JP3950231B2 - 車椅子踏段付エスカレーター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、多数の踏段が連結された搬送帯に、要時に複数が連結されて車椅子積載面を形成する車椅子用踏段が設けられた車椅子踏段付エスカレーターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車椅子踏段付エスカレーターとして、例えば特開平8−208171号公報に示された次に述べる構成がある。すなわち、多数の踏段が無端状に連結されて主枠内を循環移動する搬送帯と、この搬送帯の一部をなし踏段の間に設けられて要時に車椅子積載面を形成する車椅子用踏段と、この車椅子用踏段に装備されて常時は引退位置に保持され要時に車椅子積載面形成動作する可動機構と、主枠の端部に設けられて常時は下降位置に保持され要時に上昇して停止した車椅子用踏段の可動機構に係合する作動機構とが設けられる。
【0003】
さらに、車椅子用踏段に設けられて可動機構の回転軸の回転外周部の一側に係止して可動機構を引退位置に保持する保持装置が設けられる。そして、車椅子搬送時に上昇した作動機構のカムに保持装置が係合し、車椅子用踏段の移動による保持装置とカムの相対変位によって、保持装置による可動機構の引退位置保持が解除される。次いで、可動機構の動作を介して車椅子積載面が形成されて車椅子が搬送され、その後の車椅子用踏段の移動による保持装置と作動機構のカムとの相対変位によって、保持装置による可動機構の動作位置保持が行われるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の車椅子踏段付エスカレーターにおいて、車椅子搬送時に主枠の端部において上昇した作動機構のカムに車椅子用踏段の保持装置が係合し、車椅子用踏段の移動による保持装置とカムの相対変位によって、保持装置による可動機構の引退位置保持が解除される。次いで、可動機構の動作を介して車椅子積載面が形成された後の車椅子用踏段の移動による保持装置と作動機構のカムとの相対変位によって、保持装置による可動機構の動作位置保持が行われる。
【0005】
そして、保持装置と作動装置のカムとの相対変位、すなわち車椅子用踏段の移動によって保持装置による可動機構の動作位置保持が行われる。このため、可動機構の動作位置保持が不完全のまま車椅子積載面が形成され、その車椅子積載面に車椅子が積載されて搬送が行われるという問題点があった。
【0006】
この発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであり、車椅子搬送時に主枠の端部において車椅子用踏段が停止した状態で、車椅子用踏段の保持装置による可動機構の動作位置保持が行われる車椅子踏段付エスカレーターを得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる車椅子踏段付エスカレーターにおいては、多数の踏段が無端状に連結されて主枠内を循環移動する搬送帯と、この搬送帯の一部をなし踏段の間に設けられて要時に車椅子積載面を形成する車椅子用踏段と、この車椅子用踏段に装備されて常時は引退位置に保持され、要時に動作位置に変位して車椅子積載面を保持する可動機構と、この可動機構の変位に連動して回転する回転軸と、主枠の端部に設けられて常時は下降位置に保持され、要時に上昇して、停止した車椅子用踏段の可動機構を動作位置に変位させる作動機構と、車椅子用踏段に設けられ、回転軸の回転外周部に係止して可動機構を引退位置に保持し、作動機構の上昇を介して引退位置保持を解除し、作動機構による可動機構の動作位置変位後の作動機構の下降によって回転軸の回転外周部に係止して可動機構を動作位置に保持する保持装置とが設けられる。
【0008】
また、この発明に係わる車椅子踏段付エスカレーターにおいては、可動機構の回転軸に固定されて外周部の一側の係止溝を介して可動機構を引退位置に保持し、外周部の一側に対向した他側の係止溝を介して可動機構を動作位置に保持する円形カムを装備した保持装置が設けられる。
【0009】
また、この発明に係わる車椅子踏段付エスカレーターにおいては、可動機構の回転軸に固定され外周部の係止溝を介して可動機構を引退位置に保持する第一円形カム及び回転軸に固定され外周部の係止溝を介して可動機構を動作位置に保持する第二円形カムを装備した保持装置が設けられる。
【0010】
また、この発明に係わる車椅子踏段付エスカレーターにおいては、可動機構を引退位置に保持した状態及び可動機構を動作位置に保持した状態を検出する検出器を装備した保持装置が設けられる。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1〜図27は、この発明の実施の形態の一例を示す図で、図1は車椅子踏段付エスカレーターの概念的側面図、図2は車椅子搬送状況を示す図1の要部拡大図、図3は図1の主枠の下端側における車椅子搬送の第一状況を説明する図、図4は図3における車椅子搬送の第二状況を説明する図、図5は図4の第一車椅子用踏段箇所の右側面図、図6は図5の保持装置箇所の左側面図、図7は図3における車椅子搬送の第三状況を説明する図、図8は図7の第一車椅子用踏段箇所の右側面図、図9は図8の保持装置箇所の左側面図である。
【0012】
また、図10は図8の第一カム箇所の右側面図、図11は図8の第二カム箇所の左側面図、図12は図3における車椅子搬送の第四状況を説明する図、図13は図3における車椅子搬送の第五状況を説明する図、図14は第一カム箇所の状況を示す図10相当図、図15は第二カム箇所の状況を示す図11相当図、図16は図3における車椅子搬送の第六状況を説明する図、図17は図3における車椅子搬送の第七状況を説明する図、図18は図3における車椅子搬送の第八状況を説明する図である。
【0013】
また、図19は図18における保持装置箇所の拡大図、図20は図19における保持装置の異常状態を示す図、図21は保持装置の状態を説明する図で、(a)は図19の直前状態、(b)は図19の直後状態、(c)は図20の状態を示す。図22は主枠の上端側における車椅子搬送の第一状況を説明する図、図23は図22における車椅子搬送の第二状況を説明する図、図24は図22における車椅子搬送の第三状況を説明する図、図25は図24の要部拡大図、図26は図22における車椅子搬送の第四状況を説明する図、図27は図22における車椅子搬送の第五状況を説明する図である。
【0014】
図において、1は傾斜して配置されたエスカレーターの主枠、2は主枠1の下端、3は主枠1の上端、4は主枠1の下端2及び上端3にそれぞれ形成された乗降口、5は乗降口4に設けられて主枠1の長手中間部側に配置された櫛、6は多数の踏段7が無端状に連結されて主枠1を循環移動する搬送帯である。
【0015】
8は主枠1内に設けられて下端2寄り及び上端3寄りにそれぞれ配置された第一作動機構で、電動機によって駆動されるクランク機構により構成されて動作する昇降装置9、昇降装置9に設けられて主枠1の長手と平行に配置され電動機によって駆動されるローラチェン10により係合機構を形成した第一駆動機構11及び昇降装置9の上面に突設された支持体12によって構成されている。
【0016】
13は主枠1内に設けられて下端2寄り及び上端3寄りにそれぞれ配置されて第一作動機構8よりも主枠1下端2寄りに設けられた第二作動機構で、電動機によって駆動されるクランク機構により構成されて動作する昇降装置9、昇降装置9に設けられて主枠1の長手と平行に配置され電動機によって駆動されるローラチェン10により係合機構を形成した第二駆動機構14及び昇降装置9の上面に突設されて支持ローラ15を枢持した支持台16によって構成されている。
【0017】
17は搬送帯6の一部をなし踏段7の相互間に配置された傾斜車椅子用踏段で、要時に主枠1下端2側が下方へ傾斜する傾斜踏板18、傾斜踏板18に枢着されて主枠1に設けられた傾斜用レール19に支持される傾斜用ローラ20並びに車椅子の搬送時に主枠1下端2側の第二駆動機構13に係合する正転ピニオン21及び、車椅子の搬送時に主枠1上端3側の第一駆動機構8に係合する逆転ピニオン22が設けられている。
【0018】
23は搬送帯6の一部をなし踏段7の相互間に配置された第一車椅子用踏段で、歯車機構からなり要時に上昇した第一作動機構8の第一駆動機構11に係合して駆動される進退機構24が設けられて、この進退機構24によりラック機構を介して主枠1の下端側へ突出変位する連結腕及び進退機構24によって構成された可動機構25が装備されている。
【0019】
26は第一車椅子用踏段23の下側に設けられた保持体で、逆U字状をなしU字の一側が第一車椅子用踏段23に上下に摺動可能に係合されて第一作動機構8の支持体12に対向する位置に配置され、U字の他側に係止部27が形成されて圧縮コイルばね28によって下方へ付勢されている。
【0020】
29は第一車椅子用踏段21の踏板の下側に設けられた進退機構24の伝動軸、30は伝動軸29に固定されて保持体26の係止部27に対向して配置された円形カムで、円周の一側に第一係止溝31、他側に第二係止溝32が設けられている。33は保持体26及び円形カム30を主要部材として構成された保持装置である。
【0021】
34は第一作動機構8の支持体12に設けられた第一検出器で、支持体12の上昇によって保持体26に押圧されて動作する。35は伝動軸29に固定されて伝動軸29の第一回動位置で所定姿勢に配置される第一カム、36は第一作動機構8の昇降装置9に設けられて第一カム35によって押圧されて動作する第二検出器、37は伝動軸29に固定されて伝動軸29の第二回動位置で所定姿勢に配置される第二カム、38は第一作動機構8の昇降装置9に設けられて第二カム37によって押圧されて動作する第三検出器である。
【0022】
39は搬送帯6の一部をなし踏段7の相互間に配置されて第一車椅子用踏段23の主枠1の下端2側に配置された第二車椅子用踏段、40は第二車椅子用踏段39に設けられた上昇踏み板で、第二作動機構13の支持ローラ15により昇降装置9の動作によって第二車椅子用踏段39の基部から上昇位置に変位する。
【0023】
なお、上昇時には第二車椅子用踏段39の基部に設けられた案内溝41に案内される案内ローラ42が装着されて、この案内ローラ42によって所定経路を経て変位する。そして、上昇踏み板40に設けられた支持孔43に、突出して嵌合する第一車椅子用踏段23の可動機構25に支持されて、第一車椅子用踏段23の踏み板面位置に配置される。
【0024】
44は上昇踏み板40に設けられた乗り込み台で、ラック機構が設けられて常時は引退位置に配置され、歯車機構からなる伝動機構45が設けられてこの伝動機構45が上昇した第二作動機構13の第二駆動機構14に係合して駆動され主枠1下端2側へ突出する。
【0025】
46は上昇踏み板40の主枠1下端2側に設けられた車止め片で、ラック機構が設けられて常時は引退位置に配置され、歯車機構からなる伝動機構47が設けられてこの伝動機構47が上昇した第二作動機構13の第二駆動機構14に係合して駆動され上方に突出する。
48は車椅子で、第一車椅子用踏段23及び第二車椅子用踏段39を主要部として形成された車椅子積載面49に搭載されて搬送される。
【0026】
上記のように構成された車椅子踏段付エスカレーターにおいて、通常時には第一作動機構8及び第二作動機構13の昇降装置9が図18、図27に示すように下降位置に配置される。そして、この状態では第一作動機構8の第一駆動機構11、第二作動機構13の第二駆動機構14が、図27に示すように踏段7等のライザーに当たらず、また傾斜車椅子用踏段17の正転ピニオン21、逆転ピニオン22、第一車椅子用踏段23の進退機構24、第二車椅子用踏段36の伝動機構45,47に係合しない位置に配置される。
【0027】
また、傾斜車椅子用踏段17の傾斜踏板18は基部に対して水平位置に保持される。そして、第一車椅子用踏段23の可動機構25は引退位置に配置され、この状態では図6に示すように保持装置33の係止部27が円形カム30の第一係止溝31に嵌合する。これによって、進退機構24の伝動軸29の回動が阻止されて可動機構25が引退位置に保持される。また、第二車椅子用踏段23の上昇踏み板40及び車止め片20は下降位置にそれぞれ配置され、乗り込み台44は引退位置に保持される。
【0028】
この状態で搬送帯6が主枠1内を循環運転されて踏段7、傾斜車椅子用踏段17、第一車椅子用踏段23及び第二車椅子用踏段39により一般乗客が搬送される。なお、搬送帯6の循環運転により第一車椅子用踏段23等の全部の踏段は、上昇運転の場合に下端2側の乗降口4から水平移動し、次いで傾斜角度が漸増する漸増傾斜移動する。
【0029】
次いで、一定傾斜角度による一定傾斜移動して上端3側の乗降口4に近づくと傾斜角度が漸減する漸減傾斜移動する。その後に上端3側の乗降口4へ水平移動して循環移動する。なお、下降運転のときには全部の踏段が上昇運転の場合と逆の順序で循環移動する。
【0030】
そして、車椅子48を上昇搬送する場合、すなわち車椅子48を下端2側の乗降口4から上端3側の乗降口4へ搬送するときには、車椅子踏段付エスカレーターが車椅子運転スイッチ(図示しない)により車椅子運転に切り換えられる。これによって、主枠1下端2側の第二作動機構13の昇降装置9が上昇し搬送帯6が低速で上昇運転される。そして、傾斜車椅子用踏段17が第二作動機構13の制動された第二駆動機構14の上を通過するときに、図3に示すように傾斜車椅子用踏段17の正転ピニオン21が第二駆動機構14に係合して駆動される。
【0031】
これによって、傾斜踏板18の水平姿勢保持が解除されて傾斜可能状態となる。次いで、第一車椅子用踏段23が漸増傾斜移動区域に移動して第一作動機構8に対向し、第二車椅子用踏段39が水平移動区域に配置されて第二作動機構13に対向した位置で停止する。
【0032】
この状態で、図4に示すように傾斜車椅子用踏段17は傾斜用レール19に傾斜用ローラ20が案内されて傾斜踏板18が傾斜する。また、第一車椅子用踏段23は第二車椅子用踏段39よりも上昇した位置に配置される。また、第二車椅子用踏段39の主枠1下端2側の踏段7は、乗降口4の櫛5から移動方向に沿う長さのほぼ30%が前進した状態に配置される。
【0033】
そして、図4に示す状態から第一作動機構8及び第二作動機構13が上昇して図7及び図8に示す状態となり、第一作動機構8の上昇により支持体12によって保持装置33の保持体26が押し上げられて図9に示す状態となる。これにより、第一検出器34が保持体26により押圧されて動作する。また、保持体26の上昇変位により係止部27が円形カム30の第一係止溝31から引退して円形カム30の回動阻止、すなわち保持装置33による進退機構24の作動阻止が解除される。
【0034】
また、図8に示すように第二検出器36が第一カム35に押圧されて図10に示す状態となり、連結腕からなる可動機構25の引退配置が検出される。次いで、図7に示す状態で第二作動機構13の第二駆動機構14の電動機が付勢されて、図示が省略してあるが第二駆動機構14に係合した第二車椅子用踏段39の鎖歯車が回転して第二車椅子用踏段39の基部と上昇踏み板40との連結が解除される。
【0035】
そして、第二作動機構13の昇降装置9が上昇し、支持台16の支持ローラ15によって上昇踏み板40が押し上げられて、図12に示すように第一車椅子用踏段23の踏板と同じ高さに配置される。なお、上昇踏み板40は第二車椅子用踏段39の基部に設けられた案内溝41に案内される案内ローラ42によって所定経路を経て上昇する。これによって、第一車椅子用踏段23に設けられたライザーとの間に一定の少ない空隙を形成した状態で変位動作する。
【0036】
また、図12に示す状態で第一作動機構8の第一駆動機構11の電動機が付勢され、第一駆動機構11に係合した第一車椅子用踏段23の進退機構24が駆動される。これにより、可動機構25が主枠1下端2側へ突出して第二車椅子用踏段39の支持孔43に嵌合して図13に示す状態となり、第一車椅子用踏段23の踏面と上昇踏み板40とにより車椅子積載面49が形成される。このときに、図15に示すように第二カム37によって第三検出器38が押圧されて動作し、可動機構25の突出配置が検出される。
【0037】
そして、第三検出器38の動作によって第一駆動機構11の電動機が消勢される。次いで、図13に示す状態で第二作動機構13の第二駆動機構14の電動機が付勢されて第二車椅子用踏段39の伝動機構45が駆動される。これにより、乗り込み台44が突出して対向した主枠1下端2側の櫛5に架橋されて図16に示す状態となる。
【0038】
次いで、形成された車椅子積載面49に下端2側の乗降口4から車椅子48が搭載され、その後に第二作動機構13の第二駆動機構14の電動機が付勢されて第二車椅子用踏段39の伝動機構47が駆動される。これにより、車止め片46が上方へ突出して図17に示す状態となりこの車止め片46によって、車椅子積載面49に搭載された車椅子48の主枠1下端2方向への変位が阻止される。
【0039】
そして、第二作動機構13の第二駆動機構14の電動機が付勢されて第二車椅子用踏段39の伝動機構45が駆動される。これにより、乗り込み台44が引退して上昇踏み板40内に収納される。次いで、第一作動機構8及び第二作動機構13が下降して図18に示す状態となり、この状態で、第一作動機構8の昇降装置9の下降によって保持体26が下降するが、可動機構25が突出した正常状態である場合には、係止部27は円形カム30の第二係止溝32に嵌合する。
【0040】
これにより、図19に示す状態となり円形カム30の回動阻止、すなわち保持装置33による進退機構24の作動が阻止される。なお、第一作動機構8の支持体12の上昇中は第一検出器34が支持体12によって押圧されて動作し続け、第一作動機構8の下降によって第一検出器34の支持体12による押圧が解除されて不動作となる。
【0041】
また、可動機構25が正常に突出せず異常状態であるときには、第一作動機構8の昇降装置9の下降によって保持体26が下降するものの、係止部27が円形カム30の外周に支持されて図20に示す状態となる。このため、図21に示す距離Xだけ早期に第一検出器34の支持体12による押圧が解除されて不動作となる。
【0042】
このような構成によって、第一作動機構8の昇降装置9が下降を開始した後に、可動機構25の正常突出時よりも早期に第一検出器34が不動作になることにより、可動機構25の突出状況の異常が検出される。この異常検出を介して車椅子48搬送中の車椅子踏段付エスカレーターが停止し、また車椅子48の使用者、介助者に異常発生が報知される。
【0043】
そして、可動機構25が正常に突出している場合には、図18に示す状態で搬送帯6が上昇運転されて上昇踏み板40と第一車椅子用踏段23の踏み面からなる車椅子積載面49が水平姿勢を保持して下端2側の乗降口4から水平移動し、次いで傾斜角度が漸増する漸増傾斜移動する。次いで、一定傾斜角度による一定傾斜移動して主枠1上端3側の乗降口4に近づくと傾斜角度が漸減する漸減傾斜移動する。
【0044】
そして、主枠1上端3側の第一作動機構8の昇降装置9が上昇して図22に示す状態となり、傾斜車椅子用踏段17が第一作動機構8の制動された第一駆動機構11の上を通過するときに、傾斜踏板18は傾斜用ローラ20が傾斜用レール19に案内されて水平姿勢に配置される。これと共に、傾斜車椅子用踏段17の逆転ピニオン22が第一駆動機構11に係合して駆動され、この逆転ピニオン22の動作を介して傾斜踏板18が水平姿勢に保持される。
【0045】
次いで、第一車椅子用踏段23が水平移動区域に配置されて第一作動機構8に対向し、第二車椅子用踏段39が漸減傾斜移動区域に配置されて第二作動機構13に対向した位置で停止して図23に示す状態となる。この状態で、傾斜車椅子用踏段17は、移動方向に沿う長さのほぼ70%が乗降口4の櫛5に下方に進入した状態に配置される。
【0046】
そして、この状態において、車椅子積載面49から車椅子48が主枠1上端3側の乗降口4に降り立って車椅子49の上昇搬送が終了する。次いで、第二作動機構13が上昇して上昇位置にある第二車椅子用踏段39の上昇踏み板40を支持する。また、第一作動機構8が上昇して第一車椅子用踏段23の保持装置33による保持を解除して、図24に示す状態となる。
【0047】
そして、保持装置33の保持体26は第一作動機構8の支持体12によって押し上げられて、係止部27が円形カム30の第二係止溝32から外れている。このため、第一車椅子用踏段23に設けられた進退機構24の伝動軸29は回動可能になる。また、第二車椅子用踏段39の上昇踏み板40は第二作動機構13の昇降装置9に設けられた支持ローラ15に支持されている。
【0048】
次いで、主枠1上端3側の第一作動機構8の第一駆動機構11が付勢されて、第一車椅子用踏段23の進退機構24の鎖歯車が駆動される。これにより、可動機構25が引退して第一車椅子用踏段23と上昇踏み板40との連結が解除される。また、主枠1上端3側の第二作動機構13の第二駆動機構14が付勢されて、第二車椅子用踏段39の伝動機構47の鎖歯車が駆動される。これにより、車止め片46が引退して上昇踏み板40に収納されて図26に示す状態となる。
【0049】
そして、図26に示す状態から主枠1上端3側の第二作動機構13の昇降装置9が下降する。これにより、第二車椅子用踏段39の上昇踏み板40が、上昇時と同様に案内溝41と案内ローラ42の係合を介して下降する。そして、第二作動機構13の第二駆動機構14の動作により駆動される鎖歯車(図示しない)の回転を介して上昇踏み板40が第二車椅子用踏段39の基部に保持される。
【0050】
次いで、第一作動機構8が下降し、また第二作動機構13は第二車椅子用踏段39の基部に上昇踏み板40を保持する動作位置からさらに下降して図27に示す状態となる。この状態では、第二車椅子用踏段39の車止め片46等の可動部材が引退又は下降位置に保持される。また、第一車椅子用踏段23の保持装置33は保持体26の係止部27が円形カム30の第一係止溝31に嵌合する。これにより、進退機構24の伝動軸29の回動が阻止されて可動機構25が引退位置に保持される。この状態となって車椅子踏段付エスカレーターが通常運転に復帰する。
【0051】
なお、以上は車椅子48を主枠1下端2側の乗降口4から上端3側の乗降口4へ上昇搬送する場合について説明した。
これに対して、車椅子48を主枠1上端3側の乗降口4から下端2側の乗降口4へ下降搬送するときに、第一作動機構8、第二作動機構13等の関連機器を、車椅子48の上昇搬送時とは逆に動作させる。これによって、詳細な説明を省略するが車椅子48の上昇搬送時と同様な作用を得ることができる。
【0052】
以上説明したように漸増傾斜移動区間又は漸減傾斜移動区間に、第一車椅子用踏段23及び第二車椅子用踏段39のいずれかが移動し停止して状態、すなわち、車椅子48の上昇搬送時には第二車椅子用踏段39の主枠1下端2側の通常踏段7が、また下降搬送時には傾斜車椅子用踏段17が主枠1上端3側の昇降口4の櫛5の下側に配置された状態で車椅子積載面49が形成される。したがって、主枠1端部寄りに通常のエスカレーターよりも長い各踏段の水平移動区間を設けることなく車椅子48を搬送することができる。
【0053】
これにより、車椅子踏段付エスカレーターの設置要件として主枠1の全長を増したり、主枠1の両端を支持する建築梁の間隔を増大したりすることが不要になる。したがって、車椅子踏段付エスカレーター設置の制約、また既設の通常エスカレーターを車椅子踏段付エスカレーターに改造する場合の制約を解消することができる。また、第一作動機構8、第二作動機構13が昇降し、第一車椅子用踏段23及び第二車椅子用踏段39に係合して可動機構25による所要の作用が達成される。
【0054】
そして、可動機構25が正常に突出せず第二車椅子用踏段39の上昇踏み板40と第一車椅子用踏段23の連結が不完全となる異常状態であるときには、保持装置33によって、可動機構25の突出状況の異常が検出される。この異常検出を介して車椅子48搬送中の車椅子踏段付エスカレーターが停止し、また車椅子48の使用者、介助者に異常発生が報知される。
【0055】
このように、車椅子48搬送時に主枠1の端部において車椅子用踏段が停止した状態で、車椅子用踏段の保持装置33による可動機構25の動作位置保持が行われる。このため、可動機構25の動作が不完全のまま車椅子48が搬送される不具合の発生を未然に防止することができる。
【0056】
なお、図1〜図27の実施の形態において、第一車椅子用踏段23に設けられた連結腕が装備された可動機構25としたが、車椅子48搬送時に引退位置から作動位置に変位する車止め片46等からなる可動機構の配置を保持装置により所定状態に保持する構成として、このような構成に対しても図1〜図27の実施の形態における作用を得ることができる。
また、図1〜図27の実施の形態において、伝動軸29に固定された円形カム30には第一係止溝31及び第二係止溝32の二つの係止溝がある場合を示している。しかし、可動機構25の突出、引退が伝動軸29が丁度一回転することにより行われるように設定すれば、一つの係止溝を円形カム30に設けるのみで、図1〜図27の実施の形態における作用を得ることができる。
【0057】
実施の形態2.
図28〜図34は、この発明の他の実施の形態の一例を示す図で、図28は車椅子踏段付エスカレーターの第一車椅子用踏段箇所の右側面図であって前述の図5相当図、図29は図28の第一保持装置箇所の左側面図、図30は図28の第二保持装置箇所の右側面図、図31は図28における保持装置動作の第一状況を説明する図、図32は図31の第一保持装置箇所の左側面図、図33は図31の第二保持装置箇所の右側面図、図34は図28における保持装置動作の第二状況を説明する図である。
【0058】
なお、図28〜図34の他は前述の図1〜図27の実施の形態と同様に車椅子踏段付エスカレーターが構成されている。図において、前述の図1〜図27と同符号は相当部分を示し、50は第一円形カムで、伝動軸29に固定されて保持体26の係止部27に対向して配置されて、円周の一側に第一係止溝31が設けられている。33は保持体26及び第一円形カム50を主要部材として構成された第一保持装置である。
【0059】
261は第一車椅子用踏段23の下側に設けられた保持体で、逆U字状をなしU字の一側が第一車椅子用踏段23に上下に摺動可能に係合されて第一作動機構8の支持体121に対向する位置に配置され、U字の他側に係止部271が形成されて圧縮コイルばね28によって下方へ付勢されている。
【0060】
501は第二円形カムで、伝動軸29に固定されて保持体261の係止部271に対向して配置されて、円周に第二係止溝32が設けられている。331は保持体261及び第二円形カム501を主要部材として構成された第二保持装置である。341は第一作動機構8の第二支持体121に設けられた第4検出器で、第二支持体121の上昇によって第二保持体261に押圧されて動作する。
【0061】
上記のように構成された車椅子踏段付エスカレーターにおいて、前述の図1〜図27の実施の形態と同様に車椅子踏段付エスカレーターが運転される。すなわち、通常時において図28に示すように第一保持装置33の係止部27が第一円形カム50の第一係止溝31に嵌合し、第二保持装置331の係止部271は第二円形カム501の外周に支持される。これによって、進退機構24の伝動軸29の回動が阻止されて可動機構25が引退位置に保持される。
【0062】
そして、車椅子48の搬送時における第一作動機構8の上昇により支持体12によって第一保持装置33の保持体26が押し上げられ、また第二支持体121によって第二保持装置331の第二保持体261が押し上げられて図31に示す状態となる。
【0063】
これにより、第一検出器34が保持体26により、また第四検出器341が第二保持体261により押圧されて動作する。また、保持体26の上昇変位により係止部27が第一円形カム50の第一係止溝31から引退して第一円形カム50の回動阻止、すなわち第一保持装置33による進退機構24の作動阻止が解除される。
【0064】
なお、動作した第一検出器34及び第四検出器341の両者は、対応した保持体が係止溝に嵌合する場合に嵌合に要する行程分だけ不動作復帰が遅延する。このため、上記両者のいずれかが係止溝に嵌合したことを検出することができる。したがって、可動機構25の引退動作、突出動作をそれぞれ検出することができ、これにより車椅子48搬送運転時の制御精度を向上することができる。
【0065】
そして、車椅子48の搬送時における可動機構25の主枠1下端2側突出後の第一作動機構8の下降による支持体12の下降によって第一保持装置33の保持体26が第一円形カム50の外周に支持され、また第二支持体121の下降によって第二保持装置331の第二保持体261が第二円形カム501の第二係止溝32に嵌合する。これによって、図34に示す状態となり第二円形カム501の回動阻止、すなわち第二保持装置331により進退機構24の作動が阻止されて、可動機構25が突出状態に保持される。
【0066】
そして、車椅子48の搬送終了後の通常運転復帰による第一作動機構8の下降によって、図28に示す状態となり進退機構24の伝動軸29の回動が阻止されて可動機構25が引退位置に保持される。このように、保持装置により可動機構25の動作位置保持が行われるので、詳細な説明を省略するが図28〜図34の実施の形態においても図1〜図27の実施の形態と同様な作用が得られる。
【0067】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、多数の踏段が無端状に連結されて主枠内を循環移動する搬送帯と、この搬送帯の一部をなし踏段の間に設けられて要時に車椅子積載面を形成する車椅子用踏段と、この車椅子用踏段に装備されて常時は引退位置に保持され、要時に動作位置に変位して車椅子積載面を保持する可動機構と、この可動機構の変位に連動して回転する回転軸と、主枠の端部に設けられて常時は下降位置に保持され、要時に上昇して、停止した車椅子用踏段の可動機構を動作位置に変位させる作動機構と、車椅子用踏段に設けられ、回転軸の回転外周部に係止して可動機構を引退位置に保持し、作動機構の上昇を介して引退位置保持を解除し、作動機構による可動機構の動作位置変位後の作動機構の下降によって回転軸の回転外周部に係止して可動機構を動作位置に保持する保持装置とを設けたものである。
【0068】
これによって、車椅子搬送時に主枠の端部において車椅子用踏段が停止した状態で、車椅子用踏段の保持装置による可動機構の所定位置保持が行われる。したがって、可動機構の動作が不完全のまま車椅子が搬送される不具合の発生を未然に防止する効果がある。
【0069】
また、この発明は以上説明したように、可動機構の回転軸に固定されて外周部の一側の係止溝を介して可動機構を引退位置に保持し、外周部の一側に対向した他側の係止溝を介して可動機構を動作位置に保持する円形カムを装備した保持装置を設けたものである。
【0070】
これによって、車椅子搬送時に主枠の端部において車椅子用踏段が停止した状態で、車椅子用踏段に設けられた保持装置の円形カムの互いに離れた係止溝による可動機構の所定位置保持が行われる。したがって、可動機構の動作が不完全のまま車椅子が搬送される不具合の発生を未然に防止する効果がある。
【0071】
また、この発明は以上説明したように、可動機構の回転軸に固定され外周部の係止溝を介して可動機構を引退位置に保持する第一円形カム及び回転軸に固定され外周部の係止溝を介して可動機構を動作位置に保持する第二円形カムが装備された保持装置を設けたものである。
【0072】
これによって、車椅子搬送時に主枠の端部において車椅子用踏段が停止した状態で、車椅子用踏段に設けられた保持装置の第一円形カム及び第二円形カムそれぞれの係止溝による可動機構の所定位置保持が行われる。したがって、可動機構の動作が不完全のまま車椅子が搬送される不具合の発生を未然に防止する効果がある。
【0073】
また、この発明は以上説明したように、可動機構を引退位置に保持した状態及び可動機構を動作位置に保持した状態を検出する検出器が装備された保持装置を設けたものである。
【0074】
これによって、車椅子搬送時に主枠の端部において車椅子用踏段が停止した状態で、車椅子用踏段の保持装置による可動機構の所定位置保持が行われると共に、検出器により所定位置保持が検出される。したがって、可動機構の動作が不完全のまま車椅子が搬送される不具合の発生を未然に防止する効果がある。また、可動機構の動作不完全検出により車椅子踏段付エスカレーターの異常時制御を可能にし、また異常報知を可能にする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示す図で、車椅子踏段付エスカレーターの概念的側面図。
【図2】 車椅子搬送状況を示す図1の要部拡大図。
【図3】 図1の主枠の下端側での車椅子搬送の第一状況を説明する図。
【図4】 図3における車椅子搬送の第二状況を説明する図。
【図5】 図4の第一車椅子用踏段箇所の右側面図。
【図6】 図5の保持装置箇所の左側面図。
【図7】 図3における車椅子搬送の第三状況を説明する図。
【図8】 図7の第一車椅子用踏段箇所の右側面図。
【図9】 図8の保持装置箇所の左側面図。
【図10】 図8の第一カム箇所の右側面図。
【図11】 図8の第二カム箇所の左側面図。
【図12】 図3における車椅子搬送の第四状況を説明する図。
【図13】 図3における車椅子搬送の第五状況を説明する図。
【図14】 第一カム箇所の状況を示す図10相当図。
【図15】 第二カム箇所の状況を示す図11相当図。
【図16】 図3における車椅子搬送の第六状況を説明する図。
【図17】 図3における車椅子搬送の第七状況を説明する図。
【図18】 図3における車椅子搬送の第八状況を説明する図。
【図19】 図18における保持装置箇所の拡大図。
【図20】 図19における保持装置の異常状態を示す図。
【図21】 保持装置の状態を説明する図で、(a)は図19の直前状態、(b)は図19の直後状態、(c)は図20の状態を示す。
【図22】 主枠の上端側における車椅子搬送の第一状況を説明する図。
【図23】 図22における車椅子搬送の第二状況を説明する図。
【図24】 図22における車椅子搬送の第三状況を説明する図。
【図25】 図24の要部拡大図。
【図26】 図22における車椅子搬送の第四状況を説明する図。
【図27】 図22における車椅子搬送の第五状況を説明する図。
【図28】 この発明の実施の形態2を示す図で、車椅子踏段付エスカレーターの第一車椅子用踏段箇所の右側面図であって前述の図5相当図。
【図29】 図28の第一保持装置箇所の左側面図。
【図30】 図28の第二保持装置箇所の右側面図。
【図31】 図28における保持装置動作の第一状況を説明する図。
【図32】 図31の第一保持装置箇所の左側面図。
【図33】 図31の第二保持装置箇所の右側面図。
【図34】 図28における保持装置動作の第二状況を説明する図。
【符号の説明】
1 主枠、6 搬送帯、8 第一作動機構、13 第二作動機構、17 傾斜車椅子用踏段、23 第一車椅子用踏段、25 可動機構、30 円形カム、31 第一係止溝、32 第二係止溝、33 保持装置、34 第一検出器、341 第四検出器、39 第二車椅子用踏段、49 車椅子積載面、50 第一円形カム、501 第二円形カム。
Claims (4)
- 多数の踏段が無端状に連結されて主枠内を循環移動する搬送帯と、
この搬送帯の一部をなし上記踏段の間に設けられて要時に車椅子積載面を形成する車椅子用踏段と、
この車椅子用踏段に装備されて常時は引退位置に保持され、要時に動作位置に変位して上記車椅子積載面を保持する可動機構と、
この可動機構の変位に連動して回転する回転軸と、
上記主枠の端部に設けられて常時は下降位置に保持され、要時に上昇して、停止した上記車椅子用踏段の上記可動機構を動作位置に変位させる作動機構と、
上記車椅子用踏段に設けられ、上記回転軸の回転外周部に係止して上記可動機構を引退位置に保持し、上記作動機構の上昇を介して上記引退位置保持を解除し、上記作動機構による上記可動機構の動作位置変位後の上記作動機構の下降によって上記回転軸の回転外周部に係止して上記可動機構を上記動作位置に保持する保持装置と
を備えた車椅子踏段付エスカレーター。 - 可動機構の回転軸に固定されて外周部の一側の係止溝を介して上記可動機構を引退位置に保持し、上記外周部の上記一側に対向した他側の係止溝を介して上記可動機構を動作位置に保持する円形カムが装備された保持装置としたことを特徴とする請求項1記載の車椅子踏段付エスカレーター。
- 可動機構の回転軸に固定され外周部の係止溝を介して上記可動機構を引退位置に保持する第一円形カム及び上記回転軸に固定され外周部の係止溝を介して上記可動機構を動作位置に保持する第二円形カムが装備された保持装置としたことを特徴とする請求項1記載の車椅子踏段付エスカレーター。
- 可動機構を引退位置に保持した状態及び上記可動機構を動作位置に保持した状態を検出する検出器が装備された保持装置としたことを特徴とする請求項1、請求項2及び請求項3のいずれか一つに記載の車椅子踏段付エスカレーター。
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