JP2793685B2 - 誘導体フィルタ - Google Patents

誘導体フィルタ

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Description

【発明の詳細な説明】 〔概 要〕 準マイクロ波帯およびマイクロ波帯の通信装置に使用
される誘電体フィルタに関し、 共振器として最低限必要な全長にて従来と同様の特性
が得られる小型の誘電体フィルタを提供することを目的
とし、 導波管モードで共振器として必要な所定の寸法を有
し、その表面が金属被膜で被われた誘電体ブロックの、
所定の距離だけ隔たった一対の側面の上下端間に設けら
れた一つの剥離帯毎に、該剥離対上に一端を前記金属被
膜と導通させ、且つ該一端を信号に対する短絡点となる
ように入出力電極を形成して誘電体フィルタを構成し
た。
〔産業上の利用分野〕
本発明は、準マイクロ波帯およびマイクロ波帯の通信
装置に使用される誘電体フィルタに関する。
〔従来の技術〕
近年、誘電体材料の高誘電率化が進み、800MHz帯では
このような誘電体材料を使用して半同軸型フィルタの小
型化が実現されている。
従来、このような誘電体材料を用いた誘電体フィルタ
には、導波管モード(TE10)における共振を利用したも
のがあった。
第6図は、従来の誘電体フィルタの構成例を示す図で
ある。
図において、全面に金属被膜が施された(メタライズ
された)誘電体ブロック61の上面には、入出力電極62、
63および結合ポスト641、642、651、652が設けられる。
なお、誘電体ブロック61の比誘電率に応じた使用周波数
の波長をλとすると、結合ポスト641、642と結合ポスト
651、652との距離は、共振器を構成するために、λ/2に
設定される。また、各入出力電極と誘電体との結合が電
界結合により行われるので、入出力電極62、63と誘電体
ブロック61の端との距離は、それぞれ同軸・導波管変換
部としてλ/4に設定される。さらに、電界結合による電
極の近傍に結合ポストを配置すると、フィルタ内の電界
が完全な導波管モードに変換されず、帯域幅の変化ある
いは帯域外減衰量の劣化その他の影響を生じるので、入
出力電極62、63と結合ポスト641、642、651、652との各
距離は、それぞれλ/4以上に設定される。
第7図は、入出力電極の構造を示す図である。
図において、電極が設けられる点では、電極として使
用される金属ピン71の径より大きい径の円形の剥離帯が
設けられ、その剥離帯の中央部には金属ピン71の径およ
びその挿入長に応じた垂直の穴72が誘電体ブロック61に
設けられ、金属ピン71が穴72に挿入される。
第8図は、従来の誘電体フィルタの実装方法を示す図
である。
図において、誘電体フィルタ81が実装される基板82の
上面には、誘電体フィルタ81の底面の寸法に応じたアー
スパターン83が設けられ、そのパターンの所定の点には
入出力電極62、63に接続すべき回路に連絡するランド8
4、85が設けられる。
誘電体フィルタ81は、その入出力電極62、63がランド
84、85の穴にそれぞれ差し込まれ、基板82の裏面で半田
付けされることにより固定される。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、このような従来例構成の誘電体フィルタ
は、共振器を構成するλ/2長に加えて、同軸・導波管変
換部の長さ(=(λ/4)×2)および結合ポストと入出
力電極との間に確保しなければならない距離(=(λ/4
以上)×2)として約1λ長が必要され、例えば、1段
のフィルタでも、その全長が1.5λ以上になっていた。
さらに、フィルタの入出力端における定在波比(VSW
R)の調整は、入出力電極の金属ピンの太さ、長さその
他を変更することにより行われていたが、作業性が悪く
効率的でなかった。
また、入出力端の結合度は入出力電極に最も近い結合
ポストの寸法その他で決定され、容易には変更できなか
った。
本発明は、共振器として最低限必要な全長にて従来と
同様の特性が得られる小型の誘電体フィルタを提供する
ことを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
第1図は、本発明の原理ブロック図である。
この図において、誘電体ブロック10は、導波管モード
で共振器として必要な所定の寸法を有し、その表面は金
属被膜で被われている。
その誘電体ブロック10の、所定の距離だけ隔たった一
対の側面の上下端間に一つの剥離帯11を設け、その各剥
離帯11上に一端を前記金属被膜と導通させ、且つ該一端
を信号に対する短絡点となるように入出力電極13、15を
形成して、請求項1に記載の発明の誘電体フィルタは構
成される。
なお、誘電体ブロックを参照する参照番号10は、剥離
帯を参照する参照番号11と図上で同一部分を参照してい
るが、金属被膜で覆われている誘電体ブロック10の前記
側面の一部の金属被膜を除いて現れている誘電体ブロッ
ク10の部分である剥離帯を参照番号11で参照している。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の誘電体フ
ィルタにおける一対の入出力電極13、15を、入力インピ
ーダンスと出力インピーダンスとの双方もしくは何れか
一方と、通過帯域との双方または何れか一方を所望の値
に調整可能である形状および寸法を有する電極として形
成したものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1または請求項2に
記載の誘電体フィルタにおける一対の剥離帯11を、誘電
帯ブロック10の側面の内、入力インピーダンスと出力イ
ンピーダンスとの双方もしくは何れか一方と、通過帯域
との双方または何れか一方が所望の値に設定され、ある
いは調整可能である位置に配置して形成したものであ
る。
〔作 用〕
一方の入出力電極13を入力電極とし、他方の入出力電
極15を出力電極として使用する場合、その入力電極13に
入力された信号は、アース端子である金属被膜と接続さ
れる前記入力電極13の一端において短絡され、その短絡
電流により誘電体ブロック10内に磁界が発生する。
その誘電体ブロック10内では、その寸法および誘電率
で決定される周波数にて導波管モード(TE101)の共振
が発生し、他方の出力電極15がその共振磁界と電界結合
により信号を取り出す。
このように、請求項1記載の発明では、入出力電極1
3、15間で磁界結合により信号の授受が行われるので、
従来例に必要とされた同軸・導波管変換部その他が不要
となり、誘電体フィルタの全長が短縮される。
請求項2に記載の発明にかかわる誘電体フィルタで
は、請求項1に記載の誘電体フィルタにおいて、一対の
電極13、15は、入力インピーダンスと出力インピーダン
スとの双方もしくは何れか一方と、通過帯域との双方ま
たは何れか一方を所望の値に調整可能である形状および
寸法を有する。
これらの形状および寸法を変更する作業は一般に簡単
であるので、上述した調整が電極の太さや長さの変更に
よって達成される従来例に比べて調整にかかわる作業の
効率が高められ、かつ電極13、15に接続されるべき回路
に適応したインピーダンス整合と通過特性の設定とが柔
軟に達成される。
請求項3に記載の発明にかかる誘電体フィルタでは、
誘電体ブロック11の内部に形成される導波管モードの電
磁界に対する一対の電極13、15の結合度は、これらの電
極13、15が形成される一対の剥離対の位置に応じて異な
る。
しかし、その一対の剥離帯は、誘電帯ブロック11の側
面の内、入力インピーダンスと出力インピーダンスとの
双方もしくは何れか一方と、通過帯域との双方または何
れか一方が所望の値に設定され、あるいは調整可能であ
る位置に配置される。
すなわち、一対の電極13、15は、所望の入出力インピ
ーダンスや通過帯域が達成されない程度に上述した結合
度が過大あるいは過小となる位置には形成されないの
で、これらの電極13、15について予め設定された幅ある
いはその幅の変更が可能な範囲において硬度高く所望の
濾波特性が得られる。
〔実施例〕
以下、図面に基づいて本発明の実施例について詳細に
説明する。
第2図は、本発明の一実施例を示す図である。
なお、本実施例では、本発明を3段の誘電体フィルタ
に適用した場合を示す。
図において、(1)は誘電体フィルタの構成および実
装状態を示し、(2)は入出力ラインとの他の接続方法
を示し、(3)、(4)は結合ポストの構成を示す。
誘電体フィルタ21の本体は全面に金属被膜を施した直
方体形の誘電体ブロックをベースとし、その側面に設け
られた「コ」の字形のスリット22に挟まれた金属被膜面
を入出力結合電極23とし、この面に対向する面にも同様
にして入出力結合電極24が設けられる。
また、入出力結合電極23、24の各設置面間に挟まれた
誘電体ブロックは、結合ポスト251、252および結合ポス
ト261、262により約λ/2間隔毎に仕切られ、3段のフィ
ルタを構成する。
また、誘電体フィルタ21は、所定の基板上に実装さ
れ、その基板上には入出力結合電極23、24にそれぞれ対
応する入力ライン27、出力ライン28および誘電体フィル
タ21の底面の寸法に応じたアースパターン29が設けら
れ、入力ライン27と入出力結合電極23との間および入出
力結合電極24と出力ライン28との間はそれぞれ銅箔30を
用いた半田付けにより接続される。
なお、第2図(2)に示すように、入出力結合電極2
3、24と入出力ライン27、28との間を狭くした場合に
は、直接半田付けにより接続することができる。この場
合には、ハンダブリッジによる短絡を防ぐために、
「コ」の字形のスリット22に隣接する誘電帯フィルタ21
の底面の金属被膜およびこれに対応するアースパターン
29に剥離帯34が設けられる。
なお、結合ポストの構成は、第2図(3)に示すよう
に、金属被膜面上に入出力結合電極と平行な貫通穴31を
設け、その内側にある誘電体ブロック61の表面に開口部
の金属被膜面と導通する金属被膜面32を施して形成され
る。また、第2図(4)に示すように、金属被膜面32に
代えて金属ピン33を貫通穴31に挿入し、貫通穴31の両端
の開口部で金属被膜面と金属ピン33とを導通させて形成
することもできる。
以下に、第2図を参照して、このような構成の誘電体
フィルタの動作について説明する。
入力ライン27から与えられる信号は入出力結合電極23
に与えられ、入出力結合電極23と金属被膜面(アース
面)との接続点で短絡される。この短絡点では短絡電流
により磁界が発生し、誘電体ブロック内では誘電体ブロ
ックの寸法および誘電率で決定される周波数にて導波管
モード(TE101)の共振が発生する。結合ポスト251、25
2は、この磁界に対応する信号を結合ポスト261、262
の間に構成される次段のフィルタに伝達し、結合ポスト
261、262でも同様の動作が行われる。また、入出力結合
電極24では、このような共振による磁界が磁界結合によ
り信号に変換され、最終段のフィルタから出力ライン28
に取り出される。
このように、入出力結合電極23、24では、電極と誘電
体内の磁界との結合が磁界結合により行われるので、従
来例に必要であった同軸・導波管変換部および結合ポス
トと入出力電極との間に確保すべき空間が不要となる。
また、本実施例では、入出力結合電極の幅およびその
設置面上の位置により入出力結合電極の結合度が変化
し、その結合度に応じて誘電体フィルタの帯域幅および
その入出力端におけるVSWRが変化する。さらに、本実施
例のように複数段のフィルタを構成する場合には、各段
間に設けられた結合ポストの太さに応じて同様に特性が
変化する。
第3図は入出力結合電極の幅と比帯域幅の関係の一例
を示す図である。
図において、横軸は比帯域幅(=(3dB帯域幅/中心
周波数)×100)を示し、縦軸は入出力電極の幅を示
す。図に示すように、入出力電極の幅が小さくなると、
得られる比帯域幅が小さく(先鋭度Qが高く)なる。な
お、第2図に示すように、入出力結合電極がその設置面
の中央部に配置された場合には、入出力端の結合が強く
なるので、入出力結合電極23、24の幅を小さくしても所
定以上の高い尖鋭度Qが得られない。したがって、その
場合には、第4図に示すように入出力電極を設置すべき
面の中央部から離れた点に入出力結合電極23、24を設け
ることにより、結合を小さくして通過帯域幅が狭いフィ
ルタを実現することができる。
第5図は、フィルタの入出力端における定在波比(VS
WR)の調整方法を示す図である。
図に示すように、入出力結合電極23、24を削ってその
幅を変えることにより、入出力端におけるVSWRを容易に
調整することができる。
なお、誘電体フィルタの帯域幅およびその入出力端に
おけるVSWRについては、上述の相互関係に基づき、両者
の兼ね合いにより入出力電極の位置およびその電極幅の
調整の可能範囲が決定される。
また、本実施例では、入出力結合電極23、24を対向し
た設置面にそれぞれ設けているが、磁界結合により所定
の特性が得られるならば、同一面あるいは隣接面に設け
ることができる。
〔発明の効果〕
上述したように請求項1に記載の発明によれば、入出
力電極間で信号の授受が磁界結合により行われるので、
従来例に必要とされた同軸・導波管変換部その他が不要
となり、誘電体フィルタの全長の短縮化に役立つ。
請求項2に記載の発明によれば、一対の入出力電極
は、入力インピーダンスと出力インピーダンスとの双方
もしくは何れか一方と、通過帯域との双方または何れか
一方を所望の値に調整可能な形状および寸法とする電極
として構成し得るという、請求項1に記載の発明におけ
る前述の形状および寸法の変更容易性から、上述した調
整が電極の太さや長さの変更によって達成される従来例
に比べて調整にかかわる作業効率の向上が図り得るばか
りでなく、入出力電極に接続されるべき回路に適応した
インピーダンス整合と通過特性の設定とに柔軟性を与え
ることが可能になる。
請求項3に記載の発明によれば、誘電体ブロックの内
部に形成される導波管モードの電磁界に対する一対の入
出力電極の結合度は、これらの電極が形成される一対の
剥離帯の位置を、誘電体ブロックの側面の内、入力イン
ピーダンスと出力インピーダンスとの双方もしくは何れ
か一方と、通過帯域との双方または何れか一方が所望の
値に設定され、あるいは調整可能である位置に配置する
ようにしたので、請求項1に記載の発明での一対の入出
力電極は、所望の入出力インピーダンスや通過帯域が達
成されない程度に上述した結合度が過大あるいは過小と
なる位置には形成されなくなるから、これらの入出力電
極について予め設定された幅あるいはその幅の変更が可
能な範囲において硬度高く所望の濾波特性を得ることが
可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の原理ブロック図、 第2図は本発明の一実施例を示す図、 第3図は入出力結合電極の幅と比帯域幅の関係の一例を
示す図、 第4図は入出力結合電極の他の配置例を示す図、 第5図はフィルタの入出力端における定在波比(VSWR)
の調整方法を示す図、 第6図は従来の誘電体フィルタの構成例を示す図、 第7図は入出力電極の構造を示す図、 第8図は従来の誘電体フィルタの実装方法を示す図であ
る。 図において、 21、81は誘電体フィルタ、 22は「コ」の字形スリット、 23、24は入出力結合電極、 251、252、261、262、641、642、651、652は結合ポス
ト、 27は入力ライン、 28は出力ライン、 29、83はアースパターン、 30は銅箔、 31は貫通穴、 32は金属被膜、 33、71は金属ピン、 34は剥離帯、 61は誘電体ブロック、 62、63は入出力電極、 72は穴、 82は基板、 84、85はランドである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−220603(JP,A) 特開 昭63−220602(JP,A) 特開 昭59−500198(JP,A) 特開 平3−212003(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01P 1/20 - 1/219 H01P 7/00 - 7/10 H01P 5/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導波管モードで共振器として必要な所定の
    寸法を有する誘電体ブロックを用いた誘電体フィルタに
    おいて、 表面が金属被膜で被われた前記誘電体ブロックの、所定
    の距離だけ隔たった一対の側面の上下端間に設けられた
    一つの剥離帯毎に、該剥離帯上に一端を前記金属被膜と
    導通させ、且つ該一端を信号に対する短絡点として形成
    した入出力電極を備えた ことを特徴とする誘電体フィルタ。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の誘電体フィルタにおい
    て、 一対の入出力電極は、 入力インピーダンスと出力インピーダンスとの双方もし
    くは何れか一方と、通過帯域との双方または何れか一方
    を所望の値に調整可能である形状および寸法を有する ことを特徴とする誘電体フィルタ。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の誘電体フ
    ィルタにおいて、 一対の剥離帯は、 誘電体ブロックの側面の内、入力インピーダンスと出力
    インピーダンスとの双方もしくは何れか一方と、通過帯
    域との双方または何れか一方が所望の値に設定され、あ
    るいは調整可能である位置に配置された ことを特徴とする誘電体フィルタ。
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