JP2005019618A - 縦巻きコイルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】彎曲部および直線部が4つずつ周方向交互に連なって成る筒状を構成するようにして角形導線が巻回されて成るとともに、略直角四辺形の横断面外形形状を有するコイル巻装部に巻装される縦巻きコイルを、角形導線に余分な加工を施すことを不要としつつ、彎曲部の曲率半径をより小さく設定して占積率の増大に寄与し得るようにして構成する。
【解決手段】複数の角形導線34,35が、外側の角形導線35の内周に内側の角形導線34の外周を接触させるようにして巻回されて縦巻きコイルが構成される。
【選択図】 図5
【解決手段】複数の角形導線34,35が、外側の角形導線35の内周に内側の角形導線34の外周を接触させるようにして巻回されて縦巻きコイルが構成される。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、彎曲部および直線部が4つずつ周方向交互に連なって成る筒状を構成するようにして角形導線が巻回されて成るとともに、略直角四辺形の横断面外形形状を有するコイル巻装部に巻装される縦巻きコイルおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
巻線抵抗を小さく抑えるとともに、占積率を増大せしめるために、帯状に延びる角形導線を巻回して縦巻きコイルを構成したものが、たとえば特許文献1等で既に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−222724号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、コイル巻装部の横断面外形形状が直角四辺形となるものであることに起因して、コイル巻装部が備える4つの隅角部に対応する部分で縦巻きコイルは彎曲せざるを得ないが、占積率を大きくするには彎曲部の曲率半径を小さく設定する必要がある。しかるに角形導線を巻回して筒状のコイルを構成する場合に、彎曲部の内周側に歪みや突起が生じないようにして曲率半径を小さくするには限界があり、上記特許文献1で開示されたものでは、前記コイル巻装部の4つの隅角部に対応する部分に配置されるようにして角形導線の所定間隔おきに幅狭部を形成しておき、それらの幅狭部で彎曲部を形成することにより、歪みや突起の発生を回避しつつ彎曲部の曲率半径を極力小さく設定し得るようにしている。しかるに前記幅狭部は、角形導線の両側の少なくとも一方切欠きを設けることによって形成されるものであり、角形導線の切欠き加工が必要となる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、角形導線に余分な加工を施すことを不要としつつ、彎曲部の曲率半径をより小さく設定して占積率の増大に寄与し得るようにした縦巻きコイルを提供することを第1の目的とし、その縦巻きコイルを最適に製造し得るようにした縦巻きコイルの製造方法を提供することを第2の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、彎曲部および直線部が4つずつ周方向交互に連なって成る筒状を構成するようにして角形導線が巻回されて成るとともに、略直角四辺形の横断面外形形状を有するコイル巻装部に巻装される縦巻きコイルであって、複数の角形導線が、外側の角形導線の内周に内側の角形導線の外周を接触させるようにして巻回されて成ることを特徴とする。
【0007】
このような請求項1記載の発明に従う縦巻きコイルによれば、筒状である縦巻きコイルに必要とされる径方向の厚みを、相互に接触した複数の角形導線で満たすようにして、各角形導線の幅を比較的小さくすることができるので、歪みや突起の発生を回避して各角形導線を小さな曲率半径で彎曲させるようにして、彎曲部の曲率半径を小さく抑えることが可能である。したがって角形導線に切欠き加工等の余分な加工を施すことを不要としつつ彎曲部の曲率半径をより小さく設定して占積率の増大に寄与することができる。
【0008】
また請求項2記載の発明は、回転電機のステータが周方向に間隔をあけて備える複数の前記コイル巻装部に各コイル巻装部相互間のスロットに収容されるようにして巻装されるとともに、前記ステータの周方向に沿って延びる渡り線部が一端に一体に連設されることを特徴とし、かかる構成によれば、従来の同一出力の回転電機に比べれば、径方向および軸方向での回転電機の小型化が可能となり、しかも縦巻きコイルの一端に渡り線部が一体に連なっているので、縦巻きコイルとは別に渡り線を準備することが不要であり、部品点数を低減することができるとともに、ステータの周方向に相互に離隔した位置でコイル巻線部に巻装されている縦巻きコイル同士を電気的に接続する箇所を半減し、回転電機の組付け工数を減らすことができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明の構成に加えて、外側の角形導線の断面積が、内側の角形導線の断面積よりも大きく設定されて相互に絶縁された複数の角形導線が巻回されて成ることを特徴とし、かかる構成によれば、内側の角形電線よりも外側の角形電線の方が長くなるにもかかわらず、縦巻きコイルでの電流抵抗の複数の角形導線間でのアンバランスを小さく抑えることができる。
【0010】
さらに上記第2の目的を達成するために、請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の縦巻きコイルを製造するための縦巻きコイルの製造方法であって、平坦な当接面を有する基台ならびに前記コイル巻装部が備える4つの隅角部にそれぞれ対応して周方向に順番に並ぶ第1〜第4彎曲面を外周に有して前記当接面から直角に延びる巻き枠部を有する巻回治具を準備し、相互に接触して平行に延びる複数の角形導線の巻き始めを前記巻回治具の第1および第4彎曲面間に対応する部分で前記当接面に当接させつつ前記巻き枠部の外周との間でクランプする第1ステップと、前記複数の角形導線を両面から規制しつつ第1彎曲面に沿わせて彎曲加工する第2ステップと、少なくとも第1彎曲面に対応する部分では複数の角形導線を両面から規制したままで前記複数の角形導線を両面から規制しつつ第2彎曲面に沿わせて彎曲加工する第3ステップと、少なくとも第2彎曲面に対応する部分では複数の角形導線を両面から規制したままで前記複数の角形導線両面から規制しつつ第3彎曲面に沿わせて彎曲加工する第4ステップと、少なくとも第3彎曲面に対応する部分では複数の角形導線を両面から規制したままで前記複数の角形導線を両面から規制しつつ第4彎曲面に沿わせて彎曲加工する第5ステップと、少なくとも第4彎曲面に対応する部分では複数の角形導線を両面から規制したままで前記複数の角形導線を両面から規制しつつ第1彎曲面に沿わせて彎曲加工する第6ステップとを順次経過させた後、第3〜第6ステップを順次経過するようにして前記複数の角形導線を巻き枠部に巻回して前記縦巻きコイルを構成することを特徴とする。
【0011】
このような請求項4記載の発明に従う縦巻きコイルの製造方法によれば、巻回治具の巻き枠部が備える第1〜第4彎曲部に沿うようにして、外側の角形導線の内周に内側の角形導線の外周を接触させつつ複数の角形導線を彎曲加工する際に、複数の角形導線を両面から規制しているので、外側の角形導線が内側の角形導線に乗り上げることがないようにして相互に隣接した複数の角形導線を彎曲させることができ、しかも彎曲加工に伴って各角形導線に引っ張り応力が作用するのであるが、少なくとも前回のステップで彎曲加工済みの部分でも複数の角形導線を両面から規制しているので、彎曲加工が終了した部分で外側の角形導線が内側の角形導線に乗り上げることも防止することができる。したがって外側の角形導線の内周に内側の角形導線の外周を接触させつつ複数の角形導線が巻回されて成るコイルを適切に製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図19は本発明の第1実施例を示すものであり、図1は電動発電機の一部正面図であって図2の1矢視図、図2は図1の2−2線断面図、図3は縦巻きコイルの接続状態を周方向に展開して示す図、図4は図2の4−4線矢視図、図5は縦巻きコイルの斜視図、図6は図5の6矢視図、図7は図6の7矢視図、図8は縦巻きコイルの製造工程の第1ステップを示す横断平面図、図9は図8の9−9線断面図、図10は縦巻きコイルの製造工程の第2ステップを開始する前の準備状態を示す横断平面図、図11は図10の11−11線断面図、図12は縦巻きコイルの製造工程の第2ステップを示す横断平面図、図13は図12の13−13線断面図、図14は縦巻きコイルの製造工程の第4ステップを開始する前の準備状態を示す横断平面図、図15は図14の15−15線断面図、図16は図14の16矢視図、図17は縦巻きコイルの製造工程の第4ステップを示す横断平面図、図18は縦巻きコイルの製造工程の第6ステップを開始する前の準備状態を示す横断平面図、図19は2回目の巻き付けが完了した状態を図18の矢視19方向から見た図である。
【0014】
先ず図1および図2において、この回転電機10は、たとえば発電機として機能する状態ならびに電動機として機能する状態を切換可能としてハイブリッド車両に搭載される電動発電機であり、ロータ11と、該ロータ11を同軸に囲繞するステータ12とを備える。
【0015】
ステータ12は、ステータコア13にU相、V相およびW相のコイルユニット14U,14V,14Wが装着されて成るものであり、ステータコア13は、半径方向内方に張り出す内向き鍔15aを一端に備えて円筒状に形成されるステータヨーク15と、該ステータヨーク15の内周に固着される複数個たとえば18個のティース16,16…とで構成される。
【0016】
横断面多数枚の磁性鋼板を積層して成るティース16は、横断面外形形状を略直角四辺形(この実施例ではステータヨーク15の軸線方向に長い長方形)としたコイル巻装部16aと、台形状に形成されて前記コイル巻装部16aの一端に連なる嵌合部16bと、コイル巻装部16aの他端からステータ12の周方向両側に張り出す鍔部16cとを備える。
【0017】
ステータヨーク15の内周には、周方向に等間隔をあけて複数個たとえば18個のあり溝17,17…が軸方向に延びるようにして設けられており、前記各ティース16…の嵌合部16b…がステータヨーク15の他端側から前記各あり溝17…に嵌入され、各嵌合部16b…は、ステータヨーク15の一端の内向き鍔15aと、ステータヨーク15の他端に溶接等で固着されるリング状のサイドプレート18との間に挟持される。
【0018】
このようにして前記各ティース16…は、相互間にスロット19…を形成しつつステータヨーク15の内周から略T字形に突出される。
【0019】
ステータヨーク15の中間部外周には、半径方向外方に張り出すフランジ部15bが一体に設けられ、該フランジ部15bが、図示しない複数のボルトによって車体に取付けられる。
【0020】
ロータ11は、円筒状の回転軸20と、多数枚の磁性鋼板を積層してリング状に構成されて前記回転軸20に同軸に固着されるロータコア21と、該ロータコア21の外周部に埋設される複数個たとえば12個のマグネット22…とを備える。
【0021】
ロータコア21の外周部には、軸線方向に沿って延びる複数個たとえば12個の取付け孔23…が周方向に等間隔をあけて設けられており、それらの取付け孔23…に嵌入される各マグネット22…の両端に当接するようにしてサイドプレート24,25がロータコア21の軸方向両端に当接され、両サイドプレート24,25およびロータコア21に挿通される複数ずつのボルト26…およびナット27…により、前記両サイドプレート24,25およびロータコア21が一体化される。
【0022】
図3を併せて参照して、ステータコア13の各ティース16…には、その両側のスロット19,19…に収納されるようにして縦巻きコイル30…が、図示しない絶縁紙を介してそれぞれ巻装されるものであり、周方向に沿って2つおきのティース16,16…に巻装されている縦巻きコイル30,30同士が、一方の縦巻きコイル30の一端に一体に連なる渡り線部30aが他方の縦巻きコイル30の他端にたとえば圧着スリーブ31を介して電気的に接続されることにより、U相、V相およびW相のコイルユニット14U,14V,14Wが構成される。各相のコイルユニット14U,14V,14Wの一端は中性点用渡り線32で相互に接続され、各相のコイルユニット14U,14V,14Wの他端には、電源ケーブル33U,33V,33Wがそれぞれ個別に接続される。
【0023】
図4〜図6において、縦巻きコイル30は、複数たとえば2つの角形導線34,35が、外側の角形導線35の内周に内側の角形導線34の外周を接触させるようにして巻回されて成るものであり、4つずつの彎曲部C1〜C4および直線部L1〜L4が周方向交互に連なって成る筒状をなし、、各ティース16…のコイル巻装部16a…に巻装される。
【0024】
而して、この第1実施例では、各角形導線34,35は、偏平な長方形の横断面形状を有して帯状に延びる銅線の外面全面が絶縁被覆されて成るものであり、両角形導線34,35の断面積は同一に設定されている。
【0025】
また各縦巻きコイル30…は、各ティース16…のコイル巻装部16a…に巻装する前に、図7で示すように、ステータヨーク15の内周面に極力沿わせるようにプレス機等によって屈曲成形される。
【0026】
さらに筒状に巻回された部分では相互に絶縁された状態にある角形導線34,35は、縦巻きコイル30の一端から一体に延出される渡り線部30aが、他の縦巻きコイル30の他端に圧着スリーブ31によって電機的に接続されるのに応じて電気的に導通することになる。
【0027】
上述のように、外側の角形導線35の内周に内側の角形導線34の外周を接触させるように複数たとえば2つの角形導線34,35を巻回して縦巻きコイル30を構成することにより、彎曲部C1〜C4の曲率半径を小さく抑えることが可能である。すなわち筒状である縦巻きコイル30に必要とされる径方向の厚みを、相互に接触した複数の角形導34,35線で満たすようにして、各角形導線34,35の幅を比較的小さく設定することができ、幅の小さな角形導線34,35をより小さな曲率半径で彎曲しても、歪みや突起の発生を回避することができるので、角形導線に切欠き加工等の余分な加工を施すことを不要としつつ各角形導線34,35を小さな曲率半径で彎曲させるようにして、彎曲部34,35の曲率半径をより小さく設定して占積率の増大に寄与することができる。
【0028】
また回転電機10のステータ12が周方向に間隔をあけて備える複数のティース16…にコイル巻装部16a…が設けられており、ティース16…相互間すなわちコイル巻装部16a…相互間に形成されるスロット19…に収容されるようにして縦巻きコイル30…がコイル巻装部16a…に巻装されるので、従来の同一出力の回転電機に比べれば、径方向および軸方向での回転電機10の小型化が可能となる。
【0029】
しかも縦巻きコイル30の一端に渡り線部30aが一体に連なっており、周方向に沿って2つおきのティース16,16…に巻装されている縦巻きコイル30,30同士が、一方の縦巻きコイル30の一端に一体に連なる渡り線部30aを他方の縦巻きコイル30の他端に電気的に接続するようにしているので、縦巻きコイル30…同士を接続する渡り線を縦巻きコイル30とは別に準備することが不要であり、部品点数を低減することができるとともに、ステータ12の周方向に相互に離隔した位置でコイル巻線部16a…に巻装されている縦巻きコイル30…同士を電気的に接続する箇所を半減し、回転電機10の組付け工数を減らすことができる。
【0030】
次に上述の縦巻きコイル30を製造する製造方法について図8〜図19を参照しながら説明すると、縦巻きコイル30の製造にあたっては、先ず図8および図9で示すように、基台40と、該基台40に立設される巻き枠部41とを備える巻回治具42を準備する。而して巻き枠部41は、前記ステータ12におけるティース16…のコイル巻装部16a…が備える4つの隅角部にそれぞれ対応して周方向に順番に並ぶ第1〜第4彎曲面44A〜44Bを外周に有するものであり、基台40に設けられた平坦な当接面45に直角に延びるように形成される。
【0031】
ところで前記巻き枠部41は、この実施例では、第1〜第4彎曲部44A〜44Cと、それらの彎曲部44A〜44D間を結ぶ4つの側面とを全て有するようにして小判型の横断面形状を有するように形成されているが、第1〜第4彎曲部44A〜44Dが相互に独立して配置されるように巻き枠部41が形成されていてもよく、また当接面43は、少なくとも第4彎曲部44Dに対応する部分で巻き枠部41に直角に連なるようにして平坦に形成されていればよい。
【0032】
このような巻回治具42が固定位置に配置された状態で相互に接触して平行に延びる複数たとえば2つの角形導線34,35を巻き枠部41に巻き付けていくことにより縦巻きコイル30を製造するのであるが、その製造工程の第1ステップでは、図8および図9で示すように、両角形導線34,35の巻き始めを巻回治具42の第1および第4彎曲面44A,44D間に対応する部分で当接面43に当接させつつ巻き枠部41の外周との間でクランプする。この際、たとえば巻回治具42にねじ部材45によって締結されるクランプ板46と、前記巻き枠部41の外周との間で角形導線34,35をクランプするようにしてもよい。
【0033】
第1ステップで両角形導線34,35をクランプした後の第2ステップでは、両角形導線34,35を両面から規制しつつ第1彎曲面44Aに沿わせて彎曲加工するのであるが、その第2ステップに入る前に、図10および図11で示すように、第1規制板47を当接面43に接触させるようにして巻回治具42に装着する。而して、第1規制板47は、この実施例では、第1および第2彎曲面44A,44Bに対応する部分で巻き枠部41の側面に当接するとともに当接面43の外縁よりも外側に張り出すようにして略U字状に形成されており、巻き枠部41の方向に沿う第1規制板47の一端部、第1ステップの処理完了後にあっては両角形導線34,35の巻き始め側端部に、当接面43に接触している第1規制板47上に両角形導線34,35を円滑に導くための傾斜ガイド面47aが設けられる。
【0034】
また第1規制板47の装着後には、図12および図13で示すように、第1規制板47との間に両角形導線34,35を挟む第2規制板48を巻回治具42に装着する。この第2規制板48は、第1実施例では、巻き枠部41の全周にわたって当接面43を覆うとともに当接面43の外縁よりも外側に張り出すように形成される。
【0035】
このような第1および第2規制板47,48により、第1彎曲部44Aに対応する部分では両角形導線34,35の両面が規制されることになり、その状態でローラ49により第2ステップの処理を実行する。すなわち前記第1規制板47の外周部を嵌入せしめる溝50を外周に備えるローラ49を、第1彎曲部44Aの曲率中心を中心とする円弧状に沿って転動させることにより、両角形導線34,35を両面から規制しつつ第1彎曲部44Aに沿わせて彎曲加工することになる。
【0036】
第3ステップでは、少なくとも第1彎曲面44Aに対応する部分では両角形導線34,35を両面から規制したままで両角形導線34,35を両面から規制しつつ第2彎曲面44Bに沿わせて彎曲加工するものであり、この第1実施例では、両角形導線34,35を第1および第2規制板47,48で両面から規制した状態を第2ステップから持続したままで、前出のローラ49もしくは第2彎曲部44Bに対応した位置に配置されてローラ49と同様に構成されたローラにより、第1および第2彎曲面44A,44Bに対応する部分では両角形導線34,35を両面から規制したままで両角形導線34,35を第2彎曲面44Bに沿わせて彎曲加工することになる。
【0037】
第3ステップに続く第4ステップでは、少なくとも第2彎曲面44Bに対応する部分では両角形導線34,35を両面から規制したままで両角形導線34,35を両面から規制しつつ第3彎曲面44Cに沿わせて彎曲加工するのであるが、その第4ステップに入る前に、図14〜図16で示すように、少なくとも第2彎曲部44Bに対応する部分で両角形導線34,35を両面から規制する規制部材51を巻回治具42に装着するとともに、第3および第4彎曲部44C,44Dに対応する部分で当接面43に接触させるようにして第1規制板47を巻回治具42に装着する。而して、規制部材51は、この第1実施例では、第1および第2彎曲面44A,44Bに対応する部分で巻き枠部41の側面に当接するとともに当接面43の外縁よりも外側に張り出すようにして略U字状に形成されており、両角形導線34,35を嵌入し得る規制溝52が内周に設けられるものであり、規制部材51を巻回治具42に装着することにより、第1および第2彎曲部44A,44Bに対応する部分で両角形導線34,35が両面から規制されることになる。
【0038】
また第1規制板47との間に両角形導線34,35を挟む第2規制板48を、図17で示すように、前記規制部材51上に載るようにして巻回治具42に装着する。これにより、第1および第2彎曲部44A,44Bに対応する部分では規制部材51によって両角形導線34,35の両面が規制されることになり、また第3および第4彎曲部44C,44Dに対応する部分では、第1および第2規制板47,48によって両角形導線34,35の両面が規制されることになる。
【0039】
このような状態で、第2ステップのローラ49と同様のローラ53により第4ステップの処理を実行する。すなわちローラ53を、第3彎曲部44Cの曲率中心を中心とする円弧状に沿って転動させることにより、第1〜第3彎曲部44A,44B,44Cに対応する部分で両角形導線34,35を両面から規制しつつ、第3彎曲部44Cに沿わせて両角形導線34,35を彎曲加工することになる。
【0040】
第5ステップでは、少なくとも第3彎曲面44Cに対応する部分では両角形導線34,35を両面から規制したままで両角形導線34,35を両面から規制しつつ第4彎曲面44Dに沿わせて彎曲加工するものであり、両角形導線34,35を第1および第2規制板47,48で両面から規制した状態を第4ステップから持続したままで、前出のローラ53もしくは第4彎曲部44Dに対応した位置に配置されてローラ53と同様に構成されたローラにより、第3および第4彎曲面44C,44Dに対応する部分では両角形導線34,35を両面から規制したままで両角形導線34,35を第4彎曲面44Bに沿わせて彎曲加工することになる。
【0041】
第6ステップでは、少なくとも第4彎曲面44Dに対応する部分では両角形導線34,35を両面から規制したままで両角形導線34,35を両面から規制しつつ第1彎曲面44Cに沿わせて彎曲加工することになり、この実施例では、図18で示すように、第6ステップに入る前に巻回治具42に装着した規制部材51により第3および第4彎曲部44C,44Dに対応する部分では両角形導線34,35を両面から規制し、また第1および第2彎曲部44A,44Bに対応する部分で第1規制板47を既に巻回ずみの両角形導線34,35に当接するようにして巻回治具42に装着し、さらに前述の第2ステップで説明したように第2規制板48を巻回治具42に装着してす第1規制板47との間に両角形導線34,35を挟み、その状態でローラ49により第6ステップの処理を実行する。すなわち第3および第4彎曲面44C,44Dに対応する部分では規制部材51により両角形導線34,35を両面から規制するとともに、第1および第2彎曲部44A,44Bに対応する部分では、第1および第2規制部材47,48によって両角形導線34,35を両面から規制しつつ第1彎曲面44Cに沿わせて両角形導線34,35を第1彎曲部44Aに沿わせて彎曲加工することになる。
【0042】
第6ステップ以降は、第3〜第6ステップを順次経過することにより、図19で示すように、両角形導線34,35を巻き枠部41に巻回していくものであり、それにより縦巻きコイル30が構成されることになる。
【0043】
このような縦巻きコイル30の製造方法によれば、巻回治具42の巻き枠部41が備える第1〜第4彎曲部44A〜44Dに沿うようにして、外側の角形導線35の内周に内側の角形導線34の外周を接触させつつ両角形導線34,35を彎曲加工する際に、両角形導線34,35を両面から規制しているので、外側の角形導線35が内側の角形導線34に乗り上げることがないようにして相互に隣接した両角形導線34,35を彎曲させることができる。しかも彎曲加工に伴って各角形導線34,35に引っ張り応力が作用するのであるが、少なくとも前回のステップで彎曲加工済みの部分でも両角形導線34,35を両面から規制しているので、彎曲加工が終了した部分で外側の角形導線35が内側の角形導線34に乗り上げることも防止することができる。
【0044】
したがって外側の角形導線35の内周に内側の角形導線34の外周を接触させつつ両角形導線34,35が巻回されて成る縦巻きコイル30を適切に製造することができる。
【0045】
上記第1実施例では、同一横断面積を有する一対の角形導線34,35を巻回して縦巻きコイル30を構成したが、図20で示す第2実施例のように、外側の角形導線35′の断面積が、内側の角形導線34′の断面積よりも大きく設定されて相互に絶縁された一対の角形導線34′,35′を巻回して成る縦巻きコイル30′を、その一端に渡り線部30a′が一体に連なるようにして構成してもよい。
【0046】
この第2実施例によれば、内側の角形電線34′よりも外側の角形電線35′の方が長くなるにもかかわらず、縦巻きコイル30′での電流抵抗の両角形導線34′,35′間アンバランスを小さく抑えることができる。
【0047】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0048】
たとえば上記実施例では、一対の角形導線34,35;34′,35′で縦巻きコイル30,30′を構成するようにしたが、3以上の複数の角形導線で縦巻きコイルを構成するようにしてもよい。
【0049】
また各角形導線の横断面積が全長にわたって一定である必要はなく、各角形導線間での電流抵抗のアンバランスを抑えるために、角形導線の一部で横断面積を変化させるようにしてもよい。
【0050】
また同一断面積を有する一対の角形導線34,35から成る複数の縦巻きコイル30…を電気的に接続する際に、一方の縦巻きコイル30における内側の角形導線34を他方の縦巻きコイル30における外側の角形導線35に接続するとともに一方の縦巻きコイル30における外側の角形導線35を他方の縦巻きコイル30における内側の角形導線34に接続するようにして、複数の縦巻きコイル30…を電気的に接続するようにしてもよい。このようにすれば、各縦巻きコイル30…における内側および外側の角形導線34,35の長さの差を、相互に電気的に接続される複数の縦巻きコイル30…全体では小さくし、電流抵抗のアンバランスを小さく抑えることができる。さらに縦巻きコイル30毎ではなくとも、各相を構成する複数の縦巻きコイル30…の中間点でのみ内側および外側の角形導線34,35の接続を入れ換えるようにしても上述と同様の効果を得ることができる。
【0051】
さらに上記実施例では、各角形導線の外面全面が予め絶縁処理された場合について説明したが、絶縁処理が施されていない複数の角形導線を巻回して縦巻きコイルを製造する過程で、各巻回層間および内、外面に絶縁処理を施すようにしてもよく、そうすれば、各角形導線間で電流抵抗のアンバランスが生じることがなくなる。
【0052】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、歪みや突起の発生を回避しつつ縦巻きコイルの彎曲部の曲率半径を小さく抑えることができ、角形導線に切欠き加工等の余分な加工を施すことを不要としつつ彎曲部の曲率半径をより小さく設定して占積率の増大に寄与することができる。
【0053】
また請求項2記載の発明によれば、従来の同一出力の回転電機に比べれば、径方向および軸方向での回転電機の小型化が可能となり、しかも縦巻きコイルとは別に渡り線を準備することが不要であるので部品点数を低減することができるとともに回転電機の組付け工数を減らすことができる。
【0054】
請求項3記載の発明によれば、内側の角形電線よりも外側の角形電線の方が長くなるにもかかわらず、縦巻きコイルでの電流抵抗の複数の角形導線間でのアンバランスを小さく抑えることができる。
【0055】
さらに請求項4記載の発明によれば、外側の角形導線の内周に内側の角形導線の外周を接触させつつ複数の角形導線が巻回されて成るコイルを適切に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の電動発電機の一部正面図であって図2の1矢視図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】縦巻きコイルの接続状態を周方向に展開して示す図である。
【図4】図2の4−4線矢視図である。
【図5】縦巻きコイルの斜視図である。
【図6】図5の6矢視図である。
【図7】図6の7矢視図である。
【図8】縦巻きコイルの製造工程の第1ステップを示す横断平面図である。
【図9】図8の9−9線断面図である。
【図10】縦巻きコイルの製造工程の第2ステップを開始する前の準備状態を示す横断平面図である。
【図11】図10の11−11線断面図である。
【図12】縦巻きコイルの製造工程の第2ステップを示す横断平面図である。
【図13】図12の13−13線断面図である。
【図14】縦巻きコイルの製造工程の第4ステップを開始する前の準備状態を示す横断平面図である。
【図15】図14の15−15線断面図である。
【図16】図14の16矢視図である。
【図17】縦巻きコイルの製造工程の第4ステップを示す横断平面図である。
【図18】縦巻きコイルの製造工程の第6ステップを開始する前の準備状態を示す横断平面図である。
【図19】2回目の巻き付けが完了した状態を図18の矢視19方向から見た図である。
【図20】第2実施例の図6に対応した図である。
【符号の説明】
10・・・回転電機
12・・・ステータ
16a・・・コイル巻装部
19・・・スロット
30,30′・・・縦巻きコイル
30a,30a′・・・渡り線部
34,34′,35,35′・・・角形導線
40・・・基台
41・・・巻き枠部
42・・・巻回治具
43・・・当接面
44A・・・第1彎曲部
44B・・・第2彎曲部
44C・・・第3彎曲部
44D・・・第4彎曲部
C1〜C4・・・彎曲部
L1〜L4・・・直線部
【発明の属する技術分野】
本発明は、彎曲部および直線部が4つずつ周方向交互に連なって成る筒状を構成するようにして角形導線が巻回されて成るとともに、略直角四辺形の横断面外形形状を有するコイル巻装部に巻装される縦巻きコイルおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
巻線抵抗を小さく抑えるとともに、占積率を増大せしめるために、帯状に延びる角形導線を巻回して縦巻きコイルを構成したものが、たとえば特許文献1等で既に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−222724号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、コイル巻装部の横断面外形形状が直角四辺形となるものであることに起因して、コイル巻装部が備える4つの隅角部に対応する部分で縦巻きコイルは彎曲せざるを得ないが、占積率を大きくするには彎曲部の曲率半径を小さく設定する必要がある。しかるに角形導線を巻回して筒状のコイルを構成する場合に、彎曲部の内周側に歪みや突起が生じないようにして曲率半径を小さくするには限界があり、上記特許文献1で開示されたものでは、前記コイル巻装部の4つの隅角部に対応する部分に配置されるようにして角形導線の所定間隔おきに幅狭部を形成しておき、それらの幅狭部で彎曲部を形成することにより、歪みや突起の発生を回避しつつ彎曲部の曲率半径を極力小さく設定し得るようにしている。しかるに前記幅狭部は、角形導線の両側の少なくとも一方切欠きを設けることによって形成されるものであり、角形導線の切欠き加工が必要となる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、角形導線に余分な加工を施すことを不要としつつ、彎曲部の曲率半径をより小さく設定して占積率の増大に寄与し得るようにした縦巻きコイルを提供することを第1の目的とし、その縦巻きコイルを最適に製造し得るようにした縦巻きコイルの製造方法を提供することを第2の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、彎曲部および直線部が4つずつ周方向交互に連なって成る筒状を構成するようにして角形導線が巻回されて成るとともに、略直角四辺形の横断面外形形状を有するコイル巻装部に巻装される縦巻きコイルであって、複数の角形導線が、外側の角形導線の内周に内側の角形導線の外周を接触させるようにして巻回されて成ることを特徴とする。
【0007】
このような請求項1記載の発明に従う縦巻きコイルによれば、筒状である縦巻きコイルに必要とされる径方向の厚みを、相互に接触した複数の角形導線で満たすようにして、各角形導線の幅を比較的小さくすることができるので、歪みや突起の発生を回避して各角形導線を小さな曲率半径で彎曲させるようにして、彎曲部の曲率半径を小さく抑えることが可能である。したがって角形導線に切欠き加工等の余分な加工を施すことを不要としつつ彎曲部の曲率半径をより小さく設定して占積率の増大に寄与することができる。
【0008】
また請求項2記載の発明は、回転電機のステータが周方向に間隔をあけて備える複数の前記コイル巻装部に各コイル巻装部相互間のスロットに収容されるようにして巻装されるとともに、前記ステータの周方向に沿って延びる渡り線部が一端に一体に連設されることを特徴とし、かかる構成によれば、従来の同一出力の回転電機に比べれば、径方向および軸方向での回転電機の小型化が可能となり、しかも縦巻きコイルの一端に渡り線部が一体に連なっているので、縦巻きコイルとは別に渡り線を準備することが不要であり、部品点数を低減することができるとともに、ステータの周方向に相互に離隔した位置でコイル巻線部に巻装されている縦巻きコイル同士を電気的に接続する箇所を半減し、回転電機の組付け工数を減らすことができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明の構成に加えて、外側の角形導線の断面積が、内側の角形導線の断面積よりも大きく設定されて相互に絶縁された複数の角形導線が巻回されて成ることを特徴とし、かかる構成によれば、内側の角形電線よりも外側の角形電線の方が長くなるにもかかわらず、縦巻きコイルでの電流抵抗の複数の角形導線間でのアンバランスを小さく抑えることができる。
【0010】
さらに上記第2の目的を達成するために、請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の縦巻きコイルを製造するための縦巻きコイルの製造方法であって、平坦な当接面を有する基台ならびに前記コイル巻装部が備える4つの隅角部にそれぞれ対応して周方向に順番に並ぶ第1〜第4彎曲面を外周に有して前記当接面から直角に延びる巻き枠部を有する巻回治具を準備し、相互に接触して平行に延びる複数の角形導線の巻き始めを前記巻回治具の第1および第4彎曲面間に対応する部分で前記当接面に当接させつつ前記巻き枠部の外周との間でクランプする第1ステップと、前記複数の角形導線を両面から規制しつつ第1彎曲面に沿わせて彎曲加工する第2ステップと、少なくとも第1彎曲面に対応する部分では複数の角形導線を両面から規制したままで前記複数の角形導線を両面から規制しつつ第2彎曲面に沿わせて彎曲加工する第3ステップと、少なくとも第2彎曲面に対応する部分では複数の角形導線を両面から規制したままで前記複数の角形導線両面から規制しつつ第3彎曲面に沿わせて彎曲加工する第4ステップと、少なくとも第3彎曲面に対応する部分では複数の角形導線を両面から規制したままで前記複数の角形導線を両面から規制しつつ第4彎曲面に沿わせて彎曲加工する第5ステップと、少なくとも第4彎曲面に対応する部分では複数の角形導線を両面から規制したままで前記複数の角形導線を両面から規制しつつ第1彎曲面に沿わせて彎曲加工する第6ステップとを順次経過させた後、第3〜第6ステップを順次経過するようにして前記複数の角形導線を巻き枠部に巻回して前記縦巻きコイルを構成することを特徴とする。
【0011】
このような請求項4記載の発明に従う縦巻きコイルの製造方法によれば、巻回治具の巻き枠部が備える第1〜第4彎曲部に沿うようにして、外側の角形導線の内周に内側の角形導線の外周を接触させつつ複数の角形導線を彎曲加工する際に、複数の角形導線を両面から規制しているので、外側の角形導線が内側の角形導線に乗り上げることがないようにして相互に隣接した複数の角形導線を彎曲させることができ、しかも彎曲加工に伴って各角形導線に引っ張り応力が作用するのであるが、少なくとも前回のステップで彎曲加工済みの部分でも複数の角形導線を両面から規制しているので、彎曲加工が終了した部分で外側の角形導線が内側の角形導線に乗り上げることも防止することができる。したがって外側の角形導線の内周に内側の角形導線の外周を接触させつつ複数の角形導線が巻回されて成るコイルを適切に製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図19は本発明の第1実施例を示すものであり、図1は電動発電機の一部正面図であって図2の1矢視図、図2は図1の2−2線断面図、図3は縦巻きコイルの接続状態を周方向に展開して示す図、図4は図2の4−4線矢視図、図5は縦巻きコイルの斜視図、図6は図5の6矢視図、図7は図6の7矢視図、図8は縦巻きコイルの製造工程の第1ステップを示す横断平面図、図9は図8の9−9線断面図、図10は縦巻きコイルの製造工程の第2ステップを開始する前の準備状態を示す横断平面図、図11は図10の11−11線断面図、図12は縦巻きコイルの製造工程の第2ステップを示す横断平面図、図13は図12の13−13線断面図、図14は縦巻きコイルの製造工程の第4ステップを開始する前の準備状態を示す横断平面図、図15は図14の15−15線断面図、図16は図14の16矢視図、図17は縦巻きコイルの製造工程の第4ステップを示す横断平面図、図18は縦巻きコイルの製造工程の第6ステップを開始する前の準備状態を示す横断平面図、図19は2回目の巻き付けが完了した状態を図18の矢視19方向から見た図である。
【0014】
先ず図1および図2において、この回転電機10は、たとえば発電機として機能する状態ならびに電動機として機能する状態を切換可能としてハイブリッド車両に搭載される電動発電機であり、ロータ11と、該ロータ11を同軸に囲繞するステータ12とを備える。
【0015】
ステータ12は、ステータコア13にU相、V相およびW相のコイルユニット14U,14V,14Wが装着されて成るものであり、ステータコア13は、半径方向内方に張り出す内向き鍔15aを一端に備えて円筒状に形成されるステータヨーク15と、該ステータヨーク15の内周に固着される複数個たとえば18個のティース16,16…とで構成される。
【0016】
横断面多数枚の磁性鋼板を積層して成るティース16は、横断面外形形状を略直角四辺形(この実施例ではステータヨーク15の軸線方向に長い長方形)としたコイル巻装部16aと、台形状に形成されて前記コイル巻装部16aの一端に連なる嵌合部16bと、コイル巻装部16aの他端からステータ12の周方向両側に張り出す鍔部16cとを備える。
【0017】
ステータヨーク15の内周には、周方向に等間隔をあけて複数個たとえば18個のあり溝17,17…が軸方向に延びるようにして設けられており、前記各ティース16…の嵌合部16b…がステータヨーク15の他端側から前記各あり溝17…に嵌入され、各嵌合部16b…は、ステータヨーク15の一端の内向き鍔15aと、ステータヨーク15の他端に溶接等で固着されるリング状のサイドプレート18との間に挟持される。
【0018】
このようにして前記各ティース16…は、相互間にスロット19…を形成しつつステータヨーク15の内周から略T字形に突出される。
【0019】
ステータヨーク15の中間部外周には、半径方向外方に張り出すフランジ部15bが一体に設けられ、該フランジ部15bが、図示しない複数のボルトによって車体に取付けられる。
【0020】
ロータ11は、円筒状の回転軸20と、多数枚の磁性鋼板を積層してリング状に構成されて前記回転軸20に同軸に固着されるロータコア21と、該ロータコア21の外周部に埋設される複数個たとえば12個のマグネット22…とを備える。
【0021】
ロータコア21の外周部には、軸線方向に沿って延びる複数個たとえば12個の取付け孔23…が周方向に等間隔をあけて設けられており、それらの取付け孔23…に嵌入される各マグネット22…の両端に当接するようにしてサイドプレート24,25がロータコア21の軸方向両端に当接され、両サイドプレート24,25およびロータコア21に挿通される複数ずつのボルト26…およびナット27…により、前記両サイドプレート24,25およびロータコア21が一体化される。
【0022】
図3を併せて参照して、ステータコア13の各ティース16…には、その両側のスロット19,19…に収納されるようにして縦巻きコイル30…が、図示しない絶縁紙を介してそれぞれ巻装されるものであり、周方向に沿って2つおきのティース16,16…に巻装されている縦巻きコイル30,30同士が、一方の縦巻きコイル30の一端に一体に連なる渡り線部30aが他方の縦巻きコイル30の他端にたとえば圧着スリーブ31を介して電気的に接続されることにより、U相、V相およびW相のコイルユニット14U,14V,14Wが構成される。各相のコイルユニット14U,14V,14Wの一端は中性点用渡り線32で相互に接続され、各相のコイルユニット14U,14V,14Wの他端には、電源ケーブル33U,33V,33Wがそれぞれ個別に接続される。
【0023】
図4〜図6において、縦巻きコイル30は、複数たとえば2つの角形導線34,35が、外側の角形導線35の内周に内側の角形導線34の外周を接触させるようにして巻回されて成るものであり、4つずつの彎曲部C1〜C4および直線部L1〜L4が周方向交互に連なって成る筒状をなし、、各ティース16…のコイル巻装部16a…に巻装される。
【0024】
而して、この第1実施例では、各角形導線34,35は、偏平な長方形の横断面形状を有して帯状に延びる銅線の外面全面が絶縁被覆されて成るものであり、両角形導線34,35の断面積は同一に設定されている。
【0025】
また各縦巻きコイル30…は、各ティース16…のコイル巻装部16a…に巻装する前に、図7で示すように、ステータヨーク15の内周面に極力沿わせるようにプレス機等によって屈曲成形される。
【0026】
さらに筒状に巻回された部分では相互に絶縁された状態にある角形導線34,35は、縦巻きコイル30の一端から一体に延出される渡り線部30aが、他の縦巻きコイル30の他端に圧着スリーブ31によって電機的に接続されるのに応じて電気的に導通することになる。
【0027】
上述のように、外側の角形導線35の内周に内側の角形導線34の外周を接触させるように複数たとえば2つの角形導線34,35を巻回して縦巻きコイル30を構成することにより、彎曲部C1〜C4の曲率半径を小さく抑えることが可能である。すなわち筒状である縦巻きコイル30に必要とされる径方向の厚みを、相互に接触した複数の角形導34,35線で満たすようにして、各角形導線34,35の幅を比較的小さく設定することができ、幅の小さな角形導線34,35をより小さな曲率半径で彎曲しても、歪みや突起の発生を回避することができるので、角形導線に切欠き加工等の余分な加工を施すことを不要としつつ各角形導線34,35を小さな曲率半径で彎曲させるようにして、彎曲部34,35の曲率半径をより小さく設定して占積率の増大に寄与することができる。
【0028】
また回転電機10のステータ12が周方向に間隔をあけて備える複数のティース16…にコイル巻装部16a…が設けられており、ティース16…相互間すなわちコイル巻装部16a…相互間に形成されるスロット19…に収容されるようにして縦巻きコイル30…がコイル巻装部16a…に巻装されるので、従来の同一出力の回転電機に比べれば、径方向および軸方向での回転電機10の小型化が可能となる。
【0029】
しかも縦巻きコイル30の一端に渡り線部30aが一体に連なっており、周方向に沿って2つおきのティース16,16…に巻装されている縦巻きコイル30,30同士が、一方の縦巻きコイル30の一端に一体に連なる渡り線部30aを他方の縦巻きコイル30の他端に電気的に接続するようにしているので、縦巻きコイル30…同士を接続する渡り線を縦巻きコイル30とは別に準備することが不要であり、部品点数を低減することができるとともに、ステータ12の周方向に相互に離隔した位置でコイル巻線部16a…に巻装されている縦巻きコイル30…同士を電気的に接続する箇所を半減し、回転電機10の組付け工数を減らすことができる。
【0030】
次に上述の縦巻きコイル30を製造する製造方法について図8〜図19を参照しながら説明すると、縦巻きコイル30の製造にあたっては、先ず図8および図9で示すように、基台40と、該基台40に立設される巻き枠部41とを備える巻回治具42を準備する。而して巻き枠部41は、前記ステータ12におけるティース16…のコイル巻装部16a…が備える4つの隅角部にそれぞれ対応して周方向に順番に並ぶ第1〜第4彎曲面44A〜44Bを外周に有するものであり、基台40に設けられた平坦な当接面45に直角に延びるように形成される。
【0031】
ところで前記巻き枠部41は、この実施例では、第1〜第4彎曲部44A〜44Cと、それらの彎曲部44A〜44D間を結ぶ4つの側面とを全て有するようにして小判型の横断面形状を有するように形成されているが、第1〜第4彎曲部44A〜44Dが相互に独立して配置されるように巻き枠部41が形成されていてもよく、また当接面43は、少なくとも第4彎曲部44Dに対応する部分で巻き枠部41に直角に連なるようにして平坦に形成されていればよい。
【0032】
このような巻回治具42が固定位置に配置された状態で相互に接触して平行に延びる複数たとえば2つの角形導線34,35を巻き枠部41に巻き付けていくことにより縦巻きコイル30を製造するのであるが、その製造工程の第1ステップでは、図8および図9で示すように、両角形導線34,35の巻き始めを巻回治具42の第1および第4彎曲面44A,44D間に対応する部分で当接面43に当接させつつ巻き枠部41の外周との間でクランプする。この際、たとえば巻回治具42にねじ部材45によって締結されるクランプ板46と、前記巻き枠部41の外周との間で角形導線34,35をクランプするようにしてもよい。
【0033】
第1ステップで両角形導線34,35をクランプした後の第2ステップでは、両角形導線34,35を両面から規制しつつ第1彎曲面44Aに沿わせて彎曲加工するのであるが、その第2ステップに入る前に、図10および図11で示すように、第1規制板47を当接面43に接触させるようにして巻回治具42に装着する。而して、第1規制板47は、この実施例では、第1および第2彎曲面44A,44Bに対応する部分で巻き枠部41の側面に当接するとともに当接面43の外縁よりも外側に張り出すようにして略U字状に形成されており、巻き枠部41の方向に沿う第1規制板47の一端部、第1ステップの処理完了後にあっては両角形導線34,35の巻き始め側端部に、当接面43に接触している第1規制板47上に両角形導線34,35を円滑に導くための傾斜ガイド面47aが設けられる。
【0034】
また第1規制板47の装着後には、図12および図13で示すように、第1規制板47との間に両角形導線34,35を挟む第2規制板48を巻回治具42に装着する。この第2規制板48は、第1実施例では、巻き枠部41の全周にわたって当接面43を覆うとともに当接面43の外縁よりも外側に張り出すように形成される。
【0035】
このような第1および第2規制板47,48により、第1彎曲部44Aに対応する部分では両角形導線34,35の両面が規制されることになり、その状態でローラ49により第2ステップの処理を実行する。すなわち前記第1規制板47の外周部を嵌入せしめる溝50を外周に備えるローラ49を、第1彎曲部44Aの曲率中心を中心とする円弧状に沿って転動させることにより、両角形導線34,35を両面から規制しつつ第1彎曲部44Aに沿わせて彎曲加工することになる。
【0036】
第3ステップでは、少なくとも第1彎曲面44Aに対応する部分では両角形導線34,35を両面から規制したままで両角形導線34,35を両面から規制しつつ第2彎曲面44Bに沿わせて彎曲加工するものであり、この第1実施例では、両角形導線34,35を第1および第2規制板47,48で両面から規制した状態を第2ステップから持続したままで、前出のローラ49もしくは第2彎曲部44Bに対応した位置に配置されてローラ49と同様に構成されたローラにより、第1および第2彎曲面44A,44Bに対応する部分では両角形導線34,35を両面から規制したままで両角形導線34,35を第2彎曲面44Bに沿わせて彎曲加工することになる。
【0037】
第3ステップに続く第4ステップでは、少なくとも第2彎曲面44Bに対応する部分では両角形導線34,35を両面から規制したままで両角形導線34,35を両面から規制しつつ第3彎曲面44Cに沿わせて彎曲加工するのであるが、その第4ステップに入る前に、図14〜図16で示すように、少なくとも第2彎曲部44Bに対応する部分で両角形導線34,35を両面から規制する規制部材51を巻回治具42に装着するとともに、第3および第4彎曲部44C,44Dに対応する部分で当接面43に接触させるようにして第1規制板47を巻回治具42に装着する。而して、規制部材51は、この第1実施例では、第1および第2彎曲面44A,44Bに対応する部分で巻き枠部41の側面に当接するとともに当接面43の外縁よりも外側に張り出すようにして略U字状に形成されており、両角形導線34,35を嵌入し得る規制溝52が内周に設けられるものであり、規制部材51を巻回治具42に装着することにより、第1および第2彎曲部44A,44Bに対応する部分で両角形導線34,35が両面から規制されることになる。
【0038】
また第1規制板47との間に両角形導線34,35を挟む第2規制板48を、図17で示すように、前記規制部材51上に載るようにして巻回治具42に装着する。これにより、第1および第2彎曲部44A,44Bに対応する部分では規制部材51によって両角形導線34,35の両面が規制されることになり、また第3および第4彎曲部44C,44Dに対応する部分では、第1および第2規制板47,48によって両角形導線34,35の両面が規制されることになる。
【0039】
このような状態で、第2ステップのローラ49と同様のローラ53により第4ステップの処理を実行する。すなわちローラ53を、第3彎曲部44Cの曲率中心を中心とする円弧状に沿って転動させることにより、第1〜第3彎曲部44A,44B,44Cに対応する部分で両角形導線34,35を両面から規制しつつ、第3彎曲部44Cに沿わせて両角形導線34,35を彎曲加工することになる。
【0040】
第5ステップでは、少なくとも第3彎曲面44Cに対応する部分では両角形導線34,35を両面から規制したままで両角形導線34,35を両面から規制しつつ第4彎曲面44Dに沿わせて彎曲加工するものであり、両角形導線34,35を第1および第2規制板47,48で両面から規制した状態を第4ステップから持続したままで、前出のローラ53もしくは第4彎曲部44Dに対応した位置に配置されてローラ53と同様に構成されたローラにより、第3および第4彎曲面44C,44Dに対応する部分では両角形導線34,35を両面から規制したままで両角形導線34,35を第4彎曲面44Bに沿わせて彎曲加工することになる。
【0041】
第6ステップでは、少なくとも第4彎曲面44Dに対応する部分では両角形導線34,35を両面から規制したままで両角形導線34,35を両面から規制しつつ第1彎曲面44Cに沿わせて彎曲加工することになり、この実施例では、図18で示すように、第6ステップに入る前に巻回治具42に装着した規制部材51により第3および第4彎曲部44C,44Dに対応する部分では両角形導線34,35を両面から規制し、また第1および第2彎曲部44A,44Bに対応する部分で第1規制板47を既に巻回ずみの両角形導線34,35に当接するようにして巻回治具42に装着し、さらに前述の第2ステップで説明したように第2規制板48を巻回治具42に装着してす第1規制板47との間に両角形導線34,35を挟み、その状態でローラ49により第6ステップの処理を実行する。すなわち第3および第4彎曲面44C,44Dに対応する部分では規制部材51により両角形導線34,35を両面から規制するとともに、第1および第2彎曲部44A,44Bに対応する部分では、第1および第2規制部材47,48によって両角形導線34,35を両面から規制しつつ第1彎曲面44Cに沿わせて両角形導線34,35を第1彎曲部44Aに沿わせて彎曲加工することになる。
【0042】
第6ステップ以降は、第3〜第6ステップを順次経過することにより、図19で示すように、両角形導線34,35を巻き枠部41に巻回していくものであり、それにより縦巻きコイル30が構成されることになる。
【0043】
このような縦巻きコイル30の製造方法によれば、巻回治具42の巻き枠部41が備える第1〜第4彎曲部44A〜44Dに沿うようにして、外側の角形導線35の内周に内側の角形導線34の外周を接触させつつ両角形導線34,35を彎曲加工する際に、両角形導線34,35を両面から規制しているので、外側の角形導線35が内側の角形導線34に乗り上げることがないようにして相互に隣接した両角形導線34,35を彎曲させることができる。しかも彎曲加工に伴って各角形導線34,35に引っ張り応力が作用するのであるが、少なくとも前回のステップで彎曲加工済みの部分でも両角形導線34,35を両面から規制しているので、彎曲加工が終了した部分で外側の角形導線35が内側の角形導線34に乗り上げることも防止することができる。
【0044】
したがって外側の角形導線35の内周に内側の角形導線34の外周を接触させつつ両角形導線34,35が巻回されて成る縦巻きコイル30を適切に製造することができる。
【0045】
上記第1実施例では、同一横断面積を有する一対の角形導線34,35を巻回して縦巻きコイル30を構成したが、図20で示す第2実施例のように、外側の角形導線35′の断面積が、内側の角形導線34′の断面積よりも大きく設定されて相互に絶縁された一対の角形導線34′,35′を巻回して成る縦巻きコイル30′を、その一端に渡り線部30a′が一体に連なるようにして構成してもよい。
【0046】
この第2実施例によれば、内側の角形電線34′よりも外側の角形電線35′の方が長くなるにもかかわらず、縦巻きコイル30′での電流抵抗の両角形導線34′,35′間アンバランスを小さく抑えることができる。
【0047】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0048】
たとえば上記実施例では、一対の角形導線34,35;34′,35′で縦巻きコイル30,30′を構成するようにしたが、3以上の複数の角形導線で縦巻きコイルを構成するようにしてもよい。
【0049】
また各角形導線の横断面積が全長にわたって一定である必要はなく、各角形導線間での電流抵抗のアンバランスを抑えるために、角形導線の一部で横断面積を変化させるようにしてもよい。
【0050】
また同一断面積を有する一対の角形導線34,35から成る複数の縦巻きコイル30…を電気的に接続する際に、一方の縦巻きコイル30における内側の角形導線34を他方の縦巻きコイル30における外側の角形導線35に接続するとともに一方の縦巻きコイル30における外側の角形導線35を他方の縦巻きコイル30における内側の角形導線34に接続するようにして、複数の縦巻きコイル30…を電気的に接続するようにしてもよい。このようにすれば、各縦巻きコイル30…における内側および外側の角形導線34,35の長さの差を、相互に電気的に接続される複数の縦巻きコイル30…全体では小さくし、電流抵抗のアンバランスを小さく抑えることができる。さらに縦巻きコイル30毎ではなくとも、各相を構成する複数の縦巻きコイル30…の中間点でのみ内側および外側の角形導線34,35の接続を入れ換えるようにしても上述と同様の効果を得ることができる。
【0051】
さらに上記実施例では、各角形導線の外面全面が予め絶縁処理された場合について説明したが、絶縁処理が施されていない複数の角形導線を巻回して縦巻きコイルを製造する過程で、各巻回層間および内、外面に絶縁処理を施すようにしてもよく、そうすれば、各角形導線間で電流抵抗のアンバランスが生じることがなくなる。
【0052】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、歪みや突起の発生を回避しつつ縦巻きコイルの彎曲部の曲率半径を小さく抑えることができ、角形導線に切欠き加工等の余分な加工を施すことを不要としつつ彎曲部の曲率半径をより小さく設定して占積率の増大に寄与することができる。
【0053】
また請求項2記載の発明によれば、従来の同一出力の回転電機に比べれば、径方向および軸方向での回転電機の小型化が可能となり、しかも縦巻きコイルとは別に渡り線を準備することが不要であるので部品点数を低減することができるとともに回転電機の組付け工数を減らすことができる。
【0054】
請求項3記載の発明によれば、内側の角形電線よりも外側の角形電線の方が長くなるにもかかわらず、縦巻きコイルでの電流抵抗の複数の角形導線間でのアンバランスを小さく抑えることができる。
【0055】
さらに請求項4記載の発明によれば、外側の角形導線の内周に内側の角形導線の外周を接触させつつ複数の角形導線が巻回されて成るコイルを適切に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の電動発電機の一部正面図であって図2の1矢視図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】縦巻きコイルの接続状態を周方向に展開して示す図である。
【図4】図2の4−4線矢視図である。
【図5】縦巻きコイルの斜視図である。
【図6】図5の6矢視図である。
【図7】図6の7矢視図である。
【図8】縦巻きコイルの製造工程の第1ステップを示す横断平面図である。
【図9】図8の9−9線断面図である。
【図10】縦巻きコイルの製造工程の第2ステップを開始する前の準備状態を示す横断平面図である。
【図11】図10の11−11線断面図である。
【図12】縦巻きコイルの製造工程の第2ステップを示す横断平面図である。
【図13】図12の13−13線断面図である。
【図14】縦巻きコイルの製造工程の第4ステップを開始する前の準備状態を示す横断平面図である。
【図15】図14の15−15線断面図である。
【図16】図14の16矢視図である。
【図17】縦巻きコイルの製造工程の第4ステップを示す横断平面図である。
【図18】縦巻きコイルの製造工程の第6ステップを開始する前の準備状態を示す横断平面図である。
【図19】2回目の巻き付けが完了した状態を図18の矢視19方向から見た図である。
【図20】第2実施例の図6に対応した図である。
【符号の説明】
10・・・回転電機
12・・・ステータ
16a・・・コイル巻装部
19・・・スロット
30,30′・・・縦巻きコイル
30a,30a′・・・渡り線部
34,34′,35,35′・・・角形導線
40・・・基台
41・・・巻き枠部
42・・・巻回治具
43・・・当接面
44A・・・第1彎曲部
44B・・・第2彎曲部
44C・・・第3彎曲部
44D・・・第4彎曲部
C1〜C4・・・彎曲部
L1〜L4・・・直線部
Claims (4)
- 4つずつの彎曲部(C1〜C4)および直線部(L1〜L4)が周方向交互に連なって成る筒状を構成するようにして角形導線(34,35;34′,35′)が巻回されて成るとともに、略直角四辺形の横断面外形形状を有するコイル巻装部(16a)に巻装される縦巻きコイルであって、複数の角形導線(34,35;34′,35′)が、外側の角形導線(35,35′)の内周に内側の角形導線(34,34′)の外周を接触させるようにして巻回されて成ることを特徴とする縦巻きコイル。
- 回転電機(10)のステータ(12)が周方向に間隔をあけて備える複数の前記コイル巻装部(16a)に各コイル巻装部(16a)相互間のスロット(19)に収容されるようにして巻装されるとともに、前記ステータ(12)の周方向に沿って延びる渡り線部(30a,30a′)が一端に一体に連設されることを特徴とする請求項1記載の縦巻きコイル。
- 外側の角形導線(35′)の断面積が、内側の角形導線(34′)の断面積よりも大きく設定されて相互に絶縁された複数の角形導線(34′,35′)が巻回されて成ることを特徴とする請求項1または2記載の縦巻きコイル。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の縦巻きコイルを製造する縦巻きコイルの製造方法であって、平坦な当接面(43)を有する基台(40)ならびに前記コイル巻装部(16a)が備える4つの隅角部にそれぞれ対応して周方向に順番に並ぶ第1〜第4彎曲面(44A〜44D)を外周に有して前記当接面(43)から直角に延びる巻き枠部(41)を有する巻回治具(42)を準備し、相互に接触して平行に延びる複数の角形導線(34,35)の巻き始めを前記巻回治具(42)の第1および第4彎曲面(44A,44D)間に対応する部分で前記当接面(43)に当接させつつ前記巻き枠部(41)の外周との間でクランプする第1ステップと、前記複数の角形導線(34,35)を両面から規制しつつ第1彎曲面(44A)に沿わせて彎曲加工する第2ステップと、少なくとも第1彎曲面(44A)に対応する部分では複数の角形導線(34,35)を両面から規制したままで前記複数の角形導線(34,35)を両面から規制しつつ第2彎曲面(44B)に沿わせて彎曲加工する第3ステップと、少なくとも第2彎曲面(44B)に対応する部分では複数の角形導線(34,35)を両面から規制したままで前記複数の角形導線(34,35)を両面から規制しつつ第3彎曲面(44C)に沿わせて彎曲加工する第4ステップと、少なくとも第3彎曲面(44C)に対応する部分では複数の角形導線(34,35)を両面から規制したままで前記複数の角形導線(34,35)を両面から規制しつつ第4彎曲面(44D)に沿わせて彎曲加工する第5ステップと、少なくとも第4彎曲面(44D)に対応する部分では複数の角形導線(34,35)を両面から規制したままで前記複数の角形導線(34,35)を両面から規制しつつ第1彎曲面(44C)に沿わせて彎曲加工する第6ステップとを順次経過させた後、第3〜第6ステップを順次経過するようにして前記複数の角形導線(34,35)を巻き枠部(41)に巻回して前記縦巻きコイル(30)を構成することを特徴とする縦巻きコイルの製造方法。
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- 2003-06-25 JP JP2003181288A patent/JP2005019618A/ja active Pending
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