JP2778059B2 - Ad変換回路 - Google Patents

Ad変換回路

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JP2778059B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、アナログ信号をデジタル信号に変換する
AD変換器にかかわり、特にアナログ信号を上位及び下位
の2段階でデジタル信号に変換する直並列方式のAD変換
回路に関するものである。
〔発明の概要〕
本発明のAD変換回路は、アナログ信号をまず粗い量子
化によって数値化し、上位の変換コードを得ると共に、
次に、この上位の変換コードの量子化の誤差を数値化す
ることによって下位の変換コードを得るような直並列型
のAD変換器において、下位の数値化変換レベルの幅を拡
張することによって上位変換コードの補正が行われるよ
うにすると共に、AD変換回路のIC化に際して、特に基準
抵抗ラインの回路構成が容易になるようにしたものであ
る。
〔従来の技術〕
アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器に
は、各種の変換方式が提案されているが、一般的には、
アナログ信号の振幅を変換ビット数と等しくなるように
量子化し、量子化された信号を複数個のコンパレータに
入力してデジタルコードに変換するフラッシュタイプ
(並列型)のAD変換回路が多用されている。
このような並列型のAD変換器は原理的には高速動作が
可能であるが、変換ビット数をnとすると、少なくとも
2n−1個のコンパレータが必要になり、例えば8ビット
の変換コードを得るために255個の比較器が必要にな
る。そのため、高分解能のデジタルコードを得るため
に、数万個の能動素子をIC化によって形成することが要
請される。
そこで、アナログ信号をnビットのデジタル信号に変
換する際に、まず、アナログ信号を粗い量子化によって
数値化し、MSBを含む上位のaビットの変換コードを得
ると共に、この上位の変換コードの誤差、すなわち、量
子化ノイズを少なくするために、さらに上位の量子化範
囲を細分化して数値化し、LSBを含む下位b(n−a)
ビットの変換コードを得るようにしたAD変換回路が提案
されている。
第7図はかかる新直並列型のAD変換回路(以下、単に
直並例型のAD変換回路という)の概要を示すブロック図
であって、アナログ信号を4ビットのデジタルコードに
変換する回路構成を示している。
この図で、R1〜R16は基準電位VRT−VRB(0〜2V)の
端子に直列に接続されている基準抵抗、CU1〜CU3は一方
の入力端子に変換すべきアナログ信号Vinが供給され、
他方の入力端子に前記基準抵抗R1〜R16で分圧された粗
い量子化レベルの基準電圧(V1,V2,V3)が入力されてい
る上位コンパレータ、CD1〜CD3は同じくアナログ信号V
inが一方の入力端子に供給され、他方の入力端子には前
記基準抵抗R1〜R16で細かく分圧された基準電圧がスイ
ッチS1〜S12を介して供給されている下位コンパレータ
である。
又、一点鎖線で囲ったE1の部分は上位コンパレータC
U1〜CU3から出力される2値信号をエンコードして、例
えば、2ビットのバイナリコード(又は2の補数コー
ド)に変換する第1のエンコーダ、E2は同じく下位コン
パレータCD1〜CD2から出力される2値信号を2ビットの
バイナリコードに変換する第2のエンコーダである。
第1のエンコーダE1には相補出力アンプCA1〜CA3及び
アンドゲートA1〜A4及びROM回路が設けられており、ア
ンドゲートA1から“1"レベルの信号が出力されたときは
前記スイッチS1〜S3をオンに制御し、アンドゲートA2
ら“1"レベルの信号が出力されるとスイッチS4〜S6がオ
ンとなり、以下、同様にアンドゲートA3,及びA4の出力
によってスイッチS7〜S9及びS10〜S12がオンとなるよう
にコントロールされる。
このような直並列型のAD変換回路は、例えば第8図に
示すように、アナログ信号VinはサンプリングパルスPS
の立上がり点でサンプリングされ、そのサンプリング電
圧VSが供給されると、第1のエンコーダE1がクロック信
号CLKの立下がり時点TH(τ遅れた点)で動作して、
上位コンパレータCU1〜CU3の2値信号出力を上位2ビッ
トのコード信号D1,D2に変換して出力し、同じサンプリ
ング電圧VSの値をクロック信号CLKの立上がり時点T
L(τ遅れた点)で動作する第2のエンコーダE2によ
って下位のコード信号D3,D4に変換するように駆動され
る。
すなわち、まず、基準電圧VRT〜VRBを分圧した基準電
圧V1,V2,V3とサンプリング電圧VSが、上位コンパレータ
CU1〜CU3によって比較され、例えばV3<VS<V2であれ
ば、上位コンパレータCU3の出力が高電位(H)とな
り、CU1,CU2は低電位(L)レベルになる。
すると、アンドゲートA3の出力のみが“1"となり、他
のアンドゲートA1,A2,A4は“0"値を示す。
その結果、第1のエンコーダE1から上位2ビットの変
換コードとして〔01〕が出力される。
次に、この上位2ビットの変換コードをラッチした状
態でアンドゲートA3からコントロール信号が出力され、
スイッチS7〜S9をオンにする。
すると、V3<VS<V2のレベルにあるサンプリングされ
たアナログ信号が、さらに、抵抗R9〜R12によって分圧
された基準信号V23-1,V23-2,V23-3と下位コンパレータC
D1〜CD3によって比較され、例えば、V23-1>VS>V23-2
であるときは第2のエンコーダE2から下位2ビットの変
換コード〔10〕が出力される。
その結果、第1及び第2のエンコーダE1,E2からアナ
ログ信号Vinの4ビット変換コード〔0110〕が出力され
ることになる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
この直並列型AD変換回路は、変換コードを上位,及び
下位の2ビットに分けて出力するため、4ビットのAD変
換を行う際に必要とされるコンパレータの数を6個に低
減することができ、例えば8ビットのAD変換を行う際
は、並列型のAD変換器では255個のコンパレータが必要
であるが、この方式の場合は上位及び下位をそれぞれ4
ビットにすることにより(24−1)×2=30個ですむと
いう利点がある。
しかしながら、変換コードが2段階で行われるため、
特に、サンプリング周波数を高くしたときに次に説明す
るような問題点が発生する。
アナログ信号を早い周期でサンプリングしたときは、
一般的に、第9図(a),(b)に示すようにサンプリ
ング回路の応答性によってサンプリング時点tOからただ
ちに一定のサンプリング電圧VSが得られることはなく、
初期の段階ではオーバーシュートが発生したり、セトリ
ングタイムが長くなる場合が生じる。又、AD変換回路を
駆動するクロック信号の影響(キックバック)もサンプ
リング電圧VSの変動を引き起す。
すると、上位変換コードを出力する時点THと、下位変
換コードを出力する時点TLのサンプリング電圧が異なる
ことになる。
この場合、前述した4ビットのAD変換回路で説明した
ように、アナログ信号VSが上位2ビットの量子化レベル
の中間にある場合はともかくも、この量子化レベルの近
傍、例えば、基準電圧V1,V2,V3のレベルにきわめて近い
場合は問題がある。
例えば、アナログ信号の変換コードの真値が〔0111〕
の場合は、上位の変換時点THで1LSBの誤差が生じると、
上位2ビットが〔10〕になり、この〔10〕の変換コード
によって下位のコンパレータが選択されることにより
〔1000〕に変化することになる。
したがって、前記したようにサンプリング回路のセト
リング特性が悪い場合は、上記コードの場合では比較的
早いタイミングで変換される上位2ビットの変換コード
が〔01〕から〔10〕に変化し易くなり、一般的に上位の
量子化レベル近傍の変換リニアリティが悪いという問題
点がある。
そこで、本発明はかかる問題点を解決するために、下
位変換コードに冗長コードが含まれるようなAD変換回路
を提案したが、このAD変換回路の場合は、特に基準抵抗
ラインの基準電圧の給電回路が複雑になるという問題が
ある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、かかる問題点を解消することを目的として
なされたもので、マトリックス状に配列されているスイ
ッチングブロックと,このスイッチングブロックの行方
向に配置されている上位コンパレータによってアナログ
信号を、まず、上位の変換ビットによって数値化し、次
に、前記マトリックス状に配列されたスイッチングブロ
ックと,このスイッチングブロックの列方向に配置され
ている下位コンパレータによって下位の変換ビットに数
値化するような直並列型のAD変換回路を構成し、下位の
エンコーダから、下位変換コードと、上位変換コードの
範囲外にある冗長コードが得られるようにし、下位の変
換コードとして出力されるデータが、上位の変換コード
のデータと異なるときは、上位の変換コードのデータを
強制的に修正するような構成とすると共に、基準電圧の
印加点が半周期ずれるように第1の基準抵抗ラインを折
り返して設定すると共に、上位コンパレータに入力する
基準電圧を得るために、前記第1の基準抵抗ラインの所
定電位に接続される第2の基準抵抗ラインを設けること
によってマトリックス回路の配線を容易にするものであ
る。
〔作用〕
冗長ビットを付加した直並列型のAD変換回路の場合
は、一般に基準電圧の印加回路及びコントロール回路が
複雑になるが、第1の基準抵抗ラインの折り返し点を半
周期ずらすと共に、特に上位コンパレータに入力する基
準電圧を得るための第2の基準抵抗ラインを形成するこ
とによってIC化における配線パターンを容易にすること
ができる。
〔実施例〕
第1図は本発明の基礎となる冗長ビットを付加した直
並列型のAD変換回路の一実施例を示す回路図であって、
アナログ信号Vinを4ビットのデジタルコードに変換す
る回路構成を示している。
この図で、11〜17,21〜27,31〜37,及び41〜47はマト
リックス状に構成されているスイッチングブロックを示
しており、この実施例では各スイッチングブロックは4
行−7列のマトリックス回路10とされている。
各スイッチングブロックには差動型のアンプ構成とさ
れているトランジスタQ1,Q2及びQ3を備えており、一部
分を除くと一方のトランジスタQ1側には基準電圧VRT−V
RBを基準抵抗R1〜R16で分圧した基準電圧が供給され、
他方のトランジスタQ2側にはデジタルコードに変換すべ
きアナログ信号Vinがそれぞれ供給されている。そし
て、共通エミッタは後述するコントロール信号によって
スイッチングされるトランジスタQ3を介して、それぞれ
電流源Iに共通して接続される。
又、トランジスタQ1,Q2のコレクタには抵抗rを介し
て電源VDDが供給され、その出力端子は7個の下位コン
パレータ51〜57の比較器CD1〜CD7にそれぞれ入力され、
下位コンパレータ51〜57の初段アンプを兼用している。
各スイッチングブロック内のトランジスタQ1,Q2は、
それぞれのベースエミッタ間電圧VBEのバラツキがきわ
めて小さくなるように、IC基板上でそのエミッタ領域が
他のトランジスタ素子より広くなるように設定され、V
BEのバラツキが少なくとも変換ビットのLSBの量子化レ
ベル幅よりも、さらに小さくなるように設定されてい
る。
そのため、このマトリックス状に配置されたスイッチ
ングブロックの領域は、IC化に際してもっとも大きな領
域を占めることになる。
斜線をひいたスイッチングブロック11,12,16,17,21,2
2,26,27,31,32,36,37,41,42,46,47は2ビットの下位変
換コードに対して、さらに2LSBの冗長ビットを出力する
ものであり、特にこの中で、11,12,46,47はコントロー
ル信号によって能動化されたときに、常に、一定の2値
信号“H"又は“L"が出力されるように固定した入力信号
が与えられている。
又、特に、スイッチングブロックの第2行と第4行の
トランジスタQ1,Q2のコレクタは、スイッチングブロッ
クの第1行,第3行のトランジスタQ1,Q2のコレクタ出
力と反対方向のラインに接続され、基準電位VRT−VRB
印加される直列基準抵抗R1〜R16のラインが折り返し点
で作れるように工夫されている。
61,62,63は3個の上位コンパレータを示し、それぞれ
比較器CU1〜CU3,相補型の出力アンプCA,及びアンドゲー
トAU1〜AU4を備えている。
上位コンパレータ61〜63の各比較器CUの一方の入力に
はアナログ信号Vinが供給され、他方の入力には前述し
たように基準電位VRT−VRBを粗い量子化で分圧した基準
電圧V1,V2,V3が供給される。そして、上位コンパレータ
61,62,63の各比較器CUの出力は、サンプリングされたア
ナログ信号のレベルに対応して“H"又は“L"レベルとな
り、各アンドゲートAUのいずれか1個のみが“1"レベル
を出力するように構成されている。
各アンドゲートAUの出力信号はワイヤードオア接続さ
れ、(以下図中「○」で記す)第1のエンコーダ80を介
してバイナリコードに変換され、後述する選択ゲート93
において、上位の2ビットのコードD1,D2に修正が加え
られる。
下位コンパレータ51〜57も上位コンパレータと同様に
構成されており、特に、下位コンパレータ53,54,55は上
位コンパレータによって選択された量子化レベル内をさ
らに細かく数値化して下位の2ビットのコードD3,D4
第2のエンコーダ70を介して出力する。
しかし、このAD変換回路では、この下位コンパレータ
の左右に2LSBの冗長コードを生じるコンパレータ51,52
及び56,57が設けられ、上位コンパレータの変換範囲外
のアナログ信号Vinに対してもコード変換動作が行われ
るようになされている。
以下、上記した実施例の動作をアナログ信号Vinのサ
ンプリング電圧がVSの場合について説明する。
例えば、サンプリングされたアナログ信号のサンプリ
ング電圧VSがVRB<VS<V3であれば、上位コンパレータ6
1,62,63の比較器CUの出力がすべて“L"となり、そのア
ンドゲートAUは上から〔0001〕の2値信号を出力する。
そして、この信号〔0001〕が第1のエンコーダ80に入力
されると、ワイヤードオア回路によって最初の2列のラ
イン〔I〕には〔00〕、次の2列のライン〔II〕も〔0
0〕、次の2列のライン〔III〕には〔01〕が出力され
る。
又、サンプリング電圧VSがV3<VS<V2のときは同様に
上位コンパレータのアンドゲートAU1,AU2,AU3,AU4から
〔0010〕となる信号が出力され、これが第1のエンコー
ダ80に入力されるとライン〔I〕から〔00〕、ライン
〔II〕からは〔01〕、ライン〔III〕からは〔10〕が出
力されるように構成されている。
以下、V2<VS<V1,V1<VS<VRTの場合を含めて第1の
エンコーダ80の入力と出力の関係を第2図に示す。
そして、各アンドゲートAU1,2,3,4)の中で2値出
力信号がHとなっているコントロールライン(x1,x2,
x3,x4)に接続されている各スイッチングブロックのト
ランジスタQ3がオンに制御され、さらに量子化レベルの
細かな数値化が実行される。
例えば、アンドゲートAU3のみが“H"レベルになると
スイッチングブロック31〜37のトランジスタQ3がオンと
なり、基準抵抗R7〜R13で分圧された基準電圧とサンプ
リング電圧VSがスイッチングブロック31〜37で差動的に
増幅され、下位のコンパレータ51〜57によって比較され
ることになる。同様に、アンドゲートAU2がHレベルの
ときはスイッチングブロック21〜27が能動化される。
このように、下位の変換コードはスイッチングブロッ
クの行単位で、サンプリングされた電圧VSとその行の基
準抵抗で分圧された基準電圧が比較され、下位コンパレ
ータ51〜57のアンドゲートAD1〜AD8から第3図に示すよ
うに2値信号が出力され、この2値信号がエンコードさ
れることにより、下位コードライン〔IV〕からは下位2
ビットの変換コードD3,D4が出力される。又、同時に修
正ラインV,VI,VIIの出力レベルも第3図に示すように変
化する。
そして、以下,,で示すように、この修正ライ
ンV,VI,VIIのいずれかに1レベルの信号が出力されたと
きに、前記第1のエンコーダ80のラインI,II,IIIからの
上位2ビットのコードD1,D2がオアゲートOR1,OR2を介し
て選択的に出力されることになる。
修正ラインVI(Oライン)に1が生じる変換コー
ド、すなわち、下位2ビットの変換コードD3,D4が上位
の変換コードに対応して〔00〕〔01〕〔10〕〔11〕とな
るときは、禁止ゲート92を構成するアンドゲートA1,A2
の出力が0になるため、選択ゲート93内にあるアンドゲ
ートA1,A3,A4,A6の出力は0になり、第1のエンコーダ8
0から出力されるライン〔II〕の上位D1,D2のコードが選
択ゲート93のアンドゲートA2,A5及びオアゲートOR1,OR2
を介して、そのまま出力される。
こののケースは、上位2ビットの変換コードを出力
するアナログ信号のレベルが下位2ビットの変換コード
を出力するときのアナログ信号と変化していない場合を
示しており修正が行われない。
修正ラインV(−1ライン)に1が生じる変換コー
ドのときは、禁止ゲート92を構成するアンドゲートA1
出力が1となり、選択ゲート93のアンドゲートA1,A4
開く。その結果、このアンドゲートA1,A4に入力されて
いるラインIの上位2ビットのコードD1,D2がオアゲー
トOR1,OR2を介して出力される。
こののケースは、上位2ビットD1,D2を数値化した
ときのアナログ信号のレベルが、下位2ビットD3,D4
数値化したときのアナログ信号より高い場合に修正を行
うものであり、例えば、第4図で示すようにアナログ信
号のサンプリング値VSの真値がVAであるときに、上位2
ビットの変換コードが誤って〔11〕を出力し、下位コン
パレータが正しい下位2ビットの変換コード〔11〕を出
力した時に、上位2ビットの変換コード〔11〕から1を
引いて〔10〕に修正して、正しいコード出力〔1011〕を
得るものである。すなわち、この場合はコントロールラ
インが間違ってスイッチングブロックのラインを選択し
たことになるが、冗長ビットを検出する右側の下位コン
パレータ57が〔11〕を出力するために、上位2ビットの
変換コードが修正されることになる。
修正ラインVII(+1ライン)に1が生じる変換コ
ードのときは、禁止ゲート92を構成するアンドゲートA2
の出力が1となり、選択ゲート93のアンドゲートA3,A6
が開かれる。その結果、このアンドゲートA3,A6に入力
されているラインIIIの上位2ビットのコードD1,D2がオ
アゲートOR1,OR2を介して出力され、上位2ビットのコ
ードに+1を加えることになる。
すなわち、こののケースは、上位2ビットD1,D2
数値化したときのアナログ信号のサンプルレベルがその
ときの量子化レベル範囲より低かった場合に修正を加え
るものであって、例えば、アナログ信号の真値が第4図
のVB点にあるときに、上位2ビットが〔00〕となったと
き、下位2ビットの数値化が〔00〕を出力すると、上位
2ビット〔00〕に+1を加えて〔01〕とし、正しいアナ
ログ信号のサンプル電圧VBに対応する〔0100〕を出力す
るようにしたものである。
このAD変換回路は上記したように下位コンパレータに
冗長ビットを検出するコンパレータを加え、上位の変換
コードの範囲外の下位変換コードが出力されたときは
(第4図の斜線で示す領域)、修正ラインV,又はVIIに
Hレベルの信号が出力され、上位変換コードの修正を行
うので、高速のサンプリングによってサンプリング回路
のセトリング特性が悪いときでも、下位の時点で検出し
た正確な変換コードを得ることができる。
なお、スイッチングブロックの第2行、及び第4行で
は回路構成の制約から基準電圧の印加方向が第1行,及
び第3行と逆になっている。そのため、この第2行,及
び第4行がコントロール信号によって選択されたとき
は、インバータ100から“1"レベルの信号が反転ゲート9
1,及びex−OR(1,2)に供給され、修正ラインV,及びVII
の信号を反転すると共に、下位2ビットの変換コード
D3,D4のコードを反転するようにしている点に注意が必
要である。
しかし、この反転制御は基準抵抗R1〜R16の順序が各
スイッチングブロックに対して左から右方向に順序高い
基準電圧を印加するような回路構成とすることにより省
略することも可能である。
第5図は本発明の基礎となる第1図のAD変換回路の変
形例を示したもので、第1図と同一符号は同一部分を示
している。
ところで、この第5図のAD変換回路では、各スイッチ
ングブロックに基準電圧を供給する基準抵抗ラインの折
り返した点が、第1図のものと比較して半周期ずれて構
成されており、基準電位の最高値と最低値がマトリック
スの中間に位置するようにしている。そして、各スイッ
チングブロックの位置もずれ、マトリックス回路10が一
行だけ増加している。
各スイッチングブロック内のトランジスタの結線は等
しくなるように構成され、基準電圧が右側に行く程低く
なる第1行,第3行,第5行のスイッチングブロック群
と、基準電圧が左側に行く程低くなる第2行及び第4行
のスイッチングブロック群の出力が、それぞれ別の列と
なるように配置されるように構成されている。
したがって、マトリックスは5行−14列で構成され、
14個の下位コンパレータCD1〜CD14と,16個のアンドゲー
トAD1〜AD16が設けられることになる。
下位コンパレータのCD1,2,4,6,8,10,12)は第2
行,第4行のスイッチングブロックに接続され、下位コ
ンパレータのCD3,5,7,9,11,13,14)は第1行,第3
行,第5行のスイッチングブロックの出力に接続され
る。
そして、上段に位置するアンドゲート
AD4,5,6,9,10,14,15,16)によって第1行,第3行,
第5行の下位コンパレータの出力が2値化され、下段に
位置するアンドゲートAD1,2,3,7,8,11,12,13)によっ
て第2行,第4行の下位コンパレータの出力が2値化さ
れ、第2のエンコーダ90に供給される。
このような構成とすると、各スイッチングブロック内
の回路構成は同一となり(トランジスタQ1,Q2の出力は
同一極性)、各スイッチングブロックに供給される基準
電圧端子と、基準抵抗R1〜R16の直列接続からなる基準
抵抗ライン(アルミ線)はすべて等しい配線距離にする
ことができる。
上位コンパレータ61,62,63の出力はオアゲートOR1〜O
R5を介して5本のコントロールラインx1〜x5に供給され
る。
そして、アンドゲートAU1又はAU3の出力が1のとき
に、インバータ100を介して上段のアンドゲート
AD4,5,6,9,10,14,15,16)が開き、スイッチングブロ
ック11,12,13,14,15,16,17又はスイッチングブロック3
1,32,33,34,35,36,37の出力が選択されて下位の変換コ
ード,及び冗長ビットを第2のエンコーダ90に入力し、
下位変換コードを下位コードラインIVに、上位変換コー
ドの修正信号を修正ラインV,VI,VIIに出力する。
同様に、上位エンコーダのアンドゲートAU2,AU4の出
力が1のときは、下段のアンドゲート
AD1,2,3,7,8,11,12,13)が開き、スイッチングブロッ
ク21,22,23,24,25,26,27又はスイッチングブロック41,4
2,43,44,45,46,47の出力が下位コンパレータCDを介して
2値化され、この量子化範囲内にある下位コード,及び
その冗長ビットを第2のエンコーダ90に供給する。
第2のエンコーダ90の修正信号出力は、前述した第1
図の回路図と同様に選択ゲート93に入力され、この選択
ゲート93において、上位2ビットの変換コードを修正し
て出力することになる。
ところで、第1図及び第5図の回路からもわかるよう
に、上位コンパレータ61〜63に入力される基準電圧V1,V
2,V3は、基準抵抗ライン内から直接取り出されている。
すなわち、各基準電圧V1,V2,V3はそれぞれ抵抗R4及び
R5、抵抗R8及びR9、抵抗R12及び抵抗R13の各接続点の電
圧とされ、この接続点と上位コンパレータ61〜63の各比
較器CU1〜CU3の一方の入力端子が結線されているもので
ある。
ところが、第5図の変形例において説明したように基
準抵抗ラインを半周期ずらして構成すると、抵抗R4,R5,
R8,R9,R12,R13はすべてマトリックス回路10のほぼ中央
部分に位置してしまうことになる。
このため、上位コンパレータ61〜63に基準電圧V1,V2,
V3を供給するにはマトリックス回路10内を大きく横切っ
て結線を行わなければならず、パターンレイアウト上、
決して好ましいものではない。
又、第1図の場合において、上位コンパレータ61,62,
63に基準電圧V1,V2,V3を供給するときも、スイッチング
ブロック16,17,21,22,26,27,31,32,36,37,41,42に対す
る基準電圧の供給回路が輻湊し、IC回路で基準抵抗ライ
ンを形成する際に困難性を生じる。
そこで本発明では、基準抵抗ラインを半周期ずらすと
共に、上位コンパレータ61〜63に基準電圧を供給するた
めに新たに第2の基準抵抗ラインを形成するものであ
り、その一実施例を第6図に示す。
第6図は、第5図にも示されていた抵抗R1〜R16の直
列接続による基準抵抗ラインを第1の基準抵抗ラインと
し、この第1の基準抵抗ラインの所定電位、すなわち抵
抗R2とR3の接続点aの電位、抵抗R10とR11の接続点bの
電位、及び抵抗R16とVRB端子の接続点cの電位に、抵抗
RU1〜RU7の直列接続によって成る第2の基準抵抗ライン
が接続されている。つまり、接続点a・b間の電圧が抵
抗RU1〜RU4によって分圧され、さらに接続点b・c間の
電圧が抵抗RU5〜RU7によって分圧されていることにな
る。
すなわち、本発明は、第2の基準抵抗ライン内におい
て、接続点a〜c間の電圧を分圧することによって基準
電圧V1,V2,V3を得られるように構成するものである。
第2の基準抵抗ライン内の抵抗分圧によって、抵抗R
U1とRU2の接続点から取り出すことのできる電圧は第1
の基準抵抗ラインの抵抗R4とR5の接続点の電圧、すなわ
ち基準電圧V1に相当し、以下同様に、抵抗RU3とRU4の接
続点の電圧は基準電圧V2に、抵抗RU5とRU6の接続点の電
圧は基準電圧V3にそれぞれ相当するものとなる。
したがって、上位コンパレータ61〜63に入力する基準
電圧V1,V2,V3は第2の基準抵抗ラインから取り出すこと
ができる。そして、前述した接続点a,b,cは、マトリッ
クス回路10の外縁部分に位置する地点(第1の基準抵抗
ラインの折り返し点)であるため、第2の基準抵抗ライ
ンはマトリックス回路10の外部に形成することができ、
したがって、上位コンパレータ61〜63への基準電圧の入
力ラインはマトリックス回路10内を横切ることなく結線
できるものとなり、回路パターンのレイアウトが簡易化
され、非常に好ましいものとなる。
なお、第6図の実施例で、第2の基準抵抗ラインを構
成する抵抗値は、この基準抵抗ラインに殆ど電流を流す
必要がないため、第1の基準抵抗ライン(アルミ線)の
抵抗値に比較して大きな抵抗値を有する抵抗(拡散抵
抗)を使用できるので、第1の基準抵抗ラインの基準電
圧に影響を及ぼすことはない。又、この第2の基準抵抗
ラインの抵抗は前述したような修正動作で上位変換コー
ドが修正されるため、高い精度を必要としないという効
果がある。
以上の実施例は、4ビットのAD変換回路に対して、上
位2ビット,下位2ビット+冗長2LSBを得るように構成
したが、一般にnビットであれば、上位aビット,下位
bビットに分け、a+b=nにすると共に、冗長ビット
c≦n−bを付加するようにすると、本発明のAD変換回
路を同様な手法によって構成できることはいうまでもな
い。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明のAD変換回路は、アナロ
グ信号を2段階でデジタル信号に変換するような直並列
型のAD変換回路において、スイッチングブロックをマト
リックス状に配置し、上位コンパレータに入力される基
準電圧は、第1の基準抵抗ラインの所定電位と接続され
て形成される第2の基準抵抗ラインから得ることができ
るように構成しているため、特に上位コンパレータへの
基準電圧入力ライン結線が簡易化されるという効果があ
る。
そして、IC化等に際しての回路パターンのレイアウト
も非常に簡易化されるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基礎となるAD変換回路の一実施例を示
す回路図、第2図,第3図は上位,及び下位の変換コー
ドを示すパターン図、第4図は量子化レベルの変換コー
ドの関係を示す図、第5図は第1図の変形例を示す回路
図、第6図は本発明の一実施例を示す回路図、第7図は
直並列型AD変換回路のブロック図、第8図はサンプリン
グのタイミング波形図、第9図(a),(b)はサンプ
リング波形図である。 図中、11〜17,21〜27,31〜37,41〜47はスイッチングブ
ロック、51〜57は下位コンパレータ、61〜63は上位コン
パレータ、80は第1のエンコーダ、90は第2のエンコー
ダ、R1〜R16は第1の基準抵抗ライン内の抵抗、RU1〜R
U7は第2の基準抵抗ライン内の抵抗を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基準電位を直列接続したn個の抵抗によっ
    て分圧したn−1個の基準電圧を得るレジスタストリン
    グ状に配置された第1の基準抵抗ラインと、上記第1の
    基準抵抗ラインの列方向の各折り返し点に接続された2
    以上の基準抵抗で構成された第2の基準抵抗ラインと、
    被変換入力信号と前記第1の基準抵抗ラインの各基準電
    圧を比較し、かつ、上位変換出力信号によって上位コン
    パレータの範囲と該コンパレータの範囲外の冗長ビット
    の行毎に能動化され、マトリックス状に配列され上記レ
    ジスタストリングの抵抗に沿って配置されたスイッチン
    グブロックと、 前記第2の基準抵抗ラインの各電圧と前記被変換入力信
    号を比較して上位aビットの変換コードを得る上位コン
    パレータと、前記スイッチングブロックの列方向の出力
    が共通して入力され、前記上位コンパレータの出力に応
    じて前記スイッチングブロックを能動化し、該スイッチ
    ングブロックからの出力結果をエンコーダに供給して得
    られる下位bビットの変換コードと、前記上位コンパレ
    ータの範囲外にある冗長cビットの変換コードを得る下
    位コンパレータを備えていることを特徴とするAD変換回
    路。
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