JP2779821B2 - オートバイのスイングアーム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、後輪を懸架するオートバイのスイングア
ームに関する。

〔従来の技術〕

オートバイは、前端を車体に軸着し、クッションユニ
ットを連結して、クッションユニットを伸縮させて揺動
できるスイングアームの後端に、後輪を回転自在に支承
した車軸を取付けて、後輪がクッションできるようにし
ている。そして、スイングアームは、従来、左右のホー
クの前部を連結金具で連結し、パイプ材などを用いて溶
接して作ったり（例えば、特開昭63−154483号公報参
照）、また、軽合金で、左右のホークと連結部分まで一
体に鋳造したものがある（例えば、特開昭61−215189号
公報参照）。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来例のパイプ材などを用いて溶接するものにあ
っては、溶接個所が多く、溶接治具なども多く必要で、
製作に手間がかかってコスト高になるという問題があ
り、そしてパイプ材の場合は、最も強度を有する部分に
合わせて選定されるので、必要以上の強度を有する部分
ができて、重量の増大を招くという問題があった。ま
た、従来例の一体鋳造のものにあっては、鋳造型が大き
く、複雑になり、中子などを使用することになって生産
性が悪く、コスト高になるという問題があった。

この発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、各
部の強度を各々適度に選定でき、且つ軽量化ができ、安
価にして生産性の高いオートバイのスイングアームを得
ることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明のオートバイのスイングアームは、上記の目的
を達成するために、左右割りの成形型で軽合金で鋳造ま
たは鍛造した左右のホークを突合せて結合するようにし
たオートバイのスイングアームであって、前記左右のホ
ークには、互いに付き合わせ可能な略左右対称の軸筒部
と連結部とをそれぞれ設けると共に、 左右のホークの各側面には、車幅方向内方に向けて凹
む有底の凹陥部を少なくとも軸筒部から連結部に亘って
それぞれ形成し、かつ各凹陥部の底壁部のうち前記連結
亘って形成された底壁部の上方にボスをそれぞれ一体的
に突設し、左右のホークの軸筒部、連結部、及び前記ボ
スをそれぞれ互いに突合せて結合すると共に、リヤクッ
ションユニットの下端を連結したリンク機構の一端を前
記ボスに連結したものである。

〔作用〕

左右のホークは、左右割りに分割できる成形型を用い
て、軽合金により、ダイカスト鋳造、鍛造などによって
精密に成形されると共に、その形状も、各部が各々必要
強度を満足しながら軽量に成形される。左右のホーク
は、軸筒部同士、連結同士及びボス同士を突合せて、溶
着などによって結合するので、結合部の精度が保たれる
と共に、剛性も高くなる。

〔実施例〕

本発明の実施例を図面を参照して説明する。

第１図乃至第４図は本発明の実施例を示すものであ
る。左右のホーク1,1は、軽合金で鋳造又は鍛造によっ
て成形するもので、前部に、内側に突出させて軸筒部2,
2と連結部3,3が設けてあり、後端には、車軸受け5,5が
切欠き状に設けてある。そして、左右のホーク1,1に
は、外側面に内側に凹めた有底の凹陥部6,6が設けてあ
る。又、左右のホーク1,1は、各断面形状を必要強度に
合せて形成し、凹陥部6,6によって肉盗みを行って、強
度を保ちながら軽量化を図っている。この凹陥部6,6は
軸筒部2,2から連結部3,3を経て車軸受け5,5の近傍に至
る範囲に亘って形成されており、連結部3,3における底
部6a,6aの上方にボス4,4が一体に突設されている。又、
凹陥部6,6には、適宜リブ7,7を設けて、強度アップを図
ることができる。左右のホーク1,1は、左右割りの成形
型で成形できる。そして、左右のホーク1,1は、軸筒部
2,2と連結部3,3を突合せて、溶着などによって結合して
スイングアーム８とする。

第５図乃至第８図は、本発明の他の実施例を示すもの
である。この場合は、左右のホーク1,1に設ける有底の
凹陥部6,6を前部と後部に分けてあり、前部の凹陥部6,6
は外側に開いており、後部の凹陥部6,6は内側に開いて
ある。その他は、第１図乃至第４図に示したものと同じ
である。

第９図及び第10図は、本発明の更に他の実施例を示す
ものである。この場合は、左右のホーク1,1に設ける凹
陥部6,6を、前部、中部、後部の三つに分けてあり、前
部と後部の凹陥部６は内側に開いてある。そして、中部
の連結部3,3の部分の凹陥部6,6を外側に開いてある。そ
の他は第１図乃至第４図に示したものと同一である。

第11図は、スイングアーム８の使用状況を示すもので
ある。スイングアーム８は、前端の軸筒部2,2に支軸９
を通して車体10に軸着し、クッションユニット11のリン
ク12をボス4,4に軸着する。そして、左右のホーク１の
後端の車軸受け５に、後輪13を回転自在に支承した車軸
14の両端を取付ける。スイングアーム８は、クッション
ユニット11を伸縮させて、支軸９を中心にして揺動し、
後輪13を上下にクッションさせる。

〔発明の効果〕

この発明は、左右のホークの前部に内側に突出させて
軸筒部と連結部を設けると共に、左右のホークの外側面
又は内側面に凹陥部を設けて左右割りの成形型で軽合金
で鋳造又は鍛造したホークを形成し、左右のホークの軸
筒部と連結部の先端を突合せて結合するようにしたの
で、軽量で生産性がよく安価なスイングアームにするこ
とができ、結合部も精度高く、剛性のあるものにでき
る。特に、ボスは凹陥部の底面上方に形成されているた
め、クッションユニットからの大きな反力にも十分に耐
えるものとなっている。又、凹陥部を外側に開いて設け
ることによって、スリムで軽量感も与えることができ
る。そして、成形型も小型で左右割りの安価なものにで
き、治具代も安価にできる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は本発明の実施例を示し、 第１図は平面図、 第２図は側面図、 第３図は第２図Ａ−Ａ矢視断面図、 第４図は第２図Ｂ−Ｂ矢視断面図、 第５図乃至第８図は本発明の他の実施例を示し、 第５図は平面図、 第６図は側面図、 第７図は第６図Ｃ−Ｃ矢視断面図、 第８図は第６図Ｄ−Ｄ矢視断面図、 第９図及び第10図は本発明の更に他の実施例を示し、 第９図は平面図、 第10図は側面図、 第11図は使用状況を示す側面図である。 １……ホーク、２……軸筒部、３……連結部、４……ボ
ス ６……凹陥部、6a……底部、８……スイングアーム。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】左右割りの成形型で軽合金で鋳造または鍛
   造した左右のホーク（１），（１）を突合せて結合する
   ようにしたオートバイのスイングアームであって、 前記左右のホーク（１），（１）には、互いに付き合わ
   せ可能な略左右対称の軸筒部2,2と連結部3,3とをそれぞ
   れ設けると共に、 左右のホーク（１），（１）の各側面には、車幅方向内
   方に向けて凹む有底の凹陥部（６），（６）を少なくと
   も軸筒部（２），（２）から連結部（３），（３）に亘
   ってそれぞれ形成し、 かつ各凹陥部（６），（６）の底壁部（6a），（6a）の
   うち前記連結部（３），（３）に亘って形成された底壁
   部（6a），（6a）の上方にボス（４），（４）をそれぞ
   れ一体的に突設し、 左右のホーク（１），（１）の軸筒部（２）と（２）、
   連結部（３）と（３）、及び前記ボス（４）と（４）を
   それぞれ互いに突合せて結合すると共に、 リヤクッションユニット（11）の下端を連結したリンク
   機構（12）の一端を前記ボス（４）に連結したことを特
   徴とするオートバイのスイングアーム。