JP2740875B2 - 張弦梁屋根の張力導入方法 - Google Patents

張弦梁屋根の張力導入方法

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JP2740875B2 JP23122489A JP23122489A JP2740875B2 JP 2740875 B2 JP2740875 B2 JP 2740875B2 JP 23122489 A JP23122489 A JP 23122489A JP 23122489 A JP23122489 A JP 23122489A JP 2740875 B2 JP2740875 B2 JP 2740875B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、弦材を緊張することで所定応力が導入さ
れる張弦梁屋根構造の施工法に関する。
「従来の技術」 長大スパン構造の屋根の架構形式の1つとして、張弦
梁構造があり、その施工法の一例として本発明者らは先
に、特公平6−56034号明細書あるいは特公平7−49684
号明細書などにおいて提案を行っている。
前記明細書に記載した張弦梁屋根の一構造例は、第22
図と第23図に示すものである。
第22図と第23図に示す構造の屋根Aは、複数の大梁1
を環状のリングガーダ2の外周部にリングガーダ2を中
心として放射状に接合し、隣接する各大梁1の間に複数
の小梁とブレースを接合してトラス屋根を構成するとと
もに、各大梁1の先端部1aとリングガーダ2の底部のテ
ンションリング2aとの間に弦材3を張設して所定応力を
導入してなる構造であって、各々の大梁1の先端部1aを
別途に構築した側壁部5によって支持してなる構造とな
っている。なお、第22図において符号7は側壁部5の内
側に形成された客席部を示している。
そして、このような構造の屋根Aを備えた建築物を構
築するには、例えば、第24図ないし第26図に示す手順で
行う。
まず、第24図に示すようにクレーンによって建築物の
側壁部5の鉄骨建方を行うとともに、建築物の略中央に
リングガーダ用の仮設構台6を組み立て、次いで第25図
に示すように仮設構台6に支持させてリングガーダ2を
組み立てる。このリングガーダ2は例えば平面長円形状
のもので、その底部にはテンションリング2aが形成され
ている。
次に、側壁部5の鉄骨に鉄筋コンクリートの躯体工事
を施すとともに、側壁部5の上端部とリングガーダ2と
の間に大梁1…を順次クレーンによって架設して側面円
弧状かつ平面長円形状に組み立て、小梁やブレースと弦
材3なども取り付け、仕上工事を行って張弦梁屋根を形
成する。次いで、大梁1…の各先端部1aとリングガーダ
2の底部のテンションリング2aとの間に第26図に示すよ
うに取り付けてある弦材3を緊張することで、組み立て
たトラス屋根に所定応力を導入し、トラス屋根を自立さ
せることで第26図に示すように張弦梁屋根Aを完成さ
せ、仮設構台6は撤去する。
また、張力の導入後には、仕上工事などを行い、工事
完了とする。
「発明が解決しようとする課題」 前記構造の張弦梁屋根の最大の特徴は、弦材3に対す
る張力の導入によってなされる大梁1…の応力制御と変
形制御にある。従って弦材3に最終的に加える最適な張
力は仕上材をも含めた張弦梁屋根の全重量に対して設定
される。
そこで、前述の施工方法を採用する場合、以下に説明
する問題を生じている。
張弦梁屋根は当然のことながら長大な構造物となるの
で、弦材3に最終的に加える張力は極めて大きな値とな
るが、この場合、張力の大きさによってはジャッキの台
数が揃わないおそれがある。例えば、最終張力が100tを
越えて200t程度にも達する場合があるが、現状では120t
程度のジャッキは市場に多数存在するが、次の大きさの
200tあるいは300tの規模のジャッキは市場でも少ないも
のである。
前述のように導入張力が大きい場合、その誤差が生じ
易く、導入張力の安定性や信頼性に欠けるおそれがあ
る。
前述のように張弦梁屋根の仕上工事を行った後に屋根
の全重量に対する張力を導入する方法においては、張力
を導入するまでの間、屋根を仮設構台6で支持する必要
がある。従って、屋根工事の最終段階まで仮設構台6の
撤去ができないために、仮設構台6が障害となって屋根
直下の工事を屋根工事と並行して実施できない問題があ
り、工期が長くなる問題がある。
また、前記張弦梁屋根に張力を導入する場合、一般に
は、ジャッキにより弦材3に直接導入する張力と、仮設
構台6上に設置して屋根を支持したジャッキのジャッキ
ダウンによって付加される張力の両方を併用して張力の
導入を行っているが、この場合、以下に説明する問題が
ある。
ジャッキにより弦材3に直接導入した張力と、ジャッ
キダウンにより別途付加される張力を正確に計算して設
定することは困難な問題がある。
張弦梁屋根を仮設構台6で支持していると、仮設構台
6が屋根荷重で変形するとともに、屋根自体も正確に計
算どうりには変形しないものであるために、仮設構台6
の高さと、初期の屋根形状を正確に設定することが難し
い問題がある。
ジャッキのストロークには制約があるので、張力導入
とともに仮設構台6のジャッキをダウンしても屋根の変
形状態によっては、仮設構台6から屋根が離れない可能
性がある。
一方、前記張弦梁屋根の施工法において、多数本の弦
材3を緊張する必要がある場合は、通常、張力の導入を
1組の弦材3ごとに、あるいは、数組の弦材3ごとに行
っているが、この場合、以下に説明する問題がある。
複数本の弦材3に順次張力を導入してゆく場合、先行
して先に導入された弦材3の張力は、後続して導入され
る他の弦材3の張力の影響を受けるので、張力の算定が
複雑になる問題がある。また。このように弦材3ごとの
張力の影響を予想の上で各弦材3への張力の導入量を設
定することは、極めて困難なことである。
前述のように張力の付加順序によって順序ごとに影響
があるので、導入張力の調整に手間がかかるとともに、
導入張力の信頼性と安定性に欠ける問題がある。
1組ずつあるいは複数組みずつ弦材3を緊張してゆく
ので、緊張の度にジャッキの盛り替えを行う必要があ
り、非常に手間がかかる。
本発明は前記課題を解決するためになされたので、請
求項1に記載した発明は、張弦梁屋根を構築する場合に
おいて、導入する張力が少なくて済み、その値の誤差も
生じにくく、張力導入の安定性と信頼性に富むととも
に、屋根工事と屋根直下の工事を並行して行うことがで
き、工期短縮を実現できる施工法を提供することを目的
とする。
請求項2に記載した発明は、張力導入時におけるジャ
ッキダウンというあいまいなパラメータを無くして導入
張力量を適切に設定でき、工期を短縮できるとともに、
施工中に屋根を仮設構台から浮上させるもので仮設構台
による制約を少なくすることができる施工法を提供する
ことを目的とする。
請求項3に記載した発明は、張力導入による各弦材相
互の張力のやりとりを最小にして張力導入の設定並びに
調節を容易にするとともに、導入張力の信頼性と安定性
を向上させることができる施工法の提供を目的とする。
「課題を解決するための手段」 請求項1に記載した発明は前記課題を解決するため
に、複数の大梁と、隣接する大梁の間に架設された複数
の小梁およびブレースなどの2次部材とを具備してトラ
ス屋根が構成されるとともに、各大梁に弦材を張設して
トラス屋根に所定応力が導入されてなり、トラス屋根の
上に仕上工事が施されてなる張弦梁屋根に張力を導入す
る方法において、大梁と2次部材を組み付けてトラス屋
根を構築した後であって、仕上工事を行う前の段階にお
いて、最終的に加える最適の張力よりも低い張力を弦材
に加えてトラス屋根に所定応力を導入し、その後に仕上
工事を行い、仕上工事によるトラス屋根の重量増加によ
って弦材の張力を向上させて最適の値にするものであ
る。
請求項2に記載した発明は、複数の大梁と、隣接する
大梁の間に架設された複数の小梁およびブレースなどの
2次部材とを具備してトラス屋根が構成されるととも
に、各大梁に弦材を張設してトラス屋根に所定応力が導
入されてなり、トラス屋根の上に仕上工事が施されてな
る張弦梁屋根に張力を導入する方法において、大梁と2
次部材を組み付けてトラス屋根を構築するにあたり、ト
ラス屋根の中央部下方に設置した仮設構台とトラス屋根
の外周側に設けた側壁部で大梁を支持しつつトラス屋根
を構築し、この後、最終的に加える最適の張力よりも低
い張力を弦材に導入してトラス屋根を仮設構台から浮上
させて自立させるとともに、この後に仕上工事を行い、
仕上工事によるトラス屋根の重量増加によって弦材の張
力を向上させて最適の値にするものである。
請求項3に記載した発明は、複数の大梁と、隣接する
大梁の間に架設された複数の小梁およびブレースなどの
2次部材とを具備してトラス屋根が構成されるととも
に、各大梁に弦材を張設してトラス屋根に所定応力が導
入されてなり、トラス屋根の上に仕上工事が施されてな
る張弦梁屋根に張力を導入する方法において、前記各弦
材の取付部の各々に張力付加装置を設け、総ての張力付
加装置を同時一斉に作動させて総ての弦材を同時一斉に
緊張することでトラス屋根に張力を導入するものであ
る。
「作用」 請求項1に記載した発明によると、大梁と2時部材を
連結してトラス屋根を構築した後に、最終的に加える最
適の張力よりも低い張力を付加するので、長大なトラス
屋根であっても張力導入装置の負担が少なくなり、張力
導入装置の台数の制約が少なくなるとともに、導入張力
の誤差が生じにくくなり、導入張力の安定性や信頼性が
向上する。また、仕上材をトラス屋根に取り付けること
によって、トラス屋根の重量が増加し、これによって弦
材の張力は自然に増加して最終的に付加されるべき最適
の張力となる。
また、請求項2に記載した発明によると、仕上工事の
前に行う張力導入により仮設構台からトラス屋根を浮上
させるので、従来行っていた張力導入時のジャッキダウ
ンというあいまいなパラメータを無くすることができ、
導入張力量を適切に設定できるようになる。更に、張力
の導入で仮設構台からトラス屋根を浮上させるので、仮
設構台の高さの設定に関する制約が少なくなり、工事管
理が容易になる。更にまた、張力導入時、ジャッキダウ
ンという工程が無くなるので、工期が短縮される。
更に、請求項3に記載した発明によると、各弦材に同
時一斉に張力を導入することで、導入張力による各弦材
相互間の張力のやり取りが最小になり、導入張力の調整
が容易になるとともに、導入張力の設定に制約が無くな
るので張力導入の信頼性と安定性が向上する。また、総
ての張力導入装置を同時一斉に作動させるので、張力導
入装置の盛り替えが不要になり、工期が短縮される。
「実施例」 第1図ないし第10図は、本発明方法を適用して張弦梁
屋根を構築する順序を説明するためのもので、第11図な
いし第18図は本発明方法を適用して構築された長円形状
の張弦梁屋根の一例を示すものである。
ここで張弦梁屋根を構築する場合、第24図ないし第26
図を基に説明した方法と同様に、建築現場でクレーンに
よって建築物の側壁部5の鉄骨建方を行うとともに、建
築物の略中央にリングガーダ用の仮設構台6を組み立
て、次いで第25図に示すように仮設構台6に支持させて
リングガーダ2を組み立て、このリングガーダ2を基本
として施工を開始する。
前記リングガーダ2は、第10図ないし第15図に示すよ
うに、底部のテンションリング2aと上部のコンプレッシ
ョンリング2b,2bを鋼材で連結して構成されている。テ
ンションリング2aは、一対の直線状の鋼材からなる並列
部2A,2Aと、並列部2A,2Aに接合された半円状の放射部2
B,2Bからなる平面長円形状に形成され、並列部2A,2Aは
複数本の切梁2Dで補強されている。コンプレッションリ
ング2bは、テンションリング2aと同様に、並列部2A′,2
A′と放射部2B′,2B′と複数の切梁2D′とから構成され
ている。
また、この発明の施工法によって構築される張弦梁構
造の屋根Bは、第11図ないし第18図に示す構造となって
いる。
この実施例の屋根Bは、中央部に長円形状のリングガ
ーダ2が配置され、このリングガーダ2の上部周囲に放
射状に大梁1…が接合されている。リングガーダ2の各
並列部2Aには、6本の大梁が等間隔で接合されるととも
に、各放射部2Bには11本の大梁1が等間隔で接合されて
いて、各並列部2Aに接合された各大梁1の間の間隔が等
しくなるように、かつ、各放射部2Bに接合された各大梁
1の間隔が等しくなるように接合され、屋根荷重を大梁
1…で均等に支持できるように構成されている。
各大梁1は、第14図と第15図に示すように、上弦材1A
と下弦材1Bとラチス材1Cとからなるラチス梁構造をな
し、先端部1aの下弦材1Bに固着されたブラケット13にワ
イヤロープなどからなる弦材3を接合できるようになっ
ている。
また、隣接する大梁1,1の間には、第18図に示すよう
に、大梁1,1の上弦材1Aを接合した小梁15と、隣接する
大梁1,1の下弦材1Bを接合したアーチ型の小梁16とが設
けられ、大梁1,1の間には上弦材1A,1Aに接合されたブレ
ース17が複数設けられている。なお、大梁1と小梁15と
ブレース17の詳細な配置は第11図に示すように、大梁1
と小梁16の詳細な配置は第12図に示すようになってい
る。
一方、各小梁15,16および各ブレース17と各大梁1と
が接合される部分の構造は、第19図ないし第21図を基に
以下に説明するルーズホール構造になっている。
即ち、各接合部分は、ボルト18…による接合構造にな
っているが、ボルト18を挿通するための透孔19が各々ボ
ルト18の外径よりも数割程度大きな内径に形成されてい
る。即ち、ボルト18の半径よりも第19図に示すようにΔ
/2だけ大きな半径の透孔19が、ボルト18で接合される板
状の母材20と接合材21に形成されている。ここで母材20
は大梁1に接合された接合用のブラケット状の板材を示
し、接合材21は前記小梁15,16の接合部分あるいはブレ
ース17の端部の接合部分を示す。
以上のように構成することで、ボルト18の締め付け力
を弱くして相対摺動自在なように両部材を仮止めしてお
くと、第20図に示すように、ボルト18で仮止めした接合
材21は母材20に対して相対的に摺動して距離Δだけ移動
できるようになっている。
なおこの例では、各透孔19外径をボルト18の外径より
大きなものに形成しているが、透孔19を長孔状とし、こ
の透孔を接合材21の移動方向に沿うように母材20と接合
材21に形成しても良い。
ここで以下に前記のように構成される張弦梁構造の屋
根Bの施工手順について説明する。
施工開始にあたり、まず、建築現場における地組みな
どの手段によって第1図に示すように分割屋根材25,26
を形成する。この実施例の場合、分割屋根材25はリング
ガーダ2の並列部2A′に取り付けるための梯子状のもの
で、分割屋根材26はリングガーダ2の放射部2B′に取り
付けるための末広がりの梯子状のものである。なお、第
1図ないし第5図において、各図の(a)は分割屋根材
25,26の上弦面を示し、各図の(b)は分割屋根材25,26
の下弦面を示している。
分割屋根材25は、一対の平行な大梁1,1の間に小梁15,
16をボルト止めあるいは溶接により本固定するととも
に、それらの間に設けるブレース17の固定部分に前述の
ルーズホール構造を採用し、ブレース17…を固定するボ
ルト18…を全て緩く締め付けて相対摺動自在に仮止めし
て構成されている。また、分割屋根材26は、先端部にゆ
くにつれて広がるように対向させた一対の大梁1,1の間
に小梁15,16をボルト止めあるいは溶接により本固定す
るとともに、それらの間に設けるブレース17…の固定部
分に前記ルーズホール構造を採用し、ブレース17…を固
定するボルト18…を全て緩く締め付けて相対摺動自在に
仮止めしておく。なお、この仮止めしたブレース17…を
図面では鎖線で示している。
これらの分割屋根材25,26を必要個数地組みしたなら
ば、各々をクレーンなどの揚重機によって吊り上げ、第
2図に示すように、各分割屋根材25をリングガーダ2の
並列部2A′に等間隔で、しかも、隣接する分割屋根材2
5,25の間に分割屋根材25の幅に相当する間隔があくよう
に接合し、更に、各分割屋根材26をリングガーダ2の放
射部2B′に等間隔で、しかも、隣接する分割屋根材26,2
6の間に分割屋根材25の幅に相当する間隔があくように
接合する。
この接合の際に、各分割屋根材25,26は第25図におい
て説明した場合と同様に仮設構台6上のリングガーダ2
に一端をボルト止めあるいは溶接で本固定し、他端側は
側壁部5に支持させる。
第2図に示すようにリングガーダ2の全周に分割屋根
材25,26を間欠的に接合して固定したならば、分割屋根
材25,25の間にあけられている間隔と、分割屋根材26,26
の間にあけられている間隔と、分割屋根材25,26の間に
あけられている間隔に小梁15…,16…とブレース17…の
取り付けを第3図に示すように行う。第3図において鎖
線で示す部分が仮止めした部材を表している。
即ち、この取り付け作業においては、分割屋根材26の
両側の部分の総ての小梁15,16と、総てのブレース17…
の接合部分にルーズホール構造を採用し、これらの部材
を取り付けるボルトを緩く締め付けておく。なお、分割
屋根材25,25の間の小梁15,16は溶接あるいはボルト止め
などの方法で本固定する。このように仮止めした部分の
うち、分割屋根材26の両側の部分は、応力解除ゾーンと
なる。即ち、この例の場合、第3図に示すように大梁1
…の1スパンおきに応力解除ゾーンZが形成される。
以上の仮止め作業が終了した時点で屋根の骨組みは形
状的にはほぼ完成し、目的の屋根Bとほぼ同一形状の屋
根構成体(トラス屋根)Cが形成される。
次に前記屋根構成体Cにおいて、各大梁1…に設けた
ブラケット13とテンションリング2aとに連結されている
弦材3…の各々に張力を加える。
弦材3…に張力を加える場合、総ての弦材3…に同時
に一斉に張力を加える。このためには第14図に示すよう
に、テンションリング2aの各弦材3の固定部分のそれぞ
れに、ジャッキ装置などの油圧式の張力付加装置30を固
定し、総ての張力付加装置30を同時に作動させることで
総ての弦材3…に同時に張力を導入することができる。
総ての張力付加装置30を同時に一斉に作動させるため
のシステムの一構成例を第6図に示す。
第6図において、各張力付加装置30に接続された配管
31…は、必要本数ずつ、各制御盤32に接続されるととも
に、各制御盤32は各電導ポンプユニット33に接続され、
各制御盤32と各電導ポンプユニット33は各操作盤34に接
続されるとともに、各操作盤34は多チャンネル式の集中
操作盤35に接続され、集中操作盤35にはデジタル式など
の張力付加装置用の荷重計36…が接続されて構成されて
いる。なお、第6図において、37はポンプ用の荷重計、
38は電源を示している。
第6図に示すシステムにおいて、各張力付加装置30を
テンションリング2aの各弦材3の固定部分に固定し、各
張力付加装置30を弦材3に接続するとともに、各張力付
加装置30の油圧をコントロールしながら総ての張力付加
装置30を同時に一斉に作動させることで、総ての弦材3
に同時一斉に張力を付加することができる。
このように各弦材3に同時一斉に張力を付加すると、
1組あるいは数組ずつ順次弦材3を緊張してゆく場合に
比較し、隣接する弦材3,3間における相互の力のやり取
りが最小で済むので、張力導入が円滑になされるととも
に、導入張力の設定に制約がないので、導入された張力
は均等に大梁1…に作用する結果、導入張力の信頼性と
安定性に優れる。また、従来のように張力導入装置を盛
り替える必要もないので工期を短縮できる。
総ての弦材3に同時に張力を導入することで屋根構成
体Cには均一に張力が付加される。なお、この段階で付
加する張力は、最終的にトラス屋根に加える最適の張力
よりも低い値であって、張力の導入により屋根構成体C
が仮設構台6から浮上して自立するような値に設定す
る。また。この張力は、後に施す仕上工事による屋根構
成体Cの重量増加によって、弦材3…の張力が自然増加
した場合に最適の張力になるように設定しておく。
この屋根構成体Cの浮上と自立について第7図と第8
図を基に説明すると、張力を導入する以前の状態では屋
根構成体Cは第7図に示すように仮設構台6によってそ
の中央部を支持され、外周部は側壁部5によって支持さ
れた状態になっている。
この状態で弦材3による張力を導入すると、屋根構成
体Cを上方に膨出させるように浮上力が作用し、屋根構
成体Cが変形して上方に膨出することで屋根構成体Cは
仮設構台6から離れて自立する。この場合、未だ仕上工
事が施されていない屋根構成体Cの張力を付加するの
で、仕上工事後に張力を付加する場合に比較すると、少
ない張力で屋根構成体Cを仮設構台6から浮上させて自
立させることができる。
以上のように張力を導入した場合、大梁1…に所定応
力が発生されると同時に、導入力の一部が小梁15…,16
…あるいはブレース17…に流れて付加されるが、これら
の部材の多くは前述のルーズホール構造により大梁1…
に対して相対摺動自在に仮止めされているので、小梁1
5,16とブレース17は力の付加に応じて、力から逃れるよ
うに摺動する。
従って導入した張力は各応力解除ゾーンZと仮止めし
た部分の小梁15…,16…とブレース17…などの2次部材
に付加されることなく大梁1…に導入される。
なお、前記のように屋根構成体Cが自立したので、仮
設構台6を分解して撤去することができる。仮設構台6
を撤去したことで屋根構成体Cの下面側は自由な状態と
なるので、屋根構成体Cの下面側に必要な仕上工事など
を屋根工事と並行して施工できる。従って工期を大幅に
短縮することができる。
また、張力の導入時に、ジャッキダウンという従来必
要であったあいまいなパラメータをなくすることができ
るので、導入張力量を適切に設定できるとともに、工期
を短縮できる。
前記張力の導入作業が終了したならば、次に、コンプ
レッションリングの並列部2A′に接合された大梁1…に
前記の如く仮止めされていた小梁15…,16…とブレース1
7…の各ボルト18を締め付けて本固定する。また、コン
プレッションリングの放射部2B′に接合された大梁1…
に前記の如く仮止めされていた小梁16…のうち、最外周
の2本の小梁16…を除く他の小梁16…のボルト18…を締
め付けてこれらを第4図の実線に示すように本固定す
る。
そして、張力導入後、仕上工事を行う場合、第5図に
示すように本固定する前に、並列部2A′に接合された大
梁1…のまわりの部分、および、応力解除ゾーンZ以外
の仕上工事を先行して行う。そして、応力解除ゾーンZ
の仕上工事は、以下に説明するプレロード状態で行う。
即ち、前記応力解除ゾーンZに相当する部分に最終的
に取り付けるべき仕上材の半分程度の重量物を応力解除
ゾーンZの両脇の境界部分(分割屋根材26の両脇部分)
に各々設置し、応力解除ゾーンZに仕上工事完成時と同
等の応力を付加したプレロード状態とする。このプレロ
ード状態とした後に応力解除ゾーンZで仮止めされてい
るボルト18…を本締めして小梁15…とブレース17…を本
固定する。
以上のように予め仕上工事で最終的に取り付ける分と
同等の重量物を応力解除ゾーンの周囲に設置したプレロ
ード状態で小梁15…とブレース17…の本固定を行うこと
で仮固定していたこれらの部材を応力解除ゾーンZの仕
上状態と同等の応力付加状態にして本固定することがで
きる。
応力解除ゾーンに荷重をかける方法としては、一般
に、水、砂などをつめた小袋または固形物を仮置きする
方法、あるいは、仕上材としてALC板を用いる場合は、A
LC板を応力解除ゾーンZの両脇に積み重ねて載置するな
どの方法をとることができる。
前記のような本固定作業が終了したならば、残りの仮
止め部分を第5図に示すように本固定し、防水工事、銅
版貼り付け工事、天井工事などを行い、仮設作業台など
を撤去する。
前記のように仕上工事を進行することで屋根構成体C
の上には種々の重量物が設置されるので屋根構成体Cの
重量は増加する。そして、この重量増加に伴って屋根構
成体Cは第9図あるいは第10図に示すように順次沈み込
むように変形するので、各弦材3には一層大きな張力が
自動的に付加され、仕上工事が完了した時点では、屋根
構成体Cに最終的に付加するべき最適の張力をあたかも
導入した状態になる。
以上のように屋根構成体Cの形成時に低い張力を加え
た後で屋根構成体Cの仕上工事の進行とともに張力を増
加させるようにすることで言わば2段階に張力を導入す
ることができる。このように2段階に張力を導入するこ
とで、最初の段階での導入張力を低く設定できるので、
張力導入装置30…の負担が少なくなるとともに、誤差が
生じにくくなり、導入張力の安定性や信頼性に富むよう
になる。
ところで、前記実施例において、屋根構成体Cを形成
する場合、大梁1…の1スパンごとに応力解除ゾーンZ
を形成したが、応力解除ゾーンZの数は設計に余裕があ
る場合は少なくても差し支えない。また、分割屋根材2
5,26を予め地組みしてからリングガーダ2に接合した
が、リングガーダ2に大梁1…を個々に接合してから各
小梁15,16と各ブレース17などの2次部材を大梁1…に
接合して構築しても良いのは勿論である。
「発明の効果」 以上説明したように請求項1に記載した発明によれ
ば、仕上工事に入る前のトラス屋根を構築した段階で最
終的に加える最適の張力よりも低い張力を弦材に付加す
るので、張力導入装置の負担が少なくなるとともに、張
力導入装置の台数の制約も少なくなる。また、張力導入
後の仕上工事による重量増加によって最終的な最適の張
力にするので、導入張力の誤差もなくなり、導入張力の
安定性と信頼性が向上する。
請求項2に記載した発明によれば、張力の導入により
仮設構台からトラス屋根を浮上させて自立させるで、ジ
ャッキダウンというあいまいなパラメータを無くするこ
とができ、導入する張力を適切に設定できるようにな
る。また、仮設構台からトラス屋根を浮上させるので、
仮設構台を早く撤去して屋根工事と並行して屋根直下の
工事を進めることができ、工期を大幅に短縮できる効果
がある。更に、トラス屋根を浮上させるので、仮設構台
の高さの設定が容易になり、工事管理も容易になる。更
にまた、ジャッキダウンという工程がなくなるので、工
期を更に短縮できる。
請求項3に記載した発明によれば、各弦材に同時一斉
に張力を導入することで、隣接する弦材に加わる張力の
影響による力のやり取りを最小にすることができ、導入
張力の調整が容易になるとともに、導入張力の設定の複
雑さが無くなるので張力導入の信頼性と安全性が向上す
る効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第5図は張弦梁屋根の構築順序を説明する
もので、第1図(a)は分割屋根材の上弦面を示す平面
図、第1図(b)は分割屋根材の下弦面を示す裏面図、
第2図(a)は分割屋根材をリングガーダに間欠的に取
り付けた状態の上弦面を示す平面図、第2図(b)は同
状態の下弦面を示す裏面図、第3図(a)は分割屋根材
の間に2次部材を仮止めした状態の上弦面を示す平面
図、第3図(b)は同状態の下弦面を示す裏面図、第4
図(a)は張力導入後に仮止め部分の一部を本固定した
状態の上弦面を示す平面図、第4図(b)は同状態の下
弦面を示す裏面図、第5図(a)は仮止め部分の総てを
本固定した状態の上弦面を示す平面図、第5図(b)は
同状態の下弦面を示す裏面図、第6図は張力付加装置の
接続システムを示す構成図、第7図は張力導入前の屋根
構成体と仮設構台を示す説明図、第8図は第1段階の張
力導入状態を示す説明図、第9図は仕上工事途中の状態
を示す説明図、第10図は完成時の状態を示す説明図、第
11図ないし第18図は本発明を適用して構築された屋根の
一例の詳細構造を示すもので、第11図は完成した張弦梁
屋根の上弦面を示す平面図、第12図は完成した張弦梁屋
根の下弦面を示す底面図、第13図は弦材の配置を示す底
面図、第14図は張弦梁屋根の側面図、第15図は大梁の拡
大図、第16図は弦材の取付部の底面図、第17図は大梁の
横断面図、第18図は隣接する大梁の接合構造を示す正面
図、第19図は大梁と2次部材の仮止め状態を示す断面
図、第20図は大梁と2次部材の摺動後の状態を示す断面
図、第21図は仮止め位置を示す平面図、第22図ないし第
26図は本発明者らが先に提案している張弦梁屋根の提案
に記載された構造例を示すもので、第22図は張弦梁屋根
を備えた構築物の断面図、第23図は張弦梁の構成略図、
第24図は構台の組み立て状態を示す構成図、第25図はリ
ングガーダと大梁の取り状態を示す構成図、第26図は建
築物の完成状態を示す構成図である。 B…屋根、C…屋根構成体、Z…応力解除ゾーン、1…
大梁、1A…上弦材、1B…下弦材、1C…ラチス材、2…リ
ングガーダ、2a…テンションリング、2b…コンプレッシ
ョンリング、2A,2A′…並列部、2B,2B′…放射部、3…
弦材、15,16…小梁、17…ブレース、18…ボルト、19…
透孔、20…母材、21…接合材、25,26…分割屋根材、30
…張力導入装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗原 和茂 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 西谷 隆之 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 加藤 博巳 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 山田 利行 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の大梁と、隣接する大梁の間に架設さ
    れた複数の小梁およびブレースなどの2次部材とを具備
    してトラス屋根が構成されるとともに、各大梁に弦材を
    張設してトラス屋根に所定応力が導入されてなり、トラ
    ス屋根の上に仕上工事が施されてなる張弦梁屋根に張力
    を導入する方法において、 大梁と2次部材を組み付けてトラス屋根を構築した後で
    あって、仕上工事を行う前の段階において、最終的な最
    適の張力よりも低い張力を弦材に加えてトラス屋根に所
    定応力を導入し、その後に仕上工事を行い、仕上工事に
    よるトラス屋根の重量増加によって弦材の張力を向上さ
    せて最適の値にすることを特徴とする張弦梁屋根の張力
    導入方法。
  2. 【請求項2】複数の大梁と、隣接する大梁の間に架設さ
    れた複数の小梁およびブレースなどの2次部材とを具備
    してトラス屋根が構成されるとともに、各大梁に弦材を
    張設してトラス屋根に所定応力が導入されてなり、トラ
    ス屋根の上に仕上工事が施されてなる張弦梁屋根に張力
    を導入する方法において、 大梁と2次部材を組み付けてトラス屋根を構築するにあ
    たり、トラス屋根の中央部下方に設置した仮設構台とト
    ラス屋根の外周側に設けた側壁部で大梁を支持しつつト
    ラス屋根を構築し、この後、最終的な最適の張力よりも
    低い張力を弦材に導入してトラス屋根を仮設構台から浮
    上させて自立させるとともに、この後に仕上工事を行
    い、仕上工事によるトラス屋根の重量増加によって弦材
    の張力を向上させて最適の値にすることを特徴とする張
    弦梁屋根の張力導入方法。
  3. 【請求項3】複数の大梁と、隣接する大梁の間に架設さ
    れた複数の小梁およびブレースなどの2次部材とを具備
    してトラス屋根が構成されるとともに、各大梁に弦材を
    張設してトラス屋根に所定応力が導入されてなり、トラ
    ス屋根の上に仕上工事が施されてなる張弦梁屋根に張力
    を導入する方法において、 前記各弦材の取付部の各々に張力付加装置を設け、総て
    の張力付加装置を同時一斉に作動させて総ての弦材を同
    時一斉に緊張することでトラス屋根に所定応力を導入す
    ることを特徴とする張弦梁屋根の張力導入方法。
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