JP2801147B2 - 溶接方法 - Google Patents
溶接方法Info
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- JP2801147B2 JP2801147B2 JP6157269A JP15726994A JP2801147B2 JP 2801147 B2 JP2801147 B2 JP 2801147B2 JP 6157269 A JP6157269 A JP 6157269A JP 15726994 A JP15726994 A JP 15726994A JP 2801147 B2 JP2801147 B2 JP 2801147B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄板高張力鋼板の溶接に
好適の溶接用ソリッドワイヤ及び溶接方法に関し、特に
継手疲労特性が優れた隅肉溶接部が得られる溶接用ソリ
ッドワイヤ及び溶接方法に関する。
好適の溶接用ソリッドワイヤ及び溶接方法に関し、特に
継手疲労特性が優れた隅肉溶接部が得られる溶接用ソリ
ッドワイヤ及び溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、薄板高張力鋼板を隅肉溶接する場
合には、ソリッドワイヤが多く使用されている。しか
し、溶接に使用するワイヤ組成及び溶接条件が溶接継手
の疲労強度に与える影響については未だ研究がなされて
いない。
合には、ソリッドワイヤが多く使用されている。しか
し、溶接に使用するワイヤ組成及び溶接条件が溶接継手
の疲労強度に与える影響については未だ研究がなされて
いない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の高張力鋼板の溶接においては、溶接ワイヤの組成及び
溶接条件が溶接継手の疲労強度に与える影響については
考慮されていないため、溶接継手の疲労強度が十分でな
い場合があるという問題点がある。この場合、高張力鋼
板本来の疲労強度を発揮することができない。
の高張力鋼板の溶接においては、溶接ワイヤの組成及び
溶接条件が溶接継手の疲労強度に与える影響については
考慮されていないため、溶接継手の疲労強度が十分でな
い場合があるという問題点がある。この場合、高張力鋼
板本来の疲労強度を発揮することができない。
【0004】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、疲労強度が優れた溶接継手を得ることがで
き、高張力鋼板本来の疲労強度を十分に生かすことがで
きる溶接用ソリッドワイヤ及び溶接方法を提供すること
を目的とする。
のであって、疲労強度が優れた溶接継手を得ることがで
き、高張力鋼板本来の疲労強度を十分に生かすことがで
きる溶接用ソリッドワイヤ及び溶接方法を提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る溶接方法に
使用する溶接ワイヤは、C;0.01乃至0.40重量
%、Si;0.05乃至2.00重量%及びMn;0.
20乃至3.00重量%を含有すると共に、Ni;0.
5乃至5.0重量%、Cr;0.005乃至3.00重
量%、Mo;0.10乃至2.00重量%、V;0.0
1乃至1.00重量%、Nb;0.01乃至1.00重
量%、Ti;0.01乃至1.00重量%、Al;0.
01乃至1.00重量%、Zr;0.01乃至1.00
重量%、Cu;0.05乃至1.50重量%、B;0.
0005乃至0.0500重量%、Ca;0.001乃
至0.050重量%及び希土類元素;0.001乃至
0.050重量%からなる群から選択された少なくとも
1種の元素を含有し、P含有量を0.05重量%以下、
S含有量を0.05重量%以下に規制し、残部が鉄及び
不可避的不純物からなり、且つ、下記数式で示す炭素当
量Weqが0.15乃至0.70である溶接用ソリッドワ
イヤである。
使用する溶接ワイヤは、C;0.01乃至0.40重量
%、Si;0.05乃至2.00重量%及びMn;0.
20乃至3.00重量%を含有すると共に、Ni;0.
5乃至5.0重量%、Cr;0.005乃至3.00重
量%、Mo;0.10乃至2.00重量%、V;0.0
1乃至1.00重量%、Nb;0.01乃至1.00重
量%、Ti;0.01乃至1.00重量%、Al;0.
01乃至1.00重量%、Zr;0.01乃至1.00
重量%、Cu;0.05乃至1.50重量%、B;0.
0005乃至0.0500重量%、Ca;0.001乃
至0.050重量%及び希土類元素;0.001乃至
0.050重量%からなる群から選択された少なくとも
1種の元素を含有し、P含有量を0.05重量%以下、
S含有量を0.05重量%以下に規制し、残部が鉄及び
不可避的不純物からなり、且つ、下記数式で示す炭素当
量Weqが0.15乃至0.70である溶接用ソリッドワ
イヤである。
【0006】
【数1】Weq=[C]+[Si]/24+[Mn]/6
+[Ni]/60+[Cr]/5+[Mo]/4+
[V]/14+[Nb]+[Ti]/14 但し、[M]はワイヤ中の成分Mの含有量(重量%)本
発明に係る溶接方法は、上記溶接用ソリッドワイヤを使
用し、溶接電圧Vaを下記数式2で示す範囲内に設定
し、溶接電流が溶接電流が50乃至500A、溶接速度
が5乃至250cm/分の条件で、、厚さが0.5乃至
7.0mmの高張力鋼板を1パスで重ね隅肉溶接するこ
とを特徴とする。
+[Ni]/60+[Cr]/5+[Mo]/4+
[V]/14+[Nb]+[Ti]/14 但し、[M]はワイヤ中の成分Mの含有量(重量%)本
発明に係る溶接方法は、上記溶接用ソリッドワイヤを使
用し、溶接電圧Vaを下記数式2で示す範囲内に設定
し、溶接電流が溶接電流が50乃至500A、溶接速度
が5乃至250cm/分の条件で、、厚さが0.5乃至
7.0mmの高張力鋼板を1パスで重ね隅肉溶接するこ
とを特徴とする。
【0007】
【数2】VL≦Va≦VH 但し、VL及びVHは夫々下記数式3及び4にて表され
る。
る。
【0008】
【数3】VL=7.96×10-8×A3−1.12×10-4×A2+0.1
1×A+9.43+P1+P2−Weq×5−4
1×A+9.43+P1+P2−Weq×5−4
【0009】
【数4】VH=7.96×10-8×A3−1.12×10-4×A2+0.1
1×A+9.43+P1+P2 また、A、P1及びP2は下記表1に示す値をとる。
1×A+9.43+P1+P2 また、A、P1及びP2は下記表1に示す値をとる。
【0010】
【表1】
【0011】
【作用】本願発明者等は、溶接ビード形状と疲労強度と
の関係について調査し、母材に対するビード止端部形状
が継手の疲労強度と密接な関係があることを見い出し
た。その結果、ビード止端部の曲率半径ρが大きいほど
疲労強度が高く、疲労特性が優れた継手になるという知
見を得た。
の関係について調査し、母材に対するビード止端部形状
が継手の疲労強度と密接な関係があることを見い出し
た。その結果、ビード止端部の曲率半径ρが大きいほど
疲労強度が高く、疲労特性が優れた継手になるという知
見を得た。
【0012】図1(a)に示すように、溶接母材1上に
母材2を重ね、母材1、2を水平隅肉溶接してビード3
を形成した場合、そのビード止端部4は、図1(b)に
拡大して示すように、下に凸の形状で曲率半径ρで湾曲
している。このビード止端部4の曲率半径ρが大きいほ
ど、ビード3の裾野は滑らかに母材1と接触する。
母材2を重ね、母材1、2を水平隅肉溶接してビード3
を形成した場合、そのビード止端部4は、図1(b)に
拡大して示すように、下に凸の形状で曲率半径ρで湾曲
している。このビード止端部4の曲率半径ρが大きいほ
ど、ビード3の裾野は滑らかに母材1と接触する。
【0013】図2は横軸に止端部曲率半径ρをとり、縦
軸に時間強さ(母材1、2で構成される継手に106回
の曲げを加えても破壊しない場合の母材1、2間の応力
の上限値)をとって、疲労試験結果を示すグラフ図であ
る。この疲労試験方法は、平面曲げ疲労試験機を使用
し、応力負荷として両振りの正弦波応力を印加して行っ
たものである。鋼板(母材)は薄板高張力鋼板(50k
gf級高張力鋼HT50及び80kgf級高張力鋼HT
80)である。この図2から明らかなように、止端部曲
率半径ρが大きくなるほど、時間強さσが大きくなり、
疲労強度が高くなることがわかる。
軸に時間強さ(母材1、2で構成される継手に106回
の曲げを加えても破壊しない場合の母材1、2間の応力
の上限値)をとって、疲労試験結果を示すグラフ図であ
る。この疲労試験方法は、平面曲げ疲労試験機を使用
し、応力負荷として両振りの正弦波応力を印加して行っ
たものである。鋼板(母材)は薄板高張力鋼板(50k
gf級高張力鋼HT50及び80kgf級高張力鋼HT
80)である。この図2から明らかなように、止端部曲
率半径ρが大きくなるほど、時間強さσが大きくなり、
疲労強度が高くなることがわかる。
【0014】本発明はこのような知見に基づき、薄板高
張力鋼の溶接において、ビード止端部の曲率半径ρが大
きくなるような溶接ソリッドワイヤを開発することによ
り、疲労強度が極めて高く、良好な継手を得ようとした
ものである。
張力鋼の溶接において、ビード止端部の曲率半径ρが大
きくなるような溶接ソリッドワイヤを開発することによ
り、疲労強度が極めて高く、良好な継手を得ようとした
ものである。
【0015】本願発明者等は、前記課題を解決するため
に鋭意研究を重ねた結果、ワイヤ組成から導き出される
炭素当量Weqと、適正な止端部曲率半径が得られる適正
溶接電圧Vaの範囲との間に相関があることを見い出
し、本発明を完成したものである。また、本発明におい
ては、適正溶接電圧範囲の他の溶接施工条件、前進後退
角及びトーチ角度についてもより好ましいビード止端部
曲率半径が得られる範囲を規定した。図3は母材1、2
を重ね、その端部を水平隅肉溶接する場合に、溶接トー
チ5を図中矢印にて示す方向に移動させて溶接する状態
を示す。この図3において、溶接トーチの水平方向に対
する傾斜角度をθ2とし、溶接線に垂直の方向に対して
傾斜する角度を前進角θ1とする。
に鋭意研究を重ねた結果、ワイヤ組成から導き出される
炭素当量Weqと、適正な止端部曲率半径が得られる適正
溶接電圧Vaの範囲との間に相関があることを見い出
し、本発明を完成したものである。また、本発明におい
ては、適正溶接電圧範囲の他の溶接施工条件、前進後退
角及びトーチ角度についてもより好ましいビード止端部
曲率半径が得られる範囲を規定した。図3は母材1、2
を重ね、その端部を水平隅肉溶接する場合に、溶接トー
チ5を図中矢印にて示す方向に移動させて溶接する状態
を示す。この図3において、溶接トーチの水平方向に対
する傾斜角度をθ2とし、溶接線に垂直の方向に対して
傾斜する角度を前進角θ1とする。
【0016】次に、本発明にて規定したソリッドワイヤ
の組成の成分添加理由及び組成限定理由について説明す
る。
の組成の成分添加理由及び組成限定理由について説明す
る。
【0017】C(炭素) Cは、鋼の強度を向上させる。しかし、ワイヤ成分の溶
接金属中への歩留まりを考慮すると、0.01重量%未
満では溶接金属の所望の強度を確保することができな
い。一方、C含有量が0.40重量%を超えると、溶接
性の劣化を招来すると共に、高炭素マルテンサイトを生
成し、靱性が劣化する。従って、C含有量は0.01乃
至0.40重量%とする。
接金属中への歩留まりを考慮すると、0.01重量%未
満では溶接金属の所望の強度を確保することができな
い。一方、C含有量が0.40重量%を超えると、溶接
性の劣化を招来すると共に、高炭素マルテンサイトを生
成し、靱性が劣化する。従って、C含有量は0.01乃
至0.40重量%とする。
【0018】Si(シリコン) Siは、鋼の強度上昇に有効であると共に、強力な脱酸
効果を有する元素である。ワイヤ中にSiを含有するこ
とにより、気泡の発生及び溶接金属の酸化を防止するこ
とができる。しかし、Si含有量が0.05重量%未満
の場合は、上述の効果を得ることができない。一方、S
i含有量が2.00重量%を超えると、溶接金属の靱性
が著しく劣化する。従って、Si含有量は0.05乃至
2.00重量%とする。
効果を有する元素である。ワイヤ中にSiを含有するこ
とにより、気泡の発生及び溶接金属の酸化を防止するこ
とができる。しかし、Si含有量が0.05重量%未満
の場合は、上述の効果を得ることができない。一方、S
i含有量が2.00重量%を超えると、溶接金属の靱性
が著しく劣化する。従って、Si含有量は0.05乃至
2.00重量%とする。
【0019】Mn(マンガン) Mnは、固溶強化、変態強化及び結晶粒微細化強化等の
作用により、鋼の強度と靱性の双方を向上させる効果が
ある。しかし、Mn含有量が0.20重量%未満の場合
は上述の効果を得ることができない。一方、Mn含有量
が3.00重量%を超えると、一次晶粒界が発達して粒
界破壊が生じるようになり、耐割れ性及び靱性が著しく
劣化する。このため、Mn含有量は0.20乃至3.0
0重量%とする。
作用により、鋼の強度と靱性の双方を向上させる効果が
ある。しかし、Mn含有量が0.20重量%未満の場合
は上述の効果を得ることができない。一方、Mn含有量
が3.00重量%を超えると、一次晶粒界が発達して粒
界破壊が生じるようになり、耐割れ性及び靱性が著しく
劣化する。このため、Mn含有量は0.20乃至3.0
0重量%とする。
【0020】P(リン) P含有量が0.050重量%を超える場合は、フェライ
ト中に固溶したPにより、マトリックスの靱性が損なわ
れるだけでなく、溶接割れの原因にもなる。このため、
P含有量は0.050重量%以下に規制する必要があ
る。
ト中に固溶したPにより、マトリックスの靱性が損なわ
れるだけでなく、溶接割れの原因にもなる。このため、
P含有量は0.050重量%以下に規制する必要があ
る。
【0021】S(硫黄) S含有量が0.050重量%を超えると、Pの場合と同
様に、溶接金属部の延性の低下及び溶接金属部の耐割れ
性の劣化を招来する。このため、S含有量は0.050
重量%以下とすることが必要である。
様に、溶接金属部の延性の低下及び溶接金属部の耐割れ
性の劣化を招来する。このため、S含有量は0.050
重量%以下とすることが必要である。
【0022】更に、上記必須元素に加えて、下記元素を
選択して1種類以上添加することにより、溶接金属の機
械的性質の改善、特に強度及び延性の向上、靱性の強化
を図ることができる。
選択して1種類以上添加することにより、溶接金属の機
械的性質の改善、特に強度及び延性の向上、靱性の強化
を図ることができる。
【0023】Al(アルミニウム) Alは、鋼の脱酸効果を有する元素である。しかし、A
l含有量が0.01重量%未満の場合は、脱酸効果が十
分でない。一方、Al含有量が1.00重量%を超える
と、脱酸生成物であるAl2O3が溶接金属中に多く残存
するようになるため、脱酸効果が消失すると共に、靱性
が大幅に劣化する。このため、Alを含有する場合は、
その含有量を0.01乃至1.00重量%とする。ま
た、不可避的不純物量は0.01重量%未満とする。
l含有量が0.01重量%未満の場合は、脱酸効果が十
分でない。一方、Al含有量が1.00重量%を超える
と、脱酸生成物であるAl2O3が溶接金属中に多く残存
するようになるため、脱酸効果が消失すると共に、靱性
が大幅に劣化する。このため、Alを含有する場合は、
その含有量を0.01乃至1.00重量%とする。ま
た、不可避的不純物量は0.01重量%未満とする。
【0024】Ni(ニッケル) Niは、溶接金属の靱性改善及び強度向上に有効な元素
である。しかし、Ni含有量が0.5重量%未満の場合
は、上述の効果を得ることができない。また、Ni含有
量が5.0重量%を超えると、一次晶粒界が発達し、逆
に脆化してしまう。このため、Niを含有する場合は、
その含有量を0.5乃至5.0重量%とする。また、不
可避的不純物量は0.5重量%未満とする。
である。しかし、Ni含有量が0.5重量%未満の場合
は、上述の効果を得ることができない。また、Ni含有
量が5.0重量%を超えると、一次晶粒界が発達し、逆
に脆化してしまう。このため、Niを含有する場合は、
その含有量を0.5乃至5.0重量%とする。また、不
可避的不純物量は0.5重量%未満とする。
【0025】Cr(クロム) Crは、溶接金属部を強靱化すると共に、酸化物皮膜に
よる耐蝕性向上及び高温強度向上等の効果がある。しか
し、Cr含有量が0.005重量%未満の場合は、上述
の効果を得ることができない。また、Cr含有量が3.
00重量%を超えると、自硬性が高くなり、耐割れ性が
低下する。このため、Crを含有する場合は、その含有
量を0.005乃至3.00重量%とする。また、不可
避的不純物量は0.005重量%未満とする。
よる耐蝕性向上及び高温強度向上等の効果がある。しか
し、Cr含有量が0.005重量%未満の場合は、上述
の効果を得ることができない。また、Cr含有量が3.
00重量%を超えると、自硬性が高くなり、耐割れ性が
低下する。このため、Crを含有する場合は、その含有
量を0.005乃至3.00重量%とする。また、不可
避的不純物量は0.005重量%未満とする。
【0026】Mo(モリブデン) Moは、溶接金属の焼入れ性を高めるという効果があ
り、その強度向上に寄与する。しかし、Mo含有量が
0.10重量%未満の場合は、上述の効果を得ることが
できない。一方、Mo含有量が2.00重量%を超える
と、炭化物が生成され、靱性が著しく低下する。このた
め、Moを含有する場合は、その含有量を0.10乃至
2.00重量%とする。また、不可避的不純物量は0.
10重量%未満とする。
り、その強度向上に寄与する。しかし、Mo含有量が
0.10重量%未満の場合は、上述の効果を得ることが
できない。一方、Mo含有量が2.00重量%を超える
と、炭化物が生成され、靱性が著しく低下する。このた
め、Moを含有する場合は、その含有量を0.10乃至
2.00重量%とする。また、不可避的不純物量は0.
10重量%未満とする。
【0027】Ti,Zr(チタン、ジルコニウム) Ti及びZrはいずれも強脱酸剤であり、溶着金属の酸
化を防止する。また、Ti及びZrは酸化物を生成する
ので、析出効果による強度上昇と、組織の微細化による
靱性の改善に効果がある。しかし、Ti含有量が0.0
1重量%未満の場合は、上述の効果を得ることができ
ず、Ti含有量が1.00重量%を超えると、溶接性が
劣化すると共に、炭化物の形成及び析出により靱性が大
幅に低下する。また、これと同様に、Zr含有量が0.
01重量%未満の場合も、上述の効果を得ることができ
ず、Zr含有量が1.00重量%を超えると、溶接性が
劣化すると共に、炭化物の形成及び析出により靱性が大
幅に低下する。このため、Tiを含有する場合は、その
含有量を0.01乃至1.00重量%とし、Zrを含有
する場合は、その含有量を0.01乃至1.00重量%
とする。また、Ti及びZrの不可避的不純物量は夫々
0.01重量%未満とする。
化を防止する。また、Ti及びZrは酸化物を生成する
ので、析出効果による強度上昇と、組織の微細化による
靱性の改善に効果がある。しかし、Ti含有量が0.0
1重量%未満の場合は、上述の効果を得ることができ
ず、Ti含有量が1.00重量%を超えると、溶接性が
劣化すると共に、炭化物の形成及び析出により靱性が大
幅に低下する。また、これと同様に、Zr含有量が0.
01重量%未満の場合も、上述の効果を得ることができ
ず、Zr含有量が1.00重量%を超えると、溶接性が
劣化すると共に、炭化物の形成及び析出により靱性が大
幅に低下する。このため、Tiを含有する場合は、その
含有量を0.01乃至1.00重量%とし、Zrを含有
する場合は、その含有量を0.01乃至1.00重量%
とする。また、Ti及びZrの不可避的不純物量は夫々
0.01重量%未満とする。
【0028】Nb、V(ニオブ、バナジウム) Nb及びVは強度上昇、高温強度向上及び靱性改善のた
めに添加される。しかし、Nb及びVは夫々0.01重
量%未満ではこの効果を期待できず、また、夫々1.0
0重量%を超えると、炭化物の生成により、靱性及び耐
割れ性の低下が生じる。従って、ワイヤ中のNb及びV
の含有量は夫々0.01〜1.00重量%とする。
めに添加される。しかし、Nb及びVは夫々0.01重
量%未満ではこの効果を期待できず、また、夫々1.0
0重量%を超えると、炭化物の生成により、靱性及び耐
割れ性の低下が生じる。従って、ワイヤ中のNb及びV
の含有量は夫々0.01〜1.00重量%とする。
【0029】なお、Nb及びVはそれを添加せず、不可
避的不純物としてのみ許容する場合には、この不可避的
不純物量は夫々0.01重量%未満とする。
避的不純物としてのみ許容する場合には、この不可避的
不純物量は夫々0.01重量%未満とする。
【0030】Cu(銅) Cuは防食効果のある非晶質の皮膜を形成する働きがあ
る。この効果はCu含有量が0.05重量%未満では認
められず、1.50重量%を超えるとその効果は飽和
し、逆に溶接割れなどの弊害が生じる。従って、ワイヤ
のCu含有量は0.05〜1.50重量%とする。
る。この効果はCu含有量が0.05重量%未満では認
められず、1.50重量%を超えるとその効果は飽和
し、逆に溶接割れなどの弊害が生じる。従って、ワイヤ
のCu含有量は0.05〜1.50重量%とする。
【0031】なお、Cuが不可避的不純物として含まれ
る場合には、その不可避的不純物量は、0.05重量%
未満とする。
る場合には、その不可避的不純物量は、0.05重量%
未満とする。
【0032】また、ワイヤにCuメッキが施されている
場合は、メッキCu量も含めたCu含有量をワイヤのC
u含有量とする。
場合は、メッキCu量も含めたCu含有量をワイヤのC
u含有量とする。
【0033】Ca(カルシウム)及び希土類元素(RE
M) Ca及びREMは主に溶接金属の強度上昇、延性の向
上、アークの安定化に有効な元素であり、そのためには
夫々0.001重量%以上含有する必要がある。しか
し、これらの元素を夫々0.050重量%を超えて添加
すると鋼中の非金属介在物が多くなり、延性を劣化させ
る。従って、ワイヤのCa及びREMの含有量は夫々
0.001〜0.050重量%とする。なお、REM
(希土類元素)は原子番号57〜71の全ての元素をさ
す。
M) Ca及びREMは主に溶接金属の強度上昇、延性の向
上、アークの安定化に有効な元素であり、そのためには
夫々0.001重量%以上含有する必要がある。しか
し、これらの元素を夫々0.050重量%を超えて添加
すると鋼中の非金属介在物が多くなり、延性を劣化させ
る。従って、ワイヤのCa及びREMの含有量は夫々
0.001〜0.050重量%とする。なお、REM
(希土類元素)は原子番号57〜71の全ての元素をさ
す。
【0034】また、Ca、REMの不可避的不純物量は
夫々0.001重量%未満とする。
夫々0.001重量%未満とする。
【0035】B(ボロン) Bは微量添加することで、組織を微細にし、優れた低温
靱性を付与する元素である。しかし、0.0005重量
%未満の含有量ではこのような効果は期待できない。一
方、0.0500重量%を超えてBを含有すると、著し
く耐溶接割れ性が悪化する。従って、Bの含有量は0.
0005〜0.0500重量%とする。なお、Bの不可
避的不純物は0.0005重量%未満とする。
靱性を付与する元素である。しかし、0.0005重量
%未満の含有量ではこのような効果は期待できない。一
方、0.0500重量%を超えてBを含有すると、著し
く耐溶接割れ性が悪化する。従って、Bの含有量は0.
0005〜0.0500重量%とする。なお、Bの不可
避的不純物は0.0005重量%未満とする。
【0036】炭素当量Weq:0.15≦Weq≦0.70 炭素当量Weqが0.15未満では、どのような溶接条件
で溶接しても、止端部の溶接金属と母材とのなじみが悪
く、止端部形状が悪い。このため、良好な疲労特性は期
待できない。炭素当量Weqが大きくなるにつれ、止端部
形状は滑らかとなるが、炭素当量が0.70を超える
と、溶接作業性が悪く、正常な溶接部が得られない。こ
のような理由で、Weqは0.15〜0.70とする。
で溶接しても、止端部の溶接金属と母材とのなじみが悪
く、止端部形状が悪い。このため、良好な疲労特性は期
待できない。炭素当量Weqが大きくなるにつれ、止端部
形状は滑らかとなるが、炭素当量が0.70を超える
と、溶接作業性が悪く、正常な溶接部が得られない。こ
のような理由で、Weqは0.15〜0.70とする。
【0037】好ましくは、炭素当量Weqは0.25乃至
0.70、更に好ましくは、炭素当量Weqは0.35乃
至0.70である。
0.70、更に好ましくは、炭素当量Weqは0.35乃
至0.70である。
【0038】なお、炭素当量は前記1式に基づいて算出
するが、このWeqの定義式中の各成分項については、そ
の成分が不可避的不純物の場合でも、その含有量を代入
することとする。各成分について検出限界以下の含有量
では夫々0として代入することとする。
するが、このWeqの定義式中の各成分項については、そ
の成分が不可避的不純物の場合でも、その含有量を代入
することとする。各成分について検出限界以下の含有量
では夫々0として代入することとする。
【0039】次に、本発明の溶接方法の溶接条件につい
て説明する。
て説明する。
【0040】溶接電流A:50〜500A 一般のアーク溶接では溶接電流が50A未満ではアーク
が不安定であり、溶接は不能である。よって、溶接電流
の下限を50Aとする。溶接電流が500Aを超える
と、シールド不良及びビード形状不良等の問題が発生し
易い。このため、溶接電流は500Aを上限とする。
が不安定であり、溶接は不能である。よって、溶接電流
の下限を50Aとする。溶接電流が500Aを超える
と、シールド不良及びビード形状不良等の問題が発生し
易い。このため、溶接電流は500Aを上限とする。
【0041】溶接速度γ:5cm/分〜250cm/分 溶接速度が5cm/分未満では、どのような溶接条件で
も、アークが溶融した溶接金属上に埋もれた状態とな
り、アークが不安定になると共にビード形状が悪化す
る。よって、5cm/分を溶接速度の下限とする。ま
た、溶接速度が250cm/分を超えると、溶接速度が
速すぎてアークが持続しなくなり、ハンピングビードに
なってしまう。よって、250cm/分を溶接速度の上
限とする。
も、アークが溶融した溶接金属上に埋もれた状態とな
り、アークが不安定になると共にビード形状が悪化す
る。よって、5cm/分を溶接速度の下限とする。ま
た、溶接速度が250cm/分を超えると、溶接速度が
速すぎてアークが持続しなくなり、ハンピングビードに
なってしまう。よって、250cm/分を溶接速度の上
限とする。
【0042】溶接電圧:VL≦Va≦VH 但し、これらのVL,Va,VHは前記数式2、3、4に
より表される。即ち、 Va=適正溶接電圧(V) VH=7.96×10-8×A3−1.12×10-4×A2+0.11×A+
9.43+P1+P2−Weq×5−4 VL=7.96×10-8×A3−1.12×10-4×A2+0.11×A+
9.43+P1+P2 また、A、P1、P2は表1に示す値をとり、炭素当量W
eqは前記数式1により表される。
より表される。即ち、 Va=適正溶接電圧(V) VH=7.96×10-8×A3−1.12×10-4×A2+0.11×A+
9.43+P1+P2−Weq×5−4 VL=7.96×10-8×A3−1.12×10-4×A2+0.11×A+
9.43+P1+P2 また、A、P1、P2は表1に示す値をとり、炭素当量W
eqは前記数式1により表される。
【0043】図4は横軸に溶接電圧をとり、縦軸に曲率
半径ρをとって、溶接電圧、炭素当量Weq及び曲率半径
ρの関係を示すグラフ図である。この図4にみるよう
に、溶接電圧が高くなるにつれて、ビード止端部の曲率
半径ρは大きくなり、溶接継手の疲労強度が向上する。
半径ρをとって、溶接電圧、炭素当量Weq及び曲率半径
ρの関係を示すグラフ図である。この図4にみるよう
に、溶接電圧が高くなるにつれて、ビード止端部の曲率
半径ρは大きくなり、溶接継手の疲労強度が向上する。
【0044】しかしながら、溶接電流、シールドガス組
成、溶接速度によって決まる電圧VHより高い電圧にな
ると、アンダーカットが発生し、継手として不良になっ
てしまう。よって、適正溶接電圧Vaの上限はVHで定義
される値とする。
成、溶接速度によって決まる電圧VHより高い電圧にな
ると、アンダーカットが発生し、継手として不良になっ
てしまう。よって、適正溶接電圧Vaの上限はVHで定義
される値とする。
【0045】逆に、溶接電圧が低くなるにつれて、止端
部の曲率半径ρは小さくなる。しかし、その傾向はワイ
ヤ組成によって異なる。発明者等はWeqで定義する炭素
当量が大きいワイヤほど同一電圧ではビード止端部の曲
率半径ρが大きいという事実を見い出した。図2から、
止端部曲率半径ρが0.05mm未満では急激に疲労強
度が悪化することが分かる。このことから、良好な疲労
強度を得るのに必要とされる止端部曲率半径ρ=0.0
5mmが得られる最低溶接電圧をVLと定義し、これを
適正溶接電圧の下限値とする。VLは溶接電流、シール
ドガス組成及び溶接速度の他、炭素当量Weqの関数にな
っている。このVL未満の溶接電圧では、止端部曲率半
径が小さく、その結果、継手の疲労強度が小さくなる。
以上のことから、適正溶接電圧はVL以上VH以下であ
る。
部の曲率半径ρは小さくなる。しかし、その傾向はワイ
ヤ組成によって異なる。発明者等はWeqで定義する炭素
当量が大きいワイヤほど同一電圧ではビード止端部の曲
率半径ρが大きいという事実を見い出した。図2から、
止端部曲率半径ρが0.05mm未満では急激に疲労強
度が悪化することが分かる。このことから、良好な疲労
強度を得るのに必要とされる止端部曲率半径ρ=0.0
5mmが得られる最低溶接電圧をVLと定義し、これを
適正溶接電圧の下限値とする。VLは溶接電流、シール
ドガス組成及び溶接速度の他、炭素当量Weqの関数にな
っている。このVL未満の溶接電圧では、止端部曲率半
径が小さく、その結果、継手の疲労強度が小さくなる。
以上のことから、適正溶接電圧はVL以上VH以下であ
る。
【0046】薄板高張力鋼板の板厚 0.5〜7.0m
m 板厚が7.0mm超えると1パスで溶接することが難し
くなり、また、大電流を必要とすることにより、シール
ド性の悪化及びビード形状不良が起こりやすくなる。逆
に、板厚が0.5mm未満では、ソリッドワイヤによる
溶接では溶接不能である。このため、薄板高張力鋼板の
板厚は、0.5乃至7.0mmとする。
m 板厚が7.0mm超えると1パスで溶接することが難し
くなり、また、大電流を必要とすることにより、シール
ド性の悪化及びビード形状不良が起こりやすくなる。逆
に、板厚が0.5mm未満では、ソリッドワイヤによる
溶接では溶接不能である。このため、薄板高張力鋼板の
板厚は、0.5乃至7.0mmとする。
【0047】溶接トーチの前進角θ1:0°〜30° 溶接トーチの溶接方向の角度(前進後退角)θ1(図3
参照)を後退角(0°未満)にすると、ビードが凸にな
り、幅も不足しやすくなると共に、止端部曲率半径も小
さくなり、疲労強度の低下につながる。前進角θ1を大
きくするにつれ、止端部曲率半径は大きくなるが、前進
角θ1が30°を超えると、アークが不安定になり、ア
ンダーカットの発生が生じる。よって、トーチの前進角
θ1は0°以上30°以下とする。
参照)を後退角(0°未満)にすると、ビードが凸にな
り、幅も不足しやすくなると共に、止端部曲率半径も小
さくなり、疲労強度の低下につながる。前進角θ1を大
きくするにつれ、止端部曲率半径は大きくなるが、前進
角θ1が30°を超えると、アークが不安定になり、ア
ンダーカットの発生が生じる。よって、トーチの前進角
θ1は0°以上30°以下とする。
【0048】溶接トーチ傾斜角度θ2:30°〜60° トーチと下板との間の角度(傾斜角度)θ2(図3参
照)が60°を超えると、止端部曲率半径ρが小さくな
り、また下板に重点的にアークが当たり、所謂抜けやす
くなる。傾斜角度を小さくするにつれて、止端部曲率半
径ρが大きくなるが、30°未満ではビードが凸になり
やすく、形状不良となる。従って、トーチの傾斜角度θ
2は30乃至60°とする。
照)が60°を超えると、止端部曲率半径ρが小さくな
り、また下板に重点的にアークが当たり、所謂抜けやす
くなる。傾斜角度を小さくするにつれて、止端部曲率半
径ρが大きくなるが、30°未満ではビードが凸になり
やすく、形状不良となる。従って、トーチの傾斜角度θ
2は30乃至60°とする。
【0049】
【実施例】次に、本発明の実施例について、その比較例
と比較して説明する。下記表2に示す化学成分のソリッ
ドワイヤを使用して、下記表3に示す試験条件及び下記
表4に示す溶接条件で重ね隅肉溶接を行い、継手の疲労
試験片を採取した。但し、A乃至Hはソリッドワイヤの
番号である。
と比較して説明する。下記表2に示す化学成分のソリッ
ドワイヤを使用して、下記表3に示す試験条件及び下記
表4に示す溶接条件で重ね隅肉溶接を行い、継手の疲労
試験片を採取した。但し、A乃至Hはソリッドワイヤの
番号である。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】この疲労試験片のビードを一条件につき2
0カ所採取し、倍率50倍で止端部の曲率半径ρを測定
した。各条件での半径は累積確率50%以上の代表径と
した。これらの試験結果を表4に合わせて示した。
0カ所採取し、倍率50倍で止端部の曲率半径ρを測定
した。各条件での半径は累積確率50%以上の代表径と
した。これらの試験結果を表4に合わせて示した。
【0054】この表4にみるように、 (1)実施例1〜3、4〜6、7〜9、10〜12、1
3〜15、16〜23はソリッドワイヤの化学成分及び
Weqが全て本発明の限定範囲を満足しており、その結
果、ビード止端部曲率半径ρが0.05mm以上とな
り、良好な疲労特性を持つ継手となった。
3〜15、16〜23はソリッドワイヤの化学成分及び
Weqが全て本発明の限定範囲を満足しており、その結
果、ビード止端部曲率半径ρが0.05mm以上とな
り、良好な疲労特性を持つ継手となった。
【0055】(2)比較例24、26、28、30、3
2は溶接電圧がVLより低いために、止端部曲率半径が
0.05mmより小さくなり、その結果疲労特性の劣る
継ぎ手となり不良である。
2は溶接電圧がVLより低いために、止端部曲率半径が
0.05mmより小さくなり、その結果疲労特性の劣る
継ぎ手となり不良である。
【0056】(3)比較例25、27、29、31、3
3は溶接電圧がVHより高いために、止端部曲率半径は
大きいのであるが、アンダーカットが発生してしまい、
溶接継手として不良である。
3は溶接電圧がVHより高いために、止端部曲率半径は
大きいのであるが、アンダーカットが発生してしまい、
溶接継手として不良である。
【0057】(4)比較例34は止端部曲率半径ρは良
好な値を示していたものの、Weqが限定範囲0.15以
上0.70以下を上回っている。そのため、強度過剰と
なり、低温割れが発生した。溶接部として割れが発生し
ては継手として不良である。
好な値を示していたものの、Weqが限定範囲0.15以
上0.70以下を上回っている。そのため、強度過剰と
なり、低温割れが発生した。溶接部として割れが発生し
ては継手として不良である。
【0058】(5)比較例35はWeqが限定範囲0.1
5乃至0.70を下回っている。そのため、溶接電圧が
限定範囲を満足しているものの、ビード形状が悪く、止
端部曲率半径がρが0.05mmを下回り、疲労特性が
劣る。
5乃至0.70を下回っている。そのため、溶接電圧が
限定範囲を満足しているものの、ビード形状が悪く、止
端部曲率半径がρが0.05mmを下回り、疲労特性が
劣る。
【0059】(6)比較例36は止端部曲率半径ρは良
好な値を示したものの、ソリッドワイヤの成分のうち、
SiとMnが本発明の限定範囲より低いために、溶接作
業性が著しく悪く、また、脱酸不足となり、酸化された
不良なビードとなった。
好な値を示したものの、ソリッドワイヤの成分のうち、
SiとMnが本発明の限定範囲より低いために、溶接作
業性が著しく悪く、また、脱酸不足となり、酸化された
不良なビードとなった。
【0060】図4はこれらの試験結果のうち、溶接電
流、板厚、トーチ前進後退角、トーチ傾斜角の条件が同
一である試験(実施例1乃至15、比較例24乃至3
3)について、溶接電圧、Weq、ビード止端部曲率半径
ρの関係を示したものである。
流、板厚、トーチ前進後退角、トーチ傾斜角の条件が同
一である試験(実施例1乃至15、比較例24乃至3
3)について、溶接電圧、Weq、ビード止端部曲率半径
ρの関係を示したものである。
【0061】また、図5は同じく炭素当量Weqと適正溶
接電圧範囲Vaとの関係を示したものである。この図5
には、適正溶接電圧Vaがその上限値VHと、下限値VL
との間の領域として示されている。
接電圧範囲Vaとの関係を示したものである。この図5
には、適正溶接電圧Vaがその上限値VHと、下限値VL
との間の領域として示されている。
【0062】また、本試験で得られた溶接金属部の化学
成分は、夫々下記表5に示される成分範囲内であった。
但し、表5において、は実施例1〜3及び比較例2
4、25の場合、は実施例4〜6、比較例26、27
の場合、は実施例7〜9、比較例28、29の場合、
は実施例10〜12、比較例30、31の場合、は
実施例13〜15、実施例16〜23、比較例32、3
3の場合、は比較例34の場合、は比較例35の場
合、は比較例36の場合である。
成分は、夫々下記表5に示される成分範囲内であった。
但し、表5において、は実施例1〜3及び比較例2
4、25の場合、は実施例4〜6、比較例26、27
の場合、は実施例7〜9、比較例28、29の場合、
は実施例10〜12、比較例30、31の場合、は
実施例13〜15、実施例16〜23、比較例32、3
3の場合、は比較例34の場合、は比較例35の場
合、は比較例36の場合である。
【0063】
【表5】
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明はソリッド
ワイヤの組成及び炭素当量Weqを所定範囲に規定し、更
に、溶接電圧、溶接電流及び溶接速度を適切な範囲に規
定して溶接するので、ビード止端部の曲率半径を大きく
することができ、薄板高張力鋼の溶接ワイヤとして極め
て有効であり、本発明の溶接ワイヤ及び溶接方法を使用
することにより、溶接継手の疲労特性を著しく向上させ
ることができる。
ワイヤの組成及び炭素当量Weqを所定範囲に規定し、更
に、溶接電圧、溶接電流及び溶接速度を適切な範囲に規
定して溶接するので、ビード止端部の曲率半径を大きく
することができ、薄板高張力鋼の溶接ワイヤとして極め
て有効であり、本発明の溶接ワイヤ及び溶接方法を使用
することにより、溶接継手の疲労特性を著しく向上させ
ることができる。
【図1】ビード止端部の曲率半径ρを示す模式図であ
る。
る。
【図2】止端部曲率半径ρと、時間強さとの関係を示す
グラフ図である。
グラフ図である。
【図3】溶接方法を説明する模式図である。
【図4】溶接電圧、炭素当量Weq、曲率半径ρの相互関
係を示すグラフ図である。
係を示すグラフ図である。
【図5】炭素当量Weqと、適正溶接電圧Vaとの関係を
示すグラフ図である。
示すグラフ図である。
1,2:母材 3;ビード 4;止端部 5;トーチ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 35/30 B23K 9/095 B23K 9/02
Claims (3)
- 【請求項1】 C;0.01乃至0.40重量%、S
i;0.05乃至2.00重量%及びMn;0.20乃
至3.00重量%を含有すると共に、Ni;0.5乃至
5.0重量%、Cr;0.005乃至3.00重量%、
Mo;0.10乃至2.00重量%、V;0.01乃至
1.00重量%、Nb;0.01乃至1.00重量%、
Ti;0.01乃至1.00重量%、Al;0.01乃
至1.00重量%、Zr;0.01乃至1.00重量
%、Cu;0.05乃至1.50重量%、B;0.00
05乃至0.0500重量%、Ca;0.001乃至
0.050重量%及び希土類元素;0.001乃至0.
050重量%からなる群から選択された少なくとも1種
の元素を含有し、P含有量を0.05重量%以下、S含
有量を0.05重量%以下に規制し、残部が鉄及び不可
避的不純物からなり、且つ、下記数式で示す炭素当量W
eqが0.15乃至0.70である溶接用ソリッドワイヤ
を使用し、溶接電圧Vaを下記数式で示す範囲内に設定
し、溶接電流が50乃至500A、溶接速度が5乃至2
50cm/分の条件で、厚さが0.5乃至7.0mmの
高張力鋼板を1パスで重ね隅肉溶接することを特徴とす
る溶接方法。 Weq=[C]+[Si]/24+[Mn]/6+[N
i]/60+[Cr]/5+[Mo]/4+[V]/1
4+[Nb]+[Ti]/14 但し、[M]はワイヤ中の成分Mの含有量(重量%)V
L≦Va≦VH、但し、 VL=7.96×10-8×A3−1.12×10-4×A2+0.11×A+
9.43+P1+P2−Weq×5−4 VH=7.96×10-8×A3−1.12×10-4×A2+0.11×A+
9.43+P1+P2 A;溶接電流 P1;シールドガス組成が、CO2及び不可避的不純物か
らなる場合はP1=0、 シールドガス組成が、Ar;50体積%以上を含有する
と共に、残部がCO2、 O2及びHeからなる群から選択された少なくとも1種
のガス及び不可避的不純物からなる混合ガスの場合は、
P1=−2、それ以外のシールドガス組成の場合は、P1
=−1 P2;溶接速度rが50cm/分以下の場合はP2=0、
溶接速度rが50cm/分を超える場合はP2=−r/
25+2 - 【請求項2】 溶接トーチの前進角θ1が0乃至30°
であることを特徴とする請求項1に記載の溶接方法。 - 【請求項3】 溶接トーチの傾斜角度θ2が30乃至6
0°であることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶
接方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6157269A JP2801147B2 (ja) | 1994-07-08 | 1994-07-08 | 溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6157269A JP2801147B2 (ja) | 1994-07-08 | 1994-07-08 | 溶接方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0825080A JPH0825080A (ja) | 1996-01-30 |
JP2801147B2 true JP2801147B2 (ja) | 1998-09-21 |
Family
ID=15645968
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6157269A Expired - Fee Related JP2801147B2 (ja) | 1994-07-08 | 1994-07-08 | 溶接方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2801147B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3476522A1 (en) | 2017-10-27 | 2019-05-01 | Hyundai Welding Co., Ltd. | Ultra-low silicon wire for welding having excellent porosity resistance and electrodeposition coating properties, and deposited metal obtained therefrom |
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JP3941756B2 (ja) * | 2003-07-29 | 2007-07-04 | Jfeスチール株式会社 | 炭酸ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤの鋼素線 |
JP3941755B2 (ja) * | 2003-07-29 | 2007-07-04 | Jfeスチール株式会社 | 炭酸ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤおよびそれを用いた溶接方法 |
JP5629279B2 (ja) * | 2005-08-08 | 2014-11-19 | 株式会社神戸製鋼所 | 耐食性に優れた溶接継手および溶接構造体 |
JP4879688B2 (ja) * | 2006-03-28 | 2012-02-22 | 新日本製鐵株式会社 | 疲労強度に優れた鋼アーク溶接継手、その溶接方法及び鋼構造物 |
JP5284246B2 (ja) * | 2009-03-03 | 2013-09-11 | 株式会社神戸製鋼所 | 溶接用ソリッドワイヤ |
JP5450293B2 (ja) | 2010-07-01 | 2014-03-26 | 株式会社神戸製鋼所 | すみ肉溶接継手およびガスシールドアーク溶接方法 |
CN104582888B (zh) | 2012-11-07 | 2016-08-17 | 松下知识产权经营株式会社 | 电弧焊接装置以及电弧焊接控制方法 |
EP3010680A4 (en) * | 2013-06-18 | 2017-03-08 | Sandvik Intellectual Property AB | Filler for the welding of materials for high-temperature applications |
JP6676553B2 (ja) * | 2017-01-06 | 2020-04-08 | 日鉄溶接工業株式会社 | 高強度薄鋼板のmag溶接用ワイヤ及びこれを使用したパルスmag溶接方法 |
JP6676552B2 (ja) * | 2017-01-06 | 2020-04-08 | 日鉄溶接工業株式会社 | 高強度薄鋼板のmag溶接用ワイヤ及びこれを使用したパルスmag溶接方法 |
CN108672981A (zh) * | 2018-07-25 | 2018-10-19 | 武汉铁锚焊接材料股份有限公司 | 一种增材制造用实心焊丝及其焊接方法 |
KR102108350B1 (ko) * | 2019-11-26 | 2020-05-07 | 주식회사 아세아테크 | 철도 차륜 재생용 용접부재 및 이를 이용한 철도 차륜의 재생방법 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0796391A (ja) * | 1993-09-29 | 1995-04-11 | Daido Steel Co Ltd | ガスシールドアーク溶接用ワイヤ |
-
1994
- 1994-07-08 JP JP6157269A patent/JP2801147B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3476522A1 (en) | 2017-10-27 | 2019-05-01 | Hyundai Welding Co., Ltd. | Ultra-low silicon wire for welding having excellent porosity resistance and electrodeposition coating properties, and deposited metal obtained therefrom |
CN109719416A (zh) * | 2017-10-27 | 2019-05-07 | 现代综合金属株式会社 | 耐气孔性以及电泳涂装性优秀的超低硅焊丝以及由此制造的熔敷金属 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0825080A (ja) | 1996-01-30 |
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