JP2711755B2 - 耐hic性及び耐ssc性に優れた溶接構造物 - Google Patents

耐hic性及び耐ssc性に優れた溶接構造物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、硫化水素雰囲気にさらされる球形タンク等
の溶接構造物に係り、詳しくは耐HIC性及び耐SSC性に優
れた溶接構造物に関する。
〔従来の技術〕
硫化水素雰囲気にさらされるLPG・ガス貯蔵用球形タ
ンクなどの溶接構造物は、使用中に水素誘起割れ(HI
C)や硫化物応力腐食割れ(SSC)が生じる可能性があ
り、これらが生じた場合、構造物の信頼性に多大な影響
を及ぼすため、種々の厳しい要求がなされている。
鋼材及び鋼材HAZについての具体的な例としては、HIC
防止のために、硫化物(MnS)等の非金属介在物の低減
やその形態制御をする、SSC防止のためにNACEが提唱す
る最高硬さをロックウェルC硬さで22以下(ビッカース
硬さ248以下に相当,以下Hv248以下と記す)に抑え、Ni
を1%以下に抑えるという要求がある。これら特性を満
足させるため、鋼材については添加元素を低めに抑え、
制御圧延,制御プスセスなどの方法により、鋼材の強度
等特性を確保する方法が現在採用されている。
一方溶接金属の場合についても、構造物の信頼性を確
保するために、母材や溶接熱影響部と同様な特性が要求
される。溶接金属については鋼材と異なり、圧延プスセ
スを経由しないために、非金属介在物が球状で存在し、
しかも鋼材に比べ非常に微細なためHICは起こらないと
されている。
SSCについては、母材同様にある条件下では起こる可
能性があり、特に焼入れ性が高まるとその危険性は増大
する。しかし溶接金属の特性は、溶接条件で決定される
冷却過程と、溶接金属の成分でその特性が決定されるた
め、母材と同じ組成では同等な特性が得られない場合が
多い。
従って従来は、母材と同じ特性を得るために、溶接金
属の合金元素を母材のそれよりも高めに設定し、この問
題を解決してきた。この方法は、溶接金属の強度,靭性
を確保する上で必要不可欠であるが、合金元素の添加は
溶接金属の焼入れ性を上げる結果となり、耐SSC性と言
う観点からは好ましくない。この傾向は、とくに溶接金
属がその後の溶接により熱影響を受けて硬くなった場
合、さらに顕著になる。
従来の技術によれば、特開昭63−2588号公報に記載さ
れているように、NACEが提唱する最高硬さをHv248以下
にするという要求を溶接金属にも適用し、耐SSC性を確
保しながら靭性等の特性を確保するのが通常であった。
しかしHv248以下という低硬度を保ちながら強度,靭性
を確保する方法も、もともと相反する特性を両立させる
という点から考えると、適用範囲はおのずと限定されて
くる。特に母材の強度が向上し、溶接金属にも同様の強
度が求められるようになってくると、低硬度,高強度を
両立させることは極めて困難となる。
この問題は、構造物使用中に補修溶接等を行う場合、
その熱影響を受けて硬化するのは、母材より添加元素の
多い溶接金属となる可能性が大きいため、より困難とな
ってくる。
〔発明が解決しようとする課題〕
このような問題を打破するためには、溶接金属につい
てはHv248以下を満足する場合は言うに及ばず、Hv248以
下を満足しなくても、低硬度が達成された(Hv248以下
を満足する)母材,母材HAZの耐SSC性と同等な特性をも
たせる必要がある。
換言すれば、SSCを起こさない最高の硬さ(以下単に
限界硬さという)を、Hv248を上回るような溶接金属の
開発が必要である。このことは溶接構造物使用中に補修
溶接が必要となった場合、その溶接条件によっては、溶
接金属については、Hv248以下の条件を満たさない可能
性があることを考えるとその意義は大きい。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、Hv248
以下という条件が満足されない場合であっても、耐HIC
性及び耐SSC性に優れた溶接金属をもつ溶接構造物を提
供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、以上のような事情に着目し、また溶接
金属は、母材と比べて酸素量が非常に多いなどの違いが
あることから、SSC感受性が母材のそれとは異なるに違
いないと確信し、主として溶接金属中の成分のSSC感受
性に及ぼす影響を研究してきた。
本発明は、かかる研究の結果完成されたものであり、
その構成は以下の通りである。
(1)母材部が、重量%で、 C :0.02〜0.06%,Si:0.6%以下, Mn:1.0〜1.6%,P:0.020%以下, S :0.001%以下,Al:0.001〜0.060%, Nb:0.005〜0.04%,Ti:0.005〜0.030%, Ca:0.001〜0.006%,N:0.006%以下, 残部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼を使用し、溶接
金属が下記(1)式で示される指数Pw:0.18〜0.38%を
満たし、 C :0.03〜0.14%,Si:0.1〜0.6%, Mn:0.70〜1.8%,P:0.02%以下, S :0.02%以下,B:0.0006〜0.005%, O :0.015〜0.05% とし、残部が鉄及び不可避的不純物であることを特徴と
する耐HIC性及び耐SSC性に優れた溶接構造物。
Pw=C+Mn/6+Mo/5 ……(1) (2)母材部は、付加成分として、 Mo:0.05〜0.5%,Ni:0.05〜0.5%, Cu:0.05〜0.5%,V :0.01〜0.10% の範囲で1種または2種以上を含有することを特徴とす
る上記(1)項記載の耐HIC性及び耐SSC性に優れた溶接
構造物。
(3)溶接金属が、重量%で、上記(1)式で示される
指数Pwが、Pw:0.18〜0.44%を満たし、 C :0.03〜0.14%,Si:0.1〜0.6%, Mn:0.70〜1.8%,P:0.02%以下, S :0.02%以下,B:0.0006%未満, O :0.015〜0.08% とし、残部が鉄及び不可避的不純物であることを特徴と
する上記(1)項または(2)項記載の耐HIC性及び耐S
SC性に優れた溶接構造物。
(4)溶接金属部は、付加成分として、 Mo:0.5%以下,Ni:1.0%以下, Ti:0.003〜0.05% の1種または2種以上を含有することを特徴とする上記
(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の耐HIC性及
び耐SSC性に優れた溶接構造物。
〔作 用〕
以下本発明を、作用と共に詳細に説明する。
まず母材について述べる。
母材の耐HIC性及び耐SSC性は従来より採用されてい
る。母材中の硫化物低減及びその形態制御、母材及び母
材HAZの最高硬さをHv248以下を確保することにより達成
することとした。そのための成分範囲について以下に説
明する。
C及びMnは、母材の強度靭性を確保する上で不可欠な
成分である。しかし、過度の添加は焼入れ性を上げすぎ
るため、その範囲をそれぞれ0.02〜0.06%,1.0〜1.6%
とした。
Siは、添加量が多すぎると、HAZ靭性が劣化するの
で、上限を0.6%とした。
P及びSは、本発明においては不純物であるが、母
材,HAZの靭性を劣化させ、かつSは硫化物を生成するの
で上限をそれぞれ0.020%,0.001%とした。
Alは、脱酸に必要な量,及び靭性劣化を起こさない量
という点から、0.001〜0.060%とした。
Nbは、析出効果による強度向上のため0.005%は必要
であるが、HAZ硬さを抑えるために上限を0.04%とし
た。
Tiは、TiNとして母材及びHAZの細粒化に有効であるた
め、必須である。しかしTi,N共に過度の添加は母材及び
HAZの靭性を劣化させるので、その範囲を0.005〜0.030
%,0.006%以下とした。
Caは硫化物の形態を制御するため、また靭性を向上さ
せるために必要であるが、CaO,CaSが多量に生成されれ
ば逆に靭性劣化を招くので、その範囲を0.001〜0.006%
とした。
以上は基本成分についてであるが、本発明構造物の母
材部は、この外に必要に応じて下記付加成分の1種又は
2種以上をも含有できる。
Moは、母材の強度,靭性を向上させるが、添加量が多
すぎると靭性,溶接性の劣化を招くため、0.5%以下と
した。下限は実質的効果が得られるためという意味で、
0.05%とした。下限については、Ni,Cuについても同様
である。
Niの上限は、HAZ靭性に悪影響を及ぼさないという点
から0.5%とした。
Cuは、母材製造時のCuクラック防止という点から、上
限を0.5%とした。
Vは、Nb同様析出効果に寄与するものであるが、Nbほ
どの働きが無いため、その範囲を0.01〜0.10%とした。
以上のような成分範囲の鋼を、必要に応じ制御圧延,
制御冷却、あるいは焼入れ,焼戻しを行うことにより、
強度を50Kgf/mm2以上とし、かつ良好な耐HIC性及び低硬
度(Hv248以下)、すなわち良好な耐SSC性を確保するこ
とが可能となる。
次に溶接金属について述べる。
溶接金属については、既に述べたようにHICは起こら
ないとされている。SSCについては、母材及びHAZについ
てはHv248以下を満足させることによって良好な耐SSC性
を確保してきたが、溶接金属についてはHv248以下とい
う条件を満足しなくても良好な耐SSC性を示すための成
分範囲を設定しなければならない。
まずC,Mn,Moについてであるが、この3成分は、溶接
金属の耐SSC性から考えると、いずれもSSCを起こさない
最高の硬さ(限界硬さ)を下げる働きがある。しかしそ
の影響度が異なるため、前記(1)式で計算される指数
Pwを導入した。そしてPw≦0.44%とすることにより、良
好な耐SSC性を得ることができる。
逆にPw>0.44%の場合は、NACEが提唱するHv248以下
をしてもSSCを防ぐことができない場合が生じる。Pwの
上限を0.44%としたのはこの理由による。
ただしPwの上限も、他の元素によって変化してくる。
すなわち後述するBによってPwの上限は減少してくる。
しかしBは、Tiと共に溶接金属に添加され、靭性の向上
には非常に有効なため、本発明者らは溶接金属にBを添
加しないとするのは不合理と考えた。そこでBを添加し
ても良好な耐SSC性が得られる上限として0.38%を見い
だしたものである。
一方Pw≦0.38%を満たせば、Bの添加,無添加にかか
わらず、Hv248以下を満たさなくとも良好な耐SSC性を得
られるものであるが、Pw<0.18%の範囲においては、母
材と同等な強度を確保するのが困難になり、かつ通常の
溶接施工時で考えられる低入熱量においても最高硬さが
Hv248以下となってしまい、従来の技術による耐SSC性確
保と同一になる。従ってPw<0.18%の範囲は、本発明の
本意から外れるとして、Pwの下限を0.18%とした。
次に各成分について、その範囲限定理由について述べ
る。
Cは、過剰に添加すると焼入れ性を過度に上げ、かつ
溶接中に凝固割れを引き起こし、また耐SSC性を低下さ
せることもあるから、上限を0.14%とした。下限の0.03
%は、強度,焼入れ性を確保する最小の値である。
Mnは、C同様に、強度,靭性を確保する上で不可欠で
ある。Mnの下限,0.70%はこれらを確保する上で必要な
最小値である。逆にMnは、1.8%を越すと過度の焼入れ
性が生じ、かつ限界硬さがHv248以下になってしまうの
で、この値を上限値とした。
Siは脱酸元素であり、後述するOの量に大きな影響を
与える。またSiは、溶接作業時の作業性にも大きな影響
を与える。耐SSC性確保という観点からはSiは少ないほ
どよい(O量が多いほどよい)が、実用上充分な作業性
を確保するという点、および過度のO増大を防ぐという
点から、その下限を0.1%とした。上限は、焼入れ性の
過度の上昇,靭性劣化,O量を下げることによる耐SSC性
の低下の点から、0.6%とした。
PおよびSは本発明においては不純物である。しかし
PおよびSは、溶接金属中では粒界に扁析しやすく、こ
の点によるSR脆化,靭性劣化の問題が生じる可能性があ
るため、上限値をそれぞれ0.020%とした。
Bは、それを添加することによって限界硬さを下げ
る。従ってBの働きが大きくない0.0006%未満について
は、(1)式に示すPwは上限を0.44%としてもよいが、
それ以上添加する場合は、Pwの上限を0.38%としなけれ
ばならない。このことは、Bの添加によりC,Mn,Moの選
択範囲を狭くすることを意味し、好ましいことではない
が、BはTiと共に添加することにより、溶接金属の靭性
を飛躍的に向上させることができる。しかもB添加によ
る限界硬さの減少は、せいぜいHv15程度しかなく、加え
てBが0.001%以上では、Bの限界硬さに与える影響は
非常に小さい。
以上のことより本発明者らは、Pwの範囲を狭くしても
B添加は実用上有効と考えた。B添加の下限0.0006%
は、実質的な効果が得られるための最小値である。しか
しBは過剰に添加するとオーステナイト粒界に扁析し、
初析フェライトの成長を抑え、過大な焼入れ性を生ぜし
めるので、B添加の上限を0.005%とした。
Oは、本発明の中で扱う溶接金属成分のなかで、添加
量を増大させることにより限界硬さを上げる、即ち耐SS
C性を向上させることができる唯一の成分である。しか
しOの多くは、溶接金属中の非金属介在物として存在
し、フェライトの生成核として働くため、過剰に添加す
ると焼入れ性が低くなりすぎ、所定の靭性が確保できな
くなる可能性も生じてくる。
さらにOは、溶接金属中にBが存在する場合Bと結合
してB2O3となり、有効Bを減少させる可能性がある。そ
こでBを添加する場合その効果を損なわない範囲とし
て、Oの上限を0.05%とした。Bを添加しない場合につ
いては、所定の靭性確保する上限として0.08%とした。
下限の0.015%は、良好な耐SSC性を得るための最小値で
ある。
以上は、溶接金属における基本成分についてである
が、この他に必要に応じてMo,Ni,Tiのうち1種又は2種
以上添加することができる。
Moは、本発明の優れた特性を生かすために添加される
べき元素である。しかしMoは、C,Mn同様に焼入れ性を上
げる働きがあるが、C,Mnに比べて高価であるために、経
済的見地より上限を0.5%とした。
Niは、添加量が1.0%以下ならば限界硬さを変えな
い。逆にこの値を超えて添加すると、限界硬さを下げ始
めるために、上限を1.0%とすることにした。
TiはBと共に添加し、溶接金属の靭性の向上に用いる
べきものである。Tiの下限,0.005%は実質的な効果を得
るために必要な最小量である。TiはTiN,TiO等となり、
フェライトの生成核として働き、微細な組織を形成する
効果があるが、その反面TiCなどの析出物を形成し、こ
れが過度に存在すると、溶接金属の靭性劣化をもたらす
ため、上限を0.05%とした。
以上、母材及び溶接金属の成分範囲について述べてき
たが、上記溶接金属の成分範囲は、その溶接方法によっ
て制限されるものではない。また溶接金属の成分を、所
定の範囲に制限する手段として、溶接ワイヤの成分を制
限する、あるいは溶接フラックスの成分を制限するなど
があるが、溶接後の溶接金属成分が所定の範囲内にあれ
ば、これら手段にも依存しない。なお溶接金属の成分を
本発明の成分範囲に制限することは、技術的には困難を
必要とするものではない。
〔実 施 例〕
表1に示すような成分を有する母材に、JIS−Z3101に
従い、溶接熱影響部の最高硬さ試験を行い、母材及びHA
Zの最高硬さを測定することによりこれらの耐SSC性を評
価した。本発明によれば溶接熱影響部最高硬さが、Hv24
8を上回ることなく、良好な耐SSC性を示すことがわか
る。
さらに超音波探傷により測定したNACE環境下における
HIC割れ率(CAR)も示した。比較例に比べ本発明例はHI
Cは発生せず、良好な耐HIC性を示している。また4点曲
げのSSC試験を実降伏応力に相当する曲げ応力を負荷し
て行っても、本発明の場合割れは全く認められなかっ
た。
種々の溶接継手を作製するために、第1図に示す母材
部4に第1及び第2の2本のビード1,2を置き、第2図
に示す位置よりSSC試験片3を採取した。第1図に示す
ように第2ビード2は第1ビード1に熱影響を与えるた
めのもので、第2ビード2の入熱量を変化させることに
より、第1ビード1の最高硬さをコントロールできる。
第1ビード1に用いた溶接方法は、サブマージドアー
ク溶接(SAW),手溶接(SMAW),ガスシールド溶接(G
MAW)の3種であり、これら3種の溶接方法は、一般的
かつ代表的溶接方法であり、ステンレス鋼におけるティ
グ溶接や溶接金属中の酸素量を確保することが難しいセ
ルフシールド溶接などを除けば、サワー環境中で用いら
れる溶接構造物の殆どがこれら3種の溶接方法で施工さ
れる。
第2ビード2は、第1ビード1及び母材熱影響部の最
高硬さをコントロールするためのものであるが、SSCが
第2ビード2より生じる場合は、第1ビード1または母
材熱影響部のSSC試験ではなくなるため、第2ビード2
にたいしては、入熱量5kJ/cmでもSSCを起こさなかった
表2−4に記載のY−3のワイヤと、シールドガスの組
合せを用いた。
表2−1,2−2,2−3は、各溶接方法に用いた溶接材料
の成分を示している。表2−4は第1ビード1に用いた
溶接条件及び溶接材料を示している。
表3は、SSC試験結果をまとめたものであり、溶接金
属の化学組成とは第1ビードの組成を指し、また限界硬
さは第2ビードにより第1ビードの最高硬さを変化させ
た溶接継手部を作製し、それぞれの継手よりSSC試験片
を第2図に示す位置より採取し、実降伏応力に相当する
曲げ応力をNACE環境下において負荷し、SSCを発生しな
い最高硬さとして決定した。
本発明によれば、母材及び母材熱影響部にはSSCが起
こらず、また溶接金属の限界硬さは全てHv248を超えて
おり、NACEが提唱するHv248以下という条件を満たさな
くとも良好な耐SSC性が得られることがわかる。
一方比較例では、YC3,YC4,YD2,YE2,YE3,YF2,YG2,NA3,
A,Fのように、溶接金属の限界硬さに達する前に母材ま
たは母材HAZにSSCやHICが生じ、溶接金属の限界硬さが
決定出来ないものや、ND,NE,NH,Lのように、溶接金属の
限界硬さがHv248を下回るものが生じている。
〔発明の効果〕 以上説明した如く本発明は、従来一般に考えられてき
たSSCを防止する基準,Hv248以下という条件を、必ずし
も満足しなくとも良好な耐SSC性を示す溶接金属を持つ
溶接構造物を提供することができる。このことは、溶接
金属成分の選択の幅が広がることを意味し、耐SSC性及
びそれ以外の特性の確保など、溶接構造物の信頼性の向
上、補修溶接作業の能率向上等、構造物の品質向上に資
するところは極めて大である。
【図面の簡単な説明】
第1図は溶接試験に供した溶接継手を示す斜視図、第2
図は溶接継手部から採取するSSC試験片の採取位置を示
す断面図である。 1……第1ビード,2……第2ビード, 3……SSC試験片,4……母材部

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】母材部が、重量%で、 C :0.02〜0.06%,Si:0.6%以下, Mn:1.0〜1.6%,P:0.020%以下, S :0.001%以下,Al:0.001〜0.060%, Nb:0.005〜0.04%,Ti:0.005〜0.030%, Ca:0.001〜0.006%,N:0.006%以下, 残部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼を使用し、溶接
    金属が下記(1)式で示される指数Pw:0.18〜0.38%を
    満たし、 C :0.03〜0.14%,Si:0.1〜0.6%, Mn:0.70〜1.8%,P:0.02%以下, S :0.02%以下,B:0.0006〜0.005%, O :0.015〜0.05% とし、残部が鉄及び不可避的不純物であることを特徴と
    する耐HIC性及び耐SSC性に優れた溶接構造物。 Pw=C+Mn/6+Mo/5 ……(1)
  2. 【請求項2】母材部は、付加成分として、 Mo:0.05〜0.5%,Ni:0.05〜0.5%, Cu:0.05〜0.5%,V :0.01〜0.10% の範囲で1種または2種以上を含有することを特徴とす
    る請求項(1)記載の耐HIC性及び耐SSC性に優れた溶接
    構造物。
  3. 【請求項3】溶接金属が、重量%で、(1)式で示され
    る指数Pwが、Pw:0.18〜0.44%を満たし、 C :0.03〜0.14%,Si:0.1〜0.6%, Mn:0.70〜1.8%,P:0.02%以下, S :0.02%以下,B:0.0006%未満, O :0.015〜0.08% とし、残部が鉄及び不可避的不純物であることを特徴と
    する請求項(1)または(2)記載の耐HIC性及び耐SSC
    性に優れた溶接構造物。
  4. 【請求項4】溶接金属部は、付加成分として、 Mo:0.5%以下,Ni:1.0%以下, Ti:0.003〜0.05% の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求
    項(1)ないし(3)のいずれかに記載の耐HIC性及び
    耐SSC性に優れた溶接構造物。
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