JP2736810B2 - 平均値測定装置 - Google Patents

平均値測定装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は入力電圧波形または入力電流波形をディジタ
ルサンプリングしてその平均値を測定するディジタルサ
ンプリング方式の平均値測定装置に関する。
〔概要〕
本発明は、ディジタルサンプリング方式の平均値測定
装置において、 サンプリングしたディジタル電圧値またはディジタル
電流値の絶対値をローパスフィルタを通過させることに
より、 入力波形とサンプリング周期とにずれがあってもすみ
やかに平均値を求めることができるようにするものであ
る。
〔従来の技術〕
アナログディジタル変換回路を用いて入力電圧波形ま
たは入力電流波形をディジタルサンプリングして平均値
を求める装置では、入力波形の周期とサンプリング周期
とが一致しない場合に誤差が生じていた。
これを図面で説明すると、第7図に示す波形のよう
に、入力波形の周期Tinがサンプリング周期TA/Dの整数
倍でない場合、すなわち、 Tin≠n・TA/D (n=2,3,4・・・・) の場合、第7図のように端数が生ずる。このように端数
が生ずると平均値 または の検出値に誤差を与えてしまう。
このため、上記の端数による影響を小さくする方法と
して、従来は、次のような方法があった。
入力波形のサンプリング周期TA/Dを Tin=n・TA/D となるように、TA/Dを調整制御する方法。
Tin=n・TA/Dとなるまで、入力波形の数サイクル
にわたってサンプリングして、平均値を演算する方法。
サンプリング周期TA/Dを短くし、入力波形の周期T
inに対する端数を極めて小さなものとしてその誤差を小
さくする方法。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、従来ののサンプリング周期TA/D
調整制御するため、周波数可変範囲の大きなフェーズロ
ック回路を必要として、回路構成が複雑になるとともに
高価なものとなる問題があった。
また従来のの方法では、入力波形とサンプリング周
期とが一致するまでは、測定ができないため、測定応答
時間が長くなる問題があった。
さらに、従来のの方法では、高速のアナログディジ
タル変換回路を必要として高価なものとなる問題があっ
た。
本発明は、上述の問題を解消するもので、サンプリン
グ周期の調整を必要とせずにすみやかに平均値の測定が
でき安価な平均値測定装置を提供することを目的とす
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、入力された電圧波形または電流波形をサン
プリングしてアナログディジタル変換する手段と、この
手段の出力電圧値または出力電流値から平均電圧または
平均電流値を演算する手段とを備えた平均値測定装置に
おいて、上記アナログディジタル変換されたディジタル
電圧値またはディジタル電流値の絶対値をとる手段と、
この手段の出力絶対値を通過させるローパスフィルタ手
段と、このローパスフィルタ手段の出力を入力側に帰還
加算する手段とを備えたことを特徴とする。
〔作用〕
入力電圧波形または入力電流波形がアナログディジタ
ル変換回路で一定間隔のサンプリング周期によりサンプ
リングされてディジタル信号に変換された電圧値または
電流値(瞬時値)は、演算回路によってつぎの演算処理
がなされる。
演算回路では、まず、ディジタル電圧値またはディジ
タル電流値の絶対値を算出する。そしてこのディジタル
電圧値またはディジタル電流値の絶対値をディジタルの
ローパスフィルタに通し、この出力を入力側に帰還して
加算する。複数回のサンプリング値をローパスフィルタ
を通過させることにより平均電圧値または平均電流値が
その真値に漸近するので、所定回数にわたるサンプリン
グ値により平均値が求められて表示される。
〔実施例〕
以下図面を参照して本発明実施例を説明する。
第1図は本発明一実施例の構成を示すものである。な
お、この実施例では、電圧波形をサンプリングして平均
電圧値を測定する構成について説明する。電流波形をサ
ンプリングして平均値を測定する構成についてはその構
成および動作が同様であり、電圧を電流に置き換えれば
よいため、その説明を省略する。
この実施例の平均値測定装置は、入力された電圧波形
をサンプリングしてアナログディジタル変換する手段と
してのアナログディジタル変換回路2と、このアナログ
ディジタル変換回路2の出力電圧値から平均電圧値を演
算する手段としてのディジタルシグナルプロセッサ3と
を備えた平均値測定装置において、上記アナログディジ
タル変換されたディジタル電圧値の絶対値をとる絶対値
演算手段31と、この絶対値演算手段31の出力絶対値を通
過させるローパスフィルタ(LPF)32と、このローパス
フィルタ32の出力を入力側に帰還加算する手段とを備え
たことを特徴とする。
そして、この実施例の平均値測定装置は、電圧が入力
される入力回路1と、この入力回路1に入力された電圧
波形を一定のサンプリング周期TA/Dでサンプリングし
てディジタル電圧値にアナログディジタル変換するアナ
ログディジタル変換回路2と、本発明の特徴とする演算
処理を行うディジタルシグナルプロセッサ(DSP)3
と、求めた平均電圧値VAVEを表示する表示装置4とを備
える。
ディジタルシグナルプロセッサ3は、サンプリングさ
れたディジタル電圧値(瞬時値)の絶対値を演算する絶
対値演算手段31と、この演算された絶対値電圧値が通過
するディジタルのローパスフィルタ(LPF)32と、ロー
パスフィルタ32の出力値を入力側に加算する加算器34
と、ローパスフィルタ32から平均電圧値を得る手段33と
を備える。
なお、上記ディジタルシグナルプロセッサ3に代えて
演算処理を行うマイクロプロセッサあるいはその他の各
種演算処理装置を用いることができる。
次に本実施例の動作を第2図および第3図を参照して
説明する。第2図は本実施例の動作を示すフローチャー
トであり、第3図は本実施例の動作を説明する波形図で
ある。
入力回路1に入力された電圧波形はアナログディジタ
ル変換回路2で一定のサンプリング周期TA/Dでサンプ
リングしてアナログディジタル変換する(ステップS
1)。この入力電圧波形をサンプリングする様子を第3
図(a)に示す。
次に、ディジタルシグナルプロセッサ3の絶対値演算
手段で、電圧瞬時値Vnを絶対値にする(ステップS2)。
この絶対値の瞬時電圧値|Vn|を第3図(b)に示す。次
にこの絶対値の瞬時電圧値|Vn|をローパスフィルタ32を
通過させる(ステップS3)。この瞬時電圧値の絶対値|V
n|を通過させることにより、 が演算される(ステップS4)。そしてこのステップS2〜
S4の処理をサンプリングされた瞬時電圧値Vnについて順
次行って帰還加算し、平均電圧値VAVEが求められる。こ
の処理により、第3図(c)に示すように、演算された
平均電圧値の真値に次第に漸近していくことが理解でき
る。
また、求められた平均電圧値を表示装置4に平均電圧
値VAVEとして表示する(ステップS6)。次に本実施例で
の演算開始点の特徴について説明する。
第4図(a)に示すように、入力電圧波形に対する演
算開始点が、変化する入力電圧波形についてサンプリン
グしているときは、前述の平均電圧値の真値を求めるこ
とができる。
これに対して、第4図(b)に示すように、演算開始
点では入力電圧Vnが「0」であり、この入力電圧|Vn|=
0の時間が非常に長いときには、入力電圧が「0」でな
くなっても、平均値はすぐに大きくならず、長い時間が
経過しないと応答しない。そこで、本実施例では、ロー
パスフィルタ32を通過させることにより、演算開始点を
入力電圧波形が変化した点を演算開始点とした。
このため、入力電圧波形が変化するまでは、平均値の
表示は第4図(c)に示すように、「零」であり、入力
電圧波形が変化し始めてから演算を開始する。
本実施例による平均電圧値VAVEの演算により、真値に
より収束するまでに要する時間について説明する。上記
ローパスフィルタ32の定数を0.0005、サンプリング周期
を10kHzとして、入力信号周波数を商用周波数(50Hz〜4
00Hz)とすると、ほぼ30000回(約3秒)程度のサンプ
リング数によって平均電圧値の真値0.637に収束する。
なお、この収束に要するサンプリング数は、ローパスフ
ィルタ32の定数、入力信号周波数によって大きく異な
る。なお、入力信号の周期Tinがサンプリング周期TA/D
の整数倍で、入力信号の1周期あたりのサンプリング数
が非常に少ないときは平均電圧値の真値を得ることがで
きない。
そのサンプリング数に対する得られた平均電圧値の具
体的な数値を次の表に示す。
本発明による平均値の測定をシミュレーションによっ
て求めた例を第5図および第6図に示す。このシミュレ
ーションは真値への収束を早めるため、入力信号周波数
とサンプリング周波数を商用周波数をサンプリングする
ものに比べて高速なものとしている。
第5図は、サンプリング周期TA/Dが入力波形の周期T
inの整数倍でなく、端数が生ずる場合であり、入力波形
として正弦波を用い、入力信号周波数を175.4386…kH
z、入力信号の振幅1.0V(P−P)、サンプリング周期1
MHzで行った例である。このシミュレーションでも、約2
9ms程度、商用周波数で行った場合には、約3秒で真値
に収束することが理解できる。
また第6図は、サンプリングで端数を生じない例であ
り、入力信号の振幅を1.0V(P−P)、サンプリング周
期を1MHzで行った例である。この場合もほぼ29ms程度で
真値に収束できることが理解できる。
〔発明の効果〕
以上述べたように、本発明は、入力波形の周期とサン
プリング周期との間にずれがあったとしても、サンプリ
ング周期の調整を必要とせずにすみやかに平均値の測定
ができ、装置を安価に構成することができる平均値の測
定装置を実現できる効果がある。また、ローパスフィル
タが既成のものを利用できるため、サンプリングしたデ
ィジタル電圧値あるいはディジタル電流値を積算平均す
るための特別の演算回路を必要とぜす安価に構成できる
利点がある。
さらに入力波形の変化に対応して平均値を測定できる
効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明一実施例の構成図。 第2図は実施例の動作フローチャート。 第3図は実施例を説明する波形図。 第4図は実施例の演算開始点を説明する図。 第5図および第6図は実施例によって平均電圧値を求め
たシミュレーション結果を示す図。 第7図は入力波形とサンプリング周期との間にずれがあ
る場合の波形図。 1……入力回路、2……アナログディジタル変換回路、
3……ディジタルシグナルプロセッサ、4……表示装
置、31……絶対値演算手段、32……ローパスフィルタ、
34……加算器。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力された電圧波形または電流波形をサン
    プリングしてアナログディジタル変換する手段と、 この手段の出力電圧値または出力電流値から平均電圧値
    または平均電流値を演算する手段と を備えた平均値測定装置において、 上記アナログディジタル変換されたディジタル電圧値ま
    たはディジタル電流値の絶対値をとる手段と、 この手段の出力絶対値を通過させるローパスフィルタ手
    段と、 このローパスフィルタ手段の出力を入力側に帰還加算す
    る手段と を備えたことを特徴とする平均値測定装置。
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