JP2739879B2 - 車両用ブレーキの自動再調節機能つき作動装置 - Google Patents

車両用ブレーキの自動再調節機能つき作動装置

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JP2739879B2 JP2501484A JP50148490A JP2739879B2 JP 2739879 B2 JP2739879 B2 JP 2739879B2 JP 2501484 A JP2501484 A JP 2501484A JP 50148490 A JP50148490 A JP 50148490A JP 2739879 B2 JP2739879 B2 JP 2739879B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は車両用ブレーキ、特にディスクブレーキの自
動再調節機能つき作動装置にして、 底部とブレーキに向って開いた円筒形の孔が形成され
た殻とを含むケーシングと、 ブレーキを作動せしめるために円筒形の孔内で流体圧
により移動可能なピストンと、 ピストンと同軸にケーシングの底部に回転可能に支持
され封止された機械式駐車ブレーキ作動のためのシャフ
トと、 2つの傾斜路装置にして、一方がケーシングに固定さ
れ、他方がシャフトによって回転可能とされ且つそれに
よってケーシングの底部から軸方向に離れる距離を調節
可能となされている2つの傾斜路装置と、 1対のストラット部材にして、互いに螺合し、軸方向
に調節可能な傾斜路装置とピストンとの間に調節可能な
ストラットを形成する1対のストラット部材と、 ケーシングに固定された推力軸受と2つのストラット
部材の一方に設けた推力軸受との間で軸方向偏倚力を受
けて位置付けられ、調節可能な傾斜路装置を不作動位置
に維持するようにする戻しばねと、を含む作動装置に関
している。
この形式の公知の作動装置(ドイツ特許DE−A−2408
706号明細書、特に第6図)においては、ケーシングの
底部は、ケーシングとは別個に形成されてケーシングに
ねじ止めされた構造部材である。ケーシングに固定され
た傾斜路装置は該部材の軸方向内側に直接形成されてい
る。ケーシングに固定された推力軸受は、中間環状壁に
して、ケーシングに一体に形成され、調節可能な傾斜路
装置を収容する後方空間から円筒形孔を離隔せしめる中
間環状壁に形成されている。後方空間はまた、2つのス
トラット部材の一方における推力軸受と、該一方のスト
ラット部材と調節可能な傾斜路装置との間に配置された
軸方向負荷軸受とを収容する。
第1のストラット部材は回転可能で非可逆外部ねじを
有しており、スリーブ状の第2のストラット部材にねじ
込まれる。第2のストラット部材はカップ型ピストン内
で非回転的に軸方向に移動可能に案内され、付加的なば
ねによってピストンの作動方向に偏倚されている。第1
のストラット部材は、方向性ロック(錠止め)機構を介
して、調節可能な傾斜路装置に連結される。さらに、第
1のストラット部材は、ケーシングの環状中間壁に封止
的に案内されている補助的流体圧ピストンによって具現
化され、円筒形孔内の流体圧が、ブレーキ部品の弾性変
形を生ずる値に到達すると、再調節が防止されるように
なされている。
この公知の作動装置は、著しく多い仕上げ作業と取付
け作業とを必要とし、シリンダ孔の直径が40mm未満のケ
ーシングには実際には取付けられない。自動車の前輪に
おけるシリンダ孔の直径は通常これより大、たとえば60
mm程度である。しかし、前輪は通常操向される車輪であ
るから、随意的な流体圧式および機械式作動機能を有す
るディスクブレーキを取付けるための空間が不充分であ
るのが普通である。このため、従来の前輪ブレーキに
は、流体圧式作動装置と駐車ブレーキとして有用な機械
式作動装置との双方を有するものは設けられていない。
また、通常の荷重分布の関係によって前輪には車両の重
量の50%以上が作用するから、後輪ブレーキの流体圧式
作動装置のシリンダ孔の直径は比較的小とすることが望
ましい。例えば乗用車の場合、後輪ブレーキのシリンダ
孔とピストンとの直径は38mmとし、同じものを前輪ブレ
ーキにおいては60mmとして、後輪ブレーキのブレーキ力
が過大となることを防止する。したがって後輪ブレーキ
としても、流体圧式および機械式作動装置の組合せであ
って、寸法的にも充分強力で、流体圧式作動ブレーキと
同様に完全に安全な駐車ブレーキに適する自動的に再調
節可能な作動装置の組み合わせを取付ける空間を得るこ
とは困難である。
別の公知例であるドイツ特許DE−A−2143575号明細
書に示す自動再調節機能つき流体圧式および機械式作動
装置では、ねじで互いに連結された2つのストラット部
材と戻しばねとを収容する空所がピストンに同様に形成
されている。該2つのストラット部材は粗いねじを有し
ており、戻しばねによって互いに軸方向に偏倚されてい
る。戻しばねは、一端を一方のストラット部材の頭部の
軸方向軸受によって支持され、他端をケーシングに固定
された推力軸受によって支持される。ケーシングに固定
された推力軸受は、ケーシングの環状の溝内の半径方向
外側フランジに係合する、またはピストンに形成された
空所に完全に収容される、カップ型のインサートの底部
として具現化される。機械式作動のためにシャフトが設
けられる。シャフトは、ピストンの軸方向に対して横切
る方向でケーシングに支持され、シャフトに偏心的に支
持されたタペットによって手動ブレーキピストンを押圧
する。手動ブレーキピストンは、ケーシング内の流体圧
式に作動するピストンと同軸に案内され、ブレーキ解放
クリアランスを越えて移動した後に第1のストラット部
材の頭部の円錐形カップリングに着座する。
この公知の作動装置では、シャフトのための横方向に
延長する孔を形成するコストが高価であり、シャフトか
らタペットを介して手動ブレーキピストンへの力の機械
的伝達の能率が低い。乗用車の運転者が人力によって確
実に手動ブレーキを作用せしめるためには、20kp以下の
力で15cm以下の作動経路で手動ブレーキレバーを作用せ
しめることが小型および中型乗用車に通常要求され、上
記公知の作動装置はこれを満足する。しかし、より重量
のある大型車についてはこの限りではない。また、ブレ
ーキが強く作用せしめられて弾性的に変形したときの再
調節を防止する補助ピストンは設けられていない。さら
に、この公知の装置にはそのような補助ピストンを取付
ける余地がない。
本発明の目的は、車両ブレーキ特にディスクブレーキ
用の自動再調節機能つきの、流体圧式および機械式組み
合わせ作動装置であって、容易に組立て可能であり、シ
リンダ直径が例えば40mm未満の小型のケーシング内にも
収容され、高い能率で機械的に作動せしめ得る作動装置
を開発するにある。
この目的は、本発明により、前述形式の作動装置にお
いて、 ケーシングの底部がケーシングの殻と一体とされ、 ケーシングに固定された傾斜路装置が、ケーシングの
底部とは別個であって該底部に支持された板であり、 ケーシングに固定された推力軸が、を一方のストラッ
ト部材を非回転可能に案内するインサート上に形成され
ており、 ケーシングに固定された傾斜路装置とインサートと
が、共通のファスナ部材によって、軸方向移動をしない
ように保持されており、且つ、共通の捩り防止手段によ
って、回転を防止されている、 ようにしたことにより達成される。
ケーシングの製造と仕上げとは前述公知の作動装置に
対比して単純化されており、これはケーシングの底部が
殻と一体に形成されていることによる。詳細にはケーシ
ングは一体鋳造とすることができる。この工程における
孔の収縮の危険性は、材料の過度の集積がないようにケ
ーシングの設計が可能であるから防止することができ
る。別個に製造されケーシングに固定された傾斜路装置
と、ケーシングに固定された推力軸受を形成されたイン
サートとを共通的に締付けることは、単純な取付け作業
でよく、機械化が可能である。
本発明の望ましいいくつかの変形例は請求の範囲に記
載されている。これら変形例の特に有利な点は、インサ
ートをケーシングの外部で組立体に組み入れることが可
能であることである。この組立体は、2つの傾斜路装置
と、戻しばねと、該戻しばねを支持するストラット部材
とから成り、ケーシングに固定される傾斜路装置として
与えられる板にインサートを固定することによって、こ
れらの部材は互いに保持される。したがって組立体は、
全体として円筒形孔内に導入可能である。組立て時にお
いて、戻しばねの所望のばね力は正確に調節され、その
まま永久的に設定される。
本発明の実施例を、添付した概略図を参照して詳述す
る。
第1図は本発明の第1実施例の作動装置を有するスポ
ット型ディスクブレーキの軸方向断面図、 第2図は第1図の拡大断面図、 第3図は第1図の線III−IIIに沿う断面図、 第4図は第1図の線IV−IVに沿う断面図、 第5図は本発明の第2実施例によるスポット型ディス
クブレーキの第1図に対応する軸方向断面図、 第6図は第5図の拡大断面図、 第7図は第5図の線VII−VIIに沿う断面図、 第8図は第5図の線VIII−VIIIに沿う断面図、 第9図は本発明の第3の実施例を示す第2図および第
6図に対応する断面図、 第10図は第9図の線X−Xに沿う断面図、 第11図は第9図の線XI−XIに沿う断面図、 第12図は第9図の線XII−XIIに沿う断面図である。
第1図ないし第4図、第5図ないし第8図、第9図な
いし第12図にそれぞれ示す3つの実施例について以下に
述べる。
図示の各スポット型ディスクブレーキは、図示しない
キャリアに通常形式で案内されてブレーキディスク12の
軸線に平行に変位する浮動キャリパ10を含む。キャリパ
10はブレーキディスク12と2つのブレーキパッド14、16
とを横切って延長し、第1のブレーキパッド14は後述す
るアクチュエータによって直接にブレーキディスク12に
作用せしめられる。これによって反作用力が生じ、浮動
キャリパ10の脚18が第2のブレーキパッド16をブレーキ
ディスク12に作用せしめるようにキャリパ10を移動せし
める。
作動装置は例えば鋳造による一体成型のケーシング20
を含み、ケーシング20は、底部22と、ブレーキディスク
12に向って開く円筒形の孔26とマスタシリンダに連通す
る入口ダクト28とを具えた殻24とを有する。円筒形の孔
26は、ブレーキパッド14に対する当接表面を有する閉じ
た外端壁32を有するカップ形ピストン30を案内する。
機械式ブレーキ作動のためのシャフト34が回転可能に
支持され、ケーシングの底部22内の軸受ブッシュ36内で
ピストン30に同軸に軸方向に移動可能である。通常の方
法、例えばボーデンケーブルによって、駐車ブレーキレ
バーまたはペダルに連結されたレバー38がシャフト34の
外方端に固定される。ケーシングに固定された傾斜路
(ランプ)装置40が底部22の内側に配置される。傾斜路
装置40は環状の板の形状を有し、シャフト34に沿って滑
動せしめることによって中心決めされ、捩れ防止手段42
によってケーシング20に非回転的に固定される。第1お
よび第2の実施例において捩れ防止手段42は、成型また
は植込みによって形成されたピンであって、ケーシング
の底部22に形成された有底孔44に係合する。
ケーシングに固定されるランプ装置40には3つの溝状
の傾斜路46が円周方向に延長して設けられ、球形の拡張
体(スプレッダ)48をそれぞれ収容する。各拡張体48は
それぞれ他方の傾斜路装置50の対応する傾斜路と協働
し、傾斜路装置50は同様な環状ディスク状をしており、
調節可能である。第1および第2の実施例において傾斜
路装置50はシャフト34の非円形部52、例えば複数の突出
部または溝部を有する断面部に滑動係合せしめられてい
る。シャフト34の頭部54は軸方向負荷軸受56を中心決め
する。第1および第2の実施例において軸受56はニード
ル軸受である。軸方向負荷軸受56によって調節可能の傾
斜路装置50は、ボルト状のストラット部材60に形成され
る推力軸受58により、拡張体48に作用する圧力に対して
軸方向に支持される。
ボルト状のストラット部材60は1対の粗いねじ62によ
ってスリーブ状のストラット部材64とねじ係合し、ねじ
62は自己ロック(錠止め)ではなく、精密に決定された
ねじ間隙を有する。両部材60、64は共働して、ピストン
30およびシャフト34に同軸のストラットを形成し、その
有効長さはブレーキパッド14、16のライニングの漸増的
な摩耗に伴って増加可能である。スリーブ状のストラッ
ト部材64はピストン30内の対応する補助的シリンダ孔66
内で移動可能に案内する補助ピストンとして作用する。
スリーブ状ストラット部材64の端壁32に面する端部
は、底板68によって緊密に閉鎖されている。底板68と端
壁32とによって限定される補助的円筒形孔66の部分を常
に圧力のない状態に保持するため、該部分は、半径方向
レリーフ孔70によってピストン30の外側溝72に連結され
ている。溝72はベローズ74の一端を収容し、ベローズ74
はシリンダ孔26から突出するピストン30の端部とケーシ
ング20とを連結して、シリンダ孔20を塵埃などから保護
する。
スリーブ状ストラット部材64にはピストン30の内側円
錐部78に関連する円錐形フランジ76が形成されている。
ピストン30の内側にはフランジ76とロック(錠止め)リ
ング82との間に軸方向偏倚力を与えるばね座金80が配置
されている。ばね座金80はフランジ76を円錐部分78に当
接保持し、これによりスリーブ状ストラット部材64のピ
ストン30に相対的な回転を防止する。ピストン30の回転
は通常の方法、例えばブレーキパッド14と共働せしめる
ことによって防止する。
スリーブ状またはケージ状のインサート84が、軸方向
に移動しないように且つ回転しないようにケーシング20
に固定されて、円筒形孔26内に(大部分はカップ型ピス
トン30内に)収容されている。インサート84は例えば深
絞り板金部品であって、ボルト状のストラット部材60の
軸方向移動を許容するが、その回転は阻止するようにな
されている。図示実施例においてインサート84は、3つ
の長手方向溝86を有し、そのそれぞれは推力軸受58の半
径方向突起88と係合する。
図示実施例において螺旋形のコイルばねとなされる戻
しばね90の一端は、推力軸受58の軸方向負荷軸受56から
遠い側の側面に接する。他端はインサート84の半径方向
内方に突出するフランジとして構成され、ケーシングに
固定されている推力軸受92に支持される。戻しばね90は
例えば50kpの力で偏倚され、調節可能の傾斜路装置50
を、ケーシングに固定された傾斜路装置40に最も近い位
置すなわち非作動位置に保持しようとする。
固定の目的のために、インサート84には、半径方向の
弾性を有する環状の締付け部材96と共働する基端部94が
形成されるが、この共働の態様は第1の実施例では直接
的であり、第2および第3の実施例では間接的である。
締付け部材96は、ケーシングの円筒形孔26と底部22との
遷移部付近の内部肩98の背部にスナップ係合で嵌合す
る。内部肩98は円筒形孔26内への入口孔28の口部を横切
って延長しており、細いドライバなどの工具を外部から
入口孔26内へ挿入することによって、締付け部材96を半
径方向内方に圧縮して係合を解除することができる。
第1および第2の実施例における作動装置のひとつの
差は、第1図ないし第4図の締付け部材96は矩形の断面
を有し、内部肩98は円筒形孔26の軸線に直角な平面内に
あるのに対し、第5図ないし第8図の締付け部材96の場
合は円形断面で、内部肩98はケーシングの底部22に面す
る円錐形表面である点である。
第1および第2の作動装置の別の相違点は、第1図な
いし第4図のインサート84の底縁部94は半径方向外方に
突出して環状の締付け部材96の直接後方にある点であ
る。戻しばね90と推力軸受58と軸方向負荷軸受56と拡張
具48つきの調節可能な傾斜路装置50とを介して、インサ
ート84がケーシングに固定された傾斜路装置40を軸方向
に圧迫し、ケーシングの底部22から離れることを防止す
る。ケーシングに固定された傾斜路装置40は3つの半径
方向突起100を有し、そのそれぞれがインサート84の長
手方向溝86に係合して、インサート84が傾斜路装置40に
よって回転せしめられることを防止する。
第5図ないし第8図の第2実施例においては、インサ
ート84の底縁部94は半径方向内方に曲げられて傾斜路装
置40の脊部と係合する。傾斜路装置40の半径方向突起10
0の軸方向運動は、対応する締付け部材96によって間接
的に防止される。ケーシングに固定される傾斜路装置40
の半径方向突起100は、同様にインサート84の長手方向
溝86にそれぞれ係合することによりインサートの回転を
防止する。
第5図ないし第8図に示されるインサート84と傾斜路
装置40との連結は、ケーシング20の外部において為すこ
とができることが利点である。この連結は、インサート
84を、シャフト34と、拡張具48を中間に位置せしめた2
つの傾斜路装置40、50と、軸方向負荷軸受56と、ボルト
状ストラット部材60と、そして戻しばね60とに組合わせ
て組立体を構成することにより為される。この組立体
は、機械的に装架された後、ケーシング20内に押込まれ
る。その後、スリーブ状ストラット部材64が1組のばね
座金80と共にピストン30内に挿入され、ロック(錠止
め)リング82によって固定される。ピストン30が孔26内
に挿入され、同時に回転せしめられ、ストラット部材6
0、64がねじ係合するようになされる。最終的に、予め
ケーシング20に取付けられたベローズ74がピストン20に
固定される。
第9図ないし第12図に示す第3の実施例としてのブレ
ーキ作動装置の深絞り板金インサート84は、前述2つの
実施例の設計特性を組合わせたものである。第9図ない
し第12図のインサート84は、第5図ないし第8図のもの
と同様に推力軸受92から遠い端部に多数のラグ102を有
し、これらは半径方向内方に曲げられてケーシングに固
定された傾斜路装置40の脊部に係合し、これによって傾
斜路装置40は軸方向に運動可能で回転可能な傾斜路装置
50と、さらにボルト状ストラット部材60と、軸方向負荷
軸受56と、そして戻しばね90と組合わされて組立体を構
成するが、この組立体はケーシング20の外部で組立てら
れて一体として取付けられる。また、第9図ないし第12
図に示す実施例は、第1図ないし第4図に示す実施例と
同様に、インサート84が標準型ロック(錠止め)リング
の形式の締付け部材96によってケーシング20に固定され
ている。このために、第9図に示すようにインサート84
のラグ104は、外方に向けられて締付け部材96の背部と
係合する縁部の形式となっている。
インサート84はラグ104の区域において環状の肩すな
わちクランク状折曲げ部106を有する。この折曲げ部106
の右方のインサート84の大部分は実質的にピストン30内
にあってピストン30の内径よりも著しく小さい直径を有
する。従ってインサート84は例えば小型乗用車の後輪ブ
レーキのような小径のピストンにも使用可能である。し
かし、インサート84の折曲げ部106を越える部分は第5
図ないし第8図の実施例と実質的に同一直径を有し、イ
ンサート84は、著しく小型な構造に拘わらず、調節可能
の傾斜路装置50をそれと接触しないで取囲むことを可能
としている。
第1および第2実施例と異って、調節可能の傾斜路装
置50はシャフト34と一体に形成されているが、一方、こ
れらの実施例と同様に、軸方向負荷軸受56によって推力
軸受58上に保持されている。しかし、第9図において軸
受56は、銅と鉛の混合物が埋込まれたポリテトラ弗化エ
チレンで被覆された鋼板製の円形滑動円板である。滑動
軸受円板56は調節可能の傾斜路装置50の対応する中央凹
所に係合する中央突起108を有し、これによって中心決
めを達成する。推力軸受58に形成される滑動軸受円板56
のための当接表面は、図示しないが望ましくはいくらか
凸に球面状をなし、軸受円板56も対応する形状とする。
これは製造公差によって両者間に軸方向整合の誤差があ
った場合にも傾斜路装置50に対して推力軸受58が傾斜す
ることを防止する。
第9図ないし第12図の実施例において、捩れ防止手段
42は有底孔44内に打込まれた軸線に平行なピンであっ
て、ケーシングに固定された傾斜路装置40に設けられた
半径方向に長い孔110に係合する。ピン42と孔110との間
の傾斜路装置40の円周方向遊隙は著しく小であって、傾
斜路装置40は実質的に円周方向遊隙がないようになされ
る。傾斜路装置40は半径方向にはシャフト34に対しても
孔110に対しても実質的な遊隙を有する。従って3つの
球形の拡張具48は、調節可能な傾斜路装置50に対してケ
ーシングに固定された傾斜路装置40に中心決めされ、拡
張具48が2つの傾斜路装置40、50の傾斜路46によって限
定される関連する凹所内で傾くことなく動作する。
図示各実施例について作動態様は同一である。流体圧
ブレーキ作動時で適当な圧力、すなわち浮動キャリパ10
とブレーキパッド14、16の摩擦ライニングとが実質的に
変形しない程度の圧力のときには、ピストン30はブレー
キディスク12の方向に移動する。スリーブ状のストラッ
ト部材64の移動は、移動量がストラット部材60、64間の
粗いねじ62に存在するねじ間隙を越えない範囲ではピス
トン30の移動に完全に随っており、この間隙は設定され
たブレーキ解放間隙に対応する。すなわち、このときば
ね座金80は変形していない。
しかしながら、ブレーキパッド14、16をブレーキディ
スク12に圧接するためのピストン30の移動距離が、摩擦
ライニングの摩耗により設定されたブレーキ解放間隙よ
り大であれば、戻しばね90によって保持されるボルト状
のストラット部材60が、スリーブ状のストラット部材64
の、流体圧作動時のピストン30のブレークディスク12に
向う運動に完全に追随する運動を防止する。その結果、
スリーブ状のストラット部材64の円錐形フランジ76は、
ばね座金80の組の抵抗に抗して内側円錐部78から僅かに
離れて持ち上げられる。このときのばね座金80の組の抵
抗は戻しばね90の偏倚力より小である。この段階でスリ
ーブ状のストラット部材64は軸線の回りの回転をもはや
阻止されていない。
粗いねじ62の組によって伝達され、且つボルト状スト
ラット部材60がスリーブ状ストラット部材64を引止める
ように作用する軸方向力は、円周方向分力を有する、す
なわちトルクが発生してスリーブ状ストラット部材64が
ボルト状ストラット部材60からある程度ねじ戻される。
これにより、円錐形フランジ76はピストン30の内側円錐
部78に再び当接する。ここで、2つのストラット部材6
0、64によって形成されるストラットの有効長さはいく
らか大きくされていることになるから、ブレーキ作動の
終了時にはピストン30は出発位置には復帰しない。ブレ
ーキ解放間隙は再び設計値まで減少されることになる。
強い流体圧ブレーキ作動によって例えばシリンダ孔26
内で20バール以上の圧力が作用すると、弾性変形が特に
浮動キャリパ10とブレーキパッド14、16のライニングに
生ずる。これらの変形を補償するような調節は望ましく
ないから、以下に述べるようにしてこれを防止する。
シリンダ孔26内の圧力は、補助ピストンとして設計さ
れたスリーブ状のストラット部材64にも作用する。強い
流体圧作動時にばね座金80の組によって、及びスリーブ
状ストラット部材64の流体圧によって作用する軸方向力
は、全体として、ボルト状のストラット部材60に形成さ
れた推力軸受58が戻しばね90を圧縮するために必要な力
より大である。したがって、戻しばね90はボルト状のス
トラット部材60をもはや保持することができなくなり、
フランジ76を内側円錐部78から離して持上げる。したが
って、スリーブ状のストラット部材64は回転を防止され
た状態に保持される。この理由により、ブレーキは再調
節の必要なしに作動せしめられる。流体圧力が例えば20
バールの閾値以下に低下したときに限り、ブレーキパッ
ド14、16のライニングの摩耗によって実際に必要な場合
に再調節が行われることになる。
ブレーキを例えば駐車のために機械的に作動せしめる
ときには、シャフト34をレバー38によって回転せしめ
る。その結果、拡張具48は2つの傾斜路装置40、50の傾
斜路46を駆け上り、調節可能の傾斜路装置50をブレーキ
ディスク10に向けて押圧する。調節可能の傾斜路装置50
は、ボルト状のストラット部材60の軸方向負荷軸受56を
介して軸方向圧力を作用せしめる。ねじの間隙分の距離
を進んだ後に、この力は粗いねじ62の組によってスリー
ブ状のストラット部材64に伝達され、次に円錐形フラン
ジ76を介して内側円錐部78に伝達され、ピストン30に伝
達される。この過程でスリーブ状ストラット部材64の回
転は阻止されている。すなわち、機械的作動時には2つ
のストラット部材60、64は剛性の1つのストラットとし
て作用することになる。

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両用ブレーキ、特にディスクブレーキの
    自動再調節機能つき作動装置にして、 底部(22)とブレーキに向って開いた円筒形の孔(26)
    が形成された殻(24)とを含むケーシング(20)と、 ブレーキを作動せしめるために円筒形の孔(26)内で流
    体圧により移動可能なピストン(30)と、 ピストン(30)と同軸にケーシングの底部(22)に回転
    可能に支持され封止された機械式駐車ブレーキ作動のた
    めのシャフト(34)と、 2つの傾斜路装置(40、50)にして、一方(40)がケー
    シングに固定され、他方(50)がシャフト(34)によっ
    て回転可能とされ且つそれによってケーシングの底部
    (22)から軸方向に離れる距離を調節可能となされてい
    る2つの傾斜路装置(40、50)と、 1対のストラット部材(60、64)にして、互いに螺合
    し、軸方向に調節可能な傾斜路装置(50)とピストン
    (30)との間に調節可能なストラットを形成する1対の
    ストラット部材(60、64)と、 ケーシングに固定された推力軸受(92)と2つのストラ
    ット部材の一方(60)に設けた推力軸受(58)との間で
    軸方向偏倚力を受けて位置付けられ、調節可能な傾斜路
    装置(50)を不作動位置に維持するようにする戻しばね
    (90)と、 を含む形式のものにおいて、 ケーシングの底部(22)がケーシングの殻(24)と一体
    であり、 ケーシングに固定される傾斜路装置(40)が、ケーシン
    グの底部(22)とは別体であって且つ該底部(22)によ
    って支持される板であり、 ケーシングに固定される推力軸受(92)が、一方のスト
    ラット部材(60)を非回転的に案内するインサート(8
    4)に形成されており、 ケーシングに固定される傾斜路装置(40)と前記インサ
    ート(84)とが、共通の締付け部材(96)によって、軸
    方向移動をしないように保持されており、且、共通の捩
    り防止手段(42)によって、回転を防止されていること
    を特徴とする、作動装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の装置にして、前記共通の
    締付け部材(96)が、ケーシング(20)の内側肩(98)
    の背部にスナップ係合して嵌合する、半径方向の弾性を
    有するリングであることを特徴とする装置。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の装置にして、前記内側肩
    (98)がケーシングの底部(22)に面する円錐形表面で
    あり、該円錐形表面によってインサート(84)とケーシ
    ングに固定された傾斜路組立体(40)とが軸方向間隙な
    しに保持されていることを特徴とする装置。
  4. 【請求項4】請求項2または請求項3のいずれかに記載
    の装置にして、前記内部肩(98)が、流体圧流体のため
    のほぼ半径方向に延びた入口孔(28)と交差しており、
    該入口孔(28)を通して導入される工具によって前記締
    付け部材(96)が離脱可能となされていることを特徴と
    する装置。
  5. 【請求項5】請求項1ないし請求項4のいずれか1項に
    記載の装置にして、インサート(84)がスリーブ状であ
    って、且つ、戻しばね(90)と少くとも調節可能な方の
    傾斜路組立体(50)とを収容していることを特徴とする
    装置。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の装置にして、インサート
    (84)が、ケーシングに固定された傾斜路組立体(40)
    に固定されており、該ケーシングに固定された傾斜路組
    立体が、締付け部材(96)と捩り防止手段(42)とによ
    ってケーシング(20)に固定されていることを特徴とす
    る装置。
  7. 【請求項7】請求項5に記載の装置にして、インサート
    (84)と2つの傾斜路組立体(40、50)と戻しばね(9
    0)と該戻しばね(90)を支持するストラット部材(6
    0)とが、インサート(84)をケーシングに固定された
    傾斜路組立体(40)に締付けることによって、1つの組
    立体として保持され、全体として円筒形の孔(26)内に
    挿入されていることを特徴とする装置。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の装置にして、インサート
    (84)が推力軸受(92)から遠い方の端部にラグ(10
    2)を有しており、該ラグは半径方向内方に曲げられ、
    ケーシングに固定された傾斜路組立体(40)の背部と係
    合しており、さらにインサート(84)は、半径方向内方
    に曲げられたラグ(102)と推力軸受(92)との間に、
    半径方向外方に曲げられて締付け部材(96)の背部と係
    合するラグ(104)を有していることを特徴とする装
    置。
  9. 【請求項9】請求項8に記載の装置にして、インサート
    (84)の直径が、推力軸受(92)と半径方向外方に曲げ
    られたラグ(104)との間の範囲で、半径方向外方に曲
    げられたラグ(104)と半径方向内方に曲げられたラグ
    (102)との間の範囲より小さいことを特徴とする装
    置。
  10. 【請求項10】請求項1に記載の装置にして、捩り防止
    手段が、ケーシングの底部(22)に固定されて軸線に平
    行なピン(42)であり、該ピン(42)は、ケーシングに
    固定された傾斜路組立体(40)に形成されて半径方向に
    長く延びている孔(110)を貫通して延長していること
    を特徴とする装置。
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