JP2805799B2 - 固定化された酵素を含有する防汚塗料用複合樹脂およびこれを含む防汚塗料 - Google Patents

固定化された酵素を含有する防汚塗料用複合樹脂およびこれを含む防汚塗料

Info

Publication number
JP2805799B2
JP2805799B2 JP1045479A JP4547989A JP2805799B2 JP 2805799 B2 JP2805799 B2 JP 2805799B2 JP 1045479 A JP1045479 A JP 1045479A JP 4547989 A JP4547989 A JP 4547989A JP 2805799 B2 JP2805799 B2 JP 2805799B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
enzyme
composite resin
antifouling paint
immobilized
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1045479A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02227471A (ja
Inventor
悟郎 岩村
慎一 桑村
章夫 東海林
邦康 紀藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP1045479A priority Critical patent/JP2805799B2/ja
Publication of JPH02227471A publication Critical patent/JPH02227471A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2805799B2 publication Critical patent/JP2805799B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規にして有用なる、固定化された酵素を含
有する防汚塗料用複合樹脂およびこれを含んで成る防汚
塗料に関する。さらに詳細には、特定のガラス転移温度
を有するビニル共重合体中に安定に分散されている親水
性の粒子または架橋粒子中に、種々の手段により、酵素
が担持され、固定されて成る、固定化酵素含有防汚塗料
用複合樹脂、つまり、得られる塗膜が柔軟性を有し、し
かも、適度な親水部分を有するものにして、かかる親水
部分に蛋白質分解酵素などの各種の酵素が固定化され、
その結果、該酵素の海水中への溶解速度が調節されうる
ようになり、それによって長期防汚性の発現を可能にし
た、とりわけ、船底用ならびに魚網用などに適用しう
る、海中防汚塗料用複合樹脂およびこれを含んで成る防
汚塗料に関する。
〔従来の技術〕
一定の目的をもって用いられる、水面下にある物体の
表面は、通常、多層のペイント被膜で覆われており、そ
して海に棲んでいる、ムラサキイガイ、フジツボ、コケ
ムシもしくはホヤの如き海棲付着生物または藻などの生
物の棲息や成長を防ぐ目的で、通常は、トップコートと
して防汚性ペイントが塗布されている。
たとえば、海水を利用する火力発電所や製鉄所などの
諸工場では、その冷却水系統に上記した如き各種の海棲
付着生物が付着し、その機能を低下させている。就中、
クダウミヒドロ(腔腸動物門ヒドロ虫網の無鞘亜目系ヒ
ドロムシ)は繁殖速度が大きく、熱交換器などに付着し
始めると2〜3週間で、その機能の低下を惹起すること
になるほどである。また、通常の付着繁殖期は4〜10月
頃と言われてはいるけれども、かかる熱交換器などの水
温が高くなる所では、冬期でも、繁殖成長を行なう。そ
して、水圧や流速などにより剥ぎ取られて、該熱交換器
のチュープやストレナーの目塞りを惹起し、海水の通水
を妨げ、よって機能を低下させることになる。
また、ムラサキガイも重なり合って付着するものであ
り、しかも、成長速度も大きい。そのために、一番下位
に付着したムラサキガイは栄養塩類や溶存酵素の採取が
十分に行なえなくなって死滅するに到るが、かかる死滅
により壁面に付着している足糸が弱くなり、遂には、水
圧や水流などによって脱落し、その結果、冷却チューブ
の閉塞を惹起して、海水の通水を妨げ、機能の低下に繋
がることになる。
こうした諸々の不都合を未然に防止するべく、各種の
防汚性ペイントが用いられている。
ところで、かかる防汚性ペイントは、それ自体が毒物
である亜酸化銅の如き、徐々に海水と反応して水溶性塩
を形成する形の防汚剤を含んでおり、こうした種類の防
汚剤は、水溶性塩の形で、ペイントフィルムから、順
次、溶出されていく。
この種の防汚剤の溶出速度を或る程度、均一化せし
め、それによって、比較的長期に亘って、前記海棲付着
生物の成長ないしは繁殖を抑制させうる物質としては、
たとえば、トリブチル錫オキサイドを側鎖にもった共重
合体がある。
しかしながら、かかる共重合体は加水分解によって海
洋汚染の原因となるトリブチル錫オキサイドを絶えず放
出し続けるものであり、魚介類への影響は、まさに計り
知れなく、重大事である。
こうした致命的な欠陥とも言うべき、海洋生物の成
長、増殖抑制物質の使用が及ぼす影響などを考慮して、
最近、防汚剤として亜酸化銅が見直されてきてはいるけ
れども、これとても、重金属であってみれば、生物系へ
の影響が全く無いとは言えないであろう。
また、有機系の防汚剤も数多く開発されてこそいる
が、それらの防汚剤は、総じて、比較的低分子量の有機
化合物でしかなく、しかも、単に防汚用樹脂にブレンド
して用いられているのが実状であるという以上、長期に
及ぶ防汚効果は、以って、期すべくもない。
〔発明が解決しようとする課題〕
すなわち、長期に亘る使用の持続性や、公衆衛生的な
見地からも、はたまた、生物系に及ぼす影響の面などか
らも、総合的に満足しうるような防汚塗料は、未だに存
在し得ないというのが実状である。
しかるに、本発明者らは、上述した如き従来技術にお
ける種々の欠点の存在に鑑み、海洋汚染を何ら惹起する
ことなく、したがって、海洋生物ないしは海棲付着生物
への悪影響もなく、しかも、長期に亘って防汚性ないし
は防汚効果を持続させるような、特定の固定化酵素を含
有する防汚塗料用複合樹脂を提供することを目的とし
て、以下に詳述するような特定の固定化酵素含有塗料用
複合樹脂を用いることにより、前述した如き諸々の欠点
の悉くが解消されて、満足しうる性能をもったものが得
られることを見い出すに及んで、本発明を完成させるに
到った。
したがって、本発明の主な目的は、自然界において全
く、毒性上、問題のない蛋白質分解酵素を中心とする酵
素類を、海水中の生物の付着などを防止するべく用い、
しかも、水溶性の酵素類の溶出速度を適度にコントロー
ルすることによって、従来公知のトリブチル錫塩や亜酸
化銅などの重金属含有化合物、あるいは一般に、有機防
汚剤と称される部類の化合物に依存しない、新規にして
有用なる固定化酵素含有塗料用複合樹脂を提供しようと
することにある。
〔課題を解決するための手段〕 すなわち、本発明はガラス転移温度(Tg)が−35℃〜
+40℃なる範囲のビニル共重合体中に安定に分散されて
いる、それぞれ、親水性粒子または親水性架橋粒子中に
蛋白質分解酵素を中心とする酵素類が固定されて成る、
固定化酵素含有塗料用複合樹脂を提供しようとすること
を基本とし、一つには、これらの親水性(架橋)粒子中
に、酵素の有する官能基である、アミノ基、カルボキシ
ル基またはメルカプト基などと反応しるう官能基を持た
せ、それぞれの官能基同志の化学的な結合を通して、酵
素を固定化せしめた形の固定化酵素含有塗料用複合樹脂
ならびに該複合樹脂を含んで成る防汚塗料を提供しよう
とするものであり、二つには、これらの親水性(架橋)
粒子中に、部分的にゲル化した酵素を含有させ、固定化
せしめた形の、固定化酵素含有塗料用複合樹脂を提供し
ようとするものであり、とりわけ、長期防汚性にすぐれ
る、安全な防汚塗料用複合樹脂ならびに該複合樹脂を含
んで成る防汚塗料を提供しようとするものである。
ここにおいて、まず、上記した塗料用複合樹脂につい
て述べることにすると、当該樹脂は有機溶剤に不溶性の
粒子部分と溶解部分との複合体の形で得られるものを指
称するが、それぞれの構成部位のうちの粒子部分は、該
粒子を形成する親水性の基として、たとえば、水酸基、
カルボキシル基または(置換)アミノ基の如き官能基
(反応性基)を含有する不飽和単量体の合計が、全不飽
和単量体総重量の50%以上となるようにして、一方、架
橋粒子(ゲル粒子)部分は、該粒子を形成する架橋成分
として、合計、1重量%以上の架橋性不飽和単量体を含
有するようにして、前記した如き特定のTgを有するビニ
ル共重合樹脂の有機溶剤溶液中で重合させることによっ
て得られる。
上記した水酸基含有不飽和単量体として代表的なもの
を例示すれば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒ
ドロキシブチル(メタ)アクリレートもしくは4−ヒド
ロキシブチル(メタ)アクリレートの如くヒドロキシア
ルキル(メタ)アクリレート類;「プラクセルFMもしく
はFA」シリーズ〔ダイセル(株)製品〕の如き、上記2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートにε−カプロ
ラクトンを付加させたもの;または「ブレンマ−EP」シ
リーズ〔日本油脂(株)製品〕の如きポリエチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート類;あるいはポリエチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレートやポリプロピ
レングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの各種の
水酸基含有ビニル単量体と、無水こはく酸や無水フタル
酸などの各種の酸無水物との付加生成物などであるし、
上記したカルボキシル基含有不飽和単量体として代表的
なものを例示すれば、(メタ)アクリル酸、クロトン
酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸もしくはシトラ
コン酸の如き不飽和モノ−ないしはジカルボン酸類をは
じめ、上記した不飽和ジカルボン酸類と1価アルコール
とのモノエステル類の如き不飽和モノカルボン酸類;ま
たは前記したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート
と、マレイン酸、こはく酸、フタル酸、ヘキサヒドロフ
タル酸、テトラヒドロフタル酸もしくは、ベンゼントリ
カルボン酸の如き各種ポリカルボン酸の無水物とのエス
テル化物などであるし、前記した(置換)アミノ基含有
不飽和単量体として代表的なものを例示すれば、(メ
タ)アクリルアミド、(N)−メチル(メタ)アクリル
アミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−
プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アク
リルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセト
ンアクリルアミドもしくはN−アセチルアクリルアミド
の如き(メタ)アクリルアミド類;またはN,N′−ジエ
チルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはN,N′
−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートの如き
(メタ)アクリレート類などであるし、前記した架橋性
単量体として代表例を示せば、N−メチロール(メタ)
アクリルアミド、アリル(メタ)アクリレート、ジビニ
ルベンゼンもしくはトリビニルベンゼンをはじめ、エチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサ
ンジオールジ(メタ)アクリレートもしくはトリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレートの如き、2価以
上のポリオールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物
とか、あるいは、後掲される如き粒子を形成するために
用いられる不飽和単量体が有する反応性基に応じた、次
に示されるような官能基(反応性基)をもった不飽和単
量体などである。
すなわち、粒子形成用不飽和単量体と組み合わせるべ
き不飽和単量体との、それぞれの官能基(反応性基)は
次の通りである。
このような官能基をもった不飽和単量体を共存させて
ラジカル重合せしめればよく、それにより、架橋粒子
(ゲル粒子)を得ることができる。
次いで、粒子を形成するために用いられる不飽和単量
体(粒子形成用不飽和単量体)に共重合さすべき不飽和
単量体としては、酵素が有しているアミノ基、カルボキ
シル基および/またはメルカプト基と反応性を有する官
能基をもったものを用いる必要がある。
そのような官能基をもった共重合用不飽和単量体とし
ての代表例は、マレイン酸の如き酸無水基、グリセリル
カーボネート(メタ)アクリレートの如き環状カーボネ
ート基、イソシアネートエチル(メタ)アクリレートの
如きイソシアネート基、グリシジル(メタ)アクリレー
トの如きグリシジル基、アセトアセトキシエチル(メ
タ)アクリレートの如きビニルケトン基、またはビニル
スルホン酸の如きビニルスルホン基をもったものなどで
あり、そのうち、メルカプト基と反応性を有する官能基
をもった共重合体不飽和不飽和単量体としては、グリシ
ジル基、ビニルケトン基またはビニルスルホニル基をも
ったものなどが代表例である。
なお、酵素が有しているカルボキル基と反応性を有す
る官能基をもった共重合用不飽和単量体の場合には、当
該親水性(架橋)粒子部分を構成しているポリマー支持
基に直接、反応させる代わりに、カルボジイミド化合物
を介してこのポリマー中のアミノ基と反応させるという
反応によることもできる。
これらの粒子形成用不飽和単量体中の官能基と酵素中
の官能基との反応は、非水分散型樹脂を形成したのち
に、水に溶解した酵素を粒子中に侵入させることによ
り、各官能基同士を反応せしめるという方法、あるい
は、親水性粒子と水に溶解した酵素とを、直接、有機溶
剤で溶解された、特定のTgを有するビニル共重合体に滴
下し、光を照射せしめることによって、比較的低温領域
で重合させるという方法などがあるが、いずれの方法に
あっても、酵素の安定性の点から、水を系外に除去する
必要がある。
また、このさいに、次に掲げられるような、2官能以
上の特定の化合物を併用することによって、酵素それ自
体のゲル化を図ることができる。つまり、グリオキシザ
ールもしくはグルタルアルデヒドの如きケトン基(カル
ボニル基)含有化合物;ヘキサメチレンジイソシアネー
トとグリセリルカーボネートとの1:2(当量比)なる付
加反応生成物の如き環状カーボネート化合物;あるいは
「エピクロン850もしくは1050」〔大日本インキ化学工
業(株)製の、ビスフェノールA型エポキシ樹脂〕また
は「エピクロンN−730」(同上社製の、フェノールノ
ボラック型エポキシ樹脂)の如きジ−ないしはそれ以上
のポリエポキシ化合物などの他官能性化合物との反応
を、水に系外に除去しながら行なうことによって、酵素
をゲル化せしめることもできる。
このようにして得られる、部分的にゲル化した酵素
を、前掲した如き各種の親水性粒子または親水性架橋粒
子中に含有せさて固定化せしめることによって、目的と
する塗料用複合樹脂が調製されることは、前述した通り
である。
他方、酵素を含有する親水性粒子または親水性架橋粒
子を保護する、有機溶剤に可溶な前記ビニル共重合体と
は、Tgが−35℃より+40℃なる範囲内に入る、主とし
て、各種(メタ)アクリル酸アルキル、シキロアルキ
ル、またはアラルキルエステルなどから得られる、いわ
ゆるアクリル共重合体を指称するものであり、そのうち
でも特に代表的なものとしては、メチル(メタ)アクリ
レート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル
(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレ
ート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル
(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレ
ート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウ
リル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)ア
クリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートまた
は、ベンジル(メタ)アクリレートなどを主体として、
少量の、つまり、当該ビニル共重合体中に約25重量%程
度の、共重合体性単量体を用いてもよい共重合体などで
ある。
かかる共重合体単量体として代表例を挙げるに止めれ
ば、スチレンの如き芳香族ビニル単量体類;または酢酸
ビニル、安息香酸ビニルもしくは「ベオバ」(オランダ
国シエル社製のビニルエステル)の如きビニルエステル
類などであり、さらには、前掲した如き親水性の基を有
する不飽和単量体類も用いることができる。
而して、本発明の防汚塗料用複合樹脂を調製するにさ
いして、酵素を含有する親水性粒子または親水性架橋粒
子と、ビニル共重合体との比率としては、5/95〜70/3
0、好ましくは20/80〜60/40なる固形分重量比の範囲内
が適切である。
親水性(架橋)粒子の使用量が5重量%未満である場
合には、海水中での構築物ないしは構造物の表面を十分
に酵素で活性化せしめることが困難になるし、一方、70
重量%を超える場合には、酵素溶出が速すぎたり、ある
いは、ビニル共重合体部分の存在率が小さい処から、十
分な強度をもった目的複合樹脂が得難くなったりするの
で、いずれも好ましくない。
そして、溶剤可溶型のビニル共重合体の調製は、親水
性粒子を形成する単量体(粒子形成用不飽和単量体類)
をこそ溶解するものの、当該共重合体を溶解することの
ない有機溶剤中で、常法に従って、ラジカル重合させる
ことにより行なえばよい。
すなわち、公知慣用の各種ラジカル重合触媒の存在下
での溶液重合法、つまり溶液ラジカル重合法に従うのが
簡便であるが、懸濁重合、塊状重合、イオン重合、光重
合または放射線重合も利用できることは勿論である。
かくして得られる当該ビニル共重合体の数平均分子量
としては、5,000〜40,000なる範囲内が、親水性(架
橋)粒子の安定化にとって有効である処から、好まし
い。
次いで、前記した酵素の起源は動物、植物、微生物等
のいずれでもよく、その種類としては酸化還元酵素、転
移酵素、加水分割酵素、脱離酵素、異性化酵素、合成酵
素等が挙げられ、効果が認められれば何れでも使用でき
る。好ましくは加水分解酵素が使用でき、より好ましく
は蛋白質分解酵素が使用できる。例えばトリプシン、パ
パインまたはブロメライン等であり、これらの酵素は高
度に精製されていなくてもよく、また市販されている各
種酵素剤も使用できる。その代表的なものには『プロテ
アーゼM「アマナ」、プロテアーゼA「アマノ」、ニュ
ーラーゼF、パパインW−40、プロレザー、プロテアー
ゼP「アマノ」、プロテアーゼS「アマノ」もしくはパ
ンクレアチンF』〔以上は、いずれも天野製薬(株)製
品〕、または『プロテアーゼB−500、プロテアーゼA
Z、マクサチームHP、アルカラーゼもしくはニュートラ
ーゼ』〔以上は、いずれもデンマーク国ノボ・インダス
トリーズ社製品〕などがある。また、これらは単独でも
あるいは組み合わせても使用できる。
当該酵素の前記複合樹脂中に占める割合としては、0.
02〜30重量%、好ましくは0.01〜20重量%なる範囲内が
適切である。
0.02重量%未満の場合には、どうしても、長期の防汚
性が期し得なく、概して、極端な防汚性の低下に繋がる
し、一方、30重量%を超える場合には、どうしても、酵
素の固定化時において系のゲル化が認められ易くなるの
で、いずれも好ましくない。
かくして得られる本発明の固定化酵素含有防汚塗料用
複合樹脂には、さらに必要に応じて、従来の防汚剤であ
る、たとえば、亜酸化銅、クロム酸亜鉛、クラム酸スト
ロンチウム、クロム酸第二銅、くえん酸第二銅、フェロ
シアン酸第二銅、キノリン酸第二銅、δ−ハイドロキノ
リン第二銅、オレイン酸第二銅、硝酸第二銅、燐酸第二
銅、酒石酸第二銅、酸化第一銅、よう化第一銅または亜
硫酸第一銅などを添加することを何ら禁ずるものではな
いし、あるいは、有機錫化合物、トリアジン化合物また
は有機硫黄化合物などをも添加することを何ら妨げるも
のではない。
かくして得られる本発明の固定化酵素含有防汚塗料用
複合樹脂は、主として、船底塗料や魚網用塗料などに利
用できるものである。
〔実施例〕
次に、本発明を参考例、実施例、応用例および比較応
用例により、一層、具体的に説明するが、以下におい
て、部および%は特に断りのない限り、すべて重量基準
であるものとする。
参考例1(ビニル共重合体の調製剤) 撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入口を
備えた四ツ口フラスコに、キシレンの800部を仕込ん
で、窒素を通気させてから、100℃まで昇温し、キシレ
ンの200部、tert−ブチルパーオキシイオクトエート(T
BPO)の8部、メチルメタクリレートの250部、n−ブチ
ルアクリレートの450部およびラウリルメタクリレート
の300部よりなる混合物を5時間に亘って滴下し、同温
度に更に10時間保持して反応を続行させて、不揮発分が
50.4%で、Tgが−32℃で、かつ、25℃におけるガードナ
ー粘土(以下同様)がZ1なる目的共重合体の溶液を得
た。以下、これを(a−1)と略記する。
参考例2(同上) 参考例1と同様の反応容器に、トルエンの800部を仕
込み、窒素を通気し、100℃に昇温し、トルエンの200
部、TBPOの5部、ジ−tert−ブチルオキサイドの2部、
メチルメタクリレートの200部、n−ブチルアクリレー
トの200部、エチルアクリレートの200部、2−エチルヘ
キシルメタクリレートの390部およびメタクリル酸の10
部よりなる混合物を4時間に亘って滴下し、滴下終了後
も、同温度に8時間保持して反応を続行させてから、こ
こへ14部のグリシジルメタクリレートおよび1.0部の2
−メチルイミダゾールを加えて、110℃で更に7時間反
応を行なって、不揮発分が50.8%で、Tgが−7.1℃で、
かつ、粘土がZ2なる目的共重合体の溶液を得た。以下、
これを(a−2)と略記する。
参考例3(固定化酵素の調製例) 本例は、特定のTgを有するビニル共重合体中に分散さ
れている親水性架橋粒子中に存在する環状カーボネート
基と、酵素中に存在する、たとえば、アミノ基との化学
的結合によって固定化せしめた場合の例である。
参考例1と同様の反応容器に、同例で得られた共重合
体(a−1)の1,200部を仕込んで100℃に昇温し、2−
ヒドロキシエチルメタクリレートの200部、メタクリル
酸の40部、グリセニルカーボネートメタクリレートの20
部、N−メチロールアクリルアミドのn−ブチルエーテ
ル化物の140部、キシレンの400部およびTBPOの10部より
なる混合物を4時間に亘って滴下し、滴下終了後も、同
温度に7時間保持して反応を続行させ、120℃で更に2
時間反応を行なって、不揮発分が50%なる、そして、親
水性架橋粒子とビニル共重合体との重量比が4/6なる、
親水性架橋粒子とそれを保護しているビニル共重合体と
から成る複合樹脂の溶液を得た。
次いで、この系内を20℃まで降温し、「プロテアーゼ
10P」〔天野製薬(株)の蛋白質分解酵素〕の100部を20
0部の水に溶解した酵素水溶液を加え、25℃に5時間保
持して反応させたのち、減圧にて水とキレンとを留せし
めると同時に、留出したキシレンを加え直して、不揮発
分が40%なる複合樹脂溶液中の親水性架橋粒子中に酵素
が固定された形の、褐色の固定化酵素を得た。
以下、これを固定化酵素(b−1)と略記する。
参考例4(同上) 本例は、特定のTgを有するビニル共重合体中に分散さ
れている親水性架橋粒子中に、部分的にゲル化した酵素
を、物理的手段で固定化せしめた場合の例である。
参考例1と同様の反応容器に、参考例2で得られた共
重合体(a−2)の1,200部およびトルエンの300部を仕
込んで、110℃に昇温し、N−ビニルピロリドンの80
部、酢酸ビニルの200部、アクリル酸の20部、グリシジ
ルメタクリレートの20部、N,N−ジメチルアクリルアミ
ドの80部、トルエンの100部およびTBPOの10部よりなる
混合物を5時間かけて滴下し、滴下終了後も、同温度に
10時間保持して反応を続行させて、不揮発分が50%で、
かつ、粘土がX−Yなる、そして、親水性架橋粒子とビ
ニル共重合体との重量比が35/65なる、親水性架橋粒子
とそれを保護しているビニル共重合体とから成る複合樹
脂の溶液を得た。
次いで、この系内を25℃にまで降温し、「プロテアー
ゼ10P」の300部と水の300部とグルタルアルデヒドの5
部とからなる溶液を系内に加え、25℃で減圧蒸留により
水とトルエンとを系外に留出させた。そのさいに留出し
たトルエンを系内に戻して、不揮発分が50%で、かつ粘
土がSなる複合樹脂溶液中の親水性架橋粒子中に、部分
的にゲル化した酵素が固定化された形の、固定化酵素を
得た。以下、これを固定化酵素(b−2)と略記する。
参考例5(同上) 本例も、ゲル化した酵素を物理的手段により固定化せ
しめるという例ではあるが、固定化すべき粒子が、特定
のTgを有するビニル共重合体中に分散されている、架橋
していない親水性粒子であるという点で、参考例4の場
合とは異なる。
滴下すべき不飽和単量体の組成を、2−ヒドロキシエ
チルアクリレートの300部と「アロンマクロマ−MM−
5」〔東亜合成化学工業(株)性のマクロマー〕との混
合物に変更した以外は、参考例3と同様にして、不揮発
分が49.8%なる、そして、何ら架橋していない親水性粒
子とビニル共重合体との重量比が4/6なる、親水性粒子
とそれを保護しているビニル共重合体とから成る複合樹
脂の乳白色溶液を得た。
次いで、系内を25℃まで降温し、「パパインW−40」
〔天野製薬(株)の蛋白質分解酵素〕の100部と水の200
部とグルタルアルデヒドの10部とからなる溶液を加え、
同温度に2時間保持して反応させたのち、系内から水の
200部とキシレンとを留去させた。
しかるのち、この留出したトルエンを系内に戻すこと
によって、不揮発分を50%に調整した。
かくして、褐色の複合樹脂溶液中の親水性粒子中に、
部分的にゲル化した酵素が固定化された形の、固定化酵
素が得られた。以下、これを固定化酵素(b−3)と略
記する。
実施例1〜5 第1表に示されるような樹脂配合により各種の防汚塗
料用複合樹脂を調製した。
比較例1および2 第1表に示されるような配合割合に従い、酵素と市販
の魚網用樹脂とから成る、対照用の防汚塗料用樹脂を調
製した。
応用例1〜5ならびに比較応用例1および2 第1表に示される通りの処方に従って得られた各実施
例および比較例のそれぞれの防汚塗料用(複合)樹脂
を、各別にトルエンにより、フォードカップNo.4で30秒
となるように希釈してから、1.5m×1.5mなる大きさのナ
イロン製養殖用網を、各希釈樹脂液中にて浸漬塗装せし
めたのち、室温に3日間放置して乾燥せしめた。
次いで、それぞれの試験用紙を和歌山県白浜市の沖合
において、海中、1.5mの処に、それぞれ、2ヵ月、4ヵ
月、6ヵ月および12ヵ月間浸漬を行って、海藻類や魚介
類などの付着占有率(%)を観測した。
それらの結果は、第2表にまとめて示す通りである。
〔発明の効果〕 本発明の固定化された酵素を含有する防汚塗料用複合
樹脂は、長期の防汚効果を発現するものであり、しか
も、重金属類や有機防汚剤などを含む在来の系に比し
て、毒性などの点でも、安全にして万全なものである。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス転移温度が−35℃〜+40℃なる範囲
    内のビニル共重合体中に安定に分散されている、それぞ
    れ、親水性粒子または親水性架橋粒子中に、酵素が固定
    化されて成る、固定化酵素を含有する防汚塗料用複合樹
    脂。
  2. 【請求項2】前記した固定化酵素が、前記したガラス転
    移温度が−35℃〜+40℃なる範囲内のビニル共重合体中
    に分散されている、それぞれ、親水性粒子または親水性
    架橋粒子中に存在する、前記した酵素が有しているアミ
    ノ基、カルボキシル基および/またはメルカプト基と反
    応性を有する官能基との化学的結合によって固定化され
    て成るものである、請求項1に記載の固定化酵素を含有
    する防汚塗料用複合樹脂。
  3. 【請求項3】前記した固定化酵素が、前記したガラス転
    移温度が−35℃〜+40℃なる範囲内のビニル共重合体中
    に分散されている、それぞれ、親水性粒子または親水性
    架橋粒子中に、部分的にゲル化した酵素を含有せしめる
    ことによって固定化されて成るものである、請求項1に
    記載の固定化酵素を含有する防汚塗料用複合樹脂。
  4. 【請求項4】前記した固定化酵素を含有する防汚塗料用
    複合樹脂が、前記したそれぞれ、ビニル共重合体と親水
    性粒子または親水性架橋粒子との95/5〜30/70なる重量
    比になる複合体である、請求項1,2または3に記載の固
    定化酵素を含有する防汚塗料用複合樹脂。
  5. 【請求項5】前記した防汚塗料用複合樹脂が、この防汚
    塗料用複合樹脂を基準として0.02〜30重量%なる範囲で
    前記した酵素を含有せしめることをによって固定化され
    ているものである、請求項1,2または3に記載された固
    定化酵素を含有する防汚塗料用複合樹脂。
  6. 【請求項6】前記した酵素が蛋白質分解酵素である、請
    求項1〜5のいずれか1つに記載された固定化酵素を含
    有する防汚塗料用複合樹脂。
  7. 【請求項7】請求項1から6までのいずれかに記載の防
    汚塗料用複合樹脂を含んで成る防汚塗料。
JP1045479A 1989-02-28 1989-02-28 固定化された酵素を含有する防汚塗料用複合樹脂およびこれを含む防汚塗料 Expired - Fee Related JP2805799B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1045479A JP2805799B2 (ja) 1989-02-28 1989-02-28 固定化された酵素を含有する防汚塗料用複合樹脂およびこれを含む防汚塗料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1045479A JP2805799B2 (ja) 1989-02-28 1989-02-28 固定化された酵素を含有する防汚塗料用複合樹脂およびこれを含む防汚塗料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02227471A JPH02227471A (ja) 1990-09-10
JP2805799B2 true JP2805799B2 (ja) 1998-09-30

Family

ID=12720534

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1045479A Expired - Fee Related JP2805799B2 (ja) 1989-02-28 1989-02-28 固定化された酵素を含有する防汚塗料用複合樹脂およびこれを含む防汚塗料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2805799B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2794749B2 (ja) * 1989-02-28 1998-09-10 大日本インキ化学工業株式会社 酵素含有樹脂組成物
JPWO2003044112A1 (ja) * 2001-10-12 2005-03-10 紳司 横田 コーティング剤及び同コーティング剤でコーティングした袋又は成形体並びにコーティング方法
EP1661955A1 (en) * 2004-11-29 2006-05-31 Nederlandse Organisatie voor toegepast-natuurwetenschappelijk Onderzoek TNO Antifouling coating comprising a polymer with functional groups bonded to an enzyme
JP4649644B2 (ja) * 2006-03-10 2011-03-16 独立行政法人科学技術振興機構 高分子固定化酵素
US9828597B2 (en) * 2006-11-22 2017-11-28 Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. Biofunctional materials
EP2215168B1 (en) * 2007-11-12 2014-07-30 CoatZyme Aps Anti-fouling composition comprising an aerogel
US9388370B2 (en) 2010-06-21 2016-07-12 Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. Thermolysin-like protease for cleaning insect body stains
US8796009B2 (en) 2010-06-21 2014-08-05 Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. Clearcoat containing thermolysin-like protease from Bacillus stearothermophilus for cleaning of insect body stains
US11015149B2 (en) 2010-06-21 2021-05-25 Toyota Motor Corporation Methods of facilitating removal of a fingerprint
US9121016B2 (en) 2011-09-09 2015-09-01 Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. Coatings containing polymer modified enzyme for stable self-cleaning of organic stains
US10988714B2 (en) 2010-06-21 2021-04-27 Regents Of The University Of Minnesota Methods of facilitating removal of a fingerprint from a substrate or a coating

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02227471A (ja) 1990-09-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2805799B2 (ja) 固定化された酵素を含有する防汚塗料用複合樹脂およびこれを含む防汚塗料
KR100530968B1 (ko) 도료조성물
CN1178577C (zh) 用于低温场合的种子包衣组合物
US20080038241A1 (en) Self-Polishing Anti-Fouling coating Compositions Comprising An Enzyme
JP4593778B2 (ja) 抗微生物剤送達系
JP2003528967A (ja) ロジン及び酵素を含んで成る防汚塗料の組成物
WO2001081489A1 (fr) Materiau protecteur antisalissure, film protecteur antisalissure, structure submergee et procede d'inhibition des salissures
JP5031133B2 (ja) 防汚塗料組成物、防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶または水中構造物、並びに船舶外板または水中構造物の防汚方法
JP5466347B2 (ja) 防汚塗料組成物、その塗膜、該塗膜で被覆された船舶または水中構造物及び防汚方法
JP2794749B2 (ja) 酵素含有樹脂組成物
KR19980064025A (ko) 오염 방지용 도료 조성물
JPH07109339A (ja) 生分解性樹脂組成物及び防汚塗料組成物
US20050255081A1 (en) Stabilizers for hydrolyzable organic binders
JPH0582865B2 (ja)
JPH06346000A (ja) 防汚塗料組成物
JPH09279061A (ja) 防汚性樹脂組成物
JP3330345B2 (ja) 防汚性塗料組成物
JPH05295303A (ja) 防汚塗料用樹脂組成物
JP3161005B2 (ja) 防汚塗料用樹脂組成物
JP3273033B2 (ja) 防汚性塗料組成物
JPH07150076A (ja) 防汚性コーティング材
JPH05214274A (ja) 防汚塗料用樹脂組成物
WO2003067990A1 (fr) Agent de prevention de salissures
JP3334768B2 (ja) 防汚塗料用樹脂組成物
JPH10176125A (ja) 防汚塗料用組成物

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees