JP2799360B2 - 密封容器の検査方法 - Google Patents

密封容器の検査方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、導電性内容物が充填されてプラスチックフ
ィルム等の蓋材により密封される容器における密封部の
密封不良(ピンホール等)を検査する方法に関し、特に
デザートや果汁飲料等の液体状かつ導電性の食品が充填
される密封容器の検査に利用できる。
〔背景技術〕
従来より、内容物が充填されてプラスチックフィルム
等の蓋材で密封包装されるプラスチック製成形容器は、
様々な分野で利用されている。特に内容物の保存に要求
される物性、例えば水蒸気やガスの遮断性等の物性を与
えることができ、また大量生産に適し経済的であるた
め、デザートや果汁飲料等の食品の容器として広範に利
用されている。
このようなプラスチック容器にピンホールが存在する
と、内容物の微生物汚染や液体等の内容物の漏洩等の問
題が生じるため、従来よりピンホールの有無を検査する
ピンホール検査が行われている。特に、ピンホールは蓋
材と容器とのシール部分つまり密封部に生じることが多
いため、この密封部のピンホール検査は重要な品質管理
項目となっている。
このピンホール検査を行う従来技術として、密封包装
を試験する方法(特公昭50−6998号公報)がある。この
方法は、絶縁性包装被膜で密封包装された食品に高周波
電圧を印加して、電極および食品間で形成される容量リ
アクタンスの差による閃絡電流を検知してピンホールを
検査する方法であり、いわゆる高周波スパーク法と呼ば
れているものである。
また、この高周波スパーク法を内容物が充填された密
封容器のピンホール検査に応用した装置として、密封食
品におけるピンホール等の検出装置(特開昭62−70725
号公報)がある。この検出装置は、第7図に示すよう
に、絶縁性の容器61内に食品62を挿入後、容器開口63を
絶縁性フィルム64でシールして形成した密封食品65の上
方からフィルム64にブラシ状の電極66を接触させ、かつ
容器61の底面にアース電極67を接触させ、両電極66,67
間に高周波電圧発生源68で高周波電圧を印加し、ピンホ
ールが存在すればそこに閃絡が生じるようにして、この
閃絡による電流変化を高周波電流検出器69で検知してピ
ンホールを検出するものである。
この検出装置の電気的等価回路を第8図に示す。図に
おいて、 VABは電極66およびアース電極67間の電圧CYはフィル
ム64を誘電体とした際の静電容量CZは容器61を誘電体と
した際の静電容量RXは食品62の電気抵抗 である。
この場合、CYの両端にかかる電圧VAXは、食品62が導
電性でありRX≒0であるため、 となり、CZの両端にかかる電圧VBXは、 となる。従って、(1),(2)式よりCY≪CZの場合に
は、VAX≒VAB、VBX=0となり、フィルム64と容器61と
の間にピンホール等の密封不良がない場合は高インピー
ダンスとなって電流が制御され、高周波電圧発生源68に
より常に高電圧が印加される。
一方、ピンホールがある場合には、電極66、ピンホー
ル、食品65および容器61を介して電流が流れるため、こ
の電流を検出器69で検出することでピンホールを検知で
きる。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、いずれの方法や装置においても、検査対象
である密封包装食品65を空気中で検査しており、また検
知電極66を金属ブラシ状としているため、特に容器密封
部の幅が広く、それに対応して電極66の幅も広くした場
合には、ピンホール等の空気間隙における空気の絶縁破
壊による閃絡電流を検知するためには印加電圧の高電位
化が必要となる。
しかしながら、印加電圧を高電位化した場合には、包
装容器61やフィルム64自体の絶縁破壊を招いてしまい、
ピンホール部による閃絡電流のみを検出することができ
ず、よってピンホールを確実に検出できないという問題
がある。
また、検知電極66を金属ブラシ状としているため、容
器の密封形状が、例えば、フィルム64等の蓋材が容器開
口部よりも低い位置に配置された、いわゆる落とし蓋状
のものや、容器開口部のフランジが下方に向かって折曲
された、いわゆるスカート状とされ、この形状に合わせ
て蓋材を被せたもの等の場合には、電極66を密封部に接
触させることが困難である。このため、密封部にピンホ
ール等が存在しても検知電極66を接触させることができ
ず、ピンホールを検出できないという問題がある。
本発明の目的は、密封部の形態に拘らず、ピンホール
等の密封不良の検査を確実に行える密封容器の検査方法
を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の密封容器の検査方法は、導電性内容物が充填
されかつ開口部が蓋材により密封された容器の検査方法
であって、前記容器を傾けて導電性内容物が前記蓋材お
よび容器の密封部に接するようにし、前記導電性内容物
が接している密封部の一部を絶縁容器に入った導電性浸
透液に接触させるとともに容器をその底面に直交する軸
を中心に回転させながら、前記導電性浸透液と前記容器
の導電性内容物が接触しかつ導電性浸透液が接触しない
部分との間に高周波電圧を印加し、その際の電流値およ
び/または電圧値の変化により前記密封部のピンホール
等の密封不良を検査することを特徴とする。
また、本発明の密封容器の検査方法は、前記容器を貫
通して導電性内容物に接しかつ外部に露出した導電性部
材を設け、容器を傾けて導電性内容物が蓋材および容器
の密封部に接するようにし、この導電性内容物が接して
いる密封部の一部が絶縁容器に入った導電性浸透液に接
触し、かつ前記導電性部材が導電性浸透液に接触しない
ように前記容器を配置するとともに容器をその底面に直
交する軸を中心に回転させながら、前記導電性部材と導
電性浸透液との間に電圧を印加し、その際の電流値およ
び/または電圧値の変化により前記密封部のピンホール
等の密封不良を検査することを特徴とするものでもよ
い。
ここで、前記導電性浸透液は、導電性および浸透性を
有する様々な液体が利用できるが、特にエタノールと食
塩水との混合物であることが好ましい。
また、この導電性浸透液が入った絶縁容器は、プラス
チック等の絶縁性部材より形成されたものに限らず、例
えば導電性容器を用いてその容器に下にプラスチック板
等の絶縁板を配置したものでもよく、内部の浸透液と地
面等の他の部分とを絶縁できるものであれば利用でき
る。
また、前記蓋材および容器としてはプラスチックや紙
等の絶縁性を有する部材が利用できる。
さらに、導電性内容物としては、導電性を有する液体
状のものが利用できる。
〔作用〕
このような本発明においては、密封容器を傾斜させて
導電性内容物を蓋材と容器との密封部に接触させ、この
密封部の一部を絶縁容器に入った導電性浸透液に接触さ
せるとともに容器をその底面に直交する軸を中心に回転
させながら、前記導電性浸透液と前記容器の導電性内容
物が接触する部分との間に高周波電圧を印加する。ここ
で、電圧が印加されている密封部にピンホール等の密封
不良が存在すると、容器内部の導電性内容物と容器外部
の導電性浸透液とが接続されて電気回路が形成され、こ
の際の電流あるいは電圧の変化を測定することで密封不
良が検知される。
一方、密封容器を傾斜させて導電性内容物を蓋材と容
器との密封部に接触させ、この密封部の一部を絶縁容器
に入った導電性浸透液に接触させるとともに前記容器を
その底面に直交する軸を中心に回転させながら、前記容
器の導電性内容物に接しかつ外部に露出した導電性部材
と前記導電性浸透液との間に電圧を印加した場合には、
導電性浸透液に接触された密封部にピンホール等の密封
不良が存在すると、容器内部の導電性内容物を介して、
容器外部の導電性浸透液と導電性部材とが接続されて電
気回路が形成され、この際の電流あるいは電圧の変化を
測定することで密封不良が検知される。
すなわち、本発明は、密封不良の検知部として導電性
浸透液を用いて密封部の形態に関係なく密封部に検知部
を接触可能としたので、このため、ピンホール等の密封
不良が確実に検出される。
また、検知部を液体としてピンホール等の密封不良の
部分で導電性内容物と接触させることで検出しているた
め、従来のように密封部の幅が広くピンホールが長くな
っても、浸透液がピンホール内に浸透して内容物に接す
るため、空気の絶縁破壊を検知する必要がなく印加電圧
を高電位化する必要がない。このため、容器や蓋材自体
の絶縁破壊がないためピンホールのみが確実に検出さ
れ、これらにより前記目的が達成される。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図には、本発明に基づいてプラスチック容器のピ
ンホール検査を行う第1実施例の検査システム1が示さ
れている。
検査システム1は、検査対象であるプラスチック容器
2に高周波電圧を印加してピンホール検査を行うもので
ある。このプラスチック容器2は、絶縁性を有するプラ
スチック、例えばポリプロピレン等を原料として、例え
ば、第2図に示すような寸法の底付円筒状に成形され
る。
このプラスチック容器2の開口部にはフランジ3が形
成され、このフランジ3には、絶縁性を有するプラスチ
ックフィルム、例えばナイロン(NY)およびキャストポ
リプロピレン(CPP)が積層されたトップフィルム4が
ヒートシール等で接着されている。従って、容器2内部
は液体状の導電性内容物5が充填された状態でトップフ
ィルム4により密封され、このフィルム4と容器2とが
接着されるフランジ3部分により密着部6が構成され
る。
一方、検査システム1は、第1図に示すように、高周
波電圧発生検出装置10を備えている。この発生検出装置
10は、高周波電圧発生源11、保安抵抗12、電流測定器13
および電圧測定器14を備えている。
この発生検出装置10には、高周波電圧発生源11により
高周波電圧が印加されるアース電極20および埋没電極30
が接続されている。
アース電極20は、導電性を有する金属、好ましくは亜
鉛銅スズ合金か銅を用いてプラスチック容器2の底部形
状と同型に形成されて容器2に嵌合され、かつモータ21
を有する容器回転手段22で回転可能とされている。従っ
て、アース電極20の回転に伴い、プラスチック容器2は
底面に直交する略水平な回転軸を中心に回転される。
一方、埋没電極30は、アース電極20と同様に導電性を
有する金属、好ましくは亜鉛銅スズ合金か銅より形成さ
れている。この埋没電極30は、絶縁容器31内の同電性浸
透液32にその一部が埋没されている。
導電性浸透液32は、導電性を有しかつ浸透性がある液
体が用いられ、特にエタノール食塩水混入溶液かアルコ
ール系食塩混入溶液が好ましい。また、絶縁容器31は、
絶縁性を有する材質で導電性浸透液32に侵されない物質
が用いられ、特にポリプロピレンかポリエチレン製プラ
スチックが好ましい。
この導電性浸透液32には、略鉛直方向に傾斜されたプ
ラスチック容器2の密封部6の一部が接触されており、
容器回転手段22による容器2の回転に伴って、密封部6
が順次移動して浸透液32に接触し、容器2が1回転する
ことで密封部6の全周が検査される。
このように構成された本実施例においては、次に示す
ような手順でプラスチック容器2のピンホール検査を行
う。
まず、容器2を略鉛直方向に傾斜させるとともに、容
器2の底部にアース電極20を嵌合し、容器2の下端部に
位置する密封部6を絶縁容器31内の導電性浸透液32に接
触させる。
次に、高周波電圧発生検出装置10の高周波電圧発生源
11によりアース電極20および埋没電極30間に高周波電圧
を印加するとともに、容器回転手段22によりアース電極
20を介して容器2を1回転させる。この際、導電性浸透
液32は液体であるから密封部6の形態に拘らず密封部6
に接触し、このため、埋没電極30は導電性浸透液32を介
して密封部6に電気的に接続されて密封部6およびアー
ス電極20間に高周波電圧が印加されることになる。
この際の電気的等価回路を第3図に示す。図におい
て、 C1Zは容器2の底部を誘導体とした際の静電容量 C2Z,C3Zは容器2の側壁部を誘電体とした際の静電容量 C4Z,C5Zは容器2のフランジ3を誘電体とした際の静電
容量 C6Yはトップフィルム4を誘電体とした際の静電容量 RXは導電性内容物5の抵抗値 I0は総電流値 I1はC2Z,C4Zを流れる電流値 I2はRX,C6Yを流れる電流値 I3はC3Z,C5Zを流れる電流値 である。
この回路において、容器2を流れる電流の値は静電容
量C1Zの値が大きいためにインピーダンスが低下し、他
の部分のインピーダンスに比べて無視できる。従って、
I0はI1〜I3に分流する。このI0は、並列回路(RC回路)
の場合、各インピーダンスに反比例して分流するから、 の場合、I1=I3≫I2の分流で回路に流れる。従って、密
封部6にピンホール等の密封不良がない場合には、I2
殆ど流れず、I0≒I1+I3となる。ここで、I1,I3は高イ
ンピーダンスで制御されているため、その値も小さなも
のとなり、総電流値I0の値も小さなものとなる。
一方、容器2のフランジ3とトップフィルム4との密
封部6にピンホール等の密封不良が発生した場合、C6Y
が無くなりまたRXの値が小さいため、I2に大きな電流が
流れてI0の値が大きくなる。従って、I0の変化を測定す
ることで、ピンホールの有無が検出される。
このような本実施例によれば、次のような効果があ
る。
すなわち、密封部6に接触してピンホール等の密封不
良を検知する検知部を導電性浸透液32で構成したため、
密封部6が落とし蓋状や被せ蓋状等の様々な形態をして
いても、その形態に拘らず確実に密封部6に検知部を接
触することができる。このため、ピンホール等の密封不
良も確実に検出できる。
また、検知部を導電性浸透液32としたので、ピンホー
ル等の密封不良の部分では、導電性内容物5と導電性浸
透液32とが接することとなり、従来のように空気中の検
出ではないため、印加電圧を高電位化する必要がない。
従って、高電圧のために容器2やフィルム4自体が絶縁
破壊されることがなく、ピンホールのみを確実に検出で
きる。
さらに、容器2を略鉛直に傾斜させているため、プラ
スチック容器2内に気層部を有していても導電性内容物
5を密封部6に接触させることができ、このため密封部
6にピンホールが存在する場合において、導電性浸透液
32と導電性内容物5との間に気層部による絶縁層が形成
されないので、電気回路が形成されてピンホールを確実
に検出することができる。
また、容器回転手段22により容器2を回転させている
ので、密封部6の全周を検査することができ、検査作業
を容易かつ短時間で行うことができる。さらに、プラス
チック容器2の密封部6の一部を導電性浸透液32に接触
させた状態プラスチック容器2を回転させているので、
密封部6を一部分ごとに順次検査することができ、密封
部6の密封不良の有無だけでなく、その位置も検出する
ことができる。
第4図には、本発明の第2実施例の検査システム40が
示されている。なお、前記第1実施例と同一もしくは相
当構成部分には同一符号を付し、説明を省略もしくは簡
略する。
検査システム40は、第1実施例と同様にプラスチック
容器41のピンホール検査を行うものである。このプラス
チック容器41は、第5図にも示すように、前記第1実施
例の容器2と同一の形状、材質で形成され、導電性内容
物5が充填されてトップフィルム4で密封されていると
ともに、その底面に容器41を貫通して導電性内容物に接
しかつ容器41の外部に露出した導電性部材42が密封固定
されている。
この容器41は、図4に示すように、略鉛直方向に傾斜
されて、その密封部6の一部が絶縁容器31内の導電性浸
透液32内に接触されかつ導電性部材42が導電性浸透液32
に接触しないように配置されている。なお、導電性部材
42は、カーボンブラックが混合されたポリプロピレン基
材等の導電性プラスチックより形成されてその抵抗値が
102〜10-2Ω/cmとされ、容器41の底部に超音波による溶
着で密封固定される。
一方、検査システム40は、第4図に示すように、電圧
発生検出装置43を備えている。この電圧発生検出装置43
は、電圧発生器44および電圧測定器45を備えている。こ
の電圧発生検出装置43には、導電性部材42に接触される
接触電極46と絶縁容器31内の導電性浸透液32に埋没され
る埋没電極30とが接続されている。接触電極46は、アー
ス電極20と同様に導電性を有する金属、好ましくは亜鉛
銅スズ合金か銅を用いて形成され、かつモータ21を有す
る容器回転手段22で回転可能とされている。従って、接
触電極46の回転に伴って、プラスチック容器2が底面に
直交する略水平な回転軸を中心に回転され、密封部6が
順次移動して浸透液32に接触し、容器41が1回転するこ
とで密封部6の全周が検査される。
このような構成の検査システム40の電気的等価回路を
第6図に示す。図において、 RCは導電性部材42の電気抵抗 RXは導電性内容物5の電気抵抗 RYZは容器41とフィルム4との密封部6の電気抵抗 である。
ここで、導電性部材42に接触電極46を介して電圧発生器
44により電圧を印加すると、密封部6にピンホール等の
不良がない場合には、容器41およびフィルム4は絶縁体
であるから接触電極46および埋没電極30間には電流が流
れず、電圧測定器45ではその電圧変化を測定できない。
一方、密封部6にピンホール等があると、導電性内容
物5および導電性浸透液32を介して接触電極46および埋
没電極30間に回路が形成され、電圧測定器45での電圧測
定が可能となる。このため、電圧測定器45での測定電圧
の有無により、ピンホール等の密封不良が検出される。
なお、本実施例では、回路の構成上、交流電圧を使用
してもよいが、一般には、直流電圧で良く、この場合低
電圧で測定が可能である。
このような構成の本実施例においても、前記第1実施
例と略同様の効果を得られるほか、直流電圧の使用が可
能となって低電圧での測定が可能となるという利点があ
る。
なお、本発明は前記各実施例の構成等に限らず、本発
明の目的を達成できる範囲の変形は本発明に含まれるも
のである。
例えば、前記第1実施例における容器2を回転させる
容器回転手段22としては、前記実施例のように容器2の
底部に嵌合されるアース電極20を回転させるものに限ら
ず、例えば、アース電極20を板状に形成し、容器2をト
ップフィルム4側からアース電極20に押しつけて回転さ
せる押え治具等を用いてもよく、その構成は任意であ
る。
また、検査対象となる容器2,41は、前記実施例のもの
に限らず、例えば、密封部6の先端が折曲された被せ蓋
状や落とし蓋状の密封方式を採用した容器の検査にも利
用できる。特に、この被せ蓋状や落とし蓋状の容器で
は、従来のようにフィルム4の上方から電極66を接触さ
せる方法では、密封部6に電極66を接触させることが困
難なためにピンホール検査を行えないが、本発明によれ
ば、密封部6に接触するのは導電性浸透液32であるた
め、密封部6の形態に拘らず、確実にピンホール検査を
行うことができる。
さらに、前記第1実施例では、高周波電流検出器13で
検出される電流の変化によりピンホールを検出し、第2
実施例では、電圧測定器45で検出される電圧の変化によ
りピンホールを検出していたが、それぞれ電圧あるいは
電流のいずれかを測定して検出してもよく、また電流お
よび電圧の両方を測定して検出してもよく、これらは実
施にあたって適宜設定すればよい。
また、前記各実施例では、プラスチック製の容器2,41
と蓋材であるフィルム4とを用いていたが、本発明の容
器および蓋材はプラスチックに限らず紙等でもよく、要
するに、絶縁性のものであれば利用できる。
さらに、導電性内容物5としては、液体に限らず、液
体および固体が混合したものでもよい。さらに、この内
容物5は食品に限らず、導電性の他の物質にも適用でき
る。
また、絶縁容器31としては、前記各実施例のようにプ
ラスチック等の絶縁性部材より形成されたものに限ら
ず、例えば導電性容器を用いてその容器に下にプラスチ
ック板等の絶縁板を配置したものでもよく、要するに内
部の浸透液と地面等の他の部分とを絶縁できるものであ
ればよい。
次に、本発明の検査システム1,40を用いた実験結果に
ついて説明する。
この実験は、検査対象の容器として、第2図に示す寸
法および形状で厚みが0.8mmのポリプロピレン製の容器
2,41を用いたものである。この容器2,41の容量は65ccで
あり、導電性内容物5として2%食塩水を充満した。
また、トップフィルム4は、ナイロンが15μかつキャ
ストポリプロピレンが60μの厚さで積層されたフィルム
を用いた。
さらに、高周波電圧発生検出装置10として、ニッカ電
測(株)製HSE型(名称、卓上ピンホールインスペクタ
ー)を用いた。この検出装置10は、電圧を0〜15KVに可
変可能であり、電流検出の有無をランプで表示するもの
である。また、電流測定器13、電圧測定器14,45および
電圧発生器44としては、市販製品を用いた。
このような容器2,41の密封部6に、φ10μのピンホー
ルを形成して印加電圧を変えて検査した。この実験結果
のうち、第1実施例の方法による実験結果を表−1に示
し、第2実施例の方法による実験結果を表−2に示し、
比較例として第7図の従来方法による実験結果を表−3
に示す。
なお、表−1においては、電流測定値でピンホールの
有無により約0.1〜0.3mAの偏差を検出できれば測定が可
能であった。また、表−2では、電圧の測定は電圧測定
器45の電位の有無により確認される。また、表−3で
は、印加電圧が5000Vの場合、ピンホールの検出はでき
たが、フィルム4の正常部分に閃絡電流により貫通孔が
発生するという問題が生じた。
この各表から判るように、本発明の方法によれば、従
来の方法に比べて印加電圧が低いレベルでもピンホール
を検出することができた。
従って、本発明の密封容器の検査方法による検査が有
効であることが判る。
〔発明の効果〕
このような本発明によれば、密封部の形態に拘らず、
ピンホール等の密封不良の検査を確実に行うことができ
るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1実施例を示す概略図、第2図はプ
ラスチック容器を示す断面図、第3図は前記実施例の等
価回路図、第4図は本発明の第2実施例を示す概略図、
第5図はプラスチック容器を示す断面図、第6図は前記
実施例の等価回路図、第7図および第8図は従来例を示
す概略図および等価回路図である。 1,40……検査システム、2,41……プラスチック容器、3
……フランジ、4……トップフィルム、5……導電性内
容物、6……密封部、10……高周波電圧発生検出装置、
20……アース電極、22……容器回転手段、30……埋没電
極、31……絶縁容器、32……導電性浸透液、42……導電
性部材、43……電圧発生検出装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01M 3/16 G01M 3/40 G01N 27/92

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性内容物が充填されかつ開口部が蓋材
    により密封された容器の検査方法であって、 前記容器を傾けて導電性内容物が前記蓋材および容器の
    密封部に接するようにし、当該密封部の一部を絶縁容器
    に入った導電性浸透液に接触させるとともに前記容器を
    その底面に直交する軸を中心に回転させながら、前記導
    電性浸透液と前記容器の導電性内容物が接触する部分と
    の間に高周波電圧を印加し、その際の電流値および/ま
    たは電圧値の変化により前記密封部の密封不良を検査す
    ることを特徴とする密封容器の検査方法。
  2. 【請求項2】導電性内容物が充填されかつ開口部が蓋材
    により密封された容器の検査方法であって、 前記容器を貫通して導電性内容物に接しかつ外部に露出
    した導電性部材を設け、前記容器を傾けて導電性内容物
    が前記蓋材および容器の密封部に接するようにし、当該
    密封部の一部が絶縁容器に入った導電性浸透液に接触し
    かつ前記導電性部材が導電性浸透液に接触しないように
    配置するとともに前記容器をその底面に直交する軸を中
    心に回転させながら、前記導電性部材と導電性浸透液と
    の間に電圧を印加し、その際の電流値および/または電
    圧値の変化により前記密封部の密封不良を検査すること
    を特徴とする密封容器の検査方法。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項または第2項におい
    て、前記導電性浸透液がエタノールと食塩水との混合物
    であることを特徴とする密封容器の検査方法。
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