JP2783153B2 - 鋳鉄クランク軸 - Google Patents

鋳鉄クランク軸

Info

Publication number
JP2783153B2
JP2783153B2 JP6044663A JP4466394A JP2783153B2 JP 2783153 B2 JP2783153 B2 JP 2783153B2 JP 6044663 A JP6044663 A JP 6044663A JP 4466394 A JP4466394 A JP 4466394A JP 2783153 B2 JP2783153 B2 JP 2783153B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crankshaft
cast
cast iron
ferrite
fatigue strength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP6044663A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07268480A (ja
Inventor
進 沼尻
宏 岡村
活己 南條
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Motors Corp filed Critical Mitsubishi Motors Corp
Priority to JP6044663A priority Critical patent/JP2783153B2/ja
Publication of JPH07268480A publication Critical patent/JPH07268480A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2783153B2 publication Critical patent/JP2783153B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Shafts, Cranks, Connecting Bars, And Related Bearings (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野)本発明は、鋳鉄クランク軸に関す
るものである。
(従来の技術)従来から自動車用エンジンの製造コスト
の低減及び軽量化を図るために、球状黒鉛鋳鉄製のクラ
ンク軸が提唱されている。上記球状黒鉛鋳鉄には、JI
S−FCD70クラスの鋳鉄が普通に採用されている
が、鋳放し粗材に必要な機械加工を施して製造されたク
ランク軸は、第2図の曲げ疲労強度を調べた線図におい
て、曲線FCDで示されているように、曲げ疲労強度
が低く、かつクランクピン部及びジャーナル部の摩耗が
大きく、更にこれらクランクピン部及びジャーナル部と
協働するコネクティングロッド及びクランクケースの軸
受メタルの摩耗が大きいことが確認された。これは第4
図(A)に示されているFCD70の鋳放し粗材の金属
組織を示した顕微鏡写真に符号fで示されているよう
に、析出した球状黒鉛gを囲んで柔らかいフエライト層
(以下フエライトリングと称する)が多量に析出するこ
とに基因することが判明した。また、上記FCD70材
の鋳放し品の曲げ疲労強度を改善すると共に耐摩耗性を
向上するために、鋳放し粗材に機械加工を施したのち、
クランクピン部及びジャーナル部に高周波焼入れを施し
研磨を行ったクランク軸について、曲げ疲労強度を調べ
たところ、上記第2図中に曲線FCD′で示されてい
るように10%程度の改善が認められるが、期待したほ
どの成果はなく、耐摩耗性の点についても僅かの向上し
か得られなかった。上記焼入れを行なったクランクピン
部及びジャーナル部の金属組織が第4図(B)に示され
ており、球状黒鉛gの外周に折出したフエライトリング
fは、鋳放し粗材よりは減っているが、なお相当量残存
し、このフエライトリングfの残存が、高周波焼入れを
行なったにも拘わず、十分な曲げ疲労強度及び耐摩耗性
の向上が得られなかった原因であると推測された。更
に、FCD70材で鋳造したクランク軸の鋳放し粗材
を、約850℃に加熱して略2時間その温度に保持し衝
風冷却によって室温まで冷却する焼準を行ったところ、
曲げ疲労強度及び耐摩耗性において可成の改善が得られ
ることが認められた。しかしながら、この場合、本質的
に多くの屈曲部を有するクランク軸の複雑な形状のため
に、クランク軸の各部を均等に衝風冷却することは実際
上難かしく、不均等な冷却に基因してクランク軸の各部
に発生した残留応力が、その後に行なわれる高周波焼入
れによって部分的に解放される際に、焼入れ変形が生じ
易いという新たな問題が生起した。上記焼入れ変形量
が、焼入れ後に行なわれる研磨加工の研磨代を超えると
寸度不良のため使用不能となるが、従来はこの不良品が
可成の率で発生するために、製造コストの増大を招く不
具合があった。
(発明が解決しようとする課題)本発明は、上記事情に
鑑み創案されたもので、曲げ疲労強度及び耐摩耗性が優
れた鋳鉄クランク軸を安価に提供することを目的とする
ものである。
(課題を解決するための手段)上記目的を達成するた
め、本発明は、炭素3.4〜3.9%,シリコン1.7
〜2.4%,マンガン0.4〜0.8%,銅0.8〜
1.2%,マグネシウム0.02〜0.06%,燐0.
1%以下、硫黄0.025%以下(何れも重量%)を含
み、残部鉄からなる鋳放しクランク軸のクランクピン部
及びジャーナル部の外周面及びフィレット部に高周波焼
入れを施し、焼入れ層内における球状黒鉛外周のフエラ
イト層をほとんど消失させたことを特徴とする鋳鉄クラ
ンク軸を提案するものである。
(作 用)本発明によれば、鋳鉄クランク軸が上記組成
を有することによって、鋳放し組織中の析出フエライト
が、マトリックス中の遊離析出分及び球状黒鉛の周りの
析出分即ちフエライトリングを含み、5%以下(面積
比)に低減し、特にフエライトリングが大巾に減少(面
積比にして1%程度)に低減する。この結果、クランク
軸の曲げ疲労強度が大巾に向上し、クランクピン部及び
ジャーナル部、これらと協働するコネクティングロッド
及びクランクケース側の軸受メタルの摩耗低減が達成さ
れる。
(実施例)以下本発明の実施例を添付図面について具体
的に説明する。先づ第1図において、符号10は後述す
る組成の粒状黒鉛鋳鉄からなるクランク軸を総括的に示
し、同クランク軸10は、クランクピン部12と、ジャ
ーナル部14と、上記ピン部12及びジャーナル部14
を結合するウエブ16とからなり、一部のウエブ16に
は、バランスウエイト18が一体的に形成されている。
上記ピン部12と、同ピン部に隣接するウエブ部分とに
わたって、略軸線方向に延在した重量軽減用の鋳抜き孔
20が形成され、また上記ジャーナル部14の端部から
ウエブ16にわたって、同じく重量軽減用の鋳抜き孔2
2が形成されている。上記ピン部12及びジャーナル部
14の外周摺動面の耐摩耗性を向上すると共に曲げ疲労
強度を改善するために、鋳造されたクランク軸の必要部
分に研磨代を残して機械加工を行ったのち、焼準等の熱
処理を行なうことなく、ピン部12の軸部12a及び同
軸部に隣接するフィレット部12bに夫々高周波焼入れ
が施され、同様にジャーナル部14の軸部14a及び同
軸部に隣接するフィレット部14bにも夫々高周波焼入
れが施される。通常の場合、上記軸部12a及び14a
には、夫々3〜5mm程度の深さの焼入れが全周にわた
り実質的に均等に行なわれ、また上記フィレット部12
b及び14bには、夫々2〜3.5mm程度の深さの焼
入れが全周にわたり実質的に均等に施される。クランク
軸10は、炭素3.4〜3.9%,シリコン1.7〜
2.4%,マンガン0.4〜0.8%,銅0.8〜1.
2%,マグネシウム0.02〜0.06%,燐0.1%
以下、硫黄0.025%以下(何れも重量%)を含み、
残部鉄からなる球状黒鉛鋳鉄によって作られている。上
記組成成分に示されているように、通常の球状黒鉛鋳鉄
より多量の銅及びマンガン、特に前者を含むことによっ
て、第3図(A)の顕微鏡写真に見られるように、鋳放
し状態で球状黒鉛gの外周に析出するフエライト即ちフ
エライトリングfが著しく少なくなり、マトリックス中
の遊離フエライトを含む全フエライト量は面積比で5%
以下に大巾に減少する。特に曲げ疲労強度及び耐摩耗性
に特に影響が大きい球状黒鉛gの周りのフエライトリン
グfは、而積比にして1%以下に減少し、このことは従
来のFCD70材の鋳放し組織を示した第4図(A)の
顕微鏡写真(全フエライト量が面積比で約10%)との
対比により明白である。次に、上記クランクピン部12
の軸部12a及びフィレット部12b、ジャーナル部1
4の軸部14a及びフィレット部14bに夫々高周波焼
入れを施すことによって、焼入れ層の金属組織が第3図
(B)の顕微鏡写真で示したように変化する。同図から
明らかなように、鋳放し状態で僅かに存在したフエライ
トリングfが、実質的に消滅してしまい、最悪の場合で
も1/10%のオーダの極く微量、換言すれば殆ど消失
してしまうことが確認された。この結果、第2図の曲げ
疲労強度を示す線図中に、曲線FCDで示されている
ように、曲げ疲労強度が、従来のFCD70材の鋳放し
品(同図に曲線FCDで示されている)と較べ、曲げ
疲労強度が70〜80%増大し、同時にフエライトリン
グの消失によってクランクピン部12及びジャーナル部
14の耐摩耗性も当然のことながら著しく向上した。ま
た、上記高周波焼入れに先立ち焼準等の熱処理が行なわ
れないので、高周波焼入れに際して焼入れ変形の発生が
少なく、不良品の発生が少ないために製造コストの大巾
な増大を招くような不具合はなかった。なお、上述した
本発明に係るクランク軸の金属組成中、特に銅の含有量
と全フエライト量との関係が第5図に示されている。同
図に曲線Frで示されているように、銅量が0.8〜
1.2%の範囲でフエライト量が5%以下になり、上述
したような優れた効果が得られる。
(発明の効果)叙上のように、本発明に係る鋳鉄クラン
ク軸は、炭素3.4〜3.9%,シリコン1.7〜2.
4%,マンガン0.4〜0.8%,銅0.8〜1.2
%,マグネシウム0.02〜0.06%,燐0.1%以
下、硫黄0.025%以下 (何れも重量%)を含み、
残部鉄からなる鋳放しクランク軸のクランクピン部及び
ジャーナル部の外周面及びフィレット部に高周波焼入れ
を施し、焼入れ層内における球状黒鉛外周のフエライト
層をほとんど消失させたことを特徴とし、鋳鉄クランク
軸の曲げ疲労強度及び耐摩耗性を大巾に改善することが
できるので、産業上極めて有益である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す要部断面図、第2図は
本発明に係るクランク軸と従来の同種クランク軸の曲げ
疲労強度とを対比して示した線図、第3図(A)は本発
明に係るクランク軸の鋳放し粗材の金属組織を示した写
真、第3図(B)は第3図(A)に示した鋳放し粗材に
高周波焼入れを施したものの金属組織を示した写真、第
4図(A)は従来のFCD70材を用いたクランク軸の
鋳放し粗材の金属組織を示した写真、第4図(B)は第
2図の鋳放し素材に高周波焼入れを施したものの金属組
織を示した写真、第5図は球状黒鉛鋳鉄の組成中銅の含
有量と鋳造粗材中のフエライト量との関係を示した線図
である。 10…クランク軸、12…クランクピン部、14…ジャ
ーナル部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−267347(JP,A) 特開 昭60−23618(JP,A) 特公 平1−40900(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21D 9/30 C22C 37/04 F16C 3/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素3.4〜3.9%,シリコン1.7〜
    2.4%,マンガン0.4〜0.8%,銅0.8〜1.
    2%,マグネシウム0.02〜0.06%,燐0.1%
    以下、硫黄0.025%以下(何れも重量%)を含み、
    残部鉄からなる鋳放しクランク軸のクランクピン部及び
    ジャーナル部の外周面及びフィレット部に高周波焼入れ
    を施し、焼入れ層内における球状黒鉛外周のフエライト
    層をほとんど消失させたことを特徴とする鋳鉄クランク
    軸。
JP6044663A 1994-02-04 1994-02-04 鋳鉄クランク軸 Expired - Fee Related JP2783153B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6044663A JP2783153B2 (ja) 1994-02-04 1994-02-04 鋳鉄クランク軸

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6044663A JP2783153B2 (ja) 1994-02-04 1994-02-04 鋳鉄クランク軸

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07268480A JPH07268480A (ja) 1995-10-17
JP2783153B2 true JP2783153B2 (ja) 1998-08-06

Family

ID=12697695

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6044663A Expired - Fee Related JP2783153B2 (ja) 1994-02-04 1994-02-04 鋳鉄クランク軸

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2783153B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102009048273A1 (de) * 2009-10-05 2011-04-07 Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft Gusseisen-Gussteil und Verfahren zu dessen Herstellung

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6023618A (ja) * 1983-07-14 1985-02-06 Toyota Motor Corp 高強度鋳鉄製クランクシャフト
JPS6440900A (en) * 1987-08-06 1989-02-13 Sharp Kk Effective utilization of memory in system for recording and reproduction
JPH03267347A (ja) * 1990-03-16 1991-11-28 Hitachi Metals Ltd 高速回転部材

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07268480A (ja) 1995-10-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1029098B1 (en) Spheroidal graphite cast iron alloy containing molybdenum and disc brake rotor therefrom
EP1304393B1 (en) Piston ring excellent in resistance to scuffing, cracking and fatigue and method for producing the same, and combination of piston ring and cylinder block
JPS6031579B2 (ja) 補強鉄環を有するアルミニウム合金のピストンを製作する方法
JP5643994B2 (ja) 鋳鉄鋳造部品およびその製造方法
JP2783153B2 (ja) 鋳鉄クランク軸
JPH01268843A (ja) エンジンのクランクシャフト軸受
JP2001316776A (ja) 自動車用ブレーキディスク、スチール合金及びこれらの製造方法
JPH03267347A (ja) 高速回転部材
JP2973006B2 (ja) 摺動部材およびその製造方法
JPH0115576B2 (ja)
JP3450727B2 (ja) 内燃機関用ピストンリング
JP2004028276A (ja) 内燃機関の主運動機構
JPH03234351A (ja) 鋳鉄製シリンダブロック及びその製造方法
JP2557361Y2 (ja) ダクタイル鋳鉄クランク軸
EP0307189A2 (en) Combination of slide members
JPH0127145B2 (ja)
JPH0140900B2 (ja)
JPH0135062B2 (ja)
JP2004028278A (ja) 内燃機関の主運動機構
JP3409276B2 (ja) 熱処理歪の少ない高炭素鋼
JPH0130913B2 (ja)
JP2886268B2 (ja) 内燃機関用動弁機構のカムシャフト及びその製造方法
JPS60204843A (ja) 耐摩耗性軽量ロツカ−ア−ムの製造法
JPH01268842A (ja) エンジンのクランクシャフト軸受
JPS61166944A (ja) 球状黒鉛鋳鉄鋳物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19980421

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371