JP4201096B2 - 溶融アルミめっき鋼板の曲げ加工方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、溶融アルミめっき鋼板のZ曲げ加工において、1工程の加工によっても、めっき剥離の生じないZ曲げ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融アルミめっき鋼板は、耐熱性、熱反射性、電波反射性に優れるため、電子レンジの内箱や石油ストーブの熱反射板等に使用されている。このような用途に使用される場合、内箱の組立や他部材との接合のため図1に示すように鋼板端部をZ字型に曲げ加工(以下、「Z曲げ加工」と記す。)されるが、Z曲げ加工の際、曲げ部付近にめっき剥離が発生する。
【0003】
一方、V字型の曲げ加工(以下、「V曲げ加工」と記す。)を溶融アルミめっき鋼板に施す場合、このようなめっき剥離は発生しない。つまりZ曲げ加工の際のめっき剥離は、曲げ加工時にアルミめっき層と鋼素地との間に形成されるアルミー鉄合金層にクラックが発生し、その後、摺動加工されることにより発生するということができる。
したがって普通鋼鋼板などの場合、Z曲げは図2に示すように1工程で製品に加工可能であるが、アルミめっき鋼板の場合、1工程Z曲げでは加工時のめっき剥離が発生する。
【0004】
材料面からのめっき剥離防止策としては、特開平10―158799公報あるいは特開平08―826301公報に示されるように、溶融めっきの製造条件の面からアルミ合金層の成長を抑制する方法がある。しかし、このような製造条件での工夫を払っても、1工程でのZ曲げのような厳しい加工では、めっき剥離が発生しやすいといえる。
一方、加工技術面からは、曲げー摺動の連続加工を避けるため、図3に示すような加工方法が採用されているが、多工程(3工程)であり、その生産性が悪くコスト高の要因となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来、多工程を要して生産性の悪かった溶融アルミめっき鋼板のZ曲げ加工を、1工程に短縮することにより、低コスト製造を可能にする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は溶融アルミめっき鋼板のZ曲げ加工を1工程の加工で可能にするために、V字溝を有するダイ上に載置した溶融アルミめっき鋼板を板押えで押えた状態で、ダイ端部から出されている前記鋼板の端部を上方からV字型の曲げパンチでダイの前記V字溝に向けて押圧することにより、曲げ加工による縦壁の形成及びV字型の曲げ加工を行い1工程でZ曲げ加工するに際し、前記縦壁を形成している側の曲げパンチとダイとの間隔を一定にすると共に、溶融アルミめっき鋼板の板厚をt(mm)、曲げパンチ先端半径をRp(mm)、曲げパンチ表面の最大高さ粗さをRy(μm)、前記曲げパンチとダイとの間隔から溶融アルミめっき鋼板の板厚を減じた値を溶融アルミめっき鋼板の板厚で除した百分率をC(%)とした時に、
C/Ry≧exp.(−1.40Rp/t+5.41)
とした条件で曲げ加工を行うことを特徴とする。なお、本発明における「Z曲げ加工」は、被加工物に異なる方向の曲げ回転軸を二ヵ所以上含む曲げ加工をいうものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
発明者らは、溶融アルミめっき鋼板のZ曲げ加工を1工程の加工で可能にするため、種々検討した。そして、1工程によるZ曲げ加工方法では、図4に示すようにアルミめっき鋼板には曲げ加工に引き続き摺動加工が作用すること、及びこの曲げ加工と摺動加工の連続加工が、アルミめっき鋼板を1工程のZ曲げ加工時に生じるめっき剥離の原因であると推測された。
【0008】
すなわち、アルミめっき鋼板(1)ではアルミめっき層(2)と鋼素地(3)の界面に脆いアルミー鉄合金層(4)が生じている。Z曲げ加工の曲げ加工時にアルミめっき鋼板(1)のパンチ側のアルミー鉄合金層(4)に、板厚に対して垂直方向に圧縮応力が付与され、板厚方向にクラック(5)が生じる。また、アルミめっき層(2)は柔らかいために、摺動加工時にパンチ肩部(6)との摩擦力が大きいアルミめっき層(2)に大きなせん断力が作用し、クラック(5)の生じているアルミー鉄合金層(4)からめっき剥離(7)が発生するものと考えられた。
【0009】
そこで加工技術面から
(イ)曲げ加工時の鉄―アルミ合金層のクラックを少なくする。
(ロ)摺動加工時の摩擦力を小さくする。
の2点に着目し、めっき剥離を防止する条件を検討した。具体的には、溶融アルミめっき鋼板の板厚t(mm)を小さく、曲げパンチ先端半径Rp(mm)を大きくすることにより、曲げ加工時にアルミー鉄合金層(4)を含むアルミめっき鋼板(1)のパンチ側に生じる圧縮応力を抑制する条件を検討した。また、曲げパンチ表面粗さRy(μm)を細かく、曲げパンチとダイとの間隔から溶融アルミめっき鋼板の板厚を減じた値を溶融アルミめっき鋼板の板厚で除した百分率C(%)を大きくすることにより、摺動加工時の摩擦力を抑制する条件を検討した。
【0010】
ここでC(%)について詳細に説明すると、パンチ(8)とダイ(9)との隙間のうち、アルミめっき鋼板(1)が縦壁(10)を形成している側のギャップ(11)からアルミめっき鋼板(1)の板厚を減じ、そこから求められる値をアルミめっき鋼板(1)の板厚で除した値、すなわち
C={(G―t)/t}×100
(G:パンチとダイとの隙間(mm),t:アルミめっき鋼板の板厚(mm)とした。)
【0011】
その結果、図6に示すように
C/Ry≧exp.(-1.40Rp/t+5.41)
の条件で曲げ加工を行うと剥離の生じないZ曲げを得ることができる。
【0012】
【実施例】
板厚0.3mm、0.5mmおよび0.8mmの溶融アルミめっき鋼板を用いて石油ストーブの熱反射板をZ曲げ加工により組立た。その時の溶融アルミめっき鋼板の板厚t(mm)、曲げパンチ先端半径Rp(mm)、曲げパンチ表面粗さRy(μm)、曲げパンチとダイとの間隔から溶融アルミめっき鋼板の板厚を減じた値を溶融アルミめっき鋼板の板厚で除した百分率C(%)とめっき剥離の状態を表1に示す。表1からわかるように
C/Ry≧exp.(-1.40Rp/t+5.41)
の範囲でZ曲げ加工した熱反射板にはめっき層に剥離が発生していないことが判る。
【0013】
上式は、Z曲げ加工の指標をC,Ry及び(Rp/t)にて整理したことに、特徴があり、従来、その寄与が不明であったCsとRyの影響を解明した点に大きな意義がある。
【0014】
【表1】
【0015】
【発明の効果】
本発明による溶融Alめっき鋼板のZ曲げ加工方法によると、従来3工程の曲げ工程が1工程の工程で可能になり、能率向上によるコスト低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Z曲げ加工形状を示す模式図
【図2】1工程でのV曲げ加工を示す模式図
【図3】3工程でのZ曲げ加工を示す模式図
【図4】Z曲げ加工においてめっき剥離の生じる機構を示す模式図(その1)
(a)正面図,(b)パンチ型部付近の拡大図
【図5】Z曲げ加工においてめっき剥離の生じる機構を示す模式図(その2)
(a)正面図,(b)パンチ型部付近の拡大図
【図6】1工程Z曲げ加工においてめっき剥離に及ぼすRy/CとRp/tとの関係図
【符号の説明】
1 アルミめっき鋼板
2 アルミめっき層
3 鋼素地
4 アルミー鉄合金層
5 クラック
6 パンチ肩部
7 めっき剥離
8 パンチ
9 ダイ
10 縦壁
11 ギャップ
Claims (1)
- V字溝を有するダイ上に載置した溶融アルミめっき鋼板を板押えで押えた状態で、ダイ端部から出されている前記鋼板の端部を上方からV字型の曲げパンチでダイの前記V字溝に向けて押圧することにより、曲げ加工による縦壁の形成及びV字型の曲げ加工を行い1工程でZ曲げ加工するに際し、前記縦壁を形成している側の曲げパンチとダイとの間隔を一定にすると共に、溶融アルミめっき鋼板の板厚をt(mm)、曲げパンチ先端半径をRp(mm)、曲げパンチ表面の最大高さ粗さをRy(μm)、前記曲げパンチとダイとの間隔から溶融アルミめっき鋼板の板厚を減じた値を溶融アルミめっき鋼板の板厚で除した百分率をC(%)とした時に、
C/Ry≧exp.(−1.40Rp/t+5.41)
なる条件にて成形することを特徴とする溶融アルミめっき鋼板の曲げ加工方法。
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---|---|---|---|
JP33647998A JP4201096B2 (ja) | 1998-11-12 | 1998-11-12 | 溶融アルミめっき鋼板の曲げ加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP33647998A JP4201096B2 (ja) | 1998-11-12 | 1998-11-12 | 溶融アルミめっき鋼板の曲げ加工方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000140940A JP2000140940A (ja) | 2000-05-23 |
JP4201096B2 true JP4201096B2 (ja) | 2008-12-24 |
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ID=18299566
Family Applications (1)
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JP33647998A Expired - Lifetime JP4201096B2 (ja) | 1998-11-12 | 1998-11-12 | 溶融アルミめっき鋼板の曲げ加工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP4201096B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7415013B2 (ja) | 2020-08-05 | 2024-01-16 | ファナック株式会社 | ロボットの構成部材の干渉を検出するロボット装置 |
-
1998
- 1998-11-12 JP JP33647998A patent/JP4201096B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7415013B2 (ja) | 2020-08-05 | 2024-01-16 | ファナック株式会社 | ロボットの構成部材の干渉を検出するロボット装置 |
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