JP2795546B2 - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

半導体封止用エポキシ樹脂組成物

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JP2795546B2
JP2795546B2 JP2212891A JP2212891A JP2795546B2 JP 2795546 B2 JP2795546 B2 JP 2795546B2 JP 2212891 A JP2212891 A JP 2212891A JP 2212891 A JP2212891 A JP 2212891A JP 2795546 B2 JP2795546 B2 JP 2795546B2
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浩美 伊藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体封止用エポキシ樹
脂組成物に関する。さらに詳しくは、可撓化剤としてエ
ポキシ樹脂および(または)硬化剤などと反応可能な官
能基を有する変性環状シリコーンオイルの2種以上から
なる新規な共重合体(シリコーン)を用いた半導体封止
用エポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂本来の耐
湿性および耐熱性を保持し、かつ低弾性率で低膨張率、
高ガラス転移温度、高靭性の硬化物を提供する半導体封
止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】近
年、半導体素子は、高集積化に伴ってチップ面積が大型
化され、樹脂が薄肉化されており、従来のエポキシ樹脂
組成物で封止して半導体素子を製造すると、チップにク
ラックが生じたり、ボンディング線の切断、アルミ配線
のスライド、封止樹脂のクラックなどが生じたりしやす
いという問題がある。これらは半導体部品には致命的な
故障である。これは、従来の半導体封止用エポキシ樹脂
組成物が、おもに耐熱性、耐湿性を良好にするという観
点から開発されており、その硬化物が可撓性に乏しく、
素子に加わる応力が大きいためである。
【0003】一般に半導体封止用エポキシ樹脂硬化物の
応力を低減させる方法としては、樹脂の熱膨張率を小さ
くして熱歪を小さくする方法と、弾性率を小さくして熱
歪による応力を小さくする方法とが知られている。ま
た、耐熱性、耐湿性を保持しながら、熱歪の小さい温度
領域を広げるためには、ガラス転移温度を高くする必要
がある。
【0004】前記低応力化の方法としては、可撓化剤を
添加する方法があるが、従来から使用されている可撓化
剤(たとえば長鎖アルキレンポリアミン、ポリオキシア
ルキレングリコール、長鎖状アルキレンオキサイドを有
するビスフェノールA型ジグリシジルエーテル)を配合
して弾性率を低下させる方法(特公昭59-8718号公報、
特開昭59-30820号公報、特開昭59-226066号公報など参
照)には、硬化物のガラス転移温度が大きく低下し、耐
熱性、耐湿性が低下するという欠点がある。
【0005】一方、耐湿性およびガラス転移温度の低下
が小さい可撓化剤としては、両末端にエポキシ樹脂と反
応しうる官能基を有するポリブタジエンや、ブタジエン
とアクリロニトリルとの共重合体などからえられるエラ
ストマ変性可撓化剤も考察されている(特開昭58-17441
6号公報、特公昭58-108220号公報、特開昭58-184204号
公報、特公昭62-9248号公報、特開昭59-113021号公報、
特開昭59-58024号公報など参照)。しかしながら、前記
エラストマ変性可撓化剤には、高温時においてエラスト
マ中の不飽和結合が酸化され劣化するために、可撓化効
果が消失するという問題がある。
【0006】また、高温下の電気特性、熱安定性におい
て優れた可撓化剤である低弾性率のシリコーン樹脂やシ
リコーンゴムを分散させるという方法も知られている
(特開昭62-84147号公報、特開昭56-4647号公報、特開
昭64-29450号公報など参照)。しかし、シリコーン樹脂
は金属との接着性が乏しく、シリコーンゴムはエポキシ
マトリクスとの界面強度が弱いため硬化物の透湿性が大
きくなり、耐湿性がわるく、機械強度も弱いという点で
信頼性にかけるという問題点がある。
【0007】本発明者らは、可撓化剤としてエポキシ基
を有する変性シリコーンオイルとフェノールノボラック
樹脂との予備反応物を用いたエポキシ樹脂組成物が、耐
熱性および耐湿性を有し、かつ低弾性率の硬化物を与え
うることをすでに見出している(特願昭62-83158号明細
書参照)。また、ヒドロキシフェニル基を有する変性シ
リコーンオイルとエポキシ樹脂との予備反応物が、耐熱
性、耐湿性を有し、かつ低弾性率、低膨張率、高ガラス
転移温度の硬化物を与えることをすでに見出している
(特願昭63-115269号明細書、特願昭63-161849号明細書
および特願平2-75128号明細書参照)。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記樹脂組成
物が有する特性、すなわち耐熱性、耐湿性、低弾性率、
低熱膨張率、高ガラス転移温度に加えて、高靭性を有す
る硬化物を与える半導体封止用エポキシ樹脂組成物をう
ることを目的とする。
【0009】すなわち本発明は、2種以上の一般式
(I):
【0010】
【化2】 (式中、X1〜X3はそれぞれエポキシ樹脂および(また
は)硬化剤と反応可能な官能基、R1〜R3はそれぞれア
ルキル基、フェニル基、フェニル置換アルキル基、アル
キル置換フェニル基、フッ素置換アルキル基またはポリ
アルキレンオキシド、aは2〜10の整数、bは0〜10の
整数、cは0〜10の整数、ただし3≦a+b+c≦12)
で示される変性環状シリコーンオイルの共重合体であっ
て、環状シリコーン部を有し、エポキシ樹脂および(ま
たは)硬化剤と反応可能な官能基を有するシリコーン
と、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、充填剤、離型
剤、着色剤および表面処理剤とを含有してなる半導体封
止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0011】
【作用】本発明に用いられる可撓化剤は、変性環状シリ
コーンオイルに含まれるエポキシ樹脂および(または)
硬化剤などと反応可能な官能基と、別の変性環状シリコ
ーンオイルに含まれるエポキシ樹脂および(または)硬
化剤などと反応可能な官能基とを反応させたブロックま
たはグラフト共重合体であるため、可撓化成分であるシ
リコーンと主剤であるエポキシ樹脂や硬化剤との相溶性
をあげることができ、強靭化が可能になる。また、可撓
化剤はエポキシ樹脂や硬化剤などと反応可能な官能基を
有するために成形中に反応し、耐熱性、耐湿性が保持さ
れ、さらに成形時のしみだしや離型性が改善される。
【0012】
【実施例】本発明の組成物の主剤として用いられるエポ
キシ樹脂の具体例としては、たとえばクレゾールノボラ
ック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ
樹脂、アルキルベンゼン変性フェノールノボラック型エ
ポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキ
シ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、
トリス(グリシドキシフェニル)メタン、複素環を有す
るノボラック型エポキシ樹脂などの多官能型エポキシ樹
脂などがあげられる。また、ノボラック型エポキシ樹
脂、多官能性エポキシ樹脂に限らず2官能エポキシ樹脂
を用いてもよく、該2官能エポキシ樹脂の具体例として
は、たとえばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキ
シ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレンなどの
複素環骨格エポキシ樹脂など、また両末端にエポキシ基
を有するエピビス型のあらゆるエポキシ樹脂があげら
る。さらには前記エポキシ樹脂に種々の置換基を持たせ
た構造のエポキシ樹脂などがあげられるが、これらに限
定されるものではない。これらのエポキシ樹脂は単独で
用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0013】本発明に用いられる硬化剤の具体例として
は、たとえばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノ
ボラック樹脂、アルキル変性フェノール樹脂、ビスフェ
ノールAノボラック樹脂、トリス(ヒドロキシフェニ
ル)メタンなどの多官能型フェノール樹脂などのフェノ
ール硬化剤や、酸無水物、多官能型アミノ化合物があげ
られるが、これらに限定されるものではない。これらは
単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0014】本発明に可撓化剤として用いられるシリコ
ーンは、2種以上の一般式(I):
【0015】
【化3】 で表わされる変性環状シリコーンオイルの共重合体であ
る。なお、一般式(I)中の繰返し単位の並び方に限定は
なく、ランダム共重合であってもよく、ブロック共重合
であってもよい。
【0016】前記一般式(I)中のX1〜X3は、それぞれ
エポキシ樹脂および(または)硬化剤と反応可能であ
り、共重合の相手となるほかの種類の変性環状シリコー
ンオイルの官能基と反応可能な官能基であればとくに限
定されず、その具体例としては、たとえばビニル基、H2
C=CH(CH2)n- などのビニルアルキル基、ヒドロキシ基、
HOCH2(CH2)n-、(HO)2CH(CH2)n-などのヒドロキシアルキ
ル基、カルビノール基(HO(CH2CH2)n-)、ヒドロキシフェ
ニル基、HOC6H4(CH2)n-などのヒドロキシフェニル置換
アルキル基、H2N-、RNH-、R2N-などのアミノ基、H2N(CH
2)n-、RNH(CH2)n-、R2N(CH2)n-などのアミノアルキル
基、カルボキシル基、HOCO(CH2)n- などのカルボキシア
ルキル基、CH3COO- 、CH3COO(CH2)n- 、C17H35COO-など
のエステル基、エポキシ基、
【0017】
【化4】 などのグリシドキシアルキル基、メタクリロキシ基(CH2
=C(CH3)COO-)、CH2=C(CH3)COO(CH2)n-などのメタクリロ
キシアルキル基、メルカプト基、HS(CH2)n- などのメル
カプトアルキル基、アルコキシ基、シアノ基、CN(CH2)n
-などのシアノアルキル基、官能基とシリコン原子との
間に-C3H6OC3H6-などのエーテル構造、複素環構造、ビ
シクロ骨格、ビフェニル骨格などが介在した有機基など
があげられるが、これらに限定されるものではない。な
お、a個のX1、c個のx2、c個のX3はそれぞれ同種
でもよく、異種でもよい。
【0018】R1〜R3 は、それぞれ、たとえばメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル
基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基などの好
ましくは炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、たと
えばC6H5(CH2)2-などのフェニル置換アルキル基、たと
えばCH3C6H4-などのアルキル置換フェニル基、たとえば
CF3(CH2)n-、CF3(CF2)2(CH2)n-などの好ましくは炭素数
1〜20のフッ素置換アルキル基または、たとえば
【0019】
【化5】 などのポリアルキレンオキシドである。なお、a個のR
1、b個のR2、b個のR3は、それぞれ同種でもよく、
異種でもよい。
【0020】aは2〜10、好ましくは2〜6の整数であ
る。aが2未満では反応が停止してしまい、エポキシマ
トリクスと化学反応できなくなり、10をこえると共重合
体の合成時にゲル化してしまうため好ましくない。
【0021】bは0〜10、好ましくは4〜6の整数であ
る。bが10をこえるとエポキシマトリクスとの相溶性が
小さくなる。
【0022】cは0〜10、好ましくは0〜4の整数であ
る。cが10をこえると共重合体の合成時にゲル化してし
まうため好ましくない。
【0023】さらに、a+b+cは3〜12である。a+
b+cが3未満ではシリコーンオイルとしてのエラスト
マ性が付加できなくなり、弾性率の低下効果が望めなく
なる。一方、12をこえるとエポキシ樹脂や硬化剤などと
の反応性が著しく低下するようになり、硬化時に充分反
応が進まず、シリコーンオイルのしみ出しが起こるよう
になる。
【0024】前記変性環状シリコーンオイルの好ましい
例としては、たとえば
【0025】
【化6】
【0026】
【化7】
【0027】
【化8】
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】
【化11】
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】 (前記各式中の繰返し単位の並び方はランダムであって
もよく、ブロックであってもよい)などがあげられる。
【0033】本発明においては、前記変性環状シリコー
ンオイルのうちの2種以上を選んで共重合させたものが
可撓化剤となる。したがって、2種以上の変性環状シリ
コーンオイルは、それぞれの官能基が共重合の相手とな
るほかの種類の変性環状シリコーンオイルの官能基と反
応しうるように選ばれ、共重合させられる。
【0034】たとえば一方の官能基がヒドロキシ基含有
基のばあい、他方の官能基がエポキシ基、ヒドロキシ
基、アルコキシ基、エステル基、アミノアルキル基な
ど、一方の官能基がエポキシ基含有基のばあい、他方の
官能基がアミノ基、メルカプト基、ヒドロキシフェニル
基、エポキシ基、カルボキシル基など、一方の官能基が
アミノ基含有基のばあい、他方の官能基がカルボキシル
基、エポキシ基などとなるように選ばれる。
【0035】本発明に用いる可撓化剤は、たとえば2種
の変性環状シリコーンオイルを共重合させたもののばあ
い、一方の変性環状シリコーンオイルと他方の変性環状
シリコーンオイルとを、官能基の当量比が30/1〜1/
30となるような割合で反応させたものが好ましく、とく
に分子中に官能基を3個以上有する変性環状シリコーン
オイルを用いるばあいは、ゲル化を防ぐという点から一
方が過剰になるような割合が好ましい。また、可撓化剤
合成の際、2種の変性環状シリコーンオイルのうち、官
能基数の少ない方のシリコーンオイルの官能基の70%以
上、さらには90%以上が官能基数の多い方のシリコーン
オイルの官能基と反応したものが好ましい。官能基の少
ない方のシリコーンオイルの未反応の官能基が多くなる
と、熱劣化の原因となる。3種類以上の変性環状シリコ
ーンオイルを用いるばあいも、ゲル化を防ぐように特定
の変性環状シリコーンオイルとそれと反応しうる他の変
性環状シリコーンオイルとの官能基比率(A1/(A2
3+‥‥‥An))が1/30〜30/1となるように反応
させるのが好ましい。
【0036】可撓化剤中の官能基(エポキシ樹脂および
(または)硬化剤と反応可能な官能基)は、分子のいず
れの位置にあってもよく、分子末端にあってもよく、分
子内部・側鎖にあってもよい。
【0037】また、可撓化剤の数平均分子量にもとくに
限定はないが、通常ポリスチレン換算で数千〜数十万程
度のオーダーになる。
【0038】前記2種の変性環状シリコーンオイルの共
重合(予備反応)は、通常、触媒としてアミン系化合
物、イミダゾール系化合物、リン系化合物、オクチル酸
亜鉛、オクチル酸スズなどを用い、チッ素雰囲気下で行
なわれる。
【0039】触媒として用いられるアミン系化合物の具
体例としては、トリメチルアミン、テトラメチルアンモ
ニウムヒドロキサイドなど、イミダゾール系化合物の具
体例としては、2-エチル -4-メチルイミダゾール、2-メ
チルイミダゾールなど、リン系化合物の具体例として
は、たとえばトリフェニルホスフィン、トリt-ブチルホ
スフィン、またその有機塩類などがあげられる。
【0040】本発明の組成物中の可撓化剤の使用割合
は、変性環状シリコーンオイルの合計重量をMとし、エ
ポキシ樹脂、硬化剤などの可撓化剤を除く有機成分の重
量をNとするとき、M/(M+N)が、0.03〜0.4、さらには
0.05〜0.2となるような割合であるのが好ましい。この
値が0.03未満ではえられる成形物の弾性率を低下させる
効果およびガラス転移温度の向上が小さいばかりでな
く、熱膨張率の低下も小さくなりがちになる。逆に0.4
をこえると機械的強度が低下する。
【0041】本発明の組成物では、主剤として用いられ
るエポキシ樹脂のエポキシ基の合計と、硬化剤やエポキ
シ基との反応に関与する官能基の当量の合計との比(エ
ポキシ基/エポキシ基との反応に関与する官能基)が、
0.7〜1.3の範囲にあるのが本発明の目的にとって好まし
い。
【0042】本発明に用いられる硬化促進剤としては、
通常の触媒である限りとくに限定されるものではなく、
その具体例としては、たとえばトリフェニルホスフィン
などのホスフィン類で代表されるリン系化合物、2-メチ
ルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾールなど
のイミダゾール類、3級アミン類、1,8-ジアザビシクロ
(5,4,0)ウンデセン-7、その有機塩類などがあげられ
る。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用し
てもよい。
【0043】硬化促進剤の添加量は本発明の組成物中0.
03〜2%(重量%、以下同様)が好ましく、0.05〜1%
がさらに好ましい。該添加量が2%をこえるとゲル化が
速すぎて硬化物の成形が困難になる傾向があり、0.03%
未満では硬化が遅いため硬化物の機械強度が不充分にな
る傾向がある。
【0044】本発明に用いられる充填剤にはとくに限定
はなく、その具体例としては、たとえば天然シリカや合
成シリカからの破砕シリカ、球状シリカなどの石英粉砕
物や、タルク、マイカ、チッ化ケイ素、アルミナなどが
あげられる。これらは単独で用いてもよく2種類以上を
併用してもよい。
【0045】無機充填剤の使用量は、本発明の組成物に
使用されるエポキシ樹脂の合計量100部(重量部、以下
同様)に対して250〜2000部が好ましく、400〜1700部が
さらに好ましい。該使用量が250部未満ではえられる硬
化物の強度、耐熱性、耐衝撃性が低下し、2000部をこえ
ると組成物の流動性が低下して成形しにくくなる傾向が
ある。
【0046】本発明に用いられる離型剤(内部離型剤)
にはとくに限定はなく、その具体例としては、たとえば
脂肪酸やその金属塩、天然ワックス、合成ワックスなど
があげられる。離型剤の使用量はエポキシ樹脂の合計量
100部に対して0.5〜3部が好ましく、1.5〜2.2部がさら
に好ましい。
【0047】本発明に用いられる着色剤にとくに限定は
なく、その具体例としては、たとえばカーボンブラック
などの顔料が用いられる。着色剤の使用量はエポキシ樹
脂の合計量100部に対して0.3〜3.0部が好ましく、0.7〜
1.8部がさらに好ましい。
【0048】本発明に用いられる表面処理剤にはとくに
限定はなく、その具体例としては、たとえばビニルトリ
メトキシシラン、グリシジルトリメトキシシランなどが
あげられる。表面処理剤の使用量は、エポキシ樹脂の合
計量100部に対して0.5〜20部が好ましく、1.2〜16部が
さらに好ましい。
【0049】さらに、本発明の組成物には、三酸化アン
チモンなどの難燃剤、酸化防止剤などの所望の添加剤が
適宜配合されていてもよい。
【0050】本発明の組成物は、前記エポキシ樹脂、硬
化剤、可撓化剤、硬化促進剤、充填剤、離型剤、着色
剤、表面処理剤および要すれば使用される成分を通常の
方法(加熱ロールなど)を用いて混練することにより調
製することができ、通常の方法により成形することがで
きる。なお、可撓化剤は単純に添加してもよく、また、
エポキシ樹脂や硬化剤、または可撓化剤中の官能基と反
応可能な官能基を有するその他のエポキシ樹脂組成物と
予備反応させて用いてもよい。
【0051】本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物
は、2種以上の官能基を有する変性環状シリコーンオイ
ルの共重合体であって、分子末端および(または)分子
内部・側鎖に、エポキシ樹脂および(または)硬化剤と
反応可能な官能基を有する新規なシリコーンを可撓化剤
として用いることにより、マトリクス中におけるシリコ
ーン成分の分散性を改良したものであり、硬化物は強靭
で耐熱性、耐湿性が向上する。
【0052】つぎに、本発明を実施例に基づきさらに具
体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定される
ものではない。
【0053】[実施例1]一般式:
【0054】
【化14】 で示され、平均分子量600でフェノール性水酸基当量280
の変性シリコーンオイル(a1)100部と、一般式:
【0055】
【化15】 で示され、平均分子量500でエポキシ当量240の変性シリ
コーンオイル(b1)40部と、トリフェニルホスフィン
0.5部とを、チッ素をふきこみながら150℃で5時間反応
させ、予備反応物(可撓化剤A)をえた(エポキシ基反
応率95%)。
【0056】主剤であるエポキシ樹脂(日本化薬(株)
製のEOCN1020、WPE 200)、臭素化フェノールノボラック
エポキシ樹脂(日本化薬(株)製のBREN-S、WPE 280)、
硬化剤であるフェノールノボラック樹脂(群栄化学
(株)製のPSF4261 、水酸基当量106)、硬化促進剤
(トリフェニルホスフィン)、無機充填剤(溶融シリカ
(龍森社製のRD-8))、三酸化アンチモン(三國製練
(株)製)、シランカップリング剤(信越化学工業
(株)製のKBM403)、内部離型剤(カルナバワックス)
および着色剤(カーボンブラック)を表1に示す割合で
混合したのち、加熱ロールにより混練して、半導体封止
用エポキシ樹脂組成物をえた。
【0057】えられた組成物をトランスファ成形して(1
75℃、2分間)、硬化試験片を作製した。
【0058】えられた試験片の曲げ弾性率(JIS K 691
1)、曲げ強度(JIS K 6911)、熱機械分析(TMA 測定)
によるガラス転移温度、熱膨張率およびヒートサイクル
(-196℃×30秒〜 260℃×30秒)100回後のパッケージク
ラック特性(20個)を測定した。結果を表1に示す。
【0059】[実施例2〜5]下記のようにして製造し
た可撓化剤B〜Dを表1に示すように使用し、その他の
成分を配合したほかは実施例1と同様にして、半導体封
止用エポキシ樹脂組成物をえた。ついで実施例1と同様
にして硬化試験片を作製し、特性を調べた。結果を表2
に示す。 (可撓化剤B)変性シリコーンオイル(a1)50部と、
変性シリコーンオイル(b1)100部と、トリフェニルホ
スフィン0.5部とを、チッ素をふきこみながら150℃で8
時間反応させ、予備反応物(可撓化剤B)をえた(フェ
ノール性水酸基反応率90%)。 (可撓化剤C)変性シリコーンオイル(a1)150部と、
一般式:
【0060】
【化16】 で示され、平均分子量600、エポキシ当量200で分子
鎖の内部にエポキシ基を有する変性シリコーンオイル
(b2)50部と、トリフェニルホスフィン0.4部とを、チ
ッ素をふきこみながら150℃で5時間反応させ、予備反
応物(可撓化剤C)をえた(エポキシ基反応率85%)。 (可撓化剤D)変性シリコーンオイル(a1)150部と、
一般式:
【0061】
【化17】 で示され、平均分子量620でエポキシ当量210の変性シリ
コーンオイル(b3)50部と、トリフェニルホスフィ
ン0.3部とを、チッ素をふきこみながら150℃で5時
間反応させ、予備反応物(可撓化剤D)をえた(エポキ
シ基反応率83%)。 (可撓化剤E)可撓化剤A50部とEOCN1020 100部とトリ
フェニルホスフィン0.3部とを、チッ素をふきこみなが
ら150℃で20時間予備反応させ、主剤のエポキシ樹脂の
一部と反応した可撓化剤Eをえた(ヒドロキシフェニル
基反応率89%)。
【0062】[比較例1〜2]可撓化剤としてチバガイ
ギー社製のアラルダイトGY298(比較例1)またはダウケ
ミカル社製のDER736(比較例2)を用いて、実施例1と
同様にして表1に示す配合組成のエポキシ樹脂組成物を
えた。ついで実施例1と同様にして試験片を作製し、特
性を調べた。結果を表1に示す。
【0063】[比較例3]可撓化剤を用いないで、実施
例1と同様にして表1に示す配合組成のエポキシ樹脂組
成物をえた。ついで、実施例1と同様にして試験片を作
製し、特性を調べた。結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】 表2に示される結果から明らかなように、本発明の半導
体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物は、耐熱性が高
く、低熱膨張率であり、さらに従来のものと同程度また
はそれ以上の高ガラス転移温度を達成したものであり、
半導体封止用として好適に使用しうることがわかる。
【0066】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の半導体封
止用エポキシ樹脂組成物は、可撓化剤としてエポキシ樹
脂および(または)硬化剤などと反応可能な官能基を有
する一般式(I)で示される変性環状シリコーンオイルの
2種以上の共重合体であって、分子末端や分子内部・側
鎖にエポキシ樹脂および(または)硬化剤と反応可能な
官能基を有する新規なシリコーンを用いることにより、
マトリクス中におけるシリコーン成分の分散性がより向
上し、その硬化物は耐熱性、耐湿性を保持し、低熱膨張
で低弾性率であり、従来と同程度の高ガラス転移温度
で、高靭性の硬化物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 63/00 - 63/10 C08L 83/06 H01L 23/29

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2種以上の一般式(I): 【化1】 (式中、X1〜X3はそれぞれエポキシ樹脂および(また
    は)硬化剤と反応可能な官能基、R1〜R3はそれぞれア
    ルキル基、フェニル基、フェニル置換アルキル基、アル
    キル置換フェニル基、フッ素置換アルキル基またはポリ
    アルキレンオキシド、aは2〜10の整数、bは0〜10の
    整数、cは0〜10の整数、ただし3≦a+b+c≦12)
    で示される変性環状シリコーンオイルの共重合体であっ
    て、環状シリコーン部を有し、エポキシ樹脂および(ま
    たは)硬化剤と反応可能な官能基を有するシリコーン
    と、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、充填剤、離型
    剤、着色剤および表面処理剤とを含有してなる半導体封
    止用エポキシ樹脂組成物。
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