JP2798201B2 - 電子写真感光体、それを有する電子写真装置及びファクシミリ - Google Patents

電子写真感光体、それを有する電子写真装置及びファクシミリ

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JP2798201B2
JP2798201B2 JP4129419A JP12941992A JP2798201B2 JP 2798201 B2 JP2798201 B2 JP 2798201B2 JP 4129419 A JP4129419 A JP 4129419A JP 12941992 A JP12941992 A JP 12941992A JP 2798201 B2 JP2798201 B2 JP 2798201B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に関し、
詳しくは改善された電子写真特性を与える低分子の有機
光導電性化合物を有する電子写真感光体に関するもので
ある。
【0002】
【従来技術】従来電子写真感光体としてはセレン、酸化
亜鉛及びカドミウム等を主成分とする感光層を有する無
機感光体が広く用いられてきた。これらはある程度の基
礎特性は備えてはいるが、成膜性が困難である、可塑性
が悪い、製造コストが高い等問題がある。更に無機光導
電性材料は一般的に毒性が強く、製造上並びに取り扱い
上にも大きな制約があった。
【0003】一方、有機光導電性化合物を主成分とする
有機感光体は、無機感光体の上記欠点を補う等多くの利
点を有し近年注目を集めており、これまで数多くの提案
がされいくつか実用化されてきてる。
【0004】このような有機感光体としては、ポリ−N
−ビニルカルバゾールに代表される光導電性ポリマー等
と、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン等のル
イス酸とから形成される電荷移動錯体を主成分とする電
子写真感光体が提案されている。これらの有機光導電性
ポリマーは、無機光導電性ポリマーに比べ軽量性、成膜
性等の点では優れているが、感度、耐久性、環境変化に
よる安定性等の面で無機光導電性物質に比べて劣ってお
り必ずしも満足できるものではない。
【0005】一方電荷発生機能と電荷輸送機能とをそれ
ぞれ別々の物質に分担させた機能分離型電子写真感光体
が、従来の有機感光体の欠点とされていた感度や耐久性
に著しい改善をもたらした。このような機能分離型感光
体は、電荷発生物質と電荷輸送物質の各々の材料選択範
囲が広く、任意の特性を有する電子写真感光体を比較的
容易に作成できるという利点を有している。
【0006】電荷発生物質としては、種々のアゾ顔料、
多環キノン顔料、シアニン色素、スクエアリック酸染
料、ピリリウム塩系色素等が知られている。その中でも
アゾ顔料は耐光性が強い、電荷発生能力が大きい、材料
合成が容易等の点から多くの構造が提唱されている。
【0007】一方電荷輸送物質としては、例えば特公昭
52−4188号公報のピラゾリン化合物、特公昭55
−42380号公報及び特開昭55−52063号公報
のピラゾン化合物、特公昭58−32372号公報及び
特開昭61−132955号公報のトリフェニルアミン
化合物、特開昭54−151955号公報及び特開昭5
8−198043号公報のスチルベン化合物等が知られ
ている。
【0008】これらの電荷輸送物質に要求されること
は、(1)光、熱に対して安定であること(2)コロナ
放電により発生するオゾン、NOx 、硝酸等に対して安
定であること(3)高い電荷輸送能を有すること(4)
有機溶剤、結着剤との相溶性が高いこと(5)製造が容
易で安価であること等が挙げられる。しかし従来の低分
子の有機化合物を用いた電荷輸送物質は、上記の要求の
一部は満足するが全て高いレベルで満足するものはな
い。
【0009】また複写機等内で感光体を長期保存するこ
とにより、電荷輸送層がヒビ割れたり、電荷輸送物質が
結晶化、相分離するという現象が起こり、画像欠陥とな
ることがあり、改善すべき点も多い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、先に述べた電荷輸送化合物に要求される特性を十分
満足した有機光導電性化合物を提供することにより従来
の感光体の持つ種々の欠点を解消することである。
【0011】即ち第一に大きな感度を有し、しかも繰り
返し使用時の電位が安定に維持出来る電子写真感光体を
提供することにある。
【0012】第二に複写機等内に長期保存しても感光層
のヒビ割れや電荷輸送物質の結晶化の起こらない電子写
真感光体を提供することにある。
【0013】第三に製造が容易でかつ安価に提供できる
新規な有機光導電性化合物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記高感
度、高耐久な電子写真感光体を提供する有機光導電性化
合物について鋭意研究した結果特定のフルオレン化合物
が好適であることを見出し本発明に至った。
【0015】即ち本発明は、導電性支持体上に感光層を
有する電子写真感光体において、該感光層が下記一般式
[1]で示されるフルオレン化合物を含有することを特
徴とする電子写真感光体、
【0016】
【化2】 (式中、R1 及びR2 は水素原子、アルキル基、アラル
キル基または芳香環基を示す。R3 及びR4 は水素原
子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アラルキル基
またはアルコキシ基を示す。Ar1 及びAr2 は芳香環
基または複素環基を示し、Ar1 及びAr2 の少なくと
も一方は、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコ
キシ基及びアラルキル基からなる群から選ばれる置換基
を2つ以上有する。)である。
【0017】一般式[1]において、Ar1 及びAr2
はアリール基、ナフチル基等の芳香環基、又はピリジン
環、チオフェン環、フラン環等の複素環基を表わし、A
1及びAr2 の少なくとも一方は、メチル、エチル、
プロピル等のアルキル基、ベンジル、フェネチル等のア
ラルキル基、メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、フ
ッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、及び水酸基からな
る群から選ばれる置換基を2つ以上有する。
【0018】R1 ,R2 はメチル、エチル、プロピル等
のアルキル基、ベンジル、フェネチル等のアラルキル
基、フェニル、ナフチル等の芳香環基、又は水素原子を
表わす。R3 及びR4 はメチル、エチル、プロピル等の
アルキル基、ベンジル、フェネチル等のアラルキル基、
メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、フッ素、塩素、
臭素等のハロゲン原子、水酸基又は水素原子を表す。
【0019】またR1 ないしR4 は各々置換基を有して
いても良く、有していてもよい置換基としてはメチル、
エチル、プロピル等のアルキル基、メトキシ、エトキシ
等のアルコキシ基、フェノキシ、ナフトキシ等のアリー
ルオキシ基、ベンジル、フェネチル等のアラルキル基、
フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子があげられる。尚
一般式[1]において、R1 とR2 が同時にアルキル基
である場合が特に好ましい。
【0020】以下に一般式[1]で示される化合物につ
いてその代表例を挙げる。但しこれらの化合物に限定さ
れるものではない。
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】
【化6】
【0025】
【化7】
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】
【化12】
【0031】
【化13】
【0032】
【化14】
【0033】
【化15】 次に前記化合物の合成例を示す。
【0034】(例示化合物No.(22)の合成法)
【0035】
【化17】 (25.0mmol)、無水炭酸カリウム3.5g(2
5.0mmol)及び銅粉3.2g(50.0mmo
l)を0−ジクロルベンゼン100mlに加え、撹拌下
加熱還流を8時間行った。放冷後吸引濾過し、濾液から
減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲルカラムで
分離精製し目的化合物7.1g(収率71%)を得た。
【0036】他の化合物も同様な手法で合成される。
【0037】本発明の感光体は、上述のような一般式
[1]で示されるフルオレン化合物からなる電荷輸送物
質と適当な電荷発生物質を組み合わせて構成される。
【0038】感光層の構成としては、例えば以下の形態
が挙げられる。 (1)電荷発生物質を含有する層/電荷輸送物質を含有
する層 (2)電荷輸送物質を含有する層/電荷発生物質を含有
する層 (3)電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する層 (4)電荷発生物質を含有する層/電荷発生物質と電荷
輸送物質を含有する層 本発明の一般式[1]で示されるフルオレン化合物は、
正孔に対し高い輸送能を有するため、上記形態の感光層
における電荷輸送物質として用いることができる。感光
層の形態が(1)の場合は負帯電、(2)の場合は正帯
電が好ましく、(3),(4)の場合は正,負帯電いず
れでも使用することができる。
【0039】更に本発明の電子写真感光体では、接着性
向上や電荷注入制御のため、感光層の表面に保護層や絶
縁層を設けてもよい。尚、本発明の感光体の構成は上記
の基本構成に限定されるものではない。
【0040】尚、上記構成のうち特に(1)の形態が好
ましく、以下に更に詳細に説明する。
【0041】本発明における導電性支持体としては、例
えば以下に示した形態のものを挙げることができる。 (1)アルミニウム,アルミニウム合金,ステンレス,
銅などの金属を板形状またはドラム形状にしたもの。 (2)ガラス,樹脂,紙などの非導電性支持体や前記
(1)の導電性支持体上にアルミニウム,パラジウム,
ロジウム,金,白金などの金属を蒸着もしくはラミネー
トすることにより薄膜形成したもの。 (3)ガラス,樹脂,紙などの非導電性支持体や前記
(1)の導電性支持体上に導電性高分子,酸化スズ,酸
化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着あるいは塗
布することにより形成したもの。
【0042】本発明に用いられる有効な電荷発生物質と
しては、例えば以下のような物質が挙げられる。これら
の電荷発生物質は単独で用いてもよく、2種類以上組み
合わせてもよい。 (1)モノアゾ,ビスアゾ,トリスアゾなどのアゾ系顔
料 (2)金属フタロシアニン,非金属フタロシアニンなど
のフタロシアニン系顔料 (3)インジゴ,チオインジゴなどのインジゴ系顔料 (4)ペリレン酸無水物,ペリレン酸イミドなどのペリ
レン系顔料 (5)アンスラキノン,ピレンキノンなどの多環キノン
系顔料 (6)スクワリリウム色素 (7)ピリリウム塩,チオピリリウム塩類 (8)トリフェニルメタン系色素 (9)セレン,非晶質シリコンなどの無機物質 電荷発生物質を含有する層、即ち電荷発生層は前記のよ
うな電荷発生物質を適当な結着剤に分散し、これを導電
性支持体上に塗工することにより形成することができ
る。また、導電性支持体上に蒸着,スパッタ,CVDな
どの乾式法で薄膜を形成することによっても形成するこ
とができる。
【0043】上記結着剤としては広範囲な結着性樹脂か
ら選択でき、例えば、ポリカーボネート樹脂,ポリエス
テル樹脂,ポリアリレート樹脂,ブチラール樹脂,ポリ
スチレン樹脂,ポリビニルアセタール樹脂,ジアリルフ
タレート樹脂,アクリル樹脂,メタクリル樹脂,酢酸ビ
ニル樹脂,フェノール樹脂,シリコン樹脂,ポリスルホ
ン樹脂,スチレン−ブタジエン共重合体樹脂,アルキッ
ド樹脂,エポキシ樹脂,尿素樹脂,塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体樹脂などが挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。これらは単独また共重合体ポリマー
として1種または2種以上混合して用いてもよい。
【0044】電荷発生層中に含有する樹脂は、80重量
%以下、好ましくは40重量%以下が好ましい。また電
荷発生層の膜厚は5μm以下、特には0.01μm〜2
μmをもつ薄膜層とすることが好ましい。
【0045】また、電荷発生層には種々の増感剤を添加
してもよい。
【0046】電荷輸送物質を含有する層、すなわち電荷
輸送層は、前記一般式[1]で示されるフルオレン化合
物と適当な接着性樹脂とを組み合わせて形成することが
できる。ここで電荷輸送層に用いられる結着性樹脂とし
ては、前記電荷発生層に用いられているものが挙げら
れ、更にポリビニルカルバゾール,ポリビニルアントラ
センなどの光導電性高分子が挙げられる。
【0047】この結着剤と一般式[1]のフルオレン化
合物との配合割合は、結着剤100重量部あたりフルオ
レン化合物を10〜500重量部とすることが好まし
い。
【0048】電荷輸送層は、上述の電荷発生層と電気的
に接続されており、電界の存在下で電荷発生層から注入
された電荷キヤリアを受け取るとともに、これらの電荷
キヤリアを表面まで輸送できる機能を有している。この
電荷輸送層は電荷キヤリアを輸送できる限界があるの
で、必要以上に膜厚を厚くすることができないが、5μ
m〜40μm、特には10μm〜30μmの範囲が好ま
しい。
【0049】また一般式[1]のフルオレン化合物と他
の電荷輸送物質を必要に応じて混合して用いてもよい。
【0050】更に、電荷輸送層中に酸化防止剤,紫外線
吸収剤,可塑剤または公知の電荷輸送物質を必要に応じ
添加することもできる。
【0051】このような電荷輸送層を形成する際は、適
当な有機溶媒を用い、浸漬コーティング法,スプレーコ
ーティング法,スピンナーコーティング法,ローラーコ
ーティング法,マイヤーバーコーティング法,ブレード
コーティング法などのコーティング法を用いて行なうこ
とができる。
【0052】図1に本発明の電子写真感光体を用いた一
般的な転写式電子写真装置の概略構成例を示した。
【0053】図において、1は像担持体としての本発明
のドラム型感光体であり軸1aを中心に矢印方向に所定
の周速度で回転駆動される。該感光体1はその回転過程
で帯電手段2によりその周面に正または負の所定電位の
均一帯電を受け、次いで露光部3にて不図示の像露光手
段により光像露光L(スリット露光・レーザービーム走
査露光など)を受ける。これにより感光体周面に露光像
に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0054】その静電潜像はついで現像手段4でトナー
現像されそのトナー現像像が転写手段5により不図示の
給紙部から感光体1と転写手段5との間に感光体1の回
転と同期取り出されて給紙された転写材Pの面に順次転
写されていく。
【0055】像転写を受けた転写材Pは感光体面から分
離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けて複写
物(コピー)として機外へプリントアウトされる。
【0056】像転写後の感光体1の表面はクリーニング
手段6にて転写残りトナーの除去を受けて清浄面化さ
れ、更に前露光手段7により除電処理されて繰り返して
像形成に使用される。
【0057】感光体1の均一帯電手段2としてはコロナ
帯電装置が一般に広く使用されている。また転写装置5
もコロナ転写手段が一般に広く使用されている。電子写
真装置として、上述の感光体や現像手段、クリーニング
手段などの構成要素のうち、複数のものを装置ユニット
として一体に結合して構成し、このユニットを装置本体
に対して着脱自在に構成しても良い。例えば、感光体1
とクリーニング手段6とを一体化してひとつの装置ユニ
ットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着
脱自在の構成にしても良い。このとき、上記の装置ユニ
ットの方に帯電手段および/または現像手段を伴って構
成しても良い。
【0058】光像露光Lは、電子写真装置を複写機やプ
リンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や
透過光、あるいは原稿を読取り信号化し、この信号によ
りレーザービームの走査、LEDアレイの駆動、または
液晶シャッターアレイの駆動などにより行われる。
【0059】ファクシミリのプリンターとして使用する
場合には、光像露光Lは受信データをプリントするため
の露光になる。図2はこの場合の1例をブロック図で示
したものである。
【0060】コントローラ11は画像読取部10とプリ
ンター19を制御する。コントローラ11の全体はCP
U17により制御されている。画像読取部10からの読
取データは、送信回路13を通して相手局に送信され
る。相手局から受けたデータは受信回路12を通してプ
リンター19に送られる。画像メモリ16には所定の画
像データが記憶される。プリンタコントローラ18はプ
リンター19を制御している。14は電話である。
【0061】回線15から受信された画像情報(回線を
介して接続されたリモート端末からの画像情報)は、受
信回路12で復調された後、CPU17で復号処理が行
われ、順次画像メモリ16に格納される。そして、少な
くとも1ページの画像情報がメモリ16に格納される
と、そのページの画像記録を行なう。CPU17は、メ
モリ16より1ページの画像情報を読み出し、プリンタ
コントローラ18に復号化された1ページの画像情報を
送出する。プリンタコントローラ18は、CPU17か
らの1ページの画像情報を受け取るとそのページの画像
情報記録を行なうべく、プリンター19を制御する。
【0062】尚、CPU17は、プリンター19による
記録中に、次のページの受信を行なっている。
【0063】以上の様にして、画像の受信と記録が行な
われる。
【0064】本発明の電子写真感光体は電子写真複写機
に利用するのみならず、レーザービームプリンター、C
RTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター、
レーザー製版など電子写真応用分野にも広く用いること
ができる。
【0065】
【実施例】以下、本発明を実施例に従って説明する。
【0066】実施例(1) 下記構造式で示されるビスアゾ顔料4gをブチラール樹
脂(ブチラール化度70mol%)2gをシクロヘキサ
ノン100mlに溶解した液とともにサンドミルで40
時間分散し、塗工液を調整した。
【0067】
【化18】 この塗工液をアルミシート上に乾燥後の膜厚が0.15
μmとなるようにマイヤーバーで塗布し電荷発生層を作
成した。
【0068】次に、電荷輸送物質として前記例示化合物
No.(19)8gとポリカーボネート樹脂(重量平均
分子量35,000)9gをモノクロルベンゼン70g
に溶解し、この液を先に電荷発生層の上にマイヤーバー
で塗布し、乾燥膜厚が20μmの電荷輸送層を設け、2
層の電子写真感光体を作成した。
【0069】このようにして作成した電子写真感光体を
川口電気(株)製静電複写紙試験装置Model−SP
−428を用いてスタチック方式で−5kVでコロナ帯
電し、暗所で1秒間保持したあと、照度20Luxで露
光し帯電特性を調べた。
【0070】帯電特性としては、表面電位(V0 )と1
秒間暗減衰させた時の電位(V1 )を1/5に減衰する
のに必要な露光量(E1/5 )を測定した。
【0071】更に、繰り返し使用したときの明部電位と
暗部電位の変動を測定するために、本実施例で作成した
感光体を、キヤノン(株)製PPC複写機NP−382
5の感光体ドラム用シリンダーに貼り付けて、同機で3
000枚複写を行ない、初期と3000枚複写後の明部
電位(VL )及び暗部電位(VD )の変動を測定した。
尚、初期のVD とVL は各々−700V、−200Vと
なるように設定した。
【0072】また、感光層のヒビ割れの促進試験とし
て、前記の様に作成した電子写真感光体の表面に指油を
付着させ、常温常湿下で4時間放置後、感光層のヒビ割
れが起こっているか否かを観察した。
【0073】また電荷輸送物質の結晶化の促進試験とし
て、前記の様に作成した電子写真感光体の表面に指油を
付着させ、45℃で3日間放置後、電荷輸送物質の結晶
化が起こっているか否かを観察した。その結果を以下の
表1に示す。
【0074】
【表1】 実施例(2)〜(10),比較例(1)〜(4) この実施例においては、前記実施例(1)で用いた電荷
輸送化合物として例示化合物No.(19)の代わりに
例示化合物No.(1),(5),(12),(1
5),(17),(20),(22),(33),(3
9)を用い、かつ電荷発生物質として下記の構造の顔料
を用いた他は実施例(1)と同様の方法によって電子写
真感光体を作成した。
【0075】各感光体の電子写真特性を実施例(1)と
同様の方法によって測定した。
【0076】また比較のために、下記化合物を電荷輸送
物質として用いて同様の方法によって電子写真感光体を
作成し電子写真特性を測定した。それぞれの結果を以下
表2及び表3に示す。 比較化合物
【0077】
【化19】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】 表2及び表3から明らかなように、一般式[1]のフル
オレン化合物は比較化合物と比べて感度及び繰り返し使
用時の電位安定性に極めて優れ、感光層のヒビ割れや電
荷輸送物質の結晶化も起こらない極めて優れた電子写真
感光体であると言える。
【0080】実施例(9) アルミ基板上に、N−メトキシメチル化6ナイロン樹脂
(重量平均分子量30,000)5gとアルコール可溶
性共重合ナイロン樹脂(重量平均分子量30,000)
10gをメタノール90gに溶解した液をマイヤーバー
で塗布し、乾燥後の膜厚が1μmの下引き層を設けた。
【0081】次に下記構造式で示される電荷発生物質
4.5gポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化率7
0%、重量平均分子量23,000)4.5gとジオキ
サン170gをボールミル分散機で27時間分散を行な
った。この分散液を先に製造した下引き層の上にブレー
ドコーティング法により塗布し、乾燥後の膜厚が0.2
μmの電荷発生層を形成した。
【0082】
【化20】 次に、前記例示化合物No.(18)8gとポリメチル
メタクリレート樹脂(重量平均分子量55,000)9
gをモノクロルベンゼン70gに溶解し、先に形成した
電荷発生層の上にブレードコーティング法により塗布し
乾燥後の膜厚が21μmの電荷輸送層を形成した。
【0083】このようにして作成した感光体に−5kV
のコロナ放電を行なった。このときの表面電位(初期電
位V0 )を測定した。更にこの感光体を1秒間暗所で放
置した後の表面電位を測定した。感度は暗減衰した後の
電位V1 を1/6に減衰するのに必要な露光量(E
1/6 :μJ/cm2 )を測定することによって評価し
た。この際、光源としてガリウム/アルミニウム/ヒ素
の三元系半導体レーザー(出力:5mW;発振波長78
0nm)を用いた。これらの結果は以下のとおりであっ
た。
【0084】 V0 :−700(v) V1 :−698(v) E1/6 :1.0(μJ/cm2 ) 次に同上の半導体レーザーを備えた反転現象方式の電子
写真方式プリンターであるレーザービームプリンター
(キヤノン製LBP−CX)に上記感光体を取り付け
て、実際の画像形成テストを行なった。条件は以下の通
りである。一次耐電後の表面電位;−700v、像露光
後の表面電位;−150v(露光量2.0μJ/cm
2 )転写電位+700v、現像極性;負極性、プロセス
スピード;50mm/sec、現像条件(現像バイア
ス);−450、像露光後スキャン方式;イメージスキ
ャン、一次帯電前露光;50Lux・secの赤色全面
露光、画像形成はレーザービームを文字信号及び画像信
号に従ってラインスキャンして行なったが、文字、画像
ともに良好なプリントが得られた。
【0085】更に連続3,000枚の画出しを行なった
ところ初期から3,000枚まで安定したプリントが得
られた。
【0086】また感光層のヒビ割れ促進試験や電荷輸送
物質の結晶化促進試験においても特に異常は見られなか
った。
【0087】実施例(10) チタニルオキシフタロシアニン2gをシクロヘキサノン
45gにフェノキシ樹脂1.5gを溶かした液に加えて
ボールミルで18時間分散した。この分散液をアルミシ
ート上にマイヤーバーで塗布し90℃で1時間乾燥させ
0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0088】次に前記例示化合物No.(26)10g
とビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(重量平均
分子量50,000)9gをモノクロルベンゼン90g
に溶解した液を先に形成した電荷発生層の上にマイヤー
バーで塗布し120℃で1時間乾燥させ19μmの電荷
輸送層を形成した。このようにして作成した感光体を実
施例(9)と同様な方法で測定した。この結果を以下に
示す。
【0089】 V0 :−705(v) V1 :−700(v) E1/6 :0.50(μJ/cm2 ) また感光層のヒビ割れ促進試験や電荷輸送物質の結晶化
促進試験においても特に異常は見られなかった。
【0090】実施例(11) 4−(4−ジメチルアミノフェノール)−2,6−ジフ
ェニルチアピリリウムパークロレート1.5gと前記例
示電荷輸送化合物No.(24)3.0gを共重合ポリ
エステル樹脂(重量平均分子量40,000)のトルエ
ン(50重量部)−ジオキサン(50重量部)溶液10
0gに混合し、ボールミルで24時間分散した。この分
散液をアルミシート上にマイヤーバーで塗布し90℃で
2時間乾燥させ12μmの感光層を形成した。このよう
にして作成した感光体を実施例(1)と同様な方法で測
定した。この結果を以下の表4に示す。
【0091】
【表4】
【0092】
【発明の効果】以上説明したように一般式[1]のフル
オレン化合物を含有する電子写真感光体は、高感度であ
りまた繰り返し帯電、露光による連続画像形成に際し
て、明部電位と暗部電位の変動が小さく耐久性に優れ、
しかも感光層のヒビ割れや電荷輸送物質の結晶化も起こ
らない極めて優れた電子写真感光体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な転写式電子写真装置の概略構成図であ
る。
【図2】電子写真装置をプリンターとして使用したファ
クシミリのブロック図である。
【符号の説明】
1 感光体 2 帯電手段 3 露光部 4 現像手段 5 転写手段 6 クリーニング手段 7 前露光手段 8 像定着手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 孝和 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−58550(JP,A) 特開 昭59−44048(JP,A) 特開 昭58−2849(JP,A) 特開 昭63−149652(JP,A) 特開 平3−78755(JP,A) 特開 平3−196049(JP,A) 特開 平3−61952(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 5/00 - 5/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に感光層を有する電子写
    真感光体において、該感光層が下記一般式[1]で示さ
    れるフルオレン化合物を含有することを特徴とする電子
    写真感光体、 【化1】 (式中、R1 及びR2 は水素原子、アルキル基、アラル
    キル基または芳香環基を示す。R3 及びR4 は水素原
    子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アラルキル基
    またはアルコキシ基を示す。Ar1 及びAr2 は芳香環
    基または複素環基を示し、Ar1 及びAr2 の少なくと
    も一方は、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコ
    キシ基及びアラルキル基からなる群から選ばれる置換基
    を2つ以上有する。)。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電子写真感光体を有する
    ことを特徴とする電子写真装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の電子写真感光体を有し、
    かつリモート端末からの画像情報を受信する受信手段を
    有することを特徴とするファクシミリ。
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