JP2973006B2 - 摺動部材およびその製造方法 - Google Patents

摺動部材およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 A.発明の目的 (1)産業上の利用分野 本発明は摺動部材およびその製造方法に関する。
(2)従来の技術 従来、この種摺動部材として、内燃機関用動弁機構の
カムシャフトが知られており、そのカムシャフトは鋳鉄
より構成され、またカム、したがってその摺動面形成領
域は、例えばチル化されている。
(3)発明が解決しようとする課題 前記のようにチル化を行う理由は、前記領域の摺動特
性を向上させてピッティングおよびスカフィングの発生
を回避するためであるが、現在の動向である機関の高速
回転化および高出力化に十分に対処するためには、なお
一層の摺動特性の向上が要求されている。
本発明は、前記要求に応ずることのできる、優れた摺
動特性を備えた前記摺動部材およびその製造方法を提供
することを目的とする。
B.発明の構成 (1)課題を解決するための手段 本発明に係る摺動部材は、 0.8重量%≦C≦2.0重量%、 0.4重量%≦Si≦2.0重量%、 0.3重量%≦Mn≦1.5重量%、 6.0重量%≦Cr≦20.0重量%、 0.3重量%≦Mo≦5.0重量%、 0.05重量%≦S≦0.5重量%、 残部Feおよび不可避不純物 の組成を有する合金鋼を構成材料とし、摺動部が、化学
的表面硬化処理により得られたFe3O4よりなる表層と、
該表層の内側に在って、焼入れおよび焼戻し処理により
得られた内層とを有し、表面硬さがHRC55以上であるこ
とを特徴とする。
本発明は摺動部材を製造するに当り、摺動部材の摺動
部に対応する部位を備えた摺動部材用素材を、二次硬化
特性を有する合金鋼を用いて製造する工程と、前記部位
を予熱し、次いで空冷し、その後焼入れ温度まで昇温す
る加熱段階および前記部位を、それに冷却ガスを吹付け
て冷却する冷却段階よりなる衝風焼入れ処理を行う工程
と、前記部位に、それが二次硬化現象を生起する焼戻し
温度にて焼戻し処理を施す工程と、前記部位に、前記焼
戻し温度よりも低い温度にて化学的表面硬化処理を施す
工程とを順次行うことを特徴とする。
また本発明は摺動部材を製造するに当り、摺動部材の
摺動部に対応する部位を備えた摺動部材用素材を、二次
硬化特性を有する合金鋼を用いて製造する第1の工程
と、前記部位に衝風焼入れ処理を施すと共にその衝風焼
入れ処理における冷却段階を途中で止め、次いで前記部
位に水冷および油冷の少なくとも一方を施す第2の工程
と、前記部位に、それが二次硬化現象を生起する焼戻し
温度にて焼戻し処理を施す第3の工程と、前記部位に、
前記焼戻し温度よりも低い温度にて化学的表面硬化処理
を施す第4の工程とを順次行うことを特徴とする。
(2)作用 前記摺動部材を構成する合金鋼は二次硬化特性を有
し、また強固な網目状炭化物を生成するので、その摺動
部は、表層および内層の協働によって特定の表面硬さ、
優れた疲労強度および自己潤滑能を備え、これにより摺
動部の耐スカフィング性および耐ピッティング性が向上
し、また耐久性も良好となる。
前記合金鋼において各化学成分を用いる理由およびそ
の含有量限定理由は以下の通りである。
(a) Cについて Cは、マルテンサイト組織に網目状炭化物を分散させ
るために用いられる。たゞし、Cの含有量が0.8重量%
を下回ると、網目状炭化物を得ることができず、一方、
2.0重量%を上回ると、網目状炭化物量が過剰となって
機械加工性が低下する。
(b) Siについて Siは、鋳造性を改善するために用いられる。たゞし、
Siの含有量が0.4重量%を下回ると、前記改善効果が得
られず、一方、2.0重量%を上回ると、摺動部材が脆化
する。
(c) Mnについて Mnは、マトリックスを強化するために用いられる。た
ゞし、Mnの含有量が0.3重量%を下回ると、前記強化作
用が得られず、一方、1.5重量%を上回ると、残留オー
ステナイトが増加して、硬さおよび寸法安定性が低下す
る。
(d) Crについて Crは、二次硬化現象生起要素であり、強固な網目状炭
化物を生成して摺動部の硬さ、耐摩耗生および耐熱性を
増大させるために用いられる。ただし、Crの含有量が6.
0重量%を下回ると、強固な網目状炭化物が生成せず、
一方、20重量%を上回ると、機械加工性が低下する。
(e) Moについて Moは、マトリックスを強化して焼戻し軟化現象の発生
を抑制するために用いられる。たゞし、Moの含有量が0.
3重量%を下回ると、前記抑制効果が得られず、一方、
5.0重量%を上回っても前記抑制効果の向上が認められ
ない。
(f) Sについて Sは、被削性を向上させるために用いられ、この作用
は、SをMnに化合させてMnSを生成させることにより得
られる。たゞし、Sの含有量が0.05重量%を下回ると、
MnSが殆ど生成せず、一方、0.5重量%を上回ると被削性
向上効果が減退し、また靭性が低下する。
前者の製造方法によれば、摺動部材対応部位におい
て、網目状炭化物が分散したマルテンサイト組織が得ら
れる。また焼戻し処理により摺動部対応部位の硬さおよ
び疲労強度が最高値に到達する。そして前記部位に、焼
戻し温度よりも低い温度にて化学的表面硬化処理を施す
ので、前記部位に、前記熱処理により得られた物性を損
うことなく、また曲り等の変形の発生を極力抑制して、
前記硬化処理を施すことが可能である。
後者の製造方法によれば前記摺動部材の生産性を向上
させることが可能である。
(3)実 施 例 第1〜第4図において、摺動部材としての内燃機関用
動弁機構のカムシャフト1は、合金鋼である下記組成の
鋳鋼より構成される。
即ち、C 1.55重量%、Si 1.2重量%、Mn 0.8重量
%、Cr 15重量%、Mo 0.9重量%、S 0.15重量%、
残部がFeおよび不可避不純物。
摺動部に対応する各カム2、したがってその摺動面形
成領域R(以下、単にカムと称す)は第3図に明示する
ように、化学的表面硬化処理により得られたFe3O4より
なる表層3と、その表層3の内側に在って、焼入れおよ
び焼戻し処理により得られた内層4とを有する。
前記鋳鋼は二次硬化特性を有するので、内層4は硬さ
を向上されており、表層3との協働によって、各カム2
はHRC55以上の表面硬さを有する。
また前記鋳鋼は、強固な網目状炭化物を生成するの
で、各カム2は、第4図に明示するように前記網目状炭
化物5を分散させたマルテンサイト組織を有する。
このように各カム2は、表層3および内層4の協働に
よって特定の表面硬さ、優れた疲労強度および自己潤滑
能を備えているので、機関運転に伴うロッカアームとの
摺動において、優秀な耐スカフィング性および耐ピッテ
ィング性を呈し、また耐久性も良好となる。
網目状炭化物は、粒状炭化物に比べ、同一面積率にお
いて炭化物間距離が短いので、耐スカフィング性を向上
させる上に有効である。
次に、前記カムシャフト1の製造方法の一実施例につ
いて説明する。
前記製造方法は、カムシャフト素材の鋳造工程、焼鈍
処理工程、機械加工工程、衝風焼入れ処理工程、焼戻し
処理工程、仕上げ研削加工工程および化学的表面硬化処
理工程を順次行うことにより実施される。
以下、各工程について詳述する。
(i)鋳造工程 前記鋳鋼組成を有する溶湯を調製し、湯温1380〜1550
℃にて鋳込み作業を行い、複数のカム対応部を備えたカ
ムシャフト用素材を鋳造する。
(ii)焼鈍処理工程 素材を炉中にて、860℃まで加熱し、次いで740℃まで
炉冷し、その後空冷する。
(iii)機械加工工程 素材にレース加工を施し、次いで各カム対応部に粗研
削加工を施す。
(iv)衝風焼入れ処理工程 この処理は、高周波加熱装置内にて、素材を、それの
軸線回りに回転させながら素材の各カム対応部を、その
周囲に配設された加熱コイルにより加熱する加熱段階
と、衝風冷却装置内にて、素材を前記同様に回転させな
がら各カム対応部を、その周囲に配設されたノズルより
冷却ガスを吹付けて冷却する冷却段階とを含む。
第5図において、加熱段階では、各カム対応部を予熱
し(線a1)、次いで空冷し、さらに焼入れ温度まで昇温
してその状態に保持し(線a2)、その後空冷する。
前記組成の鋳鋼は、網目状炭化物とマトリックスであ
るパーライトとの熱膨張差および変態膨張差に起因し
て、焼入れ温度にて各カム対応部に加熱割れを発生し易
いが、前記のように予熱および空冷を行うと、各カム対
応部における各部位の温度差を小さくして前記加熱割れ
を防止することができる。
また素材を回転させることにより複数のカム対応部の
温度を均一化して硬さむらの発生を回避することができ
る。
前記冷却段階では、冷却ガスとして空気、または不活
性ガス等の非酸化性ガスが用いられる。
焼入れ処理における冷却速度は、焼入れ強烈度H=c/
k〔cm-1〕、(c:熱伝達率、k:熱伝導度)で表わされ
る。したがって、Hの値が大きければ大きい程冷却度合
が急激であることになる。
前記Hの値は、空冷の場合は0.008、また水冷の場合
は0.354〜0.394であるが、衝風冷却の場合は0.05程度で
あり、空冷と水冷の中間値となる。
前記鋳鋼は、急激な冷却を行うと、前記熱膨張差等に
起因して各カム対応部に冷却割れを発生し易いが、前記
のように衝風冷却手段を採用すると、前記冷却割れを回
避することができる。
衝風焼入れの具体的実施例は次の通りである。
加熱段階では、第5図線a1で示すように、先ず、出力
3kvにて10秒間予熱して各カム対応部を300℃に昇温し、
次いで10秒間空冷し、さらに第5図線a2で示すように、
出力8kvにて10秒間加熱して各カム対応部を焼入れ温度
である1070℃に昇温し、その後10秒間空冷する。
冷却段階では、第5図線a3で示すように、各カム対応
部に、圧力4kg/cm2、噴出量5/secの条件下で空気を
吹付ける。
これにより、各カム対応部において、網目状炭化物が
分散したマルテンサイト組織が得られる。
なお、焼入れ処理作業中は、素材における所定のジャ
ーナル対応部に曲り矯正手段が適用される。
(v)焼戻し処理工程 この処理は、前記鋳鋼が二次硬化現象を生起する焼戻
し温度、したがって580℃以下、好ましくは560〜570℃
にて行われる。
具体的には、第5図線bで示すように各カム対応部を
570℃にて30分間加熱し、その後空冷する。
これにより、各カム対応部において二次硬化効果、し
たがって硬さおよび疲労強度が最高値に到達する。
第6図は各カム対応部における二次硬化現象を示し、
焼戻し温度570℃にて、各カム対応部の表面硬さHRCは点
cで示すように58.3となる。
この焼戻し処理工程後の金属組織は前記内層4のそれ
に対応する。
(vi)仕上げ研削加工工程 この加工は、焼入れ処理および焼戻し処理に伴い素材
に発生した曲りを除去するために、各カム対応部および
各ジャーナル対応部に施される。加工順は各カム対応部
が先に行われる。
(vii)化学的表面硬化処理工程 この処理としてはホモ処理が適用される。ホモ処理
は、焼戻し温度が560〜570℃のおき、素材をホモ炉内に
て540〜550℃に加熱して水蒸気を通じることにより行わ
れる。即ち、ホモ処理温度は焼戻し温度よりも20℃低く
設定される。
具体的には、第5図線dで示すように各カム対応部を
550℃にて45分間加熱し、その状態で水蒸気を作用さ
せ、その後空冷する。
これにより前記熱処理により得られた物性を損うこと
なく、また曲り等の変形の発生を極力抑制してホモ処理
を施すことができ、前記内層4の上にFe3O4よりなる表
層3を有するカムシャフト1が得られる。
表Iは、カムシャフト(または素材)No.1〜No.Vにつ
いて焼戻し処理後およびホモ処理後における曲り量を比
較したものである。
曲り量の測定は、第1図に示すように、第1および第
5ジャーナル61,62(または素材の第1,第5ジャーナル
対応部)を保持し、第2〜第4ジャーナル62〜64(また
は素材の第2〜第4ジャーナル対応部)における軸心の
ずれを測定したものである。表中、Aは焼戻し処理後の
曲り量(mm)を、またBはホモ処理後の曲り量(mm)を
それぞれ示す。
ホモ処理後、素材に仕上げ研削加工を施すと、表面硬
化効果が減退するので、ホモ処理前に仕上げ研削加工を
行うことが必要であり、したがってホモ処理においては
素材に再び前記加工を行わなければならないような曲り
が発生してはならない。
本発明によれば、表Iから明らかなように、ホモ処理
において、焼戻し処理のときよりも温度を20℃低く設定
することによってカムシャフトの曲り量を極力抑制する
ことができるので、ホモ処理前に前記加工を行なっても
何等支障はない。
表IIは、焼戻し処理後およびホモ処理後におけるカム
のノーズ(またはカム対応部のノーズ)の表面硬さ測定
結果を示す。
表IIから明らかなように、ホモ処理後において表面硬
さが若干低下するが、カムとしては表面硬さがHRC55以
上であれば所期の目的が達成し得るので何等問題はな
い。
第7図はホモ処理後のカムにおいて、焼戻し温度の違
いによる表面硬さの正規分布を示し、線e1は焼戻し温度
が570℃の場合に、また線e2は焼戻し温度が580℃の場合
にそれぞれ該当する。
線e2から明らかなように、焼戻し温度を580℃に設定
しても、略50%の確率で表面硬さHRC55以上の要件を満
たすことができる。
前記衝風焼入れ処理における冷却段階を途中で止め、
次いで各カム対応部を水冷または油冷してもよい。冷却
段階の中止時期は、例えば各カム対応部全体の温度が均
一で、且つ300℃に下ったときである。
このような手段を採用すると、焼入れ処理時間を短縮
することができ、特に、カムシャフトの軸方向半分宛を
焼入れ処理する、即ち1本のカムシャフトについて2回
の焼入れ処理を施す場合に有効である。
また前記化学的表面硬化処理としては、軟窒化処理を
適用することも可能である。
本発明はカムシャフトに限らず、他の摺動部材にも適
用される。
C.発明の効果 第(1)項記載の発明によれば、摺動部の構成を前記
のように特定することによって、優れた耐スカフィング
性、耐ピッティング性および耐久性を有する摺動部を備
えた摺動部材を提供することができる。
第(2)項記載の発明によれば、前記特定の処理を行
うことによって前記摺動部材を安定して、且つ確実に得
ることができる。
第(10)項記載の発明によれば、前記摺動部材の生産
性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1〜第4図は本発明の一実施例を示し、第1図はカム
シャフトの正面図、第2図は第1図II−II線断面図、第
3図は第2図III矢示部の拡大図、第4図はカムの金属
組織を示す顕微鏡写真、第5図は各種処理工程における
時間と温度との関係を示すグラフ、第6図は焼戻し温度
と表面硬さとの関係を示すグラフ、第7図は焼戻し温度
の違いによる表面硬さの正規分布を示すグラフである。 1……カムシャフト(摺動部材)、2……カム(摺動
部)、3……表層、4……内層、5……網目状炭化物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F01L 1/04 F01L 1/04 J (72)発明者 大谷 久義 三重県鈴鹿市道伯4丁目2―29 (56)参考文献 特開 昭59−157261(JP,A) 特開 昭59−35659(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F01L 1/04 C21D 9/30 C22C 38/00 C22C 38/22 C23C 8/18

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】0.8重量%≦C2≦.0重量%、 0.4重量%≦Si≦2.0重量%、 0.3重量%≦Mn≦1.5重量%、 6.0重量%≦Cr≦20.0重量%、 0.3重量%≦Mo≦5.0重量%、 0.05重量%≦S≦0.5重量%、 残部Feおよび不可避不純物 の組成を有する合金鋼を構成材料とし、摺動部が、化学
    的表面硬化処理により得られたFe3O4よりなる表層と、
    該表層の内側に在って、焼入れおよび焼戻し処理により
    得られた内層とを有し、表面硬さがHRC55以上であるこ
    とを特徴とする摺動部材。
  2. 【請求項2】摺動部材の摺動部に対応する部位を備えた
    摺動部材用素材を、二次硬化特性を有する合金鋼を用い
    て製造する工程と、前記部位を予熱し、次いで空冷し、
    その後焼入れ温度まで昇温する加熱段階および前記部位
    を、それに冷却ガスを吹付けて冷却する冷却段階よりな
    る衝風焼入れ処理を行う工程と、前記部位に、それが二
    次硬化現象を生起する焼戻し温度にて焼戻し処理を施す
    工程と、前記部位に、前記焼戻し温度よりも低い温度に
    て化学的表面硬化処理を施す工程とを順次行うことを特
    徴とする摺動部材の製造方法。
  3. 【請求項3】前記合金鋼として、 0.8重量%≦C≦2.0重量%、 0.4重量%≦Si≦2.0重量%、 0.3重量%≦Mn≦1.5重量%、 6.0重量%≦Cr≦20.0重量%、 0.3重量%≦Mo≦5.0重量%、 残部Feおよび不可避不純物 の組成を有するものを用いる、第(2)項記載の摺動部
    材の製造方法。
  4. 【請求項4】前記合金鋼として、0.05重量%≦S≦0.5
    重量%含有するものを用いる、第(3)項記載の摺動部
    材の製造方法。
  5. 【請求項5】前記衝風焼入れ処理における冷却段階を途
    中で止め、次いで前記部位に水冷および油冷の少なくと
    も一方を施す、第(2),第(3)または第(4)項記
    載の摺動部材の製造方法。
  6. 【請求項6】焼入れ処理後の前記部位は、網目状炭化物
    を分散させたマルテンサイト組織を有する、第(2),
    第(3),第(4)または第(5)項記載の摺動部材の
    製造方法。
  7. 【請求項7】前記化学的表面硬化処理としてホモ処理を
    適用し、前記焼戻し温度が560〜570℃のとき、前記ホモ
    処理温度を540〜550℃に設定した、第(2),第
    (3),第(4),第(5)または第(6)項記載の摺
    動部材の製造方法。
  8. 【請求項8】前記摺動部材は内燃機関用動弁機構のカム
    シャフトであり、また前記摺動部がカムであって、前記
    衝風焼入れ処理の前記加熱段階および冷却段階にて、カ
    ムシャフト用素材をそれの軸線回りに回転させる、第
    (2),第(3),第(4),第(5),第(6)また
    は第(7)項記載の摺動部材の製造方法。
  9. 【請求項9】前記焼戻し処理後、前記素材に仕上げ研削
    加工を施す、第(8)項記載の摺動部材の製造方法。
  10. 【請求項10】摺動部材の摺動部に対応する部位を備え
    た摺動部材用素材を、二次硬化特性を有する合金鋼を用
    いて製造する第1の工程と、前記部位に衝風焼入れ処理
    を施すと共にその衝風焼入れ処理における冷却段階を途
    中で止め、次いで前記部位に水冷および油冷の少なくと
    も一方を施す第2の工程と、前記部位に、それが二次硬
    化現象を生起する焼戻し温度にて焼戻し処理を施す第3
    の工程と、前記部位に、前記焼戻し温度よりも低い温度
    にて化学的表面硬化処理を施す第4の工程とを順次行う
    ことを特徴とする摺動部材の製造方法。
  11. 【請求項11】前記合金鋼として、 0.8重量%≦C≦2.0重量%、 0.4重量%≦Si≦2.0重量%、 0.3重量%≦Mn≦1.5重量%、 6.0重量%≦Cr≦20.0重量%、 0.3重量%≦Mo≦5.0重量%、 残部Feおよび不可避不純物 の組成を有するものを用いる、第(10)項記載の摺動部
    材の製造方法。
  12. 【請求項12】前記合金鋼として、0.05重量%≦S≦0.
    5重量%含有するものを用いる、第(11)項記載の摺動
    部材の製造方法。
  13. 【請求項13】焼入れ処理後の前記部位は、網目状炭化
    物を分散させたマルテンサイト組織を有する、第(1
    0),第(11)または第(12)項記載の摺動部材の製造
    方法。
  14. 【請求項14】前記化学的表面硬化処理としてホモ処理
    を適用し、前記焼戻し温度が560〜570℃のとき、前記ホ
    モ処理温度を540〜550℃に設定した、第(10),第(1
    1),第(12)まはた第(13)項記載の摺動部材の製造
    方法。
  15. 【請求項15】前記摺動部材は内燃機関用動弁機構のカ
    ムシャフトであり、また前記摺動部材がカムであって、
    前記第2の工程にて、カムシャフト用素材をそれの軸線
    回りに回転させる、第(10),第(11),第(12),第
    (13)または(14)項記載の摺動部材の製造方法。
  16. 【請求項16】前記焼戻し処理後、前記素材に仕上げ研
    削加工を施す、第(15)項記載の摺動部材の製造方法。
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