JP2809882B2 - 金属の表面特性を改変する方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、金属の表面特性を改変するプロセスに関す
る。

本発明はまた、本発明に従って特性が改変された金属
プレートか製造される製品に関する。本発明の応用の１
つにおいて、これら製品は調理容器である。

アルミニウムは多くの利点を提供する金属である。そ
れは軽量で、容易に加工およびダイスタンプ（die−sta
mp）され得、そして熱を良く伝導する。さらに、それは
比較的経済的である。これらの性質のため、それは普遍
的に工業で、特に調理容器を生産するために使用され
る。しかし、それは欠点を有する。まず第１に、それは
比較的軟らかく、その表面は容易に引っかき傷が付く。
家庭用品用途では、アルミニウムは、しばしば、ポリテ
トラフルオロエチレンのような焦げつき防止加工（nons
tick）層またはエナメル層でコーティングされる。しか
し、これらコーティングの寿命は、アルミニウムが柔ら
か過ぎる基質であるので限られている。さらに、アルミ
ニウムから作られる製品そして特に調理容器は、発生す
る熱の影響で、例えば、電気調理プレートまたはガスバ
ーナーにより、容易にゆがむ傾向にある。

この困難さを克服するために、この金属の厚さを増加
させるか、例えば熱スタンピングによりアルミニウム壁
にステンレス鋼のシートを適用するかのいずれかが可能
である。しかし、この場合、製造コストが幾分増加し、
そして熱伝導率が減少し、その結果、調理時間を長くす
る。

最後に、アルミニウム器具は、誘導により加熱され得
ない。何故なら、この加熱方法は、鉄ステンレス鋼など
の磁性金属から作られる容器の使用を必要とするからで
ある。

金属の表面の特性を経済的に改変することが可能なプ
ロセスがある。そのようなプロセスの１つは、金属の表
面に別の金属のグリッド（grid）を適用することにあ
り、このグリッドは、ダイスタンプ法により固定され
る。このグリッドは、すべての種類のワイヤ製メッシ
ュ、方形メッシュ、矩形メッシュ、６角形メッシュまた
はその他を含み得る。それはまた、穿孔された金属の平
坦シートの形態を取り得る。

穿孔平面シートの場合には、表面材料において真に固
定されないという欠点を生じる。より短いまたはより長
い期間において、このことは、結局、シートの脱結合を
生じ得る。

本発明の目的は、表面上のシートの信頼性ある固定を
行うことを可能にするプロセスを提供することにより、
起こり得る脱結合を克服することにある。

この目的のために、プロセスが、別の金属の穿孔シー
トの金属表面に、ダイスタンプ法によりこの表面上に固
定されるべき穿孔シートを適用することにより、金属表
面の特性を改変するために提供される。

本発明によれば、穿孔シートは、 −各穿孔がリップおよびリップ末端を有するように成形
され、 −このように成形された該シートを、該穿孔のリップが
該表面の方に向く突起部を形成するように該表面に適用
し； −該成形されたシートを該表面上にダイスタンプ法によ
りクリンプし、表面材料の穿孔中への流れとともにリッ
プおよびリップ末端を真直ぐにし、該表面上のシートの
信頼性のあるアンカーを形成する。

従って、複合体表面は、一方はダイスタンプ法によ
り、そして一方は信頼性のあるアンカー点により得られ
る互いに結合した異なる金属の２つの層からなる。

本発明はまた、このプロセスにより生成される製品、
特に調理容器に関する。

本発明の他の特徴は、実施例（限定は意図されない）
の様式で与えられる図面を参照する以下の記載から明ら
かであり得る。図面において： −図１は、本発明の好適な実施態様における、ダイスタ
ンプする前の金属プレートおよび穿孔し成形されたシー
トの断面図である； −図２は、ダイスタンプ後の図１全体の断面図である； −図３は、本発明の好適な実施態様による調理容器の断
面図である； −図４は、本発明の他の実施態様による調理容器の断面
図である。

本発明によるプロセスの第１段階は、穿孔シート３す
なわち金属４を、各穿孔６がリップ５およびリップ末端
７を有するように成形するこにある。本発明の好適な実
施態様では、各リップ５がシート３の平面Ｄと角度Ａを
形成し、そしてシート３の平面Ｄに垂直なリップ末端７
を有する。次の段階は、このように成形されたシート３
を、リップ５が表面１の方に向く突起部を形成するよう
に、金属２の表面１に適用することにある。最後の段階
は、ダイスタンピングを行い、従って、表面１上にシー
ト３のクリンピングを行い、表面１の材料２の穿孔６へ
の流れに伴うリップ５およびリップ末端７を真直ぐにす
ることで、表面１上のシート３の信頼性のあるアンカー
８を形成することにある。本発明の好適な実施態様にお
いては、リップ末端７は、真直ぐにされるとき、シート
３の平面Ｄの垂直方向と斜角Ａを形成し、それにより、
流動する表面１の材料２とともに組み合わさって、信頼
性のあるシャンクのアンカー８を形成する。

表面１の相対的に軟らかい好適な金属２はアルミニウ
ムである。

しかし、金属２はまた、銅、錫、鉛またはこれら金属
の１つまたはそれ以上の合金、または任意のその他の金
属または合金である。

シート３は、従って、磁性ステンレス鋼で作られ得
る。

容器９の底部中に敷かれるシート３（図３）は、容器
に以下の技術的利点を与える： ａ）容器の底部を硬くし、そのことにより容器が摩滅に
対してより良く耐えることを可能にし、 ｂ）温度変動により生成されるゆがみに対する底部の抵
抗性の改善；結果として、底部は平坦なままでそして調
理板との熱伝達が最適に維持され、 ｃ）容器は、磁性鋼の存在により誘導によって加熱され
得、 ｄ）アルミニウムは、良好な熱伝導体であるので、シー
トのステンレス鋼により貯蔵される熱は、アルミニウム
底部11を通って良好にかつ均一に流れ、 ｅ）ステンレス鋼シートは非連続であるので、容器の底
部を通じる熱の流れを低い値に調整し、そして結果とし
て食料品の急激なおよび過剰な加熱を避けることがで
き、 ｆ）グリッドの存在は製造コストに関してほんの僅かし
か影響せず、いかなる方法でもアルミニウム容器の加工
を妨害しない。

結果的に、上記の調理容器は、アルミニウムの使用に
起因するすべての利点を示し、かつ、ステンレス鋼シー
トによりもたらされる利点を有する。

誘導加熱の可能性が必要とされない場合には、シート
は非磁性の、オーステナイト（18/8型）ステンレス鋼ま
たはアルミニウムより硬い任意の他の金属から作られ得
る。

図４は、アルミニウムから作られる別の調理容器10を
示し、その底部12はその内部面上に、例えばステンレス
鋼またはその他の比較的硬い鋼から作られるシート３を
有する。

この実施例では、例えば、ポリテトラフルオロエチレ
ンでなる焦げつき防止加工コーティング13、底部12およ
びシート３の内部表面を覆う。

勿論、本発明は、上記の実施態様の実施例に限定され
ず、そして、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの
改変がなされ得る。

従って、本発明は、調理器具の製造以外の分野に適用
可能である。事実、本発明は、任意の種類の金属表面の
特性を改変することが望まれる任意の技術分野に、金属
表面上に別の金属からなるシートを敷くことによって適
用され得る。

Claims (16)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】平坦な金属表面（１）に、別の金属（４）
   でなる穿孔シート（３）を適用することにより該金属表
   面を改変する方法であって、該穿孔シート（３）は、該
   表面（１）上にダイスタンプ法により固定され、該方法
   は以下の工程を包含する： −各穿孔（６）がリップ（５）およびリップ末端（７）
   を有するように該穿孔シートを成形する工程、 −該成形されたシートを、該表面（１）に適用する工程
   であって、該穿孔（６）のリップ（５）が該表面に向く
   突起部を形成する、工程；および −該成形されたシートを該表面上にダイスタンプ法によ
   りクリンプする工程であって、表面の材料の穿孔への流
   れに伴うリップ（５）およびリップ末端（７）を真直ぐ
   にすることで、該表面（１）上のシート（３）の信頼性
   のあるアンカーを形成する工程。
2. 【請求項２】前記成形工程の間に、前記リップが、前記
   シートの平面（Ｄ）と角度（Ａ）を形成し、そして前記
   シート（３）の平面（Ｄ）に垂直なリップ末端（７）を
   有するように成形される、請求項１に記載の方法。
3. 【請求項３】前記ダイスタンプ法によりクリンプする工
   程の間に、リップ末端が、真直ぐにされるとき、前記シ
   ートの平面（Ｄ）の垂直方向と斜角（Ａ）を形成し、そ
   してそれによって前記表面（１）の材料（２）と組み合
   わさって、信頼性のあるシャンクのアンカー（８）を形
   成する、請求項２に記載の方法。
4. 【請求項４】前記シート（３）が前記表面（１）の金属
   より硬い金属で作られる、請求項１から３のいずれかに
   記載の方法。
5. 【請求項５】前記表面の相対的に軟らかい金属（２）
   が、アルミニウム、銅、錫、鉛、およびこれら金属の１
   つまたはそれ以上の合金からなる群から選択される、請
   求項１から４のいずれかに記載の方法。
6. 【請求項６】前記シート（３）が第１鉄金属または磁性
   を有する金属から作られる、請求項１から５のいずれか
   に記載の方法。
7. 【請求項７】前記シートがステンレス鋼から作られる、
   請求項６に記載の方法。
8. 【請求項８】前記ダイスタンプ法がスタンプ法により行
   われる、請求項１から７のいずれかに記載の方法。
9. 【請求項９】前記ダイスタンプ法がローリング法により
   行われる、請求項１から７のいずれかに記載の方法。
10. 【請求項１０】相対的に軟らかい金属（２）のプレート
    （１）から生産される製品であって、その面の１つに、
    該プレート（１）の金属より硬い金属の穿孔シート
    （３）を有し、該シートの各穿孔がリップ（５）を有
    し、該穿孔シートがダイスタンプ法によりクリンプする
    ことにより該プレート上に固定され、該プレート材料の
    穿孔への流れにより該各穿孔のリップが、該穿孔シート
    の平面（Ｄ）の垂直方向に対して斜角（Ａ）を有する信
    頼性のあるシャンクのアンカーを形成する、製品。
11. 【請求項１１】前記製品が調理容器（９、10）である、
    請求項10に記載の製品。
12. 【請求項１２】前記穿孔シートが容器（９）の底部（1
    1）の外部表面上に適用され固定される、請求項11に記
    載の製品。
13. 【請求項１３】アルミニウム平板を加工することにより
    製造され、誘導により加熱され得る製品であって、前記
    シートがフェライト系ステンレス鋼から作られる、請求
    項12に記載の製品。
14. 【請求項１４】前記穿孔シートが前記容器（10）の底部
    （12）の内部表面上に適用され固定される、請求項11に
    記載の製品。
15. 【請求項１５】前記シートおよび表面（１）が焦げつき
    防止加工コーティング（13）により覆われる、請求項14
    に記載の製品。
16. 【請求項１６】前記ダイスタンプ法によるクリンプ工程
    において、前記リップ（５）が真直ぐにされて、前記表
    面（１）の前記材料（２）と組み合わさって、信頼性の
    あるシャンクのアンカー（８）を形成する、請求項１に
    記載の方法。