JP2787798B2 - シュー皮の製造方法 - Google Patents

シュー皮の製造方法

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JP2787798B2 JP5350186A JP35018693A JP2787798B2 JP 2787798 B2 JP2787798 B2 JP 2787798B2 JP 5350186 A JP5350186 A JP 5350186A JP 35018693 A JP35018693 A JP 35018693A JP 2787798 B2 JP2787798 B2 JP 2787798B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シュー皮(または、シ
ューパフともいう)の製造方法、特に、シュー皮生地を
天板に載置して焼成することによりシュー皮を製造する
シュー皮の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シュークリーム類の外皮を形成す
るシュー皮の製造方法は、水とバター、マーガリン等の
油脂類を加熱して沸騰させた後、小麦粉(薄力粉)を加
えてダマができないように素早く撹拌し、生地状になる
まで混練しながら加熱し、これに全卵(液卵)を数回に
分けて加え、生地の硬さを調整しながら混練する。こう
して作ったシュー皮生地を天板に絞ってオーブンに入れ
て焼成するという方法が採られていた。
【0003】また、従来においては、例えば、特開平5
−219879号公報に掲載されたシュー皮の製造方法
がある。これは耐熱性容器にシュー皮生地と水を入れ、
耐熱性蓋を被せて密閉した後、高湿度と140〜170
℃の低温度の条件下で長時間焼成するというものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のシュー皮の製造方法にあって、前者のいわゆる開放
焼成と言われる製造方法にあっては、その工程、及び焼
成後のシュー皮の形態や食感等は伝統的にほぼ完成され
たものと言えるが、この焼成後のシュー皮の形状、つま
り全体の形や表面の凹凸、亀裂、割れ方等を常時均一に
安定的に製造するのは非常に難しく、技術的熟練を要す
るものである。また、シュー皮については、さらにボリ
ュームがあって、内部までの火通りが良く、より食感が
軽く、よりひきが弱くて歯切れの良い口溶けが良いシュ
ー皮を求めると言う要望が強くある。
【0005】また、上記後者のシュー皮生地を密閉して
焼成する方法にあっては、少なくとも食感が軽く、ひき
が弱くて歯切れが良いシュー皮を製造するものではな
い。即ち、この方法によると、焼成時に耐熱性容器に密
閉された水が逃げ場のない水蒸気となってシュー皮生地
を圧迫し、焼成後のシュー皮の表面には凸凹や陥没が生
じる。更に、焼成時には耐熱性容器にシュー生地と水を
入れるという厄介な工程、及び、焼成後に耐熱性容器の
蓋を開けて中からシュー皮を取り出すという困難な工程
が必要となるため、とりわけシュー皮の大量生産に適す
るとは言い難いものである。
【0006】本発明は上記の問題点に鑑みて為されたも
ので、その課題は、全体の形をできるだけ均一に安定的
に表面の凹凸、亀裂、割れがなく滑らかできれいに製造
できるようにするとともに、ボリュームが増大し、しか
も、内部までの火通りが良く、より食感が軽く、よりひ
きが弱くて歯切れの良い口溶けが良いシュー皮の製造方
法を提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
を解決しようとするものであり、その技術的手段は、図
1に示すように、所要量のシュー皮生地Kを天板1に載
置して焼成することによりシュー皮を製造するシュー皮
の製造方法において、該シュー皮生地Kに、内部が空洞
のカップ状耐熱性容器2を被せて焼成するものである。
即ち、シュー皮を焼成するにあたり、該皮生地に、内部
に略お椀を伏せたときに形成される形状の空洞、典型的
には半球体を伏せた形状の空洞を有する耐熱性容器を被
せて焼成するというものである。
【0008】以下に、本発明のシュー皮の製造方法を詳
しく述べる。本発明でシュー皮とは、シューパフともい
い、いわゆるシュークリーム用外皮のことである。本発
明でシュー皮生地とは、焼成前のシュー皮用生地のこと
であり、小麦粉(薄力粉),バター,マーガリン等の油
脂類,全卵(液卵),水及び必要に応じて化学膨張剤
(炭酸水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム,ベーキ
ングパウダー等またはこれらの2種類以上の組合せ)等
の原料を上記のようにミキサーで混捏して作成し、必要
に応じ適宜の重量に分割したものである。
【0009】本発明で、シュー皮を焼成するにあたり、
該皮生地に被せる耐熱性容器とは、図1に示すように、
内部に略お椀を伏せたときに生じる形状の空洞を有する
容器のことであり、詳述すると、内部の空洞の平面形状
が円形であり、横断面形状が円形を一直線に切断したと
きに生じる半円形類似の形状(半円形を含む)を逆様に
伏せた形状の空洞が形成されている容器のことである。
理解を容易にするためには、平面形状が円形であり、全
体的な形状がドーム状である空洞を有する容器である。
そして、その最も典型的なものは、半円球を伏せた形状
の空洞を有する容器である。
【0010】該耐熱性容器の材質は、例えば、アルミ,
ガラス,陶器,セラミック,金属等からなるものである
が、これらに限られるわけではなく、上述したような形
状に薄く成形することができ、該成形形状を維持し得る
保形性を有し、且つシュー皮生地の焼成温度に耐え得る
性質を備えたものであればどのようなものでもよい。耐
熱性容器の厚さは、薄ければ薄いほうが焼成時における
シュー皮生地への火通りが良い等の観点から望ましい
が、特には問わない。
【0011】耐熱性容器の重量は、以下に述べるよう
に、シュー皮生地の焼成の途中段階において、例えば焼
成開始後から全焼成時間の1/3前後の時間が経過した
段階において、該シュー皮生地の膨張力により該容器の
開口周縁部の少なくとも一端が天板から持ち上げられ、
離れた状態にて焼成を終了しなければならない(このと
き、他端はなお天板に接触していてもよいし、又は天板
から持ち上げられ離れていてもよい)ため、この条件を
満たす重量でなければならないが、その他は特に問わな
い。
【0012】本発明によるシュー皮の製造方法は上述し
たような従来の方法で作成した該皮生地に、上述したよ
うな容器を単に被せて、焼成することからなるものであ
る。更に詳しく述べる。
【0013】 バター,マーガリン,シュー皮用油脂
等の油脂類と水をボールに入れ、強火で沸騰するまで加
熱して溶解させ、 これに小麦粉を添加し、弱火で加
熱しながらホイッパー等で撹拌して混合した後、火から
外し、 ミキサーにかけて混合して放熱し、5,60
℃位まで温度を下げ、 一部の全卵に化学膨張剤を入
れたものを添加し、同ミキサーで混合し、 シュー皮
生地の硬さを調整しながら残りの全卵を数回に分けて添
加し、この間混合を続ける。 作成した該皮生地は、
温度と比重を調整し、 この該皮生地を天板に丸型口
金付き絞り袋で所定の重量ずつ絞り出す。
【0014】今、本発明に係るシュー皮の製造方法を、
従来の技術によるシュー皮の製造方法と比較しながら説
明すると、図2及び図3に示すように、従来の技術によ
るシュー皮の製造方法では、この後、該皮生地Kを載置
した天板1をオーブンに入れて焼成するだけである。こ
れに対し、本発明では、内部に略お椀を伏せたときに形
成される形状の空洞、典型的には半円球を伏せた形状の
空洞を有する耐熱性容器2を該皮生地Kに被せてから焼
成するのである。図2及び図3においては、1つの天板
1に、12個のシュー皮生地Kを載置し、図2中左側の
6個の生地Kに容器2を被せ、この左側の6個の生地K
を本発明に係る製造方法で焼成し、右側の6個の生地K
を従来の製造方法で焼成した。
【0015】該皮生地に該容器を被せるときには、該容
器の開口面のほぼ中心部に該皮生地が位置するようにす
ることが望ましい。このとき、該皮生地が該容器の内側
面に接触するようにしてはならない。接触しているとき
には、焼成後のシュー皮の上下、左右の形状が不均一に
なってしまうからである。
【0016】このようにして天板上の該皮生地に該容器
を被せてオーブンに入れて焼成すると、図4乃至図6に
示すように、焼成されていく。図4乃至図6は、焼成工
程を経時的に示しており、左側が本発明に係る製造方法
によるシュー皮生地の状態を、右側が従来の製造方法に
よるシュー皮生地の状態を示している。この図4乃至図
6は、本発明に係る製造方法に用いる容器を耐熱ガラス
で形成し、経時的に焼成状態を写真で撮ったものを、図
にしたものである。
【0017】通常、焼成開始後3分間位は該皮生地に外
観的な変化がないが(図4(1)〜(2))、3分経過
後位から該皮生地は膨化を開始し、主として横方向への
緩慢な膨化を続け(図4(3)〜図5(5))、4分経
過後位から容器の内部の幅方向いっぱいに膨化し初め
(図5(6))、該皮生地の外周縁部が該容器の内側面
に接触するや否や、該皮生地は今度は該容器の内側面に
沿って高さ方向へ急激に膨化し(図5(7)〜図6(1
0))、4分30秒経過前後には膨化を終了し(図6
(11))、その後該皮生地は固化の進行が開始される
(図6(12))。尚、この経過時間は、シュー皮生地
の原料配合や混練条件、焼成条件、温度・湿度等の作業
条件その他の諸要素変化によって多少長短化するもので
あり、決して本発明をこれに限定する趣旨ではない。
【0018】この焼成中の膨化の過程で、該皮生地が該
容器の内側面に沿って高さ方向に急激に膨化するときに
は、該皮生地の膨張力によって該容器の開口周縁部の少
なくとも一端が天板から持ち上げられて離れ、このまま
の状態で焼成を終了しなければならない(このとき、他
端はなお天板に接触していてもよいし、又は天板から持
ち上げられ離れていてもよい)。これは本発明の目的・
効果を達成するためには極めて重要な要素である。さも
なければ、即ち、該容器の開口周縁部の一端が天板から
持ち上げられることなく、または一度持ち上げられたが
再び天板に接触して該皮生地を完全に覆ってしまい、こ
のままの状態で焼成を終了するときには、焼成後の該シ
ュー皮の容積は精々該容器の容積に限られてしまい、お
よそ膨化が不十分である。また、本発明によるシュー皮
に特徴的に見られる非常に薄い表皮やグルテン膜、表皮
直下の大きな気泡を達成することができず、焼成後の該
シュー皮の上部に焼残りが生じ、密閉された状態に近い
該容器内で逃げ場を失った水蒸気の圧迫によって該皮生
地の上部表面に凸凹や陥没が生じ、表面が滑らかになら
ない等、本発明の目的・効果を達成することができな
い。
【0019】本発明の効果を最もよく達成するために
は、後述するように、シュー皮生地の重量(Y)と耐熱
性容器の内部空洞の容積(X)との関係を略Y=0.0
6〜0.07X+1.23〜1.24の数式を満たす比
率とすることが望ましい。さらには略Y=0.069X
+1.238の数式を満たす比率とすることがより望ま
しい。
【0020】本発明によるシュー皮の製造方法は、上述
したように、シュー皮を焼成するにあたり、該皮生地
に、内部に略お椀を伏せたときに形成される形状の空洞
を有する耐熱性容器を被せて焼成するだけのものであ
り、その他の原料配合及び混練・焼成その他の製造工程
は従来の技術であるものを使用することができるのであ
る。
【0021】
【作用】本発明によるシュー皮の焼成時における現象
は、観察結果から、シュー皮生地が膨張して容器内側面
に接触するまでは従来の製造方法による開放焼成品とほ
ぼ同様な膨張を行うことから考えて、生地が容器内側面
に接触後は天板からの伝熱に容器側面からの伝熱も加わ
って生地への火通りが良くなり、生地中の水蒸気及び膨
張剤からの炭酸ガスの発生が促進され、かつ容器の少な
くとも一端を持ち上げる前は該生地中から発生するこれ
らガスの逃げ場所が塞がれるため生地の膨張の方向は空
いている空間、つまり容器内部上方へ急激に進行するも
のと思われる。また生地表面は容器内側面に接触しなが
ら膨張し固化するため、生地表面は凹凸や割れのない滑
らかなものとなる。さらに生地の膨張する力で容器の一
端を持ち上げるほどになるならば、生地中から発生する
ガスの逃げ場所が生じ、結果として生地は容器内部に完
全に膨張して容器内を満たして容器の内側面形状通りの
略半球形のシュー皮が得られる。また生地表面すべての
部位からの伝熱により火通り良く固化するので生地は十
分に膨張し、気泡膜は大きく薄く伸び、ひきの弱い軽い
食感のシュー皮が得られる。
【0022】
【実施例】以下に、本発明によるシュー皮の製造方法の
一実施例を述べる。原料配合(単位 小麦粉を基準とし
た重量%)を以下のようにした。 小麦粉(薄力粉) 100.0 シュー皮用油脂 150.0 全卵(液卵) 200.0±約20 化学膨張剤 (炭酸水素アンモニウム及び炭酸水素ナトリウム) 1.8 水 130
【0023】次にその製造工程について説明する。 シュー皮用油脂と水をボールに入れ、強火で沸騰す
るまで加熱して溶解させ、 これに小麦粉を添加し、
弱火で加熱しながらへら,ホイッパー等で撹拌して混合
した後、火から外し、 5コート・ホバート・タテ型
ミキサーにかけ、中速で約1分30秒間混合して放熱
し、5,60℃位まで温度を下げ、 一部の全卵に化
学膨張剤を入れたものを添加し、同ミキサーで混合し、
シュー皮生地の硬さを調整しながら残りの全卵を数
回に分けて添加し、この間中速で約1分間混合する。
作成した該皮生地は、温度を43〜45℃に、比重を
0.98に調整した。 この該皮生地を天板上に丸型
口金付き絞り袋で8gずつ絞り出す。 本実施例で
は、天板上に絞り出された該皮生地に、内部に略半円球
を伏せた形状の空洞を有するアルミ製の耐熱性容器(開
口面の直径7cm・内部空洞の容積97cc)を被せて
から固定オーブンに入れ、230℃の温度で焼成した。
こうして本発明によるシュー皮が出き上がった。そ
して、このシュー皮にカスタードクリームを充填してシ
ュークリームを製造した。
【0024】このシュー皮は、外観としては、表面に従
来の技術によるシュー皮に特有の不規則な凸凹、陥没、
割れがなく、滑らかであった。また、このシュー皮を切
断してその内相を見ると、やはり従来の技術によるシュ
ー皮に特有のす(内相の膜)がなかった。
【0025】このシュー皮は、ボリュームが、該皮生地
の単位重量当りの膨張率が従来の技術によるシュー皮に
比較して2倍近くも大きく膨張したものとなった。従っ
て、カスタードクリーム等の内容物を多く充填すること
ができるものであった。その食感は、大変サクサクした
軽い歯触りであり、噛んだときにしこしこしたひきがな
く歯切れが良く、口溶けも極めて良好であった。更に、
表皮の火通りが良くきめが細かくすべすべしていた。
【0026】以下に、本発明によるシュー皮と従来の方
法によるそれとを比較した結果を述べる。
【0027】比較例1 ここでは、本発明の方法と従来の方法においてのオーブ
ン内におけるシュー皮生地の膨張過程について、焼成開
始後から焼成終了後まで経時的に観察し、比較検討して
みた。本発明の方法としては、耐熱性容器をアルミ製か
らガラス製に替えたこと以外は、上掲の「実施例」で述
べた方法と同一の方法を採用し、また、従来の方法とし
ては、耐熱性容器を使用しないで焼成したこと以外は、
同様に上掲の「実施例」で述べた方法と同一の方法を採
用した。この結果は、上記の図4乃至図6に示す通りで
ある。
【0028】これから明らかな通り、従来の方法では、
焼成開始後2分30秒経過前後からシュー皮生地の膨張
が始まり、緩慢に膨張が進行し、4分30秒経過前後に
は膨張を終え、焼き色が付き始め、固化が始まる。
【0029】これに対し、本発明の方法では、従来の方
法よりも遅れて焼成開始後3分経過前後から漸く膨張が
始まり、緩慢に膨張が進行し、4分経過後から膨張が急
激に進行し始め、該皮生地が該容器の空洞内いっぱいに
満ちた後には該容器の開口周縁部の一端を持ち上げて天
板から離しながらなお膨張を続け、4分30秒経過後に
膨張を終え、焼き色が付き始め、固化が始まる。
【0030】本発明の方法においては、該皮生地の焼成
開始後4分経過後から膨張が終了する約20秒間に急激
に著しい膨化を遂げるが、この過程を観察すると、主と
して横方向に膨化してきた該皮生地の周縁先端部が該容
器の内壁に接触した途端に、今度は該容器の内壁に沿っ
て高さ方向へ膨張して行き、該容器の開口面周縁部の一
端を持ち上げた。これは、生地が容器内側面に接触後は
天板からの伝熱に容器側面からの伝熱も加わって生地へ
の火通りが良くなり、生地中の水蒸気及び膨張剤からの
炭酸ガスの発生が促進され、かつ容器の少なくとも一端
を持ち上げる前は該生地中から発生するこれらガスの逃
げ場所が塞がれるため生地の膨張の方向は空いている空
間、つまり容器内部上方へ急激に進行するものと思われ
る。また生地表面は容器内側面に接触しながら膨張し固
化するため、生地表面は凹凸や割れのない滑らかなもの
となる。
【0031】シュー皮生地が該容器の内側面に沿って高
さ方向へ急激に膨化してから5分間経過前後には膨化を
終了し、その後該皮生地は固化の進行が開始される。こ
の場合、生地の膨張する力で容器の一端を持ち上げるほ
どになるので、結果として生地は容器内部に完全に膨張
して容器内を満たして容器の内側面形状通りの略半球形
のシュー皮が得られる。また生地表面すべての部位から
の伝熱により火通り良く固化するので生地は十分に膨張
し、気泡膜は大きく薄く伸び、ひきの弱い軽い食感のシ
ュー皮が得られる。
【0032】比較例2 ここでは、焼成するシュー皮生地の重量を2〜18gの
範囲で変えながら、同一の重量の該シュー皮生地を焼成
したときに、本発明の方法と従来の方法による焼成後の
両シュー皮の容積の大小を比較検討してみた。このと
き、本発明の方法では、耐熱性容器の大きさ、即ち開口
面の直径(内部空洞の容積)も5.5cm(46c
c),7.0cm(97cc),8.5cm(160c
c),9.5cm(250cc)と変えながら行った。
【0033】本比較例では、本発明の方法としては、耐
熱性容器をアルミ製からガラス製に変えたこと以外は、
上掲の「実施例」で述べた方法と同一の方法を採用し、
また、従来の方法としては、該容器を使用しないで焼成
したこと以外は、同様に上掲の「実施例」で述べた方法
と同一の方法を採用した。その結果は、図7に示す通り
である。これから明らかなように、いずれの重量のシュ
ー皮生地を使用したときでも、本発明によるシュー皮
は、いずれの大きさの該容器を使用したときにも、従来
の方法による該皮よりも顕著にボリュームが大きかっ
た。
【0034】比較例3 ところで、上掲「比較例2」の結果を詳しく検討してみ
ると、本発明の方法では、いずれの内部空洞容積の耐熱
性容器を使用したときでも、同一の内部空洞容積の容器
においては、シュー皮生地の重量が増加するにしたがい
焼成後のシュー皮のボリュームも増大するが、該シュー
皮生地の重量が一定の限界を越えて増加すると焼成後の
該シュー皮の外観と形状が損なわれてくることが判っ
た。また、同一の重量の該シュー皮生地を使用しなが
ら、該容器の内部空洞容積を変えたときには、一定の容
積を使用したときに初めてボリュームが大きくなり、か
つ、外観と形状が整った該シュー皮ができることが判っ
た。
【0035】そこで、焼成する該シュー皮生地の重量
(または、焼成後の該シュー皮の容積若しくは比容積)
と、該容器の該容積との間には何らかの関係があるので
はないかと推測し、焼成する該シュー皮生地の重量と該
容器の該容積との関係を焼成後の該シュー皮の比容積で
表したところ、図8の通りであった。これを詳しく検討
してみると、従来の方法による焼成後の該シュー皮の比
容積は、いずれの該皮生地の重量においても17乃至1
9とほぼ一定しているが、これに対し、本発明の方法で
は、焼成後の該シュー皮の比容積が最大となるようなピ
ークが存在することが判った(図8参照。下線_部分の
数値が同一の内部空洞容積の容器を使用したときにおけ
るシュー皮の最大比容積の数値である)。そして、焼成
後の該シュー皮の比容積が最大となったときには外観と
形状が最も良好な該シュー皮が得られた(図7及び図8
参照)。
【0036】このことから、焼成後の該シュー皮が最大
比容積を得たときの、焼成する該シュー皮生地の重量及
び該容器の内部空洞容積の各数値を図9のようなグラフ
にプロットしてみたところ、焼成する該シュー皮生地の
最適な重量(Y)は、該容器の該容積(X)の1次式で
表すことができることが判った。即ち、 Y=0.06〜0.07X+1.23〜1.24
【0037】比較例4 本発明の方法と従来の方法による両シュー皮の表皮と該
表皮直下のグルテン気泡膜を電子顕微鏡で検査し、該表
皮の厚さ、該グルテン膜の厚さ及び該気泡の大小につい
て比較検討してみた。
【0038】ここでは、本発明の方法によるシュー皮と
しては、耐熱性容器を開口面の直径(内部空洞の容積)
が7.0cm(97cc)のガラス製容器を使用したこ
と以外は、上掲の「実施例」で述べた方法と同一の方法
を採用して製造し、また、従来の方法によるシュー皮と
しては、該容器を使用しないで焼成したこと以外は同様
に上掲の「実施例」で述べた方法と同一の方法を採用し
て製造した。
【0039】その結果は、図10及び図11に示す顕微
鏡写真のスケッチの通りである。これから明らかな通
り、本発明品(図11)は、従来品(図10)に比較し
て、該シュー皮の表皮や該表皮直下のグルテン膜が著し
く薄く形成されており、また、該気泡は著しく大きく形
成されていることが判った。
【0040】これは、本発明の方法が従来の方法に比較
して、該シュー皮生地の焼成時の膨化過程において該生
地の伸展性が著しく促進されることを示すものである。
また、このような相違は、以下に述べる通り、本発明品
が従来品に比較して火通りが良好であり、食感が軽いも
のであること等を示唆するものである。
【0041】比較例5 本発明の方法と従来の方法による両シュー皮の外観(凸
凹や陥没がなく滑らかか否か。艶や光沢があるか否か。
焼き色の濃淡)、触感(きめが細かいか否か)、火通り
(善し悪し)、内相(す(内装膜)の有無、空洞の大
小)の各比較項目について比較試験を行った。
【0042】ここでは、本発明の方法によるシュー皮と
しては、耐熱性容器を開口面の直径が7.0cm(内部
空洞の容積97cc)のガラス製容器を使用したこと以
外は、上掲の「実施例」で述べた方法と同一の方法を採
用して製造し、また、従来の方法によるシュー皮として
は、該容器を使用しないで焼成したこと以外は、同様に
上掲の「実施例」で述べた方法と同一の方法を採用して
製造した。
【0043】本比較試験は、この種の比較試験の経験豊
富な6名のパネラーが各自、各10個ずつ製造した両シ
ュー皮を比較して、上掲の各比較項目について検討を
し、結論を出すという方法で行った。
【0044】その結果、各比較項目において全員のパネ
ラーが以下の結論に達した。 (1)シュー皮の外観 本発明品は、従来品には必ず現れる、該シュー皮の表面
の凸凹や陥没がなく、表面が滑らかで平面的であった
(図12参照)。本発明品は、該シュー皮の表面に、従
来品には見られない艶や光沢があった。本発明品は、該
シュー皮の表面の焼き色が従来品に比較して著しく薄く
淡い色調をしていた。 (2)シュー皮の触感 本発明品は、該シュー皮の表面が従来品に比較して著し
くきめ細かくすべすべしていた。 (3)シュー皮の火通り 本発明品は、従来品には時々生じる、該シュー皮の表皮
の裏面の焼き残こりがまったくなかった。 (4)シュー皮の内相 本発明品は、従来品には必ず現れる、該シュー皮の内相
のす(内相膜)がほとんどなかった(図12参照)。 本発明品は、従来品に比較して著しく大きな空洞が形成
されていた。尚、図12は、左側が本発明に係る製造方
法によるシュー皮の断面を示し、右側が従来の製造方法
によるシュー皮の断面を示しており、写真で撮ったもの
を、図にしたものである。
【0045】比較例6 官能試験 図13に示すように、本発明の方法と従来の方法による
両シュー皮のさくさくした食感の軽さ、ひきの強弱によ
る歯切れ、口溶けの各比較項目について比較官能試験を
行った。
【0046】ここでは、本発明の方法によるシュー皮と
しては、耐熱性容器を開口面の直径が7.0cm(内部
空洞の容積97cc)のガラス製容器を使用したこと以
外は、上掲の「実施例」で述べた方法と同一の方法を採
用して製造し、また、従来の方法によるシュー皮として
は、該容器を使用しないで焼成したこと以外は、同様に
上掲の「実施例」で述べた方法と同一の方法を採用して
製造した。
【0047】本比較試験は、この種の比較試験の経験豊
富な6名のパネラーが両シュー皮を比較して、上掲の各
比較項目について検討をし、結論を出すという方法で行
った。この結果から、本発明の方法によるシュー皮が、
従来の方法によるシュー皮に比較して、さくさくした食
感の軽さ、ひきの強弱による歯切れ、口溶けの各項目に
ついて優れていることがわかる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のシュー皮
の製造方法によれば、従来の方法によるシュー皮と比較
して、著しくボリュームの増大したシュー皮を製造する
ことができる。また、シュー皮の火通りや食感に直接影
響を与えるシュー皮の表皮や表皮直下のグルテン気泡膜
を著しく薄く形成することができ、気泡を著しく大きく
形成することができる。かくして、火通りが良好で、サ
クサクした軽い食感で、ひきが弱くて歯切れが良く、口
溶けも良好な該シュー皮を製造することができる。そし
て、表面が滑らかできれいな、きめがこまかくすべすべ
したシュー皮を製造することができる。特に、容器の内
部の空洞をドーム状に形皮して接触させ、シュー皮生地
の膨張する力で容器の一端を持ち上げて焼成するので、
シュー皮生地に熱を万遍なく伝達することができ、その
ため、生地表面すべての部位からの伝熱により火通り良
く焼成して固化するので、生地を十分に膨張させて、気
泡膜を大きく薄く伸ばすことができ、ひきの弱い軽い食
感のシュー皮を得ることができる。 また、容器の内部の
空洞がドーム形なので、シュー皮表面を凹凸や割れのな
い滑らかなものとすることができる。 更に、シュー皮生
地の膨張する力で容器の一端を持ち上げて焼成するの
で、生地は容器内部に完全に膨張して容器内を満たし
て、容器の内部の形状通りの略半球形のシュー皮を確実
に得ることができる。 また、シュー皮生地の大きさを上
記容器の開口面の直径より小さく成形し、該容器をシュ
ー皮生地に被せて天板に載置する際、該容器がシュー皮
生地に接触しないようにした場合には、接触した場合に
生じる、焼成後のシュー皮の上下、左右の形状が不均一
になってしまう事態を防止できる。 更に、シュー皮生地
の重量(g)(Y)と上記容器の容積(cc)(X)
を、Y=0.06〜0.07X+1.23〜1.24な
る関係式の比率に従って定めた場合には、上記の作用,
効果をより確実に達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシュー皮の製造方法を示す斜視図であ
る。
【図2】本発明のシュー皮の製造方法と従来のシュー皮
の製造方法とを比較して示す斜視図である。
【図3】本発明のシュー皮の製造方法と従来のシュー皮
の製造方法とを比較して示す断面図である。
【図4】本発明のシュー皮の製造方法と従来のシュー皮
の製造方法との焼成状態を比較して示す工程図である。
【図5】本発明のシュー皮の製造方法と従来のシュー皮
の製造方法との焼成状態を比較して示す工程図である。
【図6】本発明のシュー皮の製造方法と従来のシュー皮
の製造方法との焼成状態を比較して示す工程図である。
【図7】本発明の製造方法によるシュー皮と従来の製造
方法によるシュー皮とを比較して示す図である。
【図8】本発明のシュー皮の製造方法と従来のシュー皮
の製造方法との比較において、シュー皮生地の重量と容
器の容積との関係を焼成後のシュー皮の比容積で表した
図である。
【図9】本発明のシュー皮の製造方法において、焼成後
のシュー皮が最大比容積を得たときの、焼成するシュー
皮生地の重量及び容器の内部空洞容積の関係を示すグラ
フ図である。
【図10】従来の製造方法によるシュー皮の構造を示す
図である。
【図11】本発明の製造方法によるシュー皮の構造を示
す図である。
【図12】本発明の製造方法によるシュー皮の断面と、
従来の製造方法によるシュー皮の断面とを比較して示す
図である。
【図13】本発明の製造方法によるシュー皮と従来の製
造方法によるシュー皮との官応試験の結果を示す図であ
る。
【符号の説明】
K シュー皮生地 1 天板 2 耐熱性容器

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所要量のシュー皮生地を天板に載置し
    該シュー皮生地に、内部が空洞のカップ状耐熱性容器を
    被せて焼成することによりシュー皮を製造するシュー皮
    の製造方法において、上記カップ状耐熱性容器として、
    該内部の空洞を略半円球を伏せたドーム状に形成すると
    ともに、焼成によって膨張するシュー皮生地の膨張力に
    よって天板から持ち上げられることが可能な重量にした
    ものを用い、該容器の少なくとも一端が天板から持ち上
    げられた状態で焼成を終了することを特徴とするシュー
    皮の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記シュー皮生地の大きさを上記容器の
    開口面の直径より小さく成形し、該容器をシュー皮生地
    に被せて天板に載置する際、該容器がシュー皮生地に接
    触しないようにしたことを特徴とする請求項1記載のシ
    ュー皮の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記シュー皮生地の重量(g)(Y)と
    上記容器の容積(cc)(X)を、以下の関係式の比率
    に従って定めたことを特徴とする請求項1または2記載
    のシュー皮の製造方法。 Y=0.06〜0.07X+1.23〜1.24
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