウム合金やリチウムをドープ、脱ドープする
負極材料が提案され検討されている。しかしながら、リ
チウム合金は、深い充放電が困難なこと、電流密度の高
い充放電に適さないこと等の課題を残している。また、
このリチウムのドープ材料として炭素材料や導電性ポリ
マーが提案されているが、導電性ポリマーはドープ量が
少なく、リチウムに対して化学的、電気化学的に不安定
である等の課題を残している。そこで、現在、リチウム
二次電池の負極については、リチウム金属の代替材料と
して最も注目されているのが炭素材料である。
【0003】リチウム二次電池の負極に炭素材料を用い
ると、充電時に電解液中から炭素材料の層間にリチウム
が挿入し、いわゆる黒鉛層間化合物を形成する。また、
放電時には、層間のリチウムが電解液中へ放出される。
このため、リチウム金属を負極に用いた際に生じるデン
ドライト等の充放電サイクルに伴う負極の劣化は、炭素
材料を用いることで原理的には排除できる可能性があ
る。そして、このようなリチウム二次電池負極用の炭素
材料として、CVD技術を応用した薄膜状の炭素質電極
(特開昭63−24,555号公報等)、コークス粉末
(特開平1−204,361号公報、特開平1−22
1,859号公報)、樹脂等の高分子炭化物(Proc. Pri
m. Second. Amb. Temp. Lithium Batteries, p530-539)
等が検討されている。しかしながら、上述の炭素材料
は、炭素材料の単位重量当りの電気容量が小さいのが現
状である。この電気容量は炭素材料中へのリチウムの挿
入量に対応する。このリチウムの挿入量は、理論的には
炭素原子6個に対してリチウム原子1個(C6 Li、3
72mAh/g)が最大とされているが、上述の炭素材
料は、高々250mAh/g程度の容量しか得られない
ことが分かってきた(例えば、第31回電池討論会3B
11、第32回電池討論会2B12)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、充放電の繰り返しに対するサイクル安定性が高く、
また、単位重量当りの放電容量、即ち、リチウムのドー
プ量の大きいリチウム二次電池を製造することができる
炭素材料について種々検討した結果、粒、繊維、鱗片等
の炭素材料のマクロな形状が重要な因子であり、繊維形
状が最も適当であることを見出した。すなわち、充放電
の繰り返しに対するサイクル安定性については、炭素材
料のマクロな形状が重要な因子であって、繊維形状が最
も適当であり、そして、単位重量当りの放電容量につい
ては、炭素材料内でのリチウム原子の拡散速度、及び、
リチウムが挿入するのに有効な炭素材料の表面積が重要
な因子であり、拡散速度を高めるには黒鉛構造を発達さ
せることが重要であり、また、反応有効表面積を拡大す
るには材料表面が炭素面エッジで構成される炭素繊維が
適当であるとことが判明し、しかも、繊維表面が炭素面
エッジで構成される炭素繊維は、第1サイクルの充放電
効率が非常に高く、初期10サイクル以内において充放
電効率はほぼ100%に達することが判明した。そし
て、これらの知見を総合的に判断した結果、リチウム二
次電池の負極材料として黒鉛化度の非常に高いピッチ系
炭素繊維が基本的に適していることを見出した。
【0005】また、本発明者らは、このように黒鉛化度
の高いピッチ系炭素繊維を負極材料として使用する場合
において、電解液を構成する非水溶媒として最適な溶媒
に関して検討した結果、発達した黒鉛構造を持つ炭素繊
維の電極特性を活用するにはエチレンカーボネートが最
適であり、更に、このエチレンカーボネートに他の1種
以上の溶媒を混合することにより、炭素繊維の電極特性
を更に向上させることができることを見出した。
【0006】本発明は、このような知見に基づいて創案
されたものであり、リチウム二次電池の負極材料として
特定の黒鉛化度を有するピッチ系炭素繊維を使用するこ
と、及び、電解液を構成する非水溶媒としてエチレンカ
ーボネートと他の1種以上の特定の溶媒との混合溶媒を
使用することにより、リチウムのドープ量と初期充放電
効率を高くすることができることを見出し、本発明を完
成したものである。従って、本発明の目的は、リチウム
ドープ量が大きく、かつ、充放電効率の高い炭素材料を
使用し、適当な電解液を構成して放電容量が大きく、し
かも、サイクル寿命特性に優れたリチウム二次電池を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、X線回
折による炭素面間隔が0.338nm以下であって、結
晶子のc軸方向の大きさが20nm以上であるピッチ系
炭素繊維からなる負極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解
した電解液と、正極材料とから構成され、前記電解液を
構成する非水溶媒がエチレンカーボネートと、プロピレ
ンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラ
クトン、スルホラン、3−メチルスルホラン、テトラヒ
ドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、アセトニ
トリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジメチ
ルスルホキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラ
ン及びジエチルカーボネートの中から選ばれた1種又は
2種以上の溶媒とを含む混合溶媒からなるリチウム二次
電池である。
【0008】本発明で用いる炭素繊維はピッチ系の炭素
繊維であり、その紡糸用原料ピッチについては、焼成に
よって黒鉛結晶性が発達し易いもの、いわゆる易黒鉛化
性の高いことが本質的に重要であり、特にその原料を制
限するものではない。例示するならば、石油ピッチ、ア
スファルトピッチ、コールタールピッチ、原油分解ピッ
チ、石油スラッジピッチ、高分子重合体の熱分解により
得られるピッチ等を挙げることができ、また、これらの
ピッチに水添処理等を施したものでもよい。ここで、ピ
ッチの易黒鉛化性を表す指標としては、例えば光学的異
方性相、いわゆるメソフェースを用いることができ、本
発明で使用する原料ピッチとしては、このメソフェース
の体積含有率が70%以上、好ましくは80%以上、よ
り好ましくは90%以上であるものが望ましい。
【0009】本発明で使用する黒鉛化度の高いピッチ系
炭素繊維は、このような易黒鉛化性の原料ピッチを用い
て製造されるもので、通常2,600℃以上、好ましく
は2,800℃以上、より好ましくは3,000℃以上
の熱処理温度、即ち黒鉛化温度で黒鉛化して得られたピ
ッチ系炭素繊維が好適に用いられる。このピッチ系炭素
繊維の黒鉛化度については、X線回折による炭素面間隔
dが0.338nm以下であって、結晶子のc軸方向の
大きさLcが20nm以上であることが必要であり、好
ましくは炭素面間隔0.337nm以下であって、結晶
子のc軸方向の大きさが30nm以上のものである。こ
のピッチ系炭素繊維の黒鉛化度について、そのX線回折
による炭素面間隔が0.338nmを超えると放電容量
の低下という問題が生じ、また、その結晶子のc軸方向
の大きさが20nmより小さいと放電容量の低下やサイ
クル特性の劣化という問題が生じる。なお、このピッチ
系炭素繊維の黒鉛化度を示す指標は、CuKαをX線源
とし、標準物質として高純度シリコンを使用し、炭素材
料に対し002回折パターンを測定し、そのピーク位置
から格子面間隔dを求め、ピークの半価幅から結晶子の
C軸方向の大きさLcを算出する方法で求められたもの
であり、この算出方法は、例えば、「炭素繊維」(近代
編集社、昭和61年3月発行)第733〜742頁に具
体的に記載されている。
【0010】また、本発明で用いるピッチ系炭素繊維に
ついては、好ましくはその繊維径(直径)が20μm以
下、より好ましくは15μm以下であるのがよい。炭素
材料の単位重量当りの放電容量を高めるためには、リチ
ウム原子が繊維内部にまで拡散することが重要である
が、繊維径が大き過ぎるとリチウムが繊維内部まで一様
に拡散することが困難になり、その結果放電容量が小さ
くなる。従って、繊維径が20μmを超えるピッチ系炭
素繊維では、リチウムが充分に繊維内部まで拡散せず、
放電容量が小さくなってしまう場合がある。一方、繊維
径が小さくなるに従い、一般に最終的に到達できる黒鉛
化度が低下する。従って、本発明に適する炭素繊維は、
上記黒鉛化度に関するd、Lcの規定、すなわちX線回
折による炭素面間隔dが0.338nm以下であって結
晶子のc軸方向の大きさLcが20nm以上であるとい
う条件を満たす範囲で、できるだけ小さい繊維径の炭素
繊維を用いるのがよい。
【0011】上述の黒鉛化度の発達した炭素繊維の電極
特性を発揮せしめるためには、電解液の非水溶媒とし
て、エチレンカーボネートと特定の他の溶媒の中から選
ばれた1種又は2種以上の溶媒とを混合して得られた混
合溶媒を使用する必要がある。この混合溶媒を黒鉛化度
の高いピッチ系炭素繊維と組み合わせることが、本発明
において、本質的に重要な点である。ところで、溶媒と
リチウムイオンとの結合の強さに直接関係する溶媒の物
理指標は、イオンに結合した際の溶媒の電子供与能を表
す、いわゆるドナー数である。従って、この溶媒とリチ
ウムとの結合を弱くするには、ドナー数の小さい溶媒を
用いればよく、具他的にはドナー数が30以下の溶媒が
好ましい。また、この溶媒とリチウムイオンとの結合の
強さは、上記ドナー数の他に、溶媒分子の立体的分子構
造、溶媒がリチウムイオンに結合した際の立体的配位構
造等によっても変化する。
【0012】そこで、上記のエチレンカーボネートと共
に使用される特定の他の溶媒の具体例としては、プロピ
レンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロ
ラクトン、スルホラン、3−メチルスルホラン、テトラ
ヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、アセト
ニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジメ
チルスルホキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソ
ラン、及び、ジエチルカーボネートを挙げることができ
る。これらの溶媒のうちで好ましいものは、プロピレン
カーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラク
トン、スルホラン、3−メチルスルホラン、アセトニト
リル、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン及びジエ
チルカーボネートであり、より好ましいものは、プロピ
レンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリ
ル、4−メチルジオキソラン及びジエチルカーボネート
である。エチレンカーボネートに、プロピレンカーボネ
ート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、3
−メチルスルホラン、アセトニトリル、4−メチルジオ
キソラン、ジエチルカーボネート等を混合した混合溶媒
系電解液は、リチウム金属に対する化学的、電気化学的
な安定性が高く、かつ、電気伝導度が高いため、リチウ
ムのドープ反応の際に黒鉛構造の破壊を特に小さくする
ことができる。
【0013】エチレンカーボネートと特定の他の溶媒と
の体積混合比は、以下の通りであることが好ましい。 (1)特定の他の溶媒がアセトニトリル、プロピレンカ
ーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクト
ン、スルホラン、3−メチルスルホラン、ジオキソラ
ン、4−メチルジオキソラン又はジエチルカーボネート
の何れかである場合には、エチレンカーボネートとこれ
らの溶媒との体積混合比は4:1から1:4の範囲が好
ましい。 (2)特定の他の溶媒がテトラヒドロフラン、2−メチ
ルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシ
エタン又はジメチルスルホキシドの何れかである場合に
は、エチレンカーボネートとこれらの溶媒との体積混合
比は9:1から1:1の範囲が好ましい。上記の2種の
分類は、溶媒とリチウムとの間の結合の強さに基づくも
のであり、(1)が相対的に弱いもの、(2)が相対的
に強いものである。結合が強い場合には、エチレンカー
ボネートに対して混合する割合を小さくし、結合が弱い
場合には混合の割合を大きくするのがよい。
【0014】本発明で使用する正極材料や電解液中に添
加される電解質については、リチウム二次電池に通常に
用いることのできるものであれば、適宜に採用し、組み
合わせて用いることができ、特に制限されるものではな
い。正極材料としては、例えば、リチウムを含んだ金属
酸化物(LiX MO2 ;M=Co、Ni、Mnの中の一
種)、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物(V
2 5 、V6 13)、一般式MX Mo6 8-Y (M=金
属)で表されるシェブレル相化合物、あるいは、活性炭
等を挙げることができる。また、電解質としては、Li
ClO4 、LiBF4 、LiAsF6 、LiPF6 、L
iB(C6 5 4 、LiCF3 SO3 、LiBr、L
iCl等が挙げられる。
【0015】
【作用】本発明のリチウム二次電池は、負極材料として
黒鉛化度の高いピッチ系炭素繊維を使用しており、リチ
ウムの挿入脱離に伴って炭素面間隔が膨張収縮するが、
繊維形状であるのでこの負極材料のマクロな構造破壊を
回避することができ、これによって充放電の繰り返しに
対するサイクル安定性が向上するものと考えられる。ま
た、放電容量、即ち、リチウムのドープ量を向上させる
ためには、炭素材料内でのリチウム原子の拡散速度と、
リチウムが挿入するのに有効な炭素材料の表面積が重要
であるが、黒鉛化度の高いピッチ系炭素繊維はこの面で
も適当な炭素材料である。ところで、黒鉛化度の発達し
た炭素材料は、一般に炭素面の層間が容易に広がり、そ
のために電気化学的なリチウムのドープ反応の際に、ド
ープされるリチウムに伴って、容易にリチウムに結合し
た溶媒も挿入されることになる。その結果、炭素面間隔
は元々の面間隔の3倍以上にも拡大し、この面間隔の拡
大が炭素材料のマクロな構造の破壊をもたらし、結果と
して電極反応が非可逆的になる。これを回避するには、
炭素材料の層間を広がり難くすることと、リチウムイオ
ンと溶媒との結合力を弱めることが必要であるが、前者
の方法に対応するのが炭素材料について繊維という形状
を選択したことであり、また、後者の方法に対応するの
が、エチレンカーボネートをベースとし、これに特定の
他の溶媒を混合して得られた混合溶媒を選択したことで
ある。
【0016】
【実施例】
実施例1 メソフェース含有量が92%(体積分率)のコールター
ルピッチを原料とした炭素繊維を、2800℃、300
0℃、3200℃で1時間以上保持して黒鉛化処理し
た。得られた一連の炭素繊維の黒鉛化度の指標は、下記
の通りである。黒鉛化後の炭素繊維の繊維径は、10μ
m程度であった。 黒鉛化温度(℃) d(nm) Lc(nm) 2,800 0.3377 35 3,000 0.3372 40 3,200 0.3369 44
【0017】この炭素繊維を長さ約30mmに切断し、
10mgをニッケル線(直径0.1mm)を用いて束ね
て電極とした。集電はこのニッケル線を利用した。上記
電極の単極での電極特性を評価するために、対極、参照
極にリチウム金属を用いたいわゆる三極セルを作成し
た。電解液には、エチレンカーボネートとγ−ブチロラ
クトンの混合溶媒(体積比で1:1混合)にLiClO
4 を1モル/1の割合で溶解したものを用いた。また、
充放電試験に際しては、電位規制のもと充電、放電共に
定電流(0.3mA/10mg−炭素繊維)で行った。
電位範囲は、0Vから1.0V(リチウム金属基準)と
した。結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】この表1に示す結果から明らかなように、
黒鉛化処理温度の増加と共に放電容量が増加し、3,2
00℃焼成の場合には、初期放電容量308mAh/g
であった。また、初期充放電効率は、何れの炭素繊維も
90%以上で、放電容量のサイクル低下も少なく、本発
明の炭素繊維粉末は非常に良好な結果を示した。また、
図1に2,800℃、3,000℃、3,200℃処理
の炭素繊維における放電容量のサイクル変化を示す。ま
た、図2に3,200℃処理の炭素繊維の10サイクル
めの放電曲線を示す(図中の実線)。
【0020】実施例2 メソフェースを95%含有(体積分率)したコールター
ルピッチを原料としたピッチ繊維を、3,200℃で黒
鉛化処理した炭素繊維を試験極とし、下記の電解液を用
い実施例1と同様の三極セルを作成し、実施例1と同様
の方法で試験した。炭素繊維のX線回折による黒鉛化度
指標は、dが0.3367nmであって、Lcが46n
mであった。
【0021】電解液としては、エチレンカーボネート
(EC)に下記9種類の溶媒(α)をそれぞれEC:α
=1:1の体積混合比で混合して得られた二成分系混合
溶媒中に、LiClO4 を1モル/リットルの割合で溶
解したものを用いた。 プロピレンカーボネート(PC) ブチレンカーボ
ネート(BC) ジエチルカーボネート(DEC) アセトニトリル
(AN) スルホラン(S) 3−メチルスル
ホラン(3MeS) γ−ブチロラクトン(BL) ジオキソラン
(DOL) 4−メチルジオキソラン(4MeDOL) 実施例1と同様にして電極特性を測定した。表2に一連
の電解液中での電極特性を示す。
【0022】
【表2】
【0023】表2の結果から明らかなように、何れの電
解液においても、初期効率は90%以上であり、特に、
BL、DEC、ANとの混合溶媒系の場合には、95%
以上の初期効率を示した。容量は、BCを除けば、何れ
の電解液も290mAh/g以上の容量を示した。BC
との混合溶媒系電解液の場合には、その電気伝導度が小
さいため、過電圧が大きく容量は、253mAh/gで
あった。BCとの混合溶媒系電解液の場合に、電流値を
0.1mA/炭素繊維10mgにすることで、容量は2
82mAh/gになった。
【0024】実施例3 電解液を下記のものとした以外は、実施例2と同様の試
験を行った。電解液としては、エチレンカーボネート
(EC)に以下の5種類の溶媒(β)をそれぞれEC:
β=4:1の体積混合比で混合して得られた2成分系混
合溶媒中に、LiClO4 を1モル/リットルの割合で
溶解したものを用いた。 ジメトキシエタン(DME) ジエトキシエ
タン(DEE) ジメチルスルホキシド(DMSO) テトラヒドロ
フラン(THF) 2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF) 実施例1と同様にして電極特性を測定した。表3に一連
の電解液中での電極特性を示す。表3の結果から明らか
なように、何れの電解液においても、初期効率は90%
以上であった。容量は、何れの電解液も280mAh/
g以上の容量を示した。
【0025】
【表3】
【0026】実施例4 電解液を下記のものとした以外は、実施例2と同様の試
験を行った。電解液としては、エチレンカーボネート
(EC)に以下の5種類の溶媒(α)をそれぞれEC:
α=7:3、5:5、3:7の体積混合比で混合して得
られた二成分系混合溶媒中に、LiClO4 を1モル/
リットルの割合で溶解したものを使用した。 プロピレンカーボネート(PC) γ−ブチロラク
トン(BL) ジエチルカーボネート(DEC) 4−メチルジオキソラン(4MeDOL) アセト
ニトリル(AN) 上記、、、、の混合溶媒系電解液中での電極
特性をそれぞれ表4、表5、表6、表7及び表8に示
す。これらの表4〜8の結果から明らかなように、黒鉛
結晶性の高い炭素繊維は、何れの混合溶媒系電解液にお
いても、非常に容量が大きく、また非常に充放電効率が
高く、かつ、サイクル安定性が高い。
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】
【表6】
【0030】
【表7】
【0031】
【表8】
【0032】実施例5 電解液を下記のものとした以外は、実施例2と同様の試
験を行った。電解液としては、エチレンカーボネート
(EC)に下記の3種類の溶媒(β)をそれぞれEC:
β=7:3、8:2の体積混合比で混合して得られた二
成分系混合溶媒中に、LiClO4 を1モル/リットル
の割合で溶解したものを使用した。 ジメトキシエタン(DME) ジメチルスルホ
キシド(DMSO) 2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF) 上記、、の混合溶媒系電解液中での電極特性をそ
れぞれ表9、表10、表11に示す。これらの表9〜1
1の結果から明らかなように、本発明の炭素繊維を使用
したリチウム二次電池は、何れの電解液を使用した場合
においても、容量が大きく、充放電効率が高く、かつ、
サイクル安定性が高い。
【0033】
【表9】
【0034】
【表10】
【0035】
【表11】
【0036】実施例6 実施例1において調製した炭素繊維の中で3,200℃
処理のものを使用し、実施例1と同様の方法で束ねて負
極とし、正極にはLiCoO2 を用いた。正極は、Li
CoO2 粉末にポリテトラフロロエチレンを10重量
%、ケッチェンブラックを5重量%加えてイソプロピル
アルコールを用いて混練した後、ニッケルメッシュ(2
50メッシュ)の上に圧着して電極とした。以上の正
極、負極を用い、簡易型のセルを作成し、充放電試験を
行った。正極、負極活物質は、電気化学当量比で正極>
>負極とし、電池性能が負極規制になるようにセルを構
成した。充放電試験は、充電、放電共に定電流(炭素繊
維1g当たり30mA)で行い、セル電圧が3Vから
4.1Vの間で充放電を繰り返した。
【0037】電解液としては、LiClO4 を1モル/
リットルの濃度で、体積比で1:1で混合して得られた
下記の2成分混合溶媒に溶解したものを用いた。 エチレンカーボネート(EC)とγ−ブチロラクトン
(BL) エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネ
ート(PC) エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネー
ト(DEC) 表12に電池特性を、図3に充電容量のサイクル変化を
示す。何れの電解液を用いたセルにおいても、90%以
上の非常に優れた処理効率、280mAh/g以上の非
常に大きい放電容量を示した。また、100サイクルを
越えても容量の低下は殆どなく、充放電効率も5サイク
ル以降、100%で推移している。本発明の炭素繊維と
電解液を組み合わせたリチウム二次電池は、非常に優れ
た特性を示すことが分かった。
【0038】
【表12】
【0039】比較例1 PAN系炭素繊維(東レ社製、T300B)を、MEK
を用いて表面処理剤を洗浄した後に、実施例1と同様の
方法で束ね電極を作成し、下記の電解液を用いて、実施
例1と同様の試験条件で電極特性を評価した。電解液に
は、LiClO4 を1モル/リットルの濃度で、体積比
で1:1で混合して得られた下記の2成分混合溶媒に溶
解したものを用いた; エチレンカーボネート(EC)とγ−ブチロラクトン
(BL) エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネ
ート(PC) エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネー
ト(DEC) 表13に電極特性を示す。初期容量は約280mAh/
gと大きいが、充放電の繰り返しに対する安定性が低
く、50サイクル以下で容量は半減してしまう。また、
初期充放電効率は高々45%と低い。
【0040】
【表13】
【0041】比較例2 実施例1と同一の炭素繊維を、2600℃で黒鉛化処理
した炭素繊維を用いて、実施例1と同様の試験方法、試
験条件で電極評価した。得られた炭素繊維の黒鉛化度の
指標は、dが0.3401nmであって、Lcが24n
mであった。また、表14に電極特性を示す。黒鉛構造
の発達の程度が低いため、容量は220mAh/gと小
さい。初期効率は90%と高く、100サイクルを越え
ても容量の減少は少なくサイクル安定性は高い。図2
に、混合溶媒:EC+DEC系電解液を用いた際の10
サイクルめの放電曲線を示す(図中の破線)。
【0042】
【表14】
【0043】比較例3 実施例1に用いた3,200℃で黒鉛化処理した炭素繊
維を、実施例1と同様の方法、試験条件で下記の電解液
を用いて電極評価した。電解液としては、LiClO4
を1モル/リットルの濃度で、下記の溶媒に溶解したも
のを用いた。 エチレンカーボネート(EC) プロピレンカー
ボネート(PC) ブチレンカーボネート(BC) γ−ブチロラク
トン(BL) スルホラン(S) 2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF) ジメトキシエタン(DME) ジメチルスルホ
キシド(DMSO) 4−メチルジオキソラン(4MeDOL)
【0044】溶媒としてPC、BC、2MeTHF、D
ME、DMSOを用いた電解液の場合には、第1回めの
ドープ反応において0.8V近傍で電位が安定し、リチ
ウム金属の電位には到達しない。この反応においてリチ
ウムは炭素繊維内に殆どドープしておらず、放電過程に
おいて、殆ど電気量を取り出すことができなかった。こ
の際、電極に用いた炭素繊維のマクロな破壊を伴い、溶
媒和したリチウムイオンがドープしていると推察され
る。また、溶媒としてEC、BL、S、4MeDOLを
用いた電解液の場合には、表15に示すように、繰り返
し充放電可能な反応をするが、充放電の繰り返しにとも
なって過電圧が増大し、サイクル寿命(初期容量に対し
て容量が半減するサイクル数)は、何れも50サイクル
以下であった。
【0045】
【表15】
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、初期充放電効率が高
く、サイクル寿命が永く、しかも、重量当たりの放電容
量が大きいリチウム二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1における炭素繊維の黒鉛化
温度と、得られた炭素繊維の放電容量との関係を示すグ
ラフ図である。
【図2】 図2は、実施例1における3,200℃焼成
の場合の放電曲線(実線)と、比較例2における2,6
00℃焼成の場合の放電曲線(破線)とを対照させて示
すグラフ図である。
【図3】 図3は、実施例6における簡易型セルの放電
容量のサイクル変化を示すグラフ図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 真樹 神奈川県川崎市中原区井田1618番地、新日 本製鐵株式会社先端技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線回折による炭素面間隔が0.338
    nm以下であって、結晶子のc軸方向の大きさが20n
    m以上であるピッチ系炭素繊維からなる負極と、非水溶
    媒にリチウム塩を溶解した電解液と、正極材料とから構
    成され、前記電解液を構成する非水溶媒がエチレンカー
    ボネートと、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボ
    ネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、3−メチル
    スルホラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒ
    ドロフラン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエ
    トキシエタン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、
    4−メチルジオキソラン及びジエチルカーボネートの中
    から選ばれた1種又は2種以上の溶媒とを含む混合溶媒
    からなることを特徴とするリチウム二次電池。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010010699A (ja) * 2002-03-19 2010-01-14 Cap-Xx Ltd エネルギ貯蔵装置用電解質
US20170098861A1 (en) * 2012-03-26 2017-04-06 The University Of Tokyo Lithium secondary battery electrolytic solution and secondary battery including said electrolytic solution

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JP2010010699A (ja) * 2002-03-19 2010-01-14 Cap-Xx Ltd エネルギ貯蔵装置用電解質
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