JP2749660B2 - アルミニウム製熱交換器 - Google Patents
アルミニウム製熱交換器Info
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Description
アルミニウム製熱交換器に関するもので、特に熱交換器
の軽量化のため、薄肉高強度ブレージングシートからな
る冷媒通路の耐孔食性を改善し、熱交換器の寿命を向上
したものである。
るアルミニウム製熱交換器としては、自動車用のラジエ
ーター,ヒーターコア,ドロンカップ型エバポレーター
等が知られている。
ューブ(1)間にコルゲートフィン(2)を取付け、チ
ューブ(1)両端にヘッダープレート(3)を設けてコ
ア(4)を形成し、ヘッダープレート(3)にパッキン
(6)を介して樹脂タンク(5),(5′)を取付けた
もので、チューブ(肉厚0.4mm)及びヘッダープレート
(肉厚1.5mm)には、大気側よりろう材,芯材,内張材
の3層構造としたブレージングシートが使用されてい
る。そしてろう材にはJIS4343(Al−Si系合金)やJIS40
04(Al−Si−Mg合金)が用いられ、芯材にはJIS3003や3
005(Al−Mn系合金)が用いられている。
4図に示すようにチューブプレート(7),(7′)を
組合せて冷媒通路(9),(9′)を形成し、これをフ
ィン(2)を介して積層し、その両端にエンドプレート
(8)を取付けたもので、チューブプレート(肉厚0.6m
m)及びエンドプレート(肉厚1.0mm)には、ろう材,芯
材,ろう材の3層構造としたブレージングシートが使用
されている。そしてろう材にはJIS4004,芯材にはJIS300
3,3005が用いられている。
高強度化,耐孔食性等が検討されている。中でも特に注
目されているのは、冷媒通路を構成するブレージングシ
ートの芯材に、従来のJIS3003,3005(Al−Mn系合金)に
代り、これにCuを添加したAl−Mn−Cu系合金を用いるこ
とである。芯材に添加されるCuは0.5wt%(以下wt%を
%と略記)前後であり、JIS3003のろう付後の強度を12k
g f/mm2から14kg f/mm2に改善し、更に孔食電位を上昇
させることにより、耐孔食性を向上する。また芯材中の
Cuをろう材又は内張材側に拡散させ、Cuの濃度勾配を利
用した犠牲腐食については、特開平1−100237号公報に
開示されている。
張材の電位を貴とし、これ等犠牲層を効果的に犠牲腐食
させることができない。即ちラジエーターチューブの内
側においては、使用中にスケールや高温水中で生成する
アルミニウムの水和物皮膜が付着し、犠牲層の防食電流
を抑制するため、芯材に深い孔食が発生する場合があ
る。
のクロメート処理に加えて水ガラス等の樹脂塗料を塗る
場合、やはりこれ等皮膜がろう材層や犠牲フィン材の防
食電流を抑制し、チューブプレートに深い孔食発生を引
き起す場合がある。
材とするブレージングシートの耐孔食性を改善し、Cu拡
散によるCu濃度差の利用に加えて、ろう材や内張材にZn
を添加し、犠牲層の作用を向上させたアルミニウム製熱
交換器を開発したもので、0.3%以上のCuを含むAl合金
を芯材とし、その片面にAl合金ろう材を、他面にAl合金
ろう材又はAl合金内張材を皮材としてクラッドしたブレ
ージングシートで冷媒通路を構成するアルミニウム製熱
交換器において、冷媒通路を構成するブレージングシー
トの芯材と皮材表面のCu濃度差を0.2%以上とし、皮材
表面のCu濃度を0.2%以下とし、更に皮材表面に0.3%以
上のZn濃度を有するZn拡散層を形成したことを特徴とす
るものである。
るブレージングシートについて、ろう付前の段階でブレ
ージングシートの芯材に、Cuを0.3%以上含むAl−Cu,Al
−Mn−Cu,Al−Mn−Mg−Cu,Al−Si−Mg−Cu等の合金を用
い、ろう材にZnを0.5〜2%含むAl−Si−Zn,Al−Si−Mg
−Zn等のAl合金ろう材を用い、内張材にZnを1〜5%含
むAl−Zn合金(JIS7072)又はこれにMn,Mgを添加した合
金を用い、このようにしてろう付後にろう材と内張材の
表面のCu濃度を0.2%以下とし、芯材とろう材及び内張
材表面のCu濃度差を0.2%以上とし、更にろう材と内張
材のZn濃度を0.3%以上とすることにより、ブレージン
シートの耐孔食性を向上せしめたものである。
を貴にすると共に、強度を向上させ、芯材とろう材又は
内張材表面のCu濃度差を0.2%以上とするためであり、M
n含有量は0.5〜1.5%,Mg含有量は0.2〜1.0%,Si含有量
は0.3〜1.0%の範囲内であれば、芯材の電位を損なうこ
となく強度を向上することができる。ろう材及び内張材
表面のCu濃度を0.2%以下としたのは、これ以上のCu濃
度となるとろう材や内張材に添加されたZn濃度を高くし
ても電位が卑とならず、犠牲作用が低下するばかりか、
ろう材や内張材の自己腐食が層状とならず、芯材の孔食
発生を促進するためである。芯材とろう材又は内張材表
面のCu濃度差を0.2%以上としたのは、0.2%未満ではろ
う材や内張材へのZn添加によっても、芯材とろう材又は
内張材との間に十分な電位差を得ることができず、犠牲
作用が低下するためである。尚芯材の電位は、芯材とろ
う材又は内張材の界面にCuの濃度勾配が形成されてお
り、電位の最も貴な所を芯材の電位とした。
以上、表面から拡散深さ100μm程度のZn拡散層が形成
されていることが望ましい。このためにZn濃度を0.3%
以上とすることで、芯材から拡散するCuによるろう材や
内張材の電位上昇(貴化)を抑制し、犠牲作用の低下を
防止する。あわせてろう材,内張材の腐食を全面腐食型
の層状とすることができ、犠牲作用を増大する。尚ろう
付前の段階でAl−Si,Al−Si−Mg系合金ろう材に0.5〜2
%のZnを添加しておけば、ろう付後に上記Znの拡散パタ
ーンを得ることができる。また内張材にはAl−1%Zn合
金(JIS7072)やこれにMn,Mg,Si等を添加した合金を使
用する。ただしクラッド厚さが40μm以下となるとZn拡
散による表面Zn濃度の低下が顕著となるため、Zn量はク
ラッド厚さに合せて5%まで増加させる必要がある。
4mmのブレージングシート(クラッド材)を常法により
作製した。即ち芯材は溶解鋳造後560℃で3時間均質化
処理を施した後、面削し、ろう材は同様に溶解鋳造後、
500℃の熱間圧延により厚さ3.5mmの板とし、これを重ね
合せ、500℃で熱間圧延を行ない、続いて冷間圧延と最
終焼鈍を行なって、片面5%のろう材を芯材の両面にク
ラッドした厚さ0.4mmのブレージングシートとした。
断面からCuとZnの拡散状況をEPMA線分析により測定し、
ろう材表面のCuとZnの濃度と、芯材とろう材表面のCu濃
度差を求めた。またろう材側をのこして裏面及び端面を
シールし、200時間のCASS試験(JISH8681)を行ない、
ろう材側の耐食性を評価した。更に光学顕微鏡を使用
し、焦点深度法により最大孔食深さを求めた。その結果
を第2表に示す。
る熱交換器の冷媒通路を構成するブレージングシート
は、従来例及び比較例と比べはるかに優れた耐孔食性を
示していることが判る。
mのクラッド材を実施例1と同様の方法で製造した。ろ
う材と内張材のクラッド率をそれぞれ5%(厚さ20μ
m)とした。
例1と同様にして表面のCu濃度,Zn濃度を測定すると共
に、芯材と内張材表面のCu濃度差を求めた。また内張材
をのこして裏面と端面をシールし、10ppmのCu2+イオン
を含む水道水を用い80℃に8時間、室温に16時間保持す
るサイクル腐食試験を3ヶ月間行ない、内張材の耐食性
を評価した。その結果を第4表に示す。
る熱交換器の冷媒通路を構成するクラッド材は、比較例
と比べ内張材側の耐孔食性がはるかに優れていることが
判る。
を利用することにより、冷媒通路を形成するブレージン
グシート(クラッド材)の耐孔食性を一段と改善し、特
にZnの蒸発の心配がない雰囲気ろう付(非腐食性フラッ
クス使用あるいはフラックスレス)において顕著に耐孔
食性を向上することができ、このような耐孔食性の向上
により、材料の強度向上とあいまって、冷媒通路構成材
料の薄肉化が可能となり、熱交換器の軽量化が図れる
等、工業上顕著な効果を奏するものである。
2図は第1図のA−A線における拡大断面図、第3図は
ドロンカップ型エバポレーターの一例を示す正面図、第
4図は第3図に示すエバポレーターの一部を切欠いて示
す拡大斜視図である。 1……チューブ 2……フィン 3……ヘッダープレート 4……コア 5,5′……樹脂タンク 6……パッキン 7,7′……チューブプレート 8……エンドプレート 9,9′……冷媒通路
Claims (1)
- 【請求項1】0.3wt%以上のCuを含むAl合金を芯材と
し、その片面にAl合金ろう材を、他面にAl合金ろう材又
はAl合金内張材を皮材としてクラッドしたブレージング
シートで冷媒通路を構成するアルミニウム製熱交換器に
おいて、冷媒通路を構成するブレージングシートの芯材
と皮材表面のCu濃度差を0.2wt%以上とし、皮材表面のC
u濃度を0.2wt%以下とし、更に皮材表面に0.3wt%以上
のZn濃度を有するZn拡散層を形成したことを特徴とする
アルミニウム製熱交換器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24687089A JP2749660B2 (ja) | 1989-09-22 | 1989-09-22 | アルミニウム製熱交換器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24687089A JP2749660B2 (ja) | 1989-09-22 | 1989-09-22 | アルミニウム製熱交換器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03114656A JPH03114656A (ja) | 1991-05-15 |
JP2749660B2 true JP2749660B2 (ja) | 1998-05-13 |
Family
ID=17154956
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24687089A Expired - Lifetime JP2749660B2 (ja) | 1989-09-22 | 1989-09-22 | アルミニウム製熱交換器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2749660B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4733593B2 (ja) * | 2006-08-17 | 2011-07-27 | 本田技研工業株式会社 | ベルトガイド装置 |
JP5084490B2 (ja) * | 2007-12-26 | 2012-11-28 | 古河スカイ株式会社 | アルミニウム合金クラッド材 |
JP6570325B2 (ja) * | 2015-06-04 | 2019-09-04 | 株式会社Uacj | アルミニウム合金クラッド材およびろう付け方法 |
-
1989
- 1989-09-22 JP JP24687089A patent/JP2749660B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03114656A (ja) | 1991-05-15 |
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