JP3788737B2 - 高耐食性ブレージングシート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラジエータ又はヒータコア等の自動車用熱交換器のチューブ材に使用される高耐食性ブレージングシートに関し、特に、ろう付性を確保しつつ耐食性の向上が優れた高耐食性ブレージングシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ラジエータ又はヒータコア等に使用されるチューブ材はAl−Mn系の3003合金を芯材とし、これにAl−Si系ろう材及びAl−Zn系の7072合金を皮材としてクラッドしたブレージングシートが使用されている。しかしながら、3003合金を芯材とするブレージングシートの耐食性は十分とは言い難い。
【0003】
このため、従来のブレージングシートの耐食性向上を図った種々の技術が提案されている(特開平4−371368号公報、特開平7−278710号公報、特開平8−120381号公報及び特開平8−134574号公報等)。
【0004】
即ち、特開平4−371368号公報では、芯材にろう材が貼り合され、ろう付後の皮材に含まれる残留Zn濃度が0.8〜1.5質量%となるように、クラッド率8〜12%で皮材が芯材に貼り合されているブレージングシートが提案されている。
【0005】
特開平7−278710号公報では、Al、Si、Fe、Cu及びMnを含有する芯材と、芯材の一方の面に被覆されたAl−Si系合金のろう材と、芯材の他方の面に被覆されたAl、Si、Mg及びCuを含有する犠牲材とからなるAlブレージングシートが提案されている。
【0006】
特開平8−120381号公報では、Al、Mn、Si、Cu、Zr及びTiを含有する芯材と、この芯材の片面又は両面にクラッドされたAl、Si及びZnを含有するろう材と、この芯材の他方の面にクラッドされたAl、Zn、In及びSnからなる群から選択された1種又は2種以上を含有する犠牲陽極皮材とからなる熱交換器用ブレージングシートが提案されている。
【0007】
特開平8−134574号公報では、Al、Si、Fe、Cu及びMnを含有する芯材と、この芯材の片面にクラッドされたアルミニウム合金からなるろう材と、この芯材の他の片面にクラッドされた厚さが46μmを超え70μm以下のAl、Zn及びMgを含有するアルミニウム合金からなる犠牲材とからなる熱交換器チューブ用ブレージングシートが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来のブレージングシートの耐食性向上を図った種々の技術(特開平4−371368号公報、特開平7−278710号公報、特開平8−120381号公報及び特開平8−134574号公報等)では、より一層の薄肉化を図るには耐食性が不十分である。特開平4−371368号公報ではブレージングシートの犠牲陽極材側表面(内面)の耐食性の向上のために皮材のZn濃度、皮材クラッド率を規定しているが、薄肉化時にはクラッド厚さが不十分となり、芯材の内面の耐食性は低下する虞があるという問題点がある。
【0009】
また、特開平7−278710号公報及び8−120381号公報では犠牲材又は犠牲陽極皮材の厚さを規定しておらず、薄肉化においてはブレージングシートの内面の耐食性の低下が生じる虞があるという問題点がある。
【0010】
更に、特開平8−134574号公報では犠牲材料の厚さが厚く、薄肉化時にはろう付加熱において犠牲材Znの拡散がろう材表面まで達し、ブレージングシートのろう材側表面(外面)の耐食性を低下させる虞があるという問題点がある。
【0011】
即ち、上述の従来の技術では内外面の耐食性を同時に満足するアルミニウムブレージングシートを得ることは困難である。特に、自動車用ラジエータの用途においては、軽量化及びコストダウンを目的として素材の薄肉化が指向されており、ろう付性を維持しつつ、耐食性を向上させた材料が要請されているが、このような要請には未だ応えることができないのが実情である。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、ろう付性を維持しつつ、ろう材側表面及び皮材側表面の耐食性を向上させることができる高耐食性ブレージングシートを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る高耐食性ブレージングシートは、Mg:0.2質量%以下、Si:0.2乃至0.6質量%、Mn:0.5乃至1.5質量%及びCu:0.8乃至1.0質量%を含有し残部がAl及び不可避的不純物であるアルミニウム合金からなる芯材と、前記芯材の片面に形成されたAl−Si系アルミニウム合金からなるろう材と、前記芯材の他の面に形成されZn:1.5乃至5質量%を含有し残部がAl及び不可避的不純物であるアルミニウム合金からなる犠牲陽極皮材とを有し、前記ろう材の厚さが20乃至40μm、前記芯材の厚さが110μm以上、前記犠牲陽極皮材の厚さが20乃至50μmであることを特徴とする。
【0014】
本願請求項2に係る高耐食性ブレージングシートにおいて、前記犠牲陽極皮材はろう付加熱後の表面におけるCu濃度が0.6質量%以下であり、Zn濃度が0.7乃至2.5質量%である。
【0015】
また、本願請求項3に係る高耐食性ブレージングシートにおいて、前記芯材は、更にCr:0.3質量%以下、Zr:0.3質量%以下及びTi:0.3質量%以下からなる群から選択された少なくとも1種以上を含有する。
【0016】
更に、本願請求項4に係る高耐食性ブレージングシートにおいて、前記犠牲陽極皮材は、更にMg:1乃至3質量%を含有する。
【0017】
本発明においては、芯材に必須的に添加されたCuは芯材電位を貴側に移行させるため、ろう材と芯材との電位及び犠牲陽極皮材(以下、皮材という。)と芯材との電位差を大きくすることができ、ろう材側及び皮材側の耐食性を向上させる。このとき、皮材のクラッド厚さを20乃至50μmとすることにより、ろう付加熱後の皮材表面におけるZn濃度を高くすることができ、芯材から拡散してきたCuの皮材表面での濃度を低くすることができる。従って、皮材表面電位をより卑側に移行させ、皮材と芯材との電位差を大きくすることができるため、犠牲防食効果が上がり、皮材側の耐食性を向上させることができる。
【0018】
また、ろう材厚さを20乃至40μmとすることにより、ろう付性を維持しつつ、エロージョンを減少させることができるため、ブレージングシートのろう材側の耐食性を向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例に係る高耐食性ブレージングシートについて添付の図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施例に係るブレージングシートを示す断面図である。図2は縦軸に濃度をとり、横軸に位置をとって、本発明の実施例に係るブレージングシートにおける皮材の厚さの違いによるZn及びCuの濃度分布の変化を示すグラフ図である。
【0020】
本願発明者等が鋭意実験研究の結果、図1に示すように、芯材1の片面にろう材3が積層され、残りの面に皮材2が積層されたブレージングシート4では、芯材1に必須的に添加されたCuは芯材1電位を貴側に移行させるため、ろう材3及び皮材2との電位差を大きくすることができ、このため、ろう材3側及び皮材2側の耐食性を向上させることができることを見出した。この場合、図2に示すように、皮材2のクラッド厚さ2a、2bを20μm乃至50μmとすることにより、ろう付加熱後の皮材2表面のZn濃度を高くすることができると共に、芯材1から拡散してきたCuの皮材2表面での濃度を低くすることができる。従って、皮材2表面電位をより卑側に移行させ、芯材1との電位差を大きくすることができる。このため、犠牲防食効果が上がり、皮材2側の耐食性を向上させることができる。また、ろう材3厚さを20乃至40μmとすることにより、ろう付性を維持しつつ、エロージョンを減少させることができる。このため、ブレージングシート4のろう材3側の耐食性を向上させることができる。
【0021】
以下、本発明に係る高耐食性ブレージングシートの芯材及び犠牲陽極皮材の組成限定理由並びに芯材、犠牲陽極皮材及びろう材の厚さ限定理由について説明する。
【0022】
(1)芯材
Mg:0.2質量%未満
Mgはろう付後の強度を向上させる成分である。しかし、ノコロックろう付においては、芯材がMgを含有すると、ろう付時にフラックス成分とMgとが反応し、高融点化合物を生成する。このため、フラックス機能が損なわれ、ろう付性が著しく低下する。芯材中のMgの含有量が0.2質量%を超えると、このようにろう付性が著しく低下する。従って、芯材中のMgの含有量は0.2質量%未満に規制する。
【0023】
Si:0.2乃至0.6質量%
芯材中のSiは強度向上に寄与する。特に、皮材がMgを含有する場合、芯材中のSiとろう付加熱により皮材から拡散してきたMgとでMg2Siを生成するため、著しく強度が向上する。Siの含有量が0.2質量%未満では、強度向上の効果が小さい。一方、Siの含有量が0.6質量%を超えると、融点低下に起因するろう付作業性の低下及び耐食性の低下を招く。従って、Siの含有量は0.2乃至0.6質量%とする。
【0024】
Mn:0.5乃至1.5質量%
Mnは強度及び耐食性の向上に有効である。Mnの含有量が0.5質量%未満では強度向上の効果が小さい。一方、Mnの含有量が1.5質量%を超えると、粗大な金属間化合物を生じ、加工性の低下を招く。従って、Mnの含有量は0.5乃至1.5質量%とする。
【0025】
Cu:0.4乃至1.0質量%
芯材のCuは強度向上に有効であり、また、上述のように、皮材側又はろう材側の耐食性向上にも有効である。Cuの含有量が0.4質量%未満では、強度向上及び皮材又はろう材の耐食性向上の効果が小さい。一方、Cuの含有量が1.0質量%を超えると、融点低下に起因するろう付作業性の低下及びろう付加熱後の皮材表面のCu濃度が上がり皮材電位を上げるため、皮材側の耐食性の低下を招く。従って、Cuの含有量は0.4乃至1.0質量%とする。
【0026】
Cr:0.3質量%以下、Zr:0.3質量%以下及びTi:0.3質量%以下からなる群から選択された:少なくとも1種
必要により、Cr、Zr及びTiからなる群から選択された少なくとも1種を添加することにより、一層の強度、耐食性又はろう付性の向上を図ることができる。Crは強度の向上、Zrはろう付性の向上、Tiは耐食性の向上に寄与する。また、夫々Crが0.3質量%、Zrが0.3質量%及びTiが0.3質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生じ、加工性の低下を招く。従って、Cr:0.3質量%以下、Zr:0.3質量%以下及びTi:0.3質量%以下からなる群から選択された少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0027】
なお、不純物として、Zn又はFeは本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。Znは芯材電位を下げ皮材との電位差を小さくするため、耐食性の低下を招く虞がある。このため、Znの含有量は0.1質量%未満とすることが好ましい。Feは多く含まれると耐食性を低下させるため、Feの含有量は0.5質量%未満とすることが好ましい。
【0028】
芯材の厚さ:110μm以上
皮材に添加されたZn又はMgはろう付加熱により芯材側に拡散する。通常のろう付加熱における皮材に含有されるZn又はMgの拡散距離は100μm程度であり、芯材が拡散距離より薄い場合、拡散したZn又はMgはろう材表面まで達し、耐食性の低下及びろう付性の低下を招く。従って、芯材の厚さは110μm以上とする。
【0029】
(2)犠牲陽極皮材
Zn:1.5乃至5質量%
皮材中のZnはろう付加熱により芯材内へ拡散し、板厚方向にZnの濃度勾配(=電位勾配)が生じる。この濃度勾配により腐食の芯材板厚方向への進行は抑制される。Znの含有量が1.5質量%未満では、皮材内のZnの濃度が低く、濃度勾配も小さくなるため皮材側の耐食性の低下が生じる。一方、Znの含有量が5質量%を超えると、皮材と芯材との電位差が大きくなりすぎるため、皮材の消耗が早くなり、結果的に皮材側の耐食性を低下させる虞がある。
【0030】
また、Znの含有量の増大に伴い拡散距離も長くなるため、ろう材表面までZnの拡散が生じる虞が増すため好ましくない。従って、Znの含有量は1.5乃至5質量%とする。
【0031】
Mg:1乃至3質量%
必要により、皮材にMgを添加することにより、ろう付後の強度を著しく向上させることができる。即ち、皮材中のMgはろう付加熱により芯材内へ拡散する。このとき、芯材Siと皮材から拡散したMgとからMg2Siが生成するため、強度は著しく向上する。Mgの含有量が1質量%未満では強度向上の効果は小さい。一方、Mgの含有量が3質量%を超えると、クラッド圧着性及びろう付性が低下する虞があるため好ましくない。従って、Mgの含有量は1乃至3質量%とすることが好ましい。
【0032】
犠牲陽極皮材の厚さ:20乃至50μm
皮材の厚さは耐食性に関わる。即ち、皮材の厚さが20μm未満では、ろう付加熱後に残留するZnの濃度は低くなり、芯材から拡散してきたCuの皮材表面での濃度は高くなる。このため、皮材と芯材との電位差は小さくなり、耐食性は低下する。一方、皮材の厚さが50μmを超えると、ろう付加熱により拡散したZn又はMgがろう材表面まで達し、ろう材側の耐食性の低下を招く、特にMgがろう材表面まで達した場合はろう付性は著しく低下する。従って、犠牲陽極皮材の厚さは20乃至50μmとする。
【0033】
ろう付加熱後の皮材表面におけるCu濃度:0.6質量%以下、Zn濃度;0.7乃至2.5質量%
ろう付後の皮材表面でのZn又はCu濃度は皮材側の耐食性に関わる。即ち、皮材表面でのZn濃度が0.7質量%未満でCu濃度が0.6質量%を超えると皮材と芯材の電位差を確保することが困難になり、耐食性の低下が生じる。また、皮材表面でのZn濃度が2.5質量%を超えると芯材と皮材の電位差が大きすぎるため、皮材の消耗が早くなり、結果的に耐食性の低下が生じる。従って、ろう付加熱後の皮材表面におけるCu濃度は0.6質量%以下、Zn濃度は0.7乃至2.5質量%とすることが好ましい。
【0034】
(3)ろう材
ろう材の厚さ:20乃至40μm
ろう材の厚さはろう付性及びろう材側の耐食性に関わる。ろう材の厚さが20μm未満ではろう材の量が少なく、ろう付時に健全なフィレットが得られない。一方、ろう材の厚さが40μmを超えると、エロージョンの深さが増えるため、ろう材側の耐食性の低下を招く虞がある。従って、ろう材の厚さは20乃至40μmとする。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の範囲に入る高耐食性ブレージングシートの実施例について、その特性を比較例と比較して具体的に説明する。
【0036】
表1に示す化学成分の芯材と、表2に示す化学成分の皮材と、A4045(Al−10質量%Si)合金からなるろう材とを夫々組み合わせて図1に示すような構造のブレージングシート4を作製した。図1に示すように、芯材1の片面に皮材2が積層され、芯材1の他の面にろう材3が積層されている。このように作製したブレージングシート4の芯材1、皮材2及びろう材3の組み合わせ並びに厚さを表3及び4に示す。
【0037】
表3及び表4に示すブレージングシートについて、ろう付試験、引張試験、ろう材側腐食試験及び皮材側腐食試験を行った。図3はブレージングシートとフィンとを組み合わせたろう付試験片を示す断面図であり、図4は図3の要部拡大図である。図5はろう材側耐食試験に使用されるろう材側耐食試験片を示す模式図である。
【0038】
ろう付試験については、ドロップ試験及びフィンとブレージングシートとの組み合わせでろう付を行った。
【0039】
ドロップ試験については、ブレージングシートのろう材表面にノコロックフラックスを5g/m2塗布し、乾燥させた後、露点−40℃以下、酸素濃度200ppm以下に管理された炉内で600℃の温度で5分間加熱した。このドロップ試験により得られた流動係数を評価した。
【0040】
フィンとブレージングシートとの組み合わせでのろう付については、図3及び図4に示すように、コルゲート加工されたフィン5とブレージングシート4とを組み合わせ、上述のドロップ試験と同様にノコロックフラックスを5g/m2塗布し、乾燥させた後、露点−40℃以下、酸素濃度200ppm以下に管理された炉内で600℃の温度で5分間加熱しろう付をした。フィン5とブレージングシート4との組み合わせでフィン5部に形成されるフィレット6の大きさ及びブレージングシート4のエロージョンを測定し、これを評価した。
【0041】
引張り試験については、上述のろう付試験と同様に600℃の温度で5分間加熱したブレージングシートを室温で7日間放置した後、引張り試験を行い、この引張強度を評価した。
【0042】
ろう材側腐食試験については、図5に示すように、コルゲート加工したAl−Zn系からなるフィン5とブレージングシート4とを組み合わせ、上述のろう付試験片と同様に600℃の温度で5分間加熱した後、ブレージングシート4について連続250時間のCASS試験を行い、試験後の腐食深さの測定し、この結果を評価した。
【0043】
皮材側腐食試験については、上述のろう付試験と同様に600℃の温度で5分間加熱したブレージングシートを人工水(Cl:300質量ppm、SO4:100質量ppm、Cu:5質量ppm)を使用して腐食試験を行った。先ず、88℃の人工水にブレージングシートを8時間浸漬し、その後、浸漬したまま、室温で16時間放置した。このサイクルの腐食試験を30日間試験し、皮材表面でのCu及びZn濃度をEPMAにより測定した。腐食深さを及び皮材表面におけるCu及びZn濃度を評価した。これらの結果を表5乃至8に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0003788737
【0045】
【表2】
Figure 0003788737
【0046】
【表3】
Figure 0003788737
【0047】
【表4】
Figure 0003788737
【0048】
【表5】
Figure 0003788737
【0049】
【表6】
Figure 0003788737
【0050】
【表7】
Figure 0003788737
【0051】
【表8】
Figure 0003788737
【0052】
上記表5及び6に示すように、実施例No.3乃至15はろう付性、フィレット形成性、引張強度並びにろう材側及び皮材側腐食性について良好な結果を得ることができた。一方、表7及び8に示すように、比較例No.18至36はろう付性、フィレット形成性、引張強度並びにろう材側及び皮材側腐食性について良好な結果を得ることができなかった。
【0053】
比較例No.18は、芯材のSiの含有量が本発明の下限値未満であるため、強度が乏しかった。
【0054】
比較例No.19は、芯材のSiの含有量が本発明の上限値を超えているため、ろう付流動係数及びフィン部フィレットサイズが小さく、エロージョン深さ及びろう材側腐食深さが大きくなり、ろう付性及び耐食性が乏しかった。
【0055】
比較例No.20は、芯材のCuの含有量が本発明の下限値未満であるため、引張強度が低く、ろう材側腐食深さが大きくなり、強度及び耐食性が乏しかった。
【0056】
比較例No.21は、芯材のMnの含有量が本発明の下限値未満であるため、引張強度が低く、強度が乏しかった。
【0057】
比較例No.22は、芯材のMgの含有量が本発明の下限値未満であるため、ろう付性流動係数及びフィン部フィレットサイズが小さく、エロージョン深さ及びろう材側腐食深さが深くなり、ろう付性及び耐食性が乏しかった。
【0058】
比較例No.23は、皮材のZnの含有量が本発明の下限値未満であるため、皮材側腐食深さが深くなり、耐食性が乏しかった。
【0059】
比較例No.24は、皮材のZnの含有量が本発明の上限値を超えているため、ろう材側腐食深さ及び皮材側腐食深さが深くなり、耐食性が乏しかった。
【0060】
比較例No.25は、芯材の厚さが本発明の下限値未満であるため、ろう材側腐食深さが深くなり、耐食性が乏しかった。
【0061】
比較例No.26は、芯材の厚さが本発明の下限値未満であるため、ろう付性流動係数及びフィン部フィレットサイズが小さく、ろう材が貫通し、ろう付性及び耐食性が乏しかった。
【0062】
比較例No.27は、皮材の厚さが本発明の下限値未満であるため、皮材側腐食深さが深くなると共に、皮材表面のCu濃度が本発明の上限値を超え、Zn濃度が本発明の下限値未満となり、耐食性が乏しかった。
【0063】
比較例No.28は、皮材の厚さが本発明の下限値未満であるため、皮材側腐食深さが深くなると共に、皮材表面のCu濃度が本発明の上限値を超え、Zn濃度が本発明の下限値未満となり、耐食性が乏しかった。
【0064】
比較例No.29は、皮材の厚さが本発明の上限値を超えているため、ろう材側腐食深さが深くなり、耐食性が乏しかった。
【0065】
比較例No.30は、皮材の厚さが本発明の上限値を超えているため、引ろう付性流動係数及びフィン部フィレットサイズが小さく、ろう材側腐食深さが深くなり、ろう付性及び耐食性が乏しかった。
【0066】
比較例No.31は、ろう材が厚さが本発明の下限値未満であるため、フィン部フィレットサイズが小さくなり、健全なフィレットを得ることができずろう付性が乏しかった。
【0067】
比較例No.32は、ろう材の厚さが本発明の下限値未満であるため、フィン部フィレットサイズが小さくなり、健全なフィレットを得ることができずろう付性が乏しかった。
【0068】
比較例No.33は、ろう材の厚さが本発明の上限値を超えているため、エロージョン深さ及びろう材側腐食深さが深くなり、耐食性が乏しかった。
【0069】
比較例No.34は、ろう材の厚さが本発明の上限値を超えているため、エロージョン深さ及びろう材側腐食深さが深くなり、耐食性が乏しかった。
【0070】
比較例No.35は、芯材のCuの含有量が本発明の上限値を超えているため、エロージョンが大きく、引ろう付性流動係数及びフィン部フィレットサイズが小さかった。また、エロージョンが大きいため、外面耐食性が低下し皮材表面のCu濃度が高くなって電位が貴となり内面耐食性が低下し、皮材側腐食深さ及びろう材側腐食深さが深くなり耐食性が乏しかった。
【0071】
比較例No.36は、芯材のMnの含有量が本発明の上限値を超えているため、粗大金属間化合物が生じ、これにより外面耐食性が低下し皮材側腐食深さが深くなり耐食性が乏しかった。
【0072】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明においては、ろう材及び皮材の組成並びに芯材、ろう材及び皮材の厚さを規定することにより、ろう付性及び耐食性が優れたブレージングシートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るブレージングシートを示す断面図である。
【図2】縦軸に濃度をとり、横軸に位置をとって、本発明の実施例に係るブレージングシートにおける皮材の厚さの違いによるZn及びCuの濃度分布の変化を示すグラフ図である。
【図3】ブレージングシートとフィンとを組み合わせたろう付試験片を示す断面図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【図5】ろう材側耐食試験に使用されるろう材側耐食試験片を示す模式図である。
【符号の説明】
1;芯材
2;皮材
2a、2b;クラッド厚さ
3;ろう材
4;ブレージングシート
5;フィン
6;フィレット

Claims (4)

  1. Mg:0.2質量%以下、Si:0.2乃至0.6質量%、Mn:0.5乃至1.5質量%及びCu:0.8乃至1.0質量%を含有し残部がAl及び不可避的不純物であるアルミニウム合金からなる芯材と、前記芯材の片面に形成されたAl−Si系アルミニウム合金からなるろう材と、前記芯材の他の面に形成されZn:1.5乃至5質量%を含有し残部がAl及び不可避的不純物であるアルミニウム合金からなる犠牲陽極皮材とを有し、前記ろう材の厚さが20乃至40μm、前記芯材の厚さが110μm以上、前記犠牲陽極皮材の厚さが20乃至50μmであることを特徴とする高耐食性ブレージングシート。
  2. 前記犠牲陽極皮材はろう付加熱後の表面におけるCu濃度が0.6質量%以下であり、Zn濃度が0.7乃至2.5質量%であることを特徴とする請求項1に記載の高耐食性ブレージングシート。
  3. 前記芯材は、更にCr:0.3質量%以下、Zr:0.3質量%以下及びTi:0.3質量%以下からなる群から選択された少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高耐食性ブレージングシート。
  4. 前記犠牲陽極皮材は、更にMg:1乃至3質量%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高耐食性ブレージングシート。
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