JP2794363B2 - 低移行性塩化ビニル系樹脂シート - Google Patents
低移行性塩化ビニル系樹脂シートInfo
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Description
ーストをコーティングした後、加熱ゲル化して得られる
塩化ビニル系樹脂シート(以下、「塩ビペーストシー
ト」と記すこともある)に関し、詳しくは配合されてい
る可塑剤の移行やアルコール等の溶剤による抽出を抑制
した上記シート、すなわち低移行性塩化ビニル系樹脂シ
ートに関する。
ビニル系樹脂を原料とするシート(以下、「塩ビシー
ト」と記すこともある)の製造方法は、一般に、塩化ビ
ニル系樹脂に可塑剤等の各種添加剤を配合し加熱混練し
たコンパウンドをカレンダーロールにより圧延してシー
ト化する方法(以下、「カレンダー法」と記す)と、塩
化ビニル系樹脂を液状の可塑剤中に均一に分散させたペ
ーストを紙(最終工程等で除去する離型紙を含む)や布
等の基材上に各種の手段でコーティングした後、加熱ゲ
ル化してシート化する方法(以下、「ペースト法」と記
す)とに大別される。なお、上記のペースト法等のペー
ストを用いる成形方法は、加熱混練してゲル化したコン
パウンドを所望形状に成形し、冷却固化して成形品を得
るカレンダー法とは逆に、室温で流動状態にあるペース
トに所望の形状を与えてから加熱ゲル化して成形品を得
るという点が大きな特色となっている。
(すなわち、塩ビペーストシート)としては、塩化ビニ
ル系樹脂単層からなるシートの他に、紙,織布,不織
布,編布,これらに合成樹脂を含浸させたもの,合成樹
脂シート,これらの複合材料等の基材上にペーストをコ
ーティングして得られるシート、あるいは上記の塩化ビ
ニル系樹脂単層からなるシートとこれらの基材とを積層
して得られるシートが挙げられ、これらのシートは、い
わゆる塩ビレザー、壁材、床材等として広く使用されて
いる。
は、カレンダー法による塩ビシートでは得られない利
点、例えば、各種の基材が使用可能で、バラエティー
に富む製品が得られる、コーティングが複数回、しか
も各コーティング毎に樹脂原料の変更が可能であり、意
匠性に優れた複合製品が得られる、ソフトな風合いの
製品が得られる、製品シートの成形性が良く、熱成
形、真空成形が可能であり、しかも高周波ウエルダー等
による融着も可能である、基材の無い製品シートの場
合、他の材料へのラミネートが可能である、発泡倍率
を高くすることができる等を有している。このため、塩
ビペーストシートは、現在、カレンダー法によるシート
に比し、広い分野で使用されている。
る塩ビペーストは、周知の通り、エマルジョン重合によ
り製造される塩化ビニル系樹脂に、ジオクチルフタレー
ト(DOP)を代表とするフタル酸系の可塑剤が配合さ
れて調製されたものが一般的である。このような塩ビペ
ーストを原料とする塩ビペーストシートにおいては、上
記のフタル酸系の可塑剤が徐々に移行したり、アルコー
ル等の溶剤によって抽出されるため、次のような問題を
生ずる。
デオカメラ、携帯用カセットデッキ等の弱電製品のボデ
ィーを保護するためのケースや付属品の表皮として使用
されるが、このボディーがポリスチレン、ABS樹脂、
ポリカーボネート等により形成されている場合、可塑剤
はボディー側に移行するため、ボディーの構成材料であ
る上記の樹脂を侵食(溶解)し、外観を著しく損ね、と
きにはボディー内部の機構にまで影響を及ぼすこともあ
る。
院、理容院、美容院等の椅子の表皮、あるいは壁材や床
材等の内装材としても使用されるが、この場合は、飛散
する消毒薬、整髪料等が、塩ビペーストシート表面に付
着して、該レザー中の可塑剤を抽出する。可塑剤が大量
に抽出されてしまうと、塩ビペーストシートは、ソフト
感を失って硬化し、ときにはヒビ割れすら生じ、外観の
みならず、椅子の使用感等をも著しく損ねる。
バン類、家具類、事務用品、運動用品等の表皮として、
あるいは車の内装材等としても多用されているが、これ
らにおいても、上記のような特定の樹脂や薬剤等と接触
する機会が多い場合は、上記と同様に接触する相手材を
侵食したり、自身を固化させる等の事態を招く。
剤の移行および抽出を抑制するためには、可塑剤とし
て、高分子量のものを使用するか、枝分かれが多い等の
ように分子の構造が嵩高(バルキー)なものを使用する
ことが考えられる。すなわち、高分子量の可塑剤、ある
いはバルキーな可塑剤であれば、塩ビペーストシートを
構成している塩ビの粒子間を移動することが極めて困難
となり、したがって、上記のような移行および抽出が抑
制されるものと考えられる。
性能、耐抽出性能に優れた高分子量の可塑剤を使用した
場合には、塩ビペーストのゾル粘度が高くなりすぎて、
加工性が悪化し、現在のシート製造技術では、良好な製
品を得ることが極めて困難ないしは不可能であることが
確認されている。一方、バルキーな可塑剤を使用した場
合には、塩化ビニル系樹脂との相溶性が悪く、ゲル化特
性に欠け、やはり良好な塩ビペーストシートを得ること
が極めて困難ないしは不可能であることが確認されてい
る。
よる塩ビシートに比して、数々の利点を有する塩ビペー
ストシートを、可塑剤の移行および抽出を抑え、しかも
上記のようなシート製造技術上の問題を生起することな
く、提供することにある。
達成するために研究を重ねた結果、 (i)前述の高分子量の可塑剤とバルキーな可塑剤とを
併用することにより、これらの可塑剤をそれぞれ単独で
使用する場合の前述のようなシート製造上の種々の弊害
が生じないばかりか、これら各可塑剤の相乗作用によ
り、塩ビペーストのゾル粘度が予想以上に低下し、シー
ト製造上極めて良好なペースト状態を呈すること、 (ii)このときの高分子量の可塑剤として、ジカルボ
ン酸とジオールとの縮合重合により得られるポリエステ
ル系可塑剤が、バルキーな可塑剤として、4個のカルボ
キシル基を有するピロメリット酸とアルコールとのエス
テル(すなわち、ピロメリット酸エステル系可塑剤で、
以下、「ピロメリット酸系可塑剤」と記すこともある)
が、それぞれ適していること(これらの可塑剤であれ
ば、塩ビペーストシートと上記のポリスチレン、ABS
樹脂、ポリカーボネート等とが接触しても、これらを侵
食しないし、消毒薬等に使用される溶剤に抽出されるこ
とも抑制され、また塩ビペーストのゾル粘度の上昇やゲ
ル化特性等の面において、さらにはコストの面等におい
ても好ましいこと)、の知見を得た。
もので、 (1)可塑剤として、ポリエステル系可塑剤とピロメリ
ット酸エステル系可塑剤とを1:9〜9:1(重量比)
の割合で配合した塩化ビニル系樹脂ペーストを、コーテ
ィングした後、加熱ゲル化して得られる低移行性塩化ビ
ニル系樹脂シート、および (2)基材上に、可塑剤としてポリエステル系可塑剤と
ピロメリット酸エステル系可塑剤とを1:9〜9:1
(重量比)の割合で配合した塩化ビニル系樹脂ペースト
をコーティングした後、加熱ゲル化して得られる塩化ビ
ニル系樹脂層を少なくとも一層形成してなる低移行性塩
化ビニル系樹脂シート、を要旨とする。
は、化1の一般式に示すように、ジカルボン酸とジオー
ルの縮合重合により重合され、末端基としてカルボキシ
ル基あるいは水酸基を持つものであるが、一般には末端
のカルボキシル基および水酸基は、それぞれアルコー
ル、カルボン酸と縮合重合しているものである(化1に
は、両末端基が水酸基である場合を例示する)。該ポリ
エステル系可塑剤の分子量は、小さすぎると、前述した
従来のフタル酸系可塑剤と同様に移行および抽出が多
く、逆に大きすぎると、ゾル粘度が高くなりすぎて前述
したポリエステル系可塑剤単独使用の場合と同様の問題
が生じるため、本発明では分子量600〜4000、好
ましくは1000〜2500のものを使用する。
は、フタル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸等が
挙げられる。また、化1中のカルボン酸は、炭素数1〜
15の脂肪酸等のモノカルボン酸である。さらに、化1
中のジオールのR′は、炭素数が3〜6、好ましくは3
〜5のアルキレン基であり、特に化2の構造式のような
分枝の有るアルキレン基が可塑剤をバルキーなもの(す
なわち、移行や抽出を生じ難いもの)とするので好まし
い。
ば、化3の一般式を有するピロメリット酸とアルコール
の縮合反応によって得られ、化4の一般式を有する分子
構造がバルキーな化合物である。
数2〜13のアルキル基、シクロアルキル基、アルキレ
ン基、ポリメチレン基、アルキン基、アルコキシル基で
あり、一部がフェニル基等で置換されていてもよい。好
ましくは、エチル基、ブチル基、オクチル基、イソオク
チル基、イソデシル基、トリデシル基、ベンジル基、ア
リル基、カプリル基、ノニル基、シクロヘキシル基、ヘ
キシル基、メトキシエチル基、ブトキシエチル基、エチ
ルヘキシル基である。R1、R2、R3、R4は、全て
が同じでも、それぞれ異なっていてもよく、また2つづ
つが同じであってもよいし、2つが同じで他の2つはそ
れぞれ異なっていてもよく、あるいは3つが同じであっ
てもよい。
ト酸系可塑剤との混合割合は、使用する塩化ビニル系樹
脂(種類、分子量、分子の粒径等)、あるいはシート製
造方法により、ポリエステル系可塑剤:ピロメリット酸
系可塑剤=1:9〜9:1(重量比)、好ましくは5:
5〜9:1の範囲内から好適な混合割合が適宜選択され
る。
たように、塩ビペーストのゾル粘度を上昇させ、ピロメ
リット酸系可塑剤が多ければ、ゲル化特性に問題を生じ
させることがある。
リット酸系可塑剤とが併用される塩化ビニル系樹脂とし
ては、塩ビペーストシートに通常使用されているもので
あれば、どのようなものも使用することができる。具体
的には、エマルジョン重合により得られる平均重合度が
約800〜2000、好ましくは約1000〜1500
のポリ塩化ビニルまたは塩化ビニルを主体とする共重合
体(例えば、エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニ
ル−塩化ビニル共重合体、塩化ビニルーメタクリル酸エ
ステル共重合体等)、あるいはこれらのポリ塩化ビニル
や塩化ビニルを主体とする共重合体と他の相溶性の樹脂
(例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル
樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ウレタン樹脂、アクリロニト
リル−スチレン−ブタジエン共重合樹脂、部分ケン化ポ
リビニルアルコール等)とのブレンド物等が挙げられ
る。
リエステル系可塑剤とピロメリット酸系可塑剤の配合量
は、従来のフタル酸系の可塑剤の場合と同程度でよく、
塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、ポリエステル系
可塑剤とピロメリット酸系可塑剤の上記範囲内の割合で
の混合体として、40〜150重量部、好ましくは50
〜90重量部が適している。
テル系可塑剤とピロメリット酸系可塑剤の他に、塩ビペ
ーストシートを製造する際に通常使用される各種の添加
剤、例えば、発泡剤、着色剤、安定剤、充填剤等を配合
することができる。これらの添加剤の種類あるいは配合
量は、前述した従来のフタル酸系の可塑剤を使用する場
合と同様の種類あるいは配合量でよく、特別の種類や配
合量にする必要はない。
シートは、通常の塩ビペーストシートの製造方法と全く
同様にして製造することができる。すなわち、先ず、主
にエマルジョン重合により製造されるペースト用塩化ビ
ニル系樹脂に、上記のポリエステル系可塑剤とピロメリ
ット酸系可塑剤とを上記した割合で配合し、また必要に
応じて上記の各種の添加剤を所定の割合で配合し、これ
らを均一に分散させて塩ビペーストを調製する。このと
き、ポリエステル系可塑剤とピロメリット酸系可塑剤と
は、予め所定の割合となるように混合しておいたものを
配合してもよいし、別々に所定の量を配合することもで
きる。
を含む)、織布、不織布、編布、これらに合成樹脂を含
浸させたもの、合成樹脂シート、これらの複合材等の基
材上に、ドクターナイフ、コンマドクター、ロールコー
ター、グラビアコーター、ロータリースクリーンコータ
ー、オフセットコーター、フレキソコーター、リバース
ロールコーター、その他の適宜の手段によりコーティン
グする。このとき、コーティングを1回のみとしてもよ
いし、複数回行ってコーティング層を複数層としてもよ
く、複数層とする場合は各層毎に異なる塩化ビニル系樹
脂によるペーストを使用することもできる。なお、複数
回コーティングする場合は、前にコーティングした層を
ゲル化させた後に行う。また、上記の各種基材(離型紙
を除く)は、用途に応じて難燃性等の各種の特性を付与
したものであってもよい。
熱されてゲル化され、続いて加熱されてキュアーされ
る。このときのゲル化条件およびキュアー条件は、塩ビ
ペーストの固形分濃度や塩ビペースト層の厚さ等によっ
て異なるが、従来のフタル酸系の可塑剤を使用している
場合と同様でよい。なお、この塩ビペーストの固形分濃
度や塩ビペースト層の厚さも従来のフタル酸系の可塑剤
を使用している場合と同様でよく、例えば、固形分濃度
は上記のコーティング手段の種類等により、塩ビペース
ト層の厚さは製品シートの用途に応じて、適宜選定可能
である。また、塩ビペーストが発泡剤を配合している場
合は、上記のゲル化あるいはキュアーを行う際に発泡も
同時に行わせる。
使用している場合は、これを剥離する。これにより、基
材のない塩ビペーストシートを得ることができる。この
離型紙として、表面(塩ビペーストのコーティング面
側)に凹凸文様のあるものを使用すれば、製造されるシ
ート表面に該凹凸文様が転写されることも、従来のフタ
ル酸系の可塑剤を使用する場合と同様である。
後、表面側にプリントやエンボス等の二次加工を行った
り、あるいは表面層の保護や、表面感触を向上させる等
の目的で、ウレタン樹脂等の合成樹脂による上引層を設
けたり、紙、織布、不織布、編布、これらに合成樹脂を
含浸させたもの、合成樹脂シート、これらの複合材等の
基材上に、積層することもできる。このような二次加工
あるいは上引層の形成等も、従来のフタル酸系の可塑剤
を使用している塩ビペーストシートと同様の材料、方
法、条件等で行うことができる。
高分子量のポリエステル系可塑剤は、互いに絡まり合っ
てさらに大きな分子となって、樹脂粒子間の移動が困難
な形態をとり、またバルキーなピロメリット酸系可塑剤
は、それ自体で樹脂粒子間の移動が困難な形態となって
おり、しかも高分子量のポリエステル系可塑剤とバルキ
ーなピロメリット酸系可塑剤とが絡まり合うこともあ
り、粒子間の移動が一層困難な形態となると考えられ
る。このため、本発明の塩ビペーストシートにあって
は、可塑剤の移行が少なくなり、いわゆる低移行性の塩
化ビニル系樹脂シートとなる。
造上の問題である、高分子量のポリエステル系可塑剤に
よる塩ビペーストのゾル粘度の上昇と、バルキーなピロ
メリット酸系可塑剤による塩ビペーストのゲル化特性の
悪化とは、これら両可塑剤の併用により相殺されて解消
される。
は、予想を上回って改良される。すなわち、塩ビペース
トのゾル粘度は、上記の両可塑剤を併用する場合、図1
のグラフに示すように、理論的には直線αのようになる
と予想されるが、実際には曲線βのようなゾル粘度を示
すことが本発明者により確認されている(なお、図1の
グラフは、後述する実施例で得られた結果である)。
の塩ビペーストシートでは、可塑剤の移行が低く抑えら
れ、したがってポリスチレンやABS樹脂等と接触する
状態で使用しても、両可塑剤がこれらの樹脂を溶解して
表面状態を侵食することはないし、また消毒薬等が飛散
する場所で使用しても、両可塑剤が消毒薬等によって抽
出されて本発明の塩ビペーストレザーを硬化させること
も防止される。さらに、本発明の塩ビペーストシートの
製造上の問題であるペーストのゾル粘度の上昇やゲル化
特性の問題も、以上の両可塑剤の相乗作用により、こと
ごとく解消される。
塩ビペーストのゾル粘度は、粘度計として東京計器
(株)製のBH型回転粘度計を使用し、室温にて測定し
たところ、7500cpsであり、各種のコーターで容
易にコーティングできる粘度であった。
紙上にドクターナイフコーターにより、厚さが0.3m
mとなるようにコーティングし、140℃で90秒間ゲ
ル化のための加熱処理を行い、ついで190℃で2分間
キュアーのための加熱処理を行った後、離型紙を剥離し
た。このとき、ゲル化特性を調べるために表面状態を観
察し、また可塑剤の移行性試験、抽出性試験を行い、そ
の結果を表4に示す。なお、ゲル化特性の評価基準は表
2に示す通りとし、可塑剤の移行性試験および抽出性試
験は以下のようにして行った。以上の結果、離型紙にコ
ーティングされた塩ビペーストは良好にゲル化および発
泡しており、発泡倍率が約4倍の良好な製品状態の塩ビ
ペーストシートを得ることができた。
8cm×4.8cmの大きさに切断してサンプルを多数
枚調製した。これら各サンプルの塩ビ側をポリスチレ
ン、ABS樹脂の各シートと接触させ、80kg/m2
の荷重を掛けて70℃で24時間放置した後、ポリスチ
レン、ABS樹脂の各シートの塩ビとの接触面側を目視
により観察した。
きさに切断したサンプルを、エチルアルコール中に5時
間浸漬した後、乾燥させ、外観および触感を観察し、評
価基準を表3の通りとした。
割合を表4に示すように種々変化させる以外は、実施例
1と同様の組成で(すなわち、ポリエステル系可塑剤と
ピロメリット酸系可塑剤との合量、これら可塑剤の種
類、その他は、実施例1と同様にして)塩ビペーストを
調製した。これらの塩ビペーストの粘度を、実施例1と
同様の測定条件で測定した結果を表4に合わせて示すと
ともに、実施例の塩ビペーストの粘度を含めて図1にグ
ラフ化して示した。なお、図1中、前述したように、直
線αは予想粘度変化直線、曲線βは実際の粘度変化曲線
である。また、塩ビペーストのゲル化特性、塩ビペース
トシートの可塑剤の移行性および抽出性を実施例1と同
様にして調べ、この結果も合わせて表4に示す。
合可塑剤に代えて、ジオクチルフタレート(DOP)を
使用する以外は、実施例1と同様の組成で塩ビペースト
シートを得た。このときの塩ビペーストのペースト粘度
およびゲル化特性、塩ビペーストシートの可塑剤の移行
性および抽出性を実施例1と同様にして調べ、この結果
を表4に合わせて示す。
ビペーストシートを調製し、ペースト粘度、可塑剤の移
行性および抽出性について実施例1と同様にして調べ
た。その結果を、表5に示す。
ビペーストシートを調製し、ペースト粘度、可塑剤の移
行性および抽出性について実施例1と同様にして調べ
た。その結果を、表5に示す。
ストシートによれば、可塑剤として分子量の大きいポリ
エステル系可塑剤と、化学構造がバルキーな4個のカル
ボキシル基を有するピロメリット酸系可塑剤とを使用し
ているため、これら可塑剤の移行およびアルコール等の
溶剤による抽出が極めて低く抑えることができる。した
がって、 (1)本発明のシートとポリスチレン、ABS樹脂、ポ
リカーボネート等とが、長時間、しかも大荷重で接触し
ても、これらの樹脂を侵食することはなく、 (2)本発明のシート表面に整髪料や消毒薬等が飛散し
ても、これら薬剤中に配合さているアルコール等の溶剤
によって、本発明のシート中の可塑剤が抽出されて、本
発明のシートが硬化してしまうこともなく、長時間にわ
たって本発明のシート製造当初のソフトな感触を維持す
ることができ、 (3)本発明のシートを車輌用シートとして使用する場
合には、可塑剤の揮発による車輌のガラスの曇り発生
(フォギング)を極めて少なくすることができる等の効
果を奏することができる。
シートにおいては、上記の高分子量のポリエステル系可
塑剤とバルキーなピロメリット酸系可塑剤との相乗作用
により、該シート製造の原料である塩ビペーストの粘度
が上昇しすぎて、シート製造が極めて困難ないしは不可
能となることがないのみならず、該ペーストの基材上へ
のコーティング後のゲル化特性も悪化せず、良好な製品
状態で得ることができる。
リット酸系可塑剤との混合割合に対する塩ビペーストの
ゾル粘度の変化を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 可塑剤として、ポリエステル系可塑剤と
ピロメリット酸エステル系可塑剤とを1:9〜9:1
(重量比)の割合で配合した塩化ビニル系樹脂ペースト
を、コーティングした後、加熱ゲル化して得られる低移
行性塩化ビニル系樹脂シート。 - 【請求項2】 基材上に、可塑剤としてポリエステル系
可塑剤とピロメリット酸エステル系可塑剤とを1:9〜
9:1(重量比)の割合で配合した塩化ビニル系樹脂ペ
ーストをコーティングした後、加熱ゲル化して得られる
塩化ビニル系樹脂層を少なくとも一層形成してなる低移
行性塩化ビニル系樹脂シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4171908A JP2794363B2 (ja) | 1992-06-07 | 1992-06-07 | 低移行性塩化ビニル系樹脂シート |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4171908A JP2794363B2 (ja) | 1992-06-07 | 1992-06-07 | 低移行性塩化ビニル系樹脂シート |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH05338101A JPH05338101A (ja) | 1993-12-21 |
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-
1992
- 1992-06-07 JP JP4171908A patent/JP2794363B2/ja not_active Expired - Fee Related
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