JP2790674B2 - 方向性珪素鋼板の絶縁被膜形成方法 - Google Patents

方向性珪素鋼板の絶縁被膜形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、方向性珪素鋼板の製造方法に係り、特に表
面のスベリ性の均一なフォルステライト絶縁被膜形成法
に関するものである。
<従来の技術> 方向性珪素鋼板の絶縁被膜形成に関連して、Mg0を中
心とする焼鈍分離剤に関する特許は、多数提案されてい
るが、それらは全て磁性向上,被膜の均一性,密着性の
改善を狙いとしており、スベリ性に関するものは一つも
ない。
例えば、特公昭52−31296号公報ではMg0の粒度分布を
規制しているが、その目的は均一な絶縁被膜を得て、鋼
板の凹凸歪の発生を防止するものであり、本発明の狙い
と異なり、また粒度範囲もラップするものではない。
ところで、電磁鋼板を加工する段階、例えば定尺剪断
時に、寸法誤差が大きくなったり、積み重ねた場合に占
積率が低下することはしばしば経験するところである。
本発明者はこの原因が被膜表面のスベリ性にあること
を知見した。
<発明が解決しようとする課題> そこで、本発明は、Mg0を主成分として塗布する方向
性珪素鋼板の絶縁被膜形成において、定尺剪断時の寸法
誤差や占積率の低下につながる絶縁被膜表面のザラツキ
をなくすこと目的とするものである。
<課題を解決するための手段> 本発明は、方向性珪素鋼板の絶縁被膜形成を目的とし
て鋼板表面にMg0を主成分とした焼鈍分離剤をスラリー
化して塗布する際に、該スラリー中の200メッシュ金網
未通分あるいは粒径74μm以上の粗粒分を、乾燥状態の
重量比で、1.0%以下とすることを特徴とする方向性珪
素鋼板の絶縁被膜形成方法である。
<作用> 方向性珪素鋼板の絶縁被膜形成は、下記の反応で行わ
れる。
SiO2+2MgO→2MgO・SiO2 SiO2は、脱炭焼鈍時に鋼板表面に酸化層として形成さ
れ、その後、焼鈍分離剤として塗布されたMgOと仕上焼
鈍中に反応して、フォルステライト被膜が形成される。
ここで、このMgOの中に粗粒のMgOが含まれると粗粒MgO
がフォルステライト表面に固着し、表面の粗度が大きく
なり、その結果として、表面の摩擦抵抗が大きくなり、
電磁鋼板を加工する段階の定尺剪断時に寸法誤差が大き
くなったり、積み重ねた場合の占積率が低下する等の問
題が生ずることを本発明者は知見した。
そこで、本発明者は、さらに珪素鋼板表面の付着物を
精密に分析調査したところ、その粒径は、80〜150μ
m、付着物の成分はMgOであり、その付着物は、フォル
ステライト被膜の上に焼結していることが明らかになっ
た。
ところで、焼鈍分離剤はスラリー状で塗布され乾燥さ
れているが、塗布直前のスラリー中の粗粒比率と仕上焼
鈍後の表面のザラツキの関係を実験したところ、第1図
に示す結果を得た。これより粗粒比率が増加するに従っ
て、ザラツキも増加することが明らかとなった。
これらの知見により、MgOスラリー中の74μm以上あ
るいは200メッシュ金網未通分の粗粒分を乾燥状態の重
量比で1.0%以下とすることにより、この表面のザラツ
キ発生を実質的に許容できる範囲に減少できることが確
認された。
ところで珪素用MgOの平均粒径は1.0〜1.5μmであ
り、通常は、80μm以上の粗粒分は、わずかしか含まれ
ていないが、粗粒分の発生原因としては、MgOをスラリ
ーにした段階で、水への分散不良分が残留する場合、あ
るいは、スラリーを塗布装置へ送給する配管系路内に析
出付着している固形物が脱落混入する場合等も考えられ
る。そこで、これらの粗粒分を、減少あるいは除去する
手段として、前者の原因については、ミキサーでの撹拌
効率を良くする。後者については、フルイで濾過する等
の手段があるが、本発明においては、これらの手段を限
定するものではない。要するに、鋼板に塗布する直前の
MgOスラリー中の粗粒比率を規定の範囲に維持すること
が必要である。
当然この粗粒分比率は、1.0%は工業生産において、
ザラツキ小で許容される上限として規定される。
なお粒径74μm以上と200メッシュ金網未通分とは実
質的に同一粗粒分を指している。
<実施例> Si3.0%を含む珪素鋼板を湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍
し、しかるのち、表1に示す3種類のMgOスラリーを塗
布し、コイル状に巻取り、同一箱型炉において仕上げ焼
鈍を施し、フォルステライト被膜を形成し、その表面の
ザラツキを評価した。
その結果を表1に示すが、MgOスラリー中の74μmフ
ルイ未通分の多いものは、表面にザラザラした付着物が
認められ、表面の摩擦係数を調査したが、明らかに差が
認められた。
<発明の効果> 本発明により、珪素鋼板表面のスベリ性が均一とな
り、珪素鋼板加工段階でのスベリ性の差による巻きず
れ、定尺剪断時の寸法誤差拡大を防止することが可能と
なった。また占積率の劣化も防止できた。
【図面の簡単な説明】
第1図はMgOスラリー中の粗粒MgO比率と、ザラツキ発生
率の関係を示すグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】方向性珪素鋼板の絶縁被膜形成を目的とし
    て鋼板表面にMgOを主成分とした焼鈍分離剤をスラリー
    化して塗布する際に、該スラリー中の200メッシュ金網
    未通分あるいは粒径74μm以上の粗粒分を、乾燥状態の
    重量比で、1.0%以下とすることを特徴とするスベリ性
    の良好な方向性珪素鋼板の絶縁被膜形成方法。
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