JP2753851B2 - 塗布装置 - Google Patents

塗布装置

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JP2753851B2
JP2753851B2 JP1085672A JP8567289A JP2753851B2 JP 2753851 B2 JP2753851 B2 JP 2753851B2 JP 1085672 A JP1085672 A JP 1085672A JP 8567289 A JP8567289 A JP 8567289A JP 2753851 B2 JP2753851 B2 JP 2753851B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はプラスチックフィルム、紙、金属箔等を形成
してなる可撓性支持体(以下、ウエブという)に、磁性
体有機溶媒分散液等の塗布液を塗布する塗布装置に関す
るものである。
(従来技術) 従来、ウエブに塗布液(磁性体有機溶媒分散液)を塗
布する塗布装置としては、エクストルージョン型塗布装
置、カーテンフロー型塗布装置、ブレードドクター型塗
布装置、スライドコート型塗布装置等が用いられてい
る。これらの塗布装置は、何れもエクストルージョンヘ
ッド、コーティングギーサー或いはブレードといった狭
いスリットを構成する金属エッジによって、ウエブ上に
塗布される塗布液の塗布量を規制しながら、連続して走
行するウエブ上に磁性液を均一な厚さで塗布するもので
ある。
例えば、第1図に示すエクストルージョン型塗布ヘッ
ド1は、ポケット部3、スロット部4、ドクターエッジ
5及びバックエッジ6等から成る。
前記ポケット部3は、断面が略円形を成し、且つウエ
ブの幅方向にその断面形状をもって延長された一種の液
溜めであり、その有効延長長さは、通常、塗布幅と同等
もしくは若干長く設定される。また、その貫通した両端
開口部は、前記エクストルージョン型塗布ヘッド1の両
端部に取り付けられる各シールド板7,8により封止され
ている。
前記スロット部4は、前記ポケット部3から前記ウエ
ブに向けて前記エクストルージョン型塗布ヘッド1の躯
体内部を貫通し、且つ前記ポケット部3と同じように前
記ウエブの幅方向に延長された比較的狭い流路であり、
前記ウエブの幅方向の開口長さは塗布幅とほぼ同じに設
定される。
また、前記スロット部4の出口先端部には、前記ウエ
ブの上流と下流にそれぞれ位置させたバックエッジ6及
びドクターエッジ5が形成されている。
そこで、前記エクストルージョン型塗布ヘッド1は、
前記シールド板7に突設した短管9に給液系(図示しな
い)を接続することにより、前記ポケット部3の内部に
塗布液Cが注入、充満して、前記スロット部4を経てス
ロット外部に前記塗布液Cを塗布幅方向に均一な液圧分
布をもって吐出せしめるものである。
そこで、例えば特開昭57-84771号及び同58-104666号
公報に開示されているように、前記塗布液が前記ウエブ
の幅方向に均一な流量と液圧分布をもって層流状に前記
ポケット部3から流出可能となるように、前記ドクター
エッジ5及びバックエッジ6の構成材料として超硬合金
を採用して、前記ドクターエッジ5とバックエッジ6の
真直度及び平面度を高めている。また、上記エクストル
ージョン型塗布ヘッドのように、走行しているウエブに
塗布ヘッドを押しつけながら塗布液を塗布する場合、前
記ドクターエッジ5及びバックエッジ6を超硬合金によ
って形成することは、前記塗布ヘッド先端の耐摩耗性の
向上にもなっている。
ここで、例えば前記ドクターエッジ5のような金属エ
ッジ部は常に吐出される塗布液によって浸食され、次第
に摩耗を生じる。これは、例えば前記塗布液が磁性液の
ように研磨材を添加された塗布液の場合に顕著である。
そこで、このような前記塗布ヘッド先端の摩耗は前記エ
クストルージョン型塗布ヘッドに限らず、カーテンフロ
ー型塗布装置、ブレードドクター型塗布装置、スライド
コート型塗布装置等の金属エッジ部においても同様であ
る。
ところで、近年、磁気記録媒体の高密度化や多層化が
進み、それに伴って磁気記録媒体の製造工程においても
非磁性支持体上に塗布する磁性体有機溶媒分散液中に潤
滑剤や分散剤等の添加剤を添加して、磁気特性及び走行
性を向上させた良好な磁気記録媒体の製造が行われてい
る。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、前記特開昭57-84771号及び同58-10466
6号公報等に開示されているように、前記塗布ヘッドが
超硬合金で製作されたエクストルージョン型塗布装置を
使用して、潤滑剤を増量した磁性体有機溶媒分散液を塗
布したところ、塗布層表面にスジが生じて均一な塗布が
できないといった問題が生じた。
そこで、本願発明者らが鋭意研究を重ねた結果、上記
スジ発生の原因は塗布ヘッドとして形成した超硬合金の
表面性にあることを見出した。
即ち、スジを発生した前記超硬合金製塗布ヘッドの表
面状態を調べたところ、表面に錆が生じており、このよ
うな錆はほとんどの超硬合金製塗布ヘッドに見られた。
このような錆が生じる原因は、超硬合金が例えばWC(タ
ングステンカーバイト)等の炭化物結晶粒子をCo(コバ
ルト)等の結合金属によって結合したものであることに
起因していると思われる。つまり、前記超硬合金製塗布
へッドにより磁性塗布液を塗布した場合、該磁性塗布液
中の潤滑剤や分散剤等に含まれているステアリン酸等の
高級脂肪酸が、前記超硬合金内に結合金属として含有し
ているCoを酸化するためである。即ち、酸化された塗布
ヘッド表面は次第に腐食して表面の仕上げ精度を悪化さ
せ、更にはエッジの摩耗や欠けを起こす。
従って、上記のような摩耗や欠けを生じた塗布ヘッド
によって塗布液の塗布を行うと、欠け部によって塗布ヘ
ッド先端における塗布液のメニスカスに乱れが生じた
り、該欠け部に塗布液中の異物が捕捉されたりするの
で、ウエブ上に塗布される塗布層にスジが発生して良好
な塗布層を得られないといった問題が生じる。特に、塗
布液の塗布速度が速く、且つ塗布膜厚みが薄くなるほど
前記欠け部が塗布層に及ぼす悪影響は大きくなる。
そこで、本発明の目的は上記塗布装置における問題点
を解決することにあり、耐摩耗性の高い金属エッジを有
し、ウエブ上に塗布厚みが均一で表面性の良い磁性層を
形成することができる塗布装置を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明に係る上記目的は、連続的に走行する可撓性支
持体表面に塗布ヘッドのスロット先端部を近接させなが
ら、磁性体有機溶媒分散液中の高級脂肪酸成分が磁性体
100重量部に対して1.5重量部以上でかつ有機溶媒250重
量部に対して1.5重量部以上含まれている磁性体塗布液
を塗布する塗布装置であって、前記塗布ヘッドはコバル
トの含有量が15%以下の超硬合金により構成されている
ことを特徴とする塗布装置により達成される。
即ち、本発明の塗布ヘッドは、その含有量が15%以下
のCoによってWC結晶等の炭化物を結合した超硬合金によ
り構成される。そこで、ウエブに塗布される磁性塗布液
が、磁性体有機溶媒分散液中の高級脂肪酸成分を磁性体
100重量部に対して1.5重量部以上でかつ有機溶媒250重
量部に対して1.5重量部以上含んでいる場合でも、前記
超硬合金製塗布ヘッドは前記酸成分によって酸化され易
いCoの含有量が、従来の超硬合金製塗布ヘッドよりも少
ないので、その表面は腐食しにくくなり、エッジ部の摩
耗や欠けを抑止することができる。
尚、ここでいう酸成分とは、通常、磁気塗料中に存在
するものとして、ステアリン酸、ミスチリン酸、アルミ
ジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の高級
脂肪酸である。
また、本発明の塗布ヘッドにおける前記超硬合金中の
Coの含有量は、より好ましくは12%以下である。
更に、上記塗布ヘッドはエクストルージョン型ヘッド
に限らず、コーティングギーサー或いはブレードといっ
た狭いスリットを構成する金属エッジを有するものであ
れば同様の効果を得ることができる。
(実施例) 以下、本発明の一実施例により本発明の新規な効果を
より明確にする。
塗布液 以下に示す組成成分の磁性体分散液を調整し、塗布液
を作製した。
組成 ・Co−γ−Fe2O3(Hc=600 Oe) 100重量部 ・塩化ビニル,酢酸ビニル, アルコール共重合体 15重量部 ・ポリウレタン(分子量 5万) 10重量部 ・ステアリン酸 A 重量部 ・ジメチルポリシロキサン 0.2重量部 ・カーボン(粒子サイズ0.01μm) 10重量部 ・アルミナ 20重量部 ・ポリイソシアネート 6重量部 ・酢酸ブチル 200重量部 ・メチルエチルケトン 50重量部 上記ステアリン酸を第1表の組成として5つの塗布液
を作製した。
〔実施例−1〕 それぞれCo含有量が下記第2表に示す含有量であるWC
-Co系超硬合金から成る5種類の超硬合金製試料を作製
した。
次に、上記超硬合金製試料C1,C2,C3,C4,C5の表面粗さ
(Ha)を各々測定した後、各試料をそれぞれ前記各塗布
液A1,A2,A3,A4,A5に浸析し、該塗布液を30℃に保持しな
がら二週間放置した。
そして、浸析後の前記各超硬合金製試料の表面粗さ
(Ha)を再び測定し、更にその表面の腐食状況を観察し
た。その結果を第3表に示す。
尚、前記表面粗さ(Ha)は、中心線平均粗さを表す。
第3表から明らかなように、上記磁性体有機溶媒分散
液中の高級脂肪酸成分であるステアリン酸の添加量が磁
性体100重量部に対して1.5重量部以上でかつ有機溶媒
(酢酸ブチル及びメチルエチルケトン)250重量部に対
して1.5重量部以上含まれている塗布液No.A3,A4,A5に浸
析された超硬合金製試料のうち、Coの含有量が16重量%
以上の超硬合金製試料No.C1,C2では、その表面に腐食が
生じて表面粗さも悪化しており、これはステアリン酸の
添加量が増量されるほど顕著になっている。
〔実施例2〕 前記超硬合金製試料No.C1,C2,C3,C4,C5と同じ組成のW
C-Co系超硬合金を用いて、特開昭63-88080号公報に記載
された二つのドクターエッジを有する形状のエクストル
ージョン型ヘッドNo.1,2,3,4,5を各々作製した。
そして、前記各エクストルージョン型ヘッドNo.1,2,
3,4,5からなる各々の塗布装置によって、厚さ15μm,巾5
20mmのポリエチレンテレフタレート支持体上に、塗布部
張力:10kg/520mm幅,塗布巾:500mm,塗布速度:200m/分で
塗布液を同時重層塗布した。ここで、該塗布液は実施例
1で作製した塗布液No.A2,A3,A5を使用し、各々上下層
の塗布液は同じものを用いてそれぞれの乾燥塗布厚みが
2μmとなるようにした。
そこで、前記各エクストルージョン型ヘッドNo.1,2,
3,4,5によって前記塗布液No.A2,A3,A5をそれぞれ50時間
連続塗布して各々磁気記録媒体を製造し、50時間経過後
の塗布層表面のスジの発生状況及びヘッド先端の欠けの
状況を観察した。その結果を第4表に示す。但し、前記
各エクストルージョン型ヘッドにおける各ドクターエッ
ジの曲率半径R1及びR2を6mm,8mm、前記R1及びR2の相対
位置関係を示すθ,θ,θをそれぞれ15度,8度,2
度とした。
第4表から明らかなように、上記磁性体有機溶媒分散
液中の高級脂肪酸成分であるステアリン酸の添加量が磁
性体100重量部に対して1.5重量部以上でかつ有機溶媒
(酢酸ブチル及びメチルエチルケトン)250重量部に対
して1.5重量部以上含まれている塗布液No.A3,A5を塗布
した超硬合金製塗布ヘッドのうち、Coの含有量が16重量
%以上の超硬合金製ヘッドNo.C1,C2では、そのエッジ先
端に欠けが生じて塗布層表面にもスジが多数発生してお
り、これはステアリン酸の添加量が増量されるほど顕著
になっている。
従って、磁性体有機溶媒分散液中の高級脂肪酸成分で
あるステアリン酸の添加量が磁性体100重量部に対して
1.5重量部以上でかつ有機溶媒(酢酸ブチル及びメチル
エチルケトン)250重量部に対して1.5重量部以上含まれ
ている塗布液を超硬合金製塗布ヘッドで塗布する場合、
該塗布ヘッドを構成する超硬合金に含有されているCoの
含有量をできるだけ小さくするほど、塗布層に生じるス
ジの本数が減少し、塗布厚みが均一で表面性の良い塗布
層を形成できることがわかる。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明の塗布装置は、連続的に走
行する可撓性支持体表面に塗布ヘッドのスロット先端部
を近接させながら、磁性体有機溶媒分散液中の高級脂肪
酸成分が磁性体100重量部に対して1.5重量部以上でかつ
有機溶媒250重量部に対して1.5重量部以上含まれている
磁性体塗布液を塗布する塗布装置であって、前記塗布ヘ
ッドはコバルトの含有量が15%以下の超硬合金により構
成されている。
そこで、ウエブに塗布する磁性塗布液を重層塗布する
等して磁気特性を向上させる際に、磁性体有機溶媒分散
液中に潤滑剤や分散剤等の添加剤をより多く添加しなけ
ればならず、磁性体有機溶媒分散液中の高級脂肪酸成分
が磁性体100重量部に対して1.5重量部以上でかつ有機溶
媒250重量部に対して1.5重量部以上になってしまう場合
でも、前記超硬合金製塗布ヘッドは前記酸成分によって
酸化され易いCoの含有量が、従来の超硬合金製塗布ヘッ
ドよりも少ないので、その表面は腐食しにくくなり、エ
ッジ部の摩耗や欠けを抑止することができる。
即ち、塗布液の塗布速度が速く、且つ塗布層厚みが薄
い際にも、前記ドクターエッジ部及びバックエッジ部の
欠けによる塗布中の塗布ヘッド先端における塗布液のメ
ニスカスの乱れや、該欠け部に塗布液中の異物が捕捉さ
れたりするのを防ぐことができるので、ウエブ上の塗布
層にスジが発生するのを抑止できる。
従って、塗布層の塗布厚みが均一で表面性が良く、磁
気記録特性の良好な磁気記録媒体を形成すると共に耐摩
耗性の良い良好な塗布装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図はエクストルージョン型塗布ヘッドの一部を切断
して示した斜視図である。 (図中の符号) 1……エクストルージョン型塗布ヘッド 3……ポケット部、4……スロット部 5……ドクターエッジ、6……バックエッジ 7,8……シールド板、9……短管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 恒彦 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富士写真フイルム株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−84771(JP,A) 「超硬合金と焼結硬質材料−基礎と応 用−」鈴木壽編 丸善株式会社 昭和61 年発行、266〜268頁,490〜491頁及び 544〜545頁

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続的に走行する可撓性支持体表面に塗布
    ヘッドのスロット先端部を近接させながら、磁気体有機
    溶媒分散液中の高級脂肪酸成分が磁性体100重量部に対
    して1.5重量部以上でかつ有機溶媒250重量部に対して1.
    5重量部以上含まれている磁性体塗布液を塗布する塗布
    装置であって、前記塗布ヘッドはコバルトの含有量が15
    %以下の超硬合金により構成されていることを特徴とす
    る塗布装置。
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