JP3140082B2 - 新規な弾性布帛 - Google Patents
新規な弾性布帛Info
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Description
トマーと架橋ポリウレタンとからなるコンジュゲート糸
を用いた新規な弾性布帛に関する。
タン弾性糸にナイロン、ポリエステル等の汎用糸と交編
交織したり、ナイロン、ポリエステル糸等を巻き付けた
いわゆるカバリング糸として、また他種繊維とひき揃え
て撚糸として用いられている。しかしながら、このウレ
タン弾性糸は、紡糸時の捲取り性及び糸の膠着、摩擦の
大きさのため各種糸加工、編み織り等の後工程での操業
性に問題がある。これらの改善のため、主として油剤か
らの対策が実施されており、例えばジメチルシリコン主
体の油剤中に金属石鹸、モノアミン類の添加などが開示
されている(特公昭40−5557号公報、特公昭46
−16312号公報)。また別の膠着防止法として、我
々は特公昭61−14245号公報に、鞘にウレタン、
芯に架橋したポリウレタンを配置した芯鞘型ポリウレタ
ン系コンジュゲート弾性糸の製造方法を提案している。
改善は、ある程度の効果は認められるものの完全ではな
く限度がある。即ち、紡糸して捲取る場合を考えてみる
と、糸の膠着を減少させれば綾落ち、捲崩れなどによっ
て長時間の捲取りが不可能となり易い。この傾向は捲取
り速度が大きくなるほど(例えば、500m/分以
上)、又捲取る際のボビンの径が小さくなるほど(例え
ば、直径100mm以下)顕著となる。一方、膠着を糸
にもたせれば、長時間の捲取り性は可能となるも、後工
程で糸の解除ができなくなるため重大なトラブルが発生
する。このように、油剤の微妙なコントロールだけで
は、対応がつかないことが多い。
ュゲート弾性糸の場合には、膠着は少なくなるものの完
全ではなく、紡糸時での高速でかつ小径ボビンでの長時
間捲取り性、たて取り性及び後工程での糸の取扱い性に
難点があった。
特有の欠点である膠着がなく紡糸時の長時間捲取りが可
能であり又、取扱い性に優れ且つ伸縮弾性に富んだ新規
なコンジュゲート弾性糸を用いた弾性布帛を提供するに
ある。
術で得られる布帛の問題点を解決するため芯鞘型コンジ
ュゲート弾性糸について鋭意研究を進め、本発明を完成
した。
系エラストマーを鞘とし、架橋ポリウレタンを芯とした
コンジュゲート糸であって、芯/鞘複合比が断面積比で
3〜90であるコンジュゲート糸を用いた事を特徴とす
る。
達成する芯成分の架橋ポリウレタンとは、通常の熱可塑
性ポリウレタンではなく、これに積極的に分子内に主と
してアロファネート架橋構造を導入した架橋型ポリウレ
タンである。
公昭58−46573号公報に記載の方法を利用すれば
良い。即ち、溶融した熱可塑性ポリウレタンにポリイソ
シアネートを注入混合し、紡糸中或いは紡糸後に反応を
完結させる方法である。ここで熱可塑性ポリウレタンと
は、分子中にウレタン結合、ウレア結合を有する広義の
ポリウレタンをいい、熱可塑性で溶融紡糸可能であれ
ば、綿状ウレタンでも一部架橋結合を有するウレタンで
も良い。
60〜98の範囲が好ましい。硬度が60未満になると
得られる糸の回復力が劣ること、また紡糸安定性が悪く
なることなどの問題が発生するため好ましくない。逆
に、硬度が98を超えるとポリウレタンそのものの回復
性が劣り捲縮構造によらなければ糸の回復力は望めない
し、また、該硬度のポリウレタンの最適紡糸条件範囲が
極めて狭い等の問題があるため好ましくなく、好適に
は、65〜95の範囲が良い。
外線安定剤、紫外線吸収剤、抗菌剤などを添加すること
も好ましい。
は、分子量300〜4000の2ないし3の範囲の官能
度の水酸基を持つ多官能ポリオールと、多官能イソシア
ネート(例えば、次フェニルメタンジイソシアネート、
3官能イソシアネート、或いはこれらの混合物でも良
い)との反応物を挙げることができる。このポリイソシ
アネートの官能度としては、ポリオール成分の計算平均
官能度が2.03〜2.8の間が、又、多官能イソシア
ネート成分としての平均官能度が、2.0〜2.8の範
囲のものを使用する事が好ましい。ポリオール成分の平
均官能度が2.0の場合には、ポリイソシアネートの中
にフリーのイソシアネート基を存在させることが望まし
く、例えば、イソシアネート基モル数/水酸基モル数の
比Rが2.0を越えるようにすれば良い。更に、このR
が2.1以上であれば芯成分の耐熱性が向上し好都合で
ある。
は、紡糸に供する熱可塑性ポリウレタンと該ポリイソシ
アネートとの混合物に対して5〜40重量%の範囲であ
ることが望ましい。添加量は、使用するポリイソシアネ
ートの種類により異なるものであるが、添加量が40重
量%を越えると混合不均一で紡糸が不安定となったり、
糸の機械的性質も不満足なものしか得られず、逆に5%
未満となると耐熱性が劣るので好ましくない。
アロファネート架橋結合を持つ架橋ポリウレタンを得る
事ができる。この際、この架橋構造が主としてビューレ
ット結合による場合には紡糸性が極端に悪くなるので好
ましくない。即ち、ビューレット架橋結合の生成速度が
アロファネート架橋結合のそれに比し大きいため、紡糸
中に系の粘度が上昇し安定な紡糸が不可能となり易いか
らである。
トマーとしては、ハードセグメントとして短鎖エステル
部、即ち芳香族ジカルボン酸と分子量約250以下の低
分子量ジオールからなり、ソウトセグメントとして長鎖
ポリエーテル部及び又は長鎖ポリエステル部から構成さ
れるエラストマーである。例えば、ハードセグメントを
構成する芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、
イソフタル酸、ビ安息香酸、2個のベンゼン核を有する
置換ジカルボキシ化合物、例えばビス(p−カルボキシ
フェニル)メタン、p−(オキシ(p−カルボキシフェ
ニル)安息香酸、エチレン−ビス(p−オキシ安息香
酸)、1,5−ナフタリンジカルボン酸などがあるが、
特にフェニレンジカルボン酸、即ちテレフタル酸及びイ
ソフタル酸が好ましい。一方、分子量約250以下の低
分子量ジオールとしてはエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチ
レングリコール、シクロヘキサンジメタノール、レゾル
シノール、ハイドロキノンなどがあり、特に好ましいの
は2〜8個の炭素原子を含む脂肪族ジオールである。
リエーテル部としては、分子量500〜6000のポリ
(1,2−及び1,3−プロピレン)グリコール、ポリ
テトラメチレングリコール、エチレンオキシドと1,2
−プロピレンオキシドのランダムもしくはブロック共重
合体などがあるが、好ましくはポリテトラメチレングリ
コールが良い。
肪族ラクトンジオール例えばポリカプロラクトンジオー
ル、ポリバレロラクトンジオール等があり、特にポリカ
プロラクトンジオールが好ましい。この他長鎖ポリエス
テル部として脂肪族ポリエステルジオール、例えばアジ
ピン酸、セバシン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボ
ン酸、グルタル酸、琥珀酸、蓚酸、アゼライン酸などの
2塩基酸と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコー
ルなどの低分子量ジオールとの反応物があり、特にポリ
ブチレンアジペートが好ましい。このようなポリエステ
ル系エラストマーの中でも特に、ハードセグメントがポ
リブチレンテレフタレート、ソフトセグメントが分子量
600〜3000のポリテトラメチレングリコールで構
成されているポリエステル/エーテル系エラストマーが
好ましい。
非常に大きいポリブチレンテレフタレートにする事によ
り、熱可塑性エラストマーの最大の特徴である成形性が
良くなるためであり、又低温特性の良いポリテトラメチ
レングリコールをソフトセグメントにする事により、低
温屈曲性、耐水性、耐疲労性等エラストマーとしてバラ
ンスの良い性質を有するものが得られるためである。
又、ポリエステル/エーテル系エラストマーよりも耐候
性、耐熱老化性を向上させるには、ポリエステル/エス
テル系エラストマー即ちハードセグメントとしてポリブ
チレンテレフタレート、ソフトセグメントとして分子量
600〜3000のポリカプロラクトンジオールからな
るエラストマーが好ましい。
どの艶消し剤、抗菌剤、導電剤、難燃剤などを添加させ
ることも可能である。
の芯/鞘成分の複合比は断面積比で3〜90の範囲が好
ましい。芯/鞘成分の比率が3未満になると得られる糸
の弾性回復性、高温下からの回復性、耐熱性が不足する
し、逆にこの比率が90を越えると、鞘成分が破れた
り、芯成分が糸表面に露出し易くなり、紡糸性、操業性
に悪影響を及ぼすので好ましくない。
分の重心が同一であることが紡糸安定性の面、得られる
糸の均一性の面からも好ましい。キドニータイプのよう
な極端な偏心でなければ多少の偏心も構わない。また、
該コンジュゲート糸の断面形状は、円形でも又、異形で
も構わない。ここで、重要なことは、コンジュゲート糸
の鞘が芯を完全に覆っていて、且つ鞘と芯の重心点が主
として同一であるので、芯鞘両成分の粘度バランスが多
少異なっても紡糸性が非常に良いことである。このこと
は、キドニータイプのような極端な偏心型の断面形状を
持つような糸においては、まねのできないことである。
弾性糸を使用して、通常ポリウレタン弾性糸が用いられ
ている方法と同様に、弾性布帛をつくる事ができる。例
えば、他種繊維(ナイロン、ポリエステル等)とひき揃
えて撚糸とし、あるいは本コンジュゲート弾性糸をコア
ヤーンとするカバリング糸の形で編織布とする方法、さ
らには本コンジュゲート弾性糸からなる糸と多種繊維か
らなる糸を交編織する方法などがいずれも利用できる。
較的組織の荒い用途織編物では5重量%以上含んだもの
であればよく、10重量%以上含んでいるのが好まし
い。更に水着、スラックスなどの比較的組織の密な用途
織編物でも15重量%以上含んでいれば良い。
リエステル系エラストマーであるため、耐熱性もポリウ
レタン単独糸より良好である。例えば、本発明糸を室温
にて30%伸長した後、190℃の空気雰囲気中に1分
間置き、次いで室温下に緩和させた場合でも、全く溶融
切断することはない。
即ち、紡糸した糸を捲返しなどせずにそのまま後工程に
流すことができるし、又、いわゆるたて取りも可能であ
る。
ルジョン糸でよく工業生産上有利であるという特徴を有
している。
ゲート弾性糸を用いた弾性布帛は従来のポリウレタン糸
にない操業性、品質を併せ持つに至る。従って、ストッ
キング、水着、ソックス、インナー等の弾性布帛として
好適に用いる事ができる。
るが、本発明はこれにより限定されるものではない。
ル%とp,p′−ジフェニルメタンジイソシアネート5
0モル%及び、鎖延長剤として1,4−ブタンジオール
32モル%を用いて、常法により合成した。このものの
ジメチルホルムアミド中25℃で測定した濃度1g/1
00mlでの相対粘度は2.13であった。
3.3モル%、数平均分子量1250のポリカプロラク
トントリオール13.3モル%(ポリオール成分の計算
平均官能度=2.5)と、p,p′−ジフェニルメタン
ジイソシアネート73.3モル%とを反応させこの化合
物を得た。
レル4047(東レ・デュポン(株)社製)を用いた。
ポリイソシアネート15重量%を公知の供給装置で注入
し、静止型混練素子40エレメントを有するスタティッ
クミキサー(ケニックス社製)にて両成分を混練して芯
成分とし、他方上記ポリエステル系エラストマーを別の
押出機により溶融し各々別々に計量して、同心円上の芯
鞘コンジュゲート口金(ノズル径0.5mm)に導き、
紡糸速度600m/分にて外径85mmのボビンに繊度
40デニールのコンジュゲートモノフィラメントを得
た。この際、油剤はポリエステル繊維編み用エマルジョ
ン油剤を用いた。
ーから上記熱可塑性ポリウレタンにして同様に複合紡糸
した。この時の紡糸油剤として、イソシアネート基失活
剤であるアミノ変性シリコンを5重量%、0.1重量%
含むジメチルシリコン主体の油剤を付与して捲取った
(それぞれ比較例1−2、1−3)。
−緩和を2回繰り返した後、次式で計算される値であ
り、この値が大きいほど、回復性に優れている事を示
す。
ジュゲート糸を50m/分の速度で解舒するとき、ボビ
ン表面の膠着のため糸の解舒が不可能となったときのボ
ビン表面速度と捲き取りローラの表面速度との比であ
る。
となるよう単糸を合糸し(例えば、40dであれば10
本の糸をつくる)、図1に示す交叉法により2次張力
(T2)を測定する。図1において、初荷重(T1)は
1g、糸交叉回数は1回撚(360°回転)、糸速は2
cm/分である。
径85mmボビンに捲くとき綾落ち、捲崩れをすること
なしに捲取れる時間である。
1−2のように膠着をなくすと紡糸捲取り性は48分と
不良であるが、逆に比較例1−3のように膠着させる
と、捲取り性は良くなるもののこの糸は捲返ししなけれ
ば後工程では使用不可であり、又たてどり性も不良であ
った。
が2/1となると糸の回復性が悪くなるのに比し、複合
比が4/1、20/1の実施例1−1、1−2のコンジ
ュゲート糸はその回復性が良くなっている事が分かる。
又、解舒性、たてどり性、繊維間摩擦などが非常に良好
である事も分かる。しかし、この複合比が比較例1−4
のように100/1となると解舒性、繊維間摩擦などで
変動が生じて取扱い性が不良となっている。これは、鞘
部分が破れ芯のポリウレタンが露出しているためと考え
られる。
た(比較例1−3の糸は捲返した後の糸を用いた)。
本の整経ビームをとった。 整経機:KMDSE210−OPW(KARL MAY
ER 社製) ・整経条件:送り出しローラ(クリール速度) 150m/分 テンションローラ 340m/分 ビーム速度 300m/分
み立てを実施した(なお、ナイロン側の整経本数は62
4本とした)。 ・ナイロン/コンジュゲート糸の糸比率:ナイロン(5
0d/24f)/コンジュゲート糸(40d/1f)=
82%/18% ・編み機:KEIII (KARL MAYER 社製) 速度(1300rpm)×28ゲージコンパウンドニー
ドル ・編み組織:ハーフトリコット
セットをしネービーブルーに染色した。この後、170
℃でセットし水着に縫製した。
切れのために止めた回数を106m当たりに換算した値
である。編み立て性とは、1反当たり編み立て時に切れ
た回数である。水着におけるたて筋とは、5級がほとん
ど立て筋が認められなく良好であり、次いで6、7、8
級とたて方向の筋が顕著となり、9級の場合には製品と
して不良であることを表す。
向(よこ方向)にそれぞれ80%の伸長−回復を3回繰
り返した時、次式で計算される値である。
る。
としての品位が本発明例の方が優れている事が分かる。
Claims (2)
- 【請求項1】 ポリエステル系エラストマーを鞘とし、
架橋ポリウレタンを芯としたコンジュゲート糸であっ
て、芯/鞘複合比が断面積比で3〜90であることを特
徴とするコンジュゲート糸を用いた弾性布帛。 - 【請求項2】 芯成分中のポリウレタンの架橋がポリイ
ソシアネートによる請求項1記載のコンジュゲート糸を
用いた弾性布帛。
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1991
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