JP2768214B2 - エスカレータの車止め装置 - Google Patents

エスカレータの車止め装置

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JP2768214B2
JP2768214B2 JP5136907A JP13690793A JP2768214B2 JP 2768214 B2 JP2768214 B2 JP 2768214B2 JP 5136907 A JP5136907 A JP 5136907A JP 13690793 A JP13690793 A JP 13690793A JP 2768214 B2 JP2768214 B2 JP 2768214B2
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正人 山下
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エスカレータのステッ
プにおける車止め装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近のエスカレータの中には、車椅子の
ような車類を使用した乗客であっても、水平状態を保っ
て乗れる程スペースに余裕のあるエスカレータが設置さ
れるようになってきた。このようなエスカレータにあっ
ては車類が転落しないようにエスカレータのステップに
は車止めが設置され必要なときのみ突出するような機構
が設けられるのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、この車止めの
機構は言うまでもなくできるだけ簡素な機構が望まれ、
それ用の駆動装置を特別に備えなくてもよいとともに、
エスカレータのステップを一旦停止させなくても機能す
ることが期待される。本発明は上記の点に鑑みなされた
もので、エスカレータのステップを一旦停止させなくて
も安全,確実に動作する車止め装置を提供することを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、 (1) エスカレータのステップには車止めが突出自在
に設けられたものにおいて、前記ステップには下方に向
けて延びるロッドを設け、該ロッドを逆移動が阻止され
る形状のループを構成する溝によって昇降自在に案内さ
れるように構成するとともに、該ロッドの昇降に応じて
前記車止めが移動する機構を備える。 (2) 固定部と可動部とから構成されたエスカレータ
のステップの該可動部に車止めが突出自在に設けられた
ものにおいて、該可動部に一端が回動自在に支持された
第1の部材と、前記固定部に一端が回動自在に支持され
た可変寸法の部材とを設け、該可変寸法の部材は中央部
が前記可動部に回動自在に支持されるとともに、他端が
前記第1の部材に連結され、前記可変寸法の部材の一端
と前記中央部との寸法が可変になる如く構成され、前記
第1の部材には前記車止めを連結する。 (3) 固定部と可動部とから構成されたエスカレータ
のステップの該可動部に車止めが突出自在に設けられた
ものにおいて、該可動部には互いに連結された第1の部
材と第2の部材がそれぞれ回動自在に支持され、前記固
定部には第3の部材が回動自在に支持され、前記第2の
部材と前記第3の部材とは互いに長手方向に摺動自在に
連結するとともに、前記第1の部材には前記車止めを連
結する。ものである。
【0005】
【作用】上述の如く構成すれば、エスカレータのステッ
プが移動中でも車止めが円滑に突出したり引っ込んだり
する。
【0006】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を用い
て説明する。図1は本発明に係る車止め装置全体の機構
を示す拡大図である。図中10は車類が載るステップ1
に点Qを中心に回動自在に設けられた車止め、11は下
端にローラ11aを有し、上端にはプレート12を備え
たロッドで、上下方向に昇降自在に設けられている。そ
して、プレート12には後述する深さの溝12a,12
b,12c,12dがループ状に切ってある。
【0007】13はステップ1のブラケット2に上下方
向に移動自在に設けられたロッドで、上端において車止
め10の一部が接触し車止め10の自重を支えており、
下端にはバネ座13aが取付けられている。14は上端
がステップ1のブラケット2に回動自在に支持されたレ
バーで、下端は必ず前述のプレート12の溝12a,1
2b,12c,12dの順にループを描いて案内され
る。
【0008】つまり、プレート12の溝12a,12
b,12c,12dは図2に示すように、最初が一番深
く、徐々に浅くなって次の溝の一番深い部分につながっ
ていくように加工されており、レバー14の下端が必ず
時計回りに巡回し、逆戻りしない構造になっている。1
5はプレート12とバネ座13aの間に設けられたスプ
リング、16はプレート12とブラケット2の間に設け
られたスプリングである。
【0009】次に、この車止め装置の動作について、エ
スカレータが上昇運転を行う場合を例に挙げて説明す
る。まず、上昇運転時に車椅子乗客などが車類運転用ボ
タン(図示しない)を押すと、エスカレータ本体(図示
しない)に設けられた図3に示すモータMを回転させて
カムMaを上方に移動させる。
【0010】一方、車類運転用ボタンが操作されてステ
ップ1が乗込口のフロアプレート3に近づいてくると、
エスカレータが減速し、ステップ1がフロアプレート3
の下を通過してステップ1に設けられたローラ11aが
このカムMaに接触して、上方に押し上げられる。
【0011】 すると、ロッド11がプレート12とと
もにスプリング16に抗して上方に押し上げられるた
め、レバー14の下端は溝12aに沿って下降(実際は
プレート12の方が上昇する)し、溝12bに移る。そ
して、ステップ1の移動に応じてローラ11aがカムM
aから離れると、スプリング16のバネ力によりロッド
11が下方に若干戻るが、レバー14の下端は溝12b
に案内されて移動し溝12cに移ってロックがかかる
(後戻りできない状態になる)。したがって、ステップ
1がその後移動を続けても、ロッド11及びプレート1
2のステップ1に対する位置に変化は生じない。
【0012】一方、車止め10の方は、ロッド11及び
プレート12が上方に押し上げられると、スプリング1
5の弾性力によりロッド13もいっしょに押し上げられ
るため、ロッド13の上端が車止め10を持ち上げる結
果、図4に示すようにステップ1の踏板表面から突出し
た状態になる。
【0013】このように車止め10が突出した状態のと
きに、車椅子乗客などが、矢印の方向にステップ1上へ
乗り込むことになるが、矢印の方向から車止め10に力
が加われば、スプリング15が撓むことにより車止め1
0が簡単に踏板内に引っ込まれるため何ら支障を生じる
ことがなく、又一度乗り込んだ後は突出して車類落下防
止の役目を果すことになる(逆向きの力が車止め10に
加わっても車止め10は動かない)。
【0014】次に、ステップ1が降口付近にやってくる
と、既に図5に示すモータM’によって上方に移動させ
られているカムM’a(モータM’を駆動させる時期は
車類運転用ボタンが操作される時期にすれば十分)にロ
ーラ11aが接触して上方に押し上げられるが、今度も
ロッド11がプレート12とともにスプリング16に抗
して押し上げられることにより、レバー14の下端は溝
12cに沿って下降(実際はプレート12の方が上昇す
る)し、溝12dに移る。そして、ステップ1の移動に
応じて、ローラ11aがカムM’aから離れると、今度
はスプリング16のバネ力によりロッド11が下方に戻
るため、レバー14の下端は溝12dに案内されて移動
し、溝12aに移って初期の状態に戻りロックがかか
る。
【0015】一方、車止め10の方は、ロッド11及び
プレート12が下方に下がるため、自重によりロッド1
3とともに下降し、図1に示すように、ステップ1の踏
板の中に完全に収まった通常のステップの状態に復帰す
る。
【0016】エスカレータが上昇運転の場合には、この
車止め10の状態に関係なく車椅子などの車類の乗客は
自由に降口から降ることができるため、エスカレータを
降口であえて低速にする必要はないが、下降運転の場合
には減速する方が安全上は望ましい。
【0017】そして、乗客が降りてから、降車確認ボタ
ン(図示しない)が押されれば、モータM,M’を反対
方向に駆動させカムMa,M’aを下方に引き下げて、
ステップ1のローラ11aとカムMa,M’aが干渉し
ないようにしておけば、通常のエスカレータ運転時に車
止め10が突出して通常の乗客が蹴躓くことはない。
【0018】次に、図6は本発明に係る車止め装置のそ
の他の実施例を示すステップ側面図で、ステップ1に可
動部1aと固定部1bを有し、可動部1aが固定部1b
に対して昇降自在に設けられた構造のものに最適なもの
である。
【0019】図中、20はステップ1の可動部1aに案
内部材4を介して摺動自在に案内される車止め、21は
ピン21aにより可動部1aに回動自在に設けられたプ
レートで、21b1 と21b2 からなる例えば逆くの字
状の切欠き21bとくぼみ21cを有し、先端部には車
止め20が回動自在に連結されている。
【0020】22はピン22aにより可動部1aに回動
自在に設けられたプレートで、一端には筒部材22bと
扇形のプレート22cが固着され、他端には切欠き21
bに案内されるピン22dが取付けられている。23は
筒部材22b内を摺動自在に貫通して一端がピン23a
により固定部1bに回動自在に取付けられたプレートで
ある。つまり、プレート22,23及び筒部材22bで
可変寸法の部材を構成して車止め装置を形づくってい
る。
【0021】この車止め装置の特徴は、可動部1aと固
定部1bとの段差に応じて車止め20が突出・収納され
る機構になっており、特別な駆動源を必要としないこと
にある。
【0022】次に、この車止め装置の動作について図面
を用いて説明する。まず、可動部1aが固定部1bと同
一水平面上に存在する場合は図6に示すように、車止め
20はステップ1内に収納されたままであるが、車類運
転用ボタンが操作されて、可動部1aが上昇しだし、固
定部1bと段差が生じ始めると、プレート23はピン2
3aを中心として時計方向に回転し始めるため、プレー
ト22もプレート23に伴なって移動するので、ピン2
2dにより切欠き21b1 を介してプレート21に上向
きの力がかかり、プレート21はピン21aを中心に時
計方向に回転する。
【0023】すると、車止め20はプレート21によっ
て上に大きく押し上げられるため、案内部材4に案内さ
れて上昇し、図7に示すように可動部1aの踏板上方に
突出する。
【0024】その後、さらに可動部1aが持ち上げられ
て固定部1bと段差が拡がりプレート23がさらに時計
方向に回転するとプレート22もそれにつれて移動する
が、このときはピン22dが切欠き21b2 を移動する
だけなのでプレート21には回転力が伝わらず車止め2
0の突出量も増えることはない。しかし、扇形のプレー
ト22cが図8に示すようにプレート21のくぼみ21
cの中に食い込んでプレート21の反時計方向への回転
を阻止するので、万一車止め20に上から押し下げるよ
うな力が加わっても、車止め20が下降してしまう不都
合は起らず、十分車止めの役目を果たすことができる。
【0025】次に、このステップ1が降口付近に達し
て、可動部と固定部の段差がだんだん縮まってくると、
今度はプレート23がピン23aを中心に反時計方向に
回転し始め、プレート22もプレート23に伴なって移
動するため、ピン22dは切欠き21b2 内を下降する
とともに、扇形プレート22cはプレート21のくぼみ
21cから抜け出し、その後ピン22dが切欠き21b
1 にさしかかると、切欠き21b1 を介してプレート2
1を下に押し下げることにより、車止め20を下降させ
図7,図6へと状態が変化し、元の状態に戻ることにな
る。
【0026】 このような構造の車止め装置であれば、
可動部1aと固定部1bとに段差が生じて初めて車止め
20が突出する機構になっているため、通常のエスカレ
ータの運転時には全く働くことがなく、極めて安全で、
特別に駆動装置を設ける必要もない。また、可動部1a
がどのような機構で昇降する場合であっても、この車止
め装置を採用することが可能である。実施例では、プレ
ート21とプレート22とは切欠き21bを介して摺動
自在に連結させているが、プレート21,22,23の
回動支点,即ちピン21a,22a,23aの選定位置
は無数に存在し、どの位置に選ぶかは設計者が任意に決
定できる技術的事項である。そして、これらの選定位置
に応じて、プレート21とプレート22との連結の仕方
も当然変わってくるものである。
【0027】尚、前述の車止め10,及び20の何れの
先端の形状も、例えば図9に示すように櫛歯状のものに
して車止め10,20の先端がステップ1の踏板1Aの
溝底から突出,引っ込み自在になるように構成してもよ
く、又、図10(a) に示すように、先端に踏板1Aと同
じクリートを有する形状のものを選択して既に踏板のク
リートの一部になっている図10(b) に示す状態から上
方に突出自在な構造の車止め10,20にしてもよい。
図10に示す場合には、先端部の厚さや幅などは任意に
選ぶことができ、特に十分な強度をもった車止めを得る
ことができる。
【0028】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、エス
カレータのステップが動いた状態のままであっても車止
めの突出及び引っ込み動作を円滑に行えるため、車椅子
などの車類を使用する乗客がエスカレータに乗る場合に
は必ずしもエスカレータを停止させる必要がなく(乗客
がエスカレータから降りる場合も同様)、健常者と車類
使用者の双方が極めて自然に、かつ安全にエスカレータ
を同時使用することができる。
【0029】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車止め装置全体の機構を示す拡大
図である。
【図2】図1におけるプレート12の溝12a,12
b,12c,12dの深さを示す説明図である。
【図3】図1における車止め装置の動作を説明するため
の説明図である。
【図4】図1における車止め10が突出した状態を示す
拡大図である。
【図5】図1における車止め装置の復旧動作を説明する
ための説明図である。
【図6】本発明に係るその他の実施例を示す拡大図であ
る。
【図7】図6における車止め装置の動作を説明するため
の説明図である。
【図8】図6における車止め装置の動作を説明するため
の説明図である。
【図9】車止めの先端の形状を示す拡大図である。
【図10】車止めの先端の形状を示す拡大図である。
【0030】
【符号の説明】
1 ステップ 1a 可動部 1b 固定部 10,20 車止め 11 ロッド 15,16 スプリング 21 プレート 21b 切欠き 22,23 プレート
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−88693(JP,A) 特開 平1−275397(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B66B 29/08

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エスカレータのステップには車止めが突
    出自在に設けられたものにおいて、前記ステップには下
    方に向けて延びるロッドを設け、該ロッドを逆移動が阻
    止される形状のループを構成する溝によって昇降自在に
    案内されるように構成するとともに、該ロッドの昇降に
    応じて前記車止めが移動する機構を備えたことを特徴と
    するエスカレータの車止め装置。
  2. 【請求項2】 前記車止めを乗込口に向かって円弧状に
    構成するとともに、前記ロッドの上端と前記車止めの下
    部とはスプリングを介して連結されることを特徴とする
    請求項1記載のエスカレータの車止め装置。
  3. 【請求項3】 前記溝は初めは深く徐々に浅くなってゆ
    く溝が複数組合わされてループを形成していることを特
    徴とする請求項1記載のエスカレータの車止め装置。
  4. 【請求項4】 固定部と可動部とから構成されたエスカ
    レータのステップの該可動部に車止めが突出自在に設け
    られたものにおいて、 該可動部に一端が回動自在に支持された第1の部材と、
    前記固定部に一端が回動自在に支持された可変寸法の部
    材とを設け、該可変寸法の部材は中央部が前記可動部に
    回動自在に支持されるとともに、他端が前記第1の部材
    に連結され、前記可変寸法の部材の一端と前記中央部と
    の寸法が可変になる如く構成され、前記第1の部材には
    前記車止めが連結されることを特徴とするエスカレータ
    の車止め装置。
  5. 【請求項5】 固定部と可動部とから構成されたエスカ
    レータのステップの該可動部に車止めが突出自在に設け
    られたものにおいて、 該可動部には互いに連結された第1の部材と第2の部材
    がそれぞれ回動自在に支持され、前記固定部には第3の
    部材が回動自在に支持され、前記第2の部材と前記第3
    の部材とは互いに長手方向に摺動自在に連結するととも
    に、前記第1の部材には前記車止めが連結されることを
    特徴とするエスカレータの車止め装置。
  6. 【請求項6】 前記第1の部材はプレートであり、該プ
    レートには切欠きが設けられ、前記可変寸法の部材の他
    端が該切欠きに案内される如く連結されることを特徴と
    する請求項4記載のエスカレータの車止め装置。
  7. 【請求項7】 前記第1の部材はプレートであり、該プ
    レートには切欠きが設けられ、前記第2の部材が該切欠
    きに案内される如く連結されることを特徴とする請求項
    5記載のエスカレータの車止め装置。
  8. 【請求項8】 前記車止めの先端は、ステップの踏板の
    クリートの一部であることを特徴とする請求項1または
    請求項4または請求項5記載のエスカレータの車止め装
    置。
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