JP2001316776A - 自動車用ブレーキディスク、スチール合金及びこれらの製造方法 - Google Patents

自動車用ブレーキディスク、スチール合金及びこれらの製造方法

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JP2001316776A JP2001080908A JP2001080908A JP2001316776A JP 2001316776 A JP2001316776 A JP 2001316776A JP 2001080908 A JP2001080908 A JP 2001080908A JP 2001080908 A JP2001080908 A JP 2001080908A JP 2001316776 A JP2001316776 A JP 2001316776A
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brake disc
steel alloy
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Walter Grimm
ヴァルター・グリム
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Buderus Edelstahl GmbH
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Buderus Edelstahl GmbH
Edelstahlwerke Buderus AG
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 鋳鉄性ブレーキディスクの欠点である耐食性
摩耗性を改善し、変形及びブレーキ性能の低下のない自
動車用ブレーキディスクを提供する。 【解決手段】 本発明のブレーキディスクは、0.1〜
0.4%の炭素、1.0%までの珪素、2.0%までの
マンガン、0.02%までの硫黄、11〜16%のクロ
ム、1.0%までのニッケル、0.5〜1.5%のモリ
ブデン、残部が鉄及び生産関連不純物である組成のスチ
ールからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、特に乗用
車及びオートバイ用のブレーキディスク、及びスチール
合金、並びにこれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】乗用車のブレーキディスクは、カップ状
のハブに連結した1部品若しくは2部品のブレーキリン
グ(固体若しくは空冷ブレーキディスク)からなってい
る(図1)。ブレーキディスクはカップによって車軸に
連結され、同時にねじ込み式接続方式で車輪に堅固に連
結されている。油圧でブレーキを動作させるとブレーキ
リングとブレーキライニングとの間の両側で摩擦接触が
起こる。この間発生する摩擦熱はブレーキ圧力及び円周
方向速度とは無関係で、ブレーキリング及びハブを経由
して除去される。運転条件に依存するが、乗用車のブレ
ーキディスクの表面は600〜800℃までの温度に到
達する。湿った条件下では次にブレーキディスクの急速
な冷却が起こる。連続して繰り返されるブレーキ操作に
より、ブレーキディスク特にブレーキリングにおいて、
機械的摩耗及び腐食と共に、温度変化による応力が発生
し、材質に損傷を与え使用期間を制限する。
【0003】現在のところ乗用車のブレーキディスク
は、通常、約2.5〜4.0%の炭素、1.8〜2.5
%の珪素、0.3〜1.0%のマンガン、並びに微量の
他の合金成分と一緒に層状グラファイトを含有する鋳鉄
で作られる。鋳鉄製ブレーキディスクの利点は、比較的
安価な製造コストで、良好なブレーキ性能を有するとと
もに、スチールと比較して約2倍高い熱伝導度を有し、
且つ、高い熱負荷伝達容量を有することである。しかし
ながら、鋳鉄製ブレーキディスクの欠点は、耐腐食性が
充分でなく、摩耗に対する感受性が高く、比較的重く、
並びに腐食の結果、目に見える欠陥が生じることであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、それ
ゆえ耐腐食性に優れた自動車用ブレーキディスクを提供
することにあり、それと共に、乗用車用鋳鉄ディスクと
比較して少なくとも同等なブレーキ性能を確保し、より
高い耐久性を通じ長い耐用年数を達成し、重量削減をも
たらし、スポーク様車輪に望ましい外観を改善すること
である。乗用車用のブレーキディスクに関しては、高い
熱応力を伴う極端なブレーキ操作の場合に、重大な破砕
が発生しないこと、ブレーキディスクの変形及びブレー
キ性能の低下が起きないことを確保することが更に必要
である。
【0005】今日、普通、オートバイに適用され、乗用
車のブレーキに比べ明らかに応力の少ない高級スチール
ブレーキディスクと比較し、本発明の目的は、水性の塩
酸に対するより高い耐腐食性を有し、増大した耐久性及
び改善された耐温度変化性を有する材料を見出すことで
ある(温度変化応力下で耐破砕性を有する)。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、前記目
的は、下記:0.1〜0.4%の炭素、1.0%までの
珪素、2.0%までのマンガン、0.02%までの硫
黄、11〜16%のクロム、1.0%までのニッケル、
0.5〜1.5%のモリブデン、残部が鉄及び生産関連
不純物、の組成を有し、圧延若しくは鍛造により成形さ
れ熱処理されたスチールを使用することにより達成され
る。
【0007】鋳造の後、スチールは圧延若しくは鍛練に
より圧縮され、熱処理される。好ましくは、熱帯鋼及び
冷帯鋼の圧延及び帯鋼のゆるやかな焼鈍によりさらなる
処理が行なわれる。
【0008】ブレーキディスクの製造はその後、打ち抜
き加工若しくは精密切削工程により行われる。ブレーキ
リングとカップの連結は、深絞り、溶接、鋳造、接合、
ねじ留め又はリベット留めにより行なうことができる。
2部品ブレーキディスクにおいて(内部換気)、2個の
別個に製造されたディスクの組み立ては公知の好適な結
合技術により行なうことができる。この際、重量を軽減
するためにカップを軽量材料で製造することも可能であ
る。
【0009】オートバイのブレーキディスク用の耐腐食
性スチールとは異なり、本発明のスチールのタイプは、
モリブデン合金マルテンサイトクロムスチールである
(表1を参照)。
【0010】
【表1】
【0011】本発明の乗用車用のブレーキディスクに適
した性質の特徴は、炭素及びクロム含有量の特別な調
和、並びに本明細書に記載された範囲のモリブデン、好
ましくはマンガン及びニッケルも同時に含有する合金の
結果によるものである。炭素含有量は、硬度、耐久性及
び耐熱性を増す炭化物が十分量生成するが、デルタフェ
ライト析出及び脆性を生じる1次炭化物を防止する量が
選ばれる。クロムの割合は、制御された炭素含有量にも
拘わらず、即ちクロム炭化物相のほかに、所望の耐腐食
性を得るのに充分な量のクロム部分が、鉄マトリックス
中に溶けて残っていることを確実にする。
【0012】モリブデンは、塩酸による腐食に対して向
上された耐性をもたらし、改善された耐熱強度、耐熱耐
久性をもたらす。ニッケル及びマンガンは靭性を向上さ
せる。珪素は、スチールの脱酸素化に使用され、割合は
好ましくはほんの0.5%までである。硫黄は冶金学的
にスチールから除去してスチールの等方性物質の性質を
保証し、良好な冷間成形性、及び精密切削性を確実にす
る硫黄の割合は0.005%に限定することが有利であ
る。
【0013】類似した分析値のスチールが、耐腐食性塑
性鋳型に使用される(表1中のスチール1.2316を
参照)。摩耗条件に依存して、強度は、焼き入れ及び焼
戻しにより900〜1700N/mm2の範囲に調整さ
れる。これに対して、本発明のスチールは、炭素含有量
を低下させ、同時にクロム含有量を適合させることによ
り、強度600〜1000N/mm2の範囲に設計され
る。加えて、これにより可能な最良の冷間成形性と均一
構造が達成される。意図する用途に対して最適なC/C
r割合に適合させることにより、損傷を与える1次炭化
物の形成及びデルタフェライト析出を阻止することが可
能である(図2及び3を参照)。これらの析出は、冷間
成形による処理能を悪化させ、さらに耐腐食性を減少さ
せるであろう。
【0014】本発明のスチールによれば、650℃より
上の焼戻し温度を使用すれば、最も優れた塩酸(HC
l)に対する耐腐食性が達成され、その結果1000N
/mm 2までの強度がもたらされる(図4参照)。
【0015】図5は、ブレーキディスク材料として、ね
ずみ鋳鉄GG15、1200N/mm2に熱処理された
オートバイ用ブレーキディスクスチールX12Cr1
3、及び900N/mm2に焼戻しされた本発明のスチ
ールの、20℃の10%塩酸中の24時間腐食試験の結
果を示す。ここでは、極寒の冬期条件におけるロードソ
ルト溶液の影響からの腐食条件をシュミレートすること
が意図された。48時間後、本発明のスチールの耐腐食
性は、ねずみ鋳鉄に比べ18倍優れ、オートバイ用ブレ
ーキディスクスチール1.4006に比べ9倍優れてい
る。
【0016】表面温度が750℃まで上昇しそれに続く
100℃への水冷却を繰り返す500サイクルの非常ブ
レーキのシュミレーションからなる最も厳しい条件下で
の温度変化試験における材料の比較を図6に示す。3種
のブレーキディスク材料の最大破断深さは類似のレベル
にある。これは本発明のスチールは極度のブレーキ条件
下でさえ重大な破断を形成する傾向がないことを意味
し、この点から観ると、ブレーキディスク材料として実
証されたものと等価と考えることができる。破断形成構
造の比較を図7に示す。
【0017】ねずみ鋳鉄材料GG15と本発明のスチー
ルの熱間強度の比較を図8に示す。本発明のスチールブ
レーキ材料は、熱間強度が極めて高い故に、より大きい
部材強度及び耐久性が提供される。本発明によれば、ね
ずみ鋳鉄材料に比べ、重量減少を基準とし、より高い強
度値を使用することができる。他方、より高い部材強度
は、熱伝導性についてねずみ鋳鉄に比べ劣っている(差
異は2倍)スチ−ル材料の欠点を補う。
【0018】ブレーキ試験において、本発明のスチール
を使用したとき、慣用の鋳鉄ブレーキディスクが示すブ
レーキ性能に比較して同程度若しくは改良された性能が
もたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用車用のブレーキディスクの原理を示す。
【図2】本発明のスチールの顕微鏡組織を示す。
【図3】非バランスC/Cr割合の比較スチール1.2
316の顕微鏡組織を示す。
【図4】焼き戻し温度の関数としての耐腐食性を示す。
【図5】ブレーキディスク材料の腐食試験結果を示す。
【図6】ブレーキディスク材料の温度変化試験結果を示
す。
【図7】750℃〜水の500サイクルの温度変化後の
破断の形成の比較を示し、表面の横断面の顕微鏡組織を
示す。
【図8】ブレーキディスク材料の熱強度の比較を示す。
【符号の説明】 1 ブレーキ油圧 2 ブレーキライニング 3 カップ 4 ブレーキディスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 501111681 Buderusstrasse 25, 35576 Wetzlar, Federa l Republic of Germa ny

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動車用ブレーキディスクであって、
    0.1〜0.4%の炭素、1.0%までの珪素、2.0
    %までのマンガン、0.02%までの硫黄、11〜16
    %のクロム、1.0%までのニッケル、0.5〜1.5
    %のモリブデン、残部が鉄及び生産関連不純物である組
    成のスチールからなる自動車用ブレーキディスク。
  2. 【請求項2】 自動車ブレーキディスク用のスチール合
    金であって、0.2〜0.3%の炭素、1.0%までの
    珪素、1.5%までのマンガン、0.01%までの硫
    黄、12〜15%のクロム、1.0%までのニッケル、
    0.6〜1.2%のモリブデン、残部が鉄及び生産関連
    不純物からなることを特徴とする自動車ブレーキディス
    ク用スチール合金。
  3. 【請求項3】 熱間圧延及び冷間圧延した帯鋼から、打
    ち抜き加工、精密切削加工又は冷間成形により請求項1
    に記載の自動車用ブレーキディスクを製造する方法。
  4. 【請求項4】 焼き鈍し、又は焼き入れ及び焼戻し熱処
    理により、スチールを600〜1000N/mm2の強度
    にすることを特徴とする請求項3に記載の方法。
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