JP2746241B2 - アロイ・オーミック・コンタクト電極及びその形成方法 - Google Patents

アロイ・オーミック・コンタクト電極及びその形成方法

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JP2746241B2 JP33317395A JP33317395A JP2746241B2 JP 2746241 B2 JP2746241 B2 JP 2746241B2 JP 33317395 A JP33317395 A JP 33317395A JP 33317395 A JP33317395 A JP 33317395A JP 2746241 B2 JP2746241 B2 JP 2746241B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、GaAs半導体に
対するオーミック・コンタクト電極に関し、特に、オー
ミック・コンタクト形成用の各層を積層してから合金
(アロイ)化を行うことによって形成されるアロイ・オ
ーミック・コンタクト電極とその形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】n型GaAs半導体に対して熱的に安定
なオーミック・コンタクトを形成する各種の技術が検討
されており、例えば、ジャーナル・オブ・アプライド・
フィジックス(JOURNAL OF APPLIED PHYSICS),第72巻,
第9号(1992年11月),第4183頁〜第419
0頁には、Ni/Ge系のアロイ・オーミック・コンタ
クト電極の構造が開示されている。図4(A),(B)は、そ
れぞれ、従来のNi/Ge系アロイ・オーミック・コン
タクト電極におけるアロイ前とアロイ後のエネルギ・バ
ンド構造を示すダイヤグラムである。まず、図4(A)に
示すように、n-GaAs領域20上に、Ni層21と
Ge層22とを順次蒸着する。この状態では、金属であ
るNi層21との界面近傍で、n-GaAs領域20に
比較的厚い空乏層が生じている。そして、600℃でア
ロイ化を実行すると、図4(B)に示すようにn-GaAs
領域20に向けてGeがドープし、界面にn++-GaA
s層23が生じ、空乏層の厚みが減少する。その結果、
トンネル電流25が流れるようになり、このコンタクト
はオーミック伝導特性を示すようになる。また、この
時、オーミック・コンタクト界面に、850℃の融点を
有するNiGe合金層24が形成され、これがオーミッ
ク・コンタクトの600℃程度までの熱的安定性に寄与
する。なお、各図において、図示一点鎖線はフェルミレ
ベルを示している。
【0003】また、アロイ・オーミック・コンタクトで
はないが、特開昭64−57663号公報に示されるよ
うに、ノン・アロイ・オーミック・コンタクト構造を用
いても、熱的に安定なオーミック・コンタクトを形成す
ることができる。図5は、グレーデッドInGaAs層
を用いた従来のノン・アロイ・オーミック・コンタクト
を示すエネルギ・バンド・ダイヤグラムである。
【0004】n-GaAs領域17上にn+-グレーデッ
ドInGaAs層18を積層し、さらに金属層19を堆
積する。n+-グレーデッドInGaAs層18では、膜
厚方向にInとGaの組成比が変化している。例えば、
金属層19との接触界面でのn+-グレーデッドInGa
As層18のInAs組成が0.5であるとすると、金
属層19とn+-グレーデッドInGaAs18層とのシ
ョットキ障壁の高さは0.23eVとなるから、図示さ
れるように、トンネル電流26と同時に、ショットキ障
壁を越えて流れるサーミオニック電流27が十分流れる
ようになる。また、n-GaAs領域17との界面にお
けるn+-グレーデッドInGaAs層18のInAs組
成を0としてあるので、n+-グレーデッドInGaAs
層18とn-GaAs17との界面には伝導帯(コンダ
クション・バンド)のエネルギ不連続が生じることがな
く、この界面での抵抗の上昇も避けられる。その結果、
この構造によって、低抵抗のオーミック・コンタクトが
得られる。このノン・アロイ・オーミック・コンタクト
ではアロイ化を行わないので、n+-グレーデッドInG
aAs層18に接触させる金属として、熱的に安定で、
かつn+-InGaAsと反応しにくい金属、例えば、W
SiやMoを用いることによって、やはり600℃程度
まで熱的に安定なオーミック・コンタクトが得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のNi/
Ge系アロイ・オーミック・コンタクトでは、オーミッ
ク特性は、主として、GaAs領域中に形成される空乏
層を通過するトンネル電流によって得られる。しかし、
Ni/Ge系アロイ・オーミック・コンタクトでは、n
-GaAs領域へのn型ドーパントとしてのGeの高濃
度ドーピングが不十分になりやすいため、コンタクト界
面のn-GaAsの空乏層が十分に薄くならず、トンネ
ル電流が不十分になりやすい。その結果、接触抵抗が
0.8Ωmm程度と大きく、低抵抗のオーミック・コン
タクトを得にくいという問題がある。
【0006】また、グレーデッドInGaAs層を用い
た従来のノン・アロイ・オーミック・コンタクトは、低
いショットキ障壁高さとGaAs領域へのバンド連続と
を両立するために、n+-グレーデッドInGaAs層を
用いているのであるが、このグレーデッドInGaAs
層を成長させるためには、分子線エピタキシ(MBE)
法や有機金属化学気相成長(MOCVD)法において、
Kセル(クヌーセン・セル)温度や基板温度、ガス流量
比を成長中に連続的に変化させなければならず、コンタ
クト作製に難しさを伴う。さらに、基板表面にIn組成
比の高いInGaAs層が表われるが、このIn組成比
の高いInGaAs層は酸化しやすく、金属−半導体界
面に酸化膜が介在してコンタクト抵抗を上昇させたり、
基板の保存時に、表面酸化によって有効なInGaAs
膜厚が減少しやすいという問題も生じる。
【0007】本発明の目的は、コンタクト抵抗が十分小
さく、作成が容易で、かつ熱的安定性に優れたアロイ・
オーミック・コンタクト電極とその形成方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のアロイ・オーミ
ック・コンタクト電極は、アロイ処理を行って形成され
るアロイ・オーミック・コンタクト電極において、アロ
イ処理前の構造が、n-GaAs領域上に、n-Inx
1-xAs(0<x≦1)層とNi層と、さらに少なく
ともGe層を順次積層した構造である。
【0009】本発明のアロイ・オーミック・コンタクト
電極の形成方法は、アロイ処理を行うことによりn-G
aAs領域に対するオーミック・コンタクト電極を完成
させるアロイ・オーミック・コンタクト電極の形成方法
において、前記n-GaAs領域上に、n-InxGa1-x
As(0<x≦1)層をエピタキシャル成長し、その上
にNi層を堆積し、さらに少なくともGe層を堆積し、
その後、ラピッド・サーマル・プロセスによるアロイ処
理を行って、GeNi合金層を形成するとともに、前記
InxGa1-xAs層からIn原子を前記n-GaAs領
域に拡散させ、Ge原子を前記n-GaAs領域に向う
方向に拡散させる。
【0010】本発明においては、n-GaAs領域上
に、n-GaAs層を挟んで積層された複数のn-Inx
Ga1-xAs層を配置し、その上にNi層を設けるよう
にしてもよい。さらに、In組成の高いn-InxGa
1-xAs層の酸化を防ぐため、n-InxGa1-xAs層と
Ni層との間にn-InyGa1-yAs(0≦y<0.1、
ただしy<x)層を介在させるようにしてもよい。な
お、本発明のアロイ・オーミック・コンタクト電極の形
成方法においては、これらn-GaAs層やn-Iny
1-yAs層は、n-InxGa1-xAs層と同様に、エピ
タキシャル成長によって形成される。
【0011】本発明は、Ni/Ge系アロイ・オーミッ
ク・コンタクト電極のアロイ処理の初期にNiが半導体
基板と固相反応し、その間に半導体基板の積層構造の急
峻性が失われる現象を利用している。すなわち、Ni原
子が、グレーデッドでないn-InxGa1-xAs層やn-
GaAs領域と固相反応する際に、固相反応の深さ範囲
内にn-InxGa1-xAs層とn-GaAs領域との界面
(さらには、n-InxGa1-xAs層とn-GaAs層と
の界面など)が含まれており、これらの界面においてI
n原子がn-InxGa1-xAs層からn-GaAs領域や
n-GaAs層に拡散する。このようなIn原子の拡散
が起こると、再結晶化の際に、これら界面が元の急峻な
ヘテロ構造からグレーデッド構造に変化し、オーミック
・コンタクト電極として好ましい界面状態となる。ま
た、アロイによって化合物半導体層(n-InxGa1-x
As層など)側にGe原子がドープされるから、化合物
半導体層の表面に存在していた空乏層の厚みが減少し、
接触抵抗が小さくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0013】《第1の実施の形態》図1(A)は、本発明
の第1の実施の形態のアロイ・オーミック・コンタクト
電極におけるアロイ前のエネルギ・バンド・ダイヤグラ
ムであり、図1(B)は、アロイ後のエネルギ・バンド・
ダイヤグラムである。ここでは、n-GaAs領域1に
対してオーミック・コンタクトを形成するものとする。
【0014】この電極を作成するには、まず、MBE装
置を用いて、オーミック・コンタクトをとりたい基板上
に、4×1018cm-3だけSiをドープしたn-GaA
s領域1を形成し、さらに、2×1019cm-3だけSi
をドープしたn+-In0.3Ga0.7As層2を厚さ10n
mで積層する。ここでn+-In0.3Ga0.7As層2は、
グレーデッドではないように、すなわち膜厚方向にIn
組成が意図的に変化することがないようにする。このよ
うにMBE成長を行った基板上に、フォトレジストを用
いて電極形成用のマスクを形成した後、モノクロロベン
ゼン中に30分間浸漬することによって、フォトレジス
ト層にステンシル加工を施す。塩酸(HCl:H2O=
1:1)に基板を1分間浸漬し、水洗することによっ
て、基板表面の酸化膜を除去し、ただちに蒸着装置の真
空チャンバ内に搬入する。
【0015】1×10-6Pa程度以下の真空度におい
て、電子銃加熱装置を用いて、基板上にNi層3を厚さ
80nm、続いてGe層4を厚さ120nm蒸着する。
メチルエチルケトンやエタノールなどの有機溶剤を用い
てフォトレジスト上の金属をリフトオフすることによ
り、電極金属の堆積を完了する。この状態では、図1
(A)に示すように、n-GaAs領域1上に、n+-In
0.3Ga0.7As層2、Ni層3及びGe層4がこの順で
積層した構成となっている。
【0016】次に、600℃、5秒間のラピッド・サー
マル・プロセス(RTP)を実施してアロイ化を行うこ
とにより、アロイ・オーミック・コンタクト電極が完成
する。
【0017】アロイ前には、図1(A)に示すように、n-
GaAs領域1とn+-InGaAs層2との界面にコン
ダクション・バンドの底の急峻な変化が存在するが、ラ
ピッド・サーマル・プロセスによってNi層3とn-G
aAs領域1/n+-In0.3Ga0.7As層2とが固相反
応する最中に、n+-InGaAs層2のIn原子がn-
GaAs領域1側に拡散する、その結果、アロイ工程後
半で再結晶化した際に、図1(B)に示すように、n++-グ
レーデッドInGaAs層5が形成され、これによっ
て、コンダクション・バンドの底の急峻な変化は、緩や
かな変化に変わる。また、アロイ前にn+-InGaAs
層2の表面(Ni層3側の界面)にある空乏層(図1
(A)参照)は、ラピッド・サーマル・プロセスによって
+-InGaAs層2にGe層4からGeがn型ドーパ
ントとしてドープされ、n型ドーパント濃度がより高い
++-InGaAs層6を生じるため、図1(B)に示すよ
うに、より薄い空乏層へと変わる。
【0018】また、Ni層3とGe層4はアロイ後にG
eNi合金層7となるため、図1(A)で存在したGe/
Ni界面のショットキ・コンタクトはなくなる。これら
の変化によって、結局、アロイ後の電極部分のエネルギ
・バンド・ダイヤグラムは、グレーデッドInGaAs
層を利用した低コンタクト抵抗のノン・アロイ・オーミ
ック・コンタクトと同様の構造となる。他方、Ni/G
eの蒸着されなかった部分は、上述のような固相反応中
のInの拡散やGeのドーピングが起こらないため、M
BEによる基板成長直後の基板構造をアロイ後も保持す
る。
【0019】《第2の実施の形態》次に、本発明の第2
の実施の形態について説明する。図2(A)は、この第2
の実施の形態のアロイ・オーミック・コンタクト電極に
おけるアロイ前のエネルギ・バンド・ダイヤグラムであ
り、図2(B)は、アロイ後のエネルギ・バンド・ダイヤ
グラムである。この実施の形態が上述の第1の実施の形
態と異なるところは、n-GaAs領域上に積層される
InGaAs層でのInの組成比と不純物濃度であり、
この実施の形態では、n++-InGaAs層29となっ
ている。
【0020】この実施の形態によってオーミック電極を
形成する工程は、前述の第1の実施の形態とほぼ同じで
ある。すなわち、MBE装置を用いて、オーミック・コ
ンタクトを設けたい基板上に、4×1018cm-3だけS
iをドープしたn-GaAs領域28を形成し、引き続
いて、5×1019cm-3だけSiをドープしたn++-I
0.7Ga0.3As層29を厚さ5nmで積層する。次
に、この基板上に、フォトレジストをステンシル加工し
た電極形成用のマスクを形成し、塩酸(HCl:H2
=1:1)に基板を1分間浸漬し、水洗後、ただちに蒸
着装置の真空チャンバ内に搬入する。そして、Ni層3
0を厚さ80nm、続いてGe層31を厚さ120nm
蒸着する。その後、フォトレジスト上の不要な金属をリ
フトオフすることにより、電極金属の堆積を完了する。
この状態では、n-GaAs領域28上に、n++-InG
aAs層29、Ni層30及びGe層31がこの順で積
層した構成となっている。そして、600℃で5秒間の
ラピッド・サーマル・プロセスによるアロイ化をことに
よって、オーミック・コンタクト電極が完成する。図2
(A),(B)は、上述したように、それぞれ、アロイ前とア
ロイ終了後の電極部のエネルギー・バンド・ダイヤグラ
ムである。
【0021】アロイ前には、図2(A)に示すように、n-
GaAs領域28とn++-In0.7Ga0.3As層29の
界面において、コンダクション・バンドの底の急峻な変
化が存在する。ラピッド・サーマル・プロセスでのNi
層30とn-GaAs領域28/n++-In0.7Ga0.3
s層29との固相反応中に、n++-In0.7Ga0.3As
層29のIn原子がn-GaAs領域28側に拡散する
ので、アロイ工程後半で再結晶化した際に、図2(B)に
示すようにn++-グレーデッドInGaAs層32が形
成され、これによって、上述の急峻な変化は緩やかな変
化に変わる。
【0022】また、アロイ前のn++-In0.7Ga0.3
s層29は、In組成が0.7と高いため、Ni層30
に対するフェルミ・レベルのピニング位置がコンダクシ
ョン・バンドの中にある。そのため、n++-In0.7Ga
0.3As層29とNi層30との界面にショットキ障壁
は形成されず、この界面での抵抗増加はない。しかし、
n-GaAs領域28との格子不整合によるストレスの
ため、5nmの厚さのn+ +-In0.7Ga0.3As層29
中には転移が多く発生しており、アロイを行わないノン
アロイ・コンタクトの状態では、高いコンタクト抵抗の
原因となる。本実施の形態では、アロイ化を行っている
ので、加熱中にNi層30とn++-In0.7Ga0.3As
層29及びn-GaAs領域28との固相反応が起こ
り、n++-グレーデッドInGaAs32層として再結
晶化する過程で格子不整合によるストレスが緩和され
る。その結果、n++-グレーデッドInGaAs層32
中の転移密度は、n型ドーパント濃度(5×1019cm
-3以上)に比べて無視できるほど小さくなり、コンタク
ト抵抗上昇の原因とはならない。さらに、Ni層30と
Ge層31は、アロイ後、GeNi合金層33となるた
め、アロイ前に存在したGe/Ni界面のショットキ・
コンタクトはなくなる。
【0023】これらの変化によって、結局、アロイ後の
電極部分のエネルギ・バンド・ダイヤグラムは、グレー
デッドInGaAs層を利用した低コンタクト抵抗のノ
ンアロイ・オーミック・コンタクト電極と同様の構造と
なる。他方、Ni/Geの蒸着されなかった部分は、上
述のような固相反応中のInの拡散やGeのドーピング
が起こらないため、MBEによる基板成長直後の基板構
造をアロイ後も保持する。
【0024】上述の第1の実施の形態及び第2の実施の
形態では、MBEで成長させる基板構造は、n-GaA
sとn-InGaAsとの単純な2層構造であったが、
本発明において、n-GaAsとn-InGaAsの繰り
返しの積層構造でも良いのは言うまでもない。また、基
板上にNiとGeのみを順次積層したが、Niに続い
て、アロイ後の耐熱性を損なわなずかつコンタクト抵抗
を下げる作用を有するPdやSnを例えば3nm積層し
た後、Geを堆積してもよい。本発明のポイントは、基
板成長中にはIn組成の連続変化を伴わない(すなわ
ち、グレーデッドでない)n-GaAsとn-InGaA
sの積層基板に対し、Ni/Ge系アロイ・オーミック
・コンタクトを形成することにある。
【0025】《第3の実施の形態》一般に、In組成の
高いInGaAsは酸化しやすいため、InGaAs層
が基板表面に露出しているノン・アロイ・オーミック・
コンタクトでは、金属−半導体界面に酸化膜が介在して
コンタクト抵抗を上昇させる原因になることがある。上
述の第1の実施の形態や第2の実施の形態の場合には、
基板のMBE成長を終えた時点で、n+-In0.3Ga0.7
As層2やn++-In0.7Ga0.3As層29が基板表面
に露出しているが、アロイ処理を行うため、たとえアロ
イ前に金属−半導体界面に酸化膜が残っていてもNiと
の固相反応時にその酸化膜は破壊され、コンタクト抵抗
の上昇の問題は生じない。しかし、基板の成長後にすぐ
にはNi層を積層しないような場合、すなわち、比較的
長い時間の基板の保管が行われる場合には、n+-In
0.3Ga0.7As層2やn++-In0.7Ga0.3As層29
のInGaAs表面が長期間大気に触れることとなって
この表面が酸化して膜厚が減少してしまい、結果とし
て、アロイ後に十分な厚みのn++-グレーデッドInG
aAs層5やn++-グレーデッドInGaAs層32が
得られない、というもう一つの問題を生じる。このよう
な基板の長期保存を行わなければ、この問題は発生しな
いのであるが、やむを得ず基板を長期保存する場合もあ
る。
【0026】第3の実施の形態では、基板のMBE成長
時に、n++-InGaAs層の上にn-GaAs層を成長
させ、n++-InGaAs層のInGaAsが大気に曝
されないようにしている。図3(A)は、この第3の実施
の形態のアロイ・オーミック・コンタクト電極における
アロイ前のエネルギ・バンド・ダイヤグラムであり、図
3(B)は、アロイ後のエネルギ・バンド・ダイヤグラム
である。
【0027】この実施の形態においてオーミック・コン
タクト電極を形成する工程は、上述の第1の実施の形態
や第2の実施の形態とほぼ同様である。すなわち、MB
E装置を用いて、オーミック・コンタクトをとりたい基
板上に、4×1018cm-3だけSiをドープしたn-G
aAs領域8を形成し、続いて、5×1019cm-3だけ
Siをドープしたn++-In0.7Ga0.3As層9を厚さ
5nmで堆積し、さらに4×1018cm-3だけSiをド
ープしたn-GaAs層10を厚さ3nmで積層する。
InGaAs層でもIn組成が小さければ酸化しにくい
が、n-GaAs層10は、低In組成InGaAsの
In組成ゼロの場合の極限であり、基板表面の酸化速度
を抑えるキャップ層として導入されている。このn-G
aAs層10は、たとえ酸化され、後で塩酸処理により
除去されて膜厚が減少しても、基板表面のIn総量の減
少にはつながらないので、アロイ後のコンタクト抵抗の
増大は起こらない。
【0028】次に、このようにMBE成長を行った基板
上に、フォトをレジストをステンシル加工した電極形成
用のマスクを形成する。塩酸に基板を1分間浸漬し、水
洗後、ただちに蒸着装置の真空チャンバ内に搬入して、
Ni層11を厚さ80nm、続いてGe層12を厚さ1
20nm蒸着する。続いて、フォトレジストによって不
要な金属層をリフトオフし、電極金属の堆積を完了す
る。この状態では、n-GaAs領域8上に、n++-in
GaAs層9、n-GaAs層10、Ni層11及びG
e層12がこの順で積層した構成となっている。そし
て、600℃で5秒間のラピッド・サーマル・プロセス
によるアロイ化を行うことによって、オーミック・コン
タクト電極が完成する。図3(A),(B)は、上述したよう
に、それぞれ、アロイ前とアロイ終了後の電極部のエネ
ルギー・バンド・ダイヤグラムである。
【0029】図3(A)に示すように、アロイ前には、n-
GaAs領域8とn++-In0.7Ga 0.3As層9との界
面、及び、n++-In0.7Ga0.3As層9とn-GaAs
層10との界面に、それぞれコンダクション・バンドの
底の急峻な変化が存在する。ところが、ラピッド・サー
マル・プロセスによってNi層11とn-GaAs領域
8/n++-In0.7Ga0.3As層9/n-GaAs層10
とが固相反応するうちに、n++-In0.7Ga0.3As層
9中のIn原子がn-GaAs領域8及びn-GaAs層
10に向って拡散する。そして、アロイ工程の後半で再
結晶化した際、図3(B)に示すように、n++-InGaA
s層14を挟んで2つのn++-グレーデッドInGaA
s層13,15が形成されることになる。その結果、上
述の各界面に存在したコンダクション・バンドの急峻な
変化は、緩やかな変化に変わる。また、アロイ前にn-
GaAs層10及びn++-In0.7Ga0.3As層9にあ
った空乏層は、ラピッド・サーマル・プロセスによって
n-GaAs層10にGe層12からGe原子がn型ド
ーパントとしてドープされ、n型ドーパント濃度のより
高いn++-InGaAs14層を生じるため、図3(B)に
示すように、より薄い空乏層へと変わる。
【0030】また、Ni層11とGe層12は、アロイ
後、GeNi合金層16となるため、アロイ前に存在し
たGe/Ni界面のショットキ・コンタクトはなくな
る。これらの変化によって、結局、アロイ後の電極部分
のエネルギ・バンド・ダイヤグラムは、グレーデッドI
nGaAs層を利用した低コンタクト抵抗のノン・アロ
イ・オーミック・コンタクトと同様の構造となる。他
方、Ni/Geの蒸着されなかった部分は、上述のよう
な固相反応中のInの拡散やGeのドーピングが起こら
ないため、MBEによる基板成長直後の基板構造をアロ
イ後も保持する。
【0031】上述したようにこの第3の実施の形態で
は、n-GaAs層10は、低In組成のInGaAs
層のIn組成ゼロの場合の極限であって、基板表面の酸
化速度を抑えるキャップ層として導入されている。した
がって、n-GaAs層10の代りに、In組成比が0.
1以下のInGaAs層、すなわちn-InyGa1-y
s(0≦y<0.1)層をn++-InGaAs層9上に設
けるようにしてもよい。このとき、n++-InGaAs
層9の組成をInxGa1-xAsで表わすとして、y<x
となるようにする。さらに、n-GaAs領域8上に、
n-GaAs層を挟むようにして複数のn-InxGa1-x
As層を積層し、その上にn-InyGa1-yAs(0≦
y<0.1)層をキャップ層として設けてから、Ni層
とGe層を積層するようにしてもよい。このとき、Ni
層とGe層との間に他の層が介在してもよい。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、n-Ga
As領域上にn-InxGa1-xAs層とNi層を積層
し、アロイ処理を行うことによって、グレーデッドでな
いn-InxGa1-xAs層を積層したにもかかわらず、
グレーデッドInxGa1-xAs層が形成され、結果とし
て、Ni/Ge系オーミック・コンタクト電極の持つ6
00℃程度までの高耐熱性を保ちながら、n-GaAs
領域に直接形成したNi/Ge系オーミック・コンタク
トよりも低抵抗を得ることができるようになるという効
果がある。また、アロイ中にGe原子のドーピングがあ
るため、n-GaAs領域にn++-グレーデッドInGa
Asを積層したり、n-GaAsとn++-InGaAsと
の多層膜によってn++-グレーデッドInGaAsと同
様の効果を得たりするノンアロイ・オーミック電極に比
べて、基板の成長が容易であるとともに、十分低抵抗な
オーミック・コンタクトを得るのに必要なInGaAs
膜厚を薄くできるという効果がある。
【0033】さらに、オーミック電極形成領域以外の領
域の基板表面のInGaAs層のみを、例えばCl2
BCl3などの塩素系ガスを用いた反応性イオンエッチ
ングによってドライエッチングした場合を考えると、グ
レーデッドInGaAs層を積層した場合と違って、電
極形成領域以外の領域でのInGaAs層とGaAs層
のInの組成変化が急峻であるため、エッチングガス中
のIn濃度変化を四重極質量分析器でモニタしたり、プ
ラズマ中のInに関連する発光の強度変化を分光器を用
いてモニタすることによって、GaAs上のInGaA
sのみをエッチングすることが容易にできるようにな
る。
【0034】In組成の高いn-InxGa1-xAs層を
用いる場合には、この層とNi層とに間にn-InyGa
1-yAs(0≦y<0.1、ただしy<x)層を介在させ
ることにより、大気中での保管中の表面酸化膜の成長を
最小限にくい止めることができ、基板の長期保存とコン
タクト抵抗の再現性の向上を可能にするという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のアロイ・オーミッ
ク・コンタクト電極を説明するエネルギ・バンド・ダイ
ヤグラムであり、(A)はアロイ前、(B)はアロイ後を示し
ている。
【図2】本発明の第2の実施の形態のアロイ・オーミッ
ク・コンタクト電極を説明するエネルギ・バンド・ダイ
ヤグラムであり、(A)はアロイ前、(B)はアロイ後を示し
ている。
【図3】本発明の第3の実施の形態のアロイ・オーミッ
ク・コンタクト電極を説明するエネルギ・バンド・ダイ
ヤグラムであり、(A)はアロイ前、(B)はアロイ後を示し
ている。
【図4】従来のNi/Ge系アロイ・オーミック・コン
タクト電極を示すエネルギ・バンド・ダイヤグラムであ
り、(A)はアロイ前、(B)はアロイ後を示している。
【図5】従来のノン・アロイ・オーミック・コンタクト
電極の一例を示すエネルギ・バンド・ダイヤグラムであ
る。
【符号の説明】
1,8,10,17,20,28 n-GaAs領域 2 n+-InGaAs層 3,11,21,30 Ni層 4,12,22,31 Ge層 5,13,15,32 n++-グレーデッドInGaA
s層 6,9,14,29 n++-InGaAs層 7,16,24,33 GeNi合金層 18 n+-グレーデッドInGaAs層 19 金属層 23 n++-GaAs層 25,26 トンネル電流 27 サーミオニック電流

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アロイ処理を行って形成されるアロイ・
    オーミック・コンタクト電極において、アロイ処理前の
    構造が、n-GaAs領域上に、n-InxGa1-xAs
    (0<x≦1)層とNi層と、さらに少なくともGe層
    を順次積層した構造であることを特徴とするアロイ・オ
    ーミック・コンタクト電極。
  2. 【請求項2】 アロイ処理を行って形成されるアロイ・
    オーミック・コンタクト電極において、アロイ処理前の
    構造が、n-GaAs領域上に、n-GaAs層を挟んで
    積層された複数のn-InxGa1-xAs(0<x≦1)
    層と、Ni層と、さらに少なくともGe層を順次積層し
    た構造であることを特徴とするアロイ・オーミック・コ
    ンタクト電極。
  3. 【請求項3】 アロイ処理を行って形成されるアロイ・
    オーミック・コンタクト電極において、アロイ処理前の
    構造が、n-GaAs領域上に、n-InxGa1-xAs
    (0<x≦1)層と、n-InyGa1-yAs(0≦y<
    0.1、ただしy<x)層と、Ni層と、さらに少なく
    ともGe層を順次積層した構造であることを特徴とする
    アロイ・オーミック・コンタクト電極。
  4. 【請求項4】 アロイ処理を行って形成されるアロイ・
    オーミック・コンタクト電極において、アロイ処理前の
    構造が、n-GaAs領域上に、n-GaAs層を挟んで
    積層された複数のn-InxGa1-xAs(0<x≦1)
    層と、n-In yGa1-yAs(0≦y<0.1、ただしy
    <x)層と、Ni層と、さらに少なくともGe層を順次
    積層した構造であることを特徴とするアロイ・オーミッ
    ク・コンタクト電極。
  5. 【請求項5】 アロイ処理を行うことによりn-GaA
    s領域に対するオーミック・コンタクト電極を完成させ
    るアロイ・オーミック・コンタクト電極の形成方法にお
    いて、 前記n-GaAs領域上に、n-InxGa1-xAs(0<
    x≦1)層をエピタキシャル成長し、その上にNi層を
    堆積し、さらに少なくともGe層を堆積し、 その後、ラピッド・サーマル・プロセスによるアロイ処
    理を行って、GeNi合金層を形成するとともに、前記
    InxGa1-xAs層からIn原子を前記n-GaAs領
    域に拡散させ、Ge原子を前記n-GaAs領域に向う
    方向に拡散させることを特徴とするアロイ・オーミック
    ・コンタクト電極の形成方法。
  6. 【請求項6】 アロイ処理を行うことによりn-GaA
    s領域に対するオーミック・コンタクト電極を完成させ
    るアロイ・オーミック・コンタクト電極の形成方法にお
    いて、 前記n-GaAs領域上に、n-GaAs層を挟んで積層
    された複数のn-InxGa1-xAs(0<x≦1)層を
    エピタキシャル成長し、その上にNi層を堆積し、さら
    に少なくともGe層を堆積し、 その後、ラピッド・サーマル・プロセスによるアロイ処
    理を行って、GeNi合金層を形成するとともに、前記
    InxGa1-xAs層からIn原子を前記n-GaAs領
    域及び前記n-GaAs層に拡散させ、Ge原子を前記
    n-GaAs領域に向う方向に拡散させることを特徴と
    するアロイ・オーミック・コンタクト電極の形成方法。
  7. 【請求項7】 アロイ処理を行うことによりn-GaA
    s領域に対するオーミック・コンタクト電極を完成させ
    るアロイ・オーミック・コンタクト電極の形成方法にお
    いて、 前記n-GaAs領域上に、n-InxGa1-xAs(0<
    x≦1)層とn-InyGa1-yAs(0≦y<0.1、た
    だしy<x)層とを順次エピタキシャル成長し、その上
    にNi層を堆積し、さらに少なくともGe層を堆積し、 その後、ラピッド・サーマル・プロセスによるアロイ処
    理を行って、GeNi合金層を形成するとともに、前記
    InxGa1-xAs層からIn原子を前記n-GaAs領
    域及び前記n-InyGa1-yAs層に拡散させ、Ge原
    子を前記n-GaAs領域に向う方向に拡散させること
    を特徴とするアロイ・オーミック・コンタクト電極の形
    成方法。
  8. 【請求項8】 アロイ処理を行うことによりn-GaA
    s領域に対するオーミック・コンタクト電極を完成させ
    るアロイ・オーミック・コンタクト電極の形成方法にお
    いて、 前記n-GaAs領域上に、n-GaAs層を挟んで積層
    された複数のn-InxGa1-xAs(0<x≦1)層と
    n-InyGa1-yAs(0≦y<0.1、ただしy<x)
    層とを順次エピタキシャル成長し、その上にNi層を堆
    積し、さらに少なくともGe層を堆積し、 その後、ラピッド・サーマル・プロセスによるアロイ処
    理を行って、GeNi合金層を形成するとともに、前記
    InxGa1-xAs層からIn原子を前記n-GaAs、
    前記n-GaAs層及び前記n-InyGa1-yAs層に拡
    散させ、Ge原子を前記n-GaAs領域に向う方向に
    拡散させることを特徴とするアロイ・オーミック・コン
    タクト電極の形成方法。
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