JP2792558B2 - 表面処理装置および表面処理方法 - Google Patents

表面処理装置および表面処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、プラズマを用いて、デポジション、重合、
酸化、窒化、エッチング、焼結、あるいは表面改質など
を行う表面処理装置および表面処理方法に係り、特に、
これらの各処理に用いるプラズマとして好適なプラズマ
の発生手段を具備する表面処理装置および表面処理方法
に関する。 〔従来の技術〕 従来の表面処理装置としてのプラズマ反応装置は、例
えば、特開昭59−47733号公報に記載されている。 第2図(A)は、上記文献に記載された従来のプラズ
マ反応装置の構成を概略的に示す図である。1はマイク
ロ波発振器、2は高圧電源、3は振幅変調器、4は導波
路、5は反応室、6は試料、7は磁場コイル、8は排気
装置、9はガス導入装置である。 同図(B)は、同図(A)に示した従来の装置のマイ
クロ波電力を示す図である。この図では、マイクロ波電
力と時間との関係が示してある。 同図(B)から明らかなように、従来の装置では、振
幅変調器3を用いて、プラズマ生成用のマイクロ波電力
を、プラズマが発生する最小電力Wmin(時間幅t2)と、
プラズマを発生させるための最大許容電力Wmax(時間幅
t1)とを周期的に供給する振幅変調方式を用いている。 従って、t1期間では高温、高密度の強プラズマが、t2
期間では低温、低密度の弱プラズマが生成されている。
発生されたプラズマ中には、イオン、ラジカルおよびフ
ォトンが存在するが、例えば、プラズマエッチングプロ
セスにおいては、t1期間において主として生成されるイ
オンと、t2期間において主として生成されるラジカルと
を用い、振幅変調を行わない定常プラズマ、すなわち、
印加するマイクロ波電力が時間的に一定であるプラズマ
を用いた場合に比べ、非等方的特性などの向上を図って
いた。 〔発明が解決しようとする問題点〕 上記従来技術は、イオン、ラジカルおよびフォトンの
種類、密度、エネルギー、およびこれらの比をより広範
に制御することについては、十分配慮されておらず、種
々のプラズマ反応プロセスへの応用には限界があった。 本発明の目的は、プラズマ発生用電力の新しい供給法
(いわば、パルスの幅−周波数−振幅−個数組合せ変調
方式)により、イオン、ラジカル等の中性粒子およびフ
ォトンの種類、密度、エネルギー、およびこれらの比な
どの物理量などを時間的、空間的に任意に制御できるよ
うにすることにより、上記従来技術の問題点を解決する
と共に、新しい材料の創製や表面改質等を可能にするこ
とにある。 〔問題点を解決するための手段〕 上記目的は、反応プラズマをパルスとして生成すると
共に、パルス電力印加期間中に発生するアクティブプラ
ズマと、パルス電力を印加しない期間において、上記ア
クティブプラズマが自然に減衰する期間のアフターグロ
ープラズマを形成し、少なくともアフターグロープラズ
マを用い、あるいはこれらのアクティブプラズマおよび
アフターグロープラズマとを組合せることにより、プラ
ズマ反応に重要な上記物理量をはじめ、プラズマポテン
シャルエネルギーや、イオンシースポテンシャルエネル
ギー等の時間的、空間的な制御を任意に可能とすること
により達成される。 すなわち、本発明はパルス幅が1ミリ秒未満のパルス
電力を用いてプラズマをパルス的に生成し、パルス電力
を供給することにより発生したプラズマが消滅する前に
次のパルス電力を供給することを特徴とする。 〔作用〕 上記のように、プラズマをパルス電力を用いてパルス
的に生成し、パルス電力を印加した後、パルス電力を印
加せず上記パルス電力の印加により形成されたアクティ
ブプラズマが自然に減衰する期間に形成されるアフター
グロープラズマでは、上記従来技術の弱プラズマに比
べ、非常に豊富なラジカル等の中性粒子やフォトン(主
に紫外線)の源として作用する。また、この期間はパル
ス電力による電界が存在しないので、この電界による試
料のダメージ(欠陥)等の問題がなくなる作用を有す
る。さらに、上記アクティブプラズマも上記従来技術の
強プラズマに比べ、非線形効果により、より高電離、高
密度、高エネルギーのイオン等の電荷粒子源として作用
し、種々の反応を助長する効果がある。 従って、上記アクティブプラズマとアフターグロープ
ラズマとを、印加パルス電力のパルスの幅、周期、振幅
および個数を用いると共に、適当に組合せて制御するこ
とによるパルスの幅−周波数−振幅−個数組合せ変調方
式により、上記物理量等を時間的、空間的に広範かつ任
意に制御できる。 これによって、デポジション、重合、酸化、窒化、エ
ッチング、焼結あるいは表面改質等の各プラズマ反応プ
ロセスに最適な条件に上記物理量等を設定することがで
き、特性やスループットの向上をはじめ、新しい材料の
創製等も可能となる。 〔実施例〕 実施例 1 以下、本発明の第1の実施例を第1図および第3図を
用いて説明する。第1図は、プラズマ発生用電力として
マイクロ波(1〜100GHz)を用いたときの基本構成を示
す図である。第1図において、1はマグネトロン、クラ
イストロン、ジャイラトロン等のマイクロ波発振器、2
はパルスを出力する高圧電源、4は導波管(整合器、電
力計等を含む。同軸ケーブルでも可)、5は反応室(放
電管、共振器等を含む)、6は試料(試料台、加熱器等
を含む)、7は磁場コイル(永久磁石でも可)、8は排
気装置、9は反応ガス導入装置、10は電気回路で構成さ
れ、パルスの幅、周期および個数制御装置、11は電気回
路で構成されたパルスの振幅制御装置である。 次に、動作について説明する。まず、反応室5内を排
気装置8によって高真空に排気した後、特定の反応ガス
(例えば、SiH4、CF4、Ar、O2、N2など)を適当な圧力
(10-6〜760Torr)になるよう導入する。次に、プラズ
マ発生用のマイクロ波電力は、マイクロ波発振器1か
ら、パルス幅t(0<t<1ms)、周期T(T10sec)
および個数N(N>0)を制御する制御装置10とパルス
振幅(W)を制御する制御装置11と高圧電源2を用い
て、例えば、第3図に示すようにパルス的に発生させ
る。ここで、t、TおよびNは各プラズマ反応およびプ
ロセスに応じて適宜最適化する。なお、Tは通常アフタ
ーグロープラズマの減衰定数との関係から設定し、プラ
ズマが完全に減衰しない前に、次のパルス電力を印加す
ることを基本とする。この電力を導波管4を通じて反応
室5に導入すると、上記反応ガスは電離し、上記パルス
電力に対応して上記アクティブプラズマ(第3図のt1
t2の期間)と、上記アフターグロープラズマ(第3図の
T1−(マイナス)t1とT2−(マイナス)t2の期間)が形
成される(パルスの幅−周波数−振幅−個数組合せ変調
方式)。 第3図は、パルスの幅t1、周期T1、振幅W1、個数N1
パルスP1と、幅t2(t2>、=、<t1)、周期T2(T2>、
=、<T1)、振幅W2(W2>、=、<W2)、個数N2のパル
スP2(N2>、=、<N1)とを組合せた場合を示すが、3
種類以上のパルスPq(q3)を組合せてもよい。さら
に、例えばプロセスを3段階に分け、上記パルスをP1
P2→P1またはP2→P1→P2のように組合せてもよい。これ
ら組合せの選定は、デポジション、酸化、エッチング等
各プラズマ反応およびそのプロセスの内容に応じて行
う。例えばエッチングの場合には、プロセスの前半でア
クティブプラズマが、後半でアフターグロープラズマが
主に作用するようにP1とP2を設定するとよい。 実施例 2 別の実施例を第4図に示す。本実施例は、プラズマ発
生用電力として、高周波(rf)電力または直流電力を用
いた場合の基本構成と出力波形の2例(第3図も可)を
示す。なお、第4図の出力波形の例の上の図は周波数変
調を、下の図は振幅変調を示すものである。1は高周波
発振器(直流動作のときは直流パルス発生器)、2は高
圧電源(パルス出力)、10はパルスの幅、周期および個
数制御装置、11はパルスの振幅制御装置、12は電極を示
す。その他の構成は第1図と同様である。本実施例によ
っても、第1図の実施例と同様の作用、効果を奏するこ
とができる。 新しい材料の創製、例えば、酸化物超伝導体は、反応
室5にガス導入装置9から少なくともO2ガスを導入する
と共に、例えばBaCO3、Y2O3、CuOを微粒子として、また
rfスパッタや電子ビームで蒸発させて導入し、実施例1
で説明したような制御された反応プラズマを生成し、基
板上に薄膜として作製できる。また、反応プラズマ中の
イオンを例えばSi基板にドーピングし、表面を改質する
こともできる。 なお、本発明は、上記実施例に限定されることなく、
特許請求の範囲内で種々の変形、改良があり得ることは
言うまでもない。 〔発明の効果〕 以上説明したように、本発明によれば、反応プラズマ
をパルス的に発生させて、アクティブプラズマとアフタ
ーグロープラズマを生成し、これらプラズマの比を印加
パルス電力のパルスの幅、周期、振幅および個数で組合
せ制御する、いわゆる、パルスの幅−周波数−振幅−個
数組合せ変調方式により、反応室中のイオン、ラジカ
ル、フォトン等の種類、密度、エネルギーおよびこれら
の比、さらにプラズマポテンシャルやシースポテンシャ
ルを時間的、空間的に任意に制御できるので、低電圧、
低温で、デポジション、重合、酸化、窒化、エッチン
グ、焼結あるいは表面改室等のプラズマ反応プロセスを
最適条件で行うことができ、屈折率、応力、抵抗率、耐
酸化性、方向性、ダメージあるいは架橋性等の諸特性
や、スループットの向上が達成できる。さらに、超伝導
体等のこれまで不可能であった新しい材料の創製も可能
となる効果がある。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明の第1の実施例のプラズマ反応装置の
基本構成図、第2図(A)は、従来のプラズマ反応装置
の一例の基本構成図、第2図(B)は、第2図(A)に
示した従来装置のマイクロ波電力を示す図、第3図は、
本発明の反応プラズマ発生用電力の波形の一例を示す
図、第4図は、本発明の第2の実施例の基本構成図であ
る。 1……マイクロ波(または高周波、またはパルス)発振
器 2……高圧電源 3……振幅変調器 4……導波管 5……反応室 6……試料 7……磁場コイル 8……排気装置 9……ガス導入装置 10……パルスの幅、周期および個数制御装置 11……パルスの振幅制御装置 12……電局極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−171491(JP,A) 特開 昭59−57419(JP,A) 特開 昭62−216637(JP,A)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.被処理物を収容する容器と、 前記被処理物を処理するプラズマを発生させるためのマ
    イクロ波電力をパルス幅が1ミリ秒未満のパルスとして
    供給し、前記パルス電力を供給することにより発生した
    プラズマが消滅する前に次のパルス電力を供給する手段
    とを有することを特徴とする表面処理装置。 2.パルス幅が1ミリ秒未満のパルス状のマイクロ波電
    力を供給してプラズマを発生させ、前記パルス電力を供
    給することにより発生したプラズマが消滅する前に次の
    パルス電力を供給し、前記プラズマにより被処理物を処
    理することを特徴とする表面処理方法。 3.被処理物にプラズマを接触させて前記被処理物の表
    面を処理する表面処理方法において、 前記プラズマを発生させるために供給する電力をパルス
    電力として供給し、 前記パルスは、所定の幅、周波数、振幅、個数からなる
    第1の群と、所定の幅、周波数、振幅、個数からなる第
    2の群とを有し、 前記第1の群及び前記第2の群の前記所定の幅は1ミリ
    秒未満であって、 前記第1の群及び前記第2の群では、パルス電力を供給
    することにより発生したプラズマが消滅する前に次のパ
    ルス電力が供給されることを特徴とする表面処理方法。
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