JP2807621B2 - 家屋の壁パネルの取付け構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、家屋の増築に際して、
胴差と壁パネルとを用いて形成される家屋本体部の壁体
の出隅部に、施工性よく家屋増築部の壁体をなす追加壁
パネルを取付けでき、増築工事を能率化しうる家屋の壁
パネルの取付け構造に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
胴差の上、下に階上、階下の壁パネルを配することによ
り家屋の外壁を形成するプレハブ工法の家屋が普及して
いる。このようなプレハブ工法の家屋を増築する際に
は、施工性を高めるため既存の外壁をなす壁体を可能な
限り残してかつこの壁体を利用して工事を行うことが望
まれるが、胴差を有する壁体の出隅部に、家屋増築部の
壁体を形成する追加壁パネルを取付ける増築構造は未だ
確立されておらず、従って施工品質の確保も儘ならない
のが現状である。

【０００３】本発明は、直角に配される主壁体の各胴差
と階上の壁パネルの側端面とにボルト止めされる連結金
具の底板からのびる突出片を追加壁パネルの上面にボル
ト止めすることを基本として、胴差を有する家屋本体部
の壁体の出隅部に、既存の家屋本体部の壁体を利用して
施工性よく家屋増築部の壁体形成用の追加壁パネルを取
付けでき、増築工事を能率化しうるとともに、増築構造
の確立によって、施工品質を確保しうる家屋の壁パネル
の取付け構造の提供を目的としている。

【０００４】

【作用】胴差と階上、階下の壁パネルとからなる主壁体
を、その側端面を直角として配することにより家屋本体
部の壁体の出隅部を形成するとともに、各主壁体の胴差
の端板と階上の壁パネルの側端面とにボルト止めされる
１対の垂直な結合板を有する連結金具の底板からのびる
突出片を、家屋増築部の壁体を形成する追加壁パネルの
上面にボルト止めする。このように、胴差を有する家屋
本体部の壁体の出隅部に、この既存の壁体を利用して連
結金具を用いて追加壁パネルを取付けるため、増築施工
を能率化しうるとともに、増築構造の確立によって、施
工品質を確保できる。

【０００５】又前記連結金具は、追加壁パネルを取付け
る他にも直角に配される前記主壁体を結合する機能も具
えるため、金具の汎用性が増し、しかも施工性の一層の
向上にも役立つとともに、階下の壁パネルの側端面上端
を結合する橋渡し金具と協働して、強度の高い家屋本体
部の壁体の出隅部を形成でき、かつ橋渡し金具上で精度
よく胴差と階上の壁パネルとに取付けうる。

【０００６】

【実施例】以下本発明の一実施例を図面に基づき説明す
る。図において本発明の家屋の壁パネルの取付け構造
は、主壁体２、２Ａが側端面を直角として配されること
により側端面間に空隙Ｇを形成した家屋本体部Ａの壁体
ＷＡの出隅部Ｃに、一方の前記主壁体２Ａと一直線に前
記空隙Ｇから外にのび家屋増築部Ｂの壁体ＷＢを形成す
る追加壁パネルＰＢを取付ける。

【０００７】前記主壁体２、２Ａは、胴差３とその上、
下に配される階上、階下の壁パネルＰＡ１、ＰＡ２とか
らなる。階上、階下の壁パネルＰＡ１、ＰＡ２は、図２
に示すように、ともに、溝形鋼からなる枠材をその溝部
を向き合わせて矩形に接合した枠組２０を具えるととも
に、該枠組２０の内外に面材２１、２１を添着してい
る。なお階上、階下の壁パネルＰＡ１、ＰＡ２は、その
側端面間の横長さを同一としている。

【０００８】前記胴差３は、階下の壁パネルＰＡ２の上
面に載置されかつボルト止めされる横長矩形の水平な下
板４と、階上の壁パネルＰＡ１の下面を受けかつ該階上
の壁パネルＰＡ１にボルト止めされる水平な上板５とを
階上、階下の壁パネルＰＡ１、ＰＡ２の屋内縁で立上が
る垂直な背板６により継いだ溝形の形鋼材からなる基体
７、およびこの基体７の長手方向両側に固着され胴差３
の側端面をなす垂直な端板９、９からなる。

【０００９】前記胴差３は、その横長さを前記階上、階
下の壁パネルＰＡ１、ＰＡ２の横長さと同一とすること
により側端面を上下に揃えた前記主壁体２、２Ａが形成
される。

【００１０】このような主壁体２、２Ａは、前記側端面
の屋内縁を近接させかつ側端面を直角として該側端面間
に空隙Ｇを形成しつつ布基礎Ｆ１（図４に示す）上にコ
ーナの支持金具２２、連壁用の支持金具２３を介して立
設され、２階建の家屋本体部Ａの壁体ＷＡの出隅部Ｃを
形成する。

【００１１】前記コーナの支持金具２２は、図４に示す
ように、布基礎Ｆ１上に、ボルト止めされる底片２４
と、この底片２４から立上がりかつ直角な前記側端面下
端部をボルト止めする直角をなす１対の垂直な立片２
５、２５とからなる。

【００１２】又前記空隙Ｇには、主壁体２、２Ａの各胴
差３、３と階上の壁パネルＰＡ１、ＰＡ１とを結合する
連結金具１０が配される。

【００１３】連結金具１０は、図２、図４に示すよう
に、前記階下の壁パネルＰＡ２の上端の高さに配される
水平な底板１１、およびこの底板１１の上面から立上が
りかつ前記空隙Ｇに面する各胴差３、３の端板９、９
と、階上の壁パネルＰＡ１、ＰＡ１の側端面とに沿って
上下にのびることにより直角をなす１対の垂直な結合板
１２、１２を有する。なお前記結合板１２、１２は、胴
差３の上端の高さ位置で三角状の水平な補強板２６によ
って継がれるとともに、主壁体２の側端面に沿う一方の
結合板１２は、その外縁下部から底板１１上で外に張出
す垂直な張出し片２７と、この張出し片２７の外端から
直角に折曲がることにより形成される垂直かつ底板１１
上面から立上がる外片２９とを一体に具える。又前記底
板１１は、該底板１１から前記外片２９をこえて外にの
びる水平な突出片１３を有する。

【００１４】前記連結金具１０は、前記結合板１２、１
２を前記端板９、９と階上の壁パネルＰＡ１、ＰＡ１の
側端面とにボルト止めすることにより、前記出隅部Ｃに
おいて主壁体２、２Ａを結合する。

【００１５】さらに主壁体２、２Ａの階下の壁パネルＰ
Ａ２、ＰＡ２側端面の上端は、出隅部Ｃにおいて橋渡し
金具１４により結合される。

【００１６】橋渡し金具１４は、一方の前記主壁体２Ａ
の階下の壁パネルＰＡ２側端面の上端部に沿ってのびる
垂直な固定片３０と、この固定片３０の一方の側縁から
外方に突出しかつ前記主壁体２の階下の壁パネルＰＡ１
側端面の上端部に沿う垂直な基片３１と、この基片３１
の外端から前記固定片３０に平行に張出す垂直な取付片
３２と、固定片３０、基片３１、取付片３２の上端間を
継ぐ水平な上片３３とからなる。

【００１７】前記橋渡し金具１４は、前記固定片３０を
前記主壁体２Ａの階下の壁パネルＰＡ２側端面の上端部
にボルト止めし、かつ前記基片３１を前記主壁体２の階
下の壁パネルＰＡ２側端面の上端部にボルト止めするこ
とにより、出隅部Ｃにおける両側の階下の壁パネルＰＡ
２、ＰＡ２の側端面をその上端で結合する。

【００１８】なお連結金具１０と橋渡し金具１４とは、
図２に示すように、別体として形成され、橋渡し金具１
４を主壁体２、２Ａにボルト止めした後、連結金具１０
の底板１１を前記上片３３にボルト結合する。

【００１９】このように連結金具１０と橋渡し金具１４
とによって主壁体２、２Ａは強固に結合されるととも
に、主壁体２には、この主壁体２と同構成の他の主壁体
２Ｂが側端面間に空隙Ｇ１を有して横方向に並べられ、
家屋本体部Ａの壁体ＷＡを形成する。

【００２０】前記主壁体２と他の主壁体２Ｂとは、その
向き合う側端面下端部を結合する前記連壁用の支持金具
２３と、前記空隙Ｇ１に配される連壁用の連結金具３４
とを用いて結合される。

【００２１】連壁用の支持金具２３は、図３に示すよう
に、布基礎Ｆ１上にボルト止めされる底片３５と、この
底片３５から立上がりかつ前記主壁体２、２Ｂの階下の
壁パネルＰＡ２、ＰＡ２側端面の下端部を夫々をボルト
止めする平行な立上げ片３６、３６と、この立上げ片３
６、３６の屋内縁を継ぐ背片３７とからなる。

【００２２】又前記連壁用の連結金具３４は、空隙Ｇ１
両側の各胴差３、３の端板９、９と、階上、階下の壁パ
ネルＰＡ１、ＰＡ１、ＰＡ２、ＰＡ２の側端面とに沿っ
て上下にのびかつ該端板９、９、階上、階下の壁パネル
ＰＡ１、ＰＡ１、ＰＡ２、ＰＡ２の側端面に夫々ボルト
止めされる１対の垂直な結合板３９、３９、およびこの
結合板３９、３９の屋内縁を継ぐ継ぎ板４０を有する。
なお前記結合板３９、３９は、胴差３の上端の高さ位
置、および下端の高さ位置において水平な補強板４１、
４１によって継がれる。

【００２３】このようにして図１に略示するように２階
建の家屋本体部Ａの壁体ＷＡが形成されるとともに、こ
の家屋本体部Ａに、平屋の家屋増築部Ｂを増築する。

【００２４】家屋増築部Ｂは、一方の前記主壁体２Ａと
一直線に前記空隙Ｇから外にのび家屋増築部Ａの壁体Ｗ
Ｂを形成する追加壁パネルＰＢと、前記壁体ＷＡと直角
に前記空隙Ｇ１から外にのび家屋増築部Ａの他の壁体Ｗ
Ｂ１を形成する他の追加壁パネルＰＢ１とを具える。

【００２５】前記追加壁パネルＰＢ、ＰＢ１は、とも
に、溝形鋼からなる枠材をその溝部を向き合わせて矩形
に接合した枠組４２を具えるとともに、該枠組４２の表
裏に面材４３、４３を添着している。なお追加壁パネル
ＰＢ、ＰＢ１は、前記階下の壁パネルＰＡ２と同高さで
あって、前記布基礎Ｆ１から上面を揃えて直角に突設さ
れた平行な付属基礎Ｆ２、Ｆ２上で土台金具４５を介し
て立設される。

【００２６】土台金具４５は、図３〜５に示すように、
付属基礎Ｆ２上でボルト止めされる底板４６と、この底
板４６の上面から立上がる平行な側板４７、４７と、こ
の側板４７、４７の一方の側縁を継ぐ背板４９と、側板
４７、４７、背板４９上端間に架け渡されかつ前記追加
壁パネルＰＢ、ＰＢ１の下面をボルト止めする水平な上
板５０とからなる。

【００２７】又前記追加壁パネルＰＢの前記出隅部Ｃに
向く側端面の上端部は、前記橋渡し金具１４の取付片３
２にボルト止めされるとともに、前記連結金具１０の突
出片１３は、追加壁パネルＰＢ上をのびかつ該追加壁パ
ネルＰＢ上面にボルト止めされ、これにより家屋本体部
Ａの前記壁体ＷＡの出隅部Ｃに、家屋増築部Ｂの壁体Ｗ
Ｂを形成する追加壁パネルＰＢを取付ける。

【００２８】このように既存の壁体ＷＡを残して連結金
具１０により追加壁パネルＰＢを取付けるため、増築施
工を能率化しうるとともに、施工品質を確保できる。

【００２９】前記追加壁パネルＰＢ１は、取付け金具１
６を用いて前記壁体ＷＡに取付けられる。取付け金具１
６は、前記空隙Ｇ１両側の各胴差３、３の端板９、９を
嵌入しうる凹部５２を設けることにより空隙Ｇ１両側の
階下の壁パネルＰＡ２、ＰＡ２上面に胴差３、３の前記
下板４、４を介在させてボルト止めされる水平な底板１
７と、この底板１７上面から立上がりかつ前記連壁用の
連結金具３４の結合板３９、３９に端板９、９を介在さ
せてボルト止めされる１対の立上げ板１９、１９と、こ
の立上げ板１９、１９の外端間を継ぐ継ぎ板５３と、前
記底板１７下面外端部に上面内端部が固着されかつ底板
１７から外にのびる水平な突出片５４とからなる。なお
前記立上げ板１９、１９と継ぎ板５３とは、１枚のプレ
ートを折曲げ加工することにより形成される。

【００３０】前記取付け金具１６は、その突出片５４を
前記追加壁パネルＰＢ１の上面にボルト止めすることに
より、この追加壁パネルＰＢ１を前記壁体ＷＡに取付け
ることが出来る。

【００３１】このように連壁用の連結金具３４を含めた
主壁体２、２Ｂの構成部材を取替えることなく、前記追
加壁パネルＰＢ１を家屋本体部Ａの壁体ＷＡに取付ける
ことを可能としたため、増築に伴う家屋本体部Ａの損傷
を防止しうるとともに、施工性を高めうる。

【００３２】

【発明の効果】叙上の如く本発明の家屋の壁パネルの取
付け構造は、胴差とその上、下に配される階上、階下の
壁パネルとからなる主壁体が直角に配されることにより
形成される家屋本体部の壁体の出隅部に、各胴差の端板
と階上の壁パネルとにボルト止めされる１対の垂直な結
合板を有する連結金具の突出片を、家屋増築部の壁体を
形成する追加壁パネルの上面にボルト止めすることによ
り該追加壁パネルを取付けるため、既存の家屋本体部の
壁体を利用して追加壁パネルを結合でき、増築時の施工
能率を高めうるとともに、胴差を有する家屋本体部の壁
体における増築構造を確立でき、施工品質を確保しう
る。

【００３３】又前記連結金具は、橋渡し金具と協働して
主壁体を強固に結合することに加えて、前記追加壁パネ
ルを固定する機能も具えるため、金具の汎用性を高め、
かつ施工性の向上にも役立ちうるとともに、階下の壁パ
ネルを結合した橋渡し金具上に、胴差と階上の壁パネル
とを結合しうる高さを有する連結金具を載置してこの橋
渡し金具にボルト止めしうるため、精度よくかつ容易に
連結金具を取付けることができ、施工品質をさらに高め
うる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を略示する線図である。

【図２】本発明の一実施例を示す分解斜視図である。

【図３】家屋本体部の壁体の連壁部における追加壁パネ
ルの取付け構造を示す断面図である。

【図４】本発明の一実施例を示す断面図である。

【図５】追加壁パネルを支持する土台金具を例示する斜
視図である。

【符号の説明】

２、２Ａ 主壁体 ３ 胴差 ４ 下板 ５ 上板 ６ 背板 ７ 基体 ９ 端板 １０ 連結金具 １１ 底板 １２ 結合板 １３ 突出片 １４ 橋渡し金具 Ａ 家屋本体部 Ｂ 家屋増築部 Ｃ 出隅部 Ｇ 空隙 ＰＡ１ 階上の壁パネル ＰＡ２ 階下の壁パネル ＰＢ 追加壁パネル ＷＡ 家屋本体部の壁体 ＷＢ 家屋増築部の壁体

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】胴差（３）とその上、下に配される階上の
   壁パネルＰＡ１と階下の壁パネルＰＡ２とからなりかつ
   横長さをともに同一とすることにより側端面を上下に揃
   えてなる主壁体（２）（２Ａ）が前記側端面の屋内縁を
   近接させて側端面を直角とすることにより側端面間に空
   隙Ｇを形成した家屋本体部Ａの壁体ＷＡの出隅部Ｃに、
   前記階下の壁パネルＰＡ２と同高さかつ一方の前記主壁
   体（２Ａ）と一直線に空隙Ｇから外にのび家屋増築部Ｂ
   の壁体ＷＢを形成する追加壁パネルＰＢを取付ける家屋
   の壁パネルの取付け構造であって、 前記胴差（３）は、階下の壁パネルＰＡ２の上面に載置
   される下板（４）と、階上の壁パネルＰＡ１の下面を受
   ける上板（５）とを壁パネルの屋内縁で立上がる背板
   （６）により継いだ溝形の基体（７）に、前記側端面を
   なす端板（９）が設けられるとともに、 前記階下の壁パネルＰＡ２の上端の高さの水平な底板
   （１１）に、前記空隙Ｇに面する各胴差（３）の端板
   （９）と、階上の壁パネルＰＡ１の側端面とに沿って上
   下にのびることにより直角をなす１対の垂直な結合板
   （１２）を有する連結金具（１０）を配しかつ前記結合
   板（１２）を前記端板（９）と階上の壁パネルＰＡ１の
   側端面とにボルト止めするとともに、前記連結金具（１０）の底板（１１）にボルト止めされ
   る橋渡し金具（１４）により、 両側の階下の壁パネルＰ
   Ａ２の側端面をその上端で結合し、しかも前記底板（１
   １）から外に前記追加壁パネルＰＢ上をのびる突出片
   （１３）を、この追加壁パネルＰＢ上面にボルト止めす
   ることにより取付けたことを特徴とする家屋の壁パネル
   の取付け構造。