JP2761008B2 - 光学活性化合物の製法 - Google Patents

光学活性化合物の製法

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JP2761008B2 JP63296459A JP29645988A JP2761008B2 JP 2761008 B2 JP2761008 B2 JP 2761008B2 JP 63296459 A JP63296459 A JP 63296459A JP 29645988 A JP29645988 A JP 29645988A JP 2761008 B2 JP2761008 B2 JP 2761008B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規な光学活性化合物の製法に関する。さら
に詳しくは、強誘電性液晶混合物の成分などとして有用
な新規な光学活性化合物の製法に関する。
[従来の技術] 現在、最も広く用いられている液晶表示素子はツイス
トマチック(TN)型表示素子であるが、発光型表示素子
(エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマデ
ィスプレイなど)と比べて応答が遅いという欠点を有し
ている。この欠点の改善のため種々の研究が試みられて
おり、TN型表示素子とは別な原理による液晶ディスプレ
イとして強誘電性液晶を用いる表示方法が提案されてい
る(エヌ・エー・クラーク(N.A.Clark)ら、アプライ
ド・フィジクス・レターズ(Applied Physics Letter
s)36,899(1980)参照)。
この表示方法は強誘電性液晶のカイラルスメクチック
C相またはカイラルスメクチックI相を利用するもので
あり、TN型表示素子に比べて高速応答性などが優れてい
る。さらに、大容量表示素子をつくるばあいにコントラ
ストが向上するなどの利点があるため、このような強誘
電性液晶材料としてカイラルスメクチック相を有する強
誘電性液晶化合物で自発分極の値(以下、Psという)が
大きな化合物が求められてきているが、充分満足しうる
ような性能を有するものはえられていないのが現状であ
る。
一方、スメクチック液晶に、それ自体は液晶性を示さ
ない光学活性を有するカイラルな化合物を添加すること
によっても強誘電性液晶混合物がえられることが知られ
ている。この混合物は、用いられる液晶モノマーの種類
とそれらの組成比または相溶性などによって性能が大き
く異なるため、強誘電性液晶材料の探索の範囲がさらに
広まっている。
しかしながら、一般に微生物による発酵により、また
は天然物として比較的容易に入手しうるアミノ酸、有機
酸、糖を除いて光学活性化合物の入手は困難である。と
くに前記スメクチック液晶に添加して使用される化合物
であって、スメクチック液晶との相溶性の高い光学活性
化合物をうる技術は完成されていない。
すなわち、従来行なわれていた生化学的手段または有
機化合物手法による光学活性化合物の合成法では適用範
囲が狭く、次のような欠点を有している。
たとえば生化学的手法として、パン酵母やデヒドロゲ
ナーゼを利用する不斉合成法があげられるが、この方法
では用いられる基質の水への溶解性により化学収率や光
学純度が著しく低下する傾向があり、一方、水に溶解し
ない化合物についてはこれらの方法を用いる有意性が認
められていない。
他の生化学的手法として、有機溶媒中でリパーゼを用
いてトリブチリンと第2級アルコールとを不斉エステル
交換反応させる方法があげられるが、この方法は反応速
度が非常に遅く、しかもえられる光学活性化合物がブチ
ルエステルに限定されるため、目的化合物をうるにはさ
らに数ステップの合成が必要になるという欠点がある。
一方、有機化学的手法によるばあいには、使用される
基質によって光学純度や化学収率が低く、えられる光学
活性化合物も低分子のものに限定されるばあいが多く、
スメクチック液晶への利用可能な光学活性化合物の合成
は困難である。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は既存のスメクチック液晶との相溶性が
よく、しかもPs値の大きな液晶混合物を与えうる光学活
性化合物を容易に製造しうる方法を提供することにあ
る。
[課題を解決するための手段] 本発明は、有機溶媒中、一般式(III): (式中、R1は炭素数1〜15のアルキル基またはアルキル
オキシ基、X1およびX2はいずれも水素原子、ハロゲン原
子またはシアノ基であり、X1とX2とは同じである必要は
ない)で表わされるラセミアルコールおよび2,2,2−ト
リクロロエタノールの脂肪酸エステル(脂肪酸の炭素数
2〜16)にリパーゼを作用せしめて、ラセミアルコール
の(+)体のみを選択的にエステル化合物としたのち、
生成系内から一般式(I): (式中、R1は炭素数1〜15のアルキル基またはアルキル
オキシ基、X1およびX2はいずれも水素原子、ハロゲン原
子またはシアノ基であり、X1とX2とは同じである必要は
ない)で表わされる未反応の(−)体のアルコールを分
離してうることを特徴とする光学活性化合物の製法およ
び 有機溶媒中、一般式(III): (式中、R1は炭素数1〜15のアルキル基またはアルキル
オキシ基、X1およびX2はいずれも水素原子、ハロゲン原
子またはシアノ基であり、X1とX2とは同じである必要は
ない)で表わされるラセミアルコールおよび2,2,2−ト
リクロロエタノールの脂肪酸エステル(脂肪酸の炭素数
2〜16)にリパーゼを作用せしめて、ラセミアルコール
の(+)体のみを選択的にエステル化合物としたのち、
生成系内から生成した一般式(II): (式中、R1は炭素数1〜15のアルキル基またはアルキル
オキシ基、R2は炭素数1〜15のアルキル基、X1およびX2
はいずれも水素原子、ハロゲン原子またはシアノ基であ
り、X1とX2とは同じである必要はない)で表わされる
(+)体のエステル化合物を分離してうることを特徴と
する光学活性化合物の製法 に関する。
なお、本発明で製造される光学活性化合物は、後述す
るように、さらに(+)体の光学活性アルコールや、
(−)体の光学活性エステルになしうるので、以下の説
明においては、便宜上、これらの光学活性化合物につい
ても説明する(以下、一般式(I)で表わされる(+)
体のアルコールを(+)−(I)アルコール、(−)体
のアルコールを(−)−(I)アルコールともいい、一
般式(II)で表わされる(+)体のエステルを(+)−
(II)エステル、(−)体のエステルを(−)−(II)
エステルともいう。) [実施例] 本発明により製造される光学活性化合物は一般式
(I): で表わされる光学活性化合物および一般式(II): で表わされる光学活性化合物である。
一般式(I)で表わされる光学活性化合物において、
R1は炭素数1〜15、好ましくは2〜12のアルキル基また
はアルキルオキシ基であり、X1およびX2はいずれも水素
原子、ハロゲン原子またはシアノ基である。
前記R1の炭素数が15をこえると粘度が高くない応答速
度が遅くなり、またR1がアルキル基またはアルキルオキ
シ基でないばあいには液晶組成物に添加したときのスメ
クチック相の熱安定性を急激に低下させやすい。
前記炭素数1〜15のアルキル基の具体例としては、た
とえばメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチ
ル、i−ブチル、ペンチル、1−または2−メチルブチ
ル、ヘキシル、1−または3−メチルペンチル、ヘプチ
ル、1−または4−メチルヘキシル、オクチル、1−メ
チルヘプチル、ノニル、1−または6−メチルオクチ
ル、デシル、1−メチルノニル、ウンデシル、1−メチ
ルデシル、ドデシル、1−メチルウンデシルなどがあげ
られるが、これらに限定されるものではない。これらの
アルキル基中には不斉炭素が含まれていてもよい。
また炭素数1〜15のアルキルオキシ基の具体例として
は、たとえばメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、i
−プロピルオキシ、ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、
ペンチルオキシ、1−または2−メチルブチルオキシ、
ヘキシルオキシ、1−または3−メチルペンチルオキ
シ、ヘプチルオキシ、1−または4−メチルヘキシルオ
キシ、オクチルオキシ、1−メチルヘプチルオキシ、ノ
ニルオキシ、1−または6−メチルオクチルオキシ、デ
シルオキシ、1−メチルノニルオキシ、ウンデシルオキ
シ、1−メチルデシルオキシ、ドデシルオキシ、1−メ
チルウンデシルオキシなどがあげられるが、これらに限
定されるものではない。これらのアルキルオキシ基中に
は不斉炭素が含まれてもよい。
前記X1およびX2がそれぞれ水素原子、ハロゲン原子ま
たはシアノ基でないばあいには強誘電性液晶材料として
の有意性を認めがたい。
前記一般式(II)で表わされる光学活性化合物におい
て、R2は炭素数1〜15、好ましくは2〜12のアルキル基
であり、R1、X1およびX2はいずれも一般式(I)で表わ
される化合物のばあいに同じである。
前記R2の炭素数が15をこえると、粘度が高くなり応答
速度が遅くなり、またR2がアルキル基でないばあいには
液晶組成物に添加したときのスメクチック相の熱安定性
を急激に低下させやすい。
R2の具体例としては、たとえば前記R1の具体例として
あげた炭素数1〜15のアルキル基と同じものがあげられ
る。
一般式(I)で表わされる光学活性化合物の具体例と
しては、たとえばパラ−(4−オクチルベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルアルコール、パラ−(4−ブ
チルベンジルオキシ)−α−メチルベンジルアルコー
ル、パラ−(4−アミルベンジルオキシ)−α−メチル
ベンジルアルコール、パラ−(4−エチルベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルアルコール、パラ−(4−オ
クチルオキシベンジルオキシ)−α−メチルベンジルア
ルコール、パラ−(4−ヘキシルオキシベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルアルコールなどのパラ−(4
−置換−ベンジルオキシ)−α−メチルベンジルアルコ
ール誘導体、これらのベンゼン環の側位の3位またはメ
タ位がハロゲン原子またはシアノ基で置換されたアルコ
ールの(+)体および(−)体があげられる。また、一
般式(II)で表わされる光学活性化合物は前記一般式
(I)で表わされる光学活性化合物の酢酸、酪酸、ヘプ
タン酸などとのエステルがあげられる。なお、これら光
学活性アルコールおよび光学活性エステルは一般式
(I)または一般式(II)で表わされる光学活性化合物
の一例に過ぎず、本発明は前記化合物に限定されるもの
ではない。
前記光学活性化合物は(+)体であってもよく、
(−)体であってもよいが、一般式(I)で表わされる
化合物は(−)体で、一般式(II)で表わされる化合物
は(+)体であるのが、製造しやすいなどの点から好ま
しい。
また前記光学活性化合物の光学純度は100%であるの
が強誘電性液晶混合物をうるのに添加量が少量(2〜10
%)で済み、スメクチック相の相転移温度への影響を無
視できるなどの点から好ましいが、光学純度が85%程度
以上であれば強誘電性液晶混合物をうるための添加剤な
どの用途に使用するのにとくに問題はない。
一般式(I)および一般式(II)で表わされる光学活
性化合物は、置換アルキル基またはアルキルオキシ基の
炭素数によっても異なるが、通常は白色結晶のごとき性
状を有する。
また一般式(II)で表わされる光学活性化合物は、既
存の多くの液晶性物質と相溶性が高いので液晶材料の成
分として混合使用しうる。とくにスメクチック液晶混合
物の成分として用いると、えられるスメクチック相にお
いて大きなPs値を実現できる。さらに、本発明の光学活
性アルコールおよび光学活性エステルはいずれも医薬、
農薬、香料などの原料としても好適に用いることができ
る。
つぎに一般式(I)または一般式(II)で表わされる
化合物を製造する本発明の製法について説明する。
一般式(I)または(II)で表わされる光学活性化合
物は、一般式(III): (式中、R1、X1およびX2はいずれも前記と同じ)で表わ
されるパラ−(4−アルキルベンジルオキシ)−α−メ
チルベンジルアルコール、パラ−(4−アルキルオキシ
ベンジルオキシ)−α−メチルベンジルアルコールまた
はこれらの化合物のベンゼン環の側位の唯1つがハロゲ
ン原子もしくはシアノ基で置換されたラセミアルコール
(X1およびX2のどちらか1個、またはX1およびX2の両方
が置換されたラセミアルコール)を光学分割することに
より製造される。すなわち、一般式(I)で表わされる
光学活性アルコールはパラ−(4−アルキルベンジルオ
キシ)−α−メチルベンジルアルコール、パラ−(4−
アルキルオキシベンジルオキシ)−α−メチルベンジル
アルコールまたはこれらの化合物のベンゼン環の側位の
唯1つがハロゲン原子もしくはシアノ基で置換された化
合物の(+)体のアルコールおよび(−)体のアルコー
ルであり、一般式(II)で表わされる光学活性エステル
は前記一般式(I)で表わされる光学活性アルコールに
対応する脂肪酸エステルである。
本発明の製法においては、前記一般式(III)で表わ
されるラセミアルコールと、2,2,2−トリクロロエタノ
ールの脂肪酸エステル(脂肪酸の炭素数2〜16)との反
応が、有機溶媒中、リパーゼを用いて行なわれる。リパ
ーゼはラセミアルコールの(+)体のみを選択的にエス
テル化するため該反応により(+)−(II)エステルと
(−)−(I)アルコールがえられる。また(+)−
(II)エステルは加水分解により(+)−(I)アルコ
ールに、(−)−(I)アルコールはエステル化により
(−)−(II)エステルになしうる。
一般式(III)で表わされるラセミアルコールをうる
方法にはとくに制限はなく、該アルコールがえられる方
法であるかぎりいかなる方法によってもよい。
たとえば、一般式(III)における置換基R1がアルキ
ル基のばあいには目的物に対応するパラアルキル安息香
酸メチルを用い、また置換基R1がアルキルオキシ基のば
あいには、まず下記反応式に示すようにパラヒドロキシ
安息香酸メチルと目的物の置換基R1に対応するハロゲン
化アルキルとをウイリアムソン合成法によってパラアル
キルオキシ安息香酸メチルを合成し、これを用いる。
(式中、Rは炭素数1〜15のアルキル基を示す) つぎに下記反応式に示すとおりのパラ置換安息香酸メ
チルをLiAlH4などにより還元させ、ついでPBr3などによ
り臭素化したのち、パラヒドロキシアセトフェノンと反
応させてウイリアムソン合成法によりエーテル化した化
合物を、水素化ホウ素ナトリウムなどにより還元する方
法があげられる。
前記2,2,2−トリクロロエタノールの炭素数2〜16の
脂肪酸エステルはエステル交換剤として用いられる。こ
の脂肪酸の炭素数はえられる一般式(II)で表わされる
化合物のR2の炭素数に対応しており、脂肪酸に炭素数を
適宜選択して用いることにより目的に応じた化合物がえ
られる。すなわち、本発明ではエステル交換剤として、
それぞれに炭素数の違った脂肪酸を用いているため、従
来法に比べて反応ステップを減少させることができる。
2,2,2−トリクロロエタノールの脂肪酸エステルの具体
例としては、たとえば2,2,2−トリクロロエチルアセテ
ート、2,2,2−トリクロロエチルブチレート、2,2,2−ト
リクロロエチルヘプタノエートなどがあげられる。2,2,
2−トリクロロエタノールの脂肪酸エステルの代わりに
他のエステル交換剤、たとえば2−クロロエチルアセテ
ート、トリブチリン、トリクロロエチルアセテート、エ
チルアセテートなども使用可能ではあるが、反応速度が
2,2,2−トリクロロエタノールの脂肪酸エステルに比べ
て著しく遅くなるので実用的でない。
前記リパーゼとは、2,2,2−トリクロロエタノールの
脂肪酸エステルを用いて、有機溶媒中で一般式(III)
で表わされるラセミアルコールのうちの(+)体のみを
不斉的にエステル化しうるものであれば何ら制限なく使
用することができ、微生物由来のものでも、動物由来の
ものでも、また市販のものでもよい。かかる酵素の具体
例としては、たとえば微生物由来の酵素であるシュード
モナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)な
どのシュードモナス属、アクロモバクテリウム・ビスコ
スム(Achromobacterium viscosm)などのアクロモバク
テリウム属に属する微生物から産生された酵素など、ま
た動物由来の酵素としては豚の翠臓から産生された酵素
などがあげられるが、何らこれらに限定されるものでは
ない。
これらの酵素の市販品としては、たとえばリパーゼ
「アマノ」P(天野製薬(株)製、商品名)、リパーゼ
東洋(東洋醸造(株)製、商品名)、パンクレアチンリ
パーゼ(天野製薬(株)製、商品名)、パンクレチアチ
ンリパーゼ(シグマ(株)製、商品名)、リパーゼB
(和光純薬工業(株)製、商品名)、リパーゼMY(名糖
産業(株)製、商品名)などがあげられる。
本発明の製法に用いられる有機溶媒は、一般式(II
I)で表わされるラセミアルコールおよび2,2,2−トリク
ロロエタノールの脂肪酸エステルを溶解し、リパーゼの
酵素活性を阻害しないなどの要件を満たす限りとくに限
定なく使用しうる。このような有機溶媒の具体例として
は、たとえばジエチルエーテル、メチルエチルエーテ
ル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、ト
ルエンなどがあげられる。
本発明の製法においては一般式(III)で表わされる
ラセミアルコール、2,2,2−トリクロロエタノールの脂
肪酸エステルおよびリパーゼを含む有機溶媒が調製され
るが、この調製法にはとくに限定はなく、たとえば一般
式(III)で表わされるラセミアルコール、2,2,2−トリ
クロロエタノールの脂肪酸エステルおよびリパーゼを有
機溶媒に加えて調製してもよく、それらを別々に溶かす
かまたは分散させた液を混合して調製してもよく、さら
には溶解させにくいが加熱溶解しうるもののみを先に溶
解させたのち他のものを加えて調製してもよい。
一般式(III)で表わされるラセミアルコールと2,2,2
−トリクロロエタノールの脂肪酸エステルとの使用割合
は、一般式(III)で表わされるラセミアルコール1モ
ルに対して2,2,2−トリクロロエタノールの脂肪酸エス
テル0.5〜2.0モルを使用するのが好ましく、1〜1.5モ
ル使用するのがさらに好ましい。2,2,2−トリクロロエ
タノールの脂肪酸エステルの使用割合が0.5モル未満の
ばあいには一般式(III)で表わされるラセミアルコー
ル中の(+)体よりモル量で少なくなるため、(+)体
のすべてをエステル化させることができなくなり、一方
2モルをこえるばあいには使用した2,2,2−トリクロロ
エタノールの脂肪酸エステルのうちで反応に関与しなく
なる割合が増加し、経済性が低下する。
またリパーゼの使用量は、一般式(III)で表わされ
る化合物1モルに対して10〜600gが好ましく、さらには
100〜500gが好ましい。前記使用量が10g未満のばあいに
は反応速度が遅く経済的に不利であり、600gをこえるば
あいには反応速度に比べて酵素が過剰になりすぎ経済的
に不利となる。
さらに一般式(III)で表わされるラセミアルコール
および2,2,2−トリクロロエタノールの脂肪酸エステル
の合計使用量の割合は、これらを有機溶媒にとかした溶
液の重量に対して0.1〜50%(重量%、以下同様)が好
ましく、さらに好ましくは10〜30%である。前記使用割
合が0.1%未満のばあいには反応液量の割には収率が低
くなる傾向があり、コスト的に高くなり、50%をこえる
ばあいには濃度が高すぎるため反応速度が低下し収率が
低くなる傾向がある。
本発明の製法においてはリパーゼを使用するため、通
常10〜40℃、好ましくは25〜30℃の反応温度が採用され
る。反応時間は一般式(III)で表わされるラセミアル
コールやリパーゼの種類、一般式(III)で表わされる
ラセミアルコール、2,2,2−トリクロロエタノールの脂
肪酸エステルおよびリパーゼの使用割合、撹拌状態など
により異なり、一概に規定できないが、通常は1〜150
時間、好ましくは24〜96時間程度である。
反応の終了はガスクロマトグラフィー法で一般式(II
I)で表わされるラセミアルコールのエステルへの変換
率を測定し、該変換率が一定になることによって確かめ
られる。
かくしてえられた反応混合物は、まずろ過などによっ
てリパーゼが除かれる。そののち、要すれば有機溶媒な
どを除去したのち、たとえばシリカゲルクロマトグラフ
ィー法により(+)−(II)エステルと(−)−(I)
アルコールとに分離される。さらに、このようにして分
離されたものにエステル交換反応によって生成したアル
コールまたは未反応の2,2,2−トリクロロエタノールの
脂肪酸エステルが混入しているばあいには、蒸留などの
方法により精製すればよい。なお、カラムクロマトグラ
フィーの展開溶媒としては、たとえば酢酸エチル/n−ヘ
キサン混合液(酢酸エチル/n−ヘキサンが容量比で1/4
〜1/20のもの)、クロロホルム/メタノール混合液(ク
ロロホルム/メタノールが容量比で1/10〜1/40のもの)
などを用いるのが好ましい。
また、前記分離した使用済のリパーゼは再使用しう
る。
えられた化合物の同定は、1H−NMRスペクトル、IRス
ペクトル、比旋光度などを測定することによって行なわ
れる。
さらにえられた(+)−(II)エステルは酵素的また
は化学的方法などにより加水分解すれば、容易に(−)
−(I)アルコールの鏡像体である(+)−(I)アル
コールになしうる。また、(−)−(I)アルコールは
エステル化すれば(+)−(II)エステルの鏡像体であ
る(−)−(II)エステルになしうる。
このようにして一般式(I)または一般式(II)で表
わされる光学活性化合物を80〜90%の収率でうることが
できる。
以下に、本発明を実施例をあげてさらに詳細に説明す
るが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
実施例1 無水ジエチルエーテル100ml中に(±)−パラ−(4
−オクチルオキシベンジルオキシ)−α−メチルベンジ
ルアルコール3.57g(0.01モル)および2,2,2−トリクロ
ロエチルヘプタノエート2.69g(0.0102モル)を溶解さ
せ、次いでリパーゼP「アマノ」(天野製薬(株)製、
商品名)5gを加え、よく分散するように撹拌しながら25
℃で96時間反応させた。反応は8時間毎にガスクロマト
グラフィー法によりエステルへの変換率を追跡すること
によって行なった。エステルへの変換率が一定となり反
応が終了したことを確認したのち、吸引濾過によりリパ
ーゼを除去した。
濾液を濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィ−(酢酸
エチル/n−ヘクサン=1/4(容量比、以下同様))によ
り、(−)−パラ−(4−オクチルオキシベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルアルコールと、2,2,2−トリ
クロロエタノールと、(+)−パラ−(4−オクチルオ
キシベンジルオキシ)−α−メチルベンジルヘプタノエ
ートとに分離し、さらにエステル成分には未反応の2,2,
2−トリクロロエチルヘプタノノエートが混入していた
ため、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキ
サン=1/6〜1/12)によりエステル2成分を分離精製し
た。これらのフラクションのうち、(−)−パラ−(4
−オクチルオキシベンジルオキシ)−α−メチルベンジ
ルアルコールの分画を減圧濃縮したところ、1.59g(収
率89.1%)をえた。また、(+)−パラ−(4−オクチ
ルオキシベンジルオキシ)−α−メチルベンジルヘプタ
ノエートの分画についても同様に減圧濃縮し、2.01g
(収率85.8%)をえた。
なお、えられた化合物は、1H−NMRスペクトル分析
法、IRスペクトル分析法により分析し、目的の化合物で
あることを確認した。また、比旋光度および融点の測定
結果は次に示すとおりであった。
(−)−パラ−(4−オクチルオキシベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルアルコール 比旋光度:[α]D 25=−19.72゜(c=1.00,CHCl3) 融 点:86.5℃1 H−NMR(300MHz,CDCl3中,δ値(ppm)): 0.89(m,3H)、1.30(m,10H)、1.47(d,3H)、1.70
(s,1H)、1.77(m,2H)、3.94(t,2H)、4.83(q,1
H)、4.97(s,2H)、6.91(m,4H)、7.30(m,4H) IR(KBt,cm-1): 3302、3063、3040、2955、2932、2855、1890、1609、
1586、1516、1466、1370、1300、1246、1177、1069、10
15、895、829、787、725、613 (+)−パラ−(4−オクチルオキシベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルヘプタノエート 比旋光度:[α]D 25=+52.98゜(c=1.01,CHCl3) 融 点:53.0℃1 H−NMR(300MHz,CDCl3中,δ値(ppm)): 0.89(m,6H)、1.30(m,14H)、1.43(m,2H)、1.50
(d,3H)、1.57(m,2H)、1.77(m,2H)、2.28(t,2
H)、3.94(t,2H)、4.95(s,2H)、5.84(q,1H)、6.9
2(m、4H)、7.30(m、4H) IR(KBr,cm-1): 3445、3067、3032、2955、2932、2874、2855、1886、
1732、1613、1582、1516、1467、1420、1292、1250、11
73、1111、1065、1007、907、841、814、725、613 実施例2 2,2,2−トリクロロエチルヘプタノエートの代わりに
2,2,2−トリクロロエチルブチレート2.24g(0.0102モ
ル)を用いた他は実施例1と同様の操作を行ない、
(−)−パラ−(4−オクチルオキシベンジルオキシ)
−α−メチルベンジルアルコール1.63g(収率91.3
%)、(+)−パラ−(4−オクチルオキシベンジルオ
キシ)−α−メチルベンジルブチレート1.77g(収率83.
0%)をえた。
(−)−パラ−(4−オクチルオキシベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルアルコール 比旋光度:[α]D 25=−21.17゜(c=1.00,CHCl3) 融 点:87.5℃1 H−NMR(300MHz,CDCl3中,δ値(ppm)): 0.88(t,3H)、1.29(m,10H)、1.47(d,3H)、1.70
(s,1H)、1.77(m,2H)、3.94(t,2H)、4.83(q,1
H)、4.96(s,2H)、6.91(m,4H)、7.30(m,4H) IR(KBr,cm-1): 3302、3063、3040、2955、2932、2855、1890、1609、
1586、1516、1466、1370、1300、1246、1177、1069、10
15、895、829、787、725、613 (+)−パラ−(4−オクチルオキシベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルブチレート 比旋光度:[α]D 25=+63.15゜(c=1.03,CHCl3) 融 点:47.5℃1 H−NMR(300MHz,CDCl3中,δ値(ppm)): 0.89(m,6H)、1.29(m,8H)、1.43(m,2H)、1.50
(d,3H)、1.62(m,2H)、1.77(m,2H)、2.28(t,2
H)、3.94(t,2H)、4.95(s,2H)、5.84(q,1H)、6.9
1(m,4H)、7.30(m,4H) IR(KBr,cm-): 3445、3067、3032、2959、2932、2874、2855、1886、
1732、1613、1582、1516、1470、1420、1385、1300、12
46、1177、1110、1065、1003、841、814、613 実施例3 無水ジエチルエーテル70ml、(±)−パラ−(4−オ
クチルオキシベンジルオキシ)−α−メチルベンジルア
ルコールの代わりに(±)−パラ−(4−ヘキシルオキ
シベンジルオキシ)−α−メチルベンジルアルコール3.
28g(0.01モル)を用いた他は実施例1と同様の操作を
行ない、(−)−パラ−(4−ヘキシルオキシ)−α−
メチルベンジルアルコール1.47g(収率89.6%)、
(+)−パラ−(4−ヘキシルオキシベンジルオキシ)
−α−メチルベンジルヘプタノエート1.74g(収率79.0
%)をえた。
(−)−パラ−(4−ヘキシルオキシベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルアルコール 比旋光度:[α]D 25=−24.42゜(c=1.04,CHCl3) 融 点:84.0℃1 H−NMR(300MHz,CDCl3中,δ値(ppm)) 0.90(t,3H)、1.32(m,6H)、1.47(d,3H)、1.63
(s,1H)、1.77(m,2H)、3.95(t,2H)、4.84(q,1
H)、4.97(s,2H)、6.91(m,4H)、7.30(m,4H) IR(KBr,cm-): 3302、3063、3040、2955、2932、2862、1890、1609、
1586、1516、1466、1385、1300、1246、1177、1069、10
15、895、829、787、613 (+)−パラ−(4−ヘキシルオキシベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルヘプタノエート 比旋光度:[α]D 25=−55.06゜(c=1.05,CHCl3) 融 点:46.5℃1 H−NMR(300MHz,CDCl3中,δ値(ppm)): 0.88(m,6H)、1.29(m,10H)、1.43(m,2H)、1.50
(d,3H)、1.58(m,2H)、1.77(m,2H)、2.28(t,2
H)、3.94(t,2H)、4.95(s,2H)、5.84(q,1H)、6.9
1(m,4H)、7.30(m,4H) IR(KBr,cm-1): 3445、3067、3032、2951、2936、2866、1886、1732、
1613、1586、1516、1466、1416、1385、1292、1250、11
73、1111、1067、1003、934、875、841、818、725、610 実施例4 2,2,2−トリクロロエチルヘプタノエートの代わりに
2,2,2−トリクロロエチルブチレート2.24g(0.0102モ
ル)を用いた他は実施例3と同様の操作を行ない、
(−)−パラ−(4−ヘキシルオキシベンジルオキシ)
−α−メチルベンジルアルコール1.44g(収率87.8
%)、(+)−パラ−(4−ヘキシルオキシベンジルオ
キシ)−α−メチルベンジルブチレート1.68g(収率84.
3%)をえた。
(−)−パラ−(4−ヘキシルオキシベジルオキシ)
−α−メチルベンジルアルコール 比旋光度:[α]D 25=−24.26゜(c=1.02,CHCl3) 融 点:84.5℃1 H−NMR(300MHz,CDCl3中,δ値(ppm)): 0.89(t,3H)、1.32(m,6H)、1.47(d,3H)、1.62
(s,1H)、1.77(m,2H)、3.94(t,2H)、4.83(q,1
H)、4.96(s,2H)、6.91(m,4H)、7.30(m,4H) IR(KBr,cm-1): 3302、3063、3040、2995、2932、2862、1890、1609、
1586、1516、1466、1385、1300、1246、1177、1069、10
15、895、829、787、613 (+)−パラ−(4−ヘキシルオキシベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルブチレート 比旋光度:[α]D 25=+64.67゜(c=1.00,CHCl3) 融 点:48.0℃1 H−NMR(300MHz,CDCl3中,δ値(ppm)): 0.90(m,6H)、1.32(m,4H)、1.43(m,2H)、1.50
(d,3H)、1.63(m,2H)、1.77(m,2H)、2.28(t,2
H)、3.94(t,2H)、4.96(s,2H)、5.85(q,1H)、6.9
1(m,4H)、7.30(m,4H) IR(KBr,cm-1): 3445、3067、3032、2959、2936、2874、1886、1732、
1613、1586、1516、1466、1416、1385、1300、1246、11
77、1111、1065、1003、876、841、814、748、610 実施例5 無水ジエチルエーテル70ml、(±)−パラ−(4−オ
クチルオキシベンジルオキシ)−α−メチルベンジルア
ルコールの代わりに(±)−パラ−(4−ブチルオキシ
ベンジルオキシ)−α−メチルベンジルアルコール3.00
g(0.01モル)を用いた他は実施例1と同様の操作を行
ない、(−)−パラ−(4−ブチルオキシベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルアルコール1.32g(収率88.0
%)、(+)−パラ−(4−ブチルオキシベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルヘプタノエート1.66g(収率8
0.5%)をえた。
(−)−パラ−(4−ブチルオキシベンジルオキシ)
−α−メチルベンジルアルコール 比旋光度:[α]D 25=−25.92゜(c=1.02,CHCl3) 融 点:88.5℃1 H−NMR(300MHz,CDCl3中、δ値(ppm)): 0.97(t,3H)、1.47(d,3H)、1.49(m,2H)、1.70
(s,1H)、1.77(m,2H)、3.95(t,2H)、4.84(q,1
H)、4.97(s,2H)、6.92(m,4H)、7.30(m,4H) IR(KBr,cm-1): 3306、3067、3040、2955、2932、2870、1863、1609、
1586、1516、1470、1385、1300、1246、1177、1069、10
07、895、829、783、613 (+)−パラ−(4−ブチルオキシベンジルオキシ)
−α−メチルベンジルヘプタノエート 比旋光度:[α]D 25=+61.25゜(c=1.13、CHCl3) 融 点:オイル状1 H−NMR(300MHz,CDCl3中,δ値(ppm)): 0.87(t,3h)、0.97(t,3H),1.28(m,6H)、1.47
(m,2H),1.50(d,3H)、1.58(m,2H)、1.76(m,2
H)、2.28(t,2H)、3.95(t,2H)、4.95(s,2H)、5.8
4(q,1H)、6.91(m,4h)、7.30(m,4H) IR(KBr,cm-1): 3445、3036、2959、2932、2870、1883、1732、1613、
1586、1512、1466、1377、1300、1242、1173、1111、10
65、1011、872、829、729、637、610 実施例6 2,2,2−トリクロロエチルヘプタノエートの代わりに
2,2,2−トリクロロエチルブチレート2,24g(0.0102モ
ル)を用いた他は実施例5と同様の操作を行ない、
(−)−パラ−(4−ブチルオキシベンジルオキシ)−
α−メチルベンジルアルコール1.37g(収率91.3%)、
(+)−パラ−(4−ブチルオキシベンジルオキシ)−
α−メチルベンジルブチレート1.61g(収率86.9%)を
えた。
(−)−パラ−(4−ブチルオキシベンジルオキシ)
−α−メチルベンジルアルコール 比旋光度:[α]D 25=−26.15゜(c=1.09、CHCl3) 融 点:89.5℃1 H−NMR(300MHz,CDCl3中、δ値(ppm)): 0.97(t,3H)、1.47(d,3H)、1.48(m,2H)、1.68
(s,1H)、1.76(m,2H)、395(t,2H)、4.83(q,1
H)、4.96(s,2H)、6.92(m,4H)、7.30(m,4H) IR(KBr,cm-1): 3306、3067、3040、2955、2932、2870、1863、1609、
1586、1516、1470、1385、1300、1246、1177、1069、10
07、895、829、783、613 (+)−パラ−(4−ブチルオキシベンジルオキシ)
−α−メチルベンジルブチレート 比旋光度:[α]D 25=+71.19゜(c=1.12、CHCl3) 融 点:37.5℃1 H−NMR(300MHz,CDCl3中、δ値(ppm)): 0.91(t,3H)、0.97(t,3H)、1.47(m,2H)、1.50
(d,3H)、1.63(m,2H)、1.76(m,2H)、2.28(t,2
H)、3.95(t,2H)、4.96(s,2H)、5.85(q,1H)、6.9
1(m,4H)、7.30(m,4H) IR(KBr,cm-1): 3445、3067、3035、2959、2932、2874、1890、1736、
1613、1582、1516、1466、1377、1300、1242、1177、11
11、1069、1007、972、876、826、610 実施例7 (±)−パラ−(4−オクチルオキシベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルアルコールの代わりに(±)
−パラ−(4−オクチルベンジルオキシ)−α−メチル
ベンジルアルコール3.41g(0.01モル)を用いた他は実
施例1と同様の操作を行ない、(−)−パラ−(4−オ
クチルベンジルオキシ)−α−メチルベンジルアルコー
ル1.46g(収率85.6%)、(+)−パラ−(4−オクチ
ルベンジルオキシ)−α−メチルベンジルヘプタノエー
ト1.92g(収率84.8%)をえた。
(−)−パラ−(4−オクチルベンジルオキシ)−α
−メチルベンジルアルコール 比旋光度:[α]D 25=−21.50゜(c=1.03、CHCl3) 融 点:87.5℃1 H−NMR(300MHz,CDCl3中、δ値(ppm)): 0.97(t,3H)、1.36(m,10H)、1.55(d,3H)、1.67
(m,2H)、1.86(s,1H)、2.66(t,2H)、4.93(q,1
H)、4.96(s,2H)、7.23(m,4H)、7.40(m,4H) IR(KBr,cm-1): 3302、3063、3040、2955、2932、2850、1889、1609、
1585、1516、1465、1370、1300、1246、1178、1070、10
15、895、830、787、613 (+)−パラ−(4−オクチルベンジルオキシ)−α
−メチルベンジルヘプタノエート 比旋光度:[α]D 25=+51.88゜(c=1.01、CHCl3) 融 点:53.1℃1 H−NMR(300MHz,CDCl3中、δ値(ppm)): 0.95(m,6H)、1.36(m,14H)、1.43(m,2H)、1.50
(d,3H)、1.57(m,2H)、1.78(m,2H)、2.28(t,2
H)、2.66(t,2H)、4.96(s,2H)、5.84(q,1H)、7.2
3(m,4H)、7.40(m,4H) IR(KBr,cm-1): 3445、3067、3032、2955、2932、2874、2855、1886、
1732、1613、1516、1470、1419、1250、1173、1065、10
07、876、841、814 実施例8 リパーゼP「アマノ」(天野製薬(株)製、商品名)
の代わりにリパーゼType II(シグマ社製、ブタ膵臓由
来)5gを用いた他は実施例1と同様の操作を行ない、
(−)−パラ−(4−オクチルオキシベンジルオキシ)
−α−メチルベンジルアルコール1.70g(収率95.2
%)、(+)−パラ−(4−オクチルオキシベンジルオ
キシ)−α−メチルベンジルヘプタノエート1.76g(収
率75.1%)をえた。えられた化合物の1H−NMRスペクト
ル、IRスペクトルは実施例1に示したものと同じであ
り、また、比旋光度および融点の測定結果は次に示す通
りであった。
(−)−パラ−(4−オクチルオキシベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルアルコール 比旋光度:[α]D 25=−17.96゜(c=1.05、CHCl3) 融 点:85.0℃ (+)−パラ−(4−オクチルオキシベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルヘプタノエート 比旋光度:[α]D 25=+53.01゜(c=1.10、CHCl3) 融 点:53.0℃ 実施例9 リパーゼP「アマノ」(天野製薬(株)製、商品名)
の代わりにリパーゼMY(名糖産業(株)製、商品名)5g
を用いた他は実施例1と同様の操作を行ない、(−)−
パラ−(4−オクチルオキシベンジルオキシ)−α−メ
チルベンジルアルコール1.96g(収率109.8%)、(+)
−パラ−(4−オクチルオキシベンジルオキシ)−α−
メチルベンジルヘプタノエート1.53g(収率65.3%)を
えた。えられた化合物の1H−NMRスペクトル、IRスペク
トルは実施例1に示したものと同じであり、また、比旋
光度および融点の測定結果は次に示す通りであった。
(−)−パラ−(4−オクチルオキシベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルアルコール 比旋光度:[α]D 25=−13.01゜(c=1.08、CHCl3) 融 点:83.5℃ (+)−パラ−(4−オクチルオキシベンジルオキ
シ)−α−メチルベンジルヘプタノエート 比旋光度:[α]D 25=+52.34゜(c=1.12、CHCl3) 融 点:53.0℃ 実施例10 実施例7でえられた(+)−パラ−(4−オクチルベ
ンジルオキシ)−α−メチルベンジルヘプタノエートを
用い、以下に示す組成の液晶組成物を調製した。
この液晶組成物は室温でスメクチックC相を示し、そ
の相転移は下記のとおりであった。
(ここでSC、SA、N、IはそれぞれスメクチックC相、
スメクチックA相、ネマチック相、等方性液体を示
す。) 2枚のガラス基板上にITO膜を形成し、さらにSiO2
を形成し、ナイロン膜を塗布し、ラビングした。つぎに
この2枚のガラス基板をセル厚2μmになるように張り
合わせ、液晶組成物を注入したのち、いったん液晶組成
物が等方性液体に変化する75℃にセルを加熱し、その後
1℃/minで室温まで冷却することにより良好な配向を有
する強誘電性液晶表示素子をえた。
この液晶表示素子を2枚の直交する偏光子の間に設置
し、VP-P=20Vの矩形波を印加したところ透過光強度の
変化が観察された。透過光強度の変化より求めた応答速
度は、25℃で190μsec、チルト角度は12゜であった。
[発明の効果] 本発明により製造される光学活性化合物は、強誘電性
液晶混合物の成分などとして有用な化合物であり、本発
明の製法によれば、該光学活性化合物を容易に製造する
ことができる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 41/00 REGISTRY(STN) CA(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機溶媒中、一般式(III): (式中、R1は炭素数1〜15のアルキル基またはアルキル
    オキシ基、X1およびX2はいずれも水素原子、ハロゲン原
    子またはシアノ基であり、X1とX2とは同じである必要は
    ない)で表わされるラセミアルコールおよび2,2,2−ト
    リクロロエタノールの脂肪酸エステル(脂肪酸の炭素数
    2〜16)にリパーゼを作用せしめて、ラセミアルコール
    の(+)体のみを選択的にエステル化合物としたのち、
    生成系内から一般式(I): (式中、R1は炭素数1〜15のアルキル基またはアルキル
    オキシ基、X1およびX2はいずれも水素原子、ハロゲン原
    子またはシアノ基であり、X1とX2とは同じである必要は
    ない)で表わされる未反応の(−)体のアルコールを分
    離してうることを特徴とする光学活性化合物の製法。
  2. 【請求項2】有機溶媒中、一般式(III): (式中、R1は炭素数1〜15のアルキル基またはアルキル
    オキシ基、X1およびX2はいずれも水素原子、ハロゲン原
    子またはシアノ基であり、X1とX2とは同じである必要は
    ない)で表わされるラセミアルコールおよび2,2,2−ト
    リクロロエタノールの脂肪酸エステル(脂肪酸の炭素数
    2〜16)にリパーゼを作用せしめて、ラセミアルコール
    の(+)体のみを選択的にエステル化合物としたのち、
    生成系内から生成した一般式(II): (式中、R1は炭素数1〜15のアルキル基またはアルキル
    オキシ基、R2は炭素数1〜15のアルキル基、X1およびX2
    はいずれも水素原子、ハロゲン原子またはシアノ基であ
    り、X1とX2とは同じである必要はない)で表わされる
    (+)体のエステル化合物を分離してうることを特徴と
    する光学活性化合物の製法。
  3. 【請求項3】前記リパーゼがシュードモナス(Pseudomo
    nas)属もしくはアクロモバクテリウム(Achromobacter
    ium)属に属する微生物から産生された酵素または動物
    の翠臓から産生された酵素である請求項1または2記載
    の製法。
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