JP3094525U - 電磁調理器用発熱プレート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本考案は、電磁調理器使用時においても、例え
ば土鍋等の非磁性体で形成した調理用容器も使用するこ
とができ、さらに、発熱による熱変形の影響を受けない
磁性体で形成した電磁調理器用発熱プレートの提供。 【解決手段】電磁調理器１１の天板上１４に載置して、
該電磁調理器１１の電磁力１３で発熱させるために磁性
体を含んで形成し、さらに必要に応じて発熱の際の熱変
形を防止する熱変形防止手段３３、８２、９２を形成し
た電磁調理器用発熱プレート１５、３１、６１、８１。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、ガスコンロとともに、代表的な調理器具となった電磁調理器の内部 に形成する磁力発生コイルによって、その上方にある天板上に載置して発熱する 電磁調理器用発熱プレートに関し、さらに詳しくは、例えば材質が耐熱ガラス、 アルミ、陶磁器、銅等の非磁性体金属材料で形成した調理用容器であっても、調 理可能とする電磁調理器用発熱プレートに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、調理性能、熱応答性を向上させるために、様々な電磁調理器用発熱プレ ートに関する技術が提案されている。

【０００３】 例えば、セラミックを基材としたプレートに導電性、さらにそれを被服するカ バーコート層など数種類の材質から直接鍋の形状をした電磁調理器用発熱プレー トが提案されている（特開平５−２３２５７号公報参照）。

【０００４】 この技術の場合、調理性能向上の為、上述のように数種類の材質からプレート を形成している。例えば、非磁性体金属材料であるセラミックをプレートの基材 とすることにより、プレートに熱変形が生じにくくすることができる。一方でこ のように非磁性体材料を多層にわたって形成した場合、コストが高くなる、およ び製造時間がかかるといった問題点が生じる。

【０００５】 また、他のプレートの従来技術として、結晶化ガラス又は陶磁器からなるプレ ート基材に釉薬により被覆してさらに底部から磁性体金属材料として銀皮膜を焼 き付けて用いる技術がある（特開平１０−２７０１５９号公報参照）。

【０００６】 この技術の場合も数種類の材質を使用しており、材料の処理工程に応じてコス トが高くなる、または、製造時間がかかるといった問題点を有する。

【０００７】 また、上述した従来技術の場合、プレートは直接調理用容器として使用する目 的で形成しているため、例えば磁力発生コイルからの磁力線で発熱しない土鍋等 の非磁性体で形成する調理用容器に熱伝導して加熱する目的で使用することはで きない。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

そこで本考案は、電磁調理器使用時においても、例えば土鍋等の非磁性体で形 成した調理用容器も使用することができ、さらに、発熱による熱変形の影響を受 けない磁性体で形成した電磁調理器用発熱プレートの提供を目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は、電磁調理器の天板上に載置して、該電磁調理器の電磁力で発熱させ るために磁性体を含んで板状体に形成した電磁調理器用発熱プレート（以下発熱 プレートという）であることを特徴とする。

【００１０】 磁性体を含んで電磁調理用発熱プレートを形成するのは、自身が発熱し、熱伝 導することで例えば土鍋等の非磁性体金属材料で形成した調理用容器でも加熱で きるようにするためである。また、直接調理用容器としても調理することもでき る。

【００１１】 上述する発熱プレートに熱変形が生じる場合、発熱の際の熱変形を防止する熱 変形防止手段を発熱プレートに形成してもよい。

【００１２】 前記発熱の際の熱変形とは、例えば、発熱プレートの縁部が上下にそる、及び 、ある部分に凹凸が生じる等の熱変形をいう。このような、熱変形に対する好ま しい実施形態として、特に前記熱変形防止手段を、中央部に少なくとも１つの膨 出部で形成することができる。

【００１３】 前記膨出部を備えた発熱プレートに熱変形が生じると、発熱プレートの縁部か らそり上がり、該そりは次第に膨出部の外周部まで達する。そして、膨出部外周 部がそり上がろうとする熱変形が生じるほど、膨出部全体には、広がり、かつ、 凹む熱変形が生じる。上述の熱変形が進行すると、膨出部は最終的に平面状態に 近づく形状に変形する。

【００１４】 また、膨出部を設けることで、発熱プレートの発熱源である磁力発生コイルか ら遠ざけることができ、膨出部は急激に高温にならず、膨出部の表面に部分的な 熱変形が生じることもない。

【００１５】 以上のように熱変形が生じるので、例えば、膨出部上面部を平面状態で形成し 、該上面部に調理用容器を載置すれば、上面部は傾かずに膨出部全体が平面状態 に近づく。さらに、上面部は急激な熱変形が生じないため、凹凸等の上下方向へ の変形は生じない。よって、発熱プレート各部に熱変形生じても、調理用容器の 載置面は安定した状態を維持できる。

【００１６】 他の前記熱変形防止手段を、前記電磁調理器との当接部でかつ、該電磁調理器 に内蔵する磁力発生コイルの上方部に相当する部位に少なくとも１つの膨出部で 形成することができる。

【００１７】 上記手段は、予めコイルの位置が分かっている場合、例えば特定の電磁調理器 の付属品として使用することができる。このように形成すれば、最も熱変形の影 響を受けやすいコイルの上方部相当位置等の位置に膨出部を形成することができ 、さらに効果的に上下方向の熱変形の影響を緩和することができる。

【００１８】 また、熱変形に対して影響が少ない物質を磁性体に混入して発熱プレートを形 成してもよい。

【００１９】 特に好ましい実施形態として、前記熱変形防止手段を、ホーロー材の発熱プレ ートで形成することができる。

【００２０】 前記ホーロー材は、磁性体に耐熱性のあるガラス繊維を混合して焼結した磁性 体であり、該ホーロー材で形成した発熱プレートは磁性体のみで形成した場合に 比べて熱変形に対して強度が増す。

【００２１】 よって、発熱プレートには熱変形が生じず、平面状態を維持することができる 。

【００２２】 また、前記熱変形防止手段を、発熱プレートの平面部に少なくとも１つのリブ で形成してもよい。強度を高めたい部位にリブを形成すれば、上下方向の熱変形 を重点的に防止することができる。

【００２３】 磁性体で形成した薄肉の平面プレート、および、前記ホーロー材で形成した発 熱プレートにリブを設けるとさらに安定する。特に熱変形が生じやすい前記膨出 部以外の平面部に設けると特に有効である。

【００２４】 前記リブは平面部に対して格子状、同心円状、放射状等様々な形状で形成する ことを含む。

【００２５】 なお、発熱プレートに、持ち運びができるように、例えば、非熱伝導性の物質 で形成する取手を少なくとも１つ設けることを含む。

【００２６】

【考案の効果】

この考案によれば、発熱プレートを電磁調理器の天板上に載置するだけで、土 鍋等の非磁性体で形成する調理用容器であっても使用することができる。

【００２７】 且つ、発熱プレートは、直接調理容器としても調理することもできる。

【００２８】 さらに、薄肉の磁性体で形成した発熱プレートであっても、熱変形防止手段を 設けることで発熱による熱変形の影響を少なくして、初期の熱伝導性を維持する と共に調理用容器を安定して載置することができる。

【００２９】 特に、前記熱変形防止手段を発熱プレート中央部、又は、前記磁力発生コイル 上方に相当する部位に少なくとも１つ膨出部を形成し、該膨出部の上面を平面状 態で形成して電磁調理器を載置すると、熱変形が生じても、電磁調理器の載置面 を平面状に保ち、かつ、全体としては電磁調理器の載置面が傾かない状態に変形 するため、電磁調理器を安定状態に保つことができる。

【００３０】 前記膨出部を備えた発熱プレートは、例えばプレス金型等で容易に大量生産が 可能であり、コストを低く生産できる。

【００３１】 さらに、前記熱変形防止手段をホーロー材の発熱プレートで形成すれば、平面 状態を保つことができ、電磁調理器を安定に保つことができる。

【００３２】 しかも、前記ホーロー材はガラス繊維と一緒に混合して焼結するだけで特別な 処理なしで製造することができる。

【００３３】 さらに、発熱プレートの平面部にリブを形成すると部分的に強度が増すことが でき、上下方向に対する熱変形を生じにくくすることができる。

【００３４】

【考案の実施の形態】

本考案の、一実施例を以下、図面を用いて説明する。図１に示すごとく電磁調 理器１１内の中央部には、同心円状に磁力発生コイル１２を複数内蔵している。 さらに、電磁調理器１１の上面に設置するトッププレート１４は、非磁性体金属 材料の結晶化ガラスで形成し、鍋１６を載置して調理する大きさで形成している 。

【００３５】 また、該トッププレート１４には直接鍋１６を載置せずに、鍋１６とトッププ レート１４の間には、薄肉の鉄板で形成した磁性体の発熱プレート１５がトップ プレート１４と同じ大きさに形成して、これを載置する。さらに、該発熱プレー ト１５の中央部には円筒形の鍋１６を載置する。

【００３６】 使用時には、前記電磁調理器１１内の磁力発生コイル１２に電流が流れ、渦状 の磁力線１３が発生する。該磁力線１３が発熱プレート１５内を通過して該発熱 プレート１５が発熱する。

【００３７】 このため、上述の鍋１６が例えば土鍋のように、磁力発生コイル１２からの磁 力線１３で発熱しない材質である場合であっても加熱することができる。

【００３８】 また、例えば発熱プレート１５を高温状態に維持する等の熱変形が生じる恐れ がある使用とした場合には、熱変形を防止する熱変形防止手段を発熱プレートに 形成するとよい。

【００３９】 好ましい熱変形防止手段として、図２に示すごとく中央部に膨出部３３を形成 した発熱プレート３１を用いる。

【００４０】 前記膨出部３３の上面部３４は、鍋底形状と同じ平面状の円板形状で形成する 。さらに、該膨出部３３の側面部３５の形状は、膨出部３３の上面部３４から下 方外側へ放射状に広がる形状に傾斜して形成している。なお、前記膨出部３３の 内部は空洞になっている。

【００４１】 図３に示す如く、調理の際は、上記した発熱プレート３１をトッププレート１ ４に載置し、さらに、前記膨出部３３上面部３４に鍋１６を載置して該発熱プレ ート３１を発熱して鍋１６を加熱する。該形状のプレート３１を発熱すると、図 ４に示すごとく、該発熱プレート３１は、平面状の発熱プレート３１が熱変形し た場合と同様に縁部から次第にそり上がる。該そりで、膨出部３３の外周部３６ が発熱プレート３１自体と鍋１６を支持する形態をとり、そして、膨出部３３の 外周部３６がトッププレート１４上面に当接しながら放射状に広がるとともに、 膨出部３３の側面部３５は傾倒していく。このように、側面部３５が傾倒すれば 、膨出部３３の上面部３４の高さは低くなるが、膨出部３３の上面部３４はトッ ププレート１４に対して水平を維持し、かつ、平面状態を維持することができる 。よって、鍋１６を安定した載置状態を保つことができる。

【００４２】 他の熱変形防止手段として、図５に示すごとく膨出部３３の上面部３４を電磁 調理器１１内の磁力発生コイル１２の上方部に相当する部位に形成することがで きる。つまり、膨出部３３の上面部３４は磁力発生コイル１２と同じ大きさ、同 心円のドーナツ形状で形成する。さらに、膨出部３３の側面部３５は、下方外側 へ放射状に広がる上述した実施例と同じ傾斜で形成する。

【００４３】 上述の熱変形防止手段で形成した発熱プレート３１を用いて調理した場合も、 前記中央部に形成した膨出部３３を設けた実施例と同様の熱変形が生じる。しか し、熱変形が生じても、図６に示すごとく膨出部３３の中央部の凹部６３の底面 ６２はトッププレート１４と当接しているため、さらに安定して鍋１６を支持す ることができる。

【００４４】 なお、本実施例の熱変形防止手段は、磁力発生コイル１２の大きさ、設置場所 が予め分かっている場合において有効である。

【００４５】 以上の熱変形防止手段は、材質が磁性体のみでできた発熱プレート３１、６１ に膨出部３３設けるだけで形成することができるため安価にできる。

【００４６】 以下、図７に示すごとく、熱変形防止手段を市販のホーロー材で形成した平面 状の発熱プレート８１を用いることができる。なお、該発熱プレート８１は前記 平面状の発熱プレート１５と同様の形状で形成する。

【００４７】 上述のように構成すると、調理の際、該発熱プレート８１が発熱しても、熱変 形が生じない。ホーロー材は、熱変形が生じにくい材質であるガラスを繊維状に して磁性体に混合して形成しているためである。

【００４８】 前記発熱プレート８１は平面状で形成してトッププレート１４に載置するため 、前記膨出部３３を形成した発熱プレート３１、６１に比べてより強い磁力線１ ３が発熱プレート８１内を通過する。このため、発熱プレート８１は、より高温 に発熱することができる。

【００４９】 また、熱変形防止手段を以上の実施例に示した発熱プレート３１、６１、８１ の平面部にリブ９２を形成することができる。例えば、図８のように、上述した 中央部に形成した膨出部３３外側の平面部に放射状にリブ９２を形成した場合、 該発熱プレート３１の縁部が反り上がる等上下方向の熱変形を防止することがで きる。このため、鍋１６の載置状態をより安定させることができる。

【００５０】 この考案と実施例との対応においてこの考案の天板は実施例のトッププレート １４に対応し、熱変形防止手段は、膨出部３３、ガラス繊維８２、およびリブ９ ２に対応するも、 この考案は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実 施の形態を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】発熱プレートを使用した電磁調理器の正面図。

【図２】他の例の発熱プレートの外観図。

【図３】他の例の発熱プレートを使用した電磁調理器の
正面図。

【図４】他の例の発熱プレートが熱変形した状態を現し
た説明図。

【図５】さらに他の例の発熱プレートの外観図。

【図６】さらに他の例の発熱プレートが熱変形した状態
を現した説明図。

【図７】手段の他の例の発熱プレートの外観図。

【図８】手段のさらに他の例の発熱プレートの外観図。

【符号の説明】

１１…電磁調理器 １５…発熱プレート ３１…中央部に膨出部を形成した発熱プレート ３３…膨出部 ６１…磁力発生コイル上方に膨出部を形成した発熱プレ
ート ８１…ホーロー材で形成した発熱プレート ８２…ガラス繊維 ９１…平面部にリブを形成した発熱プレート ９２…リブ

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】電磁調理器の天板上に載置して、該電磁調
   理器の電磁力で発熱させるために磁性体を含んで板状体
   に形成した電磁調理器用発熱プレート。
2. 【請求項２】発熱の際の熱変形を防止する熱変形防止手
   段を前記板状体に形成した請求項１に記載の電磁調理器
   用発熱プレート。
3. 【請求項３】前記熱変形防止手段を、前記板状体の中央
   部に少なくとも１つの膨出部で形成した請求項２記載の
   電磁調理器用発熱プレート。
4. 【請求項４】前記熱変形防止手段を、前記電磁調理器と
   の当接部でかつ、該電磁調理器に内蔵する磁力発生コイ
   ルの上方部に相当する部位に少なくとも１つの膨出部で
   形成した請求項２記載の電磁調理器用発熱プレート。
5. 【請求項５】前記熱変形防止手段を、ホーロー材の板状
   体で形成した請求項２、３又は４記載の電磁調理器用発
   熱プレート。
6. 【請求項６】前記熱変形防止手段を、前記板状体の平面
   部に少なくとも１つのリブで形成した請求項２から５の
   いずれか１つに記載の電磁調理器用発熱プレート。