JP2801386B2 - 導電性繊維 - Google Patents

導電性繊維

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JP2801386B2
JP2801386B2 JP27153190A JP27153190A JP2801386B2 JP 2801386 B2 JP2801386 B2 JP 2801386B2 JP 27153190 A JP27153190 A JP 27153190A JP 27153190 A JP27153190 A JP 27153190A JP 2801386 B2 JP2801386 B2 JP 2801386B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、除電性能に優れた複合繊維、とりわけ繊維
物性、実着用耐久性に優れた除電性能をもつ導電性繊維
に関するものである。さらに詳しくは、導電性カーボン
ブラツクと、特定の熱可塑性エラストマーからなる導電
ポリマー層(A)と、繊維形成性熱可塑性ポリマーから
なる保護ポリマー層(B)とが複合されてなる除電性能
に優れた複合繊維であつて、かかる複合繊維は全体とし
ては導電性カーボンブラツクの含有量が少量であるにも
かかわらず優れた制電性能を有し、通常の非導電性繊維
に当該複合繊維を0.01〜10重量%添加するだけで優れた
除電性能を有する布帛が得られ、かつ実着用2年以上経
過してもその除電性能はあまり低下しない導電性繊維に
関するものである。
しかも本発明により単繊維デニールが5デニール以下
の細デニール化が可能となり、実際の布帛に用いられた
時の風合が従来のものより良好なものが得られることが
可能となつたものである。
(従来の技術) 従来から除電性能の優れた繊維としての導電性繊維に
ついて種々の提案がなされており、たとえば導電性を有
さない繊維の表面に金属メツキして導電性を付与せんと
したものや、導電性カーボンブラツクを樹脂やゴム類に
分散させたあと、これを繊維表面にコートすることによ
つて導電性被覆層を形成せしめたもの等がある。しか
し、これらは製造工程が複雑化して技術的に困難な方法
によつて得られるものであつたり、導電性繊維を実用に
供するため準備段階たとえば製織編のための精錬工程で
の薬品処理や実際の使用における摩耗や繰返し洗濯とい
つた外的な作用によつて導電性が容易に低下して実用の
域を脱してしまうという問題があつた。他の導電性繊維
として、スチール繊維のような金属繊維が除電性能の優
れたものとして知られているが、金属繊維はコストが高
く、しかも一般の有機素材とはなじみにくく紡績性不良
となつたり、製織・染仕上工程のトラブルの原因となつ
たり、着用時の洗濯による断線・脱落が生じやすく、さ
らには通電性に基づく感電・スパークの問題、布地の溶
融トラブル等の原因となつていた。さらにまた別のタイ
プの導電性繊維として、導電性カーボンブラツクを均一
に分散させたポリマーを繊維化する方法が提案されてい
るが、カーボンブラツクを多量に含有するために繊維の
製造が難かしく、収率も悪く、コスト高であり、かつ繊
維物性が著しく低下し、特殊な工程を用いる以外に製品
化が困難というのが現状である。そして、これらの問題
を少しでも解消しようという目的での提案があり、たと
えば米国特許第3,803,453号公報にあるごとく、芯鞘複
合タイプの芯成分ポリマーに導電性カーボンブラツクを
含有させ、それを通常の繊維形成性ポリマーからなる鞘
で包み込もうという方法である。あるいは特公昭53−44
579号公報等で提案されている如く、導電性カーボンブ
ラツクを含む芯成分のかなりの部分が鞘をつきぬけて繊
維の表面に露出している例もある。前者の場合、繊維性
能を保つため芯部を50%以下にする必要があり、そのた
め非導電性の鞘が厚く包囲しているため低カーボン含有
量では充分な性能が発揮されず、後者はそれを改良しよ
うとするものであるが、カーボンを含む芯部が沢山表面
に出ているために耐薬品性、耐久性に劣り剥離その他の
トラブルを生じやすい。さらに特開昭52−152513号公報
では導電性カーボンを含む導電性ポリマー層とそれと同
じポリマーで導電性カーボンを含まない非導電性ポリマ
ー層とを多層状に張合わせた繊維が、上記単一の芯鞘型
導電性繊維の除電性能向上と成分層間の剥離防止を中心
とした耐久性向上を目的として提案されているものの、
この場合もやはり導電性カーボンブラツクを含む層が表
面に露出しすぎているため耐薬品性、耐久性の向上は認
められない。
一方、特開昭53−147865号公報や特開昭54−34470号
公報等においては、有機導電性物質を含有する線状重合
体を繊維形成性重合体内に筋状分散の形で分散せしめた
導電性繊維が提案されているが、これらにおいては導電
性成分が繊維表面ではなく内部に入っているために剥
離、表面摩擦、洗濯等の耐久性が向上するというもので
ある。しかし、この場合、有機導電性物質を含有する線
状重合体はそれと全く相溶性のない繊維形成性重合体に
筋状分散つまり長さ方向へは非連続状態で分散混合して
いるわけで、繊維強度には全く寄与しないため繊維強度
の低下は避けることができない。また、もっとも重要な
繊維性能である導電性が筋状分散によって変化するた
め、製造条件、製品品質の管理が非常にむつかしくなら
ざるを得ない。さらに、一般的に非相溶重合体を混合分
散させた場合、分散成分は100%完全に非分散ポリマー
に包み込まれるものではなく一部表面に露出するため、
その部分からの導電性重合体の一部脱落の可能性もあ
る。また、このような繊維を製造する場合の工程調子、
たとえば紡糸吐出におけるバルーニングをみても異常に
大きく、口金汚れや断糸が多く発生して生産性の非常に
低いものとなってしまう。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者らはすでに特開昭55−103885号や特願昭57−
10645において以上のような従来の多数の公知の導電性
繊維に関する欠点や問題点を克服した除電性能に優れた
導電性複合繊維を提案している。本発明者は、さらに詳
細な検討、とりわけ、実際に着用を続けた場合の除電性
能の低下がほとんどなく、性能が長期にわたり維持され
ている優れた導電性複合繊維であり、しかも単繊維デニ
ールが5デニール以下の細デニール化が可能ならしめる
技術を見出し本発明に到達したものである。
(課題を解決するための手段) 本発明の骨子とするところは、導電性カーボンブラツ
クを15〜50重量%含有する熱可塑性エラストマーからな
る導電ポリマー層(A成分)と繊維形成性熱可塑性ポリ
マーからなる保護ポリマー層(B成分)とが複合されて
なり、且つ保護ポリマー層が繊維表面周長の60%以上を
占有し、繊維全体重量の30重量%以上を形成し、しかも
単繊維デニールが5デニール以下であることを特徴とす
る導電性複合繊維である。
本発明において、A成分に含まれる導電性カーボンブ
ラツクの量は15〜50重量%、好ましくは20〜40重量%で
ある。導電性カーボンブラツクの含量が15重量%より少
ない場合には好ましい導電性が得られず、充分な除電性
能は発揮されない。一方、50重量%を越える量にした場
合には、導電性のより一層の向上は認められず、芯成分
ポリマーの流動性が著しく低下して紡糸性が極端に悪化
するので好ましくない。
本発明において通常用いる導電性カーボンブラツクは
10-3〜102Ω・cmの固有電気抵抗を有するものがよい。
周知の如く、カーボンブラツクは完全に粒子状分散をし
ている場合は一般に導電性が不良であつて、ストラクチ
ヤーと呼ばれる連鎖構造をとると導電性が向上して導電
性カーボンブラツクと言われるものになる。したがつ
て、導電性カーボンブラツクによつてポリマーを導電化
するに当つては、このストラクチヤーを破壊しないでカ
ーボンブラツクを分散させることが肝要となる。そし
て、導電性カーボンブラツク含有複合体の電気伝導メカ
ニズムとしてはカーボンブラツク連鎖の接触によるもの
とトンネル効果によるものが考えられているが、前者の
方が主と考えられる。したがつて、カーボンブラツクの
連鎖は長いほうが、また高密度ポリマー中に存在するほ
うが接触確率大となり高導電性となる。本発明者らの検
討結果では、導電性カーボンブラツク含量が15重量%未
満ではほとんど効果がなく、20重量%になると急激に導
電性が向上し、30重量%を越えるとほぼ飽和する。
次に本発明で重要な点は、A成分ポリマーとして熱可
塑性エラストマーを用いることである。従来、導電性繊
維の細デニール化、特に実用衣料用繊維デニールである
5デニール以下のものを収率よく得ることは、非常に難
しいことであつた。これは、紡糸工程、延伸工程におい
て導電層が切断する場合が多く、これをどのように解決
して細デニールのものを得るかということと、実着用に
おける耐久性をどのようにして付与するのかという2点
である。カーボンブラツクのバインダーとして結晶性の
熱可塑性樹脂を使用し、繊維を延伸後熱処理を加えると
いう方法は延伸工程によつて切断した導電層を熱処理に
より再接着するための有用な方法であるが、このような
手法により得られた導電性複合繊維は本発明者らの検討
結果によれば実着用における耐久性が不足していた。耐
久性が不足している原因は、バインダーとして熱可塑性
樹脂、特に結晶性の熱可塑性樹脂を使用した場合には熱
処理により破断した導電層を修復することはできるが導
電層そのものが本質的に脆いために実着用における繰り
返しの伸縮において導電層が再び破断するために耐久性
を発揮することができないからである。
本発明者らは鋭意検討の結果、導電性金属酸化物粒子
と熱可塑性エラストマーとの混合物を導電層とする導電
性複合繊維は低い抵抗値と高い実着用耐久性を有するこ
とを認め本発明を完成するに至つた。
通常導電性繊維は制電気発生により爆発が発生するよ
うな場所での作業服等に用いられるが、長期間使用して
いる過程で、過酷な曲げ、引張り、屈曲、摩耗等の繰返
しと同時に洗濯も繰返し行なわれ、その結果として必然
的に導電性繊維の導電層部分の性能低下が進み布帛とし
ての除電性能が低下してこざるを得なかった。通常導電
層を構成する部分は一度クラツク等の歪により連続性が
失なわれると修復は困難であり、長期間の実着用は難し
く、一定年月で交換せざるを得ないのが現状であつた。
しかるに、本発明の如く、熱可塑性エラストマーを用い
ることにより、長期間の実着用によつても布帛の除電性
能があまり低下しないことを見出した。しかも、紡糸工
程時、延伸工程時の導電層の変形流動性が良好なため、
細デニール化も可能となつたものである。
熱可塑性エラストマーとは、常温ではゴム弾性体であ
るが高温(融点以上の温度域)では可塑化され成型可能
な高分子材料である。一般的に熱可塑性エラストマーと
は以下の2つのものに分類される。
1. 分子回転の容易な無定形分子連鎖(ソフトセグメン
トと称する)と結晶性の高い樹脂分子連鎖(ハードセグ
メントと称する)から構成されるもの。ソフトセグメン
トの部分はハードセグメントの部分により拘束される。
2. 基本骨格はソフトセグメントにより拘束されるがイ
オン架橋(熱により解離するが低温で再結合するもの)
による拘束を有するもの。このような構造による熱可塑
性エラストマーとしてはカルボキシレートポリマー、第
3アミンペンダントNBR等が挙げられる。
本発明において使用される熱可塑性エラストマーとし
ては上記の熱可塑性エラストマーのいずれのものも使用
することができる。本発明において使用される熱可塑性
エラストマーとしてはゴム弾性を有するものであつて、
引つ張り破断伸度(JIS K−6301)が100%以上、好まし
くは200%以上のものを使用するのが良い。
本発明において特に好ましくは、熱可塑性エラストマ
ーとしてはハードセグメントとソフトセグメントより構
成される熱可塑性エラストマーを用いるのが良い。導電
性金属酸化物粒子のバインダーとしてこのものを用いた
場合に低い抵抗値と高い実着用耐久性を有する導電性複
合繊維が得られる。
本発明において使用される熱可塑性エラストマーとし
ては、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチ
レンブロツク共重合体)およびその水素添加物、SIS
(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロツ
ク共重合体)およびその水素添加物、SI(ポリスチレン
−ポリイソプレンブロツク共重合体)およびその水素添
加物などで代表されるスチレン系重合体と共役ジエン系
重合体からなるブロツク共重合体あるいはスチレン系重
合体と共役ジエン系重合体の水素添加物からなるブロツ
ク共重合体が好適なエラストマーとして挙げられ、とり
わけスチレン系重合体と共役ジエン系重合体の水素添加
物からなるブロツク共重合体が除電性能およびその耐久
性の点で特に優れている。これらブロツク共重合体にお
いて、特にスチレン系重合体の割合が10〜50重量%であ
るものが好ましく、10重量%未満では紡糸性や耐熱性が
劣り、50重量%以上になると伸縮性、耐久性ある導電性
が低下する。なお水素添加は共役ジエン系重合体の二重
結合の全てが水素添加されている必要はなく、共役ジエ
ン系重合体の二重結合の過半が水素添加されている程度
でもよい。
これ以外に本発明に使用できる熱可塑性エラストマー
としては、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリ
エステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑
性エラストマー、スルホン化エチレンプロピレンゴム、
EPDM、第3アミンペンダントNBR等を挙げることができ
る。
また、導電性カーボンブラツクを高含量練込まれた樹
脂は、たとえマトリツクスとなる樹脂が充分な繊維形成
性を有していたとしても、紡糸性および延伸性が不良
で、単独での繊維化は難しく、保護層ポリマーとの複合
化により繊維化工程性及び繊維物性の維持を行なうのが
好適である。しかしながらカーボンブラツク含有導電性
ポリマー成分(A成分)が繊維重量の70重量%を越える
と紡糸時の曳糸性が著しく低下してしまい、紡糸断糸、
延伸断糸が頻発し好ましくない。従つて保護ポリマー層
成分は繊維重量の30重量%以上、更に好ましくは50重量
%以上占有していることが好ましい。
また、制電性の見地からは導電性ポリマー層が繊維表
面へ露出している方が望ましいわけであるが、あまり露
出面積が多すぎると繊維製造工程中および加工工程中あ
るいは実着用中における変質、劣化、脱落等がカーボン
ブラツク含有導電ポリマー層に発生し、本発明の重要な
目的である、長期間による実着用を続けてもすぐれた除
電性能を維持させることが不可能になつてしまう。以上
の点から繊維表面周長の60%以上を保護ポリマー層が占
有することが望ましい。
具体的な導電層と保護層との複合形状は任意である
が、例えば第1図〜第8図のようなものが挙げられる。
保護ポリマー成分(B)が95重量%を越えて多くな
り、導電性のポリマー成分(A)が5重量%未満になる
と、安定した複合構造として紡糸することが困難となつ
てくる。とくに芯本数の多い場合に芯の長さ方向に芯成
分が連続した繊維を得るのがむつかしくなる。一方、導
電性カーボンブラツク含有芯成分(A)が70重量%を越
えると、非導電性鞘成分(A)が充分繊維形成性を持つ
ていたとしても前述したように複合した系の紡糸性およ
び延伸性さらに繊維物性が極端に低下し実用性は全く失
なわれてしまう。これは、導電性カーボンブラツクを含
有することによつてポリマー(A)と曳糸性が著しく低
下してしまい、これが複合繊維中の半分以上を占めるた
めにポリマー(A)の性質がそのまま現われてしまつた
ためであろう。したがつて、導電電性ポリマー層(A)
と保護ポリマー(B)の複合重量比率はA:B 5:95〜70:
30。好ましくは15:85〜50:50の範囲である。
保護ポリマー層成分のポリマーとしては、融点150℃
以上の繊維形状性良好なポリマーであればどれでも良
い。しかしながらB成分は本発明繊維の繊維化の際の良
好な工程性を維持するための重要な役割を担つているた
め、曳糸性の劣るポリマーは基本的には本発明の目的に
は不適切である。好ましくはポリエステルかポリアミド
である。ポリエステルとしては、例えばテレフタール
酸、イソフタール酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、
フタール酸、α,β−(4−カルボキシフエキシ)エタ
ン、4,4′−ジカルボキシジフエニル、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸もしくは
アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸また
はこれらのエステル類と、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチル
グリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポ
リエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール
などのジオール化合物とから合成される繊維形成性ポリ
エステルであり、構成単位の80モル%以上が、特には90
モル%以上がエチレンテレフタレート単位又はブチレン
テレフタレート単位であるポリエステルが好ましい。ま
たポリエステル中には、少量の添加剤、螢光増白剤、安
定剤あるいは紫外線吸収剤などを含んでいても良い。
またポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、
ナイロン12、メタキシレンジアミンナイロンを主成分と
するポリアミドであり、少量の第3成分を含むポリアミ
ドでも良い。これらに少量の添加剤、螢光増白剤、安定
剤等を含んでいても良い。
例えば、B成分としてポリエチレンテレフタレートを
使用する場合においては、紡糸温度が290〜300℃付近に
なるため熱可塑性エラストマーに要求される耐熱性(耐
熱分解性)は300℃以上である。このような条件におい
て好適に使用される熱可塑性エラストマーとしては、SI
Sの水素添加物、SIの水素添加物、SBSの水素添加物、ポ
リエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可
塑性エラストマーが挙げられる。
本発明において熱可塑性エラストマーと導電性カーボ
ンブラツク粒子の混合物を作製する場合に、導電性カー
ボンブラツク粒子の表面処理剤を添加しても良い。さら
に流動性改善剤、分散剤等を混合しても良い。
本発明の導電性複合繊維は通常の複合繊維の製造法を
そのまま用いることができる。即ち、複合繊維の原糸を
延伸した延伸糸としてもよいし、また高速紡糸を行うこ
とにより延伸工程を省略した高配向未延伸の導電性複合
繊維を直接得ることができる。本発明の大きな特徴は、
紡糸性、延伸性が良好なため単繊維デニールが5デニー
ル以下でも、導電性を維持させて繊維化が可能となつた
ことである。
本発明において、繊維の除電性能評価は以下に述べる
ような繊維自身の放電々流及びそれを布帛中に混合含有
せしめたときの布帛の摩擦における帯電々荷量の測定を
以って行った。
すなわち、一般に制電性繊維の静電気除電能には伝導
による静電気除電と並んで放電による静電気除電があ
る。導電性繊維を布帛中に織り込んだ場合には後者が重
要であり、放電特性の評価を採用した。具体的には、放
電々流は静電気物体として500mm×500mmのアルミ平板上
に正極の直流電圧10KVを印加し、アルミ平板の中央前方
20mmの距離に150mmの長さの試料繊維を平行に張つた
時、試料繊維に流れる電流を測定した。測定は、22℃、
30%RHの部屋に24時間放置し、同室内にて行つた。布帛
の帯電々荷量は、労働省産業安定研究所発行の静電気安
定指針であるRIISTR 78−1によつて行なつた。
本発明の導電性繊維は、モノフイラメント、マルチフ
イラメントあるいはカツトステーブルの如き任意の形態
をとりうるのである。
このようにして得られた本発明の繊維は優れた除電性
能を有することから、たとえばポリエステル綿混紡製品
のようにそのままでは帯電するものに0.01〜10重量%混
用することによつて効果的に除電し静電気によるトラブ
ルのないものとする。とくに、長期間の使用や繰返し洗
濯などを経てもその制電性能があまり低下しないので、
作業服や防塵衣あるいは学生服など耐久性のある制電性
が強く要求される分野において極めて有用性が高く、さ
らに種々の用途、たとえば外とう、フオーマル、ユニフ
オーム、カーペツト、テーブルマツト、インテリア、カ
ーテン等の展開が可能である。
特に、本発明により5デニール以下の導電性繊維を用
いることにより、従来の導電性繊維の如く、太い導電性
繊維が原因で硬い風合が生じることなく良好な風合のも
のを得ることができた。また、長繊維として用いる以外
に短繊維として用いる場合、単繊維デニールが太すぎる
と他の繊維と混綿した場合にカード工程性が極端に悪く
なる場合が多いが、本発明により単繊維デニールが5デ
ニール以下のものを安定に得ることができるようにな
り、上記のような問題点も解消できることがわかつた。
以下に実施例によつて本発明を詳述するが、これによ
つて本発明はなんら限定れるものではない。
なお、繊維化工程性は、紡糸・延伸工程でのA格率で
表示した。
A格率=100X(毛羽・断糸のないボビン数)/(全ボ
ビン数)ただし、全ボビン数は、一週間連続運転で2時
間満管で得られたボビン数であり、巻上げ途中(すなわ
ち巻初めから2時間未満)で断糸が生じた場合には、そ
の時点でボビンを新しいのに切り替え巻取りを開始し
た。
[実施例1] 導電層ポリマー成分として、ハードセグメントとソフ
トセグメントよりなる熱可塑性エラストマーとしては水
素添加されたSISを使用した。このものは、数平均分子
量約50000、融点110℃、スチレン含量が30wt%でゴム弾
性を有し、破断伸度が580%であつた。
上記ポリマーへ導電性カーボン40重量%を含有させた
ものをA成分とし、保護層ポリマー成分としてポリエチ
レンテレフタレートを用い、複合比率15/85で4芯芯鞘
型断面で複合紡糸し、その後延伸を実施し24デニール/8
フイラメントの導電性複合繊維を得た。繊維化工程性は
良好で問題なかった。
得られた繊維については、ポリエステル(ポリエチレ
ンテレフタレート)/綿=65/35の混紡糸でカバーリン
グし、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)/
綿=65/35、綿番手20S/2のタテ糸に80本に1本の割合で
打込んでタテ80本/inヨコ50本/inの2/1ツイル織物とし
た。つづいて、通常ポリエステル綿混織物の条件で染色
加工仕上げを行なつた。
織物の帯電電荷量は1μクーロン/m2であつた。2年
間実着用し、その間500回繰返し洗濯を行なつたのちの
帯電電荷量は1.5μクーロン/m2であり、優れた除電性
能、つまり労働者産業安全研究所発行の静電気安全指針
の基準値(以下基準値と称する)7μクーロン/m2をク
リアーしており耐久性も非常に優れたものであつた。
また得られた織物の風合は良好なものであつた。
[実施例2〜3] 導電性カーボン粒子の混合量を変化させることにより
実施例1と同様な条件で種々の導電性の混合物を作製し
た。これを用いて複合繊維を作製し、制電性能を評価し
た。この結果を実施例2,3として表1に示した。いずれ
の場合においても繊維の抵抗値が低く制電性能が良好な
導電性複合繊維を得ることができた。さらに実着用耐久
性について評価したがいずれの場合にも良好な性能を有
していることが解つた。
[比較例1,2] 導電性カーボン粒子の混合率を55wt%、および12wt%
とし導電性の混合物を作製した。これらのもの作製条件
と性能を比較例1,2(表1)に示した。混合率が55wt%
の場合にはパツク寿命が極端に短かく複合繊維を紡糸す
ることができなかつた。混合率が12wt%の場合には複合
繊維を容易に得ることができたが繊維の抵抗値が高いた
めに除電性能を有するものではなかつた。
[実施例4] 鞘成分としてポリブチレンテレフタレートを使用した
以外は実施例1と同様にして導電性複合繊維を作製し
た。このものの制電性能は良好であつて、かつ耐久性能
も優れたものであつた(表1)。
[実施例5] 鞘成分としてナイロン6を使用した以外は実施例1と
同様にして導電性複合繊維を作製した。このものの制電
性能は良好であつて、かつ耐久性能も優れたものであつ
た。
[実施例6〜8] 実施例6〜8は複合形状を変更し、実施例6は第1図
に示した芯鞘複合、実施例7は第2図で示した3芯芯鞘
複合、実施例8は第4図で示した3層芯鞘複合で実施し
た。他は実施例1と同様の条件で行なつた。いずれも繊
維化工程性良好で、しかも除電性能耐久性も良好であつ
た。
[実施例9] 導電層ポリマー成分と保護層ポリマー成分の複合比率
を30対70とし、他は実施例1と同様の条件で行なつた。
繊維化工程性良好で、かつ除電性能耐久性は良好であつ
た。
[比較例3] 導電層ポリマー成分と保護層ポリマー成分の比率を75
/25で実施したが、繊維化工程性が不良であつた。
[比較例4] 導電層ポリマー成分と保護層ポリマー成分の複合比率
を3.5/96.5で実施した。しかしながら、除電性能は基準
値をオーバーするものであつた。
[実施例10] バインダーとしてポリエステル・ポリエーテル型の熱
可塑性エラストマー(東洋紡性ペルプレンP40H、構造を
以下に示す。破断伸度は690%。)を使用した。導電性
カーボンとの混合は240℃で行つた。その他の条件は実
施例1と同様にして導電性複合繊維の作製を行なつた。
この繊維の制電性能は良好であつて、かつ耐久性も優れ
たものであつた(表1)。ただ熱可塑性エラストマーと
して水素添加SISを用いた場合と比べると除電性能の劣
るものであつた。
[実施例11] 第3アミンペンダントNBR(構造を以下に示す)を使
用し、鞘成分としてポリブチレンテレフタレートを使用
し、導電性複合繊維の作製を試みた。第3アミンペンダ
ントNBRの架橋剤として2,2′−ジクロルパラキシレンを
使用した(第3アミンペンダントNBRに対して1.5wt%添
加した。)導電性カーボンとの混合は210℃で行つた。
この複合繊維の抵抗値は108Ω/cm・fのレベルであり、
水素添加SISを用いた場合と比べると少し劣るものでは
あるが満足できる程度であり、かつ耐久性も優れたもの
であつた(表1)。
[比較例5] バインダーとして結晶性の熱可塑性樹脂である高密度
ポリエチレン(結晶化度70%)を使用し、導電性カーボ
ン粒子の混合率を40wt%として、導電性複合繊維を作成
した。この繊維の作製直後の制電性能は良好なものであ
つたが実着用2年後には制電性能は消失していた。
[比較例6] 繊維の太さを従来の導電性繊維なみの12.0デニールに
変更する以外は実施例1と同様の方法により導電性繊維
を得た。除電性能および耐久性能においては実施例1と
ほぼ同等であつたが、繊維が12デニールと太いことによ
り、織物の風合を損うと共に、導電性繊維の存在が目立
ち、外観を損うものであつた。
(本発明の効果) 以上、本発明は導電性カーボンブラツクを含む熱可塑
性エラストマーとの混合物と繊維形成性熱可塑性ポリマ
ーとを所定の条件を満足する方法で複合紡糸し、実着用
を長期間実施した後でも優れた除電性能を有している細
デニールの導電性繊維を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第8図は、本発明繊維の典型的な断面図であ
る。図中、Aが導電層ポリマー成分、Bが保護層ポリマ
ー成分をそれぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−289118(JP,A) 特開 昭63−270811(JP,A) 特開 昭61−201014(JP,A) 特開 昭59−9218(JP,A) 特開 昭49−50216(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 8/00 - 8/18 D01F 1/09 D01D 5/30

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性カーボンブラツクを15〜50重量%含
    有する熱可塑性エラストマーからなる導電ポリマー層
    (A)と、繊維形成性熱可塑性ポリマーからなる保護ポ
    リマー層(B)とが複合されてなり、且つ保護ポリマー
    層が繊維表面周長の60%以上を占有し、繊維全体重量の
    30重量%以上95重量%以下を形成し、しかも単繊維デニ
    ールが5デニール以下であることを特徴とする導電性繊
    維。
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