JP2752095B2 - 薄型電子機器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、薄型電子機器に関する。

［従来の技術及び課題］ 近年、小形電子式計算機の薄型化により、樹脂シート
間に集積回路チップと該回路に電力を供給する電源を備
えたカード型電卓やメモリ機能及び時計機能を有するIC
カード等が開発されている。

上述した薄型電子機器に用いられている電源は、厚さ
1mm以下にする必要があり、メモリ機能を持たせないカ
ード型電卓等では厚さ200μｍと薄い太陽電池が使用さ
れている。しかしながら、メモリ機能や時計機能を備え
た薄型電子機器では太陽電池を使用すると、光源がない
場合、発電が停止して集積回路チップのメモリ回路や時
計回路に電力が供給されなくなってしまい、メモリの保
持や時計機能に支障を及ぼす。このため、前記ICカード
等のメモリ機能を持たせた電子機器には常時電力を供給
できる扁平型電池が要求されている。

このような要求に対し、第７図に示す如く外装と集電
体を兼ねる正負極端子板１、２の間に正極活物質３、負
極活物質４及びこれら活物質３、４の間にセパレータ５
を介在させた発電要素６を収納し、かつ前記正負極端子
板１、２の間の周縁に枠状の絶縁封口体７を介在して密
閉した構造の扁平型電池（特開昭49−12823）が提案さ
れている。

一方、上述した薄型電子機器は外表面に磁気ストライ
プやエンボス等の情報記録部を設けることによって従来
から使用されているATM（自動現金支払い装置）、印字
用インプリンター等が使用でき、便利で安全性に優れた
薄型電子機器として実用価値を飛躍的に向上することが
できる。このような機能を備え、かつ前記扁平型電池を
組込んだ薄型電子機器は第８図に示す構造のものが知ら
れている。即ち、図中11、12は対向する合成樹脂からな
る上下面シートである。これらのシート11、12間には回
路基板13及び前述した第７図図示の扁平型電池14が格納
されている。前記回路基板13表面にはLSIチップ15、コ
ンデンサ16などの受動素子等が搭載されている。また、
前記扁平型電池14の正負極端子板１、２の端部にはリー
ド端子1a、2aが延出され、これらリード端子1a、2aは前
記回路基板13の表裏面に図示しない配線と接続されて該
電池14の電力を回路基板13のLSIチップ15等に供給でき
るようになっている。また、前記上下面シート11、12間
の周辺には合成樹脂からなる枠状シール部17が介装さ
れ、各上下面シート11、12と枠状シール部17間を熱融着
または接着剤を介して貼着することにより前記LSIチッ
プ15等を搭載した回路基板13及び扁平型電池14を密閉し
ている。図中の18は、前記扁平型電池14の発電要素６に
対応する前記上面シート12部分に接着された金属板であ
り、この金属板18表面にはエンボスが刻印されている。
なお、前記上面シート12上には前記金属板18の他に例え
ば磁気ストライプ等の情報記録部が必要に応じて併設し
たり、磁気ストライプのみを設けたりしてもよい。

ところで、上述した薄型電子機器は第９図の上面図に
示すように上面シート上に金属板18が複数設けられてお
り、第10図の要部断面図に示す薄型電子機器上に感熱紙
等を載置しゴム等からなるローラ19によって金属板18に
刻印したエンボスの文字等をインプリントすると、ロー
ラ19が金属板18表面と接触、移動して前記上面シート12
に圧力（例えば100Kg/cm²程度）が加えられる。また、
かかる圧力は薄型電子機器使用時のたびに扁平型電池14
等に加えられる。その結果、金属板18が第９図の破線で
示す枠状の絶縁封口体７より発電要素側にあるため、上
面シート12を介して金属板18に対応した扁平型電池14の
発電要素６に大きな圧力が加わり、発電要素６を構成す
る強度の弱いセパレータ５に損傷、穴あき等が発生して
正極活物質３と負極活物質４とが導通し内部短絡を生じ
る。また、前記金属板を回路基板13に対応する上面シー
ト部分に載置した場合は、搭載されている液晶等の電子
部品が破壊されてしまう。従って、機器は使用回数が増
えるに従って故障し易くなり、信頼性、安定性に欠ける
という問題があった。

本発明は、上記従来の課題を解決するためになされた
もので、ATM、インプリンター等での使用においても搭
載されている回路基板の故障や電源電池の内部短絡等の
発生を防止した薄型電子機器を提供しようとするもので
ある。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、外表を形成するよう対向応配置された一対
の合成樹脂シートと、前記一対の合成樹脂シート間の周
縁に設けられた枠状のシール部と、前記各シートと枠状
シール部によって囲まれた空間に配置され、電子部品が
搭載された回路基板と、この回路基板の配線部とそれぞ
れ接続した正負極の両端子板間に枠状の絶縁封口体を配
置し、これら端子板と絶縁封口体に囲まれた空間内に発
電要素を収納した構造の扁平型電池と、前記シートのう
ち少なくとも一方の外表面上に突出するように設けられ
た情報記録部とを具備した薄型電子機器において、前記
情報記録部と前記電池の絶縁封口体とが前記シートを挟
んで少なくとも一部が重なるように配置されていること
を特徴とする薄型電子機器である。

［作用］ 本発明によれば、情報記録部を電池の絶縁封口体の少
なくとも一部に対応する前記シートの少なくとも一方の
外表面に設けることによって、使用時等において情報記
録部を介してシートが加圧されても、その加圧力は上下
方向からの加圧力に強い扁平形電池の絶縁封口体に加わ
り、機器内部に配置された回路基板、扁平型電池等に直
接加わるのを回避できる。また、扁平形電池の発電要素
上に情報記録部の一部が位置した場合にも加圧力き絶縁
封口体側で受けるため、発電要素に加わる力を弱めるこ
とができる。従って、回路基板の故障や扁平型電池の内
部短絡等が発生せず、信頼性、安定性に優れた多目的に
使用できる薄型電池機器を得ることできる。

［実施例］ 以下、本発明の実施例を第１図〜第４図を参照して詳
細に説明する。

図中の31は、0.075mmの厚さの塩化ビニール製の下面
シートである。この下面シート31上には、回路基板32と
扁平型電池33が載置されている。前記下面シート31上に
は、前記回路基板32等の各部材を囲繞するように熱融着
性樹脂からなる枠状シール部34が設けられている。この
枠状シール部34上には、例えば厚さ0.075mmの塩化ビニ
ールからなる上面シート35が配置され、前記下面シート
31、上面シート35と枠状シール部34とを加熱、加圧する
ことにより圧着一体化して前述した回路基板32等の各部
材を密閉している。また、前記機器の各シート31、35と
枠状シール部34とで囲まれた空間内における回路基板32
等の収納空間以外には、折曲げ等の変形に対する強度を
高める目的で充填材（図示しない）が配置されている。

前記回路基板32は、例えばLSIチップ36、コンデンサ
ー37等のチップ部品からなる各種の電子機能素子等が搭
載され構成されている。前記扁平型電池33は、第２図に
示すように、互いに対向配置された正負極端子板41、42
と、これら正負極端子板41、42によって形成される空間
に積層、配置された正極活物質43、セパレータ44及び負
極活物質45からなる発電要素46と、前記正負極端子板4
1、42間に前記発電要素46を囲繞するよう配設され、該
発電要素46を密閉するための枠状の熱融着性樹脂からな
る絶縁封口体47とから構成されている。なお、前記正負
極端子板41、42の端部には前記絶縁封口体47の外周部よ
り延出したリード端子41a、42aが形成されており、これ
らリード端子41a、42aを通して前記回路基板32へ電源が
供給される。

前記扁平型電池33の絶縁封口体47の枠の一辺に対応す
る前記上面シート35の外表面には情報記録部としての金
属板38が接着されており、かつ該金属板38の表面にはエ
ンボスが刻印されている。このような構造の薄型電子機
器は、第３図の上面図に示すように0.5mmの厚さを有しI
SO規格に定めるカード形状と同一形状となる。そして、
前記上面シート35上の金属板38は同第３図の破線で示す
ように絶縁封口体47上、つまり扁平形電池の二辺上と発
電要素上に１個設けられている。本実施例の薄型電子機
器では、第４図に示すように金属板38上にローラ49が位
置するようにセットされる。

比較例 エンボスを刻印した金属板を扁平型電池の発電要素に
対応する上面シートの外表面に接着した以外、本実施例
と同様な構造の薄型電子機器を組立てた。

しかして、本実施例及び比較例の薄型電子機器各々10
個について、機器内の電池電圧を測定し、その後インプ
リンターによって200回のインプリント試験を行ない再
び電池電圧を測定した。その結果、下記第１表に示す結
果を得た。

上記第１表から明らかなように、比較例の薄型電子機
器に搭載されている電池においては、インプリント試験
後において急激に電圧が低下しているのに対して、本実
施例の薄型電子機器に搭載された電池においては、イン
プリント試験後においても電圧の低下は全く生じないこ
とがわかる。

なお、本実施例では上面シートの情報記録部としてエ
ンボスが刻印された金属板を３列設けたが、これに限定
されない。例えば、第５図の上面図に示すように絶縁封
口体47の二辺上に金属板38を設けてもよい。また、磁気
ストライプ又は該ストライプと金属板の組合わせからな
る情報記録部を上面シートの外表面に設けてもよい。ま
た、情報記録部は上面シートに限らず、下面シート又は
両面に設けてもよい。

上記実施例では、薄型電子機器の電池として正負極両
端子板とも平板状の端子板を有する扁平型電池を用いた
がこれに定されず、例えば正負極両端子板のどちらか一
方が周縁を除く部分を断面台形状に屈曲させた端子板を
有する扁平型電池についても同様に適用できる。

上記実施例では、熱融着性樹脂からなる枠状シール部
を上下面シート間に介在させ回路基板等の各部材を密閉
して薄型電子機器を構成したがこれに限定されず、上面
シートもしくは下面シートのいずれか一方の周縁部を屈
曲させ、該屈曲部をシール部として利用してもよい。

上記実施例では、回路基板、扁平型電池を直接下面シ
ートに載置した構造の薄型電子機器としたがこれに限定
されず、第６図に示すように下面シート31上に例えば正
負極端子板を兼ねる金属製の基体51を載置し、回路基板
32を該金属製基体51に対して電気的に導通して設ける構
造としてもよい。かかる第６図に示す構成によれば、金
属製基体51が補強の役目をするため、湾曲し難く内部の
回路基板32等を良好に保護し得る薄型電子機器を実現で
きる。

［発明の効果］ 以上詳述したように、本発明によればATM、インプリ
ンター等での使用においても搭載されている回路機番の
故障や電源電池の内部短絡等の発生を防止でき、信頼
性、安定性に優れた多目的に使用し得る薄型電子機器を
提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す薄型電子機器の要部断
面図、第２図は第１図に示される薄型電子機器に搭載さ
れる扁平型電池の断面図、第３図は第１図の薄型電子機
器を示す上面図、第４図は第３図のＡ−Ａ線に沿う断面
図、第５図は本発明の他の実施例を示す薄型電子機器の
上面図、第６図は本発明の更に他の実施例を示す薄型電
子機器の要部断面図、第７図は従来の薄型電子機器を示
す断面図、第８図は第７図に示される薄型電子機器に搭
載されている扁平型電池の断面図、第９図は第７図の薄
型電子機器を示す上面図、第10図は第９図のＢ−Ｂ線に
沿う断面図である。 31……下面シート、32……回路基板、33……扁平型電
池、34……枠状シール部、35……上面シート、38……金
属板、46……発電要素、47……絶縁封口体、49……ロー
ラ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奈良 精悦 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会 社東芝柳町工場内 (72)発明者 湖上 泰任 東京都品川区南品川３丁目４番10号 東 芝電池株式会社内 (72)発明者 鎌形 智明 東京都品川区南品川３丁目４番10号 東 芝電池株式会社内 (72)発明者 宮本 邦彦 東京都品川区南品川３丁目４番10号 東 芝電池株式会社内 (72)発明者 寺岡 浩仁 東京都品川区南品川３丁目４番10号 東 芝電池株式会社内 (72)発明者 鈴木 信太郎 東京都品川区南品川３丁目４番10号 東 芝電池株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−66846（ＪＰ，Ａ) 実開 昭63−100270（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】外表を形成するよう対向配置された一対の
   合成樹脂シートと、 前記一対の合成樹脂シート間の周縁に設けられた枠状の
   シール部と、 前記各シートと枠状シール部によって囲まれた空間に配
   置され、電子部品が搭載された回路基板と、 この回路基板の配線部とそれぞれ接続した正負極の両端
   子板間に枠状の絶縁封口体を配置し、これら端子板と絶
   縁封口体に囲まれた空間内に発電要素を収納した構造の
   扁平型電池と、 前記シートのうち少なくとも一方の外表面上に突出する
   ように設けられた情報記録部と を具備した薄型電子機器において、 前記情報記録部と前記電池の絶縁封口体とが前記シート
   を挟んで少なくとも一部が重なるように配置されている
   ことを特徴とする薄型電子機器。