JP2596868B2 - 耐hic性及び耐ssc性に優れた溶接構造物 - Google Patents

耐hic性及び耐ssc性に優れた溶接構造物

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JP2596868B2 JP4031278A JP3127892A JP2596868B2 JP 2596868 B2 JP2596868 B2 JP 2596868B2 JP 4031278 A JP4031278 A JP 4031278A JP 3127892 A JP3127892 A JP 3127892A JP 2596868 B2 JP2596868 B2 JP 2596868B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硫化水素雰囲気にさら
される球形タンク等の溶接構造物に係わり、詳しくは耐
HIC性及び耐SSC性に優れた溶接構造物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】硫化水素雰囲気にさらされるLPG・ガ
ス貯蔵用球形タンクなどの溶接構造物は、使用中に水素
誘起割れ(HIC)や硫化物応力腐食割れ(SSC)が
生じる可能性があり、これらが生じた場合、構造物の信
頼性に多大な影響を及ぼすため、種々の厳しい要求がな
されている。鋼材及び鋼材HAZについての具体的な例
としては、HIC防止のために、硫化物(MnS)等の
非金属介在物の低減やその形態制御をする、SSC防止
のために、NACEが提唱する、最高硬さをロックウェ
ルC硬さで22以下(ビッカース硬さ248以下に相
当、以後Hv248以下と記す)に抑え、かつNiを1
%以下に抑えると言う要求がある。これら特性を満足さ
せるため、鋼材については、添加元素を低めに抑え制御
圧延制御冷却プロセスなどの方法により、鋼材の強度等
特性を確保する方法が現在採用されている。
【0003】一方、溶接金属の場合についても、構造物
の信頼性を確保するために、母材や溶接熱影響部と同様
な特性が要求される。溶接金属については、鋼材と異な
り、圧延プロセスを経ないため、非金属介在物が球状で
存在し、しかも鋼材に比べ非常に微細なためHICは起
こらないとされている。SSCについては、母材同様
に、ある条件下では起こる可能性があり、特に焼き入れ
性が高まるとその危険性は増大する。しかし、溶接金属
の特性は、溶接条件で決定される冷却過程と溶接金属の
成分で、その特性がほぼ決定されるため、母材と同じ組
成では、同等な特性が得られない場合が多い。従って、
従来は、母材と同じ特性を得るために、溶接金属の合金
元素を母材のそれより高めに設定し、この問題を解決し
てきた。この方法は、溶接金属の強度、靱性を確保する
上で必要不可欠であるが、合金元素の添加は、溶接金属
の焼き入れ性を上げる結果となり、耐SSC性と言う観
点からは好ましくない。この傾向は、特に溶接金属がそ
の後の溶接により熱影響を受けて硬くなった場合、さら
に顕著になる。
【0004】従来の技術によれば、特開昭63−258
8号公報にあるように、NACEが提唱する最高硬さを
Hv248以下にすると言う要求を溶接金属にも適用
し、耐SSC性を確保しながら、靱性等の特性を確保す
るのが通常であった。しかし、Hv248以下と言う低
硬度を保ちながら強度、靱性を確保する方法も、もとも
と相反する特性を両立させると言う点から考えると、適
用範囲はおのずと限定されてくる。特に、母材の強度が
向上し、溶接金属にも同様の強度が求められるようにな
ってくると、低硬度、高強度を両立させることは、きわ
めて困難となる。この問題は、構造物使用中に補修溶接
等を行う場合、その熱影響を受けて硬化するのは、母材
より添加元素の多い溶接金属となる可能性が大きいた
め、より困難となってくる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような問題を打ち
破るためには、溶接金属については、Hv248以下を
満足する場合は言うに及ばず、Hv248以下を満足し
なくても、低硬度が達成された(Hv248以下を満足
する)母材、母材HAZの耐SSC性と同等な特性をも
たせる必要がある。言い替えれば、SSCをおこさない
最高の硬さ(以下単に限界硬さという)が、Hv248
を上回るような溶接金属の発明が必要である。このこと
は、溶接構造物使用中、補修溶接が必要となった場合、
その溶接条件によっては、溶接金属についてはHv24
8以下の条件を満たさない可能性があることを考える
と、その意義は大きい。すなわち、本発明はHv248
以下という条件が満足されない場合であっても、良好な
耐SSC性を示す溶接金属を持つことを特徴とする溶接
構造物を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上のよ
うな事情に着目し、また、溶接金属は母材と比べ酸素量
が非常に多いなどの違いがあることから、SSC感受性
が母材のそれとは異なるに違いないと確信し、主とし
て、溶接金属中の成分の、SSC感受性に及ぼす影響を
研究してきた。本発明は、かかる研究の結果完成された
ものであり、その構成とは、母材部が、重量%で、C;
0.02〜0.06%、Si;0.6%以下、Mn;
1.0〜1.6%、P;0.020%以下、S;0.0
01%以下、Al;0.001〜0.060%、Nb;
0.005〜0.04%、Ti;0.005〜0.03
0%、Ca;0.001〜0.006%、N;0.00
6%以下、必要に応じて、Mo;0.05〜0.5%、
Ni;0.05〜0.5%、Cu;0.05〜0.5
%、V;0.01〜0.10%の範囲で1種または2種
以上を含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなり、溶
接金属が、(1)式に示す指数Pwm;0.25〜0.
43%であり、かつ、C;0.03〜0.14%、S
i;0.1〜0.6%、Mn;0.70〜1.8%、
P;0.02%以下、S:0.02%以下、Ti;0.
005〜0.05%、B;0.0006〜0.005
%、O;0.015〜0.05%、Al;0.01〜
0.055%とし、必要に応じて、Cr;0.5%以
下、Mo;0.5%以下、Ni;1.0%以下、Cu;
1.0%以下の1種または2種以上を含有し、残部が鉄
及び不可避的不純物からなるか、もしくは、Pwm;
0.25〜0.55%、C;0.03〜0.14%、S
i;0.1〜0.6%、Mn;0.70〜1.8%、
P;0.02%以下、S;0.02%以下、B;0.0
006%未満、O;0.015〜0.08%、Al;
0.01〜0.055%とし、必要に応じて、Cr;
0.5%以下、Mo;0.5%以下、Ni;1.0%以
下、Cu;1.0%以下の1種または2種以上を含有
し、残部が鉄及び不可避的不純物からなることを特徴と
する溶接構造物にその要旨が存在する。 Pwm=C+Si/24+Mn/5+Cr/7+Mo/4 +Ni/10+Cu/14 (1) 以下に本発明の詳細な説明を行う。
【0007】
【作用】まず母材部について述べる。母材の耐HIC性
及び耐SSC性は、従来より採用されている、母材中の
硫化物低減及びその形態制御、母材及びHAZの最高硬
さをHv248以下を確保することにより達成すること
とした。そのための成分範囲について以下に説明する。
C及びMnは、母材の強度靱性を確保する上で不可欠な
成分である。しかし、過度の添加は焼き入れ性を上げす
ぎるため、その範囲を、それぞれ0.02〜0.06
%、1.0〜1.6%とした。Siは、添加量が多すぎ
ると、HAZ靱性が劣化するので、上限を0.6%とし
た。P及びSは、本発明においては不純物であるが、母
材、HAZの靱性を劣化させ、かつSは硫化物を生成す
るので、上限をそれぞれ、0.020%、0.001%
とした。
【0008】Alは、脱酸に必要な量、及び、靱性劣化
を起こさない量という点から0.001〜0.060%
とした。Nbは、析出効果による強度向上のため0.0
05%は必要であるが、HAZ硬さを抑えるため上限を
0.04%とした。Tiは、TiNとして母材及びHA
Zの細粒化に有効であるため、必須である。しかし、T
i、N共過度の添加は母材及びHAZの靱性を劣化させ
るので、その範囲を0.005〜0.030%、0.0
06%以下とした。Caは硫化物の形態を制御するた
め、また靱性を向上させるために必要であるが、Ca
O、CaSが多量に生成されれば、逆に靱性劣化を招く
ためその範囲を0.001〜0.006%とした。以上
は基本成分についてであるが、本発明構造物の母材部は
この外に必要に応じて下記付加成分を1種又は2種以上
を含有できる。
【0009】Moは母材の強度、靱性を向上させるが、
添加量が多すぎると靱性、溶接性の劣化を招くため、
0.5%以下とした。下限は、実質的効果が得られるた
めという意味で、0.05%とした。下限については、
Ni、Cuについても同様である。Niの上限は、HA
Z靱性に悪影響を及ぼさないと言う点から0.5%とし
た。Cuは、母材製造時のCuクラック防止と言う点か
ら上限を0.5%とした。Vは、Nb同様析出効果に寄
与するものであるが、Nb程の働きが無いため、その範
囲を0.01〜0.10%とした。以上のような成分範
囲の鋼を、必要に応じ制御圧延制御冷却、あるいは、焼
き入れ焼き戻しを行うことにより、強度を50kgf/
mm2以上にし、かつ、良好な耐HIC性及び低硬度
(Hv248以下)すなわち良好な耐SSC性を確保す
ることが可能となる。
【0010】次に溶接金属について述べる。溶接金属に
ついては既に述べたようにHICは起こらないとされて
いる。SSCに関しては、母材及びHAZについてはH
v248以下を満足させることによって良好な耐SSC
性を確保してきたが、溶接金属についてはHv248以
下という条件を満足しなくても良好な耐SSC性を示す
ための成分範囲を設定しなければならない。
【0011】まずC、Si、Mn、Cr、Mo、Ni、
Cuについてであるが、これらの成分は、溶接金属の耐
SSC性から考えると、いずれもSSCを起こさない最
高の硬さ(限界硬さ)を下げる働きがある。しかし、そ
の影響度が異なるため、(1)式で計算される指数Pw
mを導入した。そして、Pwm≦0.55%とすること
により、良好な耐SSC性を得ることができる。逆に、
Pwm>0.55%の場合は、NACEが提唱するHv
248以下を満足してもSSCを防ぐことができない場
合が生じる。Pwmの上限を0.55%としたのはこの
理由による。
【0012】但し、Pwmの上限も他の元素によって変
化してくる。即ち、後に述べるBによってPwmの上限
は減少してくる。しかし、BはTiと共に溶接金属に添
加され、靱性の向上には非常に有効なため、本発明者ら
は、溶接金属にBを添加しないとするのは不合理と考え
た。そこで、Bを添加しても良好な耐SSC性が得られ
る上限として0.43%を見いだしたものである。
【0013】一方、Pwm≦0.43%を満たせば、B
の添加・無添加にかかわらずHv248以下を満たさな
くとも良好な耐SSC性を得られるものであるが、Pw
m<0.25%の範囲においては、母材と同等な強度を
確保するのが困難になり、かつ、通常の溶接施工時で考
えられる低入熱量においても最高硬さがHv248以下
となってしまい、従来の技術による耐SSC性確保と同
一になる。従って、Pwm<0.25%の範囲は、本発
明の範囲から外れるとして、Pwmの下限を0.25%
とした。
【0014】次に、溶接金属の各成分に付いて、その範
囲限定理由に付いて述べる。Cは、過剰に添加すると、
焼き入れ性を過度に上げ、かつ溶接中に凝固割れを引き
起こし、また、耐SSC性を低下させることもあること
から上限を0.14%とした。下限の0.03%は、強
度、焼き入れ性を確保する最小の値である。Mnは、C
同様、強度、靱性を確保する上で、必要不可欠である。
Mnの下限、0.70%は、これらを確保する上で必要
な最小値である。逆に、Mnは、1.8%を超すと、過
度の焼き入れ性が生じ、かつ限界硬さがHv248以下
になってしまうのでこの値を上限とした。
【0015】Siは脱酸元素であり、後に述べるOの量
に大きな影響を与える。また、Siは、溶接作業時の作
業性にも大きな影響を与える。耐SSC性確保という観
点からはSiは少ないほどよい(O量が多いほどよい)
が、実用上充分な作業性を確保すると言う点、及び過度
のO増大を防ぐという点から、その下限を0.1%とし
た。上限は、焼き入れ性の過度の上昇、靱性劣化、O量
を下げることによる耐SSC性の低下の点から、0.6
%とした。
【0016】P及びSは、本発明においては不純物であ
る。しかし、P及びSは、溶接金属中では、粒界に偏析
しやすく、この点によるSR脆化、靱性劣化の問題が生
じる可能性があるため、上限をそれぞれ0.020%と
した。
【0017】Bは、それを添加することによって限界硬
さを下げる。従って、Bの働きが大きくない、0.00
06%未満については、(1)式に示す、Pwmは、上
限を0.55%としても良いが、それ以上添加する場合
は、Pwmの上限を0.43%としなければならない。
このことは、B添加により、C、Si、Mn、Cr、M
o、Ni、Cuの選択範囲を狭くすることを意味し、好
ましいことではないが、BはTiと共に添加することに
より、溶接金属の靱性を飛躍的に向上させることができ
る。しかも、B添加による限界硬さの減少は、Bが0.
001%以上では、Bの限界硬さに与える影響は非常に
小さい。以上のことにより、本発明者らは、Pwmの範
囲を狭くしても、B添加は実用上有効と考えた。B添加
の下限0.0006%は、実質的な効果が得られるため
の最小値である。しかし、Bは、過剰に添加すると、オ
ーステナイト粒界に偏析し、初析フェライトの成長を抑
え、過大な焼き入れ性を生じせしめるので、B添加の上
限を0.005%とした。
【0018】Oは、本発明の中で扱う溶接金属成分のな
かで、添加量を増大させることにより、限界硬さを上げ
る、即ち耐SSC性を向上させることができる唯一の成
分である。しかし、Oの多くは溶接金属中の非金属介在
物として存在し、フェライトの生成核として働くため、
過剰に添加すると焼き入れ性が低くなりすぎ、所定の靱
性が確保できなくなる可能性も生じてくる。さらに、O
は溶接金属中にBが存在する場合、Bと結合しB23
なり、有効Bを減少させる可能性がある。そこで、Bを
添加する場合、その効果を損なわない範囲として、Oの
上限を0.05%とした。B添加をしない場合について
は、所定の靱性確保する上限として0.08%とした。
下限の0.015%は、良好な耐SSC性を得るための
最小の値である。
【0019】Alは、Oと非金属介在物を形成する。A
lの量が不十分だと十分な脱酸が行われず、溶接金属の
過剰なOがC、Si、Mnなどと反応を起こすため所定
の焼き入れ性が確保できなくなる可能性がある。Alの
下限0.01%は十分な脱酸を行うため最少の値であ
る。一方、Alの過剰な添加は過度の脱酸が生じ溶接金
属中のOの量が適切な範囲にならない場合がある。Al
の上限は、適切なOの量を確保する最大値として、0.
055%とした。
【0020】以上は、溶接金属における基本成分につい
てであるが、この他に必要に応じて、Cr、Mo、N
i、Cu、Tiのうち1種又は2種以上添加することが
できる。Cr、Moは、本発明の優れた特性を生かすた
めに添加されるべき元素である。しかし、Cr、Mo
は、C、Mn同様、焼き入れ性を上げる働きがあり、か
つC、Mnに比べ高価であるためそれぞれ上限を0.5
%とした。
【0021】CuはPwm中のCuの係数を、Mn、C
r、Mo等のそれと比較しても理解できるように、耐S
SC特性への影響は小さい。従って、Cr、Moより選
択の範囲を広くすることが出来る。しかし、影響が全く
無いわけではなく、しかも過度の添加は溶接金属、さら
にSRを行った後の溶接金属の靱性を劣化させるためそ
の上限を1.0%とした。
【0022】Niは、Cu同様Pwm中の係数は比較的
小さい。しかし、過度の添加は溶接金属の焼入性を上げ
すぎ、靱性劣化を生じせしめるのでその上限を1.0%
とすることにした。
【0023】TiはBと共に添加し、溶接金属の靱性の
向上に用いるべきものである。Tiの下限、0.005
%は実質的な効果を得るために必要な最小量である。T
iはTiN、TiO等となり、フェライトの生成核とし
て働き、微細な組織を形成する効果があるが、その反
面、TiCなどの析出物を形成し、これが過度に存在す
ると溶接金属の靱性劣化をもたらすため、上限を0.0
5%とした。
【0024】以上、母材及び溶接金属の成分範囲につい
て述べてきたが、上記溶接金属の成分範囲は、その溶接
方法によって制限されるものではない。また、溶接金属
の成分を所定の範囲に制限する手段として、溶接ワイヤ
の成分を制限する、あるいは、溶接フラックスの成分を
制限するなどがあるが、溶接後の溶接金属成分が所定の
範囲内にあれば、これら手段にも依存しない。
【0025】
【実施例】表1に示すような成分を持つ母材に、JIS
のZ3101に従い、溶接熱影響部の最高硬さ試験を行
い、母材及びHAZの最高硬さを測定することにより、
これらの耐SSC性を評価した。本発明によれば、溶接
熱影響部最高硬さが、Hv248を上回ることはなく、
良好な耐SSC性を示すことがわかる。さらに、超音波
探傷により測定したNACE環境下におけるHIC割れ
率(CAR)も示した。比較例に比べ、本発明はHIC
は発生せず、良好な耐HIC性を示している。また、4
点曲げのSSC試験を実降伏応力に相当する曲げ応力を
負荷して行っても、本発明の場合、割れは全く認められ
なかった。
【0026】種々の溶接継手を作製するために、図1に
あるように、2本のビードを置き、図2に示す部分よ
り、SSC試験片3を採取した。図1において、第2ビ
ード2は、第1ビード1に熱影響を与えるためのもの
で、第2ビードの入熱量を変化させることにより、第1
ビードの最高硬さをコントロールできる。第1ビードに
用いた溶接方法は、サブマージドアーク溶接(SA
W)、手溶接(SMAW)、ガスシールド溶接(GMA
W)の3種であり、これら3種の溶接方法は、一般的か
つ代表的溶接方法で、ステンレス鋼におけるティグ溶
接、溶接金属中の酸素量を確保することが難しいセルフ
シールド溶接などを除けば、サワー環境中で用いられる
溶接構造物のほとんどが、これら3種の溶接方法で施工
される。
【0027】第2ビードは、第1ビード及び母材熱影響
部の最高硬さをコントロールするためのものであるが、
SSCが第2ビードより生じる場合は、第1ビードまた
は母材熱影響部のSSC試験ではなくなるため、第2ビ
ードにたいしては、入熱量5kJ/cmでもSSCを起
こさなかった表2DにあるY−3のワイヤとシールドガ
スの組合せを用いた。
【0028】表2A、2B、2Cは、各溶接方法に用い
た溶接材料の成分を示している。表2は、第1ビードに
用いた溶接条件及び溶接材料を示している。表3A,B
はSSC試験結果をまとめたものである。溶接金属の化
学組成とは、第1ビードの組成を指す。限界硬さは、第
2ビードにより第1ビードの最高硬さを変化させた溶接
継手部を作製し、それぞれの継手よりSSC試験片を図
2に示すように採取し、実降伏応力に相当する曲げ応力
をNACE環境下において負荷し、SSCを発生しない
最高の硬さとして決定した。本発明によれば、母材及び
母材熱影響部にはSSCが起こらず、また、溶接金属の
限界硬さは全てHv248を超えており、NACEが提
唱するHv248以下という条件を満たさなくとも良好
な耐SSC性が得られることがわかる。
【0029】一方、比較例では、YC3,YC4,YD
2,YE2,YE3,YF2,YG2,MA3,SA,
SFのように、溶接金属の限界硬さに達する前に母材ま
たは母材HAZにSSCやHICが生じ、溶接金属の限
界硬さが決定できないものや、MD,ME,SL,S
U,SV,SYのように溶接金属の限界硬さがHv24
8を下回るものが生じている。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2A】
【0032】
【表2B】
【0033】
【表2C】
【0034】
【表2D】
【0035】
【表2E】
【0036】
【表3A】
【0037】
【表3B】
【0038】
【発明の効果】本発明により、これまで広く信じられて
きた、SSCを防ぐ基準、Hv248以下と言う条件を
必ずしも満足しなくとも、良好な耐SSC性を示す溶接
金属を持つ溶接構造物を提供することができる。このこ
とは、溶接金属成分の選択の幅が広がることを意味し、
耐SSC性及びそれ以外の特性の確保など、溶接構造物
の信頼性の向上、補修溶接作業の能率向上等、期待され
る有用性はきわめて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶接試験に供した溶接継手を示す斜視図、
【図2】溶接継手部から採取したSSC試験に供する試
験片の採取位置を示す正面図である。
【符号の説明】
1 第1ビード 2 第2ビード 3 SSC試験片 4 母材部

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材部が、重量%で、C;0.02〜
    0.06%、Si;0.6%以下、Mn;1.0〜1.
    6%、P;0.020%以下、S;0.001%以下、
    Al;0.001〜0.060%、Nb;0.005〜
    0.04%、Ti;0.005〜0.030%、Ca;
    0.001〜0.006%、N;0.006%以下、残
    部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼であることを特徴
    とし、溶接金属が、下記式で示される指数Pwm;0.
    25〜0.43%を満たし、C;0.03〜0.14
    %、Si;0.1〜0.6%、Mn;0.70〜1.8
    %、P;0.02%以下、S;0.02%以下、Ti;
    0.005〜0.05%、B;0.0006〜0.00
    5%、O;0.015〜0.05%、Al;0.01〜
    0.055%とし、残部が鉄及び不可避的不純物からな
    ることを特徴とする溶接構造物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の溶接構造物において、
    溶接金属が、更に重量%で、Cr;0.5%以下、M
    o;0.5%以下、Ni;1.0%以下、Cu;1.0
    %以下の1種または2種以上を更に含有することを特徴
    とする溶接構造物。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の母材と同等の鋼材を母
    材に持ち、溶接金属が、重量%で、下記指数Pwmが、
    Pwm;0.25〜0.55%を満たし、C;0.03
    〜0.14%、Si;0.1〜0.6%、Mn;0.7
    0〜1.8%、P;0.02%以下、S;0.02%以
    下、B;0.0006%未満、O;0.015〜0.0
    8%、Al;0.01〜0.055%とし、残部が鉄及
    び不可避的不純物からなることを特徴とする溶接構造
    物。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の溶接構造物において、
    溶接金属が、更に重量%で、Cr;0.5%以下、M
    o;0.5%以下、Ni;1.0%以下、Cu;1.0
    %以下の1種または2種以上を更に含有することを特徴
    とする溶接構造物。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の溶接構造物において、
    母材が、重量%で、Mo;0.05〜0.5%、Ni;
    0.05〜0.5%、Cu;0.05〜0.5%、V;
    0.01〜0.10%の範囲で1種または2種以上を更
    に含有することを特徴とする溶接構造物。
  6. 【請求項6】 請求項2に記載の溶接構造物において、
    母材が、重量%で、Mo;0.05〜0.5%、Ni;
    0.05〜0.5%、Cu;0.05〜0.5%、V;
    0.01〜0.10%の範囲で1種または2種以上を更
    に含有することを特徴とする溶接構造物。
  7. 【請求項7】 請求項3に記載の溶接構造物において、
    母材が、重量%で、Mo;0.05〜0.5%、Ni;
    0.05〜0.5%、Cu;0.05〜0.5%、V;
    0.01〜0.10%の範囲で1種または2種以上を更
    に含有することを特徴とする溶接構造物。
  8. 【請求項8】 請求項4に記載の溶接構造物において、
    母材が、重量%で、Mo;0.05〜0.5%、Ni;
    0.05〜0.5%、Cu;0.05〜0.5%、V;
    0.01〜0.10%の範囲で1種または2種以上を更
    に含有することを特徴とする溶接構造物。 Pwm=C+Si/24+Mn/5+Cr/7+Mo/4 +Ni/10+Cu/14 (1)
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