JP2792789B2 - 電気機器用拾い込みコイルのエンドコイル部分の構造 - Google Patents

電気機器用拾い込みコイルのエンドコイル部分の構造

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JP2792789B2 JP17021392A JP17021392A JP2792789B2 JP 2792789 B2 JP2792789 B2 JP 2792789B2 JP 17021392 A JP17021392 A JP 17021392A JP 17021392 A JP17021392 A JP 17021392A JP 2792789 B2 JP2792789 B2 JP 2792789B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種電気機器用の固定
子又は回転子鉄心の巻線溝(スロット)に収められる拾
い込みコイルに於いて、鉄心のスロットよりも外に出て
いる、いわゆるエンドコイル部分の構造に関するもので
ある。
【0002】
【従来技術】通常、回転電気機器の巻線は、予め外部
で、概ね平行なコイル片部分とその両端の半円弧状のエ
ンドコイル部分とに構成されたコイルをスロットに順次
嵌込むことにより構成される。なお、多層の場合には層
間絶縁を施しつつ鉄心に設けられているスロットに順次
挿入し、巻線構造が構成される。
【0003】このような巻線構造にあっては、スロット
に納まるコイル片部分は直線構造であり、規則正しく並
べれば足りるが、スロットから外に出ているエンドコイ
ル部分は曲線形状であり、それ自体若干厚めになりがち
である。しかしてコイルをスロットに挿入した際に、特
別に薄くする手段を施さなければ、該コイルのエンドコ
イル部分が、順次隣接する他の一以上のコイルのエンド
コイル部分と重なり合うこととなるため、所定厚み以上
になってしまうことが多い。
【0004】順次隣接する複数のエンドコイル部分の重
なりが所定の厚み以上になると、例えば、回転子が不平
衡となって振動が生じたり、風損が増加したりする原因
となって好ましくない。そのためコイルを鉄心に収納す
る作業の過程に於いて、エンドコイル部分を加圧したり
木槌で叩いたりすると云うような、所定形状にするため
の矯正作業が必要となる。しかしこのような矯正作業は
コイルのエンドコイル部分に必要以上に圧力や衝撃を加
えるものであり、巻線導体の絶縁に損傷を与えることが
ある。損傷が軽微でも、多層巻コイルの場合は層間短絡
を生じることがあり、更に大きな損傷を受けた場合には
線間短絡を生じる可能性もある。特に多相交流機にあっ
ては、隣接巻線に位相の異なる高い電位が印加されてい
るため危険性が高い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な従来技術の問題点を解決し、全てのエンドコイル部分
を同一かつ薄型になし得る電気機器用拾い込みコイルの
エンドコイル部分の構造を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の構成の要旨とす
るところは、中央部分を幅広にして三日月状に構成した
エンドコイル整形用の型板であって、コイル片間隔、巻
線導体のサイズ及び巻数に応じた寸法の型板を構成し、
上記型板の面に沿わせて同様の三日月状にエンドコイル
部分を展開整形し、その状態で上記エンドコイルと三日
月状の型板とを絶縁材により固定させた電気機器用拾い
込みコイルのエンドコイル部分の構造である。
【0007】前記型板は絶縁材で構成する。これをエン
ドコイル部分の、いわば、裏当て材として、該エンドコ
イル部分を上記型板に沿って薄く展開させ、その状態
で、適当な絶縁材、例えば、絶縁テープ等を巻き回し、
絶縁接着剤等で固定するものである。しかして上記型板
は、エンドコイル部分を整形状態で保持し得る充分な機
械的強度を有するシート部材であることが必要である。
なお上記型板は、これを二枚用いて、エンドコイル部分
の裏当てのみならず、それと対面する表当てにも同時に
用いる使い方をすることができる。
【0008】また上記型板は、三日月型に構成するもの
ではあるが、その最も幅広のセンター部分をいずれかの
端部側に若干ずらして構成しておくのが好ましい。コイ
ルのエンドコイル部分の裏面に当て、または両面に当て
る際、スロットへの装入時に上コイルとなる側に幅広の
センター部分が寄るように当て、こうしてエンドコイル
部分の展開状態を上コイル側に寄ったセンター部分で最
も薄く最も幅広になるようにするのが好ましい。
【0009】
【作用】本発明は、以上のように構成したため、拾い込
みコイルの巻線作業の後に、前記三日月状の型板をエン
ドコイル部分の下側又は上下両面に当接させ、この型板
に沿わせてエンドコイル部分の巻線導体を三日月状に展
開させることにより、エンドコイル部分を、格別の熟練
を要することなしに、特にセンター部分が薄く幅広な三
日月状に整形することができる。型板を、前記したよう
に、最も幅広のセンター部分を一方の端部寄りに構成し
た場合には、当然、エンドコイル部分の巻線導体もまた
一方の端部に寄ったセンター部分でより薄く寄り幅広に
展開することとなる。この後、こうして整形状態の巻き
線導体を上記片面又は両面の型板とともに絶縁材、例え
ば、テープで巻き回し、これを絶縁接着剤で固定する。
勿論、上記絶縁材としては、絶縁性接着剤又は自己融着
テープ等の絶縁性接着材料等も有効である。
【0010】上記型板は、こうして上記テープ及び接着
剤(若しくは絶縁性接着剤又は自己融着テープ等の絶縁
性接着材料)とともに、エンドコイル部分の一部となる
訳である。したがって電気機器類の運用開始後に於ける
エンドコイル部分の絶縁効果の向上はもとより、機械的
強度についての補強効果も充分期待できる。
【0011】しかして本発明を適用した拾い込みコイル
を鉄心のスロットにセットする際には、エンドコイル部
分に圧力を加えたり、木槌で叩く等の特別の処置を施す
ことなく、単に順次、そのコイル片部分を所定のピッチ
でスロットに挿入していくのみで、順次重なっていくエ
ンドコイル部分の重なりは、所定寸法以下に納まること
となる。前記のように、問題の多い加圧矯正作業は不要
となる訳である。そのため、作業性は良好となり、エン
ドコイル部分の絶縁に損傷を与える虞も全くない。更
に、前記のように、機械的強度も強化されたものとなっ
ている。
【0012】
【実施例】以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を
開示する。図1は、本発明の電気機器のコイルのエンド
コイル部分1の構造の構成例を示す一部切欠概略平面図
である。エンドコイル部分1は、A−A矢視図及びB−
B矢視図である図2及び図3に示したように、その下面
に三日月状の型板3が配設され、、巻線導体Cと重なり
あっており、一方の端部寄りのセンター部分に向かって
幅広になり、厚みを減ずるように構成されている。これ
に対して、両コイル片2、2は、図4に示したように、
部分的に結束されているだけなので、巻線導体Cは厚み
のある状態になっている。
【0013】この例の拾い込みコイルは、先ず一般の技
法による巻線作業で構成する。その後、図5に示したよ
うに、センター部分(幅広部分)を一方の端部に寄せて
構成した三日月状の型板3を、そのエンドコイル部分1
の裏面(コイルを平面から見た場合の裏面)に当接さ
せ、これに合わせて巻線導体Cを薄く展開させ、そうし
た上で、この状態を維持すべく絶縁テープ4を巻き付
け、かつ絶縁接着剤を施して固定する。こうして形成さ
れたエンドコイル部分1は、前記したように、特にセン
ター部分で、コイル片2よりも厚みが薄く幅広に形成さ
れており、コイル片2、2を鉄心溝(スロット)に挿入
した際の隣接する相互の重なり部分を所定寸法以下に薄
くすることが容易になる。
【0014】またこの実施例で採用した型板3は、通常
はプレスボードや合成樹脂積層板等の絶縁性素材で、図
5に示したように、センター部分(最幅広部分)を一端
寄りにした三日月状に構成したものである。なおコイル
片2に接する部分の幅w、最も広いセンター部分の幅
W、及びコイル片2、2間の間隔P等は、電気機器の電
圧、電流、用途等によってきまる使用コイルの構造又は
特性に応じて適宜決定されるべきものである。
【0015】図6は、図1に示したエンドコイル部分1
の構造を有する拾い込みコイル10、11を、鉄心12
のスロット14、15、16、17にセットした状態を
示す一部切欠概略正面説明図であり、図7は図6の一部
切欠概略平面説明図である。
【0016】このようなコイルのスロット14、15、
16、17への挿入は従来通り一般の技法により行な
う。もっとも、エンドコイル部分1の幅が最も広くな
り、かつ厚みが最も薄くなっているセンター部分を上コ
イル側寄りにするように、対応する側のコイル片2を上
コイルにすべくスロットに装入する。即ち、図6及び図
7に示したように、コイル10及びコイル11の右側の
コイル片2を上コイルになるように、それぞれスロット
16、17に挿入する如くである。
【0017】しかして、特に図7によって良く理解され
るように、エンドコイル部分1、1の幅広のセンター部
分は、それぞれ右側になる上コイル寄りに位置すること
となる。また図6及び図7に示したように、コイル10
のエンドコイル部分1と、コイル11のエンドコイル部
分1とが、間隔Dに於いて上下に重畳することとなる
が、各エンドコイル部分1、1は、前記したように、三
日月状の型板3に沿わせて展開させられ、センター部分
で扁平状に構成されているため、総合厚さTが薄くなっ
ている。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、従来から広く用いられ
ている拾い込みコイルに比してエンドコイル部分の重な
り部(センター部)の厚みが極端に薄くなり、かつ形状
が統一されている。したがって拾い込みコイルのエンド
コイル部分に圧力を加えたりする無理な矯正作業が不要
となり、全体として拾い込みコイルの組み込み作業が容
易となる。また、矯正作業がなくなるので、そのような
作業中に生じる巻線導体の絶縁損傷等に基づく自相内の
隣接するコイル導体間の短絡及び異なる相のコイル導体
間の短絡が妨げられる。こうして上記のような短絡によ
る製品不良、あるいは前記のような損傷等に起因する運
転中の振動等による絶縁破壊も妨げられ、これらに基づ
く障害等の懸念も大幅に軽減される。
【0019】また三日月状の型板は絶縁材で構成したも
のであり、拾い込みコイルのエンドコイル部分に於ける
絶縁強化に寄与し、隣接コイル間の絶縁耐力の向上に資
することができる。
【0020】更に、拾い込みコイルの機械的及び電気的
特性が均一化される上、エンドコイル部分の重畳する部
分の総合厚みをも統一しつつ改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の拾い込みコイルの一部切欠平面図。
【図2】図1のA−A線概略矢視図。
【図3】図1のB−B線概略矢視図。
【図4】図1のC−C線概略矢視図。
【図5】実施例の電気機器用拾い込みコイルのエンドコ
イル部分に使用される三日月状の型板の構成例を示す平
面図。
【図6】実施例の電気機器用拾い込みコイルを鉄心のス
ロットに納めた状態を示す一部切欠概略正面説明図。
【図7】実施例の電気機器用拾い込みコイルを鉄心のス
ロットに納めた状態を示す一部切欠概略平面説明図。
【符号の説明】
1 エンドコイル部分 2 コイル片 3 三日月状の型板 4 絶縁テープ 10 拾い込みコイル 11 拾い込みコイル 12 鉄心 14 スロット 15 スロット 16 スロット 17 スロット C 巻線導体

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中央部分を幅広にして三日月状に構成した
    エンドコイル整形用の型板であって、コイル片間隔、巻
    線導体のサイズ及び巻数に応じた寸法の型板を構成し、
    上記型板の面に沿わせて同様の三日月状にエンドコイル
    部分を展開整形し、その状態で上記エンドコイルと三日
    月状の型板とを絶縁材により固定させた電気機器用拾い
    込みコイルのエンドコイル部分の構造。
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JP5944713B2 (ja) * 2012-03-27 2016-07-05 株式会社荏原製作所 固定子の製造方法
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