JP2779225B2 - スチレン系重合体フィルムの製造方法 - Google Patents

スチレン系重合体フィルムの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はスチレン系重合体フィルムの製造方法に関
し、詳しくは機械的強度のすぐれたスチレン系重合体の
二軸延伸フィルムを、安定かつ連続的に製造する方法に
関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
近年、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重
合体が開発され(特開昭62−104818号公報)、また特開
平1−110122号公報には、シンジオタクチックポリスチ
レン系フィルムの製造方法が開示されている。しかし、
この方法は具体的にはテンターによるバッチ式の同時二
軸延伸法によるものであり、延伸フィルムの製造効率が
不充分であるばかりでなく、安定した品質の製品を連続
して製造することが困難であった。
そこで、本発明者らは、上記従来法の欠点を克服し、
耐熱性や機械的特性にすぐれ、安定した品質のフィルム
を高い生産性で得ることのできる方法を開発すべく鋭意
研究を重ねた。
その結果、特定の密度及び結晶化度の延伸用予備成形
体(原反シート)を特定した配向状態(複屈折)の範囲
に縦方向に延伸した後、横方向に延伸する逐次二軸延伸
によって、上記目的を達成できることを見出した。本発
明はかかる知見に基いて完成したものである。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち本発明は、シンジオタクチック構造を有する
スチレン系重合体又はその組成物からなる密度1.07g/cm
3以下,結晶化度5〜30%の延伸用予備成形体(シー
ト,フィルム等)を加熱し、フィルムの複屈折の絶対値
が3×10-3〜70×10-3の範囲になるように縦方向に延伸
し、次いで横方向に逐次的に延伸し、しかる後に得られ
た二軸延伸フィルムを熱処理することを特徴とするスチ
レン系重合体フィルムの製造方法を提供するものであ
る。
本発明において用いるシンジオタクチック構造を有す
るスチレン系重合体とは、立体化学構造が主としてシン
ジオタクチック構造、即ち炭素−炭素結合から形成され
る主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基
が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものであ
り、そのタクティシティーは同位体炭素による核磁気共
鳴法(13C−NMR法)により定量される。13C−NMR法によ
り測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構
成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド,3個
の場合はトリアッド,5個の場合はペンタッドによって示
すことができるが、本発明に言うシンジオタクチック構
造を有するスチレン系重合体とは、通常はラセミダイア
ッドで75%以上、好ましくは85%以上、若しくはラセミ
ペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオ
タクティシティーを有するポリスチレン,ポリ(アルキ
ルスチレン),ポリ(ハロゲン化スチレン),ポリ(ア
ルコキシスチレン),ポリ(ビニル安息香酸エステ
ル),これらの水素化重合体およびこれらの混合物、あ
るいはこれらの構造単位を含む共重合体を指称する。な
お、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ
(メチルスチレン),ポリ(エチルスチレン),ポリ
(プロピルスチレン),ポリ(ブチルスチレン),ポリ
(フェニルスチレン),ポリ(ビニルナフタレン),ポ
リ(ビニルスチレン),ポリ(アセナフチレン)などが
あり、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(ク
ロロスチレン),ポリ(ブロモスチレン),ポリ(フル
オロスチレン)などがある。また、ポリ(アルコキシス
チレン)としては、ポリ(メトキシスチレン),ポリ
(エトキシスチレン)などがある。これらのうち特に好
ましいスチレン系重合体としては、ポリスチレン,ポリ
(p−メチルスチレン),ポリ(m−メチルスチレ
ン),ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン),ポリ
(p−クロロスチレン),ポリ(m−クロロスチレ
ン),ポリ(p−フルオロスチレン)、またスチレンと
p−メチルスチレンとの共重合体をあげることができる
(特開昭62−187708号公報)。
更に、スチレン系共重合体におけるコモノマーとして
は、上述の如きスチレン系重合体のモノマーのほか、エ
チレン,プロピレン,ブテン,ヘキセン,オクテン等の
オレフィンモノマー、ブタジエン,イソプレン等のジエ
ンモノマー、環状ジエンモノマーやメタクリル酸メチ
ル,無水マレイン酸,アクリロニトリル等の極性ビニル
モノマー等をあげることができる。
またこのスチレン系重合体は、分子量について特に制
限はないが、重量平均分子量が10,000以上3,000,000以
下のものが好ましく、とりわけ50,000以上1,500,000以
下のものが最適である。ここで重量平均分子量が10,000
未満であると、延伸が充分にできない。さらに、分子量
分布についてもその広狭は制約がなく、様々なものを充
当することが可能であるが、重量平均分子量(Mw)/数
平均分子量(Mn)が1.5以上8以下が好ましい。なお、
この主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン
系重合体は、従来のアタクチック構造のスチレン系重合
体に比べて耐熱性が格段に優れている。
このようなシンジオタクチック構造を有するスチレン
系樹脂は、例えば不活性炭化水素溶媒中または溶媒の不
存在下に、チタン化合物及び水とトリアルキルアルミニ
ウムの縮合生成物を触媒として、スチレン系単量体(上
記スチレン系重合体に対応する単量体)を重合すること
により製造することができる(特開昭62−187708号公
報)。また、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)につ
いては特開平1−46912号公報,これらの水素化重合体
は特願昭62−335893号明細書に記載された手法により得
ることができる。
本発明に用いる素材は、基本的には上記スチレン系重
合体からなるが、このスチレン系重合体に、一般に使用
されている他の樹脂,ゴム,無機微粒子,酸化防止剤,
核剤,可塑剤,相溶化剤,着色剤,帯電防止剤などを添
加した組成物からなるものでもよい。
ここで好適に使用できる無機微粒子としては、I A族,
II A族,IV A族,VI A族,VII A族,VIII族,I B族,II B族,I
II B族,IV B族元素の酸化物,水酸化物,硫化物,窒素
化物,ハロゲン化物,炭酸塩,酢酸塩,燐酸塩,亜燐酸
塩,有機カルボン酸塩,珪酸塩,チタン酸塩,硼酸塩及
びそれらの含水化合物、それらを中心とする複合化合
物,天然鉱物粒子などがある。具体的には、弗化リチウ
ム,硼砂(硼酸ナトリウム含水塩)等のI A族元素化合
物、炭酸マグネシウム,燐酸マグネシウム,酸化マグネ
シウム(マグネシア),塩化マグネシウム,酢酸マグネ
シウム,弗化マグネシウム,チタン酸マグネシウム,珪
酸マグネシウム,珪酸マグネシウム含水塩(タルク),
炭酸カルシウム,燐酸カルシウム,亜燐酸カルシウム,
硫酸カルシウム(石膏),酢酸カルシウム,テレフタル
酸カルシウム,水酸化カルシウム,珪酸カルシウム,弗
化カルシウム,チタン酸カルシウム,チタン酸ストロン
チウム,炭酸バリウム,燐酸バリウム,硫酸バリウム,
亜燐酸バリウム等のII A族元素化合物、二酸化チタン
(チタニア),一酸化チタン,窒化チタン,二酸化ジル
コニウム(ジルコニア),一酸化ジルコニウム等のIV A
族元素化合物、二酸化モリブデン,三酸化モリブデン,
硫化モリブデン等のVI A族元素化合物、塩化マンガン,
酢酸マンガン等のVII A族元素化合物、塩化コバルト,
酢酸コバルト等のVIII族元素化合物、沃化第一銅等のI
B族元素化合物、酸化亜鉛,酢酸亜鉛等のII B族元素化
合物、酸化アルミニウム(アルミナ),水酸化アルミニ
ウム,弗化アルミニウム,アルミノシリケート(珪酸ア
ルミナ,カオリン,カオリナイト)等のIII B族元素化
合物、酸化珪素(シリカ,シリカゲル),石墨,カーボ
ン,グラファイト,ガラス等のIV B族元素化合物、カー
ナル石,カイナイト,雲母(マイカ,キンウンモ),バ
イロース鉱等の天然鉱物の粒子が挙げられる。この無機
微粒子の平均粒径は、特に制限はないが、好ましくは0.
01〜100μm、より好ましくは0.01〜3μmで、組成物
中の含量は0.001〜3重量%、好ましくは0.001〜1重量
%である。
また、前述の無機微粒子はフィルム面の滑り性を改善
する上で、効果的な成分であるが、本発明の目的を阻害
しない限り、他の種類あるいは他の粒径の微粒子,無機
充填材等を含むものであってもよい。
上記無機微粒子は、最終的な成形品(フィルム)に含
有されるが、含有させる方法に限定はない。例えば、ス
チレン系単量体の重合中の任意の過程で添加あるいは析
出させる方法、溶融押出する任意の過程で添加する方法
が挙げられる。
一方、上述したシンジオタクチック構造を有するスチ
レン系重合体と共に用いることのできる他の樹脂として
は、各種のものがあるが、例えば、アタクチック構造の
スチレン系重合体,アイソタクチック構造のスチレン系
重合体,スチレン−無水マレイン酸共重合体,ポリフェ
ニレンエーテル等は、前述のシンジオタクチック構造の
スチレン系重合体と相溶しやすく、延伸用予備成形体
(原反シート,フィルム等)を作成するときの結晶化の
制御に有効で、その後の延伸性が向上し、延伸条件の制
御が容易で、且つ力学物性に優れたフィルムを得ること
ができる。このうち、アタクチック構造および/または
アイソタクチック構造のスチレン系重合体を含有させる
場合、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体と同
様のモノマーからなるものが好ましい。また、これら相
溶性樹脂成分の含有割合は70〜1重量%、特に好ましく
は50〜2重量%とすればよい。ここで相溶性樹脂成分の
含有割合が70重量%を超えると、シンジオタクチック構
造のスチレン系重合体の長所である耐熱性等が損なわれ
るため好ましくない。また、非相溶性樹脂としては、例
えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポ
リペンテン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタ
レート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナ
フタレート等のポリエステル、ナイロン−6やナイロン
6,6等のポリアミド、ポリフェニレンスルフィド等のポ
リチオエーテル、ポリカーボネート、ポリアリレート、
ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエー
テルスルホン、ポリイミド、テフロン等のハロゲン化ビ
ニル系重合体、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系
重合体、ポリビニルアルコール等、上記相溶性の樹脂以
外はすべて相当し、さらに、上記相溶性の樹脂を含む架
橋樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、本発明のシンジ
オタクチック構造のスチレン系重合体と非相溶であるた
め、少量含有する場合、シンジオタクチック構造のスチ
レン系重合体中に島のように分散させることができ、延
伸後に程良い光沢を与えたり、表面のすべり性を改良す
るのに有効である。これら非相溶性樹脂成分の含有割合
は、光沢を目的とする場合は50〜2重量%、表面生の制
御を目的とする場合、0.001〜5重量%が好ましい。ま
た、製品として使用する温度が高い場合は、耐熱生のあ
る樹脂を用いることが好ましい。
本発明では、上記シンジオタクチック構造のスチレン
系重合体あるいはこれに他の成分を配合した組成物を素
材とした延伸用予備成形体(原反シート,フィルム等)
を出発原料として用いる。この延伸用予備成形体の性状
は密度1.07g/cm3以下であり、また結晶化度が5〜30%
のもの、特に結晶化度が10〜25%のものが連続生産性が
よいので好ましい。ここで延伸用予備成形体の密度が、
1.07g/cm3を超えるものでは、縦方向に延伸する工程
で、安定した性状の縦延伸シート又はフィルムを得るこ
とができない。なお、上記の密度は、23℃において密度
勾配管により測定したものである。また、結晶化度5%
未満のシートは、通常の冷却設備では得られにくいた
め、連続生産が困難であり、30%を超えるものは延伸フ
ィルムが不均一になりやすく、延伸も困難である。な
お、上記の結晶化度は示差走査熱量計(DSC)により測
定したものである。
上記、延伸用予備成形体を製造するには、様々な手法
によればよいが、例えば上記シンジオタクチック構造の
スチレン系重合体あるいはその組成物を、通常の押出成
形機等を用いて、該スチレン系重合体の融点〜分解温度
より50℃高い温度(分解温度+50℃)の範囲で加熱溶融
してシート,フィルムなどとし、次いでこれを冷却固化
すればよい。
本発明の方法では、上記の延伸用予備成形体をまず縦
延伸する。この際、延伸用予備成形体を加熱し延伸す
る。この延伸温度としては、特に制限はないが、好まし
くはガラス転移温度以上、冷結晶化温度(Tcc)以下の
範囲(更に好ましくは、ガラス転移温度以上、冷結晶化
温度より10℃低い温度以下)の範囲で設定する。ガラス
転移温度未満では、軟化が不充分であるため延伸が困難
となり、冷結晶化温度を超えると、結晶化の進行により
均一な延伸が困難となる。
またこの縦延伸は、常法によればよい。なかでもロー
ル間一軸延伸は、縦延伸方法の中で一般的かつ最も生産
性の高い方法であり、これによれば、最低、二対のニッ
プロール間及びガイドロールで固定され走行するフィル
ムを、ニップロールの前工程あるいはロール自体で加熱
し、二対のニップロールの周速差により、縦方向に延伸
することができる。延伸倍率は、特に制限はなく、通常
1.2〜5倍で、好ましくは2〜4.5倍の範囲で選択すれば
よい。
本発明の方法では、上記縦延伸を行うことにより、得
られる縦延伸フィルムの複屈折の絶対値|Δn|が3×10
-3〜70×10-3の範囲になるようにする。ここで|Δn|が
3×10-3未満では、縦方向の延伸効果が充分でなく、ま
た70×10-3を超えると、縦方向に延伸過剰となり、次段
階の横延伸が困難且つ不均一になり易い。
なお、複屈折の絶対値|Δn|は、縦方向の屈折率nMD
と横方向の屈折率nTDとの差であり、偏光顕微鏡にセッ
トされたベレクのコンペンセータや、偏光子を組み合わ
せたレーザーによる強度測定、あるいは直接、アッベの
屈折計によりnMDおよびnTDを測定することにより得られ
る。
本発明の方法では、次に、このようにして得た縦延伸
フィルムを、横方向に延伸する。延伸は常法をはじめ様
々な手法によればよく、特に制限はない。中でもテンタ
ー横延伸は、一般的に走行中のフィルムの両端を連続的
に走行するクリップ等で固持し、その固持したままの状
態で適当な温度雰囲気中にフィルムを搬入し、両端のク
リップ間の距離をクリップが走行するレールの起動を変
えることにより変化させ、横方向に延伸するものであ
る。この際の延伸温度は、適宜選定すればよいが、通常
はガラス転移温度より5℃高い温度以上、融点より30℃
低い温度以下、好ましくはガラス転移温度より10℃高い
温度以上、融点より40℃低い温度以下にする。ここで、
延伸温度がガラス転移温度+5℃未満では、軟化が不充
分のため延伸が困難な場合があり、また融点−30℃を超
えると、結晶化の進行により、延伸が不均一になりやす
い。
本発明の方法における横延伸は、延伸倍率については
特に制限はなく、状況に応じて適宜定めればよいが、一
般的には1.5〜5倍、好ましくは2.0〜4.5倍の範囲とす
る。ここで延伸倍率が、1.5倍未満では充分な延伸が行
えず、得られる延伸フィルムの厚み等が不均一となりや
すい。一方、5倍を超えると、延伸過剰となり、延伸破
壊を招きやすくなる。
上記延伸終了後、冷却されたフィルムは、クリップよ
り開放され次工程に進むが、一般的には、延伸終了後、
クリップに固持されたままで次の工程により、熱処理が
施される。
上述のように、本発明では得られた二軸延伸フィルム
に熱処理を施すが、この熱処理は、フィルムを緊張状態
に保持して行うことが好ましい。フィルムが緊張状態に
ないと、フィルムに収縮が生じて、フィルムが不均一に
なり易い。また、この際の熱処理温度は、延伸終了した
フィルムの融点以下、好ましくは融点−100℃以上、融
点−5℃以下の範囲で選定する。その他、最適な温度条
件は、オーブン内を通過するフィルムのスピード、つま
り処理時間により設定すべきである。また処理時間は、
各種条件により定めればよいが、通常は設備上、また省
力化の為、3分以下に設定するのが好ましい。熱処理時
間が長すぎると、成形中にフィルムの破断を招き易い。
なお、この際必要に応じて、巻取後における熱処理(例
えばエージング)を、連続ラインとは離れたところで施
してもよい。
本発明の方法では、このような各操作を連続的に行う
ことによって、目的とするスチレン系重合体フィルムを
製造することができるが、そのフィルムの密度は1.03g
〜1.08g/cm3の範囲のものが好ましい。
なお本発明においては、必要に応じて、延伸終了後、
さらに縦横,多段を問わず再延伸をすることができる。
また延伸終了後あるいは熱処理後に、コーティングをし
たり、ラミネートや蒸着処理を施すこともできる。さら
に表面処理のために、プラズマ処理やコロナ処理,火炎
処理等をすることも可能である。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳しく
説明する。
参考例 (1)トリメチルアルミニウムと水との接触生成物の調
製 アルゴン置換した内容積500mlのガラス製容器に、硫
酸銅5水塩(CuSO4・5H2O)17.8g(71ミリモル),トル
エン200ml及びトリメチルアルミニウム24ml(250ミリモ
ル)を入れ、40℃で8時間反応させた。その後、固体部
分を除去して得られた溶液から、更に、トルエンを室温
下で減圧留去して接触生成物6.7gを得た。このものの凝
固点降下法によって測定した分子量は610であった。
(2)スチレン系重合体の製造 内容積2の反応容器に、上記(1)で得られた接触
生成物をアルミニウム原子として5ミリモル,トリイソ
ブチルアルミニウムを5ミリモル,ペンタメチルシクロ
ペンタジエニルチタントリメトキシド0.025ミリモル及
び精製スチレン1を加え、90℃で5時間重合反応を行
った。その後、生成物を水酸化ナトリウムのメタノール
溶液で触媒成分を分解後、メタノールで繰返し洗浄し、
乾燥して重合体(ポリスチレン)308gを得た。
次いで、この重合体を、1,2,4−トリクロロベンゼン
を溶媒として、135℃でゲルパーミエーションクロマト
グラフィーにて測定した。その結果、この重合体の重量
平均分子量は389,000、重量平均分子量/数平均分子量
は2.64であった。また融点及び13C−NMR測定により、得
られた重合体は、ラセミペンタッドでのシンジオタクテ
ィシティーは92%であり、ガラス転移温度(Tg)は97
℃,融点(Tm)は272℃,分解温度(Td)は320℃である
ことがわかった。
実施例1 上記参考例で得られたスチレン系重合体を充分に減圧
乾燥した後、300℃で溶融し、キャピラリー付押出機で
押出し、ストランドをカットしてペレットとした。この
ペレットを120℃の熱風乾燥器で結晶化させた。
次に、得られたペレットを単軸押出機の先端にT−ダ
イを取りつけた装置で320℃で押出し、70℃の冷却ロー
ルで冷却し、固化させて結晶化度14%の原反シートを作
成した。この原反シートの密度を23℃において密度勾配
管により測定したところ、1.05g/cm3であった。なおシ
ートの冷結晶化温度(Tcc)は151℃であった。
この原反シートをロールによって加熱した後、縦方向
にニップロール間で周速差により、複屈折の絶対値(|
Δn|)が35×10-3となるように3倍に延伸した。なおこ
の時の延伸速度は3,000%/分、延伸温度は110℃であっ
た。なお、この一軸延伸フィルムの複屈折率(Δn)
は、偏光顕微鏡にセットされたベレクのコンペンセータ
により測定したものである。
次いで、この一軸延伸フィルムを連続テンターに送り
込み、120℃にて3,000%/分で3倍に横方向に延伸した
後、続いてテンターに固定したまま260℃で10秒間熱処
理した。
この際、上記連続製造ラインにおいて、4時間以上連
続成形が可能であった。
また得られたフィルムの密度は1.06g/cm3で、縦方向
および横方向のF−5値(5%伸長時の応力)をJIS C
−2318に従って測定したところ、それぞれ、9kg/mm2,9.
5kg/mm2であり良好な強度であった。
実施例2 複屈折の絶対値(|Δn|)が50×10-3となるように縦
方向の延伸倍率を3.5倍としたこと以外は、実施例1と
同様にした。結果を表に示す。
実施例3 複屈折の絶対値(|Δn|)が22×10-3となるように縦
方向の延伸倍率を2.5倍としたこと以外は、実施例1と
同様にした。結果を表に示す。
実施例4 原反作成時の冷却ロール温度を60℃として密度1.04g/
cm3の原反シートを作り、これを実施例1と同様にし
て、延伸フィルムを製造した。結果を表に示す。
実施例5 複屈折の絶対値(|Δn|)が48×10-3となるように縦
方向の延伸倍率を3.5倍としたこと以外は、実施例4と
同様にした。結果を表に示す。
実施例6 複屈折の絶対値(|Δn|)が21×10-3となるように縦
方向の延伸倍率を2.5倍としたこと以外は、実施例4と
同様にした。結果を表に示す。
実施例7 横方向の延伸温度を180℃にしたこと以外は、実施例
1と同様にした。結果を表に示す。
比較例1 原反作成時に徐冷して、密度1.08g/cm3の原反シート
を得た。このシートを実施例1と同様に縦方向に延伸を
試みたが破断した。
比較例2 縦方向に延伸しなかったこと以外は、実施例1と同様
にした。得られた延伸フィルムの縦方向の機械的強度は
ほとんど改良されず、有用な二軸延伸フィルムが得られ
なかった。
比較例3 複屈折の絶対値(|Δn|)が90×10-3となるように縦
方向の延伸倍率を5.5倍としたこと以外は、実施例1と
同様にした。この際、横延伸時に不均一延伸が起こり、
連続的に延伸できなかった。
〔発明の効果〕 以上の如く、本発明の方法によれば、耐熱性,機械的
特性のすぐれたスチレン系重合体の二軸延伸フィルム
を、連続的に安定成形することができる。
また、本発明の方法によって製造されたフィルムは、
磁気テープの基材フィルムを始め、写真フィルム,FPC基
材,コンデンサ等様々な産業用フィルム,包装用フィル
ムなどに有効に利用される。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 55/02 - 55/16 C08J 5/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シンジオタクチック構造を有するスチレン
    系重合体又はその組成物からなる密度1.07g/cm3以下,
    結晶化度5〜30%の延伸用予備成形体を加熱し、フィル
    ムの複屈折の絶対値が3×10-3〜70×10-3の範囲になる
    ように縦方向に延伸し、次いで横方向に逐次的に延伸
    し、しかる後に得られた二軸延伸フィルムを熱処理する
    ことを特徴とするスチレン系重合体フィルムの製造方
    法。
JP23689689A 1989-09-14 1989-09-14 スチレン系重合体フィルムの製造方法 Expired - Fee Related JP2779225B2 (ja)

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